11月のりんごがおいしい理由

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10月のふじ(なので色がいまいち)。正しい形で生育しています。
りんごって先すぼまりというイメージがあるかもしれませんが、実はこういう四角が正しい形。
お尻が充実してこそその品種の味や香りがきちんと出てくるのですね。



りんごって、9月ごろから翌年の8月まで、ほぼ一年中売られていますよね。

4月や5月はりんごの花が咲いてる時期。なんで売ってるの?
な~んてりんごの産地担当になるまでうっかり気づかなかった私ですが、
今では「貯蔵してるからですよ~」とでかい声で言えます。

貯蔵りんごは、ふじの他に王林やジョナゴールド。新しいとこでシナノゴールド。
それぞれに収穫時期が違うので、今回は長野県のふじの話をします。

ふじは早生ふじから普通ふじまでいろいろとあり、
早いものは10月下旬から売られています。
長野県ではふじが収穫できるようになるのは11月に入ってから。
今年は夏暑かったせいか、少し遅れました。

11月中は、色づきがよくて熟したものからもいでいきます。
ふじが一番おいしいのは11月と言われる所以です。

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ふじの収穫風景の写真がないので、今回シナノゴールドで代用。
シナノゴールドは樹につけすぎておくと、こんなふうにお尻や肩が割れてしまうりんごです。
充実しすぎてしまったのです。しかしその味と言ったらもう…シナノゴールドの本当の味って、
こんなに力があったんだ!という味。お店で売られないのは本当にもったいないですね。


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ふじでもよく見られる肩ワレ。ジュースになるしかありません。
ああ、本当にもったいない…。




霜が降ると蜜が入り、とってもおいしそうになるんですが、
この蜜が最近年明けに劣化し、蜜症という生理障害を引き起こします。

蜜症になると内部が茶色くなって苦くなってしまうので、食べられません。
また完熟ぎりぎりまで熟したものはすぐにボケちゃうので、貯蔵には向きません。

蜜が入らないまだ粉っぽいうちに収穫してしまえば、長期貯蔵できるので、
貯蔵りんごが主になる青森県などは、10月上旬にふじをもいでしまいます。
このりんごはりんごの呼吸作用を抑えるためのガスを充満させた倉庫で、
大切に保管されます。

これが翌年の5月や6月に売られているふじ。

収穫直後は粉っぽくて全くおいしくありませんが、貯蔵中にでんぷんが糖化して
それなりの味になるのが不思議です。

さて、大規模な施設がない地方では翌年春までの貯蔵ができないため、
11月上旬から下旬は熟したものからもぎ始め、
11月下旬、雪が降ってしまう前にいっせいにふじをもいでしまいます。

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収穫用のカゴから選別しています。選別はりんご農家にしかできません。
キズ・ワレ・小玉などのジュース用と、ふじの場合は贈答用と一般出荷用と。
その後選果機を通して玉数をそろえ、箱詰め作業を行います。



熟したものを選んでもいでいた時と違い、樹についているりんごを全部収穫するので、
熟したものとまだお尻が青いもの、キズやワレりんごが混在しています。

まだ熟していないお尻の青いものは年明けに、熟してるものは12月や1月に出荷します。

どこを見るかというと、お尻です。青っぽい色が抜けていればOK。
さらにおいしいりんごは、お尻がぽこんと開いています。
りんごって果実が充実してくると、お尻がぐわっと大きくなるため、
この部分が引っ張られてぽこっと開くのですね。

さてこの際に出てくる傷・ワレりんご、小玉りんごの行く先はどこでしょう?

傷・ワレ・小玉・病気りんごは売れないので、
ほとんどの農家がジュースなどの加工品にしています。

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ワレ・傷・病気りんご。この地域では、ジュースにするりんごは自分で持ち込みのため、
病気部分は自分ちでくりぬいてきれいな状態にして持って行っています。
自分ちのりんごだけで自分ちのりんごジュースが作れるのがいいですよね~。
ジュース工場の原料りんごを見たことがありますが、絶対に飲まないぞ!と決意するほどの状態でした。


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これが出荷用のりんご。比較すると美しさのほどがわかります。
色合いもゴールドって感じで、おいしそう…シナノゴールドって台木によって色が違ったり、
収穫時期によっても色合いが変わるので、おいしいものを見つけるのは難しいかもしれません。



このジュース、加工工場によって味が変わるので、
おいしいところで作ってるのを買うのがお勧めなのですが…。

どれはともかく。

ワレりんごは、りんごが充実しすぎてぱっくり割れちゃうものがほとんど。
そういうりんごは本当にとってもはおいしいのですが、
この部分から劣化が始まるので、販売はできません。

もったいないですね~。もったいないと言えば小玉りんごです。

小玉りんごは単に小さいりんごなので、この時期は少し粉っぽくても、
きちんと保管しておけば長期間の保存に向き、味もいいものです。

りんごもみかん桃も、、まあトマトもそうなのですが、基本的には果物も野菜も、
それぞれの品種で大玉でも小玉でも、細胞の数はほぼ同じらしいのです。
つまり、ひとつひとつの細胞がちっこくできたか大きくできたかの違いなのです。

そのため、この内部が何で満ちているかで味が変わります。
たっぷりの糖分で満たされているものが、ほんもののりんご。
水ぶくれのりんごだと、どんなに大玉でもおいしくないのです。

その点小玉りんごはそもそもが小さいので充実しており、
ぎゅうっと味が詰まっているものが多いので、あまりハズレがありません。

小玉りんごが店頭で売られていないのは本当にもったいないな~と思うのですが、
「規格外」なのでしょうがないのですね。

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スミスばあちゃんという名前のグラニースミス。日本でも最近ちょっとずつ栽培されてるようです。
すっぱいのでジャムやパイにする際に、レモンは必要ないというステキなりんご。
本来は10月に収穫するんですが、11月下旬まで置いておくので生食もおいしいです。
実はアップルレコードのレコードについてるりんごとしても知られてます(ちょっとウンチク)



さてそこで、今回この小玉りんごをマルシェで販売することになりました!

