種を採る女たち―次世代に繋ぐ物語

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北海道の地豆たち。左から黒千石大豆、くらかけ豆、さくら豆(たぶん)、べに絞り、
大正金時、黒豆。北海道は豆の一大産地。換金作物としての大規模農業の豆と、
家庭菜園用の豆(野菜豆)が栽培されており、野菜豆は家庭の主婦が種を採り選抜してきたそう。
一般的に栽培されている大正金時も、元は野菜豆として作られていた本金時の突然変異種。
チリコンカンなどに使ってる金時は、実は家庭菜園から生まれた品種なのですね~。


だだちゃ豆というおいしい枝豆があります。

この名前のエピソードは、ご存じの方も多いはず。
様々なバリエーションがありますが、正しいエピソードは以下のもの(らしい)です。

「おいしい茶豆ができたので、お殿様に食べていただこうと
庄内・小真木地区に住む一人の農民が、茶豆を献上しました。
その豆がおいしかったので、お殿様は尋ねました。

「この豆は誰が作ったのか」「それは小真木のだだちゃが作ったのでがんす」
お付の人はそう答えました。※だだちゃ=おじさんというような意味
それ以来、お殿様は「だだちゃの作った豆が食べたい」と言うようになりました」

お殿様が登場するので、江戸時代の話かと思うとさにあらず。
これは明治30年頃から大正4年までのある時点の物語。
そして、お殿様のお名前も、だだちゃの名前もわかっています。

お殿様は酒井忠篤公、小真木のだだちゃは太田孝太という人でした。
そう、庄内のお殿様は、平成の今もまだ庄内に住んでいらっしゃるのです。

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黒千石大豆はちびっちゃい黒豆で、元は緑肥作物だそうです(べにや長谷川商店のリーフレットから)。
ごはんと一緒に炊くと、紫色のきれいなごはんが炊けるそうですよ。
さやは大豆と同じでとってもちっこくてかわいいとのこと。区民農園に植えてみようと画策中。


さて、このだだちゃ豆の出自を調べた人がいます。

山形大学農学部助教授・江頭宏昌さんは
在来品種研究会の幹事もなさっている、在来種にとても詳しい方。
大地を守る会に勤務していた時代にお話を聞いたことがあり、
上記のエピソードはその際にお聞きしたものです。

古来より農民は、自分の畑で栽培した野菜類の種を採り、翌年の野菜を作っていました。
種がビジネスになったのは昭和に入ってからのこと。
それまでは、農民はその年によくできたもの・味の良いものを選抜し、
毎年種を採り続けていたのでした。

それらの種は固定種、または在来種と呼ばれています。

だだちゃ豆もそのうちのひとつ。現在だだちゃ豆には、早生から晩生まで、
また、豆の大きさ・甘み・うまみなどがそれぞれ違う30もの系統がありますが、
全てこの100年のうちに作られたと江頭さんは言います。

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さくら豆は、東北地方から入植した農家が持ってきたものだろうと言われています。
代々自家採種されてきた豆はDNA鑑定などしないとその出自がわからないため、
江頭さんは茶豆のDNA鑑定を行い、茶豆がどこから来てどう定着したかを調査しました。
その話はまた枝豆の季節にでも。でも研究者ってすごいですね~、その情熱、すばらしい。



系統の育成には大変な観察力と持久力が必要です。

なにしろ、畑の中で生まれた突然変異種=一本だけある変わり者を目ざとく見つけ、
その種を採り、翌年性質を確かめて是非を判断し、その後性質が安定するまで
長年観察し続けなくてはならないのですから。

たった100年でこんなに多くの系統が作られる品種は、他に例を見ないと言います。
それほどに、庄内人のおいしい枝豆に対する情熱と執念は並々ならぬものだったのです。

それもそのはず。だだちゃ豆の種採りは、営利目的ではなかったのでした。

少しでもおいしい豆を作って、近隣の人々に種を分け与える。
おいしい豆をみんなで食べようという隣人への気遣い、思いやり。
それが良食味の豆を残し、さまざまな系統を作ることにつながりました。

