ソフトクリームが日本の山を再生する? 中洞牧場で見たあまーい夢

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中洞牧場のソフトクリーム。原料は牛乳、アガベシロップ、脱脂粉乳。
増粘多糖類不使用なので牛乳をふんわり固めたようなソフトで
マイベストソフトクリーム。松屋銀座に行ったら食べます。
寒くても絶対に食べて帰ります。



「しあわせな牛からしあわせな牛乳」がキャッチフレーズの
なかほら牧場は、標高700メートルの山の中にある。

くねくねした山道を上がってきたらぽこっと開けた土地に出て、
ここはほんとに山の中なのかしらん? と思うようなところだ。
広大な牧場、というか山のあちこちで、牛は好き勝手に野シバや草を食べている。

わたくしは今回訪問するまで「野シバ」は通称で、
ちゃんとした名前があるはず、と思っていたが、
どうも「野シバ」が正式名称らしい。あらー。
野シバは日本に自生している芝で、ゴルフ場のラフにも使われている。

野シバの葉は伸びても20センチ程度で硬くならないから牛はどんどん食べる。
ランナーから次々に新芽が出て、牛に食われても絶えることはない。
野シバは分厚いじゅうたんのようにがっちりと地表を覆い緑の放牧地になる。

山地酪農の牧場を見たことがあるが、そこでは牧草のタネをまいていた。
牧草を定着させるため、最初に除草剤をまいたり、
化学肥料を使ったりするのが一般的なようである。

少しだけ「むー」と思うのはわたくしが偏っているからであろう。

一般的な牧草は上に伸び、伸びると葉が硬くなる。
硬い葉はおいしくないから牛は食べない。そうなると草が倒れる。
人間が刈り取ってやればいいがそんな手間はかけられない。

野シバのじゅうたんが完成するまでには数年かかるが、
一度できてしまえば人の手をかける必要のない永続的な放牧地となる。
この緑の絨毯を起点に循環型の酪農が完成する。

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野シバのランナー。これを切ってちょこっと地面に刺しとくと、
根づいて新しい芽を出すので増殖も容易です。
牛にぎゅうむと踏みつけられてもへこたれません。

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野シバには花が咲いてタネもできますが、これで増えることはないそう。
ネットで検索してみると野シバは日本芝の一種で寒冷地に適しており、
成長は遅いが手入れは簡単、だそうです。



野シバの肥料は牛糞である。牛がところかまわず排泄するそれらは、
肥料となり、野シバと野草を育て、それが牛の食べものとなる。
そして人間に「牛乳」というステキな飲み物を与えてくれる。
いっさいのムダがないあるべき酪農の姿、ではなかろうか。

山地酪農はまた、森林の再生という役割も持っている。
管理のできていないヤブだらけの真っ暗な森に牛を放してみよう。
数頭放して数か月もすれば地面に生い茂っていたササなど全て食べてしまう。

牛が食べて入りやすくなった山には人間が簡単に入れるようになる。
そこで木を伐採し、おひさまが地面に届くようになると
今まで芽を出すことのできなかったものが新芽を伸ばす。

牛は大きな体で奥へ奥へと分け入っていき、ササや小さな木の葉を食べ、
人間はさらに木を切る。牛が下草を食べ尽くしたあたりで野シバを定植する。
この繰り返しで数年かけて荒れ果てた山や森林が自然な放牧地になる。
そして、牛は山を再生しながら牛乳という資源を産み出す。

なかほら牧場の牛たちはとてもしあわせそうに見える。
牛舎はないから雨や雪に降られっぱなしで濡れっぱなしだ。

一日中山を自由に歩き回り、朝と夕方、山から降りてきて
搾乳されながらビートパルプや焙煎大豆などのおやつにありつく。
搾乳が終わったら少しの間まったりして山に戻っていく。

日々その繰り返しだ。足腰は強く健康だから薬も必要ない。
この方法が日本の山を救うのではないか。とわたくしは思う。

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現在牧草地作成中。木を伐採して野シバを定植したところ。
牛は野草を食べてます。牛が苦手な茨などは人が取り除きます。
この牛は搾乳中じゃない牛なので、ずーっと山にいて
下草を食べてるそう。いやはや。牛って強いのだね。

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このような傾斜でも牛には4本足があるのでへーきです。
年を取った2本足のヒトにはちょっと危険です。ときおり見回って
茨などを刈り取ったりと手入れをする必要はありますが、
だいたい5年ほどでこのような牧草地ができあがります。



今年、神奈川県のどこかで牛を2頭飼って山地酪農を行い、
ソフトクリーム屋さんで生計を立てようとしているという女の子のニュースを見た。
彼女はなかほら牧場の卒業生らしい。

わたくしはFacebookでソフト部の副部長をしており
ソフトクリームのヒミツ(http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-495.html
も知っているが、都内で食べられるソフトクリームで
一番おいしいのは池袋東部と松屋銀座にあるなかほら牧場のものである。

ソフト部の部員でなくともソフトクリームはみんな大好き。
おいしいソフトクリームがあればどこにでも食べに行く、というか
行った先にソフトクリームがあればとりあえず食べる。それが日本人。

