きゅうりの秘密を知ってしまった!! 在来きゅうりフェスタご報告

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上段左から「勘次郎キュウリ(山形)」「美馬太キュウリ(徳島)」「外内島きゅうり(山形)」
下段左から「加賀太キュウリ(石川)」「山内伝来キュウリ(高知)」「佐川伝来キュウリ(高知」
低温に強い高知県などの南方系はイボが黒く、夏が旬のものはイボが白い。
というような特徴があるそうです。どの品種も白い・黄色い・筋が入っています。



昨今では周年で供給されているジミーな野菜、きゅうり。
いつでもどこでもお店に売っているのであたりまえすぎて
きゅうりのことなど調べてみようなどと思われない野菜ではなかろうか。

しかし最近なんだか太くて瓜っぽい在来品種を見かけるようになってきた。
ということで「在来きゅうりフェスタ」というお勉強会に参加してきた。

きゅうりの原産地はヒマラヤのあたりと言われている。
【きゅうりの原産地は、ヒマラヤ山麓のシッキム地方といわれています。
日本には中国南部の品種・華南型(かなんがた)が伝わった後、
明治時代になってから、中国北部の品種・華北型(かほくがた)が
栽培用・交配用に導入されて、国内栽培がさかんになりました。】
(農水省ウェブサイトより)

そこから人とともに西方へ移動し欧州へ行くと同時に中国に渡った。
きゅうりのことを漢字で「胡瓜」と書くが、この「胡」という字は
「胡人」などでも使われる「西方」という意味である。

日本に入ってきたきゅうりは苦くて評判が良くなかった。
江戸時代に「初物禁止令」という促成栽培を禁止するおふれが出たが、
マクワウリやナスは禁止されたにも関わらずきゅうりは禁止されなかった。
評価が低く「食べなくてもいい」的な扱いで早出しする人もいなかったのだろう。

昨今のきゅうりは長年にわたる品種改良で苦味は消されているが、
わたくしが子どものころは「きゅうりはなり元が苦いから
なり元を切って苦味を消すように」と言われていたから
昭和のきゅうりは完全に苦味が消えるまでには至らなかったのだろう。

チッソ分が多いときゅうりは苦くなるのだと思っていたが、
単に遺伝子というかそもそもの血筋だったようである。

明治から大正時代にかけてきゅうりの品種改良は盛んに行われたが、
きゅうりの見ためが大きく様変わりしたのは昭和50年代後半、
「ひじり」というベッタリと緑色になる品種以降のことだ。

それまでのきゅうりは国産品種をかけあわせて作られていた。
国産のきゅうりは、現在の在来品種を見るとよくわかるが、半分白い、
あるいは黄色く、筋が入る。最初は全部緑色でも老化してくるとそうなる。

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上・四葉キュウリ 下・イボなしキュウリ つるんとしていて皮が硬そう。
衛生上イボがない方がいいってのはすごーくよくわかるけど、
きゅうりじゃないみたいね。



流通・小売はこの「白くなる・黄色くなる・筋が入る」ことを嫌った。
老化しているイメージを与えると消費者が買わないからだ。
そこで欧米の「全部緑色」の血統が入り、これ以降きゅうりは緑色になった。
いつでもどこでも緑色になり、きゅうりの鮮度はわかりにくくなった。

1985年、さらにきゅうりに大革命が起きる。
ブルームレスきゅうり「シャープ1」の登場である。

それまでのきゅうりにはブルームという白い粉がふいていた。
ブルームは巨峰の果皮などにもついている白い粉である。
スイカの台木(かぼちゃ)を使ってみたらブルームが吹かなくなったのだ。

農薬と間違えられたからブルームレスきゅうりになったとよく言われるが、
ほんとうは台木が変わったら偶然そうなった、という話のようだ。
ううううう。農薬勘違い説を信じていたのに、しまったー(泣)

ブルームレスきゅうりは皮が硬くて果肉が柔らかく食感がよくない。
さらに漬物にすると色上がりが悪くなるため漬物メーカーが嫌った。
これ以降、きゅうりの漬物の主流は中国産に移行してしまう。
ブルームレスきゅうりとともに規格外きゅうりの行き先が無くなったのだ。
恐るべし!! ブルームレスきゅうり。

