おいしいすももの話と桃ツアーのご案内

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「さんたろう」という日本のすももがアメリカに渡って「サンタローザ」というすももになり、
日本に帰ってきたという変わり者「サンタローザ」。農家のおっちゃんは「さんたろう」と呼びます。
手前の色が売ってる色。左奥のすももの色がもうちょっと濃くなると芳香が漂ってきます。



山梨県の古郡正さんが、この時期すももを送ってくださいます。

そのすももの名は「サンタローザ」。
わたくしが世の中で一番好きなすももです。ひゃっほう!!

このすもも、すももと思えない洋梨っぽいフレーバー(※)を持っており、
すっぱいものが苦手なわたくしでも、香りに夢中になり、何個も食べちゃいます。
※鼻で感じる香りではなく、口中に入れて鼻に空気が抜ける際に感じる香り。
食べたときに香るので、ニオイを嗅いでも感じることはできません。

あんまりにも香りがいいので大好きになったのですが
ある日それほど熟していないものを食べたら、酸っぱ~いすももでした。

それもそのはず。
サンタの香りは、紫色になるほど熟して、初めて出るのでした。

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大石早生の写真を撮ろうと思ってたらあっという間に終了して撮れず。これはレッドビュート。
古郡さんのすももは無施肥なので玉が小さいけど、普通に肥料やってると大玉になります。
それほどおいしいと思わないけど、早生品種で大玉なのでいい値段がつくらしいです。



サンタローザの本当の味は、畑でまっくろになったヤツを食べるか、
すもも農家と仲良しになって送ってもらうしかないのです。
普通の人はほとんど食べたことないんだろうなあ…。もったいないのう。

このように意外と知られていないすももですが、すももも桃と同様、
ひとつの品種のピーク期間が約1週間。
店頭では品種が次々に切り替わっており、売れ筋のものしか置きませんから
消費者がすももの品種を知る機会自体、あまりないのです。

さて、すもものトップバッターは7月中旬に出る大石早生。
スーパーでも「大石早生」という名前で売られているメジャーな品種です。

大石早生よりも早い品種を作ろうといろいろ交配されてるらしいのですが、
どういう理由だか、いい品種ができないんですって。

大石が出たら「ああ、すももの季節」と思うほどですから、
大石早生は「キング・オブ・早生品種」。不動の地位を確立しているのでした。

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すっぱいすももレッドエース。売ってるの、あまり見かけませんね。
すももの色って写真に撮るのが難しいのです。もっと微妙なニュアンスのある赤なのですが…。



その大石早生の後、レッドビュート、レッドエースと続き、中生品種のメスレー、
紅りょうぜん、大石中生、サンタローザ等々、さらにメジャーなソルダムが出たら、
大玉で大変高価な「貴陽」さまの出荷が始まります。

貴陽さまは5年前位、一玉300円位で売ってたチョー高級品種でした。
すももとは思えない甘さと玉の大きさ。誰もがびっくりした品種です。

それまでは「完熟のソルダムに勝るものはない」と言う農家が多かったのですが、
今では皆「貴陽ってほんとにうまいじゃんね」と言う人がほとんど。
うまいけど受粉のタイミングが難しかったりして、リスクも高い品種のようです。

貴陽の後は太陽、秋姫などが出てきますが、その頃には皆もうなんとなく
気持ちが桃とか梨に移ってるので、晩生品種はよほどのすもも好きしか
食べてないような気がします。おいしいんですけどね…太陽…。

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7月上旬のすもも、紅りょうぜん。今年はすももが例年よりも1週間遅れの出荷でした。
ハート型のかわいらしい形のこのすもも。甘くておいしい品種です。
まだまだ熟してないわよ!っていう色合いですね。もっとしっかりした紅色になります。



さて、品種もさることながら、果物のおいしさは主に熟度によるもの。

どんな果物にも言えることですが、そのものの持つ味がピークになるのは、
おおむね劣化の二・三歩手前のところって気がします。

つまり樹からぼとっと落っこちるちょっと手前ですね。

そういうものを食べると原始的な喜びが体に満ち溢れます。
完熟の果物を食べていた狩猟採集民族の血が騒ぐというか。しかし、
現在の流通事情で、この味を楽しむのはかなり難しいと言っていいでしょう。

流通途中の運搬によるアタリや劣化、店頭に並ぶまでの時間による劣化等々
それらを加味して収穫するよう、JAが指導し農家は調整しますから、
ほんとうにおいしい果物を食べようと思ったら、畑に行くしかないのです。

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紅りょうぜんの後に出る菅野中生。菅野さんが作った品種。おいしいです。
この色だと、収穫はあと2週間後って感じですかね~。丸っこい形です。
すももって、それぞれの品種で形が違うので、すもも畑に通うとなんとなくわかるようになります。
やっぱ一番かわいい形なのは大石早生。ハート型で色も最初は黄色くて透明感があって。



なので「できるだけ樹に置いた樹熟の桃」とかいうキャッチコピーが
氾濫するのですね。それでも、農家と流通によって「樹熟」の考え方が違うので、
樹熟だからOK!ってなわけでもありません。

できるだけ樹においたと言っても、商品にできる程度ですから、
やっぱり早めに収穫していることには変わりがないのです。

消費者から「傷んでたわよ!」という激怒の電話がかかってくるのは、
誰だってイヤなもの。そのリスクをできるだけ避けたいのは誰もが同じです。
おいしい果物を食べるには、畑に行って自分の手でもぐのが一番なのでした。

