二本松市の農家と放射能の話

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高圧の水で除染しているところ。りんごの木、一本ずつ。
二本松ではまだ葉が茂らない3月のうちに果樹類の除染を行った。



昨年の福島原発の事故後、風が福島の内陸部に吹き込み、
伊達から郡山にかけてかなりの量の放射性物質を落とした。
二本松市はその中通りに位置し、福島市・本宮市のお隣の市である。

某D社時代に担当だったりんご農家がここで農業を営んでいる。
山形の帰り道、久しぶりに寄ってみた

行ってみてわかったのは「全然終わってない」ってこと。
どころか「いつかほんとに終わるのかしら?」と思いながら、
皆が生活しているってこと。

いろいろなことに腹を立てて東京に帰って来たのだった。

さて、3月12日、福島原発が水素爆発を起こした。
福島市では3月15日から、二本松市では3月19日から
空間線量の測定を始めた(二本松市HPより)。

3月19日で7.02マイクロシーベルト(於・二本松市役所)。
高いのは放射性ヨウ素がまだ半減期を迎えていないせいだ。
その後は徐々に下がってきていて、
今は主にセシウムが放射線を出し続けている。

元取引先のりんご農家は、二本松市の東和町でりんごを作っている。
ここには有機農業に取り組んでいる団体もある。
以下は東和町の話である。

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りんごの樹皮をはぐ。はがした樹皮はすべてビニールシートに集める。
放射性物質が付着してるからね。相当な手間がかかったんだろうなあ。

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樹皮はポリ袋に入れ一か所に集めてあるが、捨てたり燃やしたりはできない。
放射性廃棄物ってことになるんだね。捨てる場所がないから置いておくことしかできない。



今年3月、市の要請に伴い、果樹農家は果樹類の除染を行った。
果樹の除染とは、高圧の水を樹に吹き付けることと樹皮をむくことだ。
土中の放射性物質の果実への移行はほとんどないとわかっていて、
果実につくのは、樹皮からの移染と言われている。

去年、原発が事故を起こしたとき、落葉果樹類はまだ葉を落したままだった。
春になり、芽が吹いて葉っぱを茂らせ果実をならせたが、
その間雨により樹から葉に移行し、その後果実に移染したと思われている。

だから樹皮をはいだ。

そのおかげで今年のりんごは某D社の放射能検査で
今のところ10ベクレル以下(検出限界値以下)という数値を保っている。
全く問題ないレベルなのだが、売れない。
国の基準値は大幅にクリアしていて、流通の自主基準以下だが売れない。

福島産ってだけで売れないのだ。

JAや市場では安値しかつかず、福島産のミニトマトが
1ケース100円でしか売れなかったりする。段ボール代が90円。
出荷の手数料がいくらか知らないが、出荷すれば確実に損をする。

だが出荷しないと原発事故前との収入の比較ができず、
補償金が出ないので、出荷せざるを得ない。

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りんご畑のわきのフェンスで採れたあけび。大好きなので「わーい!」と喜んでたら、
「放射能を気にしないなら食べてね」と言われ、その気遣いに悲しくなる。
「私は老い先短いからだいじょぶ!」って言ってみた。もちろん食べた。
おいしかった。おすそわけにも気を使わなくちゃいけないなんて。腹が立つ。

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道の駅「とうわ」あぶくま館前にある線量計。だいたい0.5マイクロシーベルト。
室内は0.2。地面に線量計を置くと1.2位になる。東京は今0.04マイクロシーベルト。
見えない放射線が、常時数値化されて目の前にあるのってどんな気持ちだろう。



りんご農家のかあちゃんは言う。

「葉摘みしながらね、できたとしても、これ売れないのかなあって思うの。
やっても無駄になるのかなあってね。
そう思いながら作業するとほんとに張り合いがないんだよ」

福島の、全ての農家がそう思っていることだろう。
丹精込めて作ったものが売れないストレスは相当に違いない。

果樹農家は野菜の農家と違って、
JAや市場出し以外に「贈答品」という直接販売の売り先がある。
自家用に購入する人もいるが、おつかいもので使う人もいる。
これらの顧客は果樹農家にとって、とても大切なお客様だ。

昨年は、この人たちからの注文が例年の2割に落ち込んでしまった。
以前福島の桃農家に聞いた時も、2割しか残らなかったと言われたので、
おそらく2割が平均的な数字なんじゃないだろうか。

