農家だって評価されたい

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有機JAS認証取得畑のとうもろこし。有機なので一般的な農薬は使えません。
でもアワノメイガという害虫が入ると、人は嫌がります。さて何をするか。
アワノメイガが雄花に卵をうみつけるという性質を利用し、受粉させたら雄花を切り取ります。
農薬をまけば一網打尽なんだけど、雄花切りという人手と手間のかかる作業で乗り切ります。



以前勤務していた大地を守る会では、野菜や果物の価格は
農家との作付時に、固定価格で契約をしていました。

農家から値上げの希望が来たり、担当から値下げをお願いすることもありましたが、
基本的には双方の合意があって価格が決まっています。

固定価格のメリットは、農家の収入が市況によって左右されないこと、
安定した収入を得られること、販売側はいつも同じ価格で販売できること。

農薬や除草剤、土壌消毒剤を使用する一般的な農業よりもリスクが高く、
手間はかかり、収入が減ることもある有機農業ですから、
まずは翌年も安心して作物が栽培できるよう、価格の変動を無くしたのでした。


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緑の淡いところは草。濃くなってるところが玉ねぎ。
有機の畑では除草剤を使用しませんので、草取りは人力。お金も手間もかかります。
慣行栽培では除草剤の使用は当たり前。この部分だけ取ってみても、経費の差は歴然としています。



大地を守る会の設立は35年前ですから、画期的なしくみだったと思います。

当時は低農薬や無農薬栽培、有機農業などに取り組むと、
地域からは村八分のような状況になり、農協への出荷も止められ、
人によっては農協と大ゲンカしてしまう…そんなことが多かったと聞きます。

有機農業推進法が施行され、国が有機農業を推進すると決まった現在から考えると、
開拓者の苦労はいかばかりだっただろうと思ったりもします。

ただ今でも一部の地域では、有機をやってるというだけで、
コミュニティに入れてもらえないところもあるようですけど…。

当たり前のように有機農業に取り組む人が評価され、そういう農家が増えていく…
そんな日がいつか来るのかなと思ったりもします。

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有機農業に取り組んでいる北海道の今利一さん。
当時JAの職員に面と向かって「有機なんてされては迷惑」と言われたこともあるそうです。
でも今や地域で生き残っている農家は今さん以外には数軒。
有機農業を評価し理解している流通との取引が、安定した農業を可能にしています。
今さんの記事は過去ログから↓
http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-04.html




さて、現在の有機JAS認証取得作物の割合をご存じですか?

2009年の数字を見つけました。なんと農産物全体の0.19%(それでも微増)。
有機農業推進法が施行された2006年には確か0.17%でしたから、
有機JAS認証の数字が劇的に伸びているわけではありません。

その理由は何でしょう。

まず、認証の書類をそろえたり、履歴を取るのに手間がかかること、
さらに、認証を取得するための経費がかかること、使用できる農薬や資材が限られること、
病気や虫が大発生した場合、減収というリスクを負わなければならないこと。

有機JAS取得には大変で面倒なことがいっぱいです。

そしてそして。
有機農産物を作っても、現状では価格面での評価がはほとんどされていません。
普通に作るよりも手間も暇もお金もかかるのに同じ価格では、
無理に取得しなくていいと思ってしまってもしょうがありませんよね。

クローバ
コナガの天敵を養成するため、あぜにわざわざ植えたクローバー。
天敵を利用するIPM・バンカープランツの利用など、知識も持ち合わせないと難しい有機農業。
もちろん土壌分析などの科学的アプローチも必要です。
こういった努力を評価するしくみがなければ、継続しないんじゃないかなあと思ったりします。



また、個人的には日本人の国民性も多少影響があると考えています。

山積みにされた野菜を見ると、全部触ってみないと気が済まない、
少しでもきれいなもの、気に入ったものを選びたいという性質。

「多少虫が食ってても有機だからいいや」というような寛容さは、我々にはあまりありません。

日本の有機農家がドイツに旅行した際に、市場で虫食いの野菜を売ってるのを見て
「こんな野菜を売ってるのか」とお店の人に聞いたところ
「有機なんだからこれぐらい当たり前」と言われ驚いたという話を聞いたことがありますが、
現在の日本では、ちょっと考えづらい状況です。

