手づくりと市販品どっちが安いか計算してみた

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きゅうりが日々大量に採れておりまして、消化に四苦八苦しており
きゅうりのキューちゃんを作ってみたけど、まだ余ってるので、
明日第二次きゅうりのキューちゃんを作る予定です。キューちゃんは
すげーおいしいけどそんなにがっつり食べられないことを発見。



わたくし、実は手づくり大好きなステキな奥さん(爆笑)である。

この場合の手づくりとはお裁縫でお洋服チクチク縫っちゃうとか
キルトとか帽子なんかチャラっと作れちゃうのよねアタシとかではなく、
ジュースとかジャムとか、大量に農産物が収穫できた際につくる
保存食のことを指す。

つまり大量の農産物が家にあることが多いということでもある。

ジャム類のほかに、どぶろく、ワイン、味噌、ザウアークラウト、
白菜漬け、野沢菜漬け、りんごワイン等々、微生物の働き(発酵)
によってできる加工品も一応作ったことがある。

これは単に微生物の働き(発酵)の過程に興味があったことと、
出張に行ってキャベツを5つくらいもらって帰って途方に暮れたり
自宅の玄関にでかい白菜が4つほど転がっててわあ大変!どうしよう!
的なことがあったからつくってみたということもあり、趣味と言うより
必要に迫られてという側面もちょっとだけある。

どぶろくは炭酸ガスが発生しているときはおいしいが、
その後はみりんですか!みたいな味になるし、何よりも
大量のコメを使うのだ。しかもおいしくないのだ。
そんなことのためにコメを使うのがもったいなくてやめてしまった。

ワインもどぶろくと同じく炭酸ガスが発生している間はおいしいが、
その後は雑味が出てきたり、どうかするとエチレン臭がする。
ぶどうはそれなりにおいしいが(しかし大変良くない酔い方をする)、
りんごはどうやってもおいしくできない。酵母の問題だろう。

そこで得た結論=どぶろくもワインも買ったほうが断然おいしい。

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山梨県のある農家の畑に「ほんたべの木」と言われている梅の木と
すももの木があり、実がなると電話がかかってきます。で、今年は
大量にもらってきて、梅干しとジュースとジャム作りました。
きれいな色とパンチのある酸っぱさがたまらんです。



ちゃんとした酵母を使って衛生管理されて作られている酒類に
手づくりのものは絶対にかないません。ほんとです。絶対です。

というように「ステキな奥様」というよりは
「これつくったらどんな味がすんのかなー、製造工程はどんなかなー」
あるいは「キャベツ5個も食べられるわけないじゃん! そうだ!
漬物にして体積を減らそう。どうせならつくったことないものがいいな」
などが手づくりの動機なので、作り方がちゃんとしていないのが特徴である。

この「保存食作るぜ!」DNAは実は母から伝わったものではなく、
血のつながりのない子守をしてくれたおばちゃんからもらった。
彼女はいちごジャムや梅エキスなど、季節の保存食をつくっており、
わたくしはその加工品を食べて大きくなった。

毎年梅エキスを作っていた彼女のことをわたくしは大変尊敬している。
梅干しも小梅とカリカリ小梅とフツーの梅干しと毎年3種類つくるのだ。
すげーよなあ。そういうものを家族に食べさせるのが
彼女にはあたりまえのことだったのだ。まさに昭和の主婦である。

わたくしの動機は上記の通りだが、やってることは同じだ。
つーことで今後わたくしのことは「ステキな奥さん」と呼んでください。

さて、最近までわたくしは手づくりの方が経済的だと思っていたが、
「もしかして割高なのではなかろうか」とふと思った。
手づくり味噌が高く付くのは知っていたが、その他のものはどうだろう?