自家用はよくても、贈答に「福島産」は使えない。
贈られた人が「福島産」を嫌がる可能性があるからだ。
企業がお得意様に贈る際などはとくにそうだ。 

少なくなった売上は補償で戻って来るかもしれないが、
一度離れた顧客は戻ってこない。失った信用は取り戻せない。
この部分は東電にも国にも補償なんてできないのだ。

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東和町は有機農業の盛んな土地で、有機に取り組んでる農家が多い。
某D社にも作付があるが、取扱量はかなり減った。放射能検査をしても売れないからだ。
どんなに土を作っても空から放射能が降ってきたらアウト。
原発と有機農業は本当に相容れないものなのだ(有機だけじゃないけどね)。

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道の駅「とうわ」には放射能測定機が置いてある。
販売するものも全部計っていて、基準値以内のものを売っている。
会議室では、東電の補償書類の作成相談が毎日行われている。
「原発事故」で派生したさまざまなものが日常生活の一部になっている。



それでも農家はそこに作物を作る環境がある限り作物を作り続ける。

へんちょこな家庭菜園をやってるわたくしでも、
原発事故後はとりあえずタネをまいた。
タネをまかなきゃ何も始まらないからだ。
仕事であればなおさらだ。

「食べものを作ること」は農家の「生業」。
生業を捨てるなんてことはできはしない。

日常生活のなかに放射性物質が常にあり、
目には見えなくても意識しなくてはならない生活。
自分の作物を売るたびに、お店に行くたびに思い知らされる生活。

その気持ちは東京にいるわたしには想像するしかない。
たぶん永遠にわかりはしないけど、
自分にできることを考えている。


二本松市をはじめとする被災地を視察するツアーがあります。
お問い合わせはこちらまで→http://www.f-kankou.jp/fukko-ouen.htm
日程・リクエストに合わせ、訪問地をアレンジしてくれるみたいです。


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放射能について聞いてきた その2

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ほんたべ農園本日初収穫「スナックエンドウ」。エンドウ祭の始まりだ!
ごまあえ、オリーブオイルのソテー、塩ゆで、オムレツ。いや、楽しいね。


平成24年4月20日に農水省から出された通知
「食品中の放射性物質に係る自主検査における
信頼できる分析等について」
http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/ryutu/pdf/kyoukucho.pdf

メディアは自主基準を作らないでという通知だと報道した。
わりと大騒ぎだった。おおむね農水を攻撃する内容だった。

そのあと撤回されたんだっけ? 

経緯はよく知らないが、この通知をよく読んでみると
主題はふたつあり、メディアが報じた内容と少し違うことに気づく。

「信頼できる分析の要件に沿った取組等を行っていることが必要」で
それを満たして自主基準とか言ってちょうだいね」というのが主。
「併せて」やっぱり自主基準とか言わないで
食品衛生法の基準値に基づいて判断してねと言っている。

最初の文章の意味はと言うと、
「科学的な精度管理のできた体制できちんと分析していないのに
自主基準とか言って食衛法の基準値よりも低いとか言わないでね」
ということで、まあしごくまっとうな話だ。

つまりこれ、「なんちゃって有機」が乱立したときと同じで、
優良誤認が起きる可能性をつぶしたいってことなのね。

だからメディアの「自主基準禁止」的な報道は片手落ちで、
「信頼できる分析の要件」という部分についても考えた方がいい。

さて「信頼できる分析の要件に沿った取組」
大変小難しい記載でいっぱいなのだが、その一部には
分析機器の精度も含まれていると思われる。

分析機器と言えば、ガンマスペクトロメータとか
あと、ゲルマニウム半導体とか。

ゲルマニウム半導体はお高い機械だが、精度は一番いい。
でもこれ原子力産業の生み出す商品だってことなので、
原発事故でゲルマが売れるってのも、なんかちょっと皮肉だ。
結局原子力産業が潤うことになるってことだもの。
事故っといて分析機器も買わせるのかあ!って感じだ。

それはさておき。

自主基準で「基準値よりもこれだけ低い」と言ってても、
びっくりするような精度の低いもので測ってちゃ意味ない。
それはやっぱり優良誤認だ。

もしかして空間線量計かざしてたりして…いや、そんなことないか。
・・・あったりして。

気になる人は「自主基準」と言っている流通が
ゲルマニウム半導体を持ってるかどうかを確認した方がいいでしょう。

さて少しイヤな話。

現在放射線の測定は、ガンマ線のみが行われている。

ガンマ線は水分で容易に遮られるので、
検体に水分があると正しい数値が出てこない。
だから本来ならば検体は「灰」にすることが必要だ。
灰にして初めて正しい数値が測定できる。