12月1日(水)、10:00~15:00 ちよだ青空市
「ほんものの食べものくらぶ」
で出展します。


ふじとグラニースミスの小玉をご用意しています。
お時間がありましたら、お出かけください。
同じブースで山梨県の桃農家、丹澤修さんのジュースも販売しています。
丹澤さんの記事は過去ログから→hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-26.html

ぜひいらしてくださいね~。お会いできるのを楽しみにしています。

ちよだ青空市 12月1日(水) 10:00~15:00

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
ちよだプラットフォームスクエア 1階ウッドデッキ(荒天時ロビー)

最寄駅
■竹橋駅(東西線)                  
3b KKRホテル東京玄関前出口より徒歩2分
■神保町駅(三田線・新宿線・半蔵門線)    
A9出口より徒歩7分
■大手町駅(三田線・千代田線・半蔵門線・丸の内線)
C2b出口より徒歩8分 

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畜産の飼料のお話

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平飼養鶏の小鳥たち。まんなかのモヒカンヘアの子がオス。
通常は卵を産む直前の鶏を仕入れるのが常なのですが、平飼で健康な鶏を育てる場合、
クチバシにまだ卵を割る突起がついてるような小鳥(初雛)を仕入れます。
小さな時から健康に育てるのが、抗生物質に頼らない養鶏の基本。


現在の日本の食糧自給率は40%。もう皆が知ってる数字です。

これはカロリーベースなので、本来は生産額ベースで見るべきと言う人がいます。
生産額ベースでは70%。そんなに危機的状況ではないような数字です。

でも例えば鶏卵単体の数字を見てみると、品目別自給率は97%。
スゴイじゃん! ここに飼料自給率を掛けます。×10%。
さて、カロリー自給率が出てきました。=9.7%…ひ、低い。

鶏は輸入トウモロコシ(たぶん遺伝子組み換えトウモロコシ)を食べていますから、
国内で生産されている割合は高くても、自給率が低くなるという典型的な品目。
トウモロコシがなくなっちゃったら、何を食べるの?
想像すると恐ろしいですね。1P200円の鶏卵が500円くらいになりそうです。

このように、輸入穀物がないと、現在の日本の畜産業は立ち行かなくなっています。

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鶏たちがあちこちに産んだ卵を拾うのは楽しいもの。
平飼なので鶏があっためちゃったりしてて、卵がほんのりあたたかいことも。
こういう体験をすると「卵は生きもの」って気がしますよね。



トウモロコシや小麦がダメなら米を食べさせればいいじゃないか…なんて
思っている人も多いんじゃないでしょうか。
しかし実はそんなに簡単な話ではないのです。

日本の伝統的な農業は、少数の家畜と畑作・稲作による有畜複合農業と言われます。

家畜糞を肥料にし、作物を育てその残さを家畜に与え、ハレの日には肉を食う。
全てが循環している非常にエコな農業を営んできたのです。

しかし1961年の農業基本法の施行により、畜産と農業はかい離し始めました。

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この建物、養鶏の鶏舎なのです。ウインドウレス鶏舎といい窓は全くありません。
内部は自動給餌で採卵も自動。人工的な照明で朝も夜もわからない環境。
ケージの中にぎゅうぎゅう詰めになり、ひたすらに鶏は卵を産み続けています。
一度入ったら死ぬまでお日様を見ることができない鶏の卵。私はちょっと食べたくないかなあ。


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平飼養鶏の鶏舎と鶏。外を見物したり他の鶏をつついたり、卵をあっためてみたり。
思い思いにふるまってます。飼い主によって人懐っこくなったり、人を見ると追っかけてくる鶏になったり。
鶏にも個性があるのですねえ。



安価な輸入穀物を与え、大規模化による効率UPと大量生産、
米国型の畜産の導入が、日本の畜産業を大きく変えることになります。

大規模化=畜産工場なんじゃないかと、昭和60年頃には問題点が色々と指摘され、
本も何冊か出ていましたが、最近はぱったりと聞かなくなりました。
問題が解決されたのかなあ。そんなことないと思うけど。

ともあれ、このおかげで日本人は肉や卵が日常的に食べられるようになり、
小さく頑健な体だった日本人の体形を、すらりとしたバランスの良いものに変えました。

また動物たちも、大量生産に合った品種改良が行われてきました。

穀物を大量のミルクに変えるホルスタインや、
早く大きくなっておいしい「ロース」が長い(つまり胴が長い)豚(LWD)など、
穀物飼料ありきの品種改良で、日本人の食卓はより豊かになったとも言えます。

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乳肉兼用種・ブラウンスイス。傾斜地に強い牛なので山地酪農(やまちらくのう)で飼われています。
山地酪農…の説明をすると長くなるのでまたいつか。
ざっくり言うと中山間地に放牧し森の下草を食べさせる酪農のこと。穀物はあまり与えません。
そのミルクはあっさりとした草っぽい味になります。



