アニマルウェルフェアについて考えてみた

とんかつ
豚肉の味は飼料と品種によって変わりますが、
飼育方法によってはそんなに変わらないと思うので、
豚がどんなふうに飼われてるかなんてことは一般的に
あんまり人は気にしないのかもしれませんね。



「アニマルウェルフェアってどう思います?」と畜産農家に質問してみよう。

なんとなく困った顔になる人、あからさまに嫌な顔をする人
怒り出す人などさまざまだが、だいたいにおいてこの話題は好まれない。

アニマルウェルフェアは以前「動物福祉」と訳されていたが
農水省では「福祉」に限定すると意味合いが変わってしまうことから、
アニマルウェルフェア=快適性に配慮した家畜の飼養管理と定義している。

農水省WEBサイトにアニマルウェルフェアについての資料があった。
「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/pdf/aw_meguzi201406.pdf

これによると、1976年 農業目的で飼育される動物の保護のための欧州協定で
経済動物にたいしても権利があること確認したとされている。

えええーそんなに前からなのう? 全然知らなかったなー。

わたくしがこの言葉を初めて聞いたのは1997年頃である。
有機JASが施行されるとかどうとかで、将来的には有機畜産もあるよね、
でもアニマルウェルフェアって概念をクリアできるかどうかだよね
ムリじゃないかなーなんて大地を守る会の畜産担当と話したのが最初だ。

アニマルウェルフェアも有機畜産も日本ではムリだよねと思ったため
わたくしはそれっきり忘れてしまっていたが、世界は着々と動いており、
EUではテキパキといろいろなことが決まっていたらしい。

1991年 子牛の保護のための最低基準を定める理事会指令
子牛の単飼ペン飼育の禁止

1999年 採卵鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
採卵鶏のバタリーケージ(※1)飼育の禁止

2001年 豚の保護のための最低基準を定める理事会指令
妊娠豚のストール(※2)飼育の禁止

2007年 肉用鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
飼養密度33kg/㎡以上での飼養禁止
(「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」より)

上記のさまざまな項目は日本では禁止されていない。
おそらく畜産農家のなかには現在進行形で実行中のところも多いだろう。
日本はアニマルウェルフェアでは後進国と言ってもいいのだった。

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一般的な豚はLWDという三元交配のもので早く大きくなり多産です。
一度に10~12頭とか生むそうですが、なかには育たないのもいます。
しかし子豚ってほんとにかわいいすよねえ。連れて帰りたい。


さて、アニマルウェルフェアにおける動物の権利とは以下の様なものだ。

「5つの自由」の実現
1.飢餓と渇きからの自由
2.苦痛、傷害又は疾病からの自由
3.恐怖及び苦悩からの自由
4.物理的、熱の不快さからの自由
5.正常な行動ができる自由

日本でもある程度は実現できているだろうが、5についてはどうかな? 
狭い国土で最大限の効果を上げなくてはならない日本の経済動物の飼育法は
「できるだけ小さな面積で効率よく肉乳卵を作りましょう」なのだから、
実現はほぼできていないと考えてもいいだろう。

採卵鶏でよく行われる強制換羽は1(※3)に当たる気がするが、
10年ほど前はフツーにやってたが、今はどうかな。

さて、ではなぜ日本でアニマルウェルフェアが進まないのか。

以前取材に行ったとき、それまで和やかに話していた養豚農家に
アニマルウェルフェアについてどう思います? とうっかり話しかけて、
「ナーンセンス!!」と激しい口調で一喝されたことがある。

「アニマルウェルフェアは現場がわかってない者の言い草」で、
「役人が考えた机上の空論」でしかないと彼は言った。

たしかに経費と売り上げを考えるとそうなのだろうと思うが、
おそらくこれが一般的な畜産農家の反応ではなかろうか。
そして役人もあまり強くは言えないというような事情があるようだ。

以前、アニマルウエルフェアの勉強会に参加した際、
推進すべき農水の人の発言が業界団体及び農家に気をつかってなのかどうか、
「理想と現実という点もあるかと思いますがえーとえと、あのー」みたいな感じで
わたくしはアニマルウェルフェアが進むことはないだろうと確信した。

しかし、何かにつけ先進的なEUがこういった指針を作るのは当然だが、
なんと動物工場的な畜産の形態をとっているはずの米国ですら、
テキパキとガイドラインが決まっているらしいのだ。びっくり!

そしてマクドナルドやバーガーキングにも独自基準があるらしい。
基準は見つからなかったが、使用されている鶏卵については
強制換羽をしないこと、バタリーケージの面積を広くすること
などが定められているという記事を見つけた。

日本では、平成23年に乳牛・肉用牛・採卵鶏・ブロイラー・豚・馬について
飼養管理指針ができている。よーく読むと「現状を整理してみました」
的なもので、何か規定ができたとか決まったとかではないようだ。

それだけ推進するのが難しいということだろう。
というか日本はマクドナルド以下ってこと?