でもこの緊急事態にいちいち灰にしていると検体数が限られるので、
生のまま刻んで測っていることの方が多い。
そうすると、検体の向きを変えるだけで数値が変わるなどして
確実な数値が得られないらしい。

これは科学者の間では当たり前のことだが、
消費者は知らない。メディアも伝えない。

だから、自主基準クリアと言っても、
その数値が正確なのかどうなのかはわからない。だから農水は
「信頼できる分析の要件に沿った取組が必要」と言ってるのだ。

メディアの言うことをうのみにしてはいけないし、
流通の言うこともちゃんと調べないとダメなのだ。

わたくしはもう人生50年近くなっていることと、
原発反対してても止められなかったしという自戒も込めて、
「共存」と腹を決めたので、それほど数値を気にしないが、
気になる人はきちんと聞いてみることが肝要でしょう。


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放射能の話を聞いてきた

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ほんたべ農園4月15日のソラマメのようす。5月5日現在は小指の太さ位の
さやが元気よく空を向いております。そらまめの花って小鳥が飛び立ってるみたいね。
希望に満ちあふれてて美しい。



3月28日、憲政記念館で開催された「学校給食全国集会」で
健康情報センター代表・里見宏先生の講演を聞いてきた。

お題は「放射能汚染食品を食べさせない学校給食を」。

学校給食全国集会は年に一度開催されている
調理師・栄養士その他学校給食に関わる人々の集まりだ。

主催は全国学校給食を考える会。

会の説明を上手にできないので
詳細は以下のサイトをご確認ください。
http://gakkyu-news.net/jp/

原発事故後の学校給食について知りたい方、
このサイトは非常に役立つと思いますですよ。

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春はあちこちに花が咲くのでふだん通らない道をわざと通ったりして、
草花を探すようになりました。そういえばわたくしの年頃になった母がそうだったなあ。
「死期が近いのかも」とか言ってたけど、最近わたくしもよく思うです。



さて、放射能。

先日新しい暫定基準値が策定された。
この数値も賛否両論あるが、とりあえず以前のものより
ずいぶん低くなっている。

セシウムについてのみ書き出すと
野菜・卵などの一般食品が 100Bq(kg)
飲料水 10Bq(kg)
牛乳 50Bq(kg)
乳児用食品 50Bq(kg) 

このベクレルという単位、放射能を表す単位として
すっかりおなじみだが、具体的にどういうものかは
あまり知られてない気がする。で、どういうものか。

一秒間に一個の原子が崩壊し放射線が出る
ベクレルはその単位のことだ。
100ベクレルの食品を食べると、体内で一秒間に100個、
放射線が出続ける。一年間では31億個の放射線が
体内を通過する。で、それはどういうことなのか。

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なぜかカメムシがあちこちで交尾してます。いや、いいんだけどさ。
できたら繁殖しないで欲しいのよね。なんつって、大きなお世話ですなあ。
生きとし生けるものはすべてが美しいのですから(とりあえず美しい建て前)。



ここで、放射性物質の毒性について考えてみる。

1. 物質としての毒性。
放射性物質としてはウランのみ、
食品添加物のようなADI値が定められているらしい。
えっ!びっくり。知らなかった。
しかし他の放射性物質にはADI値はない。えっ!それもびっくり。

2.細胞に化学変化を起こす。
放射線照射食品のところにも書いたが、フランスの研究で、
脂肪酸類がシクロブタノンという発がん性物質に変わることが
わかっている。人間の体内にも脂肪酸類はわんさかある。
あれま。

3.遺伝子に傷をつけ突然変異を起こす。
卵子と精子の遺伝子に突然変異を起こすことも忘れてはいけないね。

さて、このヒトの遺伝子、働いているのは1~2%程度で、
働いていない部分が傷ついても、影響はないらしい。

しかし2%に放射線が当たり変異することがある。でもね。
変異したDNAには修復機能があるため、90%は修復する。
人間って素晴らしいわね。この修復機能。

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カルスNCRを入れて冬作をすき込んだ状態の5月5日のほんたべ農園。
スが入った大根の残骸から花が咲いております。さすがアブラナ科、生命力強し。
ってことでGMナタネも生命力が強いのだと思われる。