その陰で、そもそも草を食べる反芻動物の牛に穀物を食べさせることのおかしさとか、
その牛はほとんどが放牧などされずに、狭い牛舎で飼われている悲しさとか、
ぎっしりと身動き取れないケージに詰め込まれ、暗闇で卵を産んでる鶏とか、
産業動物の飼育方法には「うへえ」と思うことがたくさんあります。

これは私たちにはほとんど知らされていません。
畜産の在り方は、実は日本はものすごく立ち遅れている分野でもあるのです。

さてそんななか、輸入穀物を日本で手配できる穀物に変えて
国産飼料100%の畜産にチャレンジしている人たちがいます。
(この商品は大地を守る会の宅配で注文できます)

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大地を守る会のthat`s国産卵。黄身が少し白っぽくなります。
これはそれほど白くないけど、白いときはほんとに白いのでびっくりされることも。



国産飼料100%に最初に挑戦した養豚農家に話を聞いたことがありました。
一番困ったのが、子豚がコロコロと死ぬことと、肉の味が変わってしまうことだったそうです。
子豚の死亡はなんとか食い止めましたが、肉の味を確立する配合を見つけるのに4年かかりました。

餌を変えると味が変わる…なんだか少しびっくりしました。
経験によって配合比は決まっているもの。急に内容を変更しても、同じ味にならない、
食べたものによって体は作られるのだから、当然のことなのですが。

また、粗飼料主体にすると牛肉はサシが入らない赤身中心の肉になり、
霜降り肉を喜ぶ日本では等級が低く、一般市場では安値がついてしまいます。

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赤身に網目のように入る脂肪(サシ)。脂肪は甘くておいしいので、日本人が大好きな味。
黒毛和牛のA5クラスなんて、ものすごい霜降りで怖くなるほど。
赤身の肉は鉄分が多くて健康にいいんですが、この脂肪の誘惑に勝てる人はあんまりいません。



鶏肉の場合は米を食うと脂肪が黄色っぽくなり、ちょっとニオイが変わり、
鶏卵農家は、卵の黄身が白くて気持ち悪いってクレームが来るんだよねと嘆きます。

卵の黄身の色味は実はカロチンの色。トウモロコシを食ってると黄色くていかにも卵色です。
これを小麦や米に変えると、白っぽい黄身になり、卵焼きも白っぽくなります。

私はもう卵の黄身が白いのに慣れてしまったので、オレンジのを見るとびっくりしますが、
スーパーの卵を食べてる人から見ると「白くて病気みたい」とか思うらしいです。

黄身の色はエサの配合で着色できるので、大したことじゃないと思うんですが、
安全性や農業の将来などよりも、黄身の色の方が大事な人もいるってことですよね。

食べものの見た目の許容範囲って意外に狭いのだなあとつくづく実感する話です。

そんな人はきっとたくさんいるはず。そういう中で、国策として穀物飼料を米に変更した場合、
その味や見た目が受け入れられるのかどうか。
誰が肉の味が確立するまで配合の実験をしてくれるのか。

トウモロコシがなければ米を食わせれば?と言ってる人に
聞いてみたいなあと思ったりします。

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今まで飲んだなかで一番おいしかった牛乳「森林の牛乳」緑ラベル。
伊勢丹で売っています。たしか500ml600円ぐらいだったような…。
森林酪農という放牧主体の酪農方法で、ほぼ草だけ食べているジャージー牛のミルクです。



今、100%国産飼料で…なんてことができるのは、本当に一部の人だけ。
そのことを理解して、対価を支払ってくれる消費者がいないと、うまくいきません。
でも、少しずつですが、飼料米を食べさせる取り組みをしている畜産農家が増えているようです。

できたらそういうものを選択し、食べ支えることが大事なんじゃないかなと思います。
ロシアや中国が穀物の輸出を制限し始めています。
そのうち、肉や卵が自由に食べられなくなる日がやって来そうです。

「私が若いころは100円のハンバーガーがあってねえ(遠い目)」
「ばあちゃんまたウソついてるよ~!」

近い将来、そんな会話が交わされるようにならないことを祈っています。

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守りたい究極の手仕事「本場結城紬」

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11月12日~14日まで結城市で開催された結城紬ウイーク。
高価なので通常はあまり在庫されない結城紬。街の呉服屋さんには何本も置いてないもの。
縞や無地、総絣などお店で買えば何百万という反物が一堂に並ぶ、夢のような光景でした。



まず、1993年のGATTウルグアイ・ラウンドの話から。
話題は米の輸入自由化。覚えている方もいらっしゃるでしょう。

結局ミニマムアクセス米を輸入することで決着がついたのですが、
米に注目が集まるなか、人知れず繭及び絹の自由化が行われていました。
あまり話題にならなかったのでしょうか。私は知りませんでした。

絹は過去、日本の外貨獲得源として大きく栄えた産業でした。
しかし現在では、中国・ベトナムからの輸入が主となり、国産割合はわずか1%。
農家戸数も1000戸と激減しています。

GATTウルグアイ・ラウンドの自由化を皮きりに、国産繭・生糸の価格は下がり続けました。
高齢化・後継者不足も相まって、養蚕業を営む農家は次々に廃業しています。

「これではいけない」と、国産絹のブランド化も行われていますが、
着物離れが進んでいることもあり、今後も右肩上がりは望めない状況にあります。

昨今は国産生糸の価格は輸入生糸価格とほぼ変わらず…というか逆転しており
(平成17年の1kg国産生糸価格は2,564円、輸入生糸は2,706円)
農家所得が繭1kgにつき700円弱というデータをみるにつけ、
新規参入どころか継続することすら困難なのでは…と感じてしまいます。

