ふじの物語―1人のりんごづくりの思い出から

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シナノゴールド。貯蔵性もよくメリハリのある濃い味が特徴の期待の品種。
最近店頭でもよく見かけます。



安曇野に行ってきました。

中生種のシナノゴールドがちょうど収穫真っ盛りのりんご畑。
その名の通り、畑が黄金色に染まり、年に一度の収穫期の美しさを誇っていました。

ふじもそろそろ赤くなってきて、あとは熟すのを待つばかり。
今では日本はおろか、世界中で栽培され、愛されている「ふじ」ですが
生まれたときには色づきの悪いりんごだったことをごぞんじでしょうか。

このふじと安曇野の一人の農家の物語を紹介したいと思います。

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化学肥料は使わず農薬はできるだけ少なく。昭和の時代、誰よりも先に低農薬栽培に取り組み、
りんご栽培に心血を注いだ人、故原今朝生さん。



安曇野には私が尊敬するお一人のりんご農家がいらっしゃいました。
2006年に山の事故でお亡くなりになり、もう5年になります。

故原今朝生さんがふじを自分の畑に植えたのは、
まだふじが「東北7号」という名だったころ。
期待の品種だった「東北7号」は、色づきの悪いりんごでした。

当時はりんごを3反作れば一年食べていけると言われていた時代。
ここからふじと原さんの物語は始まります。

原さんの畑で、ある時から、一枝だけ真っ赤に色づくふじが実るようになりました。
白いようなりんごの中で、ひとつの枝だけに真っ赤なりんごがなっているのです。

これは「枝変わり」と呼ばれる突然変異。
それまでの木の性質と多少性質の違う実がなる枝ができる、不思議な現象で、
桃やりんごでよく発生すると言われます。

今では枝変わりはあちこちのりんご畑で発見されていますが、
枝変わりという概念が全くなかった当時、原さんはこの枝を目ざとく見つけ育成し、
新しい「着色系」という系統のふじを作り出しました。

これが日本で一番最初に見つかった「ふじの着色系」。
品種カタログには「長ふ1」という名前で今でも載っています。


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ものすご~くわかりにくいのですが、上のりんごと下のりんごとでは色づきが違います。
上部のりんごが枝変わりで、べったりと紅色がつくりんごがなっています。わかりにくいですけど。
とってもきれいな色なので、残してみて性質を確かめているところ。
色がよくても柔らかくなりやすかったり、硬かったりなど、その他の性質も大事なのです。


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りんご全面にサビが出てしまっていますが、これが枝変わりの悪い例。
この枝になるりんごだけ、全てにものすごいサビが出て商品になりません。
枝変わりが出たからと言っても、全てがいいものになるわけではないのです。



今も昔も、りんごは赤くなければ売れないもの。
赤い色のふじは高く売れることもあり、全国に普及していきました。

その後も原さんの畑では、性質のいい枝変わりがいくつか発見されました。
その中のひとつ「長ふ12」は今、世界中のりんご畑で植えられているそうです。

長野県の一人のりんご農家の畑から見つかった一本の枝が、
世界中のりんご畑に植えられている…素敵な話です。

なぜ彼の畑からよく枝変わりが見つかったのか。息子の俊朗さんは言います。

「父の剪定方法は、徒長枝を残して伸ばしていく方法。
徒長枝ってのは突然変異を起こしやすい枝なんだよね。
だから枝変わりがたくさん出たんだよ」

徒長枝を残す剪定方法などりんご栽培ではほとんどされていなかった方法。

さらに枝変わりという概念もなかった当時、それを見つけて育成したことが功績だと
ある時、知り合いのりんご農家がしみじみと言ってました。

「原さんだからできたんだと思うよ」

新しい技術を思いつくとすぐ試す、その知的好奇心と観察力、粘り強さ、カン。
それらはこの後、長野県のワイ化栽培の普及にも、大きな役割を果たすことになりました。


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ワイ性台に継がれたりんごの木。とっても小さいので脚立は必要ありません。
あと2mくらい高くはなりますが、そんなに大きな仕立てにはしないで小作りの剪定をしていきます。
でかい木は剪定も収穫も、葉摘みも花つみも大変。脚立から落っこちたりするともっと大変。
後継者のいるりんご農家は、ほとんどワイ化に切り替えているようです。