んで調べてみましたよ。手づくりと買ったものの価格の差。
わたくしが常時作っているもので比較しております。
価格はAmazon・楽天・価格.com・メーカーサイトを参照しております。

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ご家庭で桃ジャムを作るのは相当高く付くので難しいです。
なので差し上げるとめっちゃ喜ばれます。ジャムで喜ばれる
ナンバー・ワンが桃ジャム。めったに作れないチョー貴重品。



■味噌
・手づくり手前味噌(大地を守る会で材料を調達)
 大豆1kg(無農薬大豆 750円)
 麹1kg(1,000円くらいだったかな)
 シママース400g 123円(1kg 308円)
合計1,873円(完成品4kg) 1kg 468円

・マルコメ味噌 650g 437円
・マルカワ味噌 自然栽培みそ未来 400g 1,296円
(どひー!)

スーパーで売ってる味噌より手づくり味噌が割安だった。あれれ?
以前どんな計算したんだか自分。足し算もできないのか自分。
しかし、自然栽培の大豆とか使ってる味噌すごいなあ。

手前味噌は作った人にしかわからないヨロコビがあり、
一度作ると経費計算などしなくなるという特徴がある。
わたくしはこれを「手前味噌ジャンキー」と呼んでいる。

■梅酒
・手づくり梅酒(大地を守る会で材料調達した場合)
 梅1kg 1,266円
 焼酎 有機米焼酎1.8L 3,700円
 国産ビート氷砂糖 1kg 785円 
合計 5,701円(完成品1.8L 梅の実1kg分)

・手づくり梅酒(梅だけもらいものの場合)
 梅1kg 0円(※山梨行きの交通費5,000円ほどかかってるけど)
 焼酎 有機米焼酎1.8L 3,700円
 国産ビート氷砂糖 1kg 785円 
合計 4,485円(完成品1.8L 梅の実1kg分)

・チョーヤの梅酒スペシャル 2,119円(1.6L 梅の実200g入り)

梅酒の場合はスーパーの梅とホワイトリカー(1.8L 1,090円)で作れば
チョーヤの梅酒よりも大幅に割安。漬ける瓶までついてて便利だったりする。
焼酎・梅に凝ると当然割高だが、甲類焼酎(ホワイトリカー)より
フツーの乙類焼酎のほうが完成品の味がかなりまろやかになる。

ウチに放置してある10年選手の梅酒が5Lくらいあるが、
まろやか過ぎてガンガン飲めるいいリキュールになっとります。
どこに置いたっけ? 探してみよっと。

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バジルの葉っぱ採ってきて洗って乾かして
ミキサーにオリーブオイル入れてガーッと混ぜたらできあがり。
わたくしのバジルペーストはにんにく・松の実入れません。
パスタだけでなくローストチキン作るときにも使えて便利です。



■梅ジャム
・手づくり梅ジャム(大地を守る会で材料調達した場合)

 梅1kg 1,266円
 北海道産ビートグラニュー糖500g 229円(1kg459円)
計 1,495円(完成品800g) 200g 373円

・紀州南高梅はちみつ入り梅ジャム 200g 432円


タネを裏ごしする手間とか大変なわりに手づくりの方が安あがりってさあ、
なんか気持ち的にうーんって感じ。
わたくしの場合梅はもらいものだから原価(交通費含まず)229円だしさあ、
さらにむうって感じ。

■バジルペースト
・手づくりバジルペースト

 バジル(ほんたべ農園産) 0円
 パレスチナ産オリーブオイル 300g 1,211円(450g1,817円)
 塩 分量わかんないから0円
計 1,211円(完成品400g) 100g 302円

・マコーミックバジルソース95g 410円
・予約でいっぱいの店のジェノベーゼソース 110g 420円


買ったバジルでつくったらどんだけ高く付くのか。恐ろしいぜ。
でも手づくりだとオリーブオイルを厳選できるからいいね。

■きゅうりのキューちゃん
・手づくりきゅうりのキューちゃん

 きゅうり8本(ほんたべ農園産) 0円
 生姜(もらいもの) 0円
 赤唐辛子(ほんたべ農園産) 0円
 大地を守る会の醤油180ml 217円(900ml 1,086円)
 三河みりん180ml 246円(700ml 960円)
 大地を守る会のりんご酢90ml 136円(600ml 910円) 
計 599円(完成品 700g) 120g 102円

