60歳からの省力化米栽培「直播き」に挑戦-五十嵐晴夫さん

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五十嵐式改良マンソン仕立て(勝手に名前付けました)。
胸元の高さに果実がなるので作業性がよく足腰が弱ってきてもできる。
あと剪定がカンタンでわたくしでもできる。さらに枝がまっすぐ伸びるため、
ひとつの果実に何枚葉っぱが確保できているか数えられるのもステキ。
現在まだ土づくり中。今後食味はどんどん上がっていく予定。


定年後の60歳から20年間ぶどうを栽培するためにはどうしたらいいか?
作業性を考え抜いた改良マンソン仕立てで定年後にぶどう栽培を始め、
べらぼうにおいしいシャインマスカットを栽培している五十嵐晴夫さん。

五十嵐さんのシャインマスカットはけっこういいお値段するんだが、
それでもほぼ全て売れてしまうというからすごい。
そもそも以前ぶどう(デラとか)を栽培していたので素人ではないが、
定年後の再就農でそんな「売れてしまうもの」を作ることができるのは
マジですごいとしみじみ尊敬するわたくし。

いや、ほんと、五十嵐さんのシャインマスカットめっちゃおいしいの。
他の人のものと食べ比べるとただ甘いだけじゃなくてなんつーかこう、
コクというのか深みというのか、ぜんぜん違うのね。マジで。

「今までの取引先は値段が合わないから出さない」なんてチョー強気発言だが、
おいしいものを作るってそういうことだよなと思うわたくし。

その五十嵐さんが高齢化著しいコメ農家のための省力化米栽培にチャレンジした。
それが「直播き」である。

わたくしは米栽培のことをほとんど知らないため「直播き? おもしろーい!」
と単純に思ったのだが、検索するといろいろなところで省力化栽培として
取り入れられているようだ。なんだかんだ失敗した的な記事もあって興味深い。

では「直播き」って何のことかな?

カンタンに言うと種モミを田んぼにそのまままいてしまうことである。
バラっとばらまく方法と田植機で整然とまく方法があるようだ。

通常、稲作のスタートとしてわたくしたち米作りに無縁なものが認識しているのは
「田植え」だが、実はその前に田植えするための苗を作らねばならない。
ってのはちょっと考えるとあたりまえなのだが、意外と意識していないから
直播きと言われると「ええっ! どゆこと?」と思ってしまうわたくし。

というので、五十嵐さんの直播き現場を見に行ってきた。

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おきたま興農舎の米担当を定年退職後、ぶどう農家になった五十嵐さん。
興農舎時代から近所で直播きしている人の田んぼをよく見に行ってたそうで
聞いたとおりにやってるだけとおっしゃっておりますが、そういうのって
聞いただけではできないからやっぱり技術があるってことなんでしょう。

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バラマキなので代かきをした田んぼの周りを種まき前に溝切りします。
この溝切りも手押しの溝切り機とか使うと重労働でヤになるそうです。
数ヘクタールという小規模稲作農家は大きな機械は買えないんだなー、
なんて規模によっていろいろなんだって話をしみじみと聞いてしまったよ。


さて、稲作についての作業時間を割り出したデータがどこかにあるらしいが、
伝聞情報では「育苗から田植え」までは全体の約15%の作業量なのらしい。
育苗は3月末ごろ、まず育苗ハウスにビニールをはるところから始まる。

種モミを塩水につけ、いいものを選別した後に種子消毒する。
そして育苗用のトレイに培土を入れ、4月になったら種をまき、
その後は毎日水の管理(朝晩の水やり)、温度管理(ハウス開け締め)などを経て
ようやく苗が完成して5月に田植えするわけ。田植えまでに約一ヶ月強あるわけ。

培土は購入で金かかるしなんだかんだ手間かかるしで大変なわけ。

田植え時には育苗トレイに入っている苗をトレイごと軽トラに積んで
田んぼに持っていく。のだが、このトレイが重い。年寄りにはめっちゃキツイ。
さらに軽トラから田植機に積み替える。再び重い。年寄りにはめっちゃキツイ。

田植えは機械がやってくれるがトレイのセットはしてくれないので、
この重労働がどうにもならなくなると「もう辞めるか」と思うらしい。
ここまでが稲作全体の15%。あとは有機以外では重労働部分はほとんどない。
除草作業は重労働だが、一般栽培なら除草剤使えるからね。

重労働がツラくて田んぼをやめた後、農地が遊んでるのはもったいないからと、
近所の若いもんに「ウチの田んぼやんない?」と頼んだりもするが、
近所の若いもんってのは60歳くらいだ。ちなみに頼むほうは70歳だ。

頼まれた若いもん(60歳)は、自分の田んぼの育苗で目いっぱいだから
新しい田んぼのぶん、新しい育苗ハウスを建てなくてはならない。
育苗ハウスは40万~50万円で米の価格が安いからこんな経費はかけたくない。
60歳の若いもんが稲作をしたとしても70になれば育苗トレイが重くてやめてしまう。

つーことで、どうしたらいいかな? と五十嵐さんは考えた。
じゃあさあ、「育苗」しない省力化栽培すればいいんじゃん?

