「オーガニック=おいしい」は幻想である(宣言)

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枝豆をつくるのが上手な人っていますよね。この人の枝豆
とにかく絶品! って人。土なのか技術なのかは不明ですが、
枝豆って意外とおいしくつくるのがむずかしい作物だと思っとります。
粗放でもできそうだけど、粗放だとそれなりの味にしかなりません。



オーガニックの価値を尋ねられた際になんて答えるか。
有機農業関係者ならむーと悩んでしまうところでありましょう。

すぐに思い浮かぶけど同時に反論も思い浮かぶのが「安全性」。
何と比べて安全なの? っていうか、その他のものは危険なの?
とか聞かれるとグッとつまります。こんな質問には答えられません。

なのでわたくしは絶対に、ずえーーーったいに「安全」とは言いません。
でも栽培履歴が追え法律に準じてつくられていることから「安心できる」とは言います。

言いたくなるけど意外とちゃんとしたエビデンスがない「栄養価」。
一般的な栽培のものとオーガニックでは栄養価に差はない、というレビューが
2009年英国食品基準庁(FSA)から出されたのは記憶に新しいところです。

抗酸化物質とかその他まだわからない成分(波動とか)に優位性がある、
というような話になるとよくわからなくなってしまうため、
「現時点」では「差がない」と考えていいのではないかと思います。
きちんとした研究論文がそのうち出るでしょう。それを待ちましょう。

そんな「何にも言えないじゃん」的な状態のなか、
なんとなく説得力がある価値が「おいしさ」です。

だって農薬散布してないし化学肥料も使ってないし堆肥とかだし
生産者だって一生懸命つくってるもん、おいしいに違いない。
てな感じでしょうか。

一般栽培と比較してオーガニックは手間とかも大変なので
そのがんばりに対して「おしなべておいしい」と言いたくなりますが、
わたくし的には「おおむねおいしい」くらいかなと考えております。

とは言え「オーガニックって一般栽培のものよりおいしいんですよね?」
なんちて聞かれた場合、わたくしはとくに否定はしてきませんでした。
そう言いたい気持ちとか販促的にもすごーくよくわかるからです。

が、しかし。

先日わたくし有機JASマークのついているだだちゃ豆を購入しました。
枝豆は鮮度が命です。届いたら速攻で食べねばなりません。
さっと茹でてワクワクしてつまみ食いした有機だだちゃ豆は
悲しいことに渋みというかエグミの勝ったものだったのです(泣)

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以前西出さんとだだちゃ豆の畑を見に行ったことがあります。
広大な面積に植わってる豆は旱魃のせいでカルシウム欠乏が出ていました。
豆に潅水なんてしないよね、とおっしゃっていましたが、そのあたりが
おいしい豆をつくる人とそうでない人の違いかもしれません。とは言え
圃場が有機JASを取得していれば有機枝豆で出荷できるのです



そもそもスーパーで枝豆を買うことがないので、一般栽培がどうなのか
わたくしは知らないのですが、近所のJAが経営している直売所の枝豆は
(鮮度の問題もあると思うので単純に比較してはいけないのですが)
いつもステキにおいしくビールがビシバシすすみます。

プロのつくった枝豆が渋い(エグい)とはどういうことだあっ!!

理由が知りたくて師匠・西出隆一さんに電話して聞いてみたところ、
「渋みの原因は主にカルシウム不足だけどチッソが多くても出る」とのこと。
チッソ過剰は想像していましたがカルシウム不足は知りませんでした。
さすがは師匠です。

豆はカルシウムが大好きなのですが、枝豆を栽培していると
潅水設備のないところでは旱魃時にけっこうカルシウム不足が起こります。
水分がないとカルシウムを吸えない、ってのが原因です。

しかしここんとこ雨降り続きでどこも水は豊富にあったはず。
なので考えられるのはチッソの過剰です。
硝酸態窒素は水に溶けやすく雨が降ると作物はどんどん吸ってしまうのです。

チッソ分をそれほど必要としない枝豆がチッソ過剰になる理由は
そもそも下手くそ、あるいは土づくりができていない、残肥があった、
何も考えず減反の畑に堆肥を入れてつくった、などが考えられます。