・きゅうりのキューちゃん 120g 150円


きゅうりを買ってつくるよりキューちゃんを買ったほうが安いのは当然だ。
しかしキューちゃんにはアミノ酸が入ってて、
ものすごーくおいしいから要注意だ。
ごはんの味がわからなくなるかもしれないぜ。

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工程は簡単だけど長期間にわたって手間がかかるからハードル高い、
それが梅干し。慣れちゃうとそうでもないと思うけどね。
梅酢や赤紫蘇という副産物も調味料がわりにもれなく使えるから
結局オトクだと思うけどな。コツは減塩にしないことです。



■梅干し
・手づくり梅干し

 梅1kg(もらいもの) 0円
 シママース200g 61円(1kg 308円)
 赤紫蘇(ほんたべ農園) 0円
計 61円(完成品 1kg弱+梅酢+赤紫蘇)

・紀州産 南高梅梅干し 1kg 3,150円


梅干しっておとなになってから一度も買ったことないんだが、
高いのだね。驚いたぞ。今度スーパーで値段見てみよっと。

■結論
農産物が自宅に大量にある場合は手づくりは非常に優位性があるが、
買ってきてつくるのはどうか的な結果になってしまったよ、ううううう。

しかし「手づくり」の優位性は自分が選んだものでつくるということにある、
(つまり原料も全部自分が選んだものである)と考えると、
全ての手づくり品が「プライスレス」なのではあるまいか。

手づくり品の原価計算などしてはいけないのである。
なんちてきれいにまとめてみましたが、いかがでしょう。


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ほんものの真珠は長く輝く

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若い頃はこの地味な美しさがよくわかんなかったですが、
年を取り、キラキラしたわかりやすい宝石類よりも、真珠がいいなと思うようになりました。



15年ほど前、愛媛県の明浜町に、真珠の取材に行ったことがありました。

1月、四国とはいえ凍てつくような寒さの海で、アコヤ貝を引き上げ、
パクっと割られた中から真珠が出てくるのを見て驚いたこと。
ほとんどが色がついていたり変形だったりで、丸く美しいものの数はほんの少しだけなのです。

日頃身につけている真珠が、実は何百・何千のうちのひとつであることを知り、
一つひとつを大切にしなくてはとしみじみと思ったです。

しかし15年も時は経ち、すっかりそんなことを忘れてしまっていたわたくしですが、
先日、明浜で真珠養殖を営んでいる佐藤真珠代表・佐藤宏二さんのお話を聞く機会があり
当時のことを走馬灯のように思い出した次第です。

生きものの体の中で作られる真珠…ひとつとして同じものはない、そんなお話を聞きながら
その不安定さ、頼りなさ、自然の美しさ等々について、色々と思いを馳せてしまいました。

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色々な色合いがあるという見本。中に11mmという大玉がありました。
佐藤さん、20年真珠養殖をやってきて、11mmはまだ3つくらいしか見たことないという貴重品。
真珠の核は最大で7.5mm。通常の真珠層は2mmなので、9.5mmまでならできるらしいです。
高いんでしょうねえ…11mm。



真珠には色々な種類があります。

アコヤ貝の真珠、淡水性の貝が作る淡水真珠、
クロチョウガイが作る黒真珠、シロチョウガイが作る南洋真珠、マベパールなど。
希少価値の高い天然真珠もあるようですが、昨今の真珠は、基本的には養殖。
それぞれに大きさも色も違い、商品価格もグレード・種類によってさまざまです。

アコヤ貝の真珠養殖は歴史が浅く、20世紀に入ってから盛んになりました。
現在日本のアコヤ真珠養殖は、三重、愛媛、熊本、長崎の4県が中心だそうです。

真珠はアコヤ貝という生きものの体内で作られることから、
美しく丸く輝きの強い真珠のためには、アコヤ貝を健康に保つことが一番大切。
それには、海の環境が大きく影響することをご存じでしたか。