ということで、今年も桃収穫体験ツアーを企画しましたです。

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自分の手でおいしい桃をもいで食べる…楽しいですよ~。
これは去年の桃狩りの品種「夏っ娘」。今年は黄色い桃の収穫を体験します。



8月27日(土)、山梨の大沢農園さんの畑で、
黄色い桃「黄貴妃」のもぎ取り体験を行います。
この桃、OISIXで毎年山形県の奥山博さんのものを扱っていますが、
別名「マンゴーピーチ」と名付けられているほど、おいしい桃。

40分食べ放題&作り手のお話を聞く会です。
おいしい桃と農家の話を堪能できますよ! ぜひご参加くださいませ。

昨年の収穫体験の様子は→「たのし、むずかし、桃収穫体験」
受け入れ先農家の詳細は→「低農薬栽培の桃を作る若い人たち」

【集合場所・時間】
8月27日(土) 10:10 山梨市駅

【参加費】
ほんもののたべものくらぶ会員 2,000円
一般 3,000円 3歳未満無料
家族参加の方は割引がございます。ご相談ください。
※現地集合現地解散。※昼食はお弁当をお持ちください。
希望者にはマクロビオティックカフェ「hakari」のカレー(700円)をご用意いたします。

【体験内容】
40分間桃のもぎ取りと食べ放題。昼食を食べながら桃農家との交流。
※お持ち帰り用の桃は実費となります。

【お申込み・お問合せは】
以下のメールにてお申し込み・お問い合わせください。詳細情報をお送りいたします。
info@hontabe.com

■申込締切 8月5日(金)
※ご注意 風や雨による桃の落果などの可能性があります。
その際には申し訳ありませんが中止とさせていただきます。


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ほんたべ農園の中間総括

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本日の収穫物。モロヘイヤが初収穫です。葉っぱばっかりですね~。
トマトはデルモンテの中玉ですが、なんと糖度が6度ありました! えらいぞデルモンテくん!



果菜類の収穫が始まり、相変わらず畑に通い詰めております。

今年度のほんたべ農園では、自給自足及び高品質多収をテーマにやっとります。
なので、先週あたりから某D社宅配での野菜の購入はゼロになりました。
おいしくても、おいしくなくても自己責任。楽しい毎日です。

で、植え付け後2カ月。中間報告及び総括をすることにいたしました。

定植したもの→きゅうり4株(シャキットきゅうり2、強健夏秋節成2)、
トマト4株(デルモンテ1、自根3)、ナス3株、ピーマン2株、パプリカ1株。

以上が欲とヨロコビの夏野菜。

その他オクラ5株位、枝豆2袋分、いんげん6株、タカノツメ2株、
バジル、コリアンダー、パセリ、大葉、エンツアイ、つるむらさき(もらいもの)、
モロヘイヤ、カモミール、ルバーブ1株

欲とヨロコビの果菜類がメインで、その他はおまけなのですが、
おまけの方が良く育っており、腕の悪さを実感しております。

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2009年夏の種で出てきたオクラちゃん。小さい株で仕立てて大量生産を狙ってます。
一本だとがっしりした株になり、オクラがすぐに硬くなっちゃうけど、二本仕立てにすると
わりと硬くならず、大きいものが収穫できるらしいです。ほんとかな~わくわく。



以下反省点。

チッソ不足という計算間違いがあとあとまで響いておりますよ。

きゅうりはまず、強健夏秋節成がひとつダメになり、四葉きゅうりを補植しました。
強健夏秋節成はなんとブルームレスきゅうりだったです。
※ブルームレスきゅうり=白い粉がふかないやつ。味悪し。
なので、残ったひと株も四葉が大きくなってきたら更新予定です。

トマトは、全体的に自根トマトが妙な生育をしており、1号がダメになりました。
病気かと思い木を切ってみても褐変しておらず、原因不明です。
あわてて入れたチッソが後で効きすぎたって感じです。

残ってるトマトも、高温障害かチッソのせいか、着果してくれません。
目標の10段どころか、デルモンテくん以外は5段で終了…難しいなあ、トマト。

やはりIPM的に次回は接木苗を買うべきか。土壌菌由来の障害っぽいので、
カルスNCRに加え、微生物資材・ネニソイルを入れるべきかしらと考えております。

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デルモンテくん3段目。糖度が高そうなオレンジ色ですが、実際6度でした!
大玉は難しいので、来年は中玉とミニトマトを中心に植えようと思っております。



ナスは3号がアブラムシにやられ中。最初にハダニが繁殖した、
生育がいまいち不良な株。虫は弱ったものに取りつくのですね。3号がんばれ。

アブラムシ、台風の雨で全部おっこちるかと思ったらさにあらず。
蟻と共生してどんどん増殖し続け、葉っぱがベタベタしてきました。
しばらく様子みて、ひどいようなら抜きとる予定です。あああああ、残念。

体力があれば持ちこたえるのでしょうが、そもそもが生育不良ですから、
諦めるしかなさそうです。ちらっと「農薬」が脳裏をよぎったりするわたくし。

いやいやいやいやいや絶対ダメだから。

ピーマンは元気で花もバンバカ咲き着果しますが、生育が寸詰まり。
理由は不明。そして収穫は10個。目標はあと90個。
でも樹形を見てるとムリっぽいかなあ。なぜのびのびと生育しないのだ。わからん。

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蟻が粛々とアブラムシの世話をしています。アブラムシがお尻から出す甘い液体をもらい、
アブラムシを守っているのですね。この時期もう天敵もほとんどいないし、アブラムシ繁殖し放題。
テントウムシ様、どこにいらっしゃるの? 助けて~って感じです。



てな感じで、まあ全体的に果菜類が「どうなの?これ?」って感じです。

でも、ま、いっか!