年寄りがあと5年、10年、米を作り続けられるために「育苗」をすっ飛ばし
「直播き」すれば農家の稼働年数が増え耕作放棄地は減るのでは。
何よりも「米をつくる」ことが継続できればお年寄りも元気でいられる。
ってことで、自ら地元で「直播き」を実践しているのである。

さてしかし。直播きをするためにはいくつか条件があるのだった。

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つーことで乗用の溝切り機「田面ライダー」。
バイクに乗るみたいでちょっと楽しそうだったな。

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種モミは鉄コーティングがしてあります。10アールぶん3000円くらいだそうです。
コーティングすることで鳥に食べられない・うまく沈むなどの効果があります。
これを除草剤をふる容器に入れてバラマキます。田植機にアタッチメントつけて
まっすぐ直播きする人もいるけどアタッチメントが100万とかするので、
栽培面積・数ヘクタールの小規模農家にはそんなのは買えないのです。

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直播き中。田んぼの半分が4分くらいで終了した。バラマキのため
密度の薄いところと濃いところができるが、薄ければ分けつ数が増えるため
総量としての収量は変わらないということらしい。改善点はいくつかあり、
これから少しずつ良くしていく予定。しかしあっという間だったわー。



まず、水の管理が自由にできなくてはならない。
直播きをすると、通常の栽培と初期の水管理が全然違うため、
上流から強制的に水が来てコントロール不可能でわがままできない等の
自由度の低いところではできない。こういうの冬水たんぼと同じね。

もうひとつ。付加価値商品を作るのには向いていない。
つまり有機栽培とか食味値の高い米、なんてのは直播きでは難しい。
とくに五十嵐さんの実践しているのはバラマキのため、
除草機は入らない。したがって、除草剤の使用は必須である。

また早生品種でないと成育が追いつかないため、コシヒカリやつや姫は向かない。
人が田植えしてるときにタネまくんだから、一ヶ月分早く育たないとね。
つーことで五十嵐さんはハエヌキを選択している。

気になる収量だが、昨年は一般栽培と遜色ない10俵確保できたらしい。
今年は11俵が目標だ。食味については「こんなもんかな」って感じだったらしいが、
「高食味で有機」的な付加価値米を栽培するわけではないのだからそれでいいのだ。

とは言っても五十嵐さんの栽培では除草剤は2回(成分だと5位かな?)、
イモチ病対策に2回、カメムシが出たら殺虫剤1回ってことだから、
特別栽培農産物レベルである。一般栽培よりも農薬の経費削減は可能だ。

なんて話を聞いてたらいいことばかりだから、なぜ誰もやんないの? 
とか思っちゃうんだが、皆が五十嵐さん同様にできるわけではないらしい。
細かい観察力とか改善力とかマメなお手入れが必要ということであろう。

「けっこう見学に来る人いるけど誰も試さないんだよね。どうしてかなー」
なんて五十嵐さんはぼやいていたが、新しいことを試すには勇気がいる。

しかし五十嵐さんの「60から20年間継続できる省力化栽培」はすでにぶどうで実践中で、
その「改良五十嵐式マンソン仕立て」のシャインマスカットは食味的に大成功だし、
今後米の直播きで一定レベルの収量と食味が確保できると皆にわかれば、
やってみようと思う人が増えるだろう。そうなると地域全体が元気になる。

すんばらしいことではありませんか?
農家に定年はないから働きたければいつまでも働くことができるのだ。

さて五十嵐さんには直播きの方法を根掘り葉掘り聞いてきたのだが、
なんかしらん文字数が多くなったので次の機会ってことにします。

しかし面白かった。今後も継続して取材していく予定です。


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「日本一手間のかかる味噌作り」始めました

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お疲れ様でしたー! 楽しかったあ。次回もよろしくです。


ちょっと大げさなタイトルを付けてみた、今年の
「大豆の種まきから味噌作りまで」。

第一回、無事終了したです。

今年は千葉県のさんぶ野菜ネットワークさんの畑をお借りして、
ちんまりと3せくらいでやっております。
今回の主催はほんたべではなく、なんと某D社。っつか大地を守る会。
ってことで、どえらい暑さの8月2日土曜日に種をまいてきました。

一昨年茨城県のさちこさんの畑で種をまいたのは6月下旬。
8月で大豆になるんかな?と思ったんだけど、ちゃんとなるらしい。
早くまきすぎると虫が入って正品率が低くなるとか、
樹が大きくなる割に実ができないとか、いろいろあるらしい。

地域によって豆のまきどきは違うってことですね。

そして今回準備していただいたタネは「小糸在来」という
君津の小糸川あたりの在来品種で、とても貴重なものなのだった。

これはさんぶ野菜ネットワークの事務局、花見さんが、
自分で栽培して自分で採ったタネなのだった。
「小糸在来」という名前を使うにはいろいろとルールがあるので、
そういう名をつけては売れないのだが、売らないからいいのだ。