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きょう木栽培と呼ばれる大きなりんごの木。この樹は60年生くらいで、かなり病気が入っています。
カメラのフレームに入りきらないこの大きさ。剪定も収穫作業も大変です。
ちなみにこの樹は「東北7号」。品種登録される前に売られていたふじの木なのですねえ。




昨今のりんご栽培では、りんごの樹を大木にしない「ワイ化栽培」が主流です。
りんごの樹を小さく作る台木を使い、りんごの木を小さく作ります。
このため農家は脚立に乗って作業することが減り、大幅な省力化につながります。

そのワイ化栽培で原さんは、短期間に収量を上げる技術を開発しました。

「苗木を植えて3年で1反4トンの収量を上げる」その方法は、
現代農業でも紹介されましたが、誰もが驚きました。

1反4トンというのは、普通の栽培とほとんど変わらない数字だからです。

ただひたすらにりんごの普及と作業の省力化に心血を注いだ原さん。
高い技術を持ちながら、それにおごらず自慢せず、控えめなのに大胆で、
誰も想像できないことをしては「どうだい?」と笑うような人でした。

普通のりんご農家ではなかなか手が出せない新品種も、気になったらすぐ作っていました。
巷で「期待の品種」と言われ始めるころには、原さんちでは普通になっている…
そんなことが何度もあり、その都度驚く私を見て、満足そうににっこり笑う
お茶目な人でもありました。

肩書もなにも必要なく、一人のりんごづくりとしての人生を選んだ…そんな感じでした。


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ひこばえから大きくなった原木ふじのこども(っていうかクローンというか)。
きょう木栽培の剪定をされて、これからどんどん大きくなります!って言ってるみたいです。



2003年、ふじの生まれ故郷青森県で、ふじの還暦のお祝いがありました。
原さんはその際に農林7号、ふじの原木のひこばえを持ち帰りました。

ワイ性台に継がず、そのままの性質を残してりんご畑に植えられたふじの原木。
きっと大きな木になることでしょう。
今年8年生のその木は、きれいな紅色の実をたくさんつけています。

「このふじにはどんな実がなるだろう。きっと色の悪い実がなるに違いない。
これからも、子や孫に大切に育ててもらえることを信じて」と言っていた原さん。
残念なことですが、このふじになったりんごを見ることはありませんでした。

今、その木は息子の俊朗さんが大切に育てています。

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思ったよりきれいな色がついている原木ふじの実。なんでこんな色なのか、
どういう具合に植えたのか、聞きたくてももう聞けません。ちゃんと聞いておけばよかった。



ふじというりんごは、現在日本で一番作られているりんご。
世界中で愛され、これからもずっとずっと栽培され続けていくりんごでしょう。

その輝かしい歴史の一端を担っていた一人のりんご農家を、私は知っていました。
ふじを見るたび、安曇野でりんご畑の風に吹かれるたびに、
その人の人生に、ほんの少しだけでしたが、関われて良かったなあと思います。

今年もそろそろ早いふじが店頭に並び始めます。
日本全国でふじを栽培しているりんご農家それぞれに、きっとふじの物語があると思います。

そんなことを思いながら食べてみるのもいいかもしれません。


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無施肥・無農薬でみかんをつくる人―広島県・道法正徳さん

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青い空と瀬戸内海…美しい風景ですねえ。
道法さんの無施肥・無農薬のレモン畑から見える、瀬戸内海の風景。



無肥料栽培ってどういうことだろう? 
最近いろいろと話題です。気になります。

私が知っている限りでは、草生栽培で人為的な肥料分を全く与えず、
すももを作っている人がいらっしゃいます。
(過去ログ→http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-14.html


よく考えてみると、無肥料栽培というより無施肥ってのが正しいような気もします。

そう言えば、海っぱたの岩に自然に生えている松などを見ると、
土はどこにもないのに、元気に生育しています。
彼らは何から養分を補給しているのだろう?

