新規就農者の野菜を食べながら話を聞いた夜

ポトフ
メインのお皿は「ポトフ」って名前でしたが、詳しく聞くと「温野菜」で、
正式名称は「温野菜のブイヨンソース、落とし卵とチーズを添えて」でした。
「どうやって説明したらいいかわかんなくて」と鈴木さん。シンプルだけどんまかった!
内容はキャベツ、人参、かぶ、山東、チンゲン菜、じゃがいもと卵、リコッタチーズ、鶏肉。



1月29日日曜日、ほんものの食べものくらぶ【日曜倶楽部】
「新規就農者の話を聞きながら野菜を食べよう」
下北沢のオーガニックカフェ・オルガン堂にて開催いたしました。

2009年に茨城県に新規就農したさちこさんの野菜を食べ、
デザートとコーヒーをいただきながら、あれこれ話を聞いたです。

野菜を料理してくださったのは、元「THE WAKO」の総料理長・鈴木康太郎さん。
いつものように野菜をうまさをいかしたお料理を作ってくださいました。

さて、わたくしの言う新規就農者とは、今まで全く基盤のなかったところに
土地や住まうところを自分で見つけて、農業を始める人のことを言います。

農水省的には「新規参入者」と呼ばれているようです。

さちこさんが参入した年には、新規参入者は全国で620人。
いつも訪問させていただいている「大作農園日誌」さん
奇遇にも2009年の参入。ってことで、わたくしの身の回りに
おふたりの2009年参入者がいらっしゃいました。

ブイヨン
チキンブイヨンが煮込まれてます。鈴木さんが自宅から持ってきたブイヨン。
鶏のだし~っ!って感じのにおいがしてました。鶏肉は某D社の北浦シャモ肉。
やっぱおいしい野菜を食べるんだから、他の食材・調味料も気を抜いてませんですよ!



ところで、以前ご紹介した「のんのんファーム」さんも2009年参入?
参入した年=農業委員会に土地を借りる申請をした年なので、
その確率が高いんじゃないでしょうか。

ってことは、620人のうちの3人を知ってるってこと?! すごいじゃん自分!
てなことは置いといて。

さちこさんの参入した地域では、世帯者(結婚してる人たち)について
一年にひと組の援助を行っています。

さちこさんは単身者だったため、この恩恵にはあずかっていませんが、
月16万円、研修半分農業半分くらいの感じでお金をもらえるこのしくみ。
新規参入者にはかなり魅力的な補助制度です。

昨今日本中の自治体・JAで、こういった制度が準備されていますが、
困るのが長続きしない人たちが時々いること。

何年か前、新規就農者を積極的に受け入れている方々に
「だいたいさあ、一人で農業始めると朝起きてこないのよね」
「草取らないし。なんかだんだん働かなくなるのよね」
「農業って根性がいるんだよ…あまいんだよね~」といったような
「新規就農者の一部の人々の真実」をお聞きしたことがありました。

みほさん
オルガン堂シェフ、佐々木美保さんが遊びに来てお手伝いしてくださいました。
美保さん、ありがとうございます。テキパキと鈴木シェフのサポートをしてくださり、
無事にイベントの料理を次々に出すことができましたです。後ろ姿ですんません。



人間とは弱いものなのですね。

個人事業主になるということは、自立と自律が必要なのですが、
決意がないのかどうなのか、上記のような人がたくさんいて、
新規就農者の支援も大変なのだそうです。

そういったこともあり、世帯者であればその地域に定住し、
農業を継続する確率が高いということなのでしょう。

さてしかし、単身で参入したさちこさん。
農業の経験も全くなく、すべて一から始めたのでした。

どんな仕事でもそうですが、経験=力・知識になるものです。
農業とは、その経験が年に二回か一回しかないという特殊なお仕事。

「なぜ長いこと農家やってるのに毎回今年が初めてみたいなことを言うのだ」と
以前りんご農家に大変失礼な直球を投げた際、困った顔した彼に
「まだりんご7回(7年)しか作ったことないもん」と言われ、愕然としたわたくし。

サラダ
順序的に逆ですが、一品目のサラダ「さちこさんの冬野菜のサラダ」。
赤大根のピンクが美しく、ベビーリーフやパンチの効いたワサビ菜の香りが素敵でした。



都市生活をしていると、今日の経験が即明日に役立つもんです。
それが一年に一回。

今日の振り返りは一年後ってこと?