小糸在来
とても貴重な小糸在来。ちょっと緑色っぽい豆でした。
枝豆にすると甘くてほのかな香りがしてうまいらしい。
味噌にするとすごーくおいしそうである。

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小糸在来がたりなくなった時用の黒大豆も花見さんが自家採種したもの。
とても美しい豆でした。5列ほど植えたかな。どっちが発芽率がいいか楽しみ。



さて、このところの関東は全く雨が降っておらず。
とくに千葉はカラカラに乾いており、もうもうと砂埃が舞っていた。

そもそも千葉は火山灰土でCECは高くても軽い土。
風が吹くと表層の土が舞い上がり「ここは砂漠か千葉か」ってな土質で、
この時期乾かれると人参が発芽しなくて大変なので、
人参のタネをまいた人たちがあちこちで潅水していた。

しかし「味噌作り」の大豆は天水のみの栽培である。
潅水なんて大豆でする人はいないのだ。

ということで、来週の台風の雨に期待だ。

もしかしたら発芽率が悪く、欠株だらけになって
ひょっとしたら収量もめっちゃ悪いのでは・・・・(遠い目)、
なんちてしょっぱなから不安にまみれたわたくしだが、
参加者の方々には「出るでしょう! 来週雨が降れば!」と
楽観的なことを言っといた。

主催者(今年は違うけど)がのほほんとしてた方が、
神様は微笑んでくださるに違いないのだ(根拠なし)。

降るでしょう。

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一列に並んで粛々と種をまいております。
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個別に指導を受けております。ちょっと掘ると湿った土が出てくるので、
そこまで掘ってぎゅっと鎮圧しないとダメ!と言われております。
その湿り気で発芽するんだって。不思議だね。大豆。

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さちこさんの畑ではしなかったけど、今回は鳥よけも入念に行ったです。
ハトに食われたらそれだけで腹立たしいからね。食われませんように。



わたくしには農業の神様、大神山神社の大己貴命の
ご加護があるに違いないのだ(妄想)。

さらに、種まきしたのは在来品種である。
こういう旱魃とか悪天候とかの年には「在来品種」が強いのだ。

ここで思い出す、何年か前の埼玉の話。

旱魃でちっとも雨が降らず、大豆が不作で大変な年があった。
その年、秩父地方の在来品種「借金なし」を作付けていた人だけ、
フツーに採れたらしい。

「借金なし」は忘れられていた在来品種で
秩父の普及所かどこかが保存してた豆らしいが、
これによって一躍スターダムにのし上がった。

埼玉県ではこの後「やっぱ在来種だよね」ってことで、
「借金なし」を「幻の豆」として地域おこしの材料としているのだ。
「借金なし」の豆腐とかよく売ってるのだ。

ということで、小糸在来も「強い豆」だろうから、
旱魃だろうがなんだろうが、ちゃんと発芽して
ちゃんと人数分の収量を上げてくれることに期待である。

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初回だからとお昼ごはんに人参のポタージュと焼きそば、お味噌汁、
お漬物、ナスの煮浸し、オクラとミニトマトなど準備してくださった
さんぶ野菜ネットワークの山本さんと富谷さん(写真撮り忘れた)、
ありがとうございました。んまかったです!

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今回農業指導をしてくださった岩井さん(左から)、雲地さん、富谷さん。
次回からもバッチリがんばるです! ありがとうございました。



まあ採れなかったら採れなかったで「すみません」なのだ。
だって豆は工業製品じゃないんだもん。
天候の具合によっては採れたり採れなかったりするのは当然だ。
そういうこと含めて「日本一手間のかかる味噌」を作るのだ。

どうも「「チョー雨女」を卒業したらしいのだが、
「旱魃女」になったらヤだな、とか少し思ったりしているわたくし。
雨乞いの踊りでも踊って、来週の台風に期待である。

次回は9月20日土曜日。草取りである。

今後の順調な成育を大神山神社の神様にお願いしとこうっと。


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「援農」について思うこと

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9月21日、本庄市の瀬山明さんのところへ行ってきました。
冬作の作物の種まき、育苗、定植が行われておりましたよ。これは大根。
省力化のためシーダーテープに入れて一人で作業できる工夫がしてありました。



某D社には昔、年2回「合宿」という行事があった。

春と秋に一泊二日でどこかに出かけ、何かをしてから
大酒を飲むと言う大変楽しい行事で、各部署幹事持ち回りで行う。
部署ごとの個性が如実に現れる大変楽しいイベントだった。

合宿では毎回いろいろなことがあった。

宴会場で花火を加えて駆け回る人(わたくしの上司)、
旅館の玄関先でばったり倒れて寝ちゃった同僚、
たき火の周りでゲラゲラ笑いながらボヘミアンラプソディを歌う人々(私含)、
浴衣をはだけて廊下を走り回り人を噛む人、噛まれる人など
中学生の修学旅行のようなレベルの低い愉快なことが次々に起こり、
その旅館には二度と泊れなくなることが常であった。

しかし、分別のついた賢い新入社員が増えて行くにつれ、
だんだんつまらなくって、そのうち参加するのをやめてしまった。
「分別くさい人は立派だけどおおむねつまらない」
わたくしの持論である。