ある人が言うには「微生物の仕事」なのだそうです。

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病気のあとや傷がひとつもないきれいなグリーンレモン。
これなら慣行栽培と比較しても全く遜色ありません(ピンボケですみません)。
無施肥・無農薬でこれだけのレモンができるとは…ものすごく説得力がありますね。




田んぼでは、前作のワラを還元すれば全く肥料を供給しないでも
水に含まれたり田んぼの微生物の死骸などの天然供給量だけで
最低5俵は採れると聞いたことがあります。

微生物の死骸や、共生菌の働き、また雨によるチッソ補給など、
天然供給の肥料分があり、循環の流れができていれば植物は生育することができるのでしょう。

でもそれだけで経済作物をつくることができるのかなあ…収量もそれなりの?

そんなことを考えていたら、
かんきつ類で無施肥栽培を実践している方にお会いしました。

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道法正徳さん。広島弁でのお話は漫談を聞いてるみたいに楽しいのですが、
その理論は少し難解。でも方法はシンプル。感銘を受けました。




りんごや桃などの落葉果樹と違い、かんきつ類は常緑樹です。
冬、休眠することなく、一年中光合成を行います。

さらにレモンなどは春に花を咲かせながら果実の収穫もできてしまうという、
落葉果樹類しか知らない私には未知の作物。
休眠がないぶん、養分の配分が違うのだろうなとは思うのですが、
なんともよくわかりません。

「なぜ花と果実が同時に存在できるんだろう?不思議だなあ」的な作物、
それが私にとってのかんきつ類。
そして、今回初めてかんきつの畑、しかも無施肥・無農薬の畑を見学しました。

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下草にナギナタガヤを繁殖させるのも農法のひとつ。
ナギナタガヤは種を購入してまかなければなりませんが、うまく次世代の芽が出ればOK。
これは新しい芽が出ています。りんごの下草に利用する人も多い草です。



畑の主、道法正徳さんは、かつて青果連に属し、
農協組合員に肥料・農薬を販売しながらの指導をされていたそうです。

自分でもみかんを栽培していく中で、ある時隔年結果にならない剪定方法を発見しました。
その後は指導員を辞め、無肥料・無農薬栽培の技術も確立し、現在に至ります。

さて、道法さんの栽培方法でかんきつ類を栽培すると、
大きくてきれいな果実、一般栽培とそれほど変わらないものができます。
その方法は実にシンプル。しかもわかりやすいのです。

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苗木の仕立ても特徴的。枝が全て上向きに伸びています。
ある程度大きくなると勝手に下に下がって来ますが、それが右側に伸びている枝。
その枝からまた上へと伸びる枝が何本か新たに伸びています。
写真では見えないのですが、株元に黒マルチが敷いてありました。これもコツなのだそうです。




上に上にと伸びる樹勢のいい枝、徒長枝を残し、横・下に伸びる枝を切る剪定方法、
「切り上げ剪定」を行うことにより、かんきつ類の宿命「隔年結果」がなくなり、
大玉の果実ができ、無農薬栽培も可能になる…いいことばかり、素晴らしいですね。

しかも消費者には「無農薬」という付加価値商品を提供できるのですから。

果樹類はどんなものでも、勢いよく上に突っ立ったような枝は、
夏の間に切られたり、切るとまた出てくるのでくりっとひねられたりして、
だいたい邪魔者扱いされています。

道法さんの考えは、この邪魔もの扱いされる樹勢のいい枝をあえて残して実をつけ、
実の重さで枝を下向きにさせるという方法。
その結果、大きな実がなる「有梢果」という実がたわわに実ります。

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大きな枝から出る小さな枝にみかんがついているのがわかりますか?
これが有梢果。大きな枝に直接実がなるよりも大玉になり、糖度も上がるならせ方だそうです。
それもこれも植物ホルモンの作用なのですが、うまく説明できません。すんません。