あんたねー、そこまで言う? とか言われそうですが、
わたくし的には家庭菜園の素人(わたくし)がつくるならまだしも、
プロの農家が渋い枝豆をつくるなど許せん! と思ってしまったのです。
わたくしの心はこと枝豆に関しては非常に狭い、と言えるでしょう。

以前腹立つほどおいしくない有機サトイモを食べたときは
二度と買わなきゃいいんだもんねと思った程度でした(告白)。

ケチ臭いことを言うようですが、有機という価値のぶん価格もそれなりです。
であれば、食味にもう少し気を使うべきではないでしょうか。つーか、
有機JASマークがついているからこそおいしいものであって欲しい、というのは
わたくしのエゴなのでしょうか。うううううう、そうなのかなー(泣)

わたくしは渋い枝豆を食べつつ自分にガッカリしてしまいました。

なぜ? オーガニックに期待を持ちすぎていたことに?
そういう先入観を持たない自分でありたいと思っていたのに、
オーガニックは特别だとなんとなく思い込んでいたことに?

自らを激しく反省し、今まであいまいにしていた

「オーガニック=おいしい」は幻想である、とここに宣言いたします。

そういうことを言う際には「おおむね」をつけましょう。
いや、つけなくてはなりません。

しかしいつか「オーガニック=おいしい」と言える日が来るといいな。
とエゴ丸出しで希望を述べてみるわたくしです。


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低温と日照不足と雨降りでトマト終了(泣)

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ミニトマトでセミドライトマトをたくさんつくって冷凍しておりましたが、
あっという間に使ってしまいました。まだミニトマトあるし作れば大丈夫、
とか思ってたら雨だし。しかもこの雨でバンバカ割れるし(泣)
来年はしょっぱなから干しまくる予定です。


3月という心地良い季節に生まれたせいか、夏がキライです。
というか、暑いのがキライです。昔からキライでしたが、
年寄りになるとますますキライになりました。

冬とか寒いのがへーきなのは鳥取生まれだからでしょう。

バイクに乗ってるときに雨が降ると、転んで死ぬのはヤだけど、
雨の匂いにはウキウキするし濡れるのも好きでした。
雪のなかチャリを爆走させて滑りまくるのも好きでした。
ということで、寒くても冷たくても冬が好きです。

なんてゆーわたくしにここ数日の東京は非常にナイスな感じです。
ずーっと気温は25℃前後、そして雨降り。
大変とても過ごしやすいのですが、
畑の夏野菜たちは青息吐息です。

なにしろ豊作でなりまくってたトマトの果実が
バンバカ割れまくり、ほぼ終了となりました(泣)
自分には良くても野菜には最悪、といったところでしょうか。

その割れたトマトにカブトムシが連日たかっており、
トマトからカブトムシのニオイがして全然うれしくありませんが、
近所の方におすそ分け(カブトムシを)したら喜ばれました。

その他の野菜はというと、モロヘイヤ、ツルムラサキは
この人たちバカなのかしらと思うほど影響ありませんが
オクラの生育がパッタリ止まりました(泣)

オクラもトマトも大好きなわたくし。
好きなものからダメになっていく運命なのか自分(おおげさ)。
しかしオクラって暑いのが好きなんだなーとしみじみ実感しております。

ナスはそろそろ切り戻しシーズンでこの後11月まで採れる予定ですが、
雨がやんでからじゃないと追肥作業ができません。
ピーマンの花がやたらと落っこちるのも雨のせいでしょう。

今期のトマトはやたらとうまくできたため、
毎日10個ずつ収穫できて食べるのが追いつかないうれしい悲鳴、
ってな感じで、ほぼ全部ジュースに加工しました。

500mlのペットボトル一本飲むとトマト5個ぶんくらいです。
毎日半量ずつ飲んでいる夫ちゃんの手や顔が、
リコピンで赤くなるんじゃないかと思いましたがなりませんでした。
みかんとトマトは違うみたいです。

そんな感じで豊作の喜びを堪能していたのですが、
先週から降り続く雨でもう終了です、チョーガッカリです。
よく考えてみると、いつものトマトと終了時期が変わらず、というか
いつもは9月まで持つんだからいつもより短いことに気づきました。