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母豚が入っているのがストールですが、イマイチわかりにくいすね。
どのおっぱいにどの子豚がすいつくか決まってるらしく、
よく出るところにはでかい子豚が、出ないところには小さいのが、
と、非常にわかりやすく並んでいます。


というように、アニマルウェルフェアにおいて日本はまだまだであり
わたくしたちはそういう肉乳卵を食べていることを忘れてはいけないのだ。

だから何ができるかというと何もできないが、知ってて食べるのと
知らずに食べるのとではなにかが違うはずだとわたくしは信じている。

以下専門用語の解説
※1 バタリーケージ 採卵用の鶏がはいっている檻。一羽につきだいたい
B5サイズくらいのスペースしかないため鶏がぎゅうぎゅう詰めになっていて、
ストレスで尾つつきとかしないようくちばしを切られていることが多い。
少なくともバタリーケージくらいはやめようよ、というのが世界の潮流。

※2 ストール 豚の体の幅ほどしかないせまい檻。妊娠中の母豚がよく入っている。
全く身動きできずただ立ったり座ったりするだけで見るたびに悲しい。
子豚が生まれてもここに入っててずーっと寝そべって授乳しているが、
ストールがあるから子豚を踏みつぶさないという養豚家もいる。

※3 強制換羽 鶏の生態で羽が抜け替わると採卵率が上がるという性質を利用し、
人工的に換羽を起こして採卵率を上げる方法。換羽をさせるため
鶏を一時的に飢餓状態(水しか与えない)に置くことから、
アニマルウェルフェア的にどうなの、という技術。

おまけ・スタンチョン 乳牛の首をつないでいる器具のこと。
規模によっては運動場にも出ず、ずーーーーーっとつながれてる牛もいる。
牛乳のCMで放牧風景を見るたびこれは優良誤認なのではないかと思うわたくし。



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グラスフェッドビーフのなにがいいのか調べてみた

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「山形村短角牛」。自然繁殖で初年度は放牧、その後穀物で肥育します。
数十年前に2年間放牧してみたことがあるのですが、肉が硬くなってダメだった、
とのことでした。今なら意外とイケるかも。高いからムリか。


アメリカの牛にBSE(牛海綿状脳症・いわゆる狂牛病)が見つかり
輸入禁止になった際の吉野家の対応を覚えていらっしゃるでしょうか。

他の牛丼チェーン店では米国産牛肉からオーストラリア産に切り替えたのに、
吉野家では牛丼をやめて豚丼を展開し輸入再開まで乗り切りました。
理由は「米国産牛肉でないと吉野家の味が出せない」でした。

現在も吉野家の牛丼は米国産牛肉を使用していますが、
国内子牛価格の高騰により牛肉の価格が全体的に上がっており、
米国産牛肉も高値の昨今、牛丼価格は現在380円らしいです。

安っ!! でもこれでも割高なんですってよビックリだ。

わたくしは吉牛もその他の牛丼も食べたことがないのですが、
知る人によりますと「吉牛はおいしいけどあとはねー」ってことでした。
何が違うかというと「肉の味が違う」のだそうです。

牛よりも40円ほど安価なその他の牛丼チェーン店ですが、
以前はオーストラリア産(以降豪州産・ニュージーランド産含)メインだったのが、
最近では米国・メキシコ産なども加わっています。味も変わってるかもしれません。

米国産牛肉は日本の肉牛同様グレインフェッドのため、
日本人が食べてもおいしいと思う味に仕上がっていますが、
豪州産牛肉はグラスフェッドのため、味がいまひとつ、
というか日本人の口に合わないと評価されることが多いのです。
そのかわり、米国産と比較して価格がかなり割安になります。

これは関税の金額も影響しているようですが、米国産との差別化のため
肉自体安価なものしか仕入れていないという可能性もあります。
価格が同じならおいしい米国産に勝てないのはいかんともしがたいのです。

ここ数年で豪州産でもグレインフェッドの肉が増えてはいますが
とくに記載が無ければグラスフェッドと考えてもいいでしょう。

ファミレスのサイトを見るとわざわざ「グラスフェッドビーフ」などと
あたかも優位性があるかのように書いてありますからわかりやすいです。
昨今の「なんとなくグラスフェッドビーフいい」的な波にうまく乗っています。

なかには「豪州産穀物牛」と記載されていたりもしますが、
牛の表記がまちまちでわかりにくーい!!! とか思う人はいないのでしょうか。
あるファミレスでは「大麦牛」と記載されておりまして、
主たる飼料が大麦だからということでした。何が何だかよくわかりません。

ともあれファミレスの「グラスフェッドビーフ」は
豪州産、と考えていいでしょう。ステーキが安いのもうなづけます。

んで、グラスフェッドビーフの何がいいのか。
つーことで検索してみました。

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肉のうまさをそのまま楽しめるのは炭火焼きだと思いますが、
これは短角牛のように肉自体がおいしくないとムリな調理法です。
豪州産牛肉をおいしく食べるための工夫で「熟成肉」が開発されましたが、
そもそもがおいしい和牛を熟成するとか意味不明です。