有機農業がなかなか広がらない理由は、価格面だけではなく、
消費者の受け入れ態勢が整っていないということも大きいのではないでしょうか。


先日、大地を守る会に出荷を始めた果樹農家と話す機会がありました。
彼は何年か前までは地元のJAに出荷していました。

「安心して食べられるものを作りたい」と農薬を一般の半分程度に減らし、
安全性には自信を持っていたのに、JAでは全く評価されませんでした。
かえって安く取引されて、悲しい思いをしていたそうです。

農薬を減らして栽培しても評価されない…これではモチベーションは上がりません。

そんな時に大地を守る会との取引が始まり、価格面での評価はもちろん、
消費者から「おいしい」という手紙が来ることに、ものすごく感動したと言っていました。

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「僕の作ったものがおいしくてもおいしくなくても、ダイレクトに評価が戻ってくるのが楽しいんですよ!
自分の作物がお客様にどう思われているのか…市場出しでは全くわからないんですから」
山梨市の丹澤修さん。9月4日(土)に丹澤さんの畑に行きます。実際に話を聞いてみませんか?
詳しくは下記を。



やればやるほど評価してくれて、自分の作ったものをおいしいと言われる喜び。
サラリーマンで言うとボーナスの査定が上がるって感じでしょうか。
そして、同僚や上司から「GOOD JOB!」とか声をかけられるってな感じ?

直接顔が見えない現在の流通では、このようなしくみは作ることができません。

消費者と流通、国、そして農家…それぞれのステージで何かが少しずつ変われば、
大きな変化が起こるんじゃないかと思うんですけど。

…無理かな?


丹澤修さんの巨峰畑で収穫体験は、9月4日(土) 10:30頃~12:30頃まで。
詳しくは【ほんものの食べものくらぶ】WEBサイトから
http://www.hontabe.com/img/tour/tour_kyohou.pdf




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野菜の値段、高いか安いか?

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夏の野菜、ズッキーニ。最盛期には1日2回収穫しなくてはならない作物。
上手に作ると10a当たり150万くらいの売り上げになるらしいです。



暑いですね。

この暑さで日本各地の野菜の生育が悪くなっています。
需要に対して供給量が少なくなると、野菜の価格が上がってきます。

「消費者の立場からすると、少しでも安い方がありがたいですねえ」等々、
夜のニュースで野菜の高騰の話題になると、必ずといっていいほど、
インタビューされる主婦の方々はおっしゃいます。

そう、消費者からしてみると、安い方がありがたいです。
日々の食べものなのですから。

でもね、生産者から見た場合の、野菜の価格ってどうなんでしょう?
そういうこと、あんまり考えずに安いとか高いとか言ってるような気がします。


10年ほど前に農家回りをしていたころ、有機農業を営む農家が、
10a(1反)当たりの売り上げってどれぐらいあればいいのか教えてくれました。
(利益じゃなくて売上です)

売上価格は、作物によって違いますが、
考え方としては、その作物の栽培期間の長さ(畑をどれぐらいの期間使うか)、
年に何作その地域で耕作できるか等々で変わってきます。

たとえば大根。

関東の平地では、だいたい60~80日程度で大きくなり、欠株ができてもまきなおしが効き、
青首大根なら収穫時期がそろうため、一気に畑を空けることができます。

周年栽培できる地域では、大根は春と秋の年2回の作付が可能です。
大根は植えたらそんなに手間をかける必要はなく、さらに収穫も簡単。

そういった作物ならば無農薬栽培でも、一反当たり30万~40万くらい売上があればOK。
(年に一作しかできない北海道や高原地域や、平野部でも栽培に一年かかるネギなどでは、
目安として、この倍以上の売り上げが必要…そんな感じで考えてください)

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エイリアンの卵が整然とならんでる? いえいえ、これは越冬白菜。
秋に出荷するものよりもロス率が高く栽培期間も長いので、冬の白菜はちょっとお高いです。




関東の平野部では、一反に大根は5,000本ほど作付できるので、
1,000本ほど虫や病気で失っても、一本80~90円で売れれば大丈夫。

この売上から出荷の箱代、肥料代、管理費や燃料費などが引かれます。
利益はどれぐらいになるのでしょう。半分くらいかな(そこまでは教えてくれませんでした)。

これが再生産可能な、野菜栽培の必要最低限価格の目安です。

低農薬で、特定の流通と契約栽培ができる農家の場合は、こういった値付けができるので、
安定収入を確保することができます。

が、しかし。

市場出しの農家は、その年の天候に収入が思いっきり左右されることになります。

市場では、大根の供給が過剰になると価格が下がります。
私の知っている大根の最低価格、なんと、一箱300円ってことがありました。
段ボール箱代他諸経費を引かれると、大根一本あたりの価格はおそらく10円程度なんじゃないかな。