日世のコーンとノボリが立っていればそれはほぼ日世のソフトなのだが、
青い空と白い雲の下ではご当地ソフトに思えてしまう。
開放感があるのでソフトクリーム1個の料金が500円でも平気だ。
キャベツが500円だと「高い」と騒ぐがソフトならOK。それが日本人。

であれば、数頭の牛を飼ってしぼった牛乳を少し販売して、
あまった牛乳はソフトクリームに加工して1個500円で売れれば
ソフトクリーム屋さんで食べていくのは非常に現実的な話である。

このニュースを見たとき「目のつけどころがすばらしい!」とわたくしは思った。

酪農を始めるにあたっては搾乳機とかその他もろもろお金がかかるが
山地酪農は牛舎がいらないため、設備投資額はそんなに大きくはない。
持続可能な酪農方法だから、牧場が完成してしまえば手入れをするぐらいでOKだ。

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野シバの絨毯は数十センチにもなって地表を覆っています。
野シバは表土の流出を防いだり、保水したりもします。
これを利用することを考えた猶原恭二さんがスゴイのですが、
植物学者だからなのでしょう。



数頭の牛から付加価値ソフトクリームをつくって商売になる。
このモデルケースができれば小規模な山地酪農がどんどん増殖する可能性がある。
山地酪農のソフトクリームで地域活性も可能になるかもしれない。

人はおいしいソフトクリームがあるだけでそこに行こうという気になる。
そこにしあわせなジャージー牛が数頭いて、美しい緑の牧場で草を食んでいる、
それを見るだけで人もしあわせな気持ちになれるだろう。

大規模酪農で安価な牛乳を大量生産することも必要だが、
それは持続可能な方法ではない。ツケは見えないどこかにたまっていく。
だからと言って1リットル1188円の牛乳を毎日買うのはむずかしい。
しかし、たまの週末に500円のソフトクリームを食べるのはどうかな?

ソフトクリームが日本の山を救うかもしれないなんて、
とてもステキな、そしてあまーい夢ではありませんか?

早くオープンしないかな。
ソフト部として気合いを入れて応援することをここに誓うわたくしです。


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水より安い日本の牛乳の真実としあわせな牛の話

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一般的な酪農では子牛が生まれたら数日後には引き離して
その後子牛には人工ミルク。母牛の牛乳は人間のものになるわけですが、
なかほら牧場では2ヶ月ほど母牛のおっぱいを飲んでるそうです。
母牛に寄り添ってる子牛もとてもしあわせそう。

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フツーに生きてたら乳牛の寿命は20歳ほど。一般的には5~6歳で更新され、
国産牛になって売られます。この牛は18歳のばあちゃん牛。もう乳は出ず、
エサを食べるだけのタダ飯ぐらいだけど元気に草を食ってました。



岩手県岩泉町で「山地酪農(やまちらくのう)」を営む
「なかほら牧場」に行って来た。なかほら牧場↓
https://nakahora-bokujou.jp/

山地酪農とは、植物学者・猶原恭爾さんが提唱した酪農のスタイルで
簡単に言うと、牛を山に放牧し自生している野シバや野草・木の葉を食べさせ、
ヒトにとって未利用の資源を牛乳に換える循環型の酪農方法のことである。

牛の糞尿は放牧地に還元されそこに育つ植物に利用される。
子牛は人工授精ではなく放牧中に自然交配し自然分娩で生まれる。
牛は常時山を上ったり降りたりして健康でストレスなく暮らし
そのおいしい牛乳を人間がいただくというステキなしくみである。

牛はそもそも草を食べる動物で、内臓もそのようにつくられている。
胃は4つあり、なかには微生物が大量に住みついていて
牧草などの粗飼料から栄養素を吸収しやすいかたちに変えている。
さらに反すうによって増殖した微生物もタンパク源として食べてしまう。

牛の飼料が牧草などの粗飼料中心から穀物飼料の多給に変わったのは戦後のことだ。
畜産業全体がそうだが、酪農はとくに搾乳や殺菌方法などの効率化がはかられた。

機械等のハード面のみならず、品種改良された牛はより多くの乳を出すようになり
放牧ではなく牛舎で飼われるようになり、穀物飼料を日がな一日食べては
毎日数30kg以上もの牛乳を搾り取られる機械のような存在になった。

輸入穀物は大量の牛糞となる。これがすべて堆肥になればまだいいが、
野積みされている現実も多くある。大いなるムダ、とも言える。

以前は安価だった穀物飼料が昨今は時折高騰するから酪農家は大変だ。
乳価はたいして上がらないため、さらなる効率化・機械化で経費削減をはかる。
補助金をもらって大規模&設備投資をすると借金はどんどん増える。

そのような苦労をして酪農家がつくる牛乳は、
海外のミネラルウオーターとさほど変わらない価格で販売されている。

子牛の飲みもの、命の源が水と同じっておかしいでしょう!
なんてことを思う人はいないのだろうか。
牛乳価格はここ数十年ほとんど変わっていないように思える。
卵と同様、牛乳も価格の優等生と言われ続けている。