ブルームを失ったきゅうりは、さらに鮮度がわかりづらくなった。
鮮度がわかりづらいから、きゅうりの産地は相場に合わせて出荷調整ができる。
きゅうりは実はいつ収穫したかわからない野菜のひとつである。

昨今ではさらに一歩進んで、イボのない品種が開発されている。
イボがついていると洗いづらく雑菌が繁殖しやすく衛生的でないという理由で、
セブンイレブンのサンドイッチに入っているのは全部この品種だそうだ。
いやはや、品種改良ってスゴイのね。もちろんF1である。

というような歴史の結果、わたくしたちがお店で買えるのは
ブルームレスきゅうりのいくつかの品種である。
つまり、わたくしたちはきゅうりの品種を全く選べておらず、
市場が与えてくれるものだけを食べている、とも言える。

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馬込半白キュウリと種が取れるまで大きくした馬込半白。
この品種は一度途切れ、ジーンバンクから取り寄せて栽培が再開した、とか。
しかし在来きゅうりってほんとに半分白くて、しかも
「半白」という名前がついてるのが興味深いす。



ではそもそも日本で食べられてきた在来品種はどこに行ったのか。
都市部では在来種を「めずらしいから」と購入する人が少し食べるくらいで、
つくる人も少なく、ましてやそれをわざわざ選んで買う人もいない。

しかし在来品種が生き残っている地方では話が別である。
在来きゅうりは地域ごとの結びつきがものすごく強く、
神事や行事に使われることの多い、地域性の高い野菜なのだった。

在来品種はおおむね、食べると皮がやわらかく果肉はハリがあり、
パリンとした歯ごたえが特徴である。
噛むごとに皮と果肉が口の中でやさしく混ざり合い独特の風味を作り出す。

品種によっては「苦味」という遺伝子を失っていないものもあるが、
それは風味として受け止められており、とくに問題とされてはいない。
なかにはブランド野菜のひとつとしてレストランで供されるものもあるが、
ほとんどの在来品種は地域で消費されている。

これが「在来品種」の理想的なあり方ではあるまいか、とわたくしは思う。

地域で愛され、自家用でつくられ、行事のたびに調理され、
「食文化」として人の生活にきちんと、しかも強固に結びついている。
種取りをするのは自分たちのためで売るためではない。

だからこそ、在来種のタネは農家の振る舞いに依拠する脆弱な存在であり、
作り続け、食べ続けないと生き残ることができないとも言える。
もしかしたら誰も見たことのないきゅうりが、
今このときに絶滅している可能性だってあるのだ。

多様性のある世界は美しい。そのために何ができるだろう。

在来きゅうり20品種を試食しながら
このようなさまざまなきゅうりを育んできた地域の人々、そして食文化が
失われることがありませんように、と、祈りたくなったわたくしです。


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「種子法廃止」で日本のタネが失われるってのはほんとの話?

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きちんと発芽すること、遺伝的に純粋性があることなどが
高品質なタネと言えるそうです。「種子法」とは、このような高品質なタネを
増殖し品質管理をきちんと都道府県の責任において行うことを義務付けた法律で、
タネの独占とかF1とか不妊とかはあんまり関係ありません。


4月13日、メディアや国民が森友問題でわーわー騒いでいる間に
「主要農産物種子法」の廃止が可決されましたですね。

わたくし、種子法についての理解が全くありませんで、
どーゆーことなのか、きちんと国会の議論を聞きたいと思っていたのに
ほとんど聞けませんでしたよ。

くそう! 森友とかやってる場合じゃないだろ!
どーでもいいことを延々国民の税金使ってやるな! 
と思ったのはわたくしだけではないでしょう。

可決後、主にネット上では以下のようなことが言われています。
検索するとわらわらとでてきますが、これらはほんとのことなのか?
なんて思うわけです。

・日本古来の原種・原原種が失われる
・タネの値段が高騰し農民が立ちいかなくなる
・モンサント等の巨大企業に日本のタネが独占される

ということで、たねと食とひと@フォーラム主催の
「種子法廃止でどうなるたねと食と農」でお勉強してきました。
講師は龍谷大学経済学部教授・西川芳昭さんでありました。

まず「主要農産物種子法」とは8条からなる短文の法律で、
附則がやたらと長く何を言っているのかよくわかりません。
しかし「育種」とか「種の権利」とかについての言及はありません。

種子法の目的は「主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、
種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする」
であります。これがどういうことなのかがイマイチわかりにくいのです。