それはともかく。

わたくしが産地担当になった年、産地担当が合宿の幹事をした。
農家周りを仕事とする産地担当らしく「援農」がテーマで、
埼玉・茨城の農家に社員がまとまって援農へ行くという合宿であった。

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ほんたべ農園産のかぶですが、これ、一般的には規格外品っす。
某D社の友人におすそ分けした際に「これS産地のB品?」って言われたわたくし。
C品って言われなくてよかった! うれしいような悲しいような気分でございました。



某D社の社員だから農業が得意かっていうとそうではないから、
もたもたする社員に一から教える農家はイライラしただろう。

わたくしはそのとき、鶏卵農家の手伝いに行ったが、
他の女子社員が優雅に「たまごひろい」をしている間、
どういうわけが30日齢の鶏をつかまえて鶏舎を移動するという
素人には大変ハードな仕事を新入社員二人と担当した。

作業後の、鶏糞まみれになって鶏の羽が髪の毛についてるほこりっぽい我々と、
にこやかにたまごを拾ってた同僚との姿かたちの差は相当なものであった。
わたくしはこれで靴をひとつ捨てることになった。
マジな援農とは大変なことなのである。

さて「援農」というのは、都会の人々に人気があるイベントである。

某D社社員も、近隣の産地にお手伝いに行くことがあった。
「ほんとは来てほしくないけど取引先が来るというので断れない」
実はこれ、農家のホンネであった。
都会の人々の作業は農家的にはちゃんとした仕事ではないからである。

以下は社員が援農に行った後に農家から聞いた話の一例だ。
悪気のない笑い話なのだが、なぜ来てほしくないかがよくわかる。

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これ、シナノゴールドの正品。美しくぴかぴかなものがそろってます。
選果は園主しかできません。判断基準がブレてはいけないからです。

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こちらが規格外品。一個ずつ見れば「なるほどね」だが、
自分が手に取って見てると「これぐらいいいんじゃない?」と思うから不思議。
プロのものさしは厳しいってことですね。



・かぶの調整(出荷できる状態に整えること)をしてもらったんだが、
あとで見たらほとんど規格外品。全部やりなおした。

・桃の袋かけを手伝ってもらった後大風が吹いて
某D社社員がかけた袋が全部飛んでったのでやり直した。

・摘果を手伝ってもらったが甘いので全部見直してやり直した。

どういうわけだか人々は、自分ちに来た商品を見る目と、
自分が出荷する際の商品を見る目というのが違うらしい。
「これぐらいいいんじゃない?」という自己判断をしすぎるため、
素人の選荷はどんどん甘くなる。だから出荷前調整は無理。

摘果も同様の理由で、どれを選んでいいかわからないからムリ。

トンネルを張らせるとのちのち風でぶっ飛ぶ甘い張り方しかできないし、
難しい作業をしてもらうのは説明する時間がもったいないからダメ。

なんてことを考えると、素人ができる農家の手伝いというのは、
ほぼ、草取りしかないのであった。
(でも草取りって援農的には一番つまらない作業なのよね)

日常的に農業をしていない人たちができるマジな農作業など、
この世に存在しないのだ。
「援農」とは受け入れ側の農家に余裕があるときしかできない、
わりと難しいイベントなのであった。

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トンネル張りやマルチ張りもそれぞれにコツがあり、技が必要なの。
素人2人でやると風でぶっ飛ぶマルチやトンネルが量産されて、
結局全部やり直しなんつーことになったりするのよね。



これをうまいこと解決する方法がひとつある。
「援農」ではなく、「援農体験」でお金をいただくことだ。
私が以前勤務していたNPO法人では一人一回5,000円もらっていた。
その代わり、宿舎と食事は提供する。何日いてもかまわない。

5,000円の理由は、農家が作業を教える手数料のようなものだ。
これを聞いた時、うまく考えているなと感心した。

農家は無償で作業を教える手間のことをもったいないと思う。
手伝う側は「お手伝い」なのだから農家のためになってると思う。
だから、気分的には「教わる」という気持ちでやっては来ない。

この温度差が積もり積もると双方の負担になり、
そのうちやめたいと思うようになり、なんとなく不幸な結果に終わる。

「お金を支払う・いただく」というハードルを設けることで、
お互いの意識を同じくすることができ、ストレスがたまらない。
大変合理的な方法なのであった。
しかも、「援農」ではなくあくまでも「援農体験」ってところがミソ。

農業ってのは単純なようだが、実は大変複雑な段取りが必要な仕事だ。
各農家、それぞれにめいっぱい省力化を図って作業をしている。

素人がそこですぐできる作業などないってことに(草取り以外は)、
なんとなく気づいた今日このごろなのであった。


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「鳥取」は「島根」の右側です!