ううううううううう(泣)遠い目。

トマトはなくてもミニトマトがあればいいやと思っていましたが、
ミニトマトもバンバカ割れはじめもう終了なのです。
哀しみはいや増すばかりです。ううううう。

このようなへなちょこ家庭菜園をしていてもガックリと肩が落ちるのですから、
それを生業としている農家の方々の心配はいかばかりでしょう。
とくに東北、北海道の、この季節にこの低温、この日照では、
コメもジャガイモもマメも心配なところです。

わたくしの大好きなこれから出荷が始まる大粒種のブドウなどは
この長雨で裂果とか病気が発生したりしそうです。
さらに日照不足&雨は食味を低下させることがありますから、
来週にお天気が盛り返してくれるのを祈るばかりです。

いろいろ急に心配になってきているのですが、
現在進行系では目に見えないのが農業のむずかしいところです。

何事もなくすべての作物が豊かに実ることを祈るわたくしです。


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柑橘の自然栽培・有機栽培の話を柑橘農家に聞いてきた

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子どものころから絵描きになるのが夢だったという池田道明さん。
自然からインスピレーションを受けて書くことが多かったことから
農業でも自然を守っていると胸を張れる栽培をしようと
自然栽培に切り替えました。温州みかんや清見を栽培しています。



わたくしNPO法人「有機農業参入推進協議会」の理事をしております。

そのお仕事で「有機農業を始めよう! 第17回有機農業公開セミナー」
(於・熊本県阿蘇郡ホテルグリーンピア)に参加してきました。
まかされたのは「柑橘分科会のコーディネイター」です。

うひー、柑橘?

わたくしは落葉果樹担当が長かったこともあり、落葉果樹については
ちょびっとだけですが、病害虫・農薬・木の生理などがわかります。

春に花を咲かせ、夏から秋に果実を実らせ、収穫後は
晩秋にばっさりと葉を落とし、冬季に休眠する落葉果樹。
生育にメリハリがついているためわかりやすく、花芽も確認しやすいため、
「あー去年なんか失敗したのかなー」なんてのもわかることがあります。

こういうのがわかると農家と話をするとき詳しい話が聞けます。
わかるようになると農家はより詳しい話をしてくれます。
その結果、出荷時期や品質の話が具体的にできるようになるのです。

しかし柑橘類は、一年中葉を茂らせている常緑樹です。
わたくし的にはいったいいつ休眠してるんだって感じです。
さらに、去年の実がついてるのに花が咲きます。さらにさらに、
レモンなどは四季咲きとか言って春から夏までだらだら花をつけたりします。

いったいキミの交代期はいつなのかね? というか
どの時点で栄養成長から生殖成長に切り替わっとるのかね?
なんつー疑問が頭にわいて柑橘の生理のことを考えると夜も眠れません。

なんちて。ウソです。

ということで、ほぼ知識ゼロで熊本県に到着したわたくしは、
分科会のパネラー・池田道明さんのみかん園を見学に行きました。
事前にちっとは知識を仕入れておかないと、と焦っておりましたが
池田さんの話が大変とてもわかりやすく、あることに気づくことができました。

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知識なくぼんやりと写真を撮ってることがよくわかる温州みかんの写真。
なんかもー木の見どころとか全然わかんないし、
次に行ったときにはちゃんと質問できるようになっとかなくちゃ。



それは、柑橘も落葉果樹も基本的な部分は同じってことです。
なぜならふたつとも畑作や米などの単年度作物ではなく、
一度植えたら数十年そこにある永年作物だからです。

そして永年作物ならではの共通項が「土」なのでした。

さて、池田さんは玉名郡で自然栽培のみかんを栽培しています。
現在では収量もあがりようやく経営が安定してきたところですが、
ここに至るまでには木が枯れたり虫が大発生したり、
全く収穫できる果実がなかったりなどの大変な経験をしています。

その経験が大変とても興味深く、これから果樹というか柑橘の
自然栽培・有機栽培に取り組む方への助言として、
今まで聞いたなかでベストである、とわたくしは思ったのであります。

「自然栽培を始める際は農薬と肥料を一気にやめたくなるけど、
先に変えるのは肥料。肥料を少しずつ減らすと3年ほどで切れるから、
それから農薬をやめること。また全ての園地を一気に変更せず
少しずつ変えてようすを見ること」by池田道明。