放射線でガンになったり病気になったりするのは、
たまたま働いてる遺伝子に放射線が傷をつけ、
たまたま修復機能が働かなかった場合とも言える。

けっこう運・不運とかありそうだ。

てなことを考えて計算すると、
放射線がDNAに当たる確率は1/12,500だそうだ。
低いのか、高いのか。わたくしにはなんとも。

ただ、体内に入るものが多くなれば確率が上がるから
それが嫌なら体内に放射性物質を入れないこと、
それしか対策はない。しかし「入れない」のは現状難しい。

東日本にいようが西日本だろうが、
まき散らされたものは今後何十年も放射線を出し続ける。
私たちは放射性物質と共存しなければならない。

共存しながらできるだけ食べない対策。これがミソなのね。

あとはこれ以上事故のリスクを増やさないこと。
だから今晩、稼働している原発が「ゼロ」になるのは大変喜ばしい。
それはそれでとりあえず祝杯をあげよう。

暫定的脱原発に乾杯!


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絶対安全などあり得ない。でも知ることが武器になる

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農薬と放射能とどちらがキケンか?と尋ねられたら「どっちかと言えば農薬」と答えます。
農薬もただちに健康に影響はないけど、急性毒性が高くて危ないものがあるし、
催奇形性や発がん性の高いものがあるしで危険です。まあどっちもよくないモノですけど。



こんな記事を読みました。

災害に対して最も信頼できない情報源⇒「政府・省庁」59.2%。
「テレビ局の独自放送」 ⇒15.5%、民間の調査機関やシンクタンク⇒7.5%
(広瀬弘忠東京女子大名誉教授アンケート・2011.08.27産経新聞)

わたくし自然食業界のすみっこに身を置いているので、
この業界の消費者・流通・生産者の3者の話をよく聞きます。

消費者は「絶対安全」のお墨付きを欲しがり、
流通は「絶対安全はあり得ない」と言いたくても言えず、
生産者は「消費者の気持ちもわかるけどさ。売れないと困るのよね」と、
誰に向かって言うでもなくつぶやく。そんな感じです。

誰が悪いわけでもないのに、皆が不幸。大変悲しい状態です。

原発事故が引き起こす具体的な被害、さまざまな事象のひとつに
「国民皆が疑心暗鬼になり不幸になる」と追加すべきではないでしょうかしら。
とくに政府が信頼に値しないと思われている国では。

不確かな情報に右往左往し、うっかりだまされないよう、
きちんとした知識を持つこと。今できるのはそれぐらいって気がします。
ということで、データを集めてみました。

群馬 014
汚染された土壌の除染のために菜の花が使われるようです。ちょっと心配なのが、
そこで作業する人たちの被曝なんですけど、あまり話題になってないですよね。
放射能が出たとかどうとか以前に、そこで農業してる人の被曝はどうなってるんでしょう。
農家の被曝の結果作物ができて、それが売れないと思うとやり切れない気持ち。



日本の法律で定められている放射線許容量は、
通常に暮らしている人間では1年間に1ミリシーベルトとされています。
※自然界における放射線量2.4ミリシーベルト(世界平均)は除く

原発・レントゲン技師など職業として放射線を扱う人は別に設定されていて、
年間で50ミリシーベルトです(本来は5年間で100ミリシーベルト以内)。
※緊急時には100mSv/年が認められていましたが、
福島第一原発の事故後、250mSv/年に引き上げられました。

これらは、許容量以下だから安全という意味ではありません。

放射能の急性障害にはしきい値が設定されていますが、その他、
発がんリスクや遺伝子障害などについては、しきい値はないと言われています。

「できるだけ浴びない方がいいんだけど、浴びるならこれ以下。
但しメリットデメリットを勘案して、状況によっては変更あり」そんな感じでしょうか。

緊急時の職業人の数値が引き上げられた理由は、
社会的なメリットと人的なデメリットを天秤にかけたのでしょう。
職業人としての「緊急時だからがまんの量」を強いられたということですね。

gazou s038
セシウム137のベラルーシでの水の基準値は10Bq。ウクライナは2Bq。日本は200Bq。
ウクライナにはベビーフードにも基準値があって、500Bq。人々が食べる量と回数によって、
基準値はきめ細かく決める必要があるってことですね。他国の値は参考にはなるけど、
単純に比較はできない気がします。でも日本の水の基準は高すぎるよね。