今年ダメでも、来年やれば!

なんつって。中間総括で弱気になってどうする。
なにしろ、夏はまだあと2カ月はありますよ。
どっちかというとこれからが本番なんだから、もう。

牡羊座・O型・うさぎ年→全て「熱しやすく冷めやすく飽きっぽい」性質。
ってことで、生来の飽き性であるわたくし。根性を出さなくてはなりませんね。

がんばれ。自分。

ところで、15平方メートルの畑に、上記のような作物をちまちま植えれば、
大人二人家族であれば、自給自足にはじゅうぶんでございます。

ただまあ、きゅうりは本数が多かったかな。3本でいいかしら。
きゅうり祭のお囃しが毎日鳴り響いており、食べきれません。

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チッソ過剰で出てくる「鬼花」。この花が着果すると…↓
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おおお、やっぱりすっごい変形果になってます…C品にもなりませんよ。
っていうか、ちゃんと着色して果実になるかどうかもちょっと怪しいかな~。

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同じくC品「チャック果」。西出先生によると水分調整がうまくいかない時に出るそうです。
ほんたべ農園のトマト、チャック果が頻発してますが、全部同時期。3段目あたりに出ております。
不思議だなあ…作物って。



そしてトマト。GW過ぎにすぐ作付けて順調に生育させないと、
クソ暑さがやってくると着果しなくなり、収穫できなくなるので要注意です。
今後トマトは一時的にお休みになりそうです。これからが夏本番なのにぃ。ううう。

てな感じで、中間総括の結論としては
「経験に勝る知識なし。でも知識なしでもダメ」でしょうかしら。

意識的にあれこれ考えつつ野菜作りをした経験は2回目。
「あれっ?なんでこうなるんだろう…」の繰り返しで2カ月経ってました。

しかしやみくもにやるのと、ある程度予測してやるのとでは
結果の見方も、取り組み方も少し変わります。

まあしかし、一度やったら取り返しがつきませんから修正は不可能。
この経験は、来年の野菜作りに役立てるしかないのでした。

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咲けども咲けども着果しないつるありいんげん…。高温になると受粉しなくなると
本には書いてありましたが、実感したのは初めて。7月上旬の高温のせいでしょう。
ここんとこ30度以下なので着果を待ち望むわたくし。



一年に一回しか体験できない畑作。むー。厳しいことよのう。

今さらながら、農業を生業にして、無農薬でおいしい野菜、そして
ちゃんと人様に売れる「商品」を作り、さらにきちんと生計を立ててる人を
尊敬してしまうわたくしなのでした。

さて、自分の作物をバイヤーの目で見てみると→トマきゅうは全部C品。
赤伝必至って感じ(泣)。


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有機農家の農業後継者率は何%? 

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台風一過。畑に行くとトマトが一気に色づいてましたよ。急に水吸ったせいで割れてます(泣)。
これはデルモンテくんではなく自根2号。そして糖度が低そうな色してます…悲しい。
写真だとわかんないですが、きゅうりは30センチ…「おばきゅう」になってます。しかも3本も。
種が大きくなってておいしくないのよね。ナーベラーみたいに、炒めものにして食べよう。



2001年。
わたくしが某D社で産地担当をしていた頃のことでございます。

担当は落葉果樹及び、冬場の大型野菜を作ってる産地でした。
青森から島根まで、約50産地担当しており、果樹の繁忙期には毎週出張。
農家のおじさまたちと楽しく飲んだくれ、どんどん太っていきました。

ま、それはともかく。

ある時のこと。
一斉に(って気がしたほど一気に)、息子が後を継ぐことになったと、
おじさまたちがうれしそうに言い始めました。

後継者不足が言われてるこのご時世にスゴイじゃん。さすが某D社の取引農家。
妙に感心し、その理由を考え、思い当ったことがふたつ。

その①後を継いだ息子たちの親(つまりおじさま方)に共通点がありました。
彼らは、農業をとても楽しそうに営んでるのでした。

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一番最初に出会った後継者、埼玉県の瀬山明さんの息子、公一くん。
彼の一言がきっかけで後継者会議を思いつき、後継者について色々考えることになりました。
今では栽培の主体はお父さんから公一くんに移り、どんどん男前になってます。



自分の仕事に誇りを持ってて技術もあって、あれこれ試してみたりして、
「食べものを作ること」を純粋に楽しんでる人ばかりでした。
(果樹農家には「先生」と呼ばれるほど技術のある人も多かったです)

作柄がよくない年もあるけど、それはそれ。しょうがないじゃん。
一年という期間で物事を捉えてないというか、それが農業だと割り切ってるというか。
大きく物事に動じない人が多いのも特徴的でした。