平成22年には国の繭代の補てんもなくなるということですから、
今後、国産の絹がどうなるのか…心配なところです。

養蚕業の衰退と着物離れ、どちらが鶏でどちらが卵かはわかりませんが、
洋装の普及も衰退の原因のひとつ。悲しいですね。

しかし昨今、着物に興味を持つ若い女性が増えていて、
夏には浴衣で、そしてお正月には晴れ着で、慣れないぞうりをはいて
ぎくしゃくと街を歩く女の子たちを見かけることが多くなりました。

そう思うと、絶望的状況でもないような気がします。

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本場結城紬の証紙がはってあるワケあり品がずらりと並ぶ一角。
うっかりウキウキしてしまいましたが、売りだしと言えど25万とか30万とか。
でも普通はこんなお値段では買えないのです。産地直売の超お得イベントなのです。
「少しでも結城紬を身近に感じてもらえるように」そんな思いで2008年から開催しています。



帯によって着物の印象を変えられること、洋装では絶対できない色合わせなど、
知れば知るほど楽しくなるのが着物です。

かくいう私も22歳の時、近所の呉服屋で朱色の着物を誂えて以来着物に取りつかれ、
「着物って出会いなのよね~」という呉服屋のおばさまの口車に乗っては
うっかり着物を買い続けています。

その都度「アルマーニのスーツが何着買えるよ」と自分を説得するのですが、
なかなかうまくいきません。恐るべし、呉服屋のおばさま…。

それはともかく。

実はアルマーニのスーツどころか、SUV車が買えるくらいの値段の着物があります。

その着物の名は「本場結城紬」。

結婚式などの正式な場には着ていけない普段着。なのに100万円以上するものもざら。
まさに「究極の普段着」。だからこそ、着物好きには憧れの一品なのです。
孫の代まで着られると言われるその丈夫さ、あたたかさ。
着れば着るほど体になじむその着心地…ああ、憧れの的。

100年持つなら100万してもいいような気がしてきますが、なかなか手が出せません。

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本場結城紬と言えば、地機。足先で糸の交差を、腰で反物の張りを調節しながら
少しずつ織っていきます。人間が機械と一体化し、機械にはできない微調整が可能になるため
しなやかで強靭な反物が織りあがるそうです。



高価な理由は全工程手作業であるという一点。
反物ひとつ作るのに一年かかることもあるというのですから驚きです。

それもそのはず、結城紬の技術は、「重要無形文化財」に指定されています。
継続し、後世に伝えていくべき技術…なのですが、
実はこういった手仕事の例にもれず、後継者不足に悩んでいます。

ざっくりとですが、結城紬の工程をご紹介します。

通常の着物は蚕が吐き出した糸を何本か撚り合わせた糸で織られます。
結城紬は繭をほぐした「真綿」という状態から、人の手(とツバ)による手紬で糸が作られます。
ちょっとやらせてもらいましたが、根気と時間の必要な仕事です。大変です。

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真綿から糸を紡いでいる状態。簡単そうなんだけどそうでもなくて、
同じ太さでほそ~く紡げるのがやっぱり達人なんですって。この真綿、350枚が一反になります。

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ぷちんと切れそうなんだけど、さすが絹。みよ~んと繊維が伸びてうまく糸になります。
真綿一枚作るのに必要な繭の数は1800個。お蚕ちゃん、ありがとうって感じですね。



さらにこの糸を染める作業がまた時間と手間の賜物。

織りあがりのデザインに合わせ、色の入る部分をひとつひとつ糸で縛り、
何度も染めをかけていきます。複雑な模様ほど時間がかかります。

そして、織り。

結城の地機(じばた)はヒトが織り機の一部となり、足・腰全身使って、
1枚の反物を仕上げていきます。平織りという単純な織り方なのですが、
きっちりと美しい反物に仕上げるのには、やはり経験と技術が必要。

趣味の織物をしている人たちが使っているのは「高機」というもう少し機械化されたもの。
原始的な織り機だからこそ、無形文化財たり得るのでしょうね。

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印がついているところをヒモで縛っていきます。想像しただけで大変ってわかりますが、
一日に縛れる場所は1000か所くらいなんだそうですよ。

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こまこまと縛ってあります。総柄の絣で多色使いなんて反物は、
縛るだけで半年かかったりするらしいです。まさに手仕事の世界です。



この工程が全て終了し、一枚の反物ができるまでには何カ月もかかります。
そうしてできた「本場結城紬」は、認証されラベルをつけて出荷されます。

百貨店の呉服売り場などに行くと、なんというかまあ、200万円とかですね、
そんな価格になることだってある結城紬。一般人には高嶺の花です…(ためいき)。

しかし、高額な商品だからといって、生産地が潤っているわけではなく、
紡ぎ手も染めも織り手も、後継者不足が危ぶまれています。

根気と手間がものすごくかかる作業…しかもそんなにお金にならない…
後継者不足は農業と同じ、ひょっとしたら、農業よりも危機的状況かもしれません。

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紡いだ糸はこの桶のようなものに詰めていきます。糸の単位は1ぼっち(桶一杯という意味)。
真綿50枚でだいたい1ぼっち。1ぼっち約1万円の出来高制だそうです。
糸の細さで評価額が変わるそうですが、いずれにせよバンバン儲かる!ってな仕事ではありません。
愛がなくてはできませんね。



養蚕業も、手しごとも、農業と同様の問題を抱えているように思います。
機械化して大規模にモノづくりをすることで、価格を下げるのはいいことなのでしょうが、
失われるものも多いはず。誰か気づいているのかな?