お隣さん(地域社会)を大切にする日本人ならではの行為なのでしょう。
だだちゃ豆の種には、他者に対する思いがのっかっているのですね。

さて、昔から採種した種を選抜する仕事は、女衆=主婦が担当していたと言います。

一家の主婦は家族の食べものを管理するという、重大な役割を担っています。
農家がよく「くいりょう」と言いますが、自家用の野菜作りは主婦の仕事でした。

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ひたし豆などにするとおいしいくらかけ豆。ほんとはここに入る予定の豆があるのですが、
まだその豆が届いていないので、写真がUPできません(泣)。その名も「真珠豆」。早く来て~。
届き次第、今回UPしている写真を全部見直して変更いたします。


その年いい野菜がたくさん採れれば皆が飢えずに済む…つまり、
少しでも良い種(収量が多く、おいしいもの)を選抜することが、
家族が健康で元気に暮らしていけるかどうかを決めるのです。まさに主婦の腕の見せ所です。
(男衆には力仕事はできても、そういった地味な仕事は向いていないらしくて、
男衆が選った種は発芽率が悪かったりするのだそうです)

種を採る行為というのは、自分のためだけにする仕事ではなかったのですね。

子孫に、地域に繋ぎ、皆が継続してこの作物を食べ続けられるように…
そんな思いがこもった、利他的な尊い行為でもあるのでした。

例えば、現代に住む私たちがおいしいだだちゃ豆を食べられるのは、
庄内の農民が代々種を採り続け、いいものを選抜し続けてくれたからに他なりません。

種を採ることをやめてしまうと、その種はこの世界から永遠に失われてしまいます。
それとは気づかず種を採り続けている一人の農民の肩に、
種の存続がかかっている、そんな可能性だってじゅうぶんにあるのです。

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官能的な配色の紅しぼり。主に煮豆で食べられているそうです。
パンダみたいな模様のもの、虎模様、うずらの卵みたいなもの等々、
豆っていろんな模様のものがあります。どうしてこんな模様になったのか…見てるだけで飽きません。



今日、在来品種が付加価値商品としてブランド化されていますが、
これも、名もない農民たちが長年にわたって種を採り続けた結果です。
そう考えると、ちゃらっと食べたりしないで大切にいただかなくてはとか思っちゃいます。

在来種・固定種にはそれぞれに物語があります。長い長い、時を渡る旅の物語です。

私たちの子孫、またその次の世代まで、彼らがその旅を続けられるよう、
農民は種を採り、種をまき、生命をつないでいるのです。


※黒千石大豆、20粒ずつ3名様にお分けできます。
もし自分の畑で作って種を採ってみたいって方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
先着順でお送りいたします。コメント欄でお申込みくださいませ(ちょびっとしかお分けできなくてすみません)。
(住所等お知らせいただきたいので、鍵コメントでお願いいたします)


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あまり知られていない食品照射の事実

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そのまま飲める水道水・東京都の自慢「東京水」から放射能が検出されました。
世界に冠たる浄水技術を持ってしても放射能汚染は免れないのでした。
ちっちゃな子どもたちのために、少しでも早く数値が下がるのを祈るばかりです。



野菜・牛乳・水などから暫定基準値以上の放射能が検出されました。

この時期出荷する作物は、去年種まきをしたものが多いです。
寒さに当たらないようトンネルをかけ、暑くなったらトンネルのすそを開け、
ようやく大きくなって出荷できるようになった野菜たち。が、出荷できない。

基準値以上の農薬が出て出荷できないのは、自己責任だからしょうがありませんが、
放射能はそうではありません。このたびの事故で空から降ってきたのですから。

出荷できない農家の気持ちはいかばかりか。
食べものを作る仕事と原子力発電は、決して、決して相容れないものだとつくづく思います。

心にわき上がる怒りは横に置いといて、現場で作業をされている方々の無事を祈りつつ、
福島第一原子力発電所がこれ以上の状態に陥らないよう、心から願っています。

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ほうれん草は葉面積が広いから放射能の残留が高いと説明されてました。
アブラナ科は表面がツルッとしたものが多いので、出ないのかな~と想像してたら、
その後小松菜からも検出。野菜にも、地面にも川にも(ヒトにも)、等しく降り注いでいるのですね。