大変とても有意義なアドバイスではありませんか?
そしてこれは有機栽培に切り替える際にも当てはまるようです。

単年度作物と違い、果樹類は3年前の施肥やら剪定やらの影響を
当年度も持ち越しています。過去ずーっと化学肥料を与えられている木は
園地の微生物相の影響もありますが、有機質肥料をすぐに吸わないのです。

やってる方は「肥料をやってるから吸ってる」と思っていても、
おもに2年間ほど過去の残肥が効いていることが多いようです。
除草剤などをまかれていた園地では微生物がほとんど死滅していますから、
有機質肥料を分解してくれる善玉菌がほとんどいないとも言えます。

その結果、転換して3年めに病害虫が一気に、しかも大量に発生します。
このタイミングで木を枯らしてしまうと資源がなくなりますから
柑橘栽培から撤退せざるを得なくなります。貯金もなくなります。

つまり、まず「以前の土を変えること=土づくり」が大切なのです。

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ルビーロウカイガラムシ。自然栽培に切り替えたらだんだん小さくなってきたそう。
切り替え当時ぐわっと発生したカイガラムシが数年後にはいなくなった。
天敵が食べているのかも、と池田さん。肥料が切れてから起こったことが
非常に興味深く、肥料とはなんなんだとか考えてしまったわたくし。



池田さんの園地で肥料を減らし始めたのは2000年。
自然栽培を始めたのは2008年で2015年に全園に広げました。

準備期間を入れると現在までになんと17年もの年月がかかっています。
それでも大変なことがいろいろと起こったのです。
これぐらい時間をかけないと自然栽培はむずかしいということでしょう。

とは言え、無施肥です。作物は何を吸って生育しているのでしょう。

池田さんのみかん園は草を刈り取らない草生栽培です。
「草を刈り取らない」のはわたくしの知り合いの自然農のすもも農家も同じで、
草を刈り取らない=青刈りしない=総炭素供給量を上げる、ことができます。
これにより、微生物相がより豊かになるのかもしれません。

北海道農研機構の共生微生物の研究者・池田成志さんにこの話をしてみたら
「微生物の菌体だけでも相当量の肥料成分になると思います」と言われました。
自然栽培の人に共通する話ですが、肥料分は微生物が供給しているのでしょう。

この後、柑橘類分科会でその他のパネラーの方の話をお聞きし、
有機でも一年目から一気に転換するのは無謀ということがよくわかりました。

その前の持ち主がどのような栽培をしていたのかよく聞いて、まず土づくり。
農薬を減らすのはその後。最も大切なことは
「木を枯らさないこと」「全滅させないこと」。

ムリをしてはいけませんよということですね。

落葉果樹に比べると、柑橘は有機JAS取得が比較的容易と言えます。
有機JASではマシン油やボルドーがまけますから、自然栽培でなければ
転換する際にも心の余裕が若干持てるような気がします。

わたくしは10月には有参協の仕事で果樹栽培について書かねばならないのですが、
心おきなく書ける気がしてなりません。喜ばしいかぎりです。
今回お話を聞かせていただいた農家の方々、ほんとうにありがとうございました。

今度行ったときは花芽がいつどこにできるのか教えてもらわなくっちゃ。


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北海道のオーガニック(&グラスフェッド)ビーフを応援するぞ!

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セミナーでは八雲牧場のオーガニックビーフを使ったお弁当が出ました。
肉の味が全くわからない牛丼風味つけでチョーガッカリ。
つくった料理人はこの肉の趣旨がわかってなかったのでしょう。
脂と肉から鹿などの草食動物に共通するニオイがしました。



オーガニックライフスタイルエキスポに参加してきた。
っつか会場で開催されたアニマルウェルフェアのセミナーに行ってきた。

日本におけるアニマルウェルフェアはわたくしが行った最初の勉強会
(2010年)から1センチほど進んだということがわかった。
講師は同じ日本獣医生命科学大学名誉教授・松木洋一氏である。

「ほんたべ日記」で何度かアニマルウェルフェアについて書いたが
アクセス数が全く上がらないことから、ほとんどの人がたぶん
全く興味がない、あるいは何のことかわからないのだと推測するわたくし。