その②某D社・某R社などと取引し契約栽培してること。

契約栽培で相場に左右されない固定価格での取引をしていると、
毎年ある程度予測される収入があり、相場に一喜一憂する必要がありません。

相場が下がると最悪の場合、離農せざるを得なくなる農家が多いのは周知の事実。
「今年は大変だったから、近所で離農する農家が多くて」なんて話を
出張時にあちこちの農家によく聞いたものです。

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愛知県で有機農業を営んでるグループの後継者たち。まず瀬山さんち、次にここで、
後継者を意識することになりました。渥美半島は大規模農業の産地です。
慣行栽培でも割合と後継者はいると聞きました。大規模化は生き残りの道なのですねえ。



そんな厳しい状況の中で、有機農家はずっと生き残ってるのでした。

親が楽しそうに仕事をしている背中を見て育ち、しかも経済的に余裕がある。
それだけではないでしょうが、これらは農業を生業にしようと決める
何かのきっかけになるのだろうなあと感じましたのです。

そんなある日。埼玉県のある後継者に言われました。
「よその産地の後継者と交流したい。他の人の畑も見てみたい」

農家というのは、意外と横のつながりがないものなのだそうです。
近所の農家と少しやり取りすればいい方。勉強会などもそれほどなく、
ただひたすら自分の畑と家を往復する毎日。

とくに後継者ともなると、近隣に同世代の若者がいないということも多く、
「人はどうやってんだろな~?」とか思いながら、言われた通りに作業するだけ。
そうしてるうちに、自分の世界がどんどん狭くなってしまうものなのだと。

そこでわたくし、後継者ばっか集まる「後継者会議」ってのを考えましたよ。
全国に仲間ができれば、きっと楽しいに違いない。そんなのが企画意図でした。

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山形県で開催された後継者会議のようす。講師は西出隆一さんでした。
山形県の在来品種「民田なす」の畑を見学中。地域によって規模も天候も使う機械も違うので、
自分の土地と比べ「ふーん」と思うことが多いらしく、後でそれを聞いて勉強になることも。



一回目の参加人数は50人強(!)。北海道から長崎まで19歳から30歳位までの
若くてとっても農家とは思えない茶髪でイケメンの男の子たちが集まりました。
その後その会議は定例になり、今でも年一回どこかで開催されてます。

キラキラした目をした、まだ少年だった男の子たちは、今では
結婚して子どもができて、腹周りに肉がついたおっさんになりつつあります。
おっさんになっても楽しそうな彼ら。有機農業っていいなと思う瞬間です。

彼らの息子や娘がまた後継者となり、農業というバトンが手渡されてくような、
そういう社会を作って行かなくてはと、東京の片隅で真剣に考えているわたくしです。

さて、オーガニックマーケティングの調査結果では、
有機農家の後継者率は58%、慣行栽培では17%という数字が出ています。
有機農家、高いですね。

息子たち
第一回目の開催地、青森県のりんご農家の後継者たち。後継者、果樹農家に多いですね。
わたくし的には彼らの「お姉さん」的存在と勝手に思ってたのですが、ある会議の時に
「えっ!ムリムリ、お母さんでしょ!」と全員で言いやがりました。おいっ!15であんたらを産めるかあ!



「農業が楽しくて儲かる」のであれば、後継者は育つのだと思います。
また、有機でなくとも儲かってる農家では、後継者が育っているものです。

ってことは、農業後継者不足の理由は儲からないから?

でも、儲かっててもつまんなそうに農業してる人の子どもは、
やっぱりつまんなそうに農業したり、じきに辞めちゃったりもします。

各家庭それぞれに個別の理由があるものですから、
一律に論じてはいけないのでしょうが、楽しくなくてはやる気がしない。
成果に応じた報酬がある方が、仕事は楽しい、ってのは
サラリーマンでも農家でも同じです。であれば、必要なのはマネジメント?

ってことで、今年の夏は後継者に悩むおじさま方、働かない部下を持つ上司の方は
ぜひ「もしドラ」をご覧になってくださいまし。なんちて。

世の中が変わるのが先!ってのは百も承知でございますよ。


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「畑バカ一代」襲名

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オクラの花が咲くと「夏ーっ!」って気がしますねえ。採れ始めると待ったなし。
これから始まるオクラ祭が楽しみでございます。



「朝7時 畑に行くと もう30度」(五七五)

毎日暑いですなあ。

畑に行くと、自分のどこにこんな水分があったんだと思うほど汗が出ます。

長そで・手差し・長ズボン、農家のおばちゃん帽子、てぬぐいマスク
首てぬぐいってな出で立ちなので、大汗かくのもしょうがないのですが、
オバハンの体に直射日光は厳禁です。
シミ・シワ・日焼け。一度できたら、取り返しがつきませんですよ。

このウロンなカッコで毎朝熱中症になりかけて水やりしているわたくしに
夫ちゃんが「畑バカよのう…」と言いました。

これからわたくし、「畑バカ一代」と名乗ろうと思います。

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自然な栽培の象徴のように言われている曲がりきゅうりですが、単なる生理障害。
着果不良・水分不足などが原因と考えられています。曲がってるきゅうりの方がおいしいとか
言う人がいますが、そんなことありませんね。このきゅうりは自分のつるに引っかかって
曲がったみたいですなあ。早く気づいてはずしてやればよかったのでした。