便利で安価な輸入品に対抗するため、国内の産業に競争力をつけるべきとよく言われますが、
ほんとにそれがうまくいくのかな? 養蚕やみかんではできなかったのに?

そんなことを思いつつ「いつかはお気に入りの柄の結城紬を」と心に誓う私です。
(本当はバンバン買えるといいんでしょうけど…ムリかなあ…)


※上記のお話を聞かせていただいた方は結城市の「龍田屋」の御主人です。
今月、銀座で展示会があるようです。ご興味がある方は以下から↓
http://www.fujinuki.join-us.jp/

参考資料・平成18 年5月18日 農林水産省「蚕糸業をめぐる現状」

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人知れず活躍する天敵くんの話

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ブローチにしたいぐらいのこのかわいさ。ナナホシテントウは天敵の代表格。
テントウムシダマシ以外のナミテントウはアブラムシ類の天敵です。
作物の下から上に食べ進んで行き、てっぺんに到着したら飛んでっちゃうのが難点。



前の会社で働いていた頃、農家の畑から
人参の葉についたアゲハの幼虫を2匹もらってきたことがありました。

おしゃれなシマシマ模様のアゲハの幼虫は、マットな色調と触った時のすべすべ感が好きで、
唯一素手で触れる幼虫でもありましたから、
さなぎになるまで事務所で大切に育て、羽化を心待ちにしていました。

ある日、さなぎの一つに穴が開き、下にゴキブリの卵のようなものが落ちていました。
羽化したアゲハらしいものは見つかりません。「あれれ?死んだのかな?」
少しがっかりしたのですが、もう一匹いたのでそのまま放っておきました。

そしてある秋の午後、ゴキブリの卵風のものが割れ、
中からハチのような昆虫が出てきたのでした。

「何なに~? これ何? 何なのよう!」虫カゴをブンブン飛び回るハチ。驚く同僚。
同定は、同僚により素早く行われました。

この虫の名は、「ブランコヤドリバエ」。
アゲハの幼虫に寄生する寄生バエだったのでした。

キアゲハ幼虫
通常はセリ科のニンジンや山椒の葉にいるのですが、これはなんでキャベツにひっついてるのかな?
こういった鱗翅目の幼虫類は、天敵昆虫の他鳥たちも食べることができるので、
生態系の下支えをしてるんじゃないかと思ったりします。いなくなると困るんじゃないかなあ。



生まれて初めて幼虫を飼ったら寄生されていた。
この事実に衝撃を受けて間もなく、同僚が飼っていたアオムシからも何かが出てきて、
ある日その死体の周りで大量のさなぎになっているのを見つけました。

これは「アオムシコマユバチ」。

…いや、大変驚きました。虫の世界の弱肉強食ぶりと言ったら恐ろしいほど。
ヒトの気づかないところで繰り広げられているであろうその世界に、
しばし思いをはせ、感銘を受けた出来事だったです。

このような、害虫を食べてくれる虫たちのことを私たちは「天敵昆虫」と呼びます。

上記のように一匹必殺だけど時間がかかる寄生バエ・寄生バチの他に、
害虫自体をモリモリと食べてくれるものもいます。

ウロコアシナガグモ
ウロコアシナガグモは巣を作る待ち伏せ型のクモ。きれいなクモですね。
ハエトリグモのような徘徊性のクモの方が害虫を捕食する量が多いらしいのですが、
いずれにしても害虫そのものを食ってくれるので、ありがたい存在です。


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トマト等の果菜類に被害を与えるコナジラミという虫。ウイルスを媒介することでも知られています。
コナジラミの天敵はオンシツツヤコバチという小さな昆虫。天敵製剤にもなっています。
コナジラミがこんなにいるんじゃもう末期的症状。収穫終了のハウスで撮りました。



これらの天敵をうまく利用し、農業に役立てる研究もずいぶん行われています。

しかし、現在の日本の農薬使用量は世界第4位(金額ベース)。
これを耕地面積あたりに置き換えるとおそらく世界一であろうと言われます。

農薬の使用が前提の農業では、天敵は次々に死んでいき、
最終的に害虫のみが存在する栽培環境を、農家自身が作りだしています。
加えて、効率のよい単一作物の大規模栽培が生態系の単一化に拍車をかけています。

単一作物主体のバリエーションに欠ける条件の中で、
どのように天敵を活用するかという研究も行われているのですが、
いかんせん、一般の農家は虫には無頓着。

昆虫などの小さな生きものが、畑にどれぐらい生息しているかなど
あまり気にかけている人はいないのが現状です。

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地味~な色合いのナミテントウ。これも天敵。これよりももっと小さいヒメテントウという虫もいて、
同定するのがすごく困難(小さいので写真を撮るのも困難)。
名前がついていないヒメテントウも何十といるみたいです。