アニマルウェルフェアについては以下の過去ログをどうぞ。
「アニマルウェルフェアについて考えてみた」
http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-515.html

全く進んでいないと考えていたが1センチくらい進んだ、と思えたのは、
オーガニックビーフをつくっている&これから取得予定の農家がいる&
全て牧草で肉をつくっている農場があることを知ったからである。

ええええー草で肉がつくれるんだー!!! 驚くわたくし。

ほとんどの人は「牛って草食ってんじゃないの?」と思っているだろう。
しかし、肉牛は牛に草だけ食わせていてもつくれない。

肉牛も乳牛も割合は違えど主たる飼料は穀物であり、和牛(黒毛)の場合は
雄牛の血統とかその他さまざまな技術を集積した結果が、
あの芸術品のような一面に脂肪が入ったピンク色の肉である。

肥育段階に入った牛は出荷されるまでほぼ牛舎にいたり、
自由に運動できなかったり、メタボになったり内臓疾患になったり
ビタミン欠乏症寸前になったりしているが、それでOKである。

そうしないと「市場が評価する肉」はつくれないし、
人々が安価に購入できる肉(国産牛ね)もつくれないのだ。
しかし、この飼育方法とアニマルウェルフェアはたぶん相容れない。
だからアニマルウェルフェアは遅々として進まない。

日本は国土が狭く、平たい土地は米が優先で次が畑作・果樹である。
家畜を狭いところに押し込めていても肉や卵は作れなくはないので、
畜産はどうしてもそういった「動物工場」的な作り方が主流になる。

牛を一頭買うのに必要な土地は1ヘクタールと言われている。
1ヘクタールの土地があったら田んぼか畑にしますよねうんうん、
一反で米8俵取れたとして1ヘクタールなら80俵、
1俵18,000円として1年で144万円。やっぱ米ですよねーって感じだ。

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牧草を青刈りしてサイレージにすることで栄養価が高くなり
増体率が上がったなどなど、まだ試行錯誤の真っ只中だが、
しかし草だけ食べさせても体が大きくなるのなら、農家にも
お肉屋さんにもメリットがある。技術の向上が待たれるところだ。



ということで、もし「放牧」するのなら山の中→乳牛の場合「山地酪農」
あるいは広大な土地がある北海道で、というのが考えやすいが、肉の場合
草だけ食わしていても市場が求める脂肪交雑のある肉にはならない。

日本における肉の評価は脂肪の含有量に左右される。

たとえば鶏肉はバサバサするムネよりも脂肪の多いモモが売れるし、
豚肉もモモよりもバラやロースが売れる。
一羽・一頭から取れる人気部位は限られており部位調整が大変だ。

牛肉の場合は脂肪交雑率の高いものが最も高い評価となる。
みんな「柔らかくてじゅわっと脂肪があふれる」的な肉が好きなのだ。
が、放牧=飼料は草=肉がほぼ赤身=硬い&脂肪の味がしない などで
手間かけて作っても市場の評価はダダ低いと言ってもいい。

売れない肉・評価されない肉をつくるのはむずかしい。
ということで草だけ食ってる肉牛はつくりにくいのが現状である。

さて、今回のセミナーで知った北海道のオーガニックビーフは
北里大の獣医学部付属の八雲牧場で育てられている
牛は日本短角種(和牛の一種)で夏山冬里方式で飼育され、
25か月で出荷だそうだ。約2年ってことでしょう。

肉の写真を見たらほぼ赤身で、草だけ食べるとこうなるのねって感じ。
脂肪は黄色みがかっているが、一般では脂肪に色がついていると嫌われる、
というか評価されない。でもオーガニックビーフなので問題ないのだ。
取り扱っている東都生協では、レシピなども提供しつつ販売しているらしい。

なぜレシピを提供する必要があるのか。
それは食べるのにコツがいるからだ。

草だけ食べてる赤身の肉はそれなりのクセがある。
フツーの牛肉を食べてきた人が食べると「うーん」と思う。
このニオイや味が好きと思えれば問題ないのだが、
そうじゃない人はむずかしいだろう。だから食べ方が必要なのだ。