ということで「種子法」を一言でいうと以下のようなものになります。

奨励品種(優良品種)の「増殖」とその「品質管理」を
都道府県の責任においてきちんとやることを義務付けた法律

具体的にはこんな感じです。

都道府県(以後「県」で統一)の試験場などで育種されたイネのタネがあります。
これは県だけではなく現在では民間にも開放されているので、
民間で開発されたタネでもOKです。が、あんまり活用されていないようです。
※「育種」の管轄は種苗法です。種苗法では開発者の権利が担保されており、
種子法は全く関係ありません。ここが大事です。とても大事です。

そのタネを入手し奨励品種になるかどうか、県で試験をします。
つまり自分とこの気候や土地柄に合うかどうか、いいものができるか、
きちんとやって栽培方法とか技術とかを確認するわけです。

試験の結果「奨励品種」(準奨励品種とかもあるらしいです)が決まります。
できたタネはちょびっとしかありませんから、増殖しなくてはなりません。
ということで、県の決めた圃場とルールのもと、増殖を行います。

ここで最初に増殖したタネを「原原種」と呼びます。
原原種はその品種のおおもとになるものです。それをさらに増殖します。
増殖したものを「原種」と呼びます。
※「原種が失われる」と言っている人はこの種子法上の「原種」という言葉を
一般的な「原種」とごっちゃにして語っているのではないかと思ったりします。

原原種や原種を生産するにあたって圃場だの技術だの農薬だのに決まりごとがあり、
それも種子法のなかで「ちゃんとやれ」と義務付けられています。
原種をさらに自県の農家に販売できる数量まで増やします。
ここまでが種子法で都道府県に義務付けられている部分です。

「原原種・原種の増殖」と言われてもなんのことかピンと来ませんが、
これは奨励品種と定めたイネのタネを田んぼにまいて、常時巡回し、
へんてこりんなもの、たとえばびゅーんと伸びすぎてるヤツや
ヘンなイネが実るヤツなどをちまちまと抜き取る、的な作業で、
大変な手間がかかります。

が、こういったヘンテコなものが混入すると
品質が低下しますのできちんとやらなくてはならないのです。

この作業は県からお金が出ていますから、このぶんの経費は
販売価格には上乗せされません。ということで奨励品種は
相対的に安価で購入できるというメリットがあります。

種子法の廃止とは、この「増殖」及び「奨励品種になるまでの試験等」を
民間に開放するということです。
大きく見た場合「公的事業」削減の一環とも言えなくもないでしょう。
昨今種子法だけでなくさまざまなものが「民間競争力」の俎上にのっているのです。

では、「県の責任と義務」が民間に受託されるとどうなるか。
民間企業では費用対効果などがシビアに検討されますから、
「増殖の際の品質の担保」がむずかしくなる可能性があります。大きな問題です。

ということもあり、参議院で付帯決議が出されているそうです。
これは、法律はなくなるけど制度を残すというものですが、
将来的に予算がつかなくなることが予想されます。

んではどうなるか。

基幹作物である「イネ」についてはどの県も一定程度配慮するでしょうが、
そもそも生産量の少ないダイズとムギについてはどうでしょうか。
ダイズ・ムギで付加価値品種をつくっている産地以外は、
手間ひまかけて試験をして増殖しなくなる可能性が高くなります。

義務と責任がなくなる=予算がなくなるということですから、
栽培面積の少ない作物に予算をつけられない県はそこら中にありそうです。
ダイズ・ムギについてはすでに輸入作物がメインになっているわけで、
ますます自給率が下がることが予想されます。

さらに、経費が上乗せされていないため結果的に安価で購入できたタネが
割高になる等も懸念されています。このあたりは農家が困ります。
付帯決議の「制度は残す」部分に期待したいところです。

わたくし的には「種子法廃止で巨大企業がタネを独占」とかいうのは、
種苗法の管轄で上記種子法には関係ないだろうと思いますし、原種が失われる、
というのも何かの勘違いだろうと思うわけで、ネットで騒いでらっしゃるのが
全て正しいとはとても思えず、便乗商法の方もいらっしゃるように思えます。

だからと言って問題がないわけではなく、やはり品質の低下や、
ダイズ・ムギの没落とかは困るわけです。
しかし一消費者として何ができるか、というとむずかしいところです。
今後も情報の推移を注視していきたいと思っております。