農業とは全く違う時間の流れ方をしている職業だと
そのときにつくづく思ったのでございます。

ゼロから始めたさちこさんも、3作めでようやく、
自分が必要とする野菜の量と栽培のタイミングがわかったと言います。

3作目ってことは1.5年=約2年です。うーん…です。

地域ごとに作物の生育期間は違い、できるものも違います。
毎年天候は違うし、風は吹くし台風は来るし、雨も降ります。

いろんな経験を受けとめながら、楽しみながら農業を営んでる、
さちこさんの話からは、そんな印象を受けました。

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楽しんでるんだなあ…とつくづく感じるこの一枚「ベンジャミンくん」(さちこさん撮影)
今回さちこさんにいただいた写真を店内にいろいろと展示したのですが、撮り忘れました。
っていうか、デザートも撮影し忘れました。なんか焦ってたのでしょうね~。



いつもなら知ることのできない、お皿の向こう側にある畑の話、
作る人の話を聞けば、そのお料理がもっとおいしく身近に感じられるはず。
それぞれの野菜の物語、畑のようす、作り手の人柄を知り、
同じ時間を共有すれば、きっと何かが皆の心に残るだろう。

そんな風に思って始めた日曜倶楽部。

終了後、参加してくださった皆さんにメッセージをいろいろいただき、
「ちみっとしたイベントだけどやっててよかった!」と思ったのでございます。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
雑な性格なので至らない点も多々あったと思いますが、
今後とも応援していただければ幸いでございます。

あ、ひとつだけ翌年のための連絡事項。

ヒートテックを着てサービスすると途中で頭痛が始まるので、
厳寒期でも絶対に着ないこと。


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「作ること」と「売ること」は両立できるか

新規就農者のためのイメージ
ひたすらに作物と向き合い、おいしいもの、安全なものを作る人。
そういう人がわたくし大好き。でも「上手な人」は「売ること」が不得手だったりします。
流通任せでもいいんだけど、独自の販売ができるともっといいですよね。
写真提供・市川泰仙氏



某D社で産地担当になった2000年。

当時は「有機農産物」(有機JAS施行前だからね)なら売れる時代…
でもなく、すでに「安全な野菜」の勢いはなくなりつつありました。

一時的に某D社では作付減という事態に見舞われ、
産地訪問して作付を減らす交渉をした際によく言われたのがこれ。

「何を作ればいいんだい?」
「もうこれからは作れば売れるって時代じゃないんだね」
「消費者や流通が欲しいってものを作んないと」

「作れば売れる時代ではない」とその時農家の方々は認識したのでした。

そしてわたくしは「戦略とか無く、ただ作ってたのか!」と多少の驚きをもって
この言葉を聞いたのでした。

tomato.jpg
昨年リサーチに出かけた直売所「セレサ川崎」で感動したPOPがこれ。
一般ピープルには全然わかんないトマトの品種名を紹介しています。さらに。
常連らしきお客さんが「桃太郎が欲しいの」と品種名特定で買ってったのにもびっくり。

gazou 007
もっとすごいのがこれ。じゃがいもの品種ごとにお勧めの料理名が書いてあります。
消費者は品種名なんかわかんないだろうという思い込み、ダメですね。
要は「何を伝えるか」「消費者にどうしてもらいたいか」を考え、さらには、
そのことで消費者に満足を与えることができるかどうかだと思います。



「マーケティングを行い売れ筋のものを考えてうまいこと売る」
当たり前だと思ってたことは農業の世界では当たり前ではなかったのでした。

生きていくの必要な食べものだから? 嗜好品じゃないから?
そんな風に思ったことを覚えています。

この言葉は、10年経った今でも割合とよく聞きます。
「何が売れるかわかんないから教えてほしい」

産地に行くと「あそこんちは今年ブロッコリーで儲かった」とか
「カリフラワーが良い値だったから御殿が建った」ってな
噂話をよく聞きます。

自分で取引先を持ってる人たちは関係ない話だけど、
資材屋さんや種屋さんの話で情報は入ってくるのですね。
こういう噂話は主にJAや市場出荷の慣行農家のお話です。

gazou 009
今朝のNHKニュースの話。
トウモロコシの代わりに米を食ってる鶏の卵の黄身が白いのを逆手にとり
「真珠卵」とかで売り出してる栃木県の事例が紹介されてました。なるほど!
別物として考えて販促すればよかったんだ!と自分の来し方を振り返り反省したです。