さて、7月26日、食品安全委員会が、日本人の生涯の累積線量を
発ガンリスクが高まる100ミリシーベルトを超えないようにすべきという
見解を出しましたが、これは上記の法律とはまた別の考え方のようです。

100歳まで生きるとして1年間に1ミリシーベルト。
今決まってるものよりも余分にOKという意味? それってどうなのよ。

おそらくこの見解を元にして現行の暫定基準値が見直されるのでしょう。
暫定基準値の考え方については、
放射性物質と食品に関するQ&A(6月13日更新)に詳しく書いてあります。

それによると、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した放射線防護の基準を基に、
あれこれ計算して出したのが暫定基準値。あくまで「暫定」。ですから、
そろそろきちんとした基準値を設定すべき時がきているということですね。

現在のセシウム137の基準値は飲料水・牛乳・乳製品が200ベクレル、
野菜・穀物・肉・卵・魚その他が500ベクレルです。

で、「○○ベクレル」は、何シーベルトになるのか。
それがわかると食べたものの放射線量がなんとなく把握できます。

http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php
↑ベクレルをシーベルトに換算してくれるサイト

ちなみに「ベクレル」とは、放射性物質の量=放射能を表す単位です。
「シーベルト」は放射線が人体に与える影響を表す単位のことです。

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モミには当然玄米よりも高い数値の放射能があるんでしょうね~。
玄米では数値が出たけど、白米にしたら定量下限値未満で「検出せず」だったとか。
うーん。そういうものなのね。きっと農薬もそうなんだなあ。



例えば先日発表の、市川市で栽培された収穫後のコメの本検査で出た、
46ベクレル/kgで計算してみました(玄米の数値)。

日本人が一日に食べる米の量は約170g(平成16年の統計)ですから、
365日食べ続けると、0.037ミリシーベルトになります(預託実効線量)。
へ~。なんか少ない気がする。その他にいろいろ食べられそう。
※預託実効線量については以下のサイトでご確認ください。
わたくし物理・化学全般に弱く、うまいこと説明できませんです。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/yotaku_jikkou_syousai.html

さらに。基準値の500Bq/kgの野菜を一日300g食べ続けると0.71mSv/年。
しかし、500っていう基準値はちょっと高いですねえ。米だと0.4mSvだもの。
毎日食べる野菜や米については、もう少し低い数値にすべきでしょう。

こうやって計算してみると、ぼんやりとした実感がわきますよ。
であれば、放射能の数値も、基準値以内と漠然と言われるより
はっきり数字を出してくれた方が判断しやすいってことですね。

何しろ放射能は出続けており、汚染は引き続き進んでいるのですから。

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来春のわらびは日本全国で放射能が出たりして…。でも山菜は一年に一度だから、
老い先短い身としては食べてもいいかな~とか思っちゃう。リスクと利益を勘案して
食べたいものを決めるという判断もありですよ。それぞれが自分の思う通りにしてOK。
そして大切なのは、人のふるまいを批判しないことです。



うっかり忘れそうですが、福島第一原発からはちびちびと放射性物質が出ています。
風は大空をびゅうびゅうと渡ってます。風に乗った放射性物質がどこに落ちるのか。
そんな状態。日本に「安全な土地」があり得るのか。そんな不安。

放射能も、単に分析されてないから出ていないだけなのかも。
分析したら出てびっくり!という静岡の茶の例を見ても、その可能性は大です。

今はまず東日本産のものについての優先順位が高いのでしょうが、
この調子では、そのうち全国で検査ってなことになるのだろうと思います。

何しろ放射能は出続けており、汚染は引き続き進んでいるのですから。

しかし、やみくもに放射能を恐れる必要はないような気がします。
根拠をしっかりと把握すれば、正しく自己判断ができるでしょう。

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疫学的なデータはこれから我々から収集されます。このような事故が起きた前例はないので、
日本人のこれからがデータになります。ってことで、体調が悪くなったり何か起きた場合は、
医者に行って記録をとりなさいと『内部被曝の脅威』著者の肥田舜太郎さん。
自分のためだけではなくこれからの日本人のためにも、その記録が大切なのです。