ということで、なかほら牧場の牛乳である。

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乳牛には乳首が4つありますが、状態がいいときと良くないときがあって、
良くないときはその乳首から乳をしぼりません。ってことでこの牛は
2つ良くないのでしょう。搾る前にも味見したりしてるそうですが、
フツーはどうなのかなー。自動搾乳機だとおかまいなしで全部搾りそう。

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おなかがパンパンに張ってるのでみんな妊娠してるのかと思ったら、
草しか食ってないから第一胃のルーメンがものすごく発達して
おなかが横に張り出してるんだって。あらー。そうなのか。
当然のことだけど、食べものでからだが変わるのねと納得。


この牛乳は価格の優等生ではない。
720ミリリットル1,188円というビックリするような価格だ。
「スーパーで売ってる牛乳は1リットル180円くらいなのに
なんで牛乳がこんな値段?」と考えるきっかけを与えてくれる価格である。

100ミリリットルあたり165円と18円の差が、
放牧されて好きなところでのんびり草だけ食べている牛の牛乳と
牛舎につながれて安価な輸入穀物を食べている牛の牛乳の違いである。

この差はなんだろう? どこにあるのだろう?
ずっと気になっていたそのヒミツは想像以上にステキなことでありました。

さて、まずは山地酪農である。

わたくしが山地酪農のことを知ったのは2006年頃のことだ。
乳牛の牛舎における悲しい生活のことは薄々知っていたため、
山に放牧されて草を食めるなんてステキな酪農方法だと思った。

海外から輸入されるトウモロコシほかの飼料はほぼ遺伝子組み換え作物であり、
乳牛の場合、牧草などの粗飼料と穀物飼料の割合は5:5くらいだ。
(ちなみに肉牛は2:8で圧倒的に穀物飼料の割合が多い。あわわわわ)

草が主食の牛に高カロリーの穀物を食わせれば牛が出す乳量は増える。
穀物飼料主体の乳牛の平均乳量は1年間で10000リットルくらいで、
365日で割るとなんと27リットル!!! ひー。まさに牛乳製造機である。

放牧で草を食べてるホルスタインは年間4~5000リットルくらいだが
中洞牧場はジャージー牛なのでホルスタインよりも少なくて、
一日平均で8リットル程度。ってことは3000リットルくらいかな。

つまり、自然な状態の牛という草食動物から人間がもらえる牛乳の量は
一日10リットル未満と考えてもいい。そもそも27リットルがおかしいのだ。

以前北海道の副知事だったナントカさん(名前失念)と
「今の乳牛の乳量が多すぎるんですよ。だから牛乳が安くなる。
あんなに出そうとしなくてもいいんだよね、ちょびっとで」
みたいな話をしたことがあるが、たしかにそうかもしれない。

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朝と夕方、搾乳に集まってくる牛たち。帰ってこないやつは迎えに行きます。
ものすごい傾斜地でもへーきです。ときどきよそから牛を引き取ることがあるけど、
牛舎で飼われていた牛だと、足腰が弱っててこの傾斜が上がれないとか、
穀物ばっか食ってたから草を食べないとかいう牛もいるそうです。ううう。

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牛に角があるのにお気づきでしょうか。なかほら牧場では除角はしません。
牛の角は鹿と違って神経も血も通ってるので切り取られると痛いのです。
角のある乳牛は初めて見たので「ないはずのものがある」ことに驚きました。
ってことで除角は一般的に行われています。危険だからしょうがないのです。
よそから来た牛は除角されてるので、角のあるのとないのが混じってます。



わたくしは一度北海道の大規模酪農を見学したことがあるが、
悪臭に満ちた牛舎のなか、牛は糞尿で汚れた床に寝そべってもぐもぐと反すうしていた。

持ち主は牛がウンコまみれなことは全く気にしていないようで、
牛糞の堆肥舎が自慢だったのだが、牛舎を見せて「しまった!」とか
思わないのかなーと思ったが、とくにそういうこともなく牛舎も自慢していた。
このような牛を見た一般人がどう思うかとか考えていないようだった。

TPP反対の番組に出演していた北海道の大規模酪農家の搾乳風景では、
汚れた牛の乳首を搾乳機が自動でジャーっと洗っており
その施設を建てるのに数億円かかって補助金だからTPPがどうたら、と言っていた。

どう見てもウンコまみれな牛と乳首についての言及はなかった。
「しまった!」とか思わないのかなと思ったが、やはり自慢げだった。

その乳首から出てくるのはどんな牛乳だろう。
おそらく生菌数が多いはずだ。それはどこかに集められ、
生菌数の少ない牛乳と混ぜられるから全体的に菌の数は薄まり、
120度で2秒殺菌されてお風呂上がりにがぶがぶ飲める180円の牛乳になる。

清潔な牛舎で飼われている牛もいるし、清潔な牛舎でつながれている牛もいる。
いいとか悪いとかではなく、わたしたちはそのような牛の牛乳を飲んでいる
ことを知っておいたほうがいいだろう。

どんな牛が牛乳を出しているのか、施設は、餌は、どう飼われているのか。
経済動物だからしょうがないじゃん、だって安い牛乳が好きだもん、
と言われればそれまでだ。それはそれでいいのである。