日本人にとって虫は「わく」もの、「なんかしらん、知らない間にいた」的な生きもの。

いなくなって初めて焦り、「あっ!ヤバイ!保護しなくては!」とあれこれ活動を始める…
その最たるものが「ホタル」、そして「ミツバチ」なんじゃないかと最近思います。

前者は景観に、後者は人間に対して大変なメリットのある昆虫。
だから意識してもらえますが、その他の地味な昆虫たちが振り返られることはまずありません。
(研究者の世界ではめちゃくちゃ注目されていますけど…)

いなくなって初めて気づく…そのうち『沈黙の春』がやってくるのでは…
恐ろしい想像をしてしまいますねえ。

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テントウムシの幼虫。大食漢でアブラムシをモリモリと食べてくれます。
春先に越冬から目覚めた成虫をつかまえて畑に放してやると、畑で産卵してくれます。
その後幼虫が大量発生し、さらにアブラムシをモリモリと食べてくれます。
さなぎになるまで畑に定着し、延々とアブラムシを食べ続けるのが最大のメリット。



さてしかし。実は天敵はすでに有効活用が始まっています。

ハウスなどの施設栽培では、農薬登録された天敵を導入している農家も多く存在します。
天敵を使用することで農薬を少し減らせるため、その経費と手間を抑えられることから、
慣行農家でも、割合と積極的に取り入れられているようです。

しかし露地栽培での活用は、生態系への影響が出るかもしれないという懸念と
どこかに飛んでっちゃうと役に立たなくて経費の無駄という側面があるため、
昨今ではもともと日本にいる土着天敵の活用が注目されています。

以前NHKスペシャルで日本の生物相の多様性は世界一と言っていましたが、
昆虫の世界も同様で、いまだに名前がついていない虫は山ほどいるそうです。

土着天敵だって山のようにいるらしいのです。
それらをバンバン増やしていけば、ある程度の防除能力が期待できる…スゴイじゃありませんか!


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アブラムシの寄生蜂「アブラバチ」。日本には3000種ほどいて、ほとんど名前がついていません。
アブラムシにそっと忍び寄って電光石火で産卵し、延々と産卵し続ける動画を見ましたが、
「がんばってくれ!」と言いたくなるような活躍ぶり。畑では注意深く見ないと見つかりません。
写真提供・市川泰仙



ではどうやったら天敵くんたちが来て、増殖してくれるのでしょう?

まず農薬をまかない・土壌消毒をしない・除草剤をまかない…皆死んじゃいますからね。
農薬をまくなら天敵に優しい選択性農薬をまくことが大切です。

そして、あぜや畑の周りに天敵温存作物を植えること。
これは花の咲く雑草やハーブ、麦類などがいいようです。

天敵類は基本的に害虫を食べて生きていますが、害虫が減ると生きていくことができません。

しかし花が咲いていれば、花粉を食べてしのぐことができるらしいのです。
花はミツバチの蜜源にもなりますから、
いろいろ植えているとニホンミツバチが喜ぶかもしれませんね!

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ズッキーニの花の中。ぽかぽかとあったかそうです。
花の中をよく観察すると、いろんな虫がいて花粉食ってたり蜜吸ってたりするので面白いです。



さらに、単一作物だけでなく、株間に混植したり、小規模多品目農業を行うこと。
(費用対効果からするとプロの方々には「そんなのムリ」と言われそうですけど…)
多種多様な作物が、昆虫の多様性を生み出すのです。

現代農業や現代の農民に忌み嫌われる、雑草が生えた畑、
いろんなものが植わっている雑然とした畑。
そういう畑は天敵に優しく、人知れず害虫が減っていく畑になり得ます。

現在農業が進んでいる方向や、政府の方針とは真逆の方向になってしまうのですが、
本来の農業って、そういうものなんじゃないかなあと思ったりします。

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畑の周りに灌木があったり草が生えてたりすると、そこから天敵がやってきます。
でもカメムシなんかもそこで越冬するらしいので、管理された草地というのが理想なのかもしれません。



これから昆虫たちは越冬準備を始めます。

土手などの石の下や軒下、畑のあぜの雑草のなかで。
さなぎになったり成虫のままだったり、卵の状態だったり、それぞれいろいろです。

春になり、またどこからか知らない間に「虫がわき」、
豊かな生きものの世界がいつまでも続くことを祈っています。


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「仙人」のラ・フランス―山形県・横山陽一さん

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ゴツゴツした芋のような形状からその昔「見だぐなす」と呼ばれてたらしいラ・フランス。
今では高級果物のひとつ。おいしいラ・フランスってほんっと幸せな味ですよね!



ラ・フランス…お名前の雅な感じ、お高いお値段、なんというか、
どちらからいらっしゃったのですか?と言いたくなるような香りと食感(でも形はいまいち)。

ラ・フランスが店頭に出回り始めました。

「ラ・フランスがだ~い好きでバクバク食べたい!」とか言う人はあまり知りませんが、
おいしいのとお高いので贈答などによく使われています。

「贈答用のでかい玉のものよりも、少し小さめのものの方ががおいしい」と
以前ラ・フランス農家に聞いたことがあります。

「じゃあそのおいしいちっこいのを贈答用にすればいいのに」と言いますと、
「でかい方が見栄えがいいでしょ。カッコ悪いじゃん、ちっこいと。贈り物なのに」
…そりゃそうですが。

なんだかニッポンの食べものは、昨今見栄えが重視されすぎてて
ますますおいしさを置いてきぼりにしてるような気がしてなりませんね。

それはともかく。

ラ・フランスは現在山形県が主産地で、長野県などでも栽培されています。
そもそもは山形県で缶詰用の洋梨「バートレット」の受粉樹として栽培されていました。
缶詰用バートレットはシロップで煮てしまうので、
全く熟さない状態で出荷できる楽な作物だったらしいです。

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「仙人」の畑は草生栽培。
あまりにも暑かった今年、草を生やしていることが水分の保持につながったそう。
草生栽培は草に養分を取られると言う人もいますが、メリットの方が大きいですね。


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畑で見つけました!ボールみたいなまん丸のキノコ。直径20センチくらい。
内部はみっちりパンパンにつまっていてまっしろ。食用らしいんですが名前を失念しました。
殺菌剤が少ないからキノコ生え放題なのかなあ…とにかくびっくり!