「大根が安くてうれしい」背景には、「やってらんないよ!」と泣いている農家がいるってことですね。

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抜いた後にちょっと洗って、g数を測って束ねないといけないカブは、調整の手間がかかります。
「大根とカブ、どっちが作りたい?」と聞くと
「大根がいいねえ~、手間かかんないから」という農家が多かったりします。



サラリーマンでは絶対に考えられない、収入の予定が全く立たない職業…それが農業。
「こどもに後を継がせたくない」という人が多くなるのもしょうがないかも…と思ってしまいます。

でもでも。

需要が供給を上回ると、当然野菜は高騰します。
台風などで主産地が大被害を受けた場合、今年の夏のように生育がそろわない場合など、
野菜価格はじりじりと上がります。

当然、高騰している野菜の栽培農家は儲かります。
20年ほど前は「御殿が建っちゃって」という人もいたらしいです。

一番早い口のレタス
何年か前、大きな台風がレタス産地を直撃しレタス1箱8,000円って値が出たことがありました。
本当にレタスが無くて輸入もできなかったため、そういう価格になったのでしょう。
「誰が儲かったのかね~?」「さあ?」 私の知り合いでは誰も儲かっていませんでしたけど…。



しかし最近では緊急輸入されて価格が下がることが多いですね。
先日円高還元セールで、アメリカ産のブロッコリーが100円程度で売られているのを見ました。

アメリカからチルドの状態で輸入されたブロッコリー…100円で売れるんじゃ、
きっと航空便じゃなくて船便なんじゃないのかな~等々、考え込んでしまったです。

野菜の価格が安ければ安いほどいい…それは理解できます。
でも作ってる農家の顔を知っていると、一定程度の価格設定は絶対に必要だとも感じます。

解決方法はいくつかあるんですが、それが実現する前に農家の人口が減っちゃって、
取り返しがつかなくなるんじゃないのかなあ…最近よくそう思います。

日本の将来はどうなっちゃうんでしょうか。



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新規就農者の暑い夏…茨城県・さちこさん

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青い空…日射しは容赦なく照りつけてどんどん上がっていく気温。
夏の農作業は命にかかわりますですね。



7月末、新規就農者・さちこさんの畑に、草取りのお手伝いに行きました。

当初トラクターもくわもなく、
どうやって畝立てしてたのかなと思ったりしていたさちこさんですが、
今回は畝立て・中耕の管理機をゲット。
さらに、畑の貸主のおじさんがトラクターを貸してくれたらしいです。

文明の利器は大変とても便利。

種まき前に何度かうなって、草が芽を出したところをうまいことたたいて
大豆や小豆の種をまいた、その畑の草取りです。

たたいたとは言っても、夏なので、すでに夏草がガッツリはびこっています。

カマを持って取り掛かり、基本的には頭をあまり使わない
アホな話を延々としながら、地べたに這いつくばって二人で前進していきます。

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草取り前。夏草とスベリヒユがはびこってます。

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草取り後。ちょびっと土が目立ってきました。


この日は30度以上の真夏日。

私の出で立ちは、農家のおばちゃん帽子、てぬぐいでマスク、さらに首にもてぬぐい、
手差しで手首までカバーし、軍手とビニル手袋で手をカバー、さらにガッツリ長靴。

「絶対に日焼けしません」状態は、うろんな人物に間違えられそうです。

カンカン照りの日射しを避けるには、布で体を覆うことが肝心。
汗がたらりんと垂れてきても、布が吸い取ってくれるので、かえって涼しく感じます。

とは言ってもズボンの太ももやふくらはぎ部分に汗染みができると言う前代未聞の体験をし、
人間って本当に全身に汗腺があるのだと再確認したりしました。

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草と同時に畑のなかのでっかい石も取り除きました。
二時間分集めてみるとけっこうな量になってます。