さて、しかし。

日本では1974年から、じゃがいもに放射線を当てる「食品照射」が行われています。
ご存じでしたか? 放射線の有効利用ということでなされているようです。

あまり話題にもならないので知らない人が多いのですが、
このじゃがいも、全部で8000トンあるといわれています。

日本では、食べものへの放射線照射は食品衛生法で禁止されています。
しかし唯一、士幌農協のじゃがいもだけに150グレイの放射線照射が許可されているのでした。

150グレイってなんとなくピンときませんが、
60日以内に半数の人が死に至ると言われている数字が3グレイ。その50倍です。
照射の目的は「じゃがいもの芽止め」。春に芽を出すことで劣化するじゃがいもを、
ただ長持ちさせるために、放射線を当てているのでした。ええ~って感じです。

放射線の照射によりじゃがいもは死んでしまうので、芽が出ない。
内部まで殺菌されるので、長期保存が可能という理屈。うーん、どうだろう、これ。

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このじゃがいもくん、実は昨年の7月ごろに買ったもの。貯蔵庫でのびのびと芽を出してました。
半年以上もカビにもやられずまだ生きているのです。スゴイです(っていうか食べてやれよ)。
照射じゃがいもは死んじゃってるので細菌にも弱く、腐りやすいと聞きました。


さてこの照射じゃがいも、都知事が「照射じゃがいもの出荷はやめてほしい」と
申し入れた東京以外では、「士幌産じゃがいも」と表示して売られています。
出荷されている数量は8000トンのうちの約4000トン。

これらは千葉や新潟のスーパーで見つかっています。
でも買う人いるのかな。知らずに買ってる人がいるかもしれませんね。

食品照射の本来の目的は殺菌です。

アメリカではスパイスや肉類などで食品照射が行われており、
2004年時点では世界の照射食品の半数を占めていました。
昨今では中国、ウクライナ、ブラジルなどで急激にその数が増えています。

現在照射食品を検知する有効な方法がなく、なかなか水際では阻止できていません。
輸入食品にまぎれて国内に入っていることはわかっていますから、
普通に売られている可能性もあるのでした。

2009年までのデータしかないのですが、中国産冷凍シャコ・乾燥しいたけ、
米国産の黒コショウなどで照射されたものが見つかっています。

照射食品の問題は、照射により発がん物質(※)ができる等々の危険なデータはあっても、
食べても安全、大丈夫というデータがないことです。
食品に放射線を照射すると、照射臭と呼ばれる独特のニオイがするそうです。
ニオイがするってことは、変質しているということ。イヤですねえ…。

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カレーに入ってるスパイス類全て、照射リストにあがっています。
ってことは許可されれば市販のカレールウは照射スパイスで作られるってことです。イヤだなあ。
あとシソとかにんにくとか、ゆず、わさび等々…和製スパイスも全て網羅されてます。


しかし、実は日本でも今まさに、じゃがいも以外に、
94種の香辛料に殺菌・殺虫目的で食品照射を解禁しようとしています。

2005年10月に原子力委員会で方針が決まり、いきなり出てきたこの話。
一部の消費者団体が地道に反対運動を続けており、まだ認可されていません。

現在は、消費者の理解を得る必要があるということで、とりあえずストップ…
というか、そういうことを調査しなさいというところで止まっているそうですが、
これがもし解禁されたら、自国での照射以外に照射スパイスの輸入がOKになります。

スパイスの中にはみじん切りのパセリ・にんじんや玉ねぎも含まれているため、
なし崩し的に外食産業などから、照射食品の使用につながっていくでしょう。

食品照射に使う放射性物質は、コバルト60、そして最近よく聞くセシウム137。
セシウム137はご存じのとおり、原発から出る廃棄物です。
つまり食品照射は廃棄物の有効活用というわけですよ。やめて~。

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呼吸作用が激しいので収穫後の温度管理をしないと黄変する作物、ブロッコリー。
でも花蕾が黄色くなってもまだ生きてます。病気にかかってると溶け始めます。
そういうブロッコリーはたぶん、誰も食べたくないでしょう。
「新鮮な野菜が食べたい」と言う消費者の欲は、生きてる野菜が食べたいという本能なのかも。



どんな野菜も、収穫した後しばらくの間生きていて呼吸しています。

菜っ葉が黄色くなっていくのは自分の呼吸で体内の貯蔵養分を使い果たしてしまうから。
その後はエネルギーがなくなってしなびるか腐るかですが、
野菜ってそういうもの。つまり私たちが食べるまで、彼らは生きているのです。

私たちは、他の生物の命をいただいて生きています。

放射線を当てられて死んじゃった野菜の栄養価はどうなるのかな?
これは命をいただくことになるのかな? 