美しい海から美しい真珠ができる…当然なのですが、私は思い至りませんでした。
真珠とは、海の汚染に左右されるなんとも頼りない宝石なのでした。

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養殖が可能になるまでは天然の真珠しかありませんでした。
アンティークパールなどは非常に価値が高いというのもうなずける話。
王侯貴族に好まれるのも当然、まさに富の象徴だったわけですね。
養殖という技術で庶民もその美しさを楽しめるようになったのですから、素晴らしいことだと思います。



佐藤さんにお話を聞きました。

「明浜は、石灰質を多く含む山を背にしたリアス式海岸の土地です。
日当たりのいい海に面した斜面には、みかんの段々畑が連なっています。
段々畑の石はメッカラ石という石灰岩で、それはそれは美しい風景ですよ。

その山が、真珠を作っていると言ってもいいんです。

山からのミネラルとカルシウムの供給、そのバランスで真珠の色合いは変わって来ます。
明浜の真珠は、ピンクのなかにブルーが入る独特の美しい色合いが特徴ですが、
これはみかん農家などの協力も得て、山と海の環境が守られていることも大きいんです。

海は山が作るんですよ。カキの養殖などで植林をしている人もいるでしょう。
だからこの土地のみかん農家は、農薬はできるだけ使いません。
また地域の住民全体で合成洗剤もできるだけ使わず、せっけんを使っているんですよ」

明浜町と言えば、カタログハウスなどでおなじみの無茶々園が有名ですが、
地域一体となり海の環境を守る活動をしています。
森つき魚という言葉もあるように、いい漁場には背に山があると言われますが、
真珠やカキの養殖も、同じようなところがいいのでした。

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最近よくみかけるマルチカラーの真珠ネックレス。このブルーあたりは着色しているそうです。
アコヤ真珠で相当濃いブルーのものが売ってることがありますが、それはコバルト照射で作るとか…。
「自分が焼かれるみたいでコバルト照射なんて絶対イヤですね~」佐藤さん。真珠への愛を感じます。


さて、真珠には、ゴールドやブルー、ピンクなどのさまざまな色があります。
しかしこれ、実は脱色や着色をされているものがあるのをご存じでしたか?

貝から出てくるものが、ナチュラルな美しい色合いのものばかりならいいのですが、
なにしろ生きものが作るもの。いろんな色や形の玉が出てきます。
それぞれ違う色合いを合わせるよりも、着色してしまう方がいいことなどから、
脱色・着色は業界の常識なのでした。

そんななか、できるだけナチュラルな色のものを大切にしたいと佐藤さんは言います。

「脱色したり色を付けたりしても美しさは変わらないんだけど、
言ってみれば、その真珠にとっては、それが美しさのピークなんですよ。
でも、ナチュラルな真珠の色や輝きは、そこからがスタートなんです。
年を経てくると色合いは少し変わったりもしますが、輝きは長い間変わらないんです。

私のところでも着色はするけれども、ナチュラルな色が好きなので、
できるだけしないようにできればいいなと思っている。
そういう色のものができるには、海がきれいじゃないとダメなんですよね」

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佐藤真珠株式会社・代表 佐藤宏二さん。真珠の話を聞くと愛情いっぱいの答が返って来ます。
佐藤真珠では生産から販売までを一貫して手掛けています。まさに顔の見える真珠ってことですね。


そして、丸い真珠よりもバロック真珠が大好きと言う佐藤さん。

「真珠の素になる核を入れるとき、ショックで死んじゃう貝だっているんですから、
真珠を作るっていうのは、アコヤ貝にとっては大変なことなんですよ。

貝の体内では真丸のものよりも、いびつな形のものを抱え続けるのは辛いはず。
何かがうまくいかなかったから、バロック真珠になってしまうんだけど、
カルシウムを分泌させて核をまいていく途中、貝自身が痛いだろうなあって思うんです。
突起があって、ちくちくするかもしんない。でもすごくがんばってまく。