自分で自分の身を守るための武器になるのは「知識」だけ。
自分で決めて責任を持つ。厳しいことですが、やるしかないのです。
政府が信頼に値しないのですから。

そして、このような不幸を国民に強いている原発は、
来年の再検査時に再稼働しないことが肝要ですなあ。デモしちゃおうか。

それにしても。

今起きていることを正しく判断し、今後起こることをきちんと想像できる、
そういう政治家に国を動かしてほしい。切に望みます。

ブログ友達のFuさんが、政治家の方々の発言をまとめられているので、
ご参考までにご覧ください。いや~、目の前がまっくらになりましたよ。
「原発推進者の「理」(1)」


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有機質肥料よりも化学肥料が安全という理屈

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平成22年度産米が高騰しています。でも農家が儲かるわけじゃないらしいです。
早場米も売れて売れてしょうがないとかどうとか。すでにパニックの兆しが見えてます。
米の放射能検査の結果如何で、1993年の米パニックが再来するかもしれません。やだー。



原発事故発生後、すでに5カ月経過。

事態は全く終息せず、次々に汚染の状況が明らかになっており、
第一次産業への影響は無くなるどころか、先行きが全くわからない状態。

すでに西日本の野菜・早場米の買いあさり、昨年産米の高騰など、
風評被害という言葉だけでは説明がつかない現象が起きています。

このような世の中は、もう通常の世の中ではありません。

我々の世界にはもう「絶対安全な食べもの」などないのだ。
3.11以降、私たちの世界は大きく変わったのだと、腹をくくって、
今後の人生を生きていくことが必要な気がします。

さて、稲わらからセシウムが検出され、さらに腐葉土から、
そして木材からと、続々に検出が続き、規制(自主規制含)されています。

311以降、野ざらしになっていて、雨がかかったもの全てに
放射性物質は等しく降り注いでいるわけですから、少し考えれば、
何もかもから検出されて当然なのに、誰も指摘しなかったのは、
気づかなかったせい? そんなことあるのかな。

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わたくしの畑で使用している麦わらは、平成22年度山梨県産無農薬麦のわらですが、
311以降、思いっきり雨かかり放題です。これを土壌中にすき込んだらどうなる? むー。
んで、来年の敷きわらはどうしたらいい? むー。



これらは野菜作りの堆肥原料になったり、土壌改良材の原料になるもの。
有機農家はこういった資材を、むかーしから利用してきました。

もしもそれらからセシウムが出て「使っちゃダメ」と言われたら。
何を使えばいいのでしょう。

わたくし個人は、昨年産の米のモミガラをまだ保管していて、
秋作にはこれを使用しますが、現在畑にあるワラや、野菜の残さを
腐植分として利用すべきか、畑の外に持ち出してゴミ処理場を汚染すべきか
多少悩んでいるところです。

原発事故が起きてすぐ、土壌中のセシウムは表層5センチ部分に留まるため、
すぐに表層をこそげとれば大丈夫と、何人もの科学者が言っていました。
でも、おそらく、誰も表層を削り取ったりはしなかったでしょう。

その土をどこに持っていくのかな~。どこに捨てるのかな~。

そんな感じで、わたくし自身も畑を耕しました。
セシウムはおそらくもっと深くまで入ってしまっているでしょう。
(当然ですがその後も降り積もってますし。たぶん)

このタイミングでできることはもっとあったんだろうと思いますが、
時すでに遅しです。

gazou 0s18
区民農園のスタートは3月1日。311以降、資格を放棄した方もいましたよ。
3月末には科学者の指摘がありましたから、4月には削り取るという判断もできたわけですが、
国としては、優先順位が高い事項が他にたくさんあったということなのでしょう。


セシウムは、土壌中ではカリに似たふるまいをすることが知られており、
カリ欠の土壌で作物を栽培すると、セシウムはより作物に吸収されます。

新茶でセシウムが検出された理由も、
こういった養分の転流が原因と言われていました。

新芽は前年の貯蔵養分で出てくるものですが、何かが足りないと
植物は今までの葉から養分を転流させて新芽に集めます。
既存の葉に存在したセシウムが大量に移動し、新芽に集まったため、
新茶から大量のセシウムが出たのだと、NHKでは報道されていました。

放射性物質がどうふるまうかなんて、今の世界を生きる我々には
チェルノブイリ事故一発のデータしかないのですから、ほんとのところ、
だらだらと放射性物質を出し続けた結果など、誰にもわかりゃしません。