とりあえず、私は照射食品は食べたくないと思っています。
理由は「なんとなく」。でもその「なんとなく」の深さは、きっと海より深いです。

※照射によってできるシクロブタノンという物質が遺伝子に大きな傷をつけることを、
1998年、ドイツの科学者が発見した。2002年、パスツール大学で行われた実験で
この物質が発がん補助物質であることがわかった。




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すももの花が咲き始めました

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桃に花粉をつけたところ。めしべのあたりに黄色い花粉が見えます。
桃は花粉のない品種があるので、受粉作業をする必要のあるものとそうでないものがあります。
写真提供・市川泰仙



三寒四温と言いますが、寒くても花粉症はバンバカ出るように、
果樹類のつぼみは確実に膨らみ、知らない間に春が訪れているようです。

店頭に並ぶ果物を見て「ああ、もうこんな季節」と思う方は多いと思いますが、
花を意識している方はあまりいらっしゃらないかもしれません。
実はその年の果物の作柄は、この季節、3月末から5月中旬までに決まります。

果物の花で一等最初に咲くのは梅。今関東ではそろそろ散り際です。
今年はけっこうダラダラと長い間咲いていました。こういう年は不作だとか言います。
その次がすももです。山梨では去年より約1週間遅く、来週末位から開花のようです。

その後、サクランボ、桃、GWにはりんご、梨と続いていきます。

貴陽の花
大玉でとてもおいしい品種「貴陽」の花。すももの花って清楚な感じです。
貴陽は花が早いので遅霜にやられやすく、ある農家は受粉を8回くらいやるそうです。大変だあ。



さて、まさにこれから開花する、すももという割合とマイナーな果物は、
実は自分の花粉で受粉できる品種がとても少ない果物。
基本的に違う品種の花粉じゃないとうまく受粉せず、結果してくれません。
※自分の花粉で実が着くもの→自家受粉、他の花粉で実がつくもの→他家受粉と言います

そのため、すもも農家は、きちんとした実を作るために「受粉」という作業を行います。

まれに他品種の混植で実をつける人もいますが、ついたりつかなかったりで、
けっこうリスクの高い栽培方法…っていうか、あんまりプロの人はしないかも。
いいすももを採るためには、ひと手間かけねばならないってことですね。

受粉とはつまり、花に他の花から採った花粉を人間がつけてやること。
すもも農家の春一番の作業は、受粉樹からそのための花粉を採ることなのでした。

花粉
すももの花粉の写真はないので、桃の花粉をご紹介。思いっきり背景にピントがあってます(泣)。
この花粉は冷蔵庫に入れておけば少しの間保存することができます。



山梨の果樹園に行くと、道っぱたに赤い葉っぱの樹が植わってます。
これがすももの受粉樹「ハリウッド」。真っ赤っかな実がなります。
花粉が多く他の花に先駆けて花が咲くため、だいたいこの樹を皆が植えています。

このハリウッドの実、山ほどなるんですが、なんていうか渋くておいしくありません。
ってことで誰も食べず、小鳥がつついてはボトボト落っこちています。
果実酒にするとその渋みがうまそうなのですが、いまだチャレンジならず…
もったいないから、いつかやってみよう。

花粉を採る作業は、まず花を摘むことから始まります。
花を摘んだ後、花粉が詰まっている袋から花粉を採り出すため、機械に入れます。

わたくし、すもも農家に聞くまで知らなかったのですが、
花粉って袋に入っているのでした。
その袋を開けてやんないと、花粉が出てこないのです。すごいしくみです。

触ると出てくる黄色い粉が花粉だと思ってましたが、あれは袋なのでした。
不思議です。生命の神秘です(感動しすぎか…)。

花
花粉の袋を採取された後の花…なんか抜け殻っぽいのは、命の元が失われたせい?