畝の長さは25mくらいの大豆畑でしたが、あちらの端に行くまでに約1時間。
「えっ!もうそんな時間なの?」 あっという間に時間が過ぎるのに驚く私。

地べたに這いつくばり普段使わない筋肉を使いまくったためか、
47歳の中年の身には、クソ暑さがこたえたためか、めまいがしてきたので小休憩。

クーラーボックスに入れたお茶がことのほか冷たく感じ、
冷たいってスバラシイ! 
クーラーボックスや蓄冷剤を発明した人よ、ありがとう!
などと感激したりした私は、少し熱中症気味だったのかもしれません。

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軽トラにパラソルつけて小休憩。
畑にパラソルつけた軽トラってのも、女の子ぽくっていい感じです。



その後また25m戻る間、
新しい車を買うならステーションワゴンかミニバンかという 妄想話で盛り上がり、
草取りは非常にはかどりました。

2回休憩を入れて約2時間、よく働いたね、自分!と自分をほめていたら、さちこさん曰く
「たぶん一人だったら休憩してないですねえ…」

す、すみません。

その後人参の種まきをする予定のマルチがはがれていたので、
その修復作業をもくもくと行い、マルチ張りの管理機があれば便利なのにね~と
語り合い、気づいたら一時間が過ぎておりました。
(しかし翌日再びこのマルチははがれていたそうです…す、すみません)

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もくもくと手作業でマルチの修復。マルチ張りの管理機があれば一発なんだけど。
機械にあんまりお金はかけられないので、まずは人力頼み。



さて、さちこさんの起床は朝6時。まず畑に出てひと働きし、朝ごはんを食べて1時まで農作業。
その後お昼寝をしてから3時にはまた畑に出るという一日を送っています。

それでも草取りが追いつかない…その理由は今回の体験でよくわかりました。

二人でやって、大豆畑のようやく半分が終わったけれども、
次の半分の草を取っているうちに、最初の部分に草が再び生えてきます。
まるで草取りの無限ループ状態。

草の種を落としたらその後3年はその草が生えてくると言いますから、
絶滅までには時間がかかりそうです。


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二時間の成果…よくやったなあと思ったり、もっとやれたんじゃないかと思ったり。


たった3時間程度のお手伝いでしたが、 一人で農業をすることの厳しさ、
トラクターや管理機を全部そろえるまでの時間と金額、金銭的厳しさ………
そんなことを考えつつ、東京に戻りました。

さちこさんの暑い夏は、まだまだ終わりそうにありません。



援農隊募集! さちこさんの畑で農作業のお手伝いをしませんか?
9月25日(土) 現地集合・現地解散
人参の間引き、草取りのお手伝いなどの作業を行います。
お昼には畑で採りたての枝豆をゆでて、お芋をふかして、畑ランチを予定しています。

詳細は後日。
お問合せはこちらから

http://www.hontabe.com/inquire01.asp


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絶滅危惧種「種ありぶどう」の事実

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種がないから次々に口に入れられる種なしデラ。
セミの声や海水浴の塩っぽい感じ…そんな記憶も含めて、小学校の夏休みの味がします。



種なしデラウェアが店頭に並んでいます。

夏休みの食卓に、種なしデラが置かれていた記憶を持つ人も多いのでは。
種なしデラは庶民派のぶどうとして、昭和の時代から親しまれてきたぶどうです。

実はこのデラウェア、本来は8月下旬に収穫時期を迎えるぶどうでした。
なぜそれが1カ月も早く収穫できるようになったのか。
それはデラを「種なし」にすることができたから。

昔のデラウェアには、種があったのです。

昭和30年代、デラウェアの栽培は非常に難しく、
収穫時期になると実が割れてしまうという性質があるため、量産ができませんでした。
そのデラウェアをうまく作るために「無核果」…つまり種なしにする技術が生まれました。

花が咲いて花粉が出たころ、ジベレリンという植物ホルモン(植物成長調整剤)を
花にちょこっとつけてやります。

ジベレリンを利用して種なしにすることで収穫時期が早まりました。
時期が1カ月早まったことで実が割れる前に収穫できるようになり、
デラウェアは作りやすいぶどうになったのです。

一時期は日本で一番栽培されているぶどうでもあった種なしデラ(今は巨峰)。
この技術により、庶民派のぶどうという不動の地位を手に入れました。

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左はシャインマスカット、右はピオーネ。どちらも種なしを前提に作られた品種。
シャインマスカットは貯蔵が効くため、12月まで食べられるというので、農家の注目を集めています。
酸味はあまりなくてあま~いお砂糖みたいな味。最近流行の味ですよね。



さて、最近ではその他にも、種なしぶどうが数多く店頭に並んでいます。
8月中旬からは種なし巨峰やピオーネ、その後ロザリオビアンコなどが続きます。

種なしぶどうは種を出さなくていいため、消費者には食べやすいと評価されています。
消費者の評価が高いから、増えてきたのかな?