でも、とわたくしは思う。 

では理想的な酪農とはどんなもんですか? と聞かれたら。
答えは岩手の山のなか、なかほら牧場にあるのだった。

ってことで長くなったので続きは次回ってことですんません。


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牛乳の味、製造方法、その他わたくし的偏りについて整理してみた

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岩泉町のなかほら牧場に行ってきました。放牧の牛はとてもしあわせそうでした。
子牛もけっこう長いこと母牛のおっぱいを飲ませてもらっていて、
しあわせなんだろうなーと思いました。そして日本の酪農における
とても不幸そうな乳牛のことをしみじみと考えています。


わたくし牛乳がキライです。というか、キライでした。
キライになったきっかけは、保育園で飲んだ脱脂粉乳です。
子どもゴゴロに「絶対に飲まない」と非常に激しく拒否しまして、
たぶん保母さんを困らせたと思います。

わたくしは裸足で保育園を脱走して行方不明になったこともあり、
たぶん保母さんは困ったと思います。いやはや大変だったでしょう。
それはともかく、それ以来牛乳がキライというか苦手になり、
小学校と中学の給食の牛乳が苦痛でした。

牛乳がキライ、とわかるといじめっ子に弱みを握られますから、
絶対にそれは避けたいと考えたわたくしは、毎日「いただきまーす!」のあと
息を止めて牛乳を一気飲みしました。200ml一気飲み1分もかかりません。

さらに後味を楽しまなくていいようにすぐに他のものをガツガツ食べ
口の中の牛乳の気配を完璧に消しました。
この方法で9年間乗り切ったわたくしはよくやったと思います。

牛乳が嫌いな理由は舌にからみつくような粘り気とニオイです。
その原因は、大地を守る会で低温殺菌牛乳を生まれて初めて飲んで、
日本の一般的な殺菌法「超高温殺菌法」によるものだと知りました。

日本で行われている牛乳の殺菌方法は
全国乳業協同組合連合会のサイトによると、以下の通りです。

1.低温長時間殺菌法(LTLT製法)63℃で30分加熱処理
2.高温短時間殺菌法(HTST製法)72℃以上で15秒以上加熱処理
3.超高温殺菌法(UHT)  120~130℃で2~3秒加熱
4.超高温滅菌殺菌法(LL) 135℃~150℃で1~4秒滅菌処理
(LongLifeミルクは未開封であれば常温保存が可能で、90日保存できます)

低温殺菌牛乳と書いてない市販の牛乳は3の超高温殺菌法で殺菌されています。

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一般的な乳牛の寿命は子牛を生み始めてから3産から6産くらいまで。
つまり短いもので4歳から7歳とかまでで乳量が落ちてくると更新されます。
更新とは経産牛として肉になるのです。スーパーでは国産牛として売られます。
中洞さんのところには18歳のばあさん牛↑がいました。もう乳も出ないし
ただメシ食ってるだけだけど、とても元気そうでした。



牛乳を沸騰させるとタンパク質の膜ができて味が落ちます。
超高温殺菌法の牛乳は2秒とはいえ120度で加熱ですから、
かなり、味というか香りも何もかもが生乳と大きく変わります。
栄養価は変わりないかもしれませんが、なにしろおいしくありません。

わたくしが感じた粘り気やイヤなニオイはタンパク質の変質によるものでしょう。
沸騰して焦げた牛乳からもよく似たニオイがします。

低温殺菌牛乳を飲んで初めて、牛乳はほんのりとあまくて香りが良く
本来は滋味あふれるおいしい飲みものなのだと知りました。
わたくしはそれ以来、低温殺菌牛乳しか飲んでいません。

大手牛乳メーカーが効率化・大規模化で超高温殺菌法を選択して以降
日本では超高温殺菌が主流になってしまいましたが、それまでは
日本全国の小さなミルクプラントで低温殺菌牛乳がつくられていたそうです。

戦後しばらくの間、冷蔵技術&交通網が発達していなかったため、
搾乳後集荷するまでに冷やせない&ミルクプラントまで遠いなどなどで
低温殺菌法の牛乳はすぐ腐るなどのデメリットが大きかったのでしょう。

しかし物流・冷蔵状態が良くなった現在でもまだ超高温殺菌牛乳が主流とは。
なぜわざわざ超高温殺菌で殺菌し、牛乳をまずくするのか理解できません。
低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳との価格の違いは高くても50円くらいです。
50円で滋味あふれるおいしい味が楽しめるのに。残念なことです。

さて、牛乳の味は、上記の殺菌温度のほかに、牛の飼料でも変わります。

おそらく人間もそうでしょうが、どんなものでも食べもので味は変わります。
たとえば配合飼料を食ってる採卵鶏の卵は配合飼料の味がします。
もしかしてコンビニ弁当を食ってる人間はコンビニ弁当の味がするかもしれません。
なんかよくわかんないけどおいしくなさそうです。

一般的な乳牛は穀物飼料を食べており、以前聞いたときの割合は
粗飼料6割に対して穀物飼料が4割だと言われていました。
穀物を食うと乳量が増えますから乳価の安い現在は穀物飼料は必須です。