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すももの受粉の写真はないので、桃の受粉をご覧ください。
毛ばたきでさら~っと花をなでていきます。話しかけるとどこまでやったかわかんなくなります。
黙々とやるのがコツです。



すももは自然界では虫が受粉をする作物。
ってことは、虫は生まれながらにして、袋を開ける方法を知ってるのです。
それぞれの花が特定の虫と契約を結んでるってのがわかる気がしますよね~。

さて、虫にまかせると不作になってしまうため、人間は機械で袋を開きます。
そこから出てきた花粉を毛ばたきにつけ、花に一つ一つ花粉をつけてやります。

私はりんごの受粉をやったことがありますが、
どの花にどこまで花粉をつけたか途中でわからなくなり、
大量につけすぎて怒られたことがあります。

受粉とは、簡単なようで難しい作業なのでした。

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りんごの花は中心の花が最初に咲き、その後回りの4つが咲きます。
中心花に耳かきみたいなはたきで花粉をつけるのですが、回りの花につけると全部実になります。
そして後日、摘果作業が大変になります。わたくし一度全部につけてしまい、怒られました。
写真提供・市川泰仙



さらに、受粉は天候にも思い切り左右されるのです。
途中で雨が降り出すとめしべが雨にぬれるのでダメ。また受粉後15度以下になるとダメ。

受粉に適当な温度と湿度はちゃんと決まっているのですね。

この作業で受粉をしても、4月上旬に低温が来たり霜が降りたりすると、
めしべが焼けて実にはならなくなります。去年のすももが不作だったのは、
3月に急に来た低温が原因だったと聞きました。急激な温度低下もダメなのですね。

とはいえ、こればっかりは天候にまかせなくてはなりません。
あんまり意識されていないのですが、そもそもすももとは、不安定な作物なのでした。

授粉した貴陽
受粉して小さな果実がついた状態のすもも。
これもこの後の天候次第で生理落果したり、病気になったり虫に食われたりします。
しかしこの小さな緑色の実が、大きくて甘酸っぱいすももになるんだから不思議ですよね~。



6月下旬、成長したすももの出荷が始まります。

地味~な感じで店頭に並ぶその品種、だいたいスタートは「大石早生」ですが、
この一個のために咲く花は、おそらく100以上。

果実をひとつ作るためには、大いなる無駄、しかし意味のある無駄が必要なのでした。

消費者には最終結果しか見ることができないのが現在の流通ですが、
完成までのプロセスこそがおもしろくて楽しいのに、もったいないよなあと思うのです。

いつか、みなさんに畑をご案内できればなあとか考えています。


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有機農業と原発

現在福島第一原発で作業に当たっている方々の安全と無事を心より祈っています。
皆さんが無事、家族のもとに戻って来られますように。
これ以上大きな事故が起きませんように。


トップページイメージ写真①


1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所で大きな事故が起きました。

日本にこの事故が伝わったのは何日だったか…はっきり覚えていませんが、
まず最初にヨーロッパで放射性物質が検出され、その後日本でも検出されて、
原因がソ連の原発事故だとわかったのは少し後だった気がします。

当時、私は鳥取におり、ローカルテレビ局でテロップを打つバイトをしていました。
テレビ局なので、基本社内はテレビつけっぱなし。
ニュースで大騒ぎしてるのを見ながら、テロップを打ったのを覚えています。

原子力発電所の危険性など、それまで一度も考えたことがなかった
ふわふわした小娘だった私ですが、事故後、原発に詳しい上司の話など聞き、
広瀬隆さんの本などをわりあいと真剣に読み、出した結論。

「このようなリスクの高いものを作る必要があるのかしら、いや、ない」


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鳥取くんだりまでいらっしゃった広瀬隆さんの講演なんかにも行って、
大変に暗くてコワイ話を聞き、さらに原発への恐怖を高めたわたくし。

その後東京に引っ越して就職した会社が、有機農産物等の宅配をする会社、
大地を守る会でした。居心地がよくて18年ほども働いてしまったです。

この会社は運動と事業を両立している、日本では大変珍しい会社です。

NGOとしての大地を守る会の中に「原発とめよう会」という委員会があり、
組織として原発に反対しています。大変とても珍しい会社です。
(反対集会に参加して公安に写真撮られたとか言ってたことが懐かしいです)