さて、人間がこれだけ暑いのですから、野菜も当然暑いはず。
作物は気温が35度(だったかな~、32度だったかも)以上になると、
光合成をやめて呼吸だけするようになるらしいのです。

ただ呼吸してるだけ。
すでにいんげんは花は咲くけど着果してない状態。あああ、困った。

こうなると、人間にできることはそれほどありません。

ハウスだとどこかを開けて風を通し、灌水などで気温を下げるようですが、
露地栽培の場合はちょっとムリ。
わたくしの場合も露地ですから、早朝の水やりしか手立てがないのです。

でも、せっかくだから気温を測ってみました。
敷きワラをしている部分とむき出しの部分、どちらが気温が高いのか。
どうでもいいけど、ちょっと気になるじゃありませんか。

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水やり前。なんと地面の温度は42℃でした。あつー。
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水やり後。敷きワラを敷いている部分は一時的でしょうが温度が下がりました。
この30分後に測っても、まだ32度でしたから効果はあるようです。

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ワラの無い部分は水やりをしても38度位までしか下がらず、その後上がりましたです。


結果は、上記のとおり。ワラは効果ありなのでした。

西出師匠によると、敷きワラで温度を下げようとすると5センチ位必要とのこと。
わたくしの畑では3センチ。ちょびっと足りませんが、まあよしとしよう。

さて、トマト・なす・きゅうり・ピーマン・オクラ。一通り収穫できましたよ。

当然と言えば当然なのですが、トマトがおいしくありません。
糖度は5度台。糖度だけ見ると悲しい状態。

まあでも人間の味覚ってのは、酸味その他いろいろのバランスですから、
糖度だけでは判断できませんが、やっぱりそんなにおいしくないのです(泣)。

買ったトマトが5度だったら、今まで暴言を吐きながらソースにしちゃってたわたくし。
「そんな糖度のトマトはトマトじゃないからちゃんと作って」とか、
取引先の農家に言ってたバチが当たったのでしょうかしら。反省するわたくし。
すまん、担当してた農家の皆さんよ。

自分で作ったからと言って、必ずしもおいしいものができるとは限らないのでした。

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暑いのに元気な虫たちその①カメムシ。いろんな模様のヤツがいますよ。
大量に発生してナスの葉を食害したりしますが、今日は一匹しかいませんでした。良かった。

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同定できていませんが、たぶんアブ。体長3センチ位で虹色の複眼。
なんか背中に毛とか生えてて不愉快な形状をしています。何よりも手足の先がイヤ。
ハチ類と比べてこの禍々しさは何だろう…近寄らないで!って感じ。



「やっぱり自分で作った野菜は最高においしいよね!よしよし自分エライ!」とか
言ってしまえれば幸せになれるのでしょうが、
おいしくないものはおいしくないんだよなあ。なぜなんだ…等々ぐずぐず言ってたら、
「何年も土づくりしてきたおいしい野菜を作ってる農家と比較しちゃダメだって」と
山梨のすもも農家・古郡正さんに言われました。

「できるわけないんだから。人と比べないでありがたく食べなさい」

あああ、わたくしったら、感謝の気持ちを忘れていました。あああああ。
ここまで育ってくれてありがとう!が先でした。すまん、トマトよ。

それに、よく考えてみると一朝一夕でおいしい野菜ができるわけないのでした。

長年の蓄積。
それは微生物だったり腐植だったり、塩基類だったり、いろいろです。
同じ畑を長年耕すことの大切さがわかった気がするわたくしです。

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きゅうりの下葉が黄変しています。さてこれは何が足りないか。
今月の西出さんの会報に、答が書いてありました。下葉の黄変はチッソ不足だそうです。
中葉だとカリ欠。追肥をしてやらねばなりませんのです。



でもま、トマト以外、なすとピーマンはおいしいのでOK。

なすはいつでも自分で作ったものは必ずおいしいのが不思議です。
すぐに火が通り、とろりんととろけるような食感。もうこの世のものとは思えない幸せ。
もふもふした食感と、火が通らずいつまでも白いなすなんてのがありますが、
そんなのをもう食べる気になりませんのです。

きゅうりは最初ぐったりするほどおいしくありませんでしたが、ここにきて、
糖度があがったわけじゃないのにちゃんとしたきゅうりの味になりました。
味と香りに深みが出てきたというか。

ひょっとして、暑さが必要だったってこと?…わからんなあ。

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枝豆のサヤがだんだん膨らんできています。早くおおきくなれ~。

そして、来週には待望の枝豆が収穫できるでしょう。うひっ。

合計すると約一袋、鳥のエサになった枝豆。
おいしくなくてもありがたくって、感涙にむせぶことでしょう。

あああああ、やっぱり自給自足はいいですなあ。

「畑バカ一代」としては、10坪位で
なんちゃって有機の家庭菜園を、ビシバシとやりたいものですなあ!