今畑にある作物の残さや、草、落ち葉、ワラ、チップ、家畜の敷料などなど。
有機質肥料は基本的に全部自然のもの、雨かかり放題のもの。

セシウムが出たと騒ぐのはいいけど、対策は「排除する」のみ。
他の方法を、誰も知らないのです。

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有機農業にとって腐植分(粗大有機物=炭素)は団粒構造を作るとても大切なもの。
通常、草やワラ、モミガラなどで供給します。輸入のピートモスや泥炭を使う人もいますから、
そういう方向に変わっていくのでしょうかしら? いや~、お金かかるよなあ。



米ぬかだって、モミガラだって、今はまだ前年産のものがあるけど、
未来永劫あるわけじゃありません。じゃあ、どうする? 使わないの?
腐植分を輸入するの? 農家にそんなお金あるの?

一番簡単な答えがこれ ↓ 実際すでにそう言ってる人たちがいます。

「化学肥料が一番安全。だって、自然のものを使ってないから」

ある意味真実なんだが…でもなあ。どうなのよ。
世の中全体がこの方向に振れたら、オーガニックってどうなっちゃうの?
私は今、今年の米のことよりも、こちらを心配しています。

で、自分なりにオーガニックの優位性を考えてみましたよ。
とりあえず書いておきます。

1・有機農家には土壌分析をきちんとする人が多い
→分析してカリの数値を把握しておけば、カリ欠にはならないでしょう。
セシウムはカリ様のふるまいをするため、カリがあれば植物は吸わない(はず)
土壌分析しないで化学肥料使ったって、カリ欠なら結果は同じです。

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畑作の写真がないのでりんご畑で代用。化学肥料と除草剤を使い続けた結果、
土にはコケが生え、硬くしまって作物の生育が難しくなります。こんな土では食べものを作れない…
そういう経験が有機農業を生み出したとも言えるのですが。また元に戻るのかなあ。



2・有機農業には微生物層が豊かな畑が多い
→放射性物質を食べるものが見つかったとか見つからないとか(噂だけど)、
微生物の働きはきちんとわかってないけど、いるにこしたことはないはず。
有機質、とくに腐植が入らない土壌では、微生物は増えません。
っていうか、いなくなります。

あとは、「安全性とは何か」という議論をふっかけ屁理屈を言おう。

化学肥料が安全っていうなら、水耕栽培が一番安全ですよ。でもね。
わたくしは野菜工場でできる割高な野菜を、信頼しておりません。
目に見えないものども(微生物)の力が、作物には必要だからです。

現在の我々には、放射性物質のふるまいと同様、微生物のことも
さっぱりわかっていないんですから。

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おいしい食べものは、微生物が豊富な健康な土から生まれます。有機農業には
「おいしい」以外に、持続可能であること、生態系や環境に良い影響を与えることなど
メリットが多く、単純に「安全性」という物差しだけではかりきれないもの。なんだけど。なあ。



なんかもう、ほんとにどうなっちゃうんでしょう。

とりあえず、わたくしは秋作も粛々と種をまき、粛々と生育させますよ。
できることはそれしかないのですから。


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ほんものの食べものが無くなる日が来ても

トップページイメージ写真①
ほんたべのイメージフォト「ミツバチちゃんとコスモス」。
撮ろうと思って撮った写真じゃなくて、ぐーぜん撮れました。昆虫写真は基本いつも「偶然」です。



ブログを書き始めて一年経ちました。

履歴を見てみると去年の4月は上旬に3回ほど更新しています。
で、5月中旬まで間があいております。
当初は一週間に一回更新とか考えていたのでしょうが、継続しておりません。

理由は原因不明の熱でありました。

4月19日の朝から37.8℃くらいの熱が出て、前日まで飲んだくれていたため
「二日酔いかな~」とのほほんとしていたら、その後じりじりと上がり、翌週には38.5℃。
全く下がらないまま1週間。とうとう39℃になり、さすがにビビって病院に行きました。

「原因不明の発熱って症状で、それの名前は不明熱って言うんだよね~」
ミョーに朗らかなお医者さんが、かる~くおっしゃいました。
「一カ月ぐらい熱が下がんないと思うよ~。リウマチが心配だから血液検査しとこうか」