その理由は
「どんなに安全な食べものを作っても、放射性物質が空から降ってきたらおしまい。
であれば、有機農業と、放射性物質をまき散らす可能性のある原子力発電は相入れない」


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チェルノブイリ事故後、日本でも次々に食品から放射性物質が検出され
風評被害などが起きた際に出された結論だったと聞いたような気がします。
(こんなこと書いてると「違う」って怒られるかな~。ごめんなさい)

なぜ「有機農業と原発は相入れない」のでしょうか。

1960年から1970年代にかけて散布されたDDT、ドリン系農薬、カドミウムなどは、
いまだに土壌を汚染していて、野菜や米から残留農薬として検出されることがあります。
これらは、私たちの親・祖父世代の負の遺産です。

しかし彼らもこんなになるまで残ることは、想像していなかったでしょう。
知っていたら多少躊躇したのではないでしょうか。
少なくとも大切な子孫に残すべき自分の土地を、汚染し続けることになるのですから。


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放射性物質はこれらの農薬のどれよりも残留し、土壌と環境を汚染するものです。

健康な土を作って安全な野菜を作っても、空から放射性物質が降ってきたらおしまい。
長年の苦労が一瞬で水泡に帰してしまう…放射能汚染とはそういうものです。

この何日か、そのことについて考えています。

そうなったら、安全性をどこに求めればいいのか、そもそも安全があり得るのか。
そして、「ほんものの食べもの」なんて、戯言にしかならなくなるのではないか。

「有機農業と原発は相入れない」

この言葉を今、大変な重みとともに再度受け止めています。


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モミガラと微生物資材カルスNC-Rを投入

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春ですね。皆の心にあったかい本当の春が来ることを願ってやみません。


まず、東北地方太平洋沖地震で被害に合われた方々、お亡くなりになった方々に、
心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。

時折余震が感じられるものの、私の住まう地域ではほぼ通常の生活が戻って来ました。
宮城・青森・福島にいらっしゃる、元取引先の生産者のみなさんのご無事を心から祈っています。

ガソリンスタンドでは売るガソリンが無くなり、スーパーでは水とラーメンが
棚から消えております。ここ東京でも想定外のことが色々と起こっております。

こんな時に出来ることは何だろう?
とりあえず、計画停電が始まる前に、ブログ更新をすることにいたしました。

さて、区民農園の作付けを前に、モミガラとカルスNC-Rの投入を行いました。

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山梨県の農家にもらったモミガラ約15~20kg(夫手動秤による)。
なんか大量だよなあ…と思ったのもつかのま…

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すき込んでみるとたいしたことないんですよね。腰と腕がくたびれました。


家庭菜園には堆肥・腐葉土・石灰などを入れろとモノの本には書いてありますが、
カルシウム過剰の畑に石灰を入れてどうする!
わたくし、師匠西出隆一さんのおっしゃる通り、粗大有機物と微生物資材で、
土中堆肥の作成および腐植の増加を狙います。

そもそも、化学肥料を使用されていた土地、農薬の多投されていた土地では、
微生物の数が激減していることが考えられます。
土壌消毒でもしていようもんなら、微生物相のバランスは壊れまくりです。

そういった畑で微生物を増やすためには、長い時間をかけねばなりません。
で、手っ取り早く、効率よく、微生物資材を利用するわけでございます。

カルスNC-Rは、西出さんが長年利用してきた微生物資材。

嫌気性菌が主の、粗大有機物を効率よく分解してくれる菌がたくさん入っています。
そしてこの粗大有機物を分解する過程で、植物ホルモンなど植物にとって
有用な物質を生成してくれるというすんばらしい資材なのです。

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米ぬかとカルスを混ぜてみたところ。わかりにくいですが、グレーっぽい粉がカルスです。
これをもう少し良く混ぜてまんべんなく散布します。
ほんとにまんべんなく混ざってるのか疑問ですが、ま、考えてもしょうがないからいいか。