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ついでに言うと、鳥取の右側は兵庫県、下は岡山県。
日本5大美人県であると鳥取県の広報部が主張しております。日本海側、
秋田を筆頭に一県おきに美人県らしいっす。秋田→新潟→石川→京都→鳥取。
福井とか山形、兵庫の立場はどうなんだと思わないでもない。



ひとくくりに「山陰」と呼ばれる鳥取県と島根県。
何度鳥取だっつっても「島根出身だよね?」と言われ続けて20数年。

東京暮らしが鳥取暮らしより長くなっても、生粋の鳥取人であるわたくし。

日本で唯一スタバとドンキホーテとセブンイレブンがない県と
ツイッターで大盛り上がりしていても、
「鳥取ってさあ、砂丘のなかに町があるんでしょ?」と言われても、
日本の県庁所在地では一番最後にマクドナルドができたことを知ってても、
わたくしの根っこは鳥取にあり、誇りにしとるんでございます。

っていうことで、今回ちょっと鳥取県(主に鳥取市周辺)について
わたくしなりに考察してみたのでございます。

さて鳥取県の人口は582,422人であるらしい(2012年7月1日)。

全国47都道府県の中で47番目で、人口は最も少ない。
ちなみに現在わたくしが住んでいる世田谷区の人口は
860,071人で、鳥取県よりも多いのだった。あれま。

だから息苦しいのかもしれないな、世田谷。歩くだけで。

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うまいもんと言えば、酒。諏訪酒造の鵬は有名だけど、その他、
日置桜とか鷹勇とかおいしいお酒がありますよ。
智頭町の諏訪酒造のショップでは、試飲もさせてくださいます。

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昔は宿場町で栄えたのでしょう。非常に美しい街並みが、一瞬だけ続きます。
諏訪酒造はその一画にあります。水はうまく、空気はきれいないいところ。



ゲゲゲの鬼太郎の水木しげる先生の出身地の境港市は、
島根県ではなく鳥取県である。
さらに宍道湖の風景が美しい「松江」は、
鳥取県ではなく島根県にある。

鳥取出身の有名人と言えば、言わずと知れた「ゲルさま」こと
石破茂元農水大臣・防衛庁長官などがいらっしゃるが、
その他の人々のことをあまり知らないので、これはまあいいか。

そして、二十世紀ナシは鳥取のブランド商品ではあるが、
生まれが千葉だということはあまり知られていない。

大栄スイカというバカでかいスイカも鳥取のブランドだが、
大栄町が市町村合併で無くなったことは、県外の人々には
それほど知られていない。

ついでに言うとトリンドルちゃんが「鳥取のハワイだで~」と言った
羽合温泉はまだあるが、羽合町は市町村合併でなくなってしまった。

このため、「鳥取のハワイに行って来るでえ」とか言う
テッパンのオヤジギャグが言えなくなったが、それはそれで良しとしよう。
鳥取の子どもが100回は聞かされるオヤジギャクだからだ。
そのうち自分も言うようになってしまう。

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鳥取市内の女子高生およびOLに人気の「らっぱ屋」。タイ焼き屋さんです。
人形町の行列ができるタイ焼きよりも絶対に10倍はおいしいタイ焼き。
でも地元民もあまり知らないタイ焼き。

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大変小ぶりなので、一人で3個くらいは平気です。
秀逸なのがあんこのおいしさ。タイ焼きの皮は薄っぺらくてパリッとしており、
これ食べたら屋台のタイ焼きなんて食べられませんよ。

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一匹ずつこの型で焼きあげます。かわいいよね~、手作り感満載。


もうひとつの鳥取ブランドに「らっきょう」があるが、
今年は不作で非常に高値になったらしい。

今年のらっきょうはお高かったはずでございます。

らっきょう収穫シーズン6月になると、鳥取砂丘周辺が
らっきょうのニオイで充満するが、最近はどうなんだろう。
らっきょうギライの人には、この時期の砂丘行きは苦行であった。
(わたくしのことであります)

冬には漁港から直接おばさんが行商にやってきて、
松葉ガニの親ガニ(北陸地方で言うところの香箱ガニ)が
3~5枚で1,000円位で買えたので、昔はおやつにカニ食べたりした。

東京で夏に岩ガキが売られ始める何十年以上も前から
鳥取市民は「カキと言えば夏に食うもんだ」と思っている。

サザエは基本的に買うものではなく採るものだったが、
最近は漁業権とやらで大変なので、買うことにしている。

海水浴は8月に入るとクラゲが出てきて刺されるし、
お盆には死人に足を引っ張られるので、7月でおしまいにする。
お盆に鳥取で泳いでいるのは他県の人である。

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鳥取のメインストリート「若桜街道」にある老舗「ベニ屋」のカレー。
わたくしが小学校のころから全く変わっていない、こっくりした甘辛いカレー。
ほんとにおいしくて大好き。ベニ屋と言えば、カツカレーっすよ!
ちなみにここの夏の名物は「インド氷」という名のかき氷。



大人になると「海に行く=帰りに温泉でひと風呂浴びる」になり、
冬は「スキーに行く=帰りに温泉でひと風呂浴びる」になる。
どちらも日帰りが基本だ。鳥取市から海は最短で20分、
スキー場は約1時間の位置にあり、温泉はいくらでもある。

海水浴場は小学校低学年では砂浜の美しい遠浅の海に行くが、
高学年になると岩場の波の荒いところに行くようになる。
水中メガネは必須だ。浮輪をしていた友人を私は知らない。