で、何が起こるか。

噂になった作物を、翌年皆が作っちゃうのです。
皆が作れば値段は下がるだろうになあと思うのですが、
どういうわけだか作っちゃうのです。

この傾向を見るたびに、儲かるためには人がやってることを
そのままやってちゃだめなんだという商売の基本が見えてきます。

でもね、でもね。JA・市場に出し続けているとたぶん、
販売戦略とか考える必要なくて、ただモノを粛々と作り出荷して
それなりの収入を得られるのだとも思えます。

「アタシは作るから売って頂戴」ってことなのかもしれませんね。
ところが最近、ちょっと状況は一変しております。

販売も栽培もできる農家。こういう人々が必要とされています。
代表的なのが「農村漁村の6次産業化」という政策です。

ぶどう畑三森さん
勝沼でぶどうを作ってる三森さん。さまざまな品種のぶどうを栽培しています。
自家製の干しぶどう、ブロックワイン工場で作った地域限定ワインなどで六次化を推進。
ぶどう畑にホルスタインを放して草を食べさせ、消費者イベントを開催するなど、
地域の資源を利用してさまざまに仕掛けを作り、地域活性を実現しています。



これは「雇用確保と所得向上のため」というお題目で、
けっこうな額の助成金が準備されています。

農水省のHPを見てみると平成23年度の事業が全部書いてありました。
知ってる農家が何軒か採択されてましたが、「やり手」といわれる人ばかり。
やっぱりなあ。

農山漁村の6次産業化
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika.html
六次産業化法に基づく認定事業計画一覧
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika/nintei/pdf/110531-03-2.pdf

限界集落、離農、高齢化、失業率の上昇、人口流出…
農村における問題は山積しています。

農村の未利用資源(バイオマス・農産物等)を発見し、
それらを活用した産業を興し、雇用を発生させ人口の流出を止め、
販路を拡大して農村に利益を還元するしくみを作る。

調理室
地方によくある補助金で立てられた立派な箱モノには、立派な調理室があったりします。
こういうのあるとイベント作りやすいし農産物加工もやりやすいんだけどなあ。
やりたい人がいる地域にはなかったり、ある地域ではやる人がいなかったり。
うまくいきませんね~。



ざっくり言うとこれが六次産業化。
縮めて「6次化」とも叫ばれてたりします(地デジカじゃないよ)。

「補助金とりあえずもらって加工場作っちゃえ!」とか
「六次化って何すんですか?」的な人もまだたくさんいますが、
これがうまく機能すれば、農村が活性化するんじゃないかと
最近思うようになりましたのです。

「作物と向き合っていいものを作る」のはとても尊くて大切なこと。

わたくしはそういう農家が大好きなのですが、何軒かに一人は
「売ること」に特化した戦略を立てられるような人が必要なのだろうと思います。

「地域全体が元気になる」ためには、
個別の農家が調子良くてもダメなのですから。

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昨今流行のマルシェですが、地方から出店しても費用対効果を考えると基本的に赤字。
結局安売り競争になるようなマルシェなんかには出すだけ無駄だけど、
意識が高い人々がよく訪れるマルシェなら出す意味ありそう。しかしそういうとこほど
出店料が一万円くらいしそうよね。100円の人参を100個売っても元が取れないぞ。



今回、六次産業化についてきちんと取材したわけではないので、
とりあえず今ネットと伝聞情報のみでこれを書いていますが、
ご興味のある方は、農水のHPにわかりにくい詳細が書いてあります。

また、具体的にアイディアがあり実現したいという方には、
以下のような事業があります。

中小企業ネットワーク強化事業
(平成24年も予算化されたかどうかは未確認)

地元の商工会議所に行って相談してみてください。
懇切丁寧な無料のコンサルが受けられます。
商工会のメンバーでなくとも相談に乗ってくれるそうです。

補助金ありきでものごとを考えるのはちょっとなあって気もしますが、
これからの農家は、どこかで意識を変えることが必要になってきそうです。


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新規就農者の寒い冬-茨城県・さちこさん

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うさぎのクイちゃん。雑草食べ要員として庭先で飼われています。
もふっとした毛皮があるので、厳寒期でも全く平気。でもししとうは嫌い。



来週末に開催するほんものの食べものくらぶのイベント
【日曜倶楽部】の打ち合わせで、茨城県のさちこさんを訪問しました。

どんだけ寒いかとヒートテックとフリース、レッグウオーマーという
完全装備で出かけましたら、昼間はおひさまのおかげであったかく、
おひさまって素晴らしいなあ!と再認識したのでございました。

しかし話し込んでしまい、夕方になってからは
しんしんと寒さが忍び寄り、こたつから一歩も出られなくなりましたです。

自宅に帰り、上記装備では暑いほどの世田谷区の暖かさをも
再認識したのでございました。

201201202.jpg
この日の作業はモミガラくん炭づくり。寒いのでなかなかできなくて2日がかり。
当たり前ですけど灰をかぶるので、顔がじゃりじゃり。鼻の中もじゃりじゃりになりますよ。
モミガラはご近所の酪農家の敷料を分けてもらっています。お返しはこのくん炭。
地域密着って感じでいいですね。