当時のラ・フランスはじゃがいもみたいな小さな実がなりましたが、
作ってる農家的には「なってるから食べるかあ!」位の存在だったらしいです。

ただ「ものすごくおいしかった」と当時のラ・フランスを食べた人は言います。
どんな味だったんだか…食べてみたかったなあ。

ラ・フランスが一般的に流通し始めたのは昭和60年代位から。
当時はお高い高級果物でした。
栽培面積の増加により、昨今では3つ入りで498円とかで見かけることも多く、
けっこう手間がかかる作物なのに、安いなあ…と思ったりします。

さて、このラ・フランスをびっくりするほど少ない農薬で栽培している人がいます。

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こまめな手入れと観察力と土づくりで超低農薬栽培を実現している横山さん。
果樹類は農薬を使用するので、有機農業と言いづらいかもしれませんが、
有機農業の基本を押さえた横山さんの栽培はやはりスゴイです。でも本人はそんなのどこ吹く風。
自分の信念のみを見つめて栽培してるだけ…ってのがまたかっこいいのです。



このツワモノは、山形県で洋梨を栽培している横山陽一さん。
缶詰用バートレットを栽培している時から、長年有機質肥料を畑に入れてきました。
「最近、ようやくいい状態になってきたかな」と横山さんは言います。

腐植の多い、CECの高い畑になっているのでしょう。
土が肥沃になり微生物叢も整っているだめ、肥料を与えない年もあります。

一般の1/6程度の農薬散布とはとても思えないイキイキとした木。
有機質肥料・有機農業の力を実感できる畑です。

ラフランスは慣行栽培では36成分も農薬を使う作物。
栽培期間が長いことにあわせ、貯蔵し追熟するという性質のため、
貯蔵中の病気発生のロス分も考え、きちんと農薬をまくのが通常の農家。

そんな病気に弱い深窓のご令嬢のようなラフランスを
殺菌剤一回と殺虫剤4回程度で作ってしまうのですから、普通の人ではありません。

その理由は実にシンプル、「農薬が嫌いだから」。

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少ない農薬で栽培するため、設置型のフェロモン剤を利用しています。
これはコンフューザーN。一本がお高いので、面積が広いと経費がかかります。
ちょっとピンぼけですみません。



今年の山形県は雨が多く、夏はバカ暑く、秋にも長雨が来るという、
果物にとっては非常に条件の悪い天候でした。
ラ・フランスも病気が多発し、慣行栽培の農家も大打撃を受けているようです。

当然のことながら横山さんの畑でも大量に病気が出ています。
それもそのはず、殺菌剤がたった一回なのですから。

しかし、病気になって出荷できないラフランスが多くなっても、
多少それで収入が減ろうとも、農薬を増やす気は全くなく(かえって減らしたい)、
その信念がゆるぐこともありません。

出荷先の事務局に「仙人」とあだ名される所以です。

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肌が汚くならないようひとつひとつ袋をかけてあるラフランス。
横山さんは無農薬袋を使用しています。



そしてこの頑固な仙人のラフランス、相当おいしいのです。
とろけるような食感と甘さ、香り立つ芳香…お店で売っているものとは全く味が違います。

低農薬で栽培することの難しい果樹栽培では、信念だけではおいしいものは作れないもの。
技術の高さや長年の有機質肥料の投入などの地道な取り組みが、味に反映するのだなあ…。
横山さんのラフランスを食べるたび、いつも思います。

そして「病気にやられずに、よく家に来たね」と言いたくなります。

食べものはいのちを作るもの。なんとなく食べておなかを満たすより、
毎回「ありがとう!」と言いたくなるようなものを食べたいなと思っているのですが、
横山さんのラ・フランスは、まさにそういう食べもののひとつです。

とはいえ、今年は食べられるかどうか。
残念だけど、また来年に期待かな…仙人の作るラフランスだもの。



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有機野菜ってどんな野菜?

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埼玉県の有機JAS認証取得農家の家で見つけたアブラバチのマミー。
アブラバチはアブラムシに卵を産みつける小さなハチで、これはサナギの状態です。
アブラバチはアブラムシの天敵。土着天敵を利用した栽培技術も有機農業の技術です。



9月28日の朝日新聞に「有機・オーガニックを正確に理解している人は、消費者の5%」という、
NPO法人「IFORMジャパン」の調査結果が紹介されていました。

「有機・オーガニック」という言葉はほとんどの人が知っているけど、
内容を理解していない…悲しい結果です。

ニュースや雑誌で「有機栽培・有機農業」についてレポートされているのを見るたび、
わかってんのかなあ…と思うことがしばしばでしたが、それもそのはず、この理解度では。