オレイン酸が多いとか、草を食ってる羊にも多いLカルニチンが多いとか、
栄養価的な部分での評価が高くなっておりまして、ふーんって感じです。
とくに牛肉を食べて健康にならなくていいのではないかという気がします。

わたくし的には「人が食えない草を食って肉や乳になる」という
未利用の資源を資源化してくれるという本来の牛のあるべき姿というか、
環境的な部分がものすごーい優位性だと思うのですが、
どちらかというと「健康にいい肉」という認識が広まっているようです。

本来の食べものである草を食べて健康に育った牛ってな感じでしょうか。

では、穀物を食ってる牛は不健康なのかというと
内臓廃棄率が高いと昔から言われていますが公開されていないので不明です。
いろいろなウワサ話をよく聞きますが伝聞情報なので書きません。

しかしほんとに「グラスフェッドビーフは健康にいい」のか?
わたくしはふと不安になりました。

「グラスフェッドビーフ=草食ってる=健康にいい」のかもしれませんが、
豪州産牛は一般的には成長ホルモン剤が飼料添加されておりまして、
この部分だけで言うと米国産牛肉とあまり変わりません。
成長ホルモン剤は健康にいいのでしょうか。

ちなみに国産の牛肉には治療目的以外のホルモン剤は禁止です。
さらにちなみに、EUは輸入牛肉にも禁止しているため、
豪州産牛肉は成長ホルモン剤不使用のものが出荷されています。
日本でも不使用の肉は売られていますがとくに記載がなければ使用されています。

また、前回も書きましたがどの段階まで草食ってたのかということも、
はっきりと明示されているわけではないので(とくに国産)よくわかりません。

肥育期間中に穀物食ってても育成期に草食ってたからグラスフェッド、
なんつー悪質な表示とかありそうです。というか可能です。
注意書きを小さく書いておけば大丈夫。景品表示法には引っかかりません、

ネットで検索してみていくつか出てきたグラスフェッドビーフのなかには、
使用管理表及び飼料が全く公開されていないものもあります。
何を指して「グラスフェッドビーフ」と称しているのかが不明です。

現在の「グラスフェッドビーフ」には、有機農業の黎明期の
「農薬一回しか使ってないからほとんど有機」的な、言ってみれば
「なんでもアリ」のニオイがプンプンしておりまして、消費者は
「グラスフェッドビーフ」に踊らされないよう注意が必要かと思います。

伝聞情報で恐縮なのですが、なかには経産牛(子どもを産ませる牛)で
子どもを産まなくなってあとはミンチにするような牛を放牧して草を食わせ
「グラスフェッドビーフ」と称してチョー高値で売ったりする例もあるようです。

それはまあ、確かにグラスフェッドなので何の問題もないし、
消費者にその旨きちんと説明してればさらに何の問題もないのですが、
説明してなかったらちょっとどうなのか、という話でしょう。

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「野山を思い切り駆け巡りのびのび育ったグラスフェッドの
健康的なお肉です。高タンパク低カロリーで健康が気になる方にぴったり!
まずは塩とこしょうのみでお肉そのままの味わいをお楽しみください」
売れないかなー鹿肉。いいセン行ってる気がするんだけどなー。



グラスフェッドは現在のお肉の評価システムでは低い評価しか与えられませんから
とくに国産の場合、市場を通さず個別の販売という流れを取ることが多い肉です。

草だけ食わせた牛の肉の味を良くするためには飼育日数もそれなりにかかりますし、
月齢が長くなればそのぶん経費もかかりますから、それなりの価格でないと売れない、
というような事情があるからです。だからこそ広まらないのかもしれません。

わたくしは有機農業運動出身者ですから「グラスフェッドの牛」の意味や
その優位性(環境及びアニマルウェルフェア的な部分も含めて)を
きちんと伝える努力が、売る側にもつくる側にも必要だと考えます。

なんとなく「グラスフェッド」が一人歩きしているような気がする昨今ですが、
ご購入の際にはいろいろな情報を吟味した方がよろしいかと思う次第です。

ところで「グラスフェッド」と言えば未利用のすんばらしい食材があります。
農産物や木の皮も食べますがほぼ草しか食べていない「グラスフェッドディア」。
とゆーか、フツーのニホンジカとエゾシカ。

野山を駆け巡り人んちの畑でおいしいトウモロコシ食ったりしてのびのび育った鹿。
「健康にいい」という意味ではこれ以上のものはないのではと考える次第です。


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グラスフェッドビーフってなんなんだというギモンその2 肉牛

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『外食女子~』のためのリサーチでオージービーフ食べました。
メニューに「穀物牛」と書いてありました。グラスフェッドじゃないのでしょう。
しかしほとんど味がしないし硬い肉だったです。月齢が若いのかもなー。


スシやトーフとともに世界的に有名になりつつある和牛。
日本人でも日常的にはお高くて食べられない和牛。

和牛には4種類あって、みたいな話は長くなるからはしょりますが、
日本には「和牛」のほかに「国産牛」「輸入牛」が売られています。

国産牛はホルスタインのオス(去勢牛)や経産牛(ミンチとか)などですが、
最近ではホルと和牛の交雑(F1とも呼ばれる)などもあり、
F1は和牛の血統が入っているのでホルよりもちょっとおいしい、
しかも和牛と比較してお手頃価格、というようなメリットがあります。