(…ちっさい夢ですなあ…)


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日本一エコなきのこを栽培する人―前橋市・自然耕房(株)

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生育中のまいたけくん。まだちょっとちっちゃいですね。アフロヘアみたいです。
まいたけの栽培室はアフロの小人がたくさんしゃがんでるみたいで、とってもかわいいのです。


きのこの生態をご存じですか。

知れば知るほど変わった生きものだなと思ってしまうわたくし。
だからきのこ屋さんの見学とか大好き。きのこ屋さんの話を聞くのも好き。

そんなわたくしが初めてきのこ栽培を見たのが、群馬県にある自然耕房さんでした。

知らない人がほとんどだと思うのですが、実はきのこ栽培には、
大量の電力を必要とします。

きのこ栽培というのは人工的な培地にそれぞれのきのこの菌を植え付け、
それぞれのきのこに適正な環境を作ってやり、発生させ生育させるもの。
自然環境の中では年に一度発生するきのこの環境を、
常時準備してやる必要があるのです。で、その環境は電気で作ります。

つまり、きのこは電気でできているのです。
そんなきのこづくりに、疑問を持った人がいました。

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栽培に使う電力を少しでも減らそうと、屋根には太陽光発電パネルが並びます。
白い王蟲の目みたいなのは、アクリル製の採光窓。ここから入る光で照明を使わずに済むのです。
どちらも電気料金では回収できないほどの経費がかかっています。

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採光窓を栽培室から見たところ。けっこうな光が入ってきていて、ほとんど照明は必要ありません。
きのこ栽培では厳禁と言われている床に水をまいて温度調整をしたり、薬品での消毒をしなかったり。
電力同様、佐藤さんのきのこ栽培も、きのこ屋さんの常識から大きく外れたものでした。


「きのこ栽培に電力をそれほど使わない方法があるんじゃないか」

自然耕房の社長・佐藤英久さんは、きのこ栽培に取り組む前、
空調設備の会社で働いていました。きのこ屋さんの空調なども長年見ていて、
「こうやったらどうだろう。あれはどうだろう」といろいろと気づいたことがあったそうです。

人生も半ば過ぎ、自分のためというよりも地域のため、環境のため、
循環型のきのこ栽培をやってみようと思い、自然耕房を立ち上げました。

その循環は徹底しています。

まずきのこの栽培に使う菌床を、地元でできるだけ手配する。
栽培後の菌床をリサイクルする。さらにその廃菌床を堆肥化する。
菌床を包む容器を燃料にし、その熱できのこを栽培する。

これが栽培・環境においての循環。

そしてもうひとつ。地域活性という循環もあります。

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近隣の原木栽培のホダ木を回収して、まいたけの培地に加えています。
通常は、きのこ培地は輸入のコーンコブ(とうもろこしの軸をチップにしたもの・もちろんGM作物)。
広葉樹の粉を使うのは、経費もかかるしまいたけの生育期間も長くなり、効率が悪いので、
早く生育し入手しやすく安価なコーンコブが一般的に利用されています。

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で、これがまいたけの培地。キューブ型のポリ袋にオガコを入れてあります。
ここへ植菌すると、トップの画像のようにまいたけが出てくるのですよ~。不思議ですね~。



まず余剰分のきのこを販売するための施設「直売所」を作り、
きのこの売り先と地元住民の雇用を発生させました。

直売所ですから「売り場」には地域の農産物を置きます。
これでJAに出せない小規模農家の売り先を生み出しました。

きのこ工場できのこの栽培に携わるスタッフは、
一般的には雇用が難しい障害者と高齢者を主に採用しています。
このことにより、地元でお金が回る経済の循環も生まれたのでした。
現在では、自然耕房というきのこ会社を軸に、いろいろなものが循環しています。

「最初はお金のことには気づいてなかったんですよ」佐藤さんは言います。

「障害者や高齢者、そして地域のおばちゃんたちが働ける場を作りたい。
純粋に雇用を発生させたいという思いだけでした。

でも、お金が循環するってことに、後で気づいたんです。

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直売所では自然耕房のきのこが割安で売られています。白まいたけ、人気です。
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地産地消・身土不二。自然耕房の理念のひとつ。それを実現したのが直売所です。
近隣のじいちゃん、ばあちゃんの農産物が格安で販売されています。



月に5万の収入で、何か経済の役に立つのかと最初は思ってた。
でもそうじゃないんです。5万でも3万でもいいんです。
毎月固定した収入があることで、人はそれを使う気になる。

農家ってのは、お金を貯めたらなかなか使わないですよ。
儲かる時もあればそうじゃない時もある。農業は収入が不安定なんですから。

しかし、現金収入が月々5万あると、それはあてにできるお金になります。
毎月収入があるという安心感が、お金を使うことにつながるんです」

効率優先で考えれば、高齢者や障害者を雇わない方がいい。
電力は使いたい放題に使い、資材は一回で廃棄してしまえばいい。
実際にその方が利益が上がると佐藤さんは言います。でも絶対にやらないのです。

その理由は、非常にシンプルなのでした。

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まいたけを収穫後の培地を再利用して、うすひらたけを栽培します。
このきのこ、煮込みうどんや芋煮にするといい出汁が出るおいしいきのこ。
まいたけと少し性質が違うため、まいたけの培地を再利用できるのでした。

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うすひらたけを収穫後は、培地は堆肥化。培地が入っていたポリ袋は、
こんな風にまとめられ、別の種類のきのこを栽培するためのボイラーの燃料になります。
きのこ栽培の上流から下流まで無駄を極力排して、循環の仕組みを作っています。



「私は実は反原発なんですよ(笑)。でもきのこ屋がそんなこと言ってどうする、
きのこは電気で作るものなんだから。じゃあ、できるだけ電力を使わないしくみを作って、
ちゃんときのこが栽培できるというモデルを作ろうと。