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牛乳のCMで上記のような牧場に放牧されてる牛の写真がよく使われますが、
基本的に乳牛は放牧されていませんから注意しましょう。
ほとんどの乳牛は牛舎で暮らしており、つながれっぱなしの牛もいます。
なかにはウンコまみれになってるかわいそうな牛もいます。
売られている牛乳はそういう牛の牛乳だと思ったほうがいいと思います。



一般的な穀物飼料は現在ほぼ遺伝子組み換え作物ですが、
非遺伝子組み換え作物を利用している酪農家もいます。
全体的に、穀物飼料を主に食べている牛の牛乳は濃い、というか
わたくしにとっては「ちょっとクドいかも」って味がします。

そんな主たる飼料は穀物、それが常識! という酪農業界において、
粗飼料が主体&放牧という酪農を行っているところがあります。

代表的なのは岩手県のなかほら牧場ですが、そのほか木次乳業の日登牧場とか
キープ協会とか、行ったことないけど高知と北海道にもいらっしゃいます。
牛はホルスタインだったりジャージーだったりブラウンスイスだったりするので
単純に比較はできませんが、牛乳はあっさりしていてあまくていいニオイがします。

超高温殺菌牛乳を飲みなれていると低温殺菌牛乳は「味が薄い」と感じます。
放牧の牛乳はさらに「薄い」と感じる人が多いかもしれません。
しかしそもそも超高温殺菌牛乳の味が苦手あるいはキライなものにとっては、
放牧の牛の低温殺菌牛乳が一番おいしい、というかこれしか飲めません。

牛乳は風呂上がりにぐびぐび飲むものではなく、なんかくたびれたときに
ちょびっと飲む、くらいでいいよねー、ってな感じなので、
1リットル180円とかでなくてもへーきです。
っつかそれ、安すぎるでしょ。と思わない人が不思議です。

つーことで、先日取材に行ったなかほら牧場のレポートを書く前に
わたくしがいかに偏った牛乳感を持っているか整理してみました。

ご興味のある方は、明治屋で木次乳業のブラウンスイスの牛乳とか、
成城石井でタカハシ乳業のジャージー牛乳とかがゲットしやすいので
飲んでみていただけるといいかしらと思います。

すごーくおいしい! と思っていただけましたら幸いです。


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オーガニックと国産、どっちを応援したいのか自分

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養豚農家に豚の人生についての取材に行ったことがあります。
子豚がとてもかわゆくて、家に連れ帰りたいくらいでした。
しかしわりとすぐ死ぬそうです。子豚って弱いのですね。
だからこそ、豚は多産なのかもしれないですが。



先日賑々しく開催されたオーガニック・ライフスタイルエキスポの
「アニマルウェルフェアセミナー」に参加し、わたくしは
鶏肉と卵、牛肉で有機JAS認証を取得している人がいると知った。

すげー! 畜産で有機!?

有機畜産は飼養管理などにも細かい決まりごとがあるが、
とりあえず「スゴイ!」と思った理由は飼料である。

鶏の飼料のベースになるのは有機飼料米だと思うが、
その他に輸入オーガニックの穀物飼料(トウモロコシとか)が必要だろう。
2012年ごろに聞いた話では、オーガニック飼料価格は通常の2倍。
ってことは販売価格も2倍にならなくては割が合わない。

オーガニックの穀物飼料を探して配合してもらうのも大変そうだ。
そのあたりは飼料会社との連携が必要である。そうなると
もともとの経営規模がかなり大きくないとむずかしいだろう。
飼料会社はロットがまとまらないとやってくれないからである。

つーことでその、オーガニック卵と鶏肉にわたくしは大変とても感動し、
取材に行きたい! ぜひ行かせてください!! と名刺をもらった。

そしてひと月。なぜかいまだにアクションを起こしていないわたくし。
理由は「スゴイけどほんとにそれを応援したいのか自分」的な
大きなクエスチョンマークが頭の上に浮かんでいるからである。
何が引っかかっているかというと「輸入オーガニック飼料」である。

さて、わたくしが働いていたころの大地を守る会で、
とある養豚農家が全て国産飼料で育てた豚をつくる試みを始めた。

国産の飼料ということは、主たる飼料がトウモロコシではなくなり、
大豆などの代替飼料を探して日々自分で配合するということである。
飼料が変わると生育も肉の味も変わってしまう。

一般的に畜産飼料は飼料会社が最初から配合しているものを使う。
子豚→育成期→肥育期とそれぞれの段階の適正な配合飼料がすでに用意され
自分で飼料を探して混ぜたり作ったりする必要はない。

子豚はすぐに死んでしまうから、配合飼料には抗生物質が入っているが、
それでも子豚はわりとよく死ぬ。
飼料を変えた彼の子豚は毎日コロコロ死んでいった。
まずは国産飼料で子豚が死なない配合を見つけなくてはならない。

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飼料米を与えた卵は黄身の色が白くなります。玉子焼きをつくると
白っぽいのができます。オムレツも白いです。飼料を変えると
卵の色は変わります。でも配合飼料の味がしなくなり、
大変とてもおいしい卵になります。



ある程度豚が育っても屠畜したら肉がおいしくないことがわかった。
今までの豚、あるいはもっとおいしくなる配合を試さなくてはならない。
おいしくない豚は出荷できないし結果がわかるのは屠畜する210日後だ。

ひー大変!