道法さん曰く「チッソ・リン酸・カリ、必要ない。必要なのは植物ホルモン。
オーキシンとサイトカイニンが働くようにすればいいだけ」

ものすご~くざっくり言うと、
オーキシンは成長部分で作られ、植物体内を移動して根を伸ばす働きがあり、
サイトカイニンは根の部分で作られて、生長点に移動し植物の成長を促す作用があります。

オーキシン・サイトカイニンともに植物の成長を促す植物ホルモン。
これらの働きをうまく利用するのが切り上げ剪定ということなのですね。
そのほかエチレンの合成などももちろん利用します。

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道法さんの剪定の特徴、チェーンソーでバッサリ剪定。
けっこうバッサバッサと切っていきます。その後剪定バサミで下に向かっている小さな枝を切ります。
写真はないのですが、上に伸びることのできない小さな枝が自分で枯れているのを見て、
上に伸ばすことの意味・植物の生理がわかるような気がしたりしました。



ううう、大変難しいです。
さらに、NPKが必要ないってのがよくわからないのです。

しかし道法さんの畑では、無施肥・無農薬栽培に取り組んでもう何年も経つのに、
慣行栽培と同じような大玉の美しいレモンがなっています。

「無農薬だからカイヨウ病や黒点病、ヤノネカイガラムシが多少いてもしょうがない」

低農薬・無農薬栽培では、かんきつ類は肌がちょっと小汚くなり、
見た目が悪いのにちょっとお高いので、流通団体や農家はそう説明します。

通常、無農薬栽培のみかんやレモンには、こういった病気や虫がついています。
しかし、道法さんのレモンにはほとんどついていないのです。
さらに、かんきつ類の幹に入り込み、樹を枯らしてしまうカミキリムシもいないのです。

実践できているということは、これは事実であるということです。

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チェーンソーでぐりっとえぐられたような切り口。
切った枝を残さず、その根本から切るのがこの剪定方法の特徴です。
こういう切り口にすることで、生長点から降りてくるオーキシンと根から上がってくるサイトカイニンが働き、
植物の自然治癒力によって傷口が修復されます。


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植物の力のみで修復された傷跡はこんなふうに盛り上がります。
通常は切り口にバッチレート等の農薬を塗布し、病原菌が入らないように防ぐのですが、
この方法だと農薬は必要ないそうです。
※この写真はりんごの樹で何か塗ってありますが、道法さんの畑の樹ではありません。
傷口の盛り上がり方をご確認ください。




全く新しい剪定方法で、慣行栽培と同様の見た目のものが無農薬・無施肥でできること、
さらにかんきつ類の宿命・隔年結果にならないこと、
その方法が、理屈はともかく素人にでもものすごくシンプルでわかりやすいこと
…何度も言いますが、素晴らしいですよね。

興味ある方は、道法さんの本を読んでみてください。

『高糖度・連産のミカンつくり~切り上げせん定とナギナタガヤ草生栽培』川田健次著
※川田健次というのは道法さんのペンネームだそうです。

一度聞いただけではいまいち理屈がわからなかったので、
またいつかお会いして、ゆっくりお話を聞きたいなあと思っています。


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無農薬でおいしい野菜を作りたい  岡崎市・麻衣さん

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OLから新規就農。就農約1年の麻衣さん。無農薬・無化学肥料でおいしい野菜を作っています。


岡崎市で女性二人で無農薬栽培に取り組んでいるのんのんファーム。
去年の秋に畑を借りて、今年の春作から本格的に農業を開始しました。

現在はまだ試行錯誤中。

新規就農者がまず困る「売り先の確保」が難しく、
WEBサイトを開設し、無農薬野菜セットの注文をとってはいるのですが、
注文があまり来ないのが悩みの種。

地域の直売所で野菜を販売したこともありましたが、
地元農家のダンピング攻勢に負けてしまい、出荷するのを断念しました。

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牧草が植わっていたという畑は夏野菜がにぎやかに茂っていました…夏草も。
耕作をやめ草ぼうぼうになっていた土地は、就農するには意外と条件がいいと言われます。
その理由は、腐植が多く微生物が豊富だから。難点は草取りなんですが。