堆肥化したものを投入するのではなく、生の資材を投入して土の中で堆肥化すると
分解の際に発生するエネルギーを作物が使うことができるため、
完熟堆肥を利用するよりはるかに効率がいいというのが西出さんの意見。

モミガラという分解しづらい有機物を時間をかけて分解していく間は、
微生物が生き続けているというのもメリットのひとつです。
なにしろ、微生物は食べるもの・休む場所が無くなると死んでしまうのです。

目に見えないものの力を借りて安全な野菜を作るって、なんかとってもすばらしい!
ということで、カルスNC-Rの分量を計算いたしました。

リサール酵産のホームページを見てみると以下のように書いてあります。
いずれも一反あたりの分量です。

モミガラ 1トン(約1町歩で採れる量)
チッソ 40kg(モミガラを分解する際にカルス菌が利用するチッソ分)
カルスNC-R 20~30kg
米ヌカ 200~300kg(カルスの増量剤として)

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モミガラの上にカルス&米ぬかを散布したところ。
花粉症が出てて鼻水ダラダラで撮影したので、きちんと見ていなかったのですが、
なんとなくムラじゃないですか。テキトーだなあ。ま、いっか。



これを15平方メートルで計算すると…

一反=10アール=1000平方メートルだから、
モミガラ15kg、カルスNC-R 300g(20kgで計算)、チッソ分600g、米ヌカ3kg
でございます。

なぜチッソ分を入れなくてはならないのか?

微生物が粗大有機物を分解する過程では、大量のチッソ分をエネルギーとして利用します。
その補充をしないとチッソ飢餓という状態に陥り、作物がうまく生育しません。
悪くするとチッソ分がほとんどなくなり、いじけたものしかできなくなったりもします。

前回の区民農園ではチッソの分量を計算間違いし、あげくビビって少なめにした結果、
その後の初期生育が非常に悪く、悲しい思いをしたのでございました。

今回はビビらず正しく計算し、がっつりチッソを入れることにいたしました。

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約2時間、スコップとクワで資材を土中にすき込みました。腰が痛いです。
カセットコンロで動くHONDAの耕運機が欲しくなりました。さらにやっぱり何だかムラっぽいです。
その後思惑通り雨が降り、嫌気性菌のカルスにとって良い条件を与えることができたです。
がんばってくれたまえ、カルス菌たちよ!



土壌分析診断以前の投入なのでその他の成分を入れると計算が面倒になることから、
今回のみ有機質肥料ではなく「硫安」という化学肥料を使用いたします。
尿素を選択しないのは、硫安のイオウ分が作物に対して良いからでした。
(絶対有機だもんね!という方は油粕とかでもOKでございます)

さてこれで準備万端。2週間ほど経てば種まきが可能になります。

目標はゴールデンウイーク明けの果菜類定植。それまで一月ほど畑が開きますが、
生育期間の短い菜っ葉でも植えようかしらと思ったりしております。


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土壌三相分布を計ってみたんだけど…

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雨降りの3日後で土から適度に水分が抜けた状態の日に、土を採取。
移植ゴテを入れた瞬間、イヤ~な手応え。なんか硬いし詰まった感じです。
土壌三相のバランスが悪いんだろうなあ…とこの瞬間に予想できました。



3月に入り区民農園が本格的にスタートしております。

同じ場所を借りている皆さま方も、家庭菜園の初期投資である
腐葉土・石灰・化学肥料などを入れ畝を立て、すでに種まきをしている方もいらっしゃいます。

私の借りた場所は、昨年まで農家が畑をやってたところ。
すぐ隣に民家があるため、クロピクなどの土壌消毒剤はおそらくまいていないと思われます。
ってことは、前回借りた畑とよく似た条件ではあるまいか。

つまり石灰過剰で、リン酸吸収係数が高いけどCECも腐植も高い火山灰土。
微生物相が整って団粒構造ができさえすれば、多収の見込めるすんばらしい畑です。
ってことで、土壌分析用の土を採取いたしました。