輸入牛肉はアメリカとオーストラリア・ニュージーランドがほとんどで、
外食産業ではオーストラリア・ニュージーランドの牛がよく使われます。安いから。
そしてオーストラリア・ニュージーランドの牛が主にグラスフェッドと言われます。
(グレインフェッドのものもあります)

んじゃ肉の場合はオーストラリア・ニュージーランドの牛肉が
グラスフェッドなんじゃん? ってことでこの項終わり。
んではおもしろくないのでお肉屋さんにいろいろ聞いてみました。

さて、ひとことで肉牛と言いますが、実は飼育されている期間が違います。

例えば和牛(メス)は30~32か月※神戸・松坂牛などは36か月、
和牛(去勢オス)は28~30か月。オスは早くでかくなるのですね。
交雑牛25~28か月、ホルスタイン18~20か月※北海道などで16か月とかもあり。

アメリカ・オーストラリアの飼育期間は不明です。
しかし双方成長ホルモンを与えており増体率がかなり大きいはずなので
18~20か月くらいなのではないでしょうか。アメリカはも少し長いかもね。

つーことで、和牛は3年弱、国産牛は2年弱飼育されて肉になります。
和牛がお高いのは血統がいいのももちろんなのですが、
長生きしているぶんエサを食べているから、とも言えます。
そして月齢が高い方が肉の味は奥深くおいしくなる、とも言えます。

以前大地を守る会でホルスタインの未去勢のオスの肉、
「ヤングブルビーフ」という商品を扱ったことがありました。
これは飼育期間が16ヶ月弱で価格的には安いのに売れませんでした。
若い=おいしくないのです。これはいかんともしがたいのです。

日本人は「塩とこしょうだけで食べておいしい肉」が好きなので、
ソースをゴッテリとかチーズをまぶしたカツで、みたいなのは
性格、というか食習慣に合わないということでしょう。

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ふるさと納税で届いた「とっとり牛」。微妙な名前がついていますが、
和牛ではありませんからたぶんホルスタインでしょう。
サシの入り具合が微妙で味も和牛には及びませんが、
ふるさと・鳥取の牛肉ですから牛丼にしておいしくいただきました。


飼育期間もただ飼育してるわけではなく、おおまかに3つのステージがあります。
まず生まれてから市場に出るまでの「子牛」、次が肥育に入るまでの「育成」、
肉を霜降りにしたりおいしくしたりする「肥育」の3段階です。

子牛や育成期の牛は北海道では放牧されてたりしますが、
内地では運動場で草食ってたりします。なんとなく放牧されてる感があります。
またほんとに育成期までの子牛を放牧して優位性を持たせている産地もあります。

ですから牛によってはここだけ切り取って「グラスフェッドビーフ」とも言えます。
ビオセボンの販売の人が「育成期間中は放牧しています」とおっしゃって
「グラスフェッド」と言ったのはこの誤解によるものだと思います。

実は子牛も育成期の牛も穀物飼料を食べており、
草だけ食べているのは非常にまれなのだそうです。
つーことで修正しました(2月2日)。

肥育期には肉の味をのせるため飼料は穀物主体になります。
ここで筋肉に美しい脂肪を交雑させる技は日本ならではです。

肥育段階では穀物や牧草を食べているため脂肪の色が黄色くなりますが、
仕上げに干し草やワラを食べさせるとまっしろに変わります。
こうしてうっすらピンクの美しい霜降り肉ができるのですねー。

肉の仕上がりはすんばらしくても牛自体はビタミン欠乏寸前になってたりします。
ほんとうの欠乏症になると関節に膿が溜まったりして障害が起きるため
それはよくないのでギリギリを狙います。この技術も日本ならではでしょう。

この肥育方法がいいとか悪いとかかわいそうとかではなく、
おいしい肉はこのようにつくられていると知る必要はあるでしょう。

和牛と国産牛の作り方は違いますがざっくり言うとこんな感じです。
で、草だけ食わせた、つまりグラスフェッドビーフはどんな肉になるのでしょう。

前述しましたが、肥育期間中に草を食わせると脂肪の色が黄色くなります。
穀物を食わないのでサシが入らなくなり、肉の味も変わります。
また、通常の飼育期間では肉が硬くなるのではないかと思います。

このような肉を格付市場に出すとA2とかA1とかになりいい値段はつきませんから、
契約販売をする必要があるでしょう。つまり説明商品になる、ということです。
うーん、売るのがむずかしそう。でも草しか食ってないなら安くていいのか?