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「種子が消えれば食べものも消える。そして君も」

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日本には明治時代稲の品種が4000品種あった。現在では300品種。
ここ100数年の間に3700品種が失われたということだ。しかしこの数字は
他所の国と比較すると穏やかな数字だという。
他国では急速に多様性が失われている。



「生物多様性と農業開発」という講演を聞いてきた。
タイトルの言葉はその講演で聞いたベント・スコウマンという植物学者の言葉である。

例えばわたくしの手に大豆が10粒あったとする。
この10粒が、この世に存在するとある品種の最後の10粒だったとする。
これを食べてしまうと10粒分の大豆にしかならない。
さらにこの大豆の品種はこの世から永久に失われる。

おお、大変だ!

しかし畑に植えると何十倍にもなり、後の世代に伝えることができる。

世界中の農家がこうしてタネ=品種をつないできた。
タネは個々の農家の保護に依存してきた非常に脆弱な存在なのだった。
そして貴重な遺伝資源であるにも関わらず、きちんと保護されて来なかった。

その結果、近代農業の効率化、主に高品質品種・ハイブリッド種の開発により、
現在ものすごい速度で昔からあるタネが失われつつある。
その危機感は一般の消費者はほとんど感じていない。

それはわたくしたちが「与えられるものしか食べていない」からでもある。

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例えば豆類はひとつのタネからものすごい数の豆をならせることができる。
しかしタネを植えて実がなるまで待っていられない飢えた人たちにとっては、
豆は今食べなくてはならないただの豆だ。
栽培できるというのは幸せなことなのだった。



消費者が日常生活でタネについて考える機会はそれほどない。

わたくしたちは、誰かが畑にまいて育てて収穫し、
誰かがきれいにパックしてくれたものをスーパーで買って食べる。

ブランド野菜でもない限り、品種なんてあんまり気にしない。
だって、大根は大根だもん。名前なんてあったんだあ、へー。ってな感じだ。

わたくしたちは、スーパーで野菜を吟味して選んでいるつもりでも
スーパーには「これなら売れる」と市場が考えているものしか置いてない。
実は消費者には選択の自由はない。市場がすでに選択しているからだ。

農家も同じだ。ほとんどの農家が、JAや市場が必要とするものしか作れないのだ。

わたくしたちの食べものは、市場が欲するもので決まっている。
そう考えると自由だと思っていた選択が非常に限られたものだとわかる。

実はわたくしたちは、与えられたものだけ食べている、
家畜のような存在なのかもしれない。

もしかしたら、市場と種子メーカーの家畜なのかもしれないのだった。

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タネを採り、優れたものを選抜する技術というのは
属人性の高い作業でマニュアルが存在しない。意外と農家のかあちゃんの
専売特許だったりする。昨今ではその技術の継承も危ぶまれている。



2008年の世界の主要種子企業売上高は以下のようなものだ。

1位 モンサント(米国)
2位 デュポン(米国)
3位 シンジェンタ(スイス)

「タネを支配するものは世界を支配する」と言われる。

穀物の種子市場を席巻している上記の3社は、
GM作物を開発している会社だ。言葉通り、世界を支配しつつある。

植物の新品種の保護に関する国際条約という国際条約がある。
http://www.hinsyu.maff.go.jp/act/upov/upov1.html

非常に複雑で一度読んだだけではわからないのだが、
1978年条約と1991年条約では保護されている品種の条件が違い、
1991年以降に加入した国では保護された品種について自家採種が制限される。
(日本は1978年以前に加入。なのであまり制限されていない)

この条約に現在アフリカの各国が加入しつつあるらしい。ということは、
アフリカではそのうちかなりの品種の自家採種が制限されることになる。
そして上記穀物メジャー3社は今、アフリカでビジネスを始めようとしているのだ。

すでに世界は支配されつつある。

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小さなタネから出たこの芽が土と雨とお日様だけで野菜になる不思議。
そして実をつける不思議。菜園をしていると毎回感動する自然のしくみだ。
そういうの、みんなもっと身近に感じるべきかもしれないね。



さて、作りやすく収量のいいハイブリッド種(F1)が開発されるまでは
農家は自分の畑でできた野菜のタネを自分で採っていた。
自家採種することで翌年のタネを確保し、たまに農家同士で交換はしても
タネを買うことはめったになかった。

今では農家は自家採種をすることは稀で、タネやでタネを買う。
F1は品質も収量もよく、形もバッチリ揃うし病気にも強かったりして、
作りにくくて収量が悪い在来品種を作るより儲かる。

在来種が評価されているのは主に都市部の話で、
ローカルエリアであえて在来種を栽培する農家は少数派だ。

そうしてタネの多様性はますます失われつつある。
この流れを押しとどめることは可能なのかな?