いや、そうではないと思います。
種なしぶどうを作るのは、種ありのぶどうを作るよりも簡単…
つまり、農家の省力化がそもそもの理由なのです。

ぶどうは、冬季の剪定技術がかなり難しいもの。

枝を切り過ぎると翌年花がうまくつかなかったり、樹が暴れたりします。
ぶどうはその年に出た枝に果実がつく作物。剪定の影響がかなり大きいので、
下手な剪定をすると収入にかかわります。

甲州3
切り過ぎると樹が暴れる代表的な品種が「甲州」。ワインの原料に使われます。
最近では甲州の短梢剪定も研究されているらしく、どんな風にするのか興味津々。
ワインの繊細な味からは想像できない暴れん坊、御することができたのでしょうか。
写真提供・市川泰仙



しかししかし。
ホルモン処理をするぶどうの剪定は、すんごく簡単。

枝を切り過ぎても花が咲けばホルモン剤で果実がつくのですから、
プロの農家でなくても剪定が可能になる=パートさんでもできるのです。


ホルモン処理前提の剪定技術を「短梢剪定」と言います。
やり方を一度聞けば誰でもできる、私でもできる、それが短梢剪定。
ぶどう栽培の省力化、それがホルモン処理=種なしぶどうなのでした。

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ちょっとわかりにくいけど、枝が5節残して切ってあります。
これも短梢剪定の一種。このほか3節残して切るとかいろいろあるみたいです。
農家のおっちゃんの技術の見せ所だった剪定が、みんなのものになったということですね。




また、種なしぶどうが増えている背景には、農家の高齢化もあげられます。

昨今では、どのぶどう産地も高齢化が顕著で、剪定技術の継承が危ぶまれています。
一年に一度しか自分の技術の結果が確認できない果樹類。
退職してから農業に取り組む後継者が多いぶどう農家に、技術を積み上げる余裕などありません。

技術を積み上げる必要のない剪定方法があれば、それでぶどうができれば…。
短梢剪定が多くの農家にとりいれられているのは、そういう現状もあるのでした。

種ありぶどうを作る技術(剪定)が失われる日が近い…ぶどう農家と話すと、いつもその話題になります。

「種なしぶどうより種ありの方がおいしいんだよね」…彼らはいつも言います。
「おいしいぶどうを作る技術がなくなると思うと、残念だよね。
でも今、新品種は全部ジベ処理が前提なのさ。それは時代の趨勢っていうものかもね」

昨今、巨峰も種なしのものが多く見られるようになりました。
巨峰の本当の甘さと味、香りは、種あり巨峰を食べてこそ味わえるもの。

しかし種なしぶどうを食べ慣れてしまうと、気づく機会もありません。
種ありデラは種なしよりも味が濃くて香りもあり、甘さも強いのですが、
今の日本にそれを覚えている人はほとんどいない、それがいい例です。

日本人の味覚から、本当のぶどうの味が失われる日は、すぐそこまで来ています。

ピオーネ
一粒一粒がピンポン玉のように大きなピオーネ。これはホルモン処理のおかげ。
種なしにすること以外に、粒の肥大という目的もあるホルモン処理は、
普通に作ったら絶対にできない大粒ぶどうを作ることもできるようになりました。
ピオーネの他、藤稔などがこの代表的品種です。




店頭で「食べやすい種なしぶどう」と書いてあるのを見るたびに、
山梨県や山形県で、老体に鞭打って剪定している農家の顔が思い浮かびます。

それは時代の流れだからしょうがない…。
ただ、その事実を誰かに知っていてもらいたい…そんなふうに思います。



※9月4日(土) 巨峰の収穫体験を企画しています。
山梨市の巨峰農家が「この前後2~3日が、今年の巨峰が一番おいしい時期!」と言うこの日。
詳細は以下をご覧ください。

http://www.hontabe.com/tour.asp

農家のプロフィール・収穫体験詳細はこちらから
http://www.hontabe.com/img/tour/tour_kyohou.pdf



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たのし、むずかし、桃収穫体験

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着色のいい品種「なつっこ」ちゃん。いい色っぽいけどちょっと早い。
ぽわぽわの産毛はかわいくてほおずりしたくなるけど、皮膚に刺さると痛いから要注意。