男子はこの頃からモリなどを入手し、漁を始める。

海の中にはちびっちゃいふぐがぴよぴよ泳いでたり
こどものイカがひらひらと泳いでたり、コバルトブルーの魚がいたりする。

石英粒が主体の砂浜は白くて美しく、海水の透明度も高く、
キスやカレイが海底にたたずんでいるのを見るのは当たり前だ。

砂は白いものだと思っているから、湘南および関東の海が理解できない。
東京に来て驚愕するのは、砂とうどんつゆの黒さである。

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わたくし、facebookで「ソフト部」という活動をしておりますが、
大山みるくの里のソフトクリームは秀逸のおいしさでございました。いやはや。
さすが開拓・酪農の地、大山。夏は登山、冬はスキーができる山でございます。



雨が多いので雨に強く、多少の雨では傘はささない。
『弁当忘れても傘忘れるな』という言葉を
小学校に上がるころには皆覚えている。

冬の空は鉛色で、日本海も鉛色なので、
東京の青い空はなんとなく気づまりで冬っぽくないと思っている。

冬は大雪が降るが、多少の雪では学校は休まないため、
雪の上を歩くのが皆うまくなり、チャリンコで爆走する者もいる(わたくし)。

だいだらぼっちが土を運ぶときにぼとぼとと落っことしたと言われている
ひく~いぼた山が鳥取市内を囲み、子どもたちはここで遊ぶ。
子どもたちだけで山に登って探検する。秋には木の実を拾って食べる。

外遊びでまっ黒けになっているから、大人になって
「あんたそんな色白だったんか!」と言われたりする(わたくしのことであります)。

ああ、そんな、自然がいっぱいの大変美しい県、鳥取。
東京にいるとほとんど思い出すことはないふるさと
(うどんとちくわぶを見るたび思い出すけど)。

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鳥取の夏と言えば、長とうがらし(通称長とう)。
伏見甘長唐辛子よりも長くでかく、グリルで焼いて鰹節かけて食べます。
鳥取県以外で見たことのないとうがらし。これって在来品種じゃないのと思うんだけど。

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鳥取のうまいもん食べたい人は、この看板を探すといいでしょう。
鳥取県産の材料を一定の割合以上使わないともらえない看板らしいです。
夏の間はほんとにうまいイカの刺身とか、サザエ、岩ガキなど、
おいしいものがたくさんあります。



わたくしの生まれ故郷は、何もなくともほんとうに美しい。

人々はのんきで、おいしいものを食べ、豊富な海や山の恵みを
そうとは気づかず当たり前に享受している。

何十年かぶりにお盆前に帰省した今年。
東京に住まう者の目で鳥取を見つめてみた。

もう鳥取に住むことはないのだろうけど、
自分のねっこにはいつも鳥取があるのだということを
再認識したのでございましたよ。

ああ、楽しかったなあ。

鳥取について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→http://www.tottori-guide.jp/
なんかいろいろイベントやってます。


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「作ること」と「売ること」は両立できるか

紅秀峰だけど
ものすご~くおいしいくだものを作ってる人って強いなあと思う。
なぜならくだものは嗜好品であり、高くても買う人は必ずいるからだ。
野菜だとそうはいかない。単価の安い野菜の販売は、だから難しい。



某D社で産地担当になった2000年。

当時は「有機農産物」(有機JAS施行前だからね)なら売れる時代…
でもなく、すでに「安全な野菜」の勢いはなくなりつつあった。

某D社では一時的に作付減という事態に見舞われ、
産地訪問して作付を減らす交渉をした際によく言われたのがこれ。

「何を作ればいいんだい?」
「もうこれからは作れば売れるって時代じゃないんだね」
「消費者や流通が欲しいってものを作んないと」

「作れば売れる時代ではない」とその時農家の方々は認識したのだ。
そしてわたくしは「戦略無く、ただ作ってたのか!」と多少の驚きをもって
この言葉を聞いたのだった。

「マーケティングを行い売れ筋のものを考えてうまいこと売る」
当たり前だと思ってたことは農業の世界では当たり前ではなかった。
生きていくの必要な食べものだから? 嗜好品じゃないから?

グリーンマーク
野菜の中ではおいしいトマトを作る人が強いなあと思う。
高糖度トマトってすごくいい値段で売れるからね。熊本の「塩トマト」なんて
びっくりするぐらいの値段がついてるすでにブランド品。
ブランディングは農家がしたのか流通がしたのか不明だけど、とにかく上手。



この言葉は、10年経った今でも割合とよく聞く。
「何が売れるかわかんないから教えてほしい」

産地に行くと「あそこんちは今年ブロッコリーで儲かった」とか
「カリフラワーが良い値だったから御殿が建った」ってな
噂話をほんっとによく聞く。

自分で取引先を持ってる人たちは関係ないんだけど、
資材屋さんや種屋さんから情報が入って来るのであれこれ教えてくれる。
こういう噂話は主にJAや市場出荷の慣行農家のお話である。