国産のグラスフェッドビーフをめったに見かけないのは
絶対数が少ない&一般で売っても評価されないからかもしれません。

これから広がっていくのかどうかもわたくしにはわかりませんが、
ビオセボンの短角肉がもっと売れれば広がるかもね。
※肥育期間中も草しか食ってないならポップにそう書きましょう。

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大地を守る会で取り扱っている日本短角種。赤身のお肉ですが、
ななななんと! すべて国産の穀物で肥育しております。
しかしこれが格付市場に出るとA2とかになってしまうのですようううう。
「全部国産飼料」という究極の説明商品。もっと売れて欲しいです。



ということで、そもそも放牧で草食ってるオージービーフが
グラスフェッドビーフとかでクローズアップされるわけです。
ただすんばらしくおいしいとは言えないというネックがあります。

その理由もお肉屋さんに聞きましたが、なんか長くなってしまったので
オージービーフとアメリカ産牛肉については次回に回します。


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グラスフェッドビーフってなんなんだというギモンその1 乳牛

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ジャージーちゃんを放牧しているキープ協会取材の風景。
牛は好奇心が旺盛なので知らない人が来ると必ず見物します。
カメラマンに興味津々。わたくしもさんざん鼻面を押し付けられました。


「グラスフェッドビーフ」って言葉を昨今やたらとあちこちで耳にするが、
みなさまご存知でしょうか?
カンタンに言うと「草を食べて育った牛」という意味であります。

「グラスフェッド」に対して「グレインフェッド」というのがあり、
これは「穀物を食って育った牛」のことであります。

日本の和牛・国産牛・乳牛のほとんど及び米国の肉牛はグレインフェッドで、
オーストラリアやニュージーランドの肉牛がグラスフェッドである。しかし、
オーストラリアではすべてグラスフェッド、でもなく
穀物を食わせてるのもあったりいろいろということは最近知った。

くらいの感じでわたくし「グラスフェッド」を受け止めていたのだが、
昨今なにか大変とても優位性があるかのように言われ始めており、
それについて大きな疑問符がわたくしの頭に浮かんだ。

「グラスフェッドビーフってなんなんだ?」
つーことで考えてみました。

「グラスフェッド」にでかい疑問符がついたきっかけは
ソフト部の部活で食べた中洞牧場のソフトクリームである。
中洞牧場の直営店でチョー高額の「グラスフェッドバター」が売っており、
そのバターを使ったバターコーヒーも販売されていた。

バターコーヒーはシリコンバレーのナントカとかいう人が朝食代わりに飲むと
なんかこう生産性が上がるんだか痩せるんだがとしばらく前に話題になったもので、
グラスフェッドバターじゃないとダメ! みたいな記事もわたくしは読んでいた。

日本にグラスフェッドバターなんてないよなー。と思っていたので、
中洞牧場のグラスフェッドバター表示にはすげービックリした。
そしてその表示を見たソフト部部長が一言つぶやいた。

「グラスフェッドってなんのことなんですかねー」

部長は元畜産関係者、わたくしは畜産関係にミョーに詳しいライター、
畜産について知らなくてもいいことをあれこれ知っている。なのでこれは
単に「草を食ってる牛」という意味ではなく、実際にどれぐらい草を食えば
「グラスフェッド」といえるのか。という意味のつぶやきである。

「おやつどうなんですかねー」「食べてないのかもねー」と会話は続いた。
※おやつについては後述します。

さてここで、乳牛の飼料について考えてみます。
牛一頭買うのに必要な草地は約1ヘクタールと言われております。

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木次乳業の育成牛用の放牧地。ものすごい傾斜ですが牛は平気です。
しかし、牛舎につながれっぱなしだった牛は放牧されても傾斜地を登れないとかで
子牛のころから足腰を鍛えないとダメなんだって話を中洞さんの本で読みました。
ところで中洞牧場は今はジャージー牛みたいです。



平地はほとんど畑と田んぼになっている日本に牛を放牧する草地などない。
ということで、日本の牛は基本的には放牧はされておらず、
牛舎で穀物と粗飼料(草とか)を食べて肉になったり牛乳を出したりする。

穀物と粗飼料の割合は、乳牛の場合4:6、あるいは5:5であり、
肉牛になると7:3、あるいは8:2くらいになる。
乳・肉牛ともにほとんどの牛の主たる飼料は穀物、ということである。

しかしそもそも草が主食の牛に穀物を食わせるのはどうなのか。
ヒトが食べられない草を食べて資源にしてくれるのが牛ではないか。
平地がないなら山にあげて山を放牧地にしちゃえばいいじゃんか!!
ってことで提唱されたのが日本型の酪農「山地酪農」である。

前述の中洞牧場とか木次乳業とか山地酪農の実践者は全国に数軒あり
山で好き勝手に草をはんだりしてる牛は大変とても幸せそうである。

実は牛乳のCMでよく見かける広大な牧場に草を食んでるホルスタイン
というのは幻想で、だいたい牛舎か運動場を行ったり来たりしていて
なかには人生のほぼすべてをつながれたままで終える牛もいる。
山地酪農以外で放牧されている牛はそんなにいないと言っていい。

幻想のもとの「牧場に放されている牛」はいることはいるが、
乳を出すまで、肉になるまでの育成中の若い牛&繁殖用の牛のことが多い。
搾乳期間中は食べるものは全部牛乳になって欲しいし
肥育期間中は食べるものは全部肉になって欲しいから放牧などはしない。