てな試行錯誤を約一年ほど続けた結果、国産飼料の豚肉が完成した。
その後、彼の配合をもとに国産飼料の豚を育てる農家が数軒増えたが、
「すげー大変だった」という彼の開発秘話はたいして紹介されなかった。

「国産飼料で育てるなんて大変!!!」とは誰もがなんとなく思うが、
具体的に起きたことは現場の話を聞かねばわからない。
わたくしは後日この話を聞き、記事にしなかったことを悔やんだ。

現在は、この国産豚は誰も育てていない。毎日毎日飼料を自分で配合、
なんて手間がかかることをやりたい人はいないのだ。
その手間のぶん価格は高くなるが高いと消費者は買ってくれない。

これに「オーガニック」というわかりやすいラベルがついていれば
消費者は理解する。とくに価格的な部分での理解度はかなり高いだろう。

しかし「国産飼料で育てた豚の何が違うの?」と言われれば確かにそうだ。
自己満足? いやいや、輸入穀物は他国の水資源を収奪してるんだから、
とかそのほかいろいろ意義はあるが、なんのことやら~? って感じだ。

なんて思うと「オーガニック」「国産」という価値について
いろいろ考えさせられてしまうよね。

実は大地を守る会には卵を国産飼料でつくってる農家がまだいる。
その人も毎日毎日自分で飼料を配合して鶏に与えている。
彼はたぶん鶏が大好きなのだ。でないと、毎日早朝から
飼料のクズ大豆を何十キロも煮るなんてことはできない。

わたくしはそういう人たちのことが好きである。
そしてそういう愛すべき人を応援したいと思う。

つーことでわたくし的にはやっぱり「オーガニック<国産」だと、
いまさらですが決意をあらたにした次第であります。
つーことで、今月中旬になかほら牧場さんに、
来月は阿蘇にあか牛の取材に行ってきます。


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北海道のオーガニック(&グラスフェッド)ビーフを応援するぞ!

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セミナーでは八雲牧場のオーガニックビーフを使ったお弁当が出ました。
肉の味が全くわからない牛丼風味つけでチョーガッカリ。
つくった料理人はこの肉の趣旨がわかってなかったのでしょう。
脂と肉から鹿などの草食動物に共通するニオイがしました。



オーガニックライフスタイルエキスポに参加してきた。
っつか会場で開催されたアニマルウェルフェアのセミナーに行ってきた。

日本におけるアニマルウェルフェアはわたくしが行った最初の勉強会
(2010年)から1センチほど進んだということがわかった。
講師は同じ日本獣医生命科学大学名誉教授・松木洋一氏である。

「ほんたべ日記」で何度かアニマルウェルフェアについて書いたが
アクセス数が全く上がらないことから、ほとんどの人がたぶん
全く興味がない、あるいは何のことかわからないのだと推測するわたくし。

アニマルウェルフェアについては以下の過去ログをどうぞ。
「アニマルウェルフェアについて考えてみた」
http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-515.html

全く進んでいないと考えていたが1センチくらい進んだ、と思えたのは、
オーガニックビーフをつくっている&これから取得予定の農家がいる&
全て牧草で肉をつくっている農場があることを知ったからである。

ええええー草で肉がつくれるんだー!!! 驚くわたくし。

ほとんどの人は「牛って草食ってんじゃないの?」と思っているだろう。
しかし、肉牛は牛に草だけ食わせていてもつくれない。

肉牛も乳牛も割合は違えど主たる飼料は穀物であり、和牛(黒毛)の場合は
雄牛の血統とかその他さまざまな技術を集積した結果が、
あの芸術品のような一面に脂肪が入ったピンク色の肉である。

肥育段階に入った牛は出荷されるまでほぼ牛舎にいたり、
自由に運動できなかったり、メタボになったり内臓疾患になったり
ビタミン欠乏症寸前になったりしているが、それでOKである。

そうしないと「市場が評価する肉」はつくれないし、
人々が安価に購入できる肉(国産牛ね)もつくれないのだ。
しかし、この飼育方法とアニマルウェルフェアはたぶん相容れない。
だからアニマルウェルフェアは遅々として進まない。

日本は国土が狭く、平たい土地は米が優先で次が畑作・果樹である。
家畜を狭いところに押し込めていても肉や卵は作れなくはないので、
畜産はどうしてもそういった「動物工場」的な作り方が主流になる。

牛を一頭買うのに必要な土地は1ヘクタールと言われている。
1ヘクタールの土地があったら田んぼか畑にしますよねうんうん、
一反で米8俵取れたとして1ヘクタールなら80俵、
1俵18,000円として1年で144万円。やっぱ米ですよねーって感じだ。

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牧草を青刈りしてサイレージにすることで栄養価が高くなり
増体率が上がったなどなど、まだ試行錯誤の真っ只中だが、
しかし草だけ食べさせても体が大きくなるのなら、農家にも
お肉屋さんにもメリットがある。技術の向上が待たれるところだ。