この一点でわたくしはちょっとうーんと思ってしまった。
割高な説明商品を説明無しでフツーに売るのはむずかしいからだ。

しかし、オーガニックビーフはとてもすんばらしい取り組みである。
牧場内で牛糞→牧草の肥料→牛肉→牛糞と資源の循環が行われており、
環境に与える負荷が少ないのもすんばらしいと思う。

畜産のそもそもの目的「未利用の資源を資源化する」
→ヒトが食えない草を食って肉という資源を提供する そのままであり、
穀物飼料を食った畜産物の排泄物で日本が沈没するかも、というなか、
将来的にはこのような畜産が主流になるといいなーと真剣に思う。

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なんだかんだ言ってもみんなこういうお肉が好きなんすよね。
でも年寄りになるとこういうの年に一度でいいし日常的には赤身がいいしで
赤身でちゃんと味がのった肉だといいんじゃないかとか思う次第です。


でも現時点では一般的なお肉にはなり得ない、とも思う。

しかしオリパラでオーガニックが注目され、なんとなく
グラスフェッドビーフにも一定程度注目されつつある昨今である。

グラスフェッドはイオンの豪州産牛肉でいいんですという人もいるが、
わたくし的にはこの北海道の国産オーガニックビーフを
しばらくの間、積極的に応援していきたいと考えております。

オーガニックとかどうとかは抜きにして、この牧場では
畜産のあるべき姿があれこれ実現されていると思うからであります。
今度取材させてもらおうっと!

アニマルウェルフェアにご興味ある方はこちらをどうぞ。
Animal Welfare Food Community Japan
http://awfc.jp/


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きゅうりの秘密を知ってしまった!! 在来きゅうりフェスタご報告

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上段左から「勘次郎キュウリ(山形)」「美馬太キュウリ(徳島)」「外内島きゅうり(山形)」
下段左から「加賀太キュウリ(石川)」「山内伝来キュウリ(高知)」「佐川伝来キュウリ(高知」
低温に強い高知県などの南方系はイボが黒く、夏が旬のものはイボが白い。
というような特徴があるそうです。どの品種も白い・黄色い・筋が入っています。



昨今では周年で供給されているジミーな野菜、きゅうり。
いつでもどこでもお店に売っているのであたりまえすぎて
きゅうりのことなど調べてみようなどと思われない野菜ではなかろうか。

しかし最近なんだか太くて瓜っぽい在来品種を見かけるようになってきた。
ということで「在来きゅうりフェスタ」というお勉強会に参加してきた。

きゅうりの原産地はヒマラヤのあたりと言われている。
【きゅうりの原産地は、ヒマラヤ山麓のシッキム地方といわれています。
日本には中国南部の品種・華南型(かなんがた)が伝わった後、
明治時代になってから、中国北部の品種・華北型(かほくがた)が
栽培用・交配用に導入されて、国内栽培がさかんになりました。】
(農水省ウェブサイトより)

そこから人とともに西方へ移動し欧州へ行くと同時に中国に渡った。
きゅうりのことを漢字で「胡瓜」と書くが、この「胡」という字は
「胡人」などでも使われる「西方」という意味である。

日本に入ってきたきゅうりは苦くて評判が良くなかった。
江戸時代に「初物禁止令」という促成栽培を禁止するおふれが出たが、
マクワウリやナスは禁止されたにも関わらずきゅうりは禁止されなかった。
評価が低く「食べなくてもいい」的な扱いで早出しする人もいなかったのだろう。

昨今のきゅうりは長年にわたる品種改良で苦味は消されているが、
わたくしが子どものころは「きゅうりはなり元が苦いから
なり元を切って苦味を消すように」と言われていたから
昭和のきゅうりは完全に苦味が消えるまでには至らなかったのだろう。

チッソ分が多いときゅうりは苦くなるのだと思っていたが、
単に遺伝子というかそもそもの血筋だったようである。

明治から大正時代にかけてきゅうりの品種改良は盛んに行われたが、
きゅうりの見ためが大きく様変わりしたのは昭和50年代後半、
「ひじり」というベッタリと緑色になる品種以降のことだ。

それまでのきゅうりは国産品種をかけあわせて作られていた。
国産のきゅうりは、現在の在来品種を見るとよくわかるが、半分白い、
あるいは黄色く、筋が入る。最初は全部緑色でも老化してくるとそうなる。