そして牛乳の量を増やす&肉の味を乗せるのは草ではなく穀物である。
だから乳牛・肉牛の主たる飼料は穀物で、草は主たる飼料にはなり得ない。

ということで、山地酪農の牛は主たる飼料が草というまれな牛とも言える。
のだが、ここに「搾乳時のおやつ」という問題が立ちふさがる。

日中山で草を食べてのんびりしていた山地酪農の牛は
夕方になると搾乳のため山から下りてくる。
木次乳業では夜は牛舎に入れて朝また山に上げるが、
搾乳されたらすぐに山に戻るとかで、牛舎がないところもあるようだ。

牛は搾乳時におやつをもらう。このおやつが「穀物」なのである。

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放牧されている育成牛。オスの場合もあるけどメスの場合でも
おっぱいが小さいので育成牛だとすぐわかります。
放牧された牛を見たらおっぱいに注目してみましょう。



ふだん草を食ってる牛たちにとって高カロリーな穀物はとてもおいしいらしい。
もしかしたら牛たちはおっぱいが張るから山から下りてくるのではなく
おやつを食べに戻ってくるのかもと思うほどウキウキと搾乳に下りてくる。

有機JASを牛乳で取得しようとした乳業メーカーの社長に聞いた話では
「おやつの割合調べてみたらびっくりするぐらい多くてさ、
ほっといたらおいしいから牛がすげー食べちゃうのよ」だそうで、
部長の「グラスフェッドってどんな牛なんですかねー」というギモンは、
この「おやつ」の割合のことを言っていたのだった。

しかしまあよく考えてみるとおやつが飼料の40%になることはないだろう。
さらにもしかしたら中洞牧場の牛はおやつをもらっていないのかもしれない。
であればグラスフェッドと表示をしてもぜんぜんOKなのである。

そしてその他の山地酪農の牛乳も「グラスフェッド」でいいのかもしれないが、
現時点ではそのような打ち出しをしているメーカーはないようだ。

さて、穀物を主に食べている牛の一年間の平均乳量は10000リットルである。
放牧とか山地酪農とかにすると5000リットル以下(ホルスタインの場合)で
これがジャージー牛だと4000リットル、悪くすると3000リットル。
粗飼料食べてるからチョー少ないのよねプンプン!! って感じだ。

ヒトが利用できない食べもの(草)を資源(牛乳)に変えてくれるだけで
牛は貴重な存在だと思うが、乳価もそんなに上がらないなかではやはり
経済効率が優先される。そのため牛は乳量で評価されることになる。

一般の乳牛は5産くらいで乳量が落ちて廃牛にされることが多いが、
山地酪農や放牧主体の牧場では年寄り牛も現役で活躍していたりする。
わたくしが山地酪農の牛乳が好きなのはそういう理由もある。

経済動物なのだから搾取はある程度は仕方ないとは思っても、
一方的な搾取は気がふさぐではありませんか。

え? ふさがない? そーですか。

つーことで、牛乳のグラスフェッドについてはこんな感じです。
では、肉のグラスフェッドについてはどうかな? 
昨今いろいろと問題が多そうですが、次回に続きます。


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幻の豚 中ヨークシャー種の思い出

とんかつ
海老名畜産のLWDのトンカツ。NON-GMO、PHFなどの飼料の選択、
肥育期間、及び土壌微生物生物を利用した養豚環境などが影響して
ここのお肉はおいしいです。豚の味はエサと品種で決まるらしいす。



幼い頃からチョー偏食だったわたしは、とくに豚肉が嫌いで、
豚肉は全て避けて食べていた。トンカツなどとんでもなかった。

ながーい間豚肉と疎遠にしていて、豚肉を食べられるようになったのは
某D社の社員食堂で10歳年下の同僚にトンカツを食べさせられてからだ。

「おいしいから食べてみなって!」と彼は言った。

脂がキライだったから、最初は脂の部分を切り取って彼に食べてもらった。
彼は豚の脂をこよなく愛する男であった。
脂だけのトンカツ食べたいとか言うのだ。うひいー、やめてー。

そのうちに少しずつ脂も食べられるようになり、
彼に食べてもらうのははじっこの脂が多い部分だけになった。

小さな脂は切り取るのをやめ、肉と一緒に食べるようになった。

某D社のトンカツは幼いころに食べたトンカツと違って、
脂がほんのりと甘くておいしかった。そのうち脂も平気になった。

今まで脂の臭みが嫌いで食べられなかったのにどうして? と考えた。
今ならその理由がよくわかる。品種と飼料の問題なのだった。

豚とひとことで言うが、現在一般的に飼育されている豚は、
品種改良された胴長で生育の早い三元交配種「LWD」という品種だ。
Lはランドレース、Wは大ヨークシャー、Dはデュロック。これ豚の品種名。

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この豚がLWD。発酵床でのびのび、というかのんびりと
幸せそうにしております。LWDは白くてかわいい豚らしい豚です。