日本では自家採種を禁じられている品目が81品目ある。
ほとんどが花き類で、野菜はほんの少し。ってか知らない品種ばっかだ。
http://www.hinsyu.maff.go.jp/pvr/pamphlet/060801jikazousyoku.pdf
日本では自家採種はほぼ制限されていないと言ってもいい。

さらに日本は、自家採種を行う農業者の権利を認めた国際条約
「食料・農業植物遺伝資源条約」に加入することになった。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000003621.pdf
2013年10月28日からこの条約は有効になる。

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実は自家採種するには土地がないと難しかったりする。
なにしろその作物の収穫が終了してからでないとタネはできない。
畑の隅っこという土地に余裕のある人じゃないとできないのだった。
15平米の区民農園では絶対にタネ採りなんてできないのだった。



TPP交渉が進むなか、これに加入した意味は大きい。
日本の農家の自家採種を禁じることはできなくなる。
(アメリカは現在この条約を締結中)

タネはその国独自の貴重な遺伝資源であるにも関わらず、
農家という非常にローカルな存在に依存している脆弱なものでもある。

タネがある限り食べものは栽培できるが、無くなれば何も残らない。
タイトルの言葉通り食べものは失われ、わたくしたちは飢えることになる。

消費者にできることはほとんどないのだけれど、
そんなあたりまえのことをもう一度考えてみたほうがいいかもしれない。
日々の選択をもう少し注意深くしたほうがいいかもしれない。

失われてからでは遅いのだから。


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種を採る女たち―次世代に繋ぐ物語

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北海道の地豆たち。左から黒千石大豆、くらかけ豆、さくら豆(たぶん)、べに絞り、
大正金時、黒豆。北海道は豆の一大産地。換金作物としての大規模農業の豆と、
家庭菜園用の豆(野菜豆)が栽培されており、野菜豆は家庭の主婦が種を採り選抜してきたそう。
一般的に栽培されている大正金時も、元は野菜豆として作られていた本金時の突然変異種。
チリコンカンなどに使ってる金時は、実は家庭菜園から生まれた品種なのですね~。


だだちゃ豆というおいしい枝豆があります。

この名前のエピソードは、ご存じの方も多いはず。
様々なバリエーションがありますが、正しいエピソードは以下のもの(らしい)です。

「おいしい茶豆ができたので、お殿様に食べていただこうと
庄内・小真木地区に住む一人の農民が、茶豆を献上しました。
その豆がおいしかったので、お殿様は尋ねました。

「この豆は誰が作ったのか」「それは小真木のだだちゃが作ったのでがんす」
お付の人はそう答えました。※だだちゃ=おじさんというような意味
それ以来、お殿様は「だだちゃの作った豆が食べたい」と言うようになりました」

お殿様が登場するので、江戸時代の話かと思うとさにあらず。
これは明治30年頃から大正4年までのある時点の物語。
そして、お殿様のお名前も、だだちゃの名前もわかっています。

お殿様は酒井忠篤公、小真木のだだちゃは太田孝太という人でした。
そう、庄内のお殿様は、平成の今もまだ庄内に住んでいらっしゃるのです。

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黒千石大豆はちびっちゃい黒豆で、元は緑肥作物だそうです(べにや長谷川商店のリーフレットから)。
ごはんと一緒に炊くと、紫色のきれいなごはんが炊けるそうですよ。
さやは大豆と同じでとってもちっこくてかわいいとのこと。区民農園に植えてみようと画策中。


さて、このだだちゃ豆の出自を調べた人がいます。

山形大学農学部助教授・江頭宏昌さんは
在来品種研究会の幹事もなさっている、在来種にとても詳しい方。
大地を守る会に勤務していた時代にお話を聞いたことがあり、
上記のエピソードはその際にお聞きしたものです。