だから、バロックを見るたび、アコヤ貝の根性を感じるんです。

通常真珠の層は2ミリくらいなんだけど、バロックは部分的に3ミリとかになったりする。
がんばってますよねえ、ほんと。
丸い真珠の方が価値が高いんですが、私はバロックが好きなんです。
エネルギーが強いような気がするんですよね。きっと根性が相当入った真珠ですよ」

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15年ほど前に佐藤さんのところで買ったバロック真珠のネックレス。
たしかにいびつであちこち変形していますが、これが何とも言えない風情と個性を醸し出しています。
改めて見ると美しいですねえ…。写真では黄色っぽく見えますが、本来はピンクがかった明浜色です。



テレビショッピングで、安価な真珠がよく販売されていますが、
着色・脱色は当然されているはず。悪いことではないのですが、程度の問題はありそうです。
せっかくアコヤ貝が一生懸命作った美しい宝石なので、ナチュラルなものが欲しい、
でも着色や脱色は素人にはわかりません。知ってしまうと気になります。

ダイヤモンドもルビーも地球が作った鉱物ですが、真珠は唯一、生きものが作る宝石。
その頼りなさも不安定さも、全てが真珠の魅力なのだと今回ひしひしと感じました。

来年はブルーのバロックのネックレスを買おうと思ってしまったわたくし。
根性が全く足りないので、真珠の根性をもらって立派な人間になれるといいなと思っています。


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一生ものの伝統工芸品―山ぶどうのかばん

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上野松坂屋で出店中の戸田寒風さん。後ろにいろんなかばんがありますよ。
持ってらっしゃるのは編み方の難しい変わり編みのもの。いや、お高いです。確かに。



『七緒』という雑誌をご存じでしょうか。

ターゲットはおそらく20~30代のリサイクル着物を楽しんでる着物女子。
すでに品とか格とかが求められる年になってしまったわたくしのようなオバハンには
少し若めの雑誌です。

年がいもなくこの雑誌を購読していた頃、知ってしまったどうしても欲しい一品。
それが山ぶどうのかばんでした。

生まれ故郷の西日本の中山間地、鳥取にはこのような伝統工芸品はなく、
40過ぎてから出会ったものですが、かわいらしくて美しくて、
いっぺんに好きになってしまったです。

で、この山ぶどうのかばん、2年前に入手しました。
さてそのお値段はいくらだったでしょう?

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ころんとした丸い口もと、幅、高さのバランス。一目ぼれしてしまった山ぶどうのかばんです。
たくさんある中から「私を買って!」と声をかけてきた、世界にひとつしかない私だけのかばん。
自己満足の世界ですなあ…。



答→65,000円

ぐわっ! なんでそんなに高いわけ? 聞くと皆そう言います。
高い理由がきちんとあるのですよ~。

東急東横店の催事場で購入したこのかばんの作り手、
山形県米沢市にある、戸田寒風さんの工房へ行って来ました。

寒風さんは、畠・米沢あたりの人は皆知っている地元のチョー有名人。
もともとは笹野一刀彫という上杉鷹山が推奨した郷土品の作り手です。
冬の間は、山ぶどうのかばん作成で、全国のデパートの催事場を飛び回ってらっしゃいます。

さて、山ぶどうとはいったいどんなものなのでしょう?

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むいてきた皮を干したもの。かばんの原料です。けっこう硬いんですよねえ、力がいりそう。
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山ぶどうの樹から皮をはいでるところ(写真を撮影しました)。
けっこう太い、フツーのぶどうの樹って感じです。



よく東北の物産展などに出かけると山ぶどうのジュースを見かけますよね。

普通のぶどうよりも味が濃く粒は小さく、言ってみれば貴重品。
山ぶどうで作ったワインは国産ワインとは思えない力強さがあったりします。
最近は山の中に探しにいくよりも栽培をということで、栽培もされています。