ということで、もし「放牧」するのなら山の中→乳牛の場合「山地酪農」
あるいは広大な土地がある北海道で、というのが考えやすいが、肉の場合
草だけ食わしていても市場が求める脂肪交雑のある肉にはならない。

日本における肉の評価は脂肪の含有量に左右される。

たとえば鶏肉はバサバサするムネよりも脂肪の多いモモが売れるし、
豚肉もモモよりもバラやロースが売れる。
一羽・一頭から取れる人気部位は限られており部位調整が大変だ。

牛肉の場合は脂肪交雑率の高いものが最も高い評価となる。
みんな「柔らかくてじゅわっと脂肪があふれる」的な肉が好きなのだ。
が、放牧=飼料は草=肉がほぼ赤身=硬い&脂肪の味がしない などで
手間かけて作っても市場の評価はダダ低いと言ってもいい。

売れない肉・評価されない肉をつくるのはむずかしい。
ということで草だけ食ってる肉牛はつくりにくいのが現状である。

さて、今回のセミナーで知った北海道のオーガニックビーフは
北里大の獣医学部付属の八雲牧場で育てられている
牛は日本短角種(和牛の一種)で夏山冬里方式で飼育され、
25か月で出荷だそうだ。約2年ってことでしょう。

肉の写真を見たらほぼ赤身で、草だけ食べるとこうなるのねって感じ。
脂肪は黄色みがかっているが、一般では脂肪に色がついていると嫌われる、
というか評価されない。でもオーガニックビーフなので問題ないのだ。
取り扱っている東都生協では、レシピなども提供しつつ販売しているらしい。

なぜレシピを提供する必要があるのか。
それは食べるのにコツがいるからだ。

草だけ食べてる赤身の肉はそれなりのクセがある。
フツーの牛肉を食べてきた人が食べると「うーん」と思う。
このニオイや味が好きと思えれば問題ないのだが、
そうじゃない人はむずかしいだろう。だから食べ方が必要なのだ。

この一点でわたくしはちょっとうーんと思ってしまった。
割高な説明商品を説明無しでフツーに売るのはむずかしいからだ。

しかし、オーガニックビーフはとてもすんばらしい取り組みである。
牧場内で牛糞→牧草の肥料→牛肉→牛糞と資源の循環が行われており、
環境に与える負荷が少ないのもすんばらしいと思う。

畜産のそもそもの目的「未利用の資源を資源化する」
→ヒトが食えない草を食って肉という資源を提供する そのままであり、
穀物飼料を食った畜産物の排泄物で日本が沈没するかも、というなか、
将来的にはこのような畜産が主流になるといいなーと真剣に思う。

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なんだかんだ言ってもみんなこういうお肉が好きなんすよね。
でも年寄りになるとこういうの年に一度でいいし日常的には赤身がいいしで
赤身でちゃんと味がのった肉だといいんじゃないかとか思う次第です。


でも現時点では一般的なお肉にはなり得ない、とも思う。

しかしオリパラでオーガニックが注目され、なんとなく
グラスフェッドビーフにも一定程度注目されつつある昨今である。

グラスフェッドはイオンの豪州産牛肉でいいんですという人もいるが、
わたくし的にはこの北海道の国産オーガニックビーフを
しばらくの間、積極的に応援していきたいと考えております。

オーガニックとかどうとかは抜きにして、この牧場では
畜産のあるべき姿があれこれ実現されていると思うからであります。
今度取材させてもらおうっと!

アニマルウェルフェアにご興味ある方はこちらをどうぞ。
Animal Welfare Food Community Japan
http://awfc.jp/


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アニマルウェルフェアについて考えてみた

とんかつ
豚肉の味は飼料と品種によって変わりますが、
飼育方法によってはそんなに変わらないと思うので、
豚がどんなふうに飼われてるかなんてことは一般的に
あんまり人は気にしないのかもしれませんね。



「アニマルウェルフェアってどう思います?」と畜産農家に質問してみよう。

なんとなく困った顔になる人、あからさまに嫌な顔をする人
怒り出す人などさまざまだが、だいたいにおいてこの話題は好まれない。

アニマルウェルフェアは以前「動物福祉」と訳されていたが
農水省では「福祉」に限定すると意味合いが変わってしまうことから、
アニマルウェルフェア=快適性に配慮した家畜の飼養管理と定義している。

農水省WEBサイトにアニマルウェルフェアについての資料があった。
「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/pdf/aw_meguzi201406.pdf

これによると、1976年 農業目的で飼育される動物の保護のための欧州協定で
経済動物にたいしても権利があること確認したとされている。

えええーそんなに前からなのう? 全然知らなかったなー。

わたくしがこの言葉を初めて聞いたのは1997年頃である。
有機JASが施行されるとかどうとかで、将来的には有機畜産もあるよね、
でもアニマルウェルフェアって概念をクリアできるかどうかだよね
ムリじゃないかなーなんて大地を守る会の畜産担当と話したのが最初だ。

アニマルウェルフェアも有機畜産も日本ではムリだよねと思ったため
わたくしはそれっきり忘れてしまっていたが、世界は着々と動いており、
EUではテキパキといろいろなことが決まっていたらしい。