8月1日、山梨市の大沢農園さんで「桃収穫体験」をさせていただきました。

桃の品種は「なつっこ」。
山梨県の桃農家のおっちゃんたちが「これはいい」という期待の品種です。

「本当はあと2~3日後の方が熟度が上がってよかったかもしれないけど、
農家にとっては熟度が上がると売れなくなっちゃうから、
少し早目の今日は、ちょうど良かったです」と大沢さん。

採る人にはうれしいけれど、残った桃が熟しすぎて売れなくなるのはリスクが高い。

桃のもぎ取りをさせてくれる観光農園の数が少ないのは、
桃の収穫適期と、もぎ取りのタイミングを合わせるのが難しいという理由があるようです。。


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「暑いので熱中症に注意して、水分取ってくださいね~」と大沢さん。
雲ひとつない青い空…じりじり上がる気温…立ってるだけで吹き出る汗…
でも桃もぎを始めたら「いかに熟したものを見つけるか」で楽しくなって、暑さを忘れてしまいました。


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意外な発見。桃のもぎ取り体験は、カニを食べるときのように無口になる。
もいで、皮をむき、もくもくとひたすら食べるのみ。不思議だ。




桃には白鳳に代表されるような、とろけるような肉質のものと、
今回体験した品種「なつっこ」のように、かりんとした食感が特徴の
「ゴム質」といわれる肉質のものがあります。

6月下旬から出荷され、8月中旬まで店頭で販売されている桃、
実は、品種がほぼ1週間おきに変わっているのをご存じでしたか?

早生品種の日川白鳳からスタートし、7月中旬には白鳳、下旬に浅間、川中島…
売り場には「桃」としか書いてないのですが、時期によって違う品種が並んでいます。

7月中旬に白鳳を食べて、とろけるような食感を味わった後、
8月に入ってゴム質のカリカリした桃を食べて「熟してない」と勘違いされることもあります。

品種が違うことを知らないと、損をした気がするかもしれませんね。


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「お父さん、アタシのもいだのの方がおいしいよ~」
桃のまるかじりは楽し。


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できるだけ高いところの桃をハンドセンサーで…。
「どれがおいしいんだかちっともわかんない」ことがよくわかりました。
写真提供・廣田修



さて、自分で食べる桃を自分でもぐ体験は、参加者の方、ほとんど未経験。
かくいう私も未経験。

基本的に果樹類は木のてっぺんについてる果実がおいしいものですが、
脚立に乗ってもぐのは一苦労です。

散々悩んで「これでどうだ!」と気合いを入れて選んだ桃でも、
大沢さんに選んでもらった方が100倍くらいおいしかったりして、
桃のもぎ時の難しさを実感しました。


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たくさんなってるんですけどね…色もきれいについてるんですけどね…。写真提供・廣田修

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やっぱり最後はプロ頼み。さすが!という選択眼に敬服いたしました。
写真提供・廣田修



一本の樹のなかでも、熟しているものとまだ少し早いものとが混在していること。
熟しすぎた桃は市場にも出せないし、直送の贈答品にも使えないこと。
でもその熟した桃が素晴らしくおいしいことなど、
畑に行って、自分で桃をもいでみて、初めてわかることばかり。

お土産用の桃を「せっかくだもの、自分でもぐ」と言っていた参加者全員が、
「やっぱり大沢さんにおいしいものを選んでもらおう」と言うほど、
プロと素人の違いは歴然としていました。

35度のピーカンの青空の下、桃のもぎ取り体験はうれしいけど難しくて、
おなかいっぱい桃を食べ、桃のこと、農業のこと、果樹栽培のことなどに
思いをはせた2時間でした。


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大沢農園さんの見晴らし台下で記念撮影。
おなかいっぱい桃を食べました!


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お昼ごはんはマクロビカフェ「Hakari」さんの野菜カレー。
いや、この玄米がべらぼうにおいしかったです。



※今後も果樹類の収穫体験を企画していく予定です。
詳しくはWEBサイト【ほんものの食べものくらぶ】http://www.hontabe.com/tour.aspをご確認ください。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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