「最初は本当に自分が野菜を作れるのかって思っていました。
なので販売のことはあまり考えていなくて。

野菜ができ始めてからは直売所で売ってみたんですが、
ものすごく安く野菜が売られてるんですよねえ…。

自分たちの作った野菜をその値段で売るのは、ちょっと悲しい。
袋に入れたり調整したりする手間を考えると、出すことに意味がないような気がして。
結局やめました。

畑の前で販売をしたりもしたんですが、100円で売っても箱に入ってるのは
10円だったり1円だったり。きちんとお金を入れてくれないんですよね。
なのでそれもやめてしまいました。

売り先は今、毎週土曜日に名古屋でやっている朝市だけなんですが、
ここから少しずつ広がっていけばいいなと思っています。

この朝市は有機栽培のものや無農薬栽培の野菜ばかりを扱っているので、
自分たちの野菜がきちんと評価されるので。
でもまあ、今は持ち出しの方が多いような状態です。」


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発芽してどれぐらいでしょう。人参が元気よく育っていました。
発芽してしまえば人参は楽勝と言われますが、間引きとか草取りとかいろいろな作業があります。
この小さな芽から大きな人参が育つのです。野菜って不思議ですね。



最初は畑の借り方もわからないので市民農園で野菜づくりをはじめました。

最初に借りた畑は、偶然としか思えない出会いがきっかけでした。
しかし次の畑を借りるに当たっては、気合いの入ったエピソードがありました。


「最初、岡崎市役所に行ったら「畑なんてない」って追い返されたんですけど、
しつこく何回も通ってたら「おかざき農業塾」っていう研修に参加すると
もしかしたら農地を斡旋してくれるかもしれないって言われて参加しました。

実際に研修を終えると必ず農地を斡旋するというシステムはないのですが、
斡旋してもらえたんです。しつこく市役所に通った甲斐がありました。
でも、市役所も自分で農地を探してきた方が早いよって言ってますから、お勧めできませんけど」

その間、有機栽培に取り組む農家の見学に行ったり、
岡崎市主催の野菜づくり研修に参加したりしながら自分の畑で実践し、現在に至ります。

そのなかで、自分の農業はこうありたいという思いが強くなっていきました。

基本方針は「無農薬でおいしい野菜を作ること」、さらに、
「地域の資材を利用して、購入資材を使わないエコな農業を行うこと」のふたつ。

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牧草に負けつつある玉ねぎの苗。早く草をとらなければ!
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とりあえず、20分ほど草取りをお手伝い。多少きれいになりました。
玉ねぎの株元に最近入手したモミガラがまいてあります。地産地消の農業資材ですね。



お金をかけて資材を投入するのではなく、地元で手に入るもので野菜を作り、
食べた人に「おいしいね」と言ってもらいたいと麻衣さんは言います。

麻衣さんはなぜ農業を始めようと思ったのでしょうか。

「よくある話だと思うのですが、OL時代はすごく残業が多かったのです。
仕事が終わっちゃってても、上司が帰らないとなんとなく帰れないみたいな雰囲気ってありますよね。
時間内に仕事が終わってても、遅くまでいるのが偉いみたいな雰囲気。

私は残業するのがすごくイヤだった。
だからさっさと帰ってたけど、それも何だか気がねしなくてはならなかった。

農業のいいところは、全て自分の時間だってことです。
作業の段取りや時間配分が自分の思い通りにできること、それが楽しい」

現在、畑の総面積は4反弱、稼働しているのはそのうちの3反。
今年からまた少し面積が増えるので、来年の春作からは作る野菜も増えそうです。


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ナスの花をチェック中。最近は、タウン誌や地元テレビの取材を受けることもあるという麻衣さん。
若い女性が農業に取り組むという話題性が大きいからでしょうか。がんばってほしいです。



惜しむらくは野菜の売り先がないこと。

これからは販売戦略を考えてさらに営業努力をしていかねばなりません。

ただひたすら作物を作るだけでは立ち行かないのが新規就農者。

市場調査や商品開発、売れるものを先取りするカンなどなど、
土地も売り先も、ただ引き継ぐだけで、すでに基盤のある農業後継者とは
全く違う世界に新規就農者は生きています。