古来より農民は、自分の畑で栽培した野菜類の種を採り、翌年の野菜を作っていました。
種がビジネスになったのは昭和に入ってからのこと。
それまでは、農民はその年によくできたもの・味の良いものを選抜し、
毎年種を採り続けていたのでした。

それらの種は固定種、または在来種と呼ばれています。

だだちゃ豆もそのうちのひとつ。現在だだちゃ豆には、早生から晩生まで、
また、豆の大きさ・甘み・うまみなどがそれぞれ違う30もの系統がありますが、
全てこの100年のうちに作られたと江頭さんは言います。

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さくら豆は、東北地方から入植した農家が持ってきたものだろうと言われています。
代々自家採種されてきた豆はDNA鑑定などしないとその出自がわからないため、
江頭さんは茶豆のDNA鑑定を行い、茶豆がどこから来てどう定着したかを調査しました。
その話はまた枝豆の季節にでも。でも研究者ってすごいですね~、その情熱、すばらしい。



系統の育成には大変な観察力と持久力が必要です。

なにしろ、畑の中で生まれた突然変異種=一本だけある変わり者を目ざとく見つけ、
その種を採り、翌年性質を確かめて是非を判断し、その後性質が安定するまで
長年観察し続けなくてはならないのですから。

たった100年でこんなに多くの系統が作られる品種は、他に例を見ないと言います。
それほどに、庄内人のおいしい枝豆に対する情熱と執念は並々ならぬものだったのです。

それもそのはず。だだちゃ豆の種採りは、営利目的ではなかったのでした。

少しでもおいしい豆を作って、近隣の人々に種を分け与える。
おいしい豆をみんなで食べようという隣人への気遣い、思いやり。
それが良食味の豆を残し、さまざまな系統を作ることにつながりました。

お隣さん(地域社会)を大切にする日本人ならではの行為なのでしょう。
だだちゃ豆の種には、他者に対する思いがのっかっているのですね。

さて、昔から採種した種を選抜する仕事は、女衆=主婦が担当していたと言います。

一家の主婦は家族の食べものを管理するという、重大な役割を担っています。
農家がよく「くいりょう」と言いますが、自家用の野菜作りは主婦の仕事でした。

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ひたし豆などにするとおいしいくらかけ豆。ほんとはここに入る予定の豆があるのですが、
まだその豆が届いていないので、写真がUPできません(泣)。その名も「真珠豆」。早く来て~。
届き次第、今回UPしている写真を全部見直して変更いたします。


その年いい野菜がたくさん採れれば皆が飢えずに済む…つまり、
少しでも良い種(収量が多く、おいしいもの)を選抜することが、
家族が健康で元気に暮らしていけるかどうかを決めるのです。まさに主婦の腕の見せ所です。
(男衆には力仕事はできても、そういった地味な仕事は向いていないらしくて、
男衆が選った種は発芽率が悪かったりするのだそうです)

種を採る行為というのは、自分のためだけにする仕事ではなかったのですね。

子孫に、地域に繋ぎ、皆が継続してこの作物を食べ続けられるように…
そんな思いがこもった、利他的な尊い行為でもあるのでした。

例えば、現代に住む私たちがおいしいだだちゃ豆を食べられるのは、
庄内の農民が代々種を採り続け、いいものを選抜し続けてくれたからに他なりません。

種を採ることをやめてしまうと、その種はこの世界から永遠に失われてしまいます。
それとは気づかず種を採り続けている一人の農民の肩に、
種の存続がかかっている、そんな可能性だってじゅうぶんにあるのです。

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官能的な配色の紅しぼり。主に煮豆で食べられているそうです。
パンダみたいな模様のもの、虎模様、うずらの卵みたいなもの等々、
豆っていろんな模様のものがあります。どうしてこんな模様になったのか…見てるだけで飽きません。



今日、在来品種が付加価値商品としてブランド化されていますが、
これも、名もない農民たちが長年にわたって種を採り続けた結果です。
そう考えると、ちゃらっと食べたりしないで大切にいただかなくてはとか思っちゃいます。

在来種・固定種にはそれぞれに物語があります。長い長い、時を渡る旅の物語です。

私たちの子孫、またその次の世代まで、彼らがその旅を続けられるよう、
農民は種を採り、種をまき、生命をつないでいるのです。


※黒千石大豆、20粒ずつ3名様にお分けできます。
もし自分の畑で作って種を採ってみたいって方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
先着順でお送りいたします。コメント欄でお申込みくださいませ(ちょびっとしかお分けできなくてすみません)。
(住所等お知らせいただきたいので、鍵コメントでお願いいたします)