山ぶどうのかばんは、この山ぶどうの樹の皮をはいで作ったもの。
そもそもは農民の日常的な道具(しょいかご)として、使われていたそうです。

編んでしまうと丈夫で長持ち、ちょっと壊れても修理が効くので
雑な使い方をしてもOKな、まさに日常的な道具だったのでしょう。

それが都会の着物女子の憧れの的になるとは…それもそのはず、
軽くて表情豊かなこのかばん、一度持ったら便利で手放せなくなるのです。

そのかばんの制作工程は、山ぶどうの皮を取ることから始まります。

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いろんな編み方があるのですね。米沢の寒風さんの工房で並べてもらいました。
網目の小さなものや変わり編みものものは時間がかかるため、かなり高価になります。

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通常は、私の持ってる基本的な網目のものが最初のひとつで、
次に買う時に表情豊かな変わり編みのものを選択する人が多いらしいです。



山ぶどうの皮は、梅雨時の一カ月位しか取ることができません。
この時期は水分を大量に吸っているため皮がするりとむけますが、
時期を逃すと全くむけなくなるのだそうです。時期とは言え、湿った山に入ってくのは大変そうです。

この皮を干してしばらく置いてから、水につけて小さく裂いて編み始めます。
コブがあったり最初から裂けてる部分は使えないので、
一本では財布一個くらいしか作れない…ってことは大量に皮が必要なのですね。

基本の編み方のかばんが、65,000円するのもうなづける話です。

梅雨時の山に入り、やぶ蚊に食われまくってどこにあるかわからない山ぶどうを探し、
皮をむいてくる手間、それを干して実際にちまちまと美しく編む手間
…気が遠くなるような手仕事です。

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変わり編み3種。目が小さい・花模様ってことで、全部15万以上してました。
色の調整がうまくできず、ヘンテコな色になっててすみません。

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力がいるので男の人しか編めないお花のような模様。
不思議なニュアンスのあるかわいい模様ですが、どうやって編んでんのかな~。



山に入るには山の持ち主の許可が必要なため、誰にでも取れるわけではありません。

また、大量に生えているものではないので、資源が枯渇し始めているそうです。
一度切った山ぶどうが再生するのには何十年もかかるため、
今後は価格が上がっていくだけという話も聞きました。

昨今では安価な中国産の山ぶどうのかばんも売っているのを見かけます。

これは修理が難しく、中国産の山ぶどうは強度がいまひとつってことで、
安くて入手しやすくても、後のことを考えると国産品をお勧めいたします。
(2万位安いんですけどね~買っちゃいそうになりますけどね~)

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修理に来た人が新しいのを買っちゃったので置いてったという15年物。
色が変わってます。これは持ち主の手の脂とかその他もろもろで、それぞれに色合いが違うのだとか。
わたくしのかばんはどんな色になるのか…今から楽しみでございます。



編み手はどんどん高齢化していて、後継者はあまり育っていません。
手が痛くなるほど力のいる作業なので、編み手は意外と男性が多いそうです。
あくまでも副業的なこの仕事。主な職業にはならないでしょうから、
後継者は難しいんじゃないかなあ…そんな気がします。

まだまだ新しいものを買っては捨ててる現在のニッポンでは、
修理ができて、さらに年とともに自分と一緒に成長していく道具なんて
なかなか見つかりません。

年を経ていくごとに自分の手の脂が回り、色合い風情が変わっていく…
世界にひとつだけしかない、自分だけの山ぶどうのかばんができあがるのですから
高かったけど買っといて良かったなあ!と最近よく思います。

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栃の実と山ぶどうの皮で作ったちっこい飾り。
寒風さんのところでかばんを買うと、サービスでつけてくださいます。
栃の実ってかわいい形してますよね。私のかばんにもくっついてます。