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上・四葉キュウリ 下・イボなしキュウリ つるんとしていて皮が硬そう。
衛生上イボがない方がいいってのはすごーくよくわかるけど、
きゅうりじゃないみたいね。



流通・小売はこの「白くなる・黄色くなる・筋が入る」ことを嫌った。
老化しているイメージを与えると消費者が買わないからだ。
そこで欧米の「全部緑色」の血統が入り、これ以降きゅうりは緑色になった。
いつでもどこでも緑色になり、きゅうりの鮮度はわかりにくくなった。

1985年、さらにきゅうりに大革命が起きる。
ブルームレスきゅうり「シャープ1」の登場である。

それまでのきゅうりにはブルームという白い粉がふいていた。
ブルームは巨峰の果皮などにもついている白い粉である。
スイカの台木(かぼちゃ)を使ってみたらブルームが吹かなくなったのだ。

農薬と間違えられたからブルームレスきゅうりになったとよく言われるが、
ほんとうは台木が変わったら偶然そうなった、という話のようだ。
ううううう。農薬勘違い説を信じていたのに、しまったー(泣)

ブルームレスきゅうりは皮が硬くて果肉が柔らかく食感がよくない。
さらに漬物にすると色上がりが悪くなるため漬物メーカーが嫌った。
これ以降、きゅうりの漬物の主流は中国産に移行してしまう。
ブルームレスきゅうりとともに規格外きゅうりの行き先が無くなったのだ。
恐るべし!! ブルームレスきゅうり。

ブルームを失ったきゅうりは、さらに鮮度がわかりづらくなった。
鮮度がわかりづらいから、きゅうりの産地は相場に合わせて出荷調整ができる。
きゅうりは実はいつ収穫したかわからない野菜のひとつである。

昨今ではさらに一歩進んで、イボのない品種が開発されている。
イボがついていると洗いづらく雑菌が繁殖しやすく衛生的でないという理由で、
セブンイレブンのサンドイッチに入っているのは全部この品種だそうだ。
いやはや、品種改良ってスゴイのね。もちろんF1である。

というような歴史の結果、わたくしたちがお店で買えるのは
ブルームレスきゅうりのいくつかの品種である。
つまり、わたくしたちはきゅうりの品種を全く選べておらず、
市場が与えてくれるものだけを食べている、とも言える。

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馬込半白キュウリと種が取れるまで大きくした馬込半白。
この品種は一度途切れ、ジーンバンクから取り寄せて栽培が再開した、とか。
しかし在来きゅうりってほんとに半分白くて、しかも
「半白」という名前がついてるのが興味深いす。



ではそもそも日本で食べられてきた在来品種はどこに行ったのか。
都市部では在来種を「めずらしいから」と購入する人が少し食べるくらいで、
つくる人も少なく、ましてやそれをわざわざ選んで買う人もいない。

しかし在来品種が生き残っている地方では話が別である。
在来きゅうりは地域ごとの結びつきがものすごく強く、
神事や行事に使われることの多い、地域性の高い野菜なのだった。

在来品種はおおむね、食べると皮がやわらかく果肉はハリがあり、
パリンとした歯ごたえが特徴である。
噛むごとに皮と果肉が口の中でやさしく混ざり合い独特の風味を作り出す。

品種によっては「苦味」という遺伝子を失っていないものもあるが、
それは風味として受け止められており、とくに問題とされてはいない。
なかにはブランド野菜のひとつとしてレストランで供されるものもあるが、
ほとんどの在来品種は地域で消費されている。

これが「在来品種」の理想的なあり方ではあるまいか、とわたくしは思う。

地域で愛され、自家用でつくられ、行事のたびに調理され、
「食文化」として人の生活にきちんと、しかも強固に結びついている。
種取りをするのは自分たちのためで売るためではない。

だからこそ、在来種のタネは農家の振る舞いに依拠する脆弱な存在であり、
作り続け、食べ続けないと生き残ることができないとも言える。
もしかしたら誰も見たことのないきゅうりが、
今このときに絶滅している可能性だってあるのだ。

多様性のある世界は美しい。そのために何ができるだろう。

在来きゅうり20品種を試食しながら
このようなさまざまなきゅうりを育んできた地域の人々、そして食文化が
失われることがありませんように、と、祈りたくなったわたくしです。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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