さて、さちこさんは今年4年目を迎える新規就農者。
主な売り先は野菜セットの販売と直売所になります。

野菜セットはお客様に喜んでもらえるよう少量多品目を
バランス良くセットにしています。

新規就農で有機農業を始める場合の有力な販売先「個別の宅配」。
これだけで農業を続けていける人もいるってことですから、
新規就農する場合の基本の販売先なのでございましょう。

興味深いテーマなので、また後日ブログ記事にしようと思っとります。

さちこさんの就農した地域は、有機農業が盛んな土地。
有機農業で新規参入した先輩が多く、その方々の努力や実績の甲斐もあり、
JAに有機部会も作られています。

ただ、悔しいことに、昨年の原発事故で主な販売先だった
有機農産物等の宅配会社の作付が軒並み減ってしまったそう。
さても憎い原発事故。この期におよんでまだ再稼働ってな話をしてますが、
どの顔でそんな議論してるのか、ほんとに腹立たしい思いです。

201201203.jpg
昔ながらのエコな育苗方法「踏込温床」で使用した落ち葉2年もの。これが育苗床になります。
20120120.jpg
昨年踏込温床に使った落ち葉。まだ落ち葉の形をしています。これは来年育苗床になります。


話がそれました。

本来ならばその仲間に加わって、出荷できる可能性もあったのですが、
さちこさんは現在のところ、自力の販売のみでがんばっています。

現在の畑の面積は5反。
一人でできる面積、畑作としては妥当なところですが、
今年の春から1町に増やすと聞いて、ぶっとびました。

「遠くの畑や点在してた畑を一か所に集めて
作業性を良くすることと、梅の栽培もしてみようと思って。
あ、機械は借りるんですよ~」

それにしても1町とは。

へなちょこ家庭菜園15平米の草取りすらおぼつかないオバハンとしては、
今年の夏は草取りを手伝わねばなるまい!と決意を固めたのでした。

2012012010.jpg
地元で開催される朝市にも出店しています。Kトラがお店。
女の子っぽくていいですね。夏にはパラソルなんかさして販売します。

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直売所で売ってるさちこさんの野菜を見ていたら、1町歩の畑の地主さんに遭遇。
ネギをいただきましたです。ありがとうございます。直売所は価格下げ競争になりがちですが、
貯蔵しておいて、その野菜が無くなるころに並べてみると高くても売れるとか。
かぼちゃやさつまいもはそういう売り方をしているそうです。現代農業には内緒。

201201209.jpg
さちこさんの野菜セット。送料込で2,100円です。
女性らしい気遣いにあふれた「いろんなものがあれこれ」という内容になってます。



茨城県の冬の外気温は、朝方は-10度にもなることがあるため、
基本的には温度管理をしながら野菜を栽培しないと
野菜が霜げてしまって売り物にならなくなります。

-10度。

一度知床に行って鹿猟の見学をしたときの温度が
ちょうど-10度でした。顔が凍りそうになり手がかじかむ。
-10度ってそういう温度でした。

毎朝その温度にさらされる野菜たち、
どんな風に育ってるのかと思っておりましたら、
被覆資材でけっこう元気よく畑にいらっしゃったです。

201201204.jpg
この時期になると白菜の外葉は黄色く枯れ込んで、2~3枚はがさないと売れません。
しかしこのミニ白菜。謎の被覆方法で青々とした緑が確保できています。
コツは放射冷却を起こさないようにすること。さてどのような方法でございましょう。

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それがこれ。不織布のトンネルの上に遮光ネットをかけています。
常時曇っている状態にすることで放射冷却が起きないとか。すごいですね~。



霜害を受けずに野菜を生かしておく方法。
それらは先輩に教わりました。
その地域ならではの技があるのですねえ。

あったかい世田谷区とは全く違う露地の条件に驚き、
その地域に行かないといろいろわからないことがあるのだと実感しました。

さて。「さちこさんの野菜を食べる会」は
おかげさまで満員御礼となりましたのです。
みなさん、ありがとうございます。

粛々と農作業をしながらあれこれ楽しんでる様子の写真もお借りして、
準備は万端。あとはメニューを決めるだけ。

R0014674.jpg
さちこさんの愛猫「カイくん」の肉球。子猫のときから知ってますが、
ハンサムでかわいいんだけど落ち着きがなく、寝てるときしか写真が撮れません。
この写真とうさぎのクイちゃん、朝市、野菜セットの写真はさちこさんのご提供です。