着物なんかもそうなのですが、伝統的な手仕事のものを大切にしていきたいなあ…
年を取ったせいか、ますますそんな風に思っています。


戸田寒風さんに会えますよ!
2月8日まで上野松坂屋本館催事場で山ぶどうのかばんを出店されています。
楽しいお話も聞けるので、ぜひ行ってみてくださいね。


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守りたい究極の手仕事「本場結城紬」

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11月12日~14日まで結城市で開催された結城紬ウイーク。
高価なので通常はあまり在庫されない結城紬。街の呉服屋さんには何本も置いてないもの。
縞や無地、総絣などお店で買えば何百万という反物が一堂に並ぶ、夢のような光景でした。



まず、1993年のGATTウルグアイ・ラウンドの話から。
話題は米の輸入自由化。覚えている方もいらっしゃるでしょう。

結局ミニマムアクセス米を輸入することで決着がついたのですが、
米に注目が集まるなか、人知れず繭及び絹の自由化が行われていました。
あまり話題にならなかったのでしょうか。私は知りませんでした。

絹は過去、日本の外貨獲得源として大きく栄えた産業でした。
しかし現在では、中国・ベトナムからの輸入が主となり、国産割合はわずか1%。
農家戸数も1000戸と激減しています。

GATTウルグアイ・ラウンドの自由化を皮きりに、国産繭・生糸の価格は下がり続けました。
高齢化・後継者不足も相まって、養蚕業を営む農家は次々に廃業しています。

「これではいけない」と、国産絹のブランド化も行われていますが、
着物離れが進んでいることもあり、今後も右肩上がりは望めない状況にあります。

昨今は国産生糸の価格は輸入生糸価格とほぼ変わらず…というか逆転しており
(平成17年の1kg国産生糸価格は2,564円、輸入生糸は2,706円)
農家所得が繭1kgにつき700円弱というデータをみるにつけ、
新規参入どころか継続することすら困難なのでは…と感じてしまいます。

平成22年には国の繭代の補てんもなくなるということですから、
今後、国産の絹がどうなるのか…心配なところです。

養蚕業の衰退と着物離れ、どちらが鶏でどちらが卵かはわかりませんが、
洋装の普及も衰退の原因のひとつ。悲しいですね。

しかし昨今、着物に興味を持つ若い女性が増えていて、
夏には浴衣で、そしてお正月には晴れ着で、慣れないぞうりをはいて
ぎくしゃくと街を歩く女の子たちを見かけることが多くなりました。

そう思うと、絶望的状況でもないような気がします。

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本場結城紬の証紙がはってあるワケあり品がずらりと並ぶ一角。
うっかりウキウキしてしまいましたが、売りだしと言えど25万とか30万とか。
でも普通はこんなお値段では買えないのです。産地直売の超お得イベントなのです。
「少しでも結城紬を身近に感じてもらえるように」そんな思いで2008年から開催しています。



帯によって着物の印象を変えられること、洋装では絶対できない色合わせなど、
知れば知るほど楽しくなるのが着物です。

かくいう私も22歳の時、近所の呉服屋で朱色の着物を誂えて以来着物に取りつかれ、
「着物って出会いなのよね~」という呉服屋のおばさまの口車に乗っては
うっかり着物を買い続けています。

その都度「アルマーニのスーツが何着買えるよ」と自分を説得するのですが、
なかなかうまくいきません。恐るべし、呉服屋のおばさま…。

それはともかく。

実はアルマーニのスーツどころか、SUV車が買えるくらいの値段の着物があります。

その着物の名は「本場結城紬」。

結婚式などの正式な場には着ていけない普段着。なのに100万円以上するものもざら。
まさに「究極の普段着」。だからこそ、着物好きには憧れの一品なのです。
孫の代まで着られると言われるその丈夫さ、あたたかさ。
着れば着るほど体になじむその着心地…ああ、憧れの的。

100年持つなら100万してもいいような気がしてきますが、なかなか手が出せません。

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本場結城紬と言えば、地機。足先で糸の交差を、腰で反物の張りを調節しながら
少しずつ織っていきます。人間が機械と一体化し、機械にはできない微調整が可能になるため
しなやかで強靭な反物が織りあがるそうです。