しかし、わかりにくいのも確かです。

「有機農業」「有機栽培」「有機JAS認証」…いろんな言葉があり、
混乱するのも当然って気がします。

さらに、地域の防除暦の1/2の農薬と肥料で栽培したら表示できる
「特別栽培農産物」という枠もあるのですが、これなどほとんど理解されていない…
というか、知らない人が多いんじゃないでしょうか。

では有機農産物ってどんなもののことなのでしょう。

植え付け前2年以上、法律で定められた農薬・資材のみ使用したと
国が定めた認定機関が認証した畑で栽培されたものについて「有機農産物」という表示、
つまり有機農産物というシールを貼って販売することができます。

※有機農業については、以下のWEBサイトでもう少し詳しく説明しています。
http://www.hontabe.com/about.asp

この有機JAS認証を取得しないと「有機栽培」「有機農産物」と
表示して販売することはできません。

この法律は「有機JAS法」と言われ、まあ言ってみれば表示の規制です。
お店では有機JASという緑色のシールを貼付して売られています。

IMG_1012.jpg
有機JAS認証を取得すると、畑に「ここは有機の畑なのよ」という看板を立てます。
圃場の持ち主と認定団体の名前、圃場番号、面積、生産工程管理者の名などが記載されています。
年に一回の監査時に、認定機関の検査官が現地検査にやってきて、伝票や圃場のチェックを行います。
※名前等は削除して掲載してます。



過去あいまいな定義で有機栽培と表示し、優良誤認を起こす販売が横行した経験から
「有機農産物」とはこういうルールじゃないと表示できないのよと、
法律できちんと枠決めをして、規制したという感じです。

表示の規制のため、理念や栽培技術については言及されていません。

また、有機JAS認証された作物は、無農薬とは限りません。
BT剤・ボルドー剤など、使用していいと指定されてる農薬があるからです。

この有機JAS法だけでは有機農業の振興にはならないということで、
2006年、有機農業の持つ役割、技術の継承、消費者への啓蒙、さらに理念について、
「有機農業推進法」という法律で定められました。

この法律により、国が有機農業を推進するという方向性が明確になりました。
世の有機農業者が「とうとうやった!! 世の中が変わった!」と喜んだ法律でした。

しかし有機JAS認証取得の割合はいまだに0.19%、あまり推進できていないような気がします。

さらに有機JASとの整合性がついていないので、表示は規制しながら推進するという
作り手の側からすると「ちょっと困ったなあ…」的なところが、まだ解決されていません。

有機農業推進法が施行されて4年になりますが、
各自治体でできた推進協議会の活動がいまいち滞っている等の話を聞くこともあり、
技術の継承や推進って言葉で言うのは簡単だけど
しくみを作るのはなかなか難しいことなのだなあと思ったりします。

有機JAS認証を取得してなくても、有機農業に取り組んでいる人はたくさんいる…
このあたりがなんだかよくわからない理由なんじゃないでしょうか。

IMG_1579.jpg
右側が有機認定圃場のセロリ。左側が慣行栽培の圃場のキャベツ。真中に植わってるのはカリフラワー。
有機の畑のお隣の畑が農薬を散布する人の畑だった場合、緩衝地帯を設置する必要があります。
これは農薬の飛散などに配慮しなくてはならないためなのですが、
自分の畑に設置するので有機の栽培面積がちょびっと減ります。
さらに緩衝地帯で栽培した作物は、非有機で出荷しなくてはなりません。
この場合、カリフラワーには有機のシールが貼れないってことになります。
狭い国土の日本ならではの緩衝地帯なのですが…有機JAS取得ってのはいろいろ大変なのです。



その他に、最近「無農薬・無化学肥料栽培」という言葉をよく聞きますが、
これもなんだかとてもあいまいですね。一昔前の優良誤認が再発した感じです。

実は現在農水省のガイドラインでは、店頭で販売するものについて
「無農薬」と表示することは規制され「栽培期間中農薬不使用」と表示しなくてはなりません。
ガイドラインなので罰則規定はありませんが、違反すると指導が入ります。

スーパーでは「無農薬」という表示はできません。
「栽培期間中農薬不使用」…わかりにくい、めんどくさい言葉ですよねえ。

しかし、「無農薬・無化学肥料栽培」というこの言葉は、考えてみるととってもあいまいです。

有機JAS法が定められた理由や、ここ20年の流れを見てきた者からすると
何をもって無農薬と言っているのか、無化学肥料ってどういうことなのか等々が気になります。

農薬登録をしてあるものは使っていないってことなのかなあ…とか、
設置型の登録農薬はどう考えているのかなあとか。

さらに「自然農法」「自然栽培」「有機より安全」等々と言われ始めると、
何がなんだかよくわからなくなります。

そういったあいまいさや用語の不統一が、全体的に不透明な印象を与え
「結局何がいいわけ?有機じゃなくていいんじゃない?」なんてことに
…なっていないかな?


結局何が一番いいんだと聞かれると、畑を見に行って作り手の人柄がちゃんとわかって、
その人のことが信頼できて、さらに作ったものがおいしい野菜、
そんな野菜がいいと思うのですが、そんな人を見つけること自体不可能ですよね。

であれば、それを肩代わりしてくれている流通を探すか、自分で作るしかありません。
そんなことを考えていたら、区民農園の募集を見つけました。

やはり自分で作るしかないか…もし当選したら、土壌分析診断に基づく
科学的な農業(有機JASではない有機農業)のレポートが紹介できるんですけど…。

なんちゃって。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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