分析結果は約一カ月後に出るため、その結果を待って施肥を行う予定でございます。
そして、まず最初にできること「土壌三相分布調査」を行いました。

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土壌三相調査に必要なもの。フライパン、アルミホイル、はかり、カセットコンロ。
区民農園では火気厳禁なので、お家に持って帰って計ったです。
本来は100ccの土を採取し生土の重さを計りますが、ここんとこをすっかり失念し、
土を100g採ってしまいました。ははは。全然ダメダメ。



さて、良い土の条件とはなんでございましょう。
「ふかふかで団粒構造のできてる土」と、有機野菜を取り扱っている流通団体のパンフには、
必ず書いてあります。私も当時はわけもわからず、そう書いておりました。

自分の畑の土がどうなのかを知るためには、物理性、化学性、生物性を知らねばなりません。
これらを知らず、カンと経験で行う農業は「羅針盤なしで海に出るようなものである」
私の師匠である西出隆一さんは、いつもそうおっしゃいます。

化学性を知るために必要なのは、上記のとおり「土壌分析」を行うこと。

土のバランス、肥料分の何がどれだけ足りないかを見ることができます。
分析機関に出せば数字が上がってきますが、難しいのは診断でございます。
今後にご注目くださいませ。

生物性は、自分の畑で土壌由来の病気が出ているかどうかを目安にします。
微生物の豊富な土からは、病原菌を食べてくれる拮抗微生物が繁殖しており、
病気はあまり発生しないからでございます。

生物性が整えば連作障害も出ないと、何人かの農家の方々はおっしゃいます。
連作障害は単に微生物相が偏るから起きるのであり、
必ず起きるのではないというのが、西出さん及びリサール酵産さんの主張です。

自分は経験がないので何とも言えませんが、西出さんのトマトハウスは
何十年もトマトを栽培し、一度も土壌消毒などしないで無農薬で栽培されているので、
連作障害がないと西出さんがおっしゃるのは事実であると思っております。

gazou 015
フライパンにアルミホイルを置いて土を入れ弱火にかけます。
遠火にする必要があるので、アルミホイルを敷いております。水分がどんどん蒸発していきます。

gazou 016
10分ほど加熱したところ。もう少し加熱すれば終了です。
生土の重さからこの乾燥させた土を重さを引くと、液相率が出るのでございます。

gazou 018
完全に乾いた状態。この重さを計るのですが、熱いので火傷に気をつけましょう。
あとアルミホイルをうっかり破ると悲しい状態になるので要注意です。



さて、最後は物理性。実はこれを知ることが一番大切なのでした。

微生物の繁殖、保肥力などの環境は、土の粒子と水、空気を保持する孔隙が
バランス良くできているかどうかで決まるからです。

粒子=固相、水=液相、空気=気相。これを土壌三相と言います。

理想のバランスは、固相=40%、液相=30%、気相=30%。
気相の割合が高い土=乾きやすく保肥力のない土
固相の割合が高い土=水はけが悪い土
液相の割合が高い土=水はけが悪い土 てな感じで判断します。

さあ、わたくしの畑の三相分布はどうだったのでございましょう。

液相率(%)=生土の重さ100g-乾燥土の重さ65g=35%
固相率(%)=乾燥土の重さ65g÷土の真比重(約2.65)=23%
気相率(%)=100-(35%液相率+23%固相率)=42%

うひゃっ! めちゃくちゃバランスが悪いではないですか!

gazou 019
飛んでった水分は35gだったようです。ってことで液相率35%。
理想は30%。何もかもバランスがよくないことが予想され、この時点で多少悲しくなっております。



さらに大失敗。本来は土を100cc採取して生土のg数を計らねばならなかったのでした。
そうしないと仮比重が出てこないのです。はあ~。まあ、とりあえず。

私の畑の土は、固相率が低く液相率と気相率が高い、
団粒構造のできていない土であることが判明いたしました。
きっと仮比重もかる~い土なのでしょう。軽やかな割に水はけの悪い土…やだなあ。

修正するためには通常、ピートモスやモミガラ、ゼオライトなどの投入を行うのですが、
15平方メートルという小規模なので、モミガラや残さの投入で、徐々に修正することにして、
また秋くらいにもう一度計ることにいたします。

ってことで、次回の作業はモミガラとカルスNC-Rの投入。
40代後半のオバハンにはちょっとキツイ、筋肉痛の起きる仕事でございます。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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