高価な理由は全工程手作業であるという一点。
反物ひとつ作るのに一年かかることもあるというのですから驚きです。

それもそのはず、結城紬の技術は、「重要無形文化財」に指定されています。
継続し、後世に伝えていくべき技術…なのですが、
実はこういった手仕事の例にもれず、後継者不足に悩んでいます。

ざっくりとですが、結城紬の工程をご紹介します。

通常の着物は蚕が吐き出した糸を何本か撚り合わせた糸で織られます。
結城紬は繭をほぐした「真綿」という状態から、人の手(とツバ)による手紬で糸が作られます。
ちょっとやらせてもらいましたが、根気と時間の必要な仕事です。大変です。

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真綿から糸を紡いでいる状態。簡単そうなんだけどそうでもなくて、
同じ太さでほそ~く紡げるのがやっぱり達人なんですって。この真綿、350枚が一反になります。

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ぷちんと切れそうなんだけど、さすが絹。みよ~んと繊維が伸びてうまく糸になります。
真綿一枚作るのに必要な繭の数は1800個。お蚕ちゃん、ありがとうって感じですね。



さらにこの糸を染める作業がまた時間と手間の賜物。

織りあがりのデザインに合わせ、色の入る部分をひとつひとつ糸で縛り、
何度も染めをかけていきます。複雑な模様ほど時間がかかります。

そして、織り。

結城の地機(じばた)はヒトが織り機の一部となり、足・腰全身使って、
1枚の反物を仕上げていきます。平織りという単純な織り方なのですが、
きっちりと美しい反物に仕上げるのには、やはり経験と技術が必要。

趣味の織物をしている人たちが使っているのは「高機」というもう少し機械化されたもの。
原始的な織り機だからこそ、無形文化財たり得るのでしょうね。

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印がついているところをヒモで縛っていきます。想像しただけで大変ってわかりますが、
一日に縛れる場所は1000か所くらいなんだそうですよ。

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こまこまと縛ってあります。総柄の絣で多色使いなんて反物は、
縛るだけで半年かかったりするらしいです。まさに手仕事の世界です。



この工程が全て終了し、一枚の反物ができるまでには何カ月もかかります。
そうしてできた「本場結城紬」は、認証されラベルをつけて出荷されます。

百貨店の呉服売り場などに行くと、なんというかまあ、200万円とかですね、
そんな価格になることだってある結城紬。一般人には高嶺の花です…(ためいき)。

しかし、高額な商品だからといって、生産地が潤っているわけではなく、
紡ぎ手も染めも織り手も、後継者不足が危ぶまれています。

根気と手間がものすごくかかる作業…しかもそんなにお金にならない…
後継者不足は農業と同じ、ひょっとしたら、農業よりも危機的状況かもしれません。

gazou 006
紡いだ糸はこの桶のようなものに詰めていきます。糸の単位は1ぼっち(桶一杯という意味)。
真綿50枚でだいたい1ぼっち。1ぼっち約1万円の出来高制だそうです。
糸の細さで評価額が変わるそうですが、いずれにせよバンバン儲かる!ってな仕事ではありません。
愛がなくてはできませんね。



養蚕業も、手しごとも、農業と同様の問題を抱えているように思います。
機械化して大規模にモノづくりをすることで、価格を下げるのはいいことなのでしょうが、
失われるものも多いはず。誰か気づいているのかな?

便利で安価な輸入品に対抗するため、国内の産業に競争力をつけるべきとよく言われますが、
ほんとにそれがうまくいくのかな? 養蚕やみかんではできなかったのに?

そんなことを思いつつ「いつかはお気に入りの柄の結城紬を」と心に誓う私です。
(本当はバンバン買えるといいんでしょうけど…ムリかなあ…)


※上記のお話を聞かせていただいた方は結城市の「龍田屋」の御主人です。
今月、銀座で展示会があるようです。ご興味がある方は以下から↓
http://www.fujinuki.join-us.jp/

参考資料・平成18 年5月18日 農林水産省「蚕糸業をめぐる現状」

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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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