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終了間際の水ナス。普通の長ナスをいただいて帰ったのですが、
とろけるような食感のおいしいナスでした。やはり有機農業の野菜は力があります。



これから秋作の種まきと管理が始まります。

「日々、土と野菜に向き合う生活は楽しいけれど、遊びじゃないので
ちゃんと野菜が売れてこそ仕事って言えるんですよね」と言う麻衣さん。

早く、野菜の売り先がたくさん見つかるといいですね。


麻衣さんの野菜を食べてみませんか?
のんのんファームの野菜セットをご注文いただけます。

のんのんファームの野菜セット(ほんもののの食べもの日記part2版)
送料込 2,500円

内容・ナス、レタス、きゅうり、つるむらさき、人参葉、ニガウリ、伏見甘長唐辛子、水菜などの葉物などから
7~8品目。内容はおまかせになります。

ご注文期間は10月30日まで

注文は以下のメールアドレスへ
info□nonnonfarm.com  □を@に変更して送ってください。
※「ほんたべ版野菜セット注文」というタイトルをつけてください。
ご注文承り後、振り込み先のご連絡をいたします。
振り込み確認後、発送とさせていただいています。

ブログ・のんのんファームの作業日誌 http://nonnonfarm.99ing.net/
WEB http://nonnonfarm.com/index.html
※もう少し小さいサイズの野菜セットもあります。詳しくはWEBサイトにて。


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稲刈りを見て気づいたこと

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黄金色の稲穂の風景は本当に美しいですよね。日本人で良かった!とか思っちゃいます。


先月から山形、広島、鳥取、和歌山、愛知と長期間移動しておりました。

ちょうど今、西日本も東日本も稲刈りの最中。
風になびいている稲穂、はざがけされた稲穂など、豊かな実りの風景が
あちこちで見かけられました。

これらの昔ながらの風情ある景色とともに、
一気に刈り取りモミにしてしまうコンバインの便利さなども目の当たりにし、
稲作について少し考えてしまいました。

昨年は一俵あたりの金額が12,000円だったと聞きましたが、今年はどうなのでしょう。
今年度産魚沼コシヒカリの価格が古米よりも安いと嘆いている農家が
ニュースに出ていましたが、また今年も安いのでしょうか。

米作はもう儲からない、そんな言葉が定着してしまったようです。


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地域によるはざがけの形の違いレポート。これは西日本の山間地のはざがけ。
3段~5段の高さが必要な理由は、山間地で日照が短いためなのかしらと思っています。


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よく見るフツーの一段のはざがけ。この田んぼの持ち主はかけた上にさらにかけているみたいです。

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山形から宮城県でよくみられる形。「くいがけ」と言うそうです。なぜこの形なのかは不明。
どなたかご存じの方教えてください。日照時間とかじゃないみたいなんですよね。


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稲刈りシーズンになるとあちこちで咲く彼岸花。実は毒を持っています。
根茎に毒があるため、この花を植えておくとネズミやモグラの被害が無くなるそうです。
毒を抜いて食べられなくはないため、非常食としても使われていたと聞いたことがあります。
どこにでも生えているのには意味があるのですねえ。




さて、米の価格は、収穫が終わった11月~12月にかけて、
JAに出荷している米農家に支払われる「仮渡金」と、翌年、前年の米が売り切れたあたりで
最終価格の調整が行われて支払われる「追加分」の合計で決まります。

昨今あまり追加分が出ないというウワサを聞きますが、それはともかく。

平成21年度産のアキタコマチ仮渡金を聞いたところ、
一俵(玄米60kg)が12,300円(税込)だったそうです。

特別栽培農産物でも有機農産物でもない、一般的な栽培(慣行栽培)での価格です。

ニッポンの稲作はほかの作物と比較して省力化・機械化が非常に進んでいます。
限りなく効率化された結果、一戸あたりの面積もかなりの広さまで可能になりました。

そのため、一俵あたりの金額が多少安価でも、面積が広い農家であれば採算が合うようです。

しかし、中山間地の条件の悪い傾斜地などで栽培された場合、手間と経費がかかるため
18,000円~20,000円(1俵)くらいにならないと、かなり厳しいといわれます。