で、何が起こるか。

噂になった作物を、翌年皆が作っちゃうのだ。
皆が作れば値段は下がるだろうになあと思うのだが、
どういうわけだか作っちゃうのだ。

この傾向を見るたびに、儲かるためには人がやってることを
そのままやってちゃだめなんだという商売の基本が見えてくる。

momo 036
おいしいものを作っててそれがちゃんと売れてれば加工なんてしなくていいんだけど、
ハネ出し品や出荷できないものを有効活用しようとすると、加工品が作りたい。
でも作り始めるとそっちに手を取られて本業がおろそかになる…ってのが問題。
そのために六次化政策がある。産業が生まれれば雇用が発生するからね。でもね。
農家ってうまいこと人を使えないのよね、職人だから。そこらへんが今後の課題かも。



でもね、でもね。JA・市場に出し続けているとたぶん、
販売戦略とか考える必要なくて、ただモノを粛々と作り出荷して
それなりの収入を得られるからいいのかな~とも思うの。
「アタシは作るから売って頂戴」ってことなのかもね。

ところが最近、状況は一変してきたようだ

販売も栽培もできる農家。こういう人々が必要とされているのだった。
その方向性が見えるのが、「農村漁村の6次産業化」という政策だ。

これは「雇用確保と所得向上のため」というお題目で、
けっこうな額の助成金が準備されていた(昨年度の話)。

農水省のHPを見てみると平成23年度の事業が全部書いてあったが、
知ってる農家が何軒か採択されてた。皆「やり手」といわれる人ばかり。

やっぱりなあ。以下ご参考まで。

農山漁村の6次産業化
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/pdf/6jika_suisin.pdf
六次産業化法に基づく認定事業計画一覧
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika/nintei/pdf/110531-03-2.pdf

gazou 003
始めて噂を聞いたのは2004年ぐらいだったシャインマスカット。その後
いっせいにぶどう農家が作り始め、最近スーパーでよく見るようになってきた。
2007年くらいに出荷した人はたぶん儲かってる。今もまだ高値。もうじき落ちる。
これが新品種の運命なのね。新品種は「最初に作ることが肝心」なのだった。



限界集落、離農、高齢化、失業率の上昇、人口流出…
農村における問題は山積している。

農村の未利用資源(バイオマス・農産物等)を発見し、
それらを活用した産業を興し、雇用を発生させ人口の流出を止め、
販路を拡大して農村に利益を還元するしくみを作る。

ざっくり言うとこれが六次産業化。
縮めて「六次化」とも叫ばれている(地デジカじゃないよ)。

補助金もらってとりあえず加工場作っちゃえ!とか
六次化って何すんですか?的な人もまだたくさんいるけど、
これがうまく機能すれば、農村が活性化するんじゃない?
最近そう思うようになった。

「作物と向き合っていいものを作る」のはとても尊くて大切なこと。
わたくしはそういう農家が大好きだが、何軒かに一人は
「売ること」に特化した戦略を立てられるような人が必要なのだろうと思う。

gazou 014
山形県のブランド米「つや姫」。確かにおいしいんだけど、やっぱり
魚沼コシヒカリには勝てない。一昨年デビューだからブランドとしても定着してない。
消費者の米の需要ってほんと読むのが難しいから、ブランドになるのが一番。
でもねえ、そこまでが難しい。だからブランディングでお金儲けができるわけ。



「地域全体が元気になる」ためには、
個別の農家が調子良くてもダメなのだから。

具体的にアイディアがあり実現したいという方には、
「中小企業ネットワーク強化事業」を利用するって手もある。
(WEB検索すると地域ごとにいろいろ出てきます)

某D社では9月に農業後継者の会議を行うらしい。

テーマは「販売」なんだって。いろんな事例が聞けると楽しいな。
中には面白いことを考えてる子が絶対にいるだろう。
そういう人たちが中心になり、農村が元気になるといい。


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産直提携という名の地域活性

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短角牛の子牛ちゃんと母牛。5月に山あげされ里に下りてくるのは10月。
その間に自然交配してて、1月ごろから子牛がうまれます。生まれた子牛は
翌年の5月から約半年間、放牧されて大きくなります。



わたくしが以前働いていた大地を守る会ではむかーし
「夏の産地交流ツアー」ってのをやってた。

夏休みに、全国各地の産地に出かけ、生産者のフィールドで、
食べもののことや農業のことを考える体験型ツアーで、
新入社員が入社2年目くらいにこのツアーを担当する。
(しない人もいる)

集客・情報提供・旅行代理店、産地とのやりとりなど
盛りだくさんの実務があり、思い通りにはなかなか行かず、
大変イライラする楽しい仕事であった。

わたくしもある年、徳之島の産地を訪問するツアーを担当した。
遠隔地。しかも高額であるため消費者が集まらないツアーなのに
未だかつてない参加者数を集客することができたのが自慢。

その時のやりとりはほんとうに勉強になった。

現在でもそのスキルは生きており、イベントをするにしても
農業体験ツアーをするにしても、段取り等その他もろもろ、
仕事の進め方が体に染みついているので、全く苦にならない。
今のわたくしがあるのは、本当に某D社のおかげなのであった。