1991年 子牛の保護のための最低基準を定める理事会指令
子牛の単飼ペン飼育の禁止

1999年 採卵鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
採卵鶏のバタリーケージ(※1)飼育の禁止

2001年 豚の保護のための最低基準を定める理事会指令
妊娠豚のストール(※2)飼育の禁止

2007年 肉用鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
飼養密度33kg/㎡以上での飼養禁止
(「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」より)

上記のさまざまな項目は日本では禁止されていない。
おそらく畜産農家のなかには現在進行形で実行中のところも多いだろう。
日本はアニマルウェルフェアでは後進国と言ってもいいのだった。

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一般的な豚はLWDという三元交配のもので早く大きくなり多産です。
一度に10~12頭とか生むそうですが、なかには育たないのもいます。
しかし子豚ってほんとにかわいいすよねえ。連れて帰りたい。


さて、アニマルウェルフェアにおける動物の権利とは以下の様なものだ。

「5つの自由」の実現
1.飢餓と渇きからの自由
2.苦痛、傷害又は疾病からの自由
3.恐怖及び苦悩からの自由
4.物理的、熱の不快さからの自由
5.正常な行動ができる自由

日本でもある程度は実現できているだろうが、5についてはどうかな? 
狭い国土で最大限の効果を上げなくてはならない日本の経済動物の飼育法は
「できるだけ小さな面積で効率よく肉乳卵を作りましょう」なのだから、
実現はほぼできていないと考えてもいいだろう。

採卵鶏でよく行われる強制換羽は1(※3)に当たる気がするが、
10年ほど前はフツーにやってたが、今はどうかな。

さて、ではなぜ日本でアニマルウェルフェアが進まないのか。

以前取材に行ったとき、それまで和やかに話していた養豚農家に
アニマルウェルフェアについてどう思います? とうっかり話しかけて、
「ナーンセンス!!」と激しい口調で一喝されたことがある。

「アニマルウェルフェアは現場がわかってない者の言い草」で、
「役人が考えた机上の空論」でしかないと彼は言った。

たしかに経費と売り上げを考えるとそうなのだろうと思うが、
おそらくこれが一般的な畜産農家の反応ではなかろうか。
そして役人もあまり強くは言えないというような事情があるようだ。

以前、アニマルウエルフェアの勉強会に参加した際、
推進すべき農水の人の発言が業界団体及び農家に気をつかってなのかどうか、
「理想と現実という点もあるかと思いますがえーとえと、あのー」みたいな感じで
わたくしはアニマルウェルフェアが進むことはないだろうと確信した。

しかし、何かにつけ先進的なEUがこういった指針を作るのは当然だが、
なんと動物工場的な畜産の形態をとっているはずの米国ですら、
テキパキとガイドラインが決まっているらしいのだ。びっくり!

そしてマクドナルドやバーガーキングにも独自基準があるらしい。
基準は見つからなかったが、使用されている鶏卵については
強制換羽をしないこと、バタリーケージの面積を広くすること
などが定められているという記事を見つけた。

日本では、平成23年に乳牛・肉用牛・採卵鶏・ブロイラー・豚・馬について
飼養管理指針ができている。よーく読むと「現状を整理してみました」
的なもので、何か規定ができたとか決まったとかではないようだ。

それだけ推進するのが難しいということだろう。
というか日本はマクドナルド以下ってこと?

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母豚が入っているのがストールですが、イマイチわかりにくいすね。
どのおっぱいにどの子豚がすいつくか決まってるらしく、
よく出るところにはでかい子豚が、出ないところには小さいのが、
と、非常にわかりやすく並んでいます。


というように、アニマルウェルフェアにおいて日本はまだまだであり
わたくしたちはそういう肉乳卵を食べていることを忘れてはいけないのだ。

だから何ができるかというと何もできないが、知ってて食べるのと
知らずに食べるのとではなにかが違うはずだとわたくしは信じている。

以下専門用語の解説
※1 バタリーケージ 採卵用の鶏がはいっている檻。一羽につきだいたい
B5サイズくらいのスペースしかないため鶏がぎゅうぎゅう詰めになっていて、
ストレスで尾つつきとかしないようくちばしを切られていることが多い。
少なくともバタリーケージくらいはやめようよ、というのが世界の潮流。

※2 ストール 豚の体の幅ほどしかないせまい檻。妊娠中の母豚がよく入っている。
全く身動きできずただ立ったり座ったりするだけで見るたびに悲しい。
子豚が生まれてもここに入っててずーっと寝そべって授乳しているが、
ストールがあるから子豚を踏みつぶさないという養豚家もいる。

※3 強制換羽 鶏の生態で羽が抜け替わると採卵率が上がるという性質を利用し、
人工的に換羽を起こして採卵率を上げる方法。換羽をさせるため
鶏を一時的に飢餓状態(水しか与えない)に置くことから、
アニマルウェルフェア的にどうなの、という技術。

おまけ・スタンチョン 乳牛の首をつないでいる器具のこと。
規模によっては運動場にも出ず、ずーーーーーっとつながれてる牛もいる。
牛乳のCMで放牧風景を見るたびこれは優良誤認なのではないかと思うわたくし。



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ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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