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おっぱいの出が良い腕側に食いついてる子豚は大きくなります。
腕側からおっぱいの出がいいって話で、ちびっちゃい豚は十分に
おっぱいが飲めずに死んでしまうことがあるらしいです。
LWDの子豚は真っ白でそれはそれはかわいらしいのです。



LWDはランドレースと大ヨークをかけて生まれたメスに
デュロックのオスをかけたもので、胴が長くて多産で早く大きくなる。
胴が長いと豚肉の中でも高額商品のロースとヒレ肉がたくさん取れて
とてもうれしいのだ。お金が儲かるからね。効率のよい豚である。

昨今いろいろな銘柄豚があるが、ほとんどがLWDである。
飼料を変えたり肥育期間を長くして付加価値をつけているが、
わたくし的にはどんな名前がついてもLWDはブランドじゃないと思っている。

だって、脂が臭くておいしくないんだもん。飼料のせいかもしれないけど。
飼料のニオイは脂肪分につくのだ。卵から魚粉のニオイがするのと同じだ。

さて、LWDが主流になる以前の日本では、
中ヨークシャー種と黒豚という中型種が主に飼育されていた。
中型種はLWDのように早く大きくならず、子どもの数も少ない。

LWDが一回に12~13頭出産するのに比べ、中型種は7~8頭。
LDWは飼育期間が190日だが、中型種は210日~230日。
完成品(出荷時)の豚の重量は110kgでどちらも同じだが、
中型種のほうが30日分余分にエサ代がかかる=お金がかかるのだった。

さらに枝肉にした際に脂肪が厚く付いている中型種は歩留まりが悪く、
枝肉重量も少なくなるので、ますます効率が悪い。
そういう理由で中型種は現在では付加価値商品として生き残っている。

ちなみに中ヨークはびっくりするほど器量も悪いのだが、余計なお世話か。

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種牡候補のデュロック。つぶらな目でとってもかわいらしいけど、
種牡になるとバカでかくなり、背中を見せると危ないって人もいます。
わたくしが見たバークシャーの種牡はサイ、とかカバのようでした。怖かったっす。



中型種は以前は農家の庭先に飼われており、
農業と密接な関係を持っていた。人間が食べられないものを食べ、
糞は肥料になり、肉も食べられるというエコな農業、
循環型農業「有畜複合農業」の一部であった。

戦後、食糧の増産をせねばならず、畜産業は品種改良も含め、
大変な効率化が図られた。豚もその例に漏れず、LWDが開発され、
効率よく大量の肉を生み出す仕組みが作られた。

海外から輸入した安価な穀物飼料を食べさせて早く太らせ、
豚の生産量は一気に増え、その結果、
人々は安価な豚肉を食べられるようになったのだった。

LWDと穀物飼料、バンザイ!って感じである。

中ヨークと黒豚は現在その価値が見直されているが主流にはなれない。
LWDよりも確実に割高になる中型種を選んで買う人は少ないだろう。
とくに中ヨークは飼育している人がほんの少ししかいない希少品種でもある。

さて、わたくしが生まれて初めておいしいと思った豚肉は
この中ヨークシャー種であった。

某D社では以前、中ヨークとバークシャー系しか取り扱ってなかったのだ。
理由はこれらの中型種が有畜複合農業の主役の豚であり、
近代養豚からは淘汰された品種だったからだ。思想だね。うんうん。

DSC07818.jpg
写真提供・福田展也氏。中ヨークどころじゃない希少品種「アグー」。
もー、牙といい、顔つきと言い、キミはイノシシですか! って感じ。



当時は全然希少な肉だと思っていなかったが、チョー貴重品だったのだ。
だから中ヨークの産地との取引がなくなったとき、
よそでは買えないことがわかってものすごくがっかりした。

一度、「古代豚」の肉を分けてもらったことがあるが、
脂が分厚くついていて、子どもの頃のわたくしなら
「いらなーい」と言っただろう。しかしその肉は甘くてとてもとてもおいしかった。

元同僚の男の子のように「脂だけのトンカツでもいい!」と少しだけ思った。
中ヨーク、おそるべし。

30年間、豚肉が嫌いでほとんど食べようとしなかったわたくしを
豚肉デビューさせ、その後も食べられるようにしてくれた中ヨークシャー種。
器量の悪いその顔を見るとうへえと思うけど、今一番食べたい肉でもある。

古代豚、スーパーで売ってないかなー。ムリだろうなー。
ほんとうにおいしいものはお店で買えないとつくづく思う今日このごろである。


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豚の話

IMG_6661.jpg
鳥取はカレールウの消費量が日本一だとかいうので、一時期「カレー県」と
宣言し、観光客に鳥取市内のカレー屋さんリストを配ったりしていた。しかし
「カレー県」を宣言したその年、佐賀県に一位を奪われた。んー、残念。
ということでチョー有名な「ベニ屋」のカツカレー。鳥取市民、皆大好き。



わたくしは、スターバックスもセブンイレブンもないけど
日本一のスナバがあると知事が自慢する鳥取県の出身である。

結婚して東京に引っ越すことになった時、
東京にはチキンラーメンがないとか、うどんのつゆが真っ黒だとか、
うまかっちゃんが売ってないとかいう数々の噂話を聞き、
そんな野蛮なところで暮らしていけるだろうかと思った。