私が成功したら、真似するところが出てくるでしょう。
成功すれば人は真似するものなんです。そうでないと説得力がない。
反対するだけでは。

残念ながらまだ成功には遠いのですが。いつかは実現したいと思っているんです」

屋根には太陽光発電パネルが、そして採光のため天井に窓が設置されています。
太陽光パネルには、今後何十年も電気料金では回収できない経費がかかっています。
また、天井の採光窓は、当時研究段階だったものを商品化してもらったそう。
そうまでして、循環型のまいたけ栽培を実現しようとした佐藤さん。

その理念の徹底・貫徹力には一言。「すごい」としか言えません。

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何年も前から存じ上げていたのですが、今回初めて「反原発」であることをお聞きしました。
できるだけ電力を使わずにきのこを栽培できるモデルを作りたい。その夢を私も応援したいです。
最近通勤に自転車を使って17kmの道のりを通っているという佐藤英久さんです。



もっとその取り組みを知ってもらえることが、売り上げが上がることが、
佐藤さんの理念を実現することに近づくのに。そう思うのですが、

「宣伝しない、ウソつかない、セコイことしない。うらやまない、真似しない。
そんな風に思って今までやってきました。まだまだなんですよ。

これからは廃菌床の堆肥を使って野菜を作りたいんです。
きのこの循環は、その野菜を作ることで完結する。でもまだ忙しくてできない。
どんな成分を入れてどのような作り方をすればいい野菜ができるのか。
いろいろとやってみたいですねえ」

日本中探しても、こんなきのこ屋さんはいないに違いありません。

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まいたけ、うすひらたけの他に菌床と原木栽培のしいたけも作っています。
しいたけの培地って、菌が回る間にほとんど木のようになってしまうらしいです。
直売所に行くと、いろんなきのこが置いてありますよ。ぜひ行ってみてくださいね!



脱原発、リサイクル、地域活性、循環…地道に粛々と群馬の片田舎で
これからの日本を支えるであろうモデルを作ろうとしている佐藤さんの自然耕房。

もし自然耕房のまいたけを見つけたら、購入して応援してください。
群馬に行くことがあったら、直売所に行ってみてください。

私は今、日本中に自然耕房のようなきのこ屋さんができる日を夢見ています。

自然耕房の直売所→
風の駅 やげんじ
風の広場 おおまえだ


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環境保全型農業のための「IPM」の話

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アブラナ科の隣にセリ科の植物を植え付けると、コナガやモンシロチョウなどが寄って来ません。
コンパニオンプランツと呼ばれるこの技術はIPMのひとつ。有機農家では割合と行われています。
写真は埼玉の金子さんの農場で見た混植。レタスはキク科。これは効果あるんだろうか…?



わたくしがIPMという言葉を初めて聞いたのは、2000年のことでした。

当時まだ某D社から野菜を仕入れていた某R社主催の技術研修会。
夜の飲み会の席で、当時のR社の仕入部長が飲んだくれ、
「これからはIPMなんだよお~。あい、ぴい、えむぅ~」と何度も叫んでおられました。
彼はヨーロッパでIPMの現状を視察してきたばっかりだったのでした。

「あいぴーえむ?」農業のど素人であったわたくしには未知の言葉。
その2年後、天敵の研修会でIPMの概念を知ることになりました。

IPMは「Integrated Pest Management」の略で、「総合的病害虫管理」と呼ばれます。
農水省では「総合的病害虫・雑草管理」と言われています。

「人の健康に対するリスクと環境への負荷を軽減あるいは最小限にし、
環境保全を重視したものに転換することにより、
消費者に支持される食料供給を実現すること、
と位置付けられている(農林水産省による)」(ウィキペディア・総合的病害虫管理より)

うーん、全然わからん。

画像9
天敵昆虫を積極的に利用するのもIPM。天敵の発生時期に農薬を使わない・
絶滅系ではなく選択性の高い農薬を使うなど、天敵を殺さない防除体系を組むことにより、
慣行栽培でも天敵利用が可能になります。写真はアザミウマを食べてくれるヒメハナカメムシ。



別の言葉で言うと「化学農薬をできるだけ用いず、
きちんと農家経営が成り立つレベルの農産物を栽培するための理論」
とでも言えばわかりやすいかも。

「化学農薬をできるだけ用いず」と「農家経営が成り立つレベル」というのが
キモなのでございます。
有機農業でも導入できるけど、どちらかと言うと慣行栽培の人向けの理論です。

では、「環境保全型農業」ってよく聞くけど、イメージはわかるけど、
いったいどういう農業なのでしょう。

環境を汚染しないことはもとより、さらには環境を改善し、
安全・安心・良質な農産物を供給する農業のこと。だそうです。

現在の農薬や化学肥料の多投が前提の農業は違うってことですね。

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りんご畑のダーズバン散布風景。有機リン系農薬なので、そこにいる虫は全部殺します。
天敵も害虫も皆殺し。その他除草剤や殺菌剤でも微生物や小さな昆虫は死んでしまいますから、
農薬が環境に与えるダメージはかなり大きいのです。



自然と寄り添うイメージの強い農業ですが、実は農業による環境汚染はかなりなもの。
過剰な施肥による水質汚染や、農薬による昆虫などの種の減少など、
生態系に与える影響はかなり高いと考えられています。