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コンバインから出てきたらもうこの形になっているお米。文明の利器の力ってスゴイなあ。
あと日本人の効率化への情熱も。ちなみにこのお米、山形の期待の新品種「つやひめ」。
おいしいって評判のお米です。早く新米が食べたいなあ。



そこで、12,300円を検証してみました。

米の収穫量は10aあたり約10俵とします。
10俵採れたので、123,000円が10aあたりの売上になります。

このうち、利益はどれぐらいになるでしょう。

減価償却費、燃料、土地改良費、種苗代、農器具、修繕費等々が生産費になります。
この話をしてくれた農家の生産費は、1俵あたり約10,000円ということでした。

10俵あたりの生産費は…100,000円です。

10俵=10aだから…10aあたりの利益は…たった23,000円

うひ~、この価格で稲作を続けていけるの!? だれしもが思うはず。私もそう思います。

そして、今回山形でコンバインによる稲刈り風景を初めて見て、気づいたことがありました。

「あの機械、いくらぐらいするのかな~」
「ベンツとおんなじくらい」 一緒にいた農家がさらりと言いました。

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この機械600万。お隣で作業してた人のはもっと大きくて1,000万ぐらい。
中古で買う人もいるそうですが、高い割によく壊れるとかいう噂も…とにかくスゴイ機械ですよねえ。


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コンバインのお掃除をしているところを見せてもらいました。
人間の手が行っていた作業を機械ができるようにしただけ…と言われますが、誰が考えたのやら。
これは稲からモミを外すところらしいんですけど、誰がこの形にしようと思ったのやら。




コンバインは規模にもよりますが、だいたい600万から1,000万くらいするそうです。
1,000万の車を買うのは、サラリーマンだって躊躇します。びっくり!

さらにこの機械、一年のうち、稲刈りの1週間位しか使わないのです。もっとびっくり!
しかし買わなくては作業ができないのです。これが経費を押し上げているのですね。

大規模化をしなくては立ち行かない米価の低迷…でも、
大規模化するには、高額な機械の購入をしなくてはならない。

仮渡し金が急激に下がった何年か前、借金が返せないと嘆いていた農家の話が
初めて実感できました。

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バッタだと思ったらイナゴでした。もっと凶悪な顔してると思ってました。まるっきり仮面ライダーでした。
しかしコンバインで刈り取ったらこいつらも一緒に刈り取られるのでは…?
「たぶん混じってると思うけど、この後の工程で粉々になって…」いやいやいや、もう聞くのやめときます。



付加価値商品である有機米や、ブランド産地ではもう少しいい価格だと思います。

しかししかし。
海外との競争力をつけるため、もっと安くと言われている米、
今のところ自給率100%を誇っている米ですが、
こんな儲からないんじゃ、作る人いなくなっちゃうんじゃないでしょうか。

だからこそ、個別所得補償制度があるのだと言われるかもしれません。
しかし根本的な改善には絶対にならないことは、誰もが気づいているはず。

そうは言っても大規模化は国の政策ですから、
今後この方向がブレることはないでしょう。

今まで小規模農家が大変だとばかり思っていましたが、
大規模な人たちだってすっごく大変なんじゃないかとふと思いました。

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ピカピカの新米は日本人の喜び。つい食べすぎてしまいます。
最初は塩むすびでわしわし食べて、炊き込みごはんはもったいないから、やっぱりサンマか…。
夢がふくらむ新米の季節。



わたしたちは、作っている現場のことを知らなすぎるんじゃないでしょうか。

お米がどんな風に作られていて、どう値決めされているのか
もう少し、知っておく必要があるんじゃないのかなあ。

まだ新米を食べていませんが、今年の新米はおいしいばかりじゃないような
そんな気がします。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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