何度か採血されてレントゲンとって、リウマチの抗体とか調べてるうちに一カ月。
37.5℃で体温が落ち着きはじめ、ようやくブログの更新ができました。
(ちなみに現在の平熱も37℃位。わたくしは微熱オバハンなのですね)

というような思い出のある昨年の4月。
不明熱の理由はいまもって不明です。(だからこそ不明熱)

画像 001
おいしいお料理の紹介なんかできたら楽しいなあ…と思いつつ。一度もしませんでした。
自分の料理はガッサリした男の手料理風料理だし、食べに行くと写真撮る前に食べちゃうし。
そういうことに向いてないんですなあ。



当初週1の更新予定でしたが、書きたいこともいろいろあって、今は中3日更新。
去年写真がなくて書けなかったこともあるので、今年度は動物の写真撮影が目標。
「安心=ほんもの=おいしい」を軸にして、未来永劫このテーマが継続できると思ってました。

そうしたら。

誰も起こるとは思っていなかったとんでもない事故が起きたです。
その後の経緯は皆さんご存じのとおり。
で、わたくし的にかなりショックなことが続いています。

茨城県の牛乳が出荷停止になった際に聞いた話ですが(伝聞情報ですみません)、
この牧場は青草を食べさせてる放牧の牧場だったとか。
通常乳牛は牛舎で乾燥した草と穀物飼料を食べてるもんですが、
乳牛には大変珍しい、放牧している牛だった…ってことは、おいしい牛乳だったんでしょう。

私はふだん全く牛乳は飲みません。
時々飲みたくなると、放牧しているメーカーの低温殺菌牛乳を選びます。
だって、全然味が違うんだもん。フツーの牛乳、おいしくないんだもん。

で、出荷停止。ガチョーンって感じです。

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原木シイタケにも山の中にホダ木を置いておくもの、ハウスの中で発生を待つもの、
いろいろあります。たぶん山の中に置いてあるものが出荷停止になったのでしょう。
だから、わざわざ「露地」と言ってるのだと思います。



昨日は福島県の一部で、露地の原木シイタケが出荷停止になりました。

原木シイタケは、菌床栽培のものと比べて、手間と暇と労働力が必要だけど、
味は100倍ほども違うもの。まさに「ほんもの」のシイタケで、味も香りも素晴らしく、
ふんにゃりした菌床シイタケが嫌いな私は、原木シイタケしか食べられないのです。

で、出荷停止。

あああ、このままどんどん「おいしいもの」がなくなっちゃうんでは…。

食べもののおいしさは、そのものが自然に近い作り方をされているとか、
伝統的な製法で作られているとか、そういったことがとても影響するものです。

今もまだちびちびと放射性物質が出続けている状態で、
この後はどうなるんだろう。いつ自然が修復してくれるんだろう。

そういった状況の中でのほほんと「ほんもの」とか紹介し続けられるんだろうか。
実際に出荷停止になりつつある作物があるのに?
「なにぽよよんとしたこと言ってんだ!」とか指導が入ったりするんだろうかしら。

なんてことを考えると、何を書いていいのかかなりわからなくなっているわたくし。
事故の後、書いてることが戯言っぽく見えちゃって仕方がありませんのです。

画像 057
種をまけば芽が出るし、成長すれば花が咲いて実がなって、また種になる。
粛々と自分の仕事を続けるのが、きっと今できる唯一のことなのだと思ったりします。




しかしまあ、農家は種をまいてるし、生きものは生き続けています。
ものを作る人たちは、ものづくりを辞めることはないんだろうと思います。
だって、それが生業なんだもの。種をまくことが。



ブログを書いてるだけで実はわたくし、職業としては何も生み出しておりませんが、
やっぱりできることをやるしかないのかなと思ったりもしています。

事故が将来的にどう影響するのか等々わかんないことは置いといて、
これからもほんものを作る人たちを紹介して行きたい…その思いは変わりません。

さらに、ほんものだからこそおいしい! そんな食べものの情報や、
一般的に知らされていないこと、知らないこと、まだまだきっとたくさんあります。

誰かが「知る」ことで何かが「変わる」かもしれない。そこに意味があるかもしれない。
あるってことにしておこう。


ということで、本日また、決意を新たにした次第です。


ほんものの食べものが無くなる日が来ても、ちまっと書き続けます。
これからも食べものまわりの情報をお伝えしていきますので、よろしくお願いいたします。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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