我々は環境を破壊しながら食糧を得ているとも言えるわけでございます。

そんななか、今ある環境を利用し、さらに予防と観察を主軸におき、
できるだけ化学的な方法を使わないための理論がIPM。
環境保全しながら持続可能な農業を営むことができるのです。

さて、IPMの基本要素としては、以下の3つの段階が挙げられます。

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メスのフェロモンを拡散させオスがメスに出会えなくして害虫の密度を下げるフェロモン剤。
果樹類の殺虫剤を減らすのに使用されます。町ぐるみで取り組まないと意味がなかったりするし、
一本あたりがちょっとお高く、圃場一枚で大量に購入しなくてはならないので、そのあたりが難点。


① 予防 
有機農業では昔から言われている適地適作や輪作、
また土地に合った品種改良(抵抗性作物及び遺伝子組み換えなど)、
その他、土壌分析診断に基づく施肥設計などにより、
病害虫の発生しやすい環境を作らないための方法。
(GM作物もIPMの一部なんですよ。ちょっとびっくり)

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自家採種、GM作物、耐病性種子、接木苗などはすべて予防に含まれます。
土壌分析診断も適正な施肥管理による病害虫の多発を防ぐという意味での予防なのですね。


② 観察
該当する地域にどのような虫が発生するか(地域別の予察)、
圃場状況の確認など、具体的防除の実施を行うための判断材料。

③ 実施
具体的・直接的な防除方法。
具体的防除とは、耕種(土地に合う作物の選択)・物理的防除(寒冷紗・粘着板など)、
生物的防除(天敵の活用)、化学的防除(農薬等)の3つに分類されます。
※農水省のIPMでは、定植時の粒剤の植穴使用などは
「予防」に含まれているが、欧米では「実施」に含まれている。

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ハーブのひとつ「ボリジ」は天敵の住処になることが知られています。天敵に食べものが無くなった際に
こういった養成作物があると天敵が生き延びることができます。畑のすみっこにハーブを植えると
いいってことですね。ハーブ類や採蜜植物などがいいようです。

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物理的防除「寒冷紗」とネギ類ときゅうりの混植(コンパニオンプランツ)の例。
混植は管理の手間がかかって大変!なのですが、自然農などではよく利用されています。



なんかこういう具合に書くと、非常に難解なもののようですが、
有機農家であればだいたい上記のどれかは導入しているもの。

簡単に言うと、「予防して、それでも病害虫が出たらそれをよく観察して、具体的に防除しましょう。
具体的な防除でも、化学農薬をできるだけ使わない方法でやりましょう」てな感じでしょうか。

昨今では、慣行栽培の施設園芸で天敵農薬の利用が一般的になり、
IPMについて、理論は明確でなくとも「なんとなくこういうもの」という
知識を持っている人が増えてきています。

しかしほとんどの農家は高齢化も相まって「IPM?なんじゃそりゃ」って感じ。
農薬多投の農業からの脱却は、まだまだ難しいようですね。ふう。

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春先にソルゴーや麦などが畑の周りにあると、そこでムギクビレアブラムシが発生します。
このアブラムシはナスやいちごなどには害を及ぼさないアブラムシ。
これを食べにヒメテントウやアブラバチ類が飛来し、そこで増殖します。
天敵類が増えたところで本作物であるナスにモモアカアブラムシなどが発生。麦で増えた天敵が、
ナスなどについたアブラムシを食べてくれるというしくみ。「バンカープランツ」と言います。



2002年のデータしかないのですが、
おそらく現在単位面積当たりの農薬使用量は日本が一位。
二位が韓国、三位たぶん中国といった状況です。
実は、極東の三国が農薬を使いまくっているのです。

日本は先進国なのに、民度が低いわけじゃないのに、なぜ農薬を使いまくるのか。
農家がまじめだからか、消費者が虫食いを許さないからか。

一枚あたりの畑が1ヘクタールとかいう広大な面積で農業を行っている欧米と、
一枚10アールとかいう中山間地農業の日本を単純に比較してはいけませんが、
そろそろ農薬漬けの農業を真剣に見直す時期が来ているように思います。

EUでは、有機リン系、カーバメイト系農薬などの
安全評価の見直しが検討されているとのこと。
アメリカでも同様の取り組みが起きつつあるとも聞きました。

安くてよく効く環境負荷の高い人間にも危険な農薬を使うのは、
知らない間に日本と発展途上国だけになってた…なんてことになりそうです。

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ほんたべ農園のきゅうりくんたち。これを出荷したら全部規格外品になりますよ。
日本の商社が海外に作付けている作物は、一律の規格を求めるために大量の農薬を使わせます。
日本の食べもののためによその国の環境を汚染しているということを、私たちは知らねばなりません。



だからと言って今日から慣行栽培から有機農業に切り替えます!なんてことは
経営上も、技術上も、かなり無茶なことではあります。

であれば、IPMの理論を導入した減農薬栽培をステップ1にして
無理なく農薬を減らして徐々に有機に近づいていく…
みたいな取り組みが、JAとかが率先してできるといいんですけどね。

まあ、それ以前に、食べる人たちの意識改革が先かもしれません。

放射能は当然NO! ついでに農薬もできるだけNO!
多少虫が食ってても、野菜がちょっと高くてもOK! 

そんな人がもっともっと増えないかなあ。
わたくし的には、上記プラス「おいしくない野菜はNO!」でございます。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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