なにしろ大阪で4年暮らしていた間に、東京の人やモノについては
ナナメに見るくせがついていた。「だからさあって。何なん? さあって」って感じだ。

引っ越してみると、うどんつゆも湘南の海(というか砂)も真っ黒だし、
スキー場には日帰りで行けないし、歩いて温泉に行けないし、山もない。
ちくわぶとかいう意味不明の食べものはあるが、モダン焼きはない。
餅は四角く、すぐに日が暮れる。

しかしまあ、人々は礼儀正しく、おおむねいいところだと思った。

さてある日、友人の家に遊びに行き、肉じゃがをごちそうになった。
何気なく食べようとしたら、なんと、肉じゃがの肉が豚肉だった。

「ななな、なんで豚肉?」 

わたくしの実家では、肉じゃがの肉は常に牛肉であり、
豚肉が入っているのは牛肉が買えなくなる両親の給料前のみであった。

IMG_8114.jpg
違うといえばすき焼きの食べ方も違うのよね。なんか「割り下」とかいう
醤油と何かが混ざったものをじゃーっと入れるのだ。西日本は砂糖と醤油と酒だ。
砂糖と醤油と酒じゃダメなのか、東京!と毎回思うわたくし。



わたくしは豚肉がキライだったが、肉じゃがに豚肉が入っていると
子ども心に「おお、いまうちはびんぼうなのだな」と思っていた。
んで、「この友人の家は今貧乏なのだろうか」と考えた。
そんなときに晩ごはん食べに来て申し訳なかったかも、と思った。

しばらくして違う友人のところでカレーをごちそうになったら、
やっぱり豚肉が入っていた。ななな、なんでカレーに豚肉

わたくしの実家では、カレーの肉は常に牛肉であり、以下同文。

まさか、東京の人が皆貧乏なわけじゃないだろう。
さすがにちょっとおかしいと気がついた。んで、尋ねてみた。

そしたら、びっくり。東京では肉じゃがにもカレーにも豚肉を入れるのだ。
「牛肉なんて入れないよねー」。そういう彼女たちの顔には
「あんた、野蛮人でしょ」的な空気がただよっており、
わたくしはなんとなく野蛮人になったような気がした。

理由はわからなかったし考えもしなかった。
東京では肉じゃがもカレーも食べられないなと思っただけである。
なぜならわたくしは豚肉がキライだからである。

しかし、某D社に入社し、豚の取材で宮城県に行ったとき、
全く偶然にその理由がわかった。養豚家にカレーの話をしたら、
「牛肉、食べられないよねー」と皆が言うのだ。「食べるなら豚だよねー」

DSC00854.jpg
某D社の牛肉は岩手県の短角牛である。和牛の一種である日本短角種は
昔は使役用の動物だった。頑健な性質を持ち粗飼料で育ち自然繁殖する牛だ。
赤身のおいしい肉であると評価が高いが、肥育している農家は
やっぱりあんまり食べない。このあたりが養豚家と違うところである。



よくよく聞いてみたら、東北の人はそもそも牛を食べないと言うのだ。
なぜか。牛や馬は家族であり、食べものではないからだ。

農村では牛は人と同じ屋根の下に住み、使役動物として大切にされている。
人は牛の世話を毎日し、朝も晩も一緒にいる。だから食べるなんてとんでもないと
養豚農家とその関係者は口をそろえて言うのだった。

西日本でも牛は使役に使ったはずだが、そういうの関係なく食べるのかしら。

親戚の家の土間の続きに飼われていたホルスタインのことを思い出し、
わたくしはますます野蛮人になったような気がした。

そして以下のような仮説を立ててみた。
東京には東北方面から移住している人がたくさんいる。
豚肉文化にはそういうことが影響しているのかもしれない。

さて、今回これを書くので、豚肉と牛肉の消費量を検索してみたら、
農水省のサイトにぴったりの図があるのを発見した。

これを見ると、北海道・山形県を除く東北、新潟、関東では茨城まで、
豚肉の消費量がほぼ100%で牛肉は0~20%である。

関東から中部までは豚肉が70%程度。ちょうど餅が四角くなるあたりで、
牛・豚の消費量が半々、あるいは逆転するのだった。

h22_c2_img2_003.jpg
農水省HP「第2節 主要品目の需要・生産の現状と課題
コラム:地域差がなくなりつつある牛肉・豚肉の消費 」より無許可で転載中。
問題があったら言ってください。削除いたします。



現在では日本全国一律で牛肉の率が30~40%くらいになっており、
日本全国で主たる肉は豚肉に変わっている。

西日本の牛肉文化は失われたらしい。健康志向によるものか、
牛肉がお高くなったからかは不明だ。後者のような気がするけどどうかな?

なんてことを書いてたら文字数が多くなってしまった。
ほんとは豚の品種のことを書こうと思っていたのに。ううう。

それはまた、次回ということで。
どうでもいい話を長々と書いてすんませんでした。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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