DSC00875.jpg
当然ですがツアー初日はBBQで短角牛食べ放題。赤身のお肉は
話題のダイエット物質カルニチンが多いらしく(草食ってるから)、
霜降りのお肉なんかと比較してかな~りヘルシーなのでございます。



さて、作り手のところに出かけると、本当にいろいろな発見をする。

パックされてる商品からは学べないことがたくさんある。
どんな人が作ってるのかわかると、ほんとに不思議だけど安心する。
ツアーでは生産者の家に泊めてもらうことが多かったが、
その後、農家と消費者が親戚みたいな付き合いをする例もあった。

食べる人が作り手のところに出かけるってのは、
とても重要なことなのだ。お互いにとって。

その先駆けになった産地交流ツアーは、現在でもまだ開催されている。

今年、30回目の「山形村べこツアー」が行われた。
山形村=現・岩手県久慈市山形町。市町村合併で名前は変わったが、
大地を守る会の社員や消費者の間では、いまだに「山形村」だ。

このツアーの成り立ちから追いかけてみると、
夏休み、年に一度開催されていた産地交流ツアーが、
地域活性につながったという物語になることに最近気付いた。

gazou 042
口蹄疫の嵐が吹き荒れてた年、放牧場に行ってみたけど牛見られず。
どこか山の中に入ってたんでしょうねえ…。一般人は牛舎の近くにも寄れず、
口蹄疫ってほんとに恐ろしいのだなと実感したです。



現在あちこちで行われている地域活性の取り組み。
大地を守る会では30年も前からやってたのだった。

そもそも大地を守る会と山形村のお付き合いは
「短角牛」という肉牛から始まった。

夏の間放牧で育ち、自然交配で繁殖し、
サシ重視ではない牛肉本来のうまみを追求した
赤み主体の肉づくり、無理な肥育をしない短角牛は、
大地を守る会の理念にぴったりだった。

岩手県山形村は地名に「荷軽部(※)」なんて名前のある、
岩手県の山奥の村である。

中山間地の集落にありがちな、過疎になりつつある村だった。
※山道が平坦になり荷が軽くなるので皆が
「荷~軽いべ~」というのでそういう名前がついたとか。

この「短角牛」という商品を軸にした都会の人々との交流は、
30年前に始まった。

gazou 027
わたくしが唯一口にできるしいたけは、山形村の原木しいたけなのでした。
菌床しいたけなんか食べられないし、味もないしで、しいたけはやっぱし原木。
これも短角牛がきっかけで取り扱いが始まった商品なのでした。



最初のツアーのとき、村の人々は都会から人を招くのに
都会の食べものを準備しようとした。その方が喜ばれると思ったのだ。

意に反して都市生活者たちは、地元のものをとても喜んだ。
美しい自然、きれいな水、牛がいる景色を喜んだ。

自分たちには当たり前の食べもの。当たり前の自然。
これに価値があることを、村の人たちは初めて知った。
過疎の村、自分たちの村に、価値があることを発見したのだった。

最初は「都会からたくさん人が来てるけど何してるんだ」と
やっかみの声もあったらしい。しかし皆が楽しそうにしてる。
なぜだろう? だんだん人が集まるようになった。

最初は短角牛だけだったお付き合いが、山菜やしいたけ、
工芸品、養殖ヤマメの商品化につながった。

そのうち「短角牛」は大地を守る会を通じて、
東京のレストランに出荷されるようにもなった。
赤身主体の肉、決して主流になりえないと思っていた肉が、
「牛肉らしい味、うまい肉」と、評価されるようになった。

こうして「山形村短角牛」はブランドになった。

gazou 034
冷涼な気候を利用して、夏場にはほうれん草を出荷。誰が思いついたのかな。
こうして村の産業が少しずつ活性化して行きました。都会の消費力ってすごいからね。



30年の間に、大地を守る会とともにさまざまな取り組みを行い、
現在では100%国産の飼料で短角牛は育っている。

国産100%の飼料。

一般の市場相手ではたぶんできない。
消費者がそのことを理解し、多少高くても買い支えないと
リスクが高すぎてこんなことはできない。

消費者と生産者と流通がそろって初めて可能になる取り組みだ。
ただ肉を買って食べるだけではない、山形村を知ることで、
夢のようなことが可能になったのだ。

これこそが地域活性っていうんじゃないだろうかと思う。

都会から人が来ることで、村や村の人たちが元気になる。
自分たちの価値を再度発見する。
産直提携は地域活性にもつながるのだった。

DSC00854.jpg
ホルスタインみたいに友好的じゃない短角牛。でもとっても元気。
オス牛にはハーレム状態なんだが、交配が終わるとものすごく痩せてて、
オスって大変なのよね、と生産者が言ってました。大変だよね(遠い目)。



スーパーの陳列棚からは決して見えてこない生産地。
自らが訪問し、見て、話して、いろいろなことを知って、
それから食べることがとても大事だと思う。

そのことだけで人生が豊かになると思うんだけど。
食べるって、そういうことじゃない?


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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