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種を採る人たち 自家採種は楽し

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青首大根の花。これから種を採っても親と同じ性質は獲得できません。

古来から農民は、畑でできた作物の種を採って翌年の作物を栽培してきました。
種を購入するようになったのは、本当に最近のこと。

それまでは、その年性質の良かったものを選抜し、種を採ってきたのです。

昨今ではF1種という、優良な性質が一代しか続かない種が農業の世界を席巻しています。
これは性質のよい親同士をかけあわせ、その優良な性質が出るように作られたもの。
中学の時に習ったメンデルの法則を思い出してください。

代表的なF1種が青首大根。

姿形のそろいがよく、同じ日に種をまけばほぼ同時期に収穫でき、
作りやすく、抜きやすいという素晴らしい性質を持っています。
同時期に出荷できればその畑は一気に片付きます。

その後すぐに他の作物を作れるというメリットがあることも青首大根が席巻する理由のひとつ。
現在の日本では、ほとんどの農民が青首大根を栽培しています。

さてさて。
そんななか、自分の畑で種を採り続けている人たちがいます。

自家採種を続けていると、その畑にあった性質を獲得するとも言われています。
長年自家採種をしているうちに、一定程度の食味を獲得するとも言われています。

ネギ坊主
もうじき種が採れるかな。春先のネギ畑はネギ坊主がいっぱい。
でも種を採る人はごくわずか…めんどくさいですからね。


自家採種しやすいものの代表選手がネギ。
春先に出てくるネギ坊主の中の種が熟すまで畑に置いておきます。
種が熟すまで畑が使えませんから、小面積の農民はなかなかできないかもしれません。
手間暇かかる種採りは、ある程度の覚悟が必要です。

埼玉県の瀬山明さんの畑では、毎年ネギの種を採種しています。

もともとは深谷ネギだったこのネギですが、長い間自家採種した結果
「瀬山ネギ」あるいは「本庄ネギ」と言いたくなるようなものに変化しています。

瀬山さんとネギ
種を採るために畑のすみっこに一列だけネギを残しています。
ネギ坊主を採ったあとは、育苗ハウスで乾かしてから、種を採ります。


甘くて、加熱調理をしても、生で食べてもおいしいこのネギ、
一度食べると、他のネギは食べられなくなります。

瀬山さんの畑の微生物の働きか、ボカシ肥料の手柄か。
おそらくそれらの影響もあるのでしょうが、自家採種することによってネギが獲得した性質も相まって、
他人には絶対に作れないネギに変化しているのです。

瀬山さんの畑では、最近ニンジンも自家採種するようになりました。
有機の畑で栽培されるニンジンの甘さ・香り・おいしさは、
ニンジン嫌いの子供でも「おいしい!」というほどの味になるものです。

IMG_0707.jpg
めったに見かけないニンジンの花。意外と繊細で美しいですね。
でも畑に長いこと置いておかないと種は採れない…なかなかできないことなんですよね。


その中でも、瀬山さんのニンジンのおいしさはダントツ。

時折出荷できないニンジンで作ったジャムをいただくことがありますが、
全くお砂糖を入れていないのにあま~くて香りもよくて、
これが本当にニンジンジャム?と思わず叫んでしまうほど。

購入すれば簡単な種。

手間暇かけて自家採種する楽しみは、経費削減という意味合いもありますが、
どんどん自分の畑にあった性質を獲得することと、食味が上がってくることにもありそうです。

さて、中には自分で新品種を交配する人もいます。

甘楽町の吉田恭一さんは、在来品種である「赤ネギ」と、下仁田ネギをかけあわせ、
赤い下仁田ネギを作ろうとしています。
今のところは赤ネギの性質、真っ赤な色合いが固定せず、てんでんばらばらな色あいで、
固定種になり得ていません。

赤ネギ
左から二番目の下仁田ネギはきれいな赤色が出ています。この色が目標。
でもその他のネギはなんか変な色。色がまだ固定していないのですね。


これが固定するのかしないのか。
固定したら新しい品種の登場ですね。一躍人気品種になったりして。

いつ固定するのか、楽しみに待っているところです。



プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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