メニューは鈴木さんにおまかせして、わたくしは
安くておいしいワインの選定に入らねば、です。

…最近酒辞めてたのに。また飲んでしまうなあ。

さちこさんのブログはこちら↓
野良綴り


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昨今のお野菜が高い理由を農家に聞いてみた

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ほんたべ農園産「日本ほうれん草の塩麹ナムル」。うまいっす。
冬のほうれん草ほど幸せを感じる野菜はありませんね~。いや、ほんと。



ほんたべ農園で野菜を自給しているわたくし。

足りない野菜は固定価格の大地を守る会の宅配で購入しているため、
12月から野菜が高騰してるってことに気づきませんでした。

そう言えば年末、自然食品店卸の野菜スタッフが
「小松菜が足りない~」と騒いでいたのは聞いていましたが、
小松菜が年末に足りなくなるのは関東では毎年のこと。

年末に小松菜の相場が上がるのは「お雑煮商材」だからなので
それほど気にしておりませんでした(れんこんとか切り三つ葉も同じよね)。

ここのところ、ニュースは腹立つ報道ばっかなのでほとんど見ておらず、
先日ようやく新聞に「野菜高騰」の記事が出るに及んで
「あっ!野菜が高くなってる!」と気づいた次第です。…遅いって。

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1月14日の収穫。大根、ほうれんそう、40cmの小松菜。
これらの種をまいたのは10月8日。11月5日から間引き菜が収穫開始でした。
あったかかったのでバンバン生育し、あっという間に収穫適期。そして30cmに。
「止めて~」とお願いしても野菜の生育は止まりません。農家は大変だったと思います。



新聞には「野菜高騰の理由=急に寒波がやってきたから」と
書いてありました。まあ確かにそうなんだけど。ちょっと補足いたします。

元をただせばこの高騰、9月22日に来たでかい台風15号被害、
そこからスタートしております。

9月22日、日本をほぼ縦断し大雨を降らせた15号で、
8月末から9月上旬に種まき・定植した野菜類が被害を受けました。

この時期の定植・種まきは、主に秋冬産地が10月中旬から出荷する野菜。
秋冬産地とは関東の平地と静岡・愛知あたりのことです。

冬場は菜っ葉・ネギ・大根・白菜などは主に関東平野・房総半島から
レタス・キャベツ・ブロッコリーなどは、三浦半島・静岡・渥美半島が
主産地になります。寒くなるので暖かいところで作るのですね。

ninzin.jpg
10月6日、本庄市の瀬山さんの畑。人参畑が1週間ほど冠水し、
欠株が出ています。人参も変形したものばかりで、まき直しを余儀なくされました。
千葉も同じだと思うから、春先の人参が不足するんじゃないのかな~と予測しています。



台風15号ではにんじんが流されたり、定植後の苗が回されたりで、
どの産地にも大きな被害が出ていました。
間に合うものは定植し直したり、まきなおしたりしたはずです。

これではどこかで足りなくなるだろうなあと思っていたわたくし。
ほんたべ農園の遅い種まきが間に合うといいなと思っておりました。

ところでこの秋、アホほどあったかかったですよね。

出荷の穴があくどころか、どこも野菜の生育が止まらず、
12月に出荷予定だったものが全部前倒しで出荷されたのでした。

供給過剰だった10月末から11月の野菜はかなり安かったはずです。

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同じく10月6日の瀬山さんの定植したばっかだったブロッコリーの苗。
これはもう大きくなれなかったと思います。ブロッコリーやキャベツは初期生育が大切。
根が傷んじゃうといじけたものしかできなくなりますから、うなったんじゃないかなあ。



渥美半島の農家に聞くと、11月には2週間ほど前進してたとのこと。
この時点で「1月にいろいろと足りなくなるだろな~」と思ってたそうです。

野菜を扱ってたらそういう予想は割と簡単にできるものですが、
その時点ではできることは何もない…ってのが野菜農家の悲しいところ。

予想通り、12月に寒波がきて、雨がほとんど降らなくなって、
後に続くはずの野菜の生育が鈍くなり、出荷が少なくなってきて、
需要と供給バランスが取れないから、野菜が高くなった。

それが現在の状況なのでした。

価格的にはスーパーではキャベツが300円前後。
ほうれん草などの菜っ葉類が200円というお値段だそうですが、
そんなに高くないよなあと思うのはわたくしだけでしょうか。

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ほんたべ農園のスナックえんどう。11月5日種まき。
えんどう類はちびっちゃいこの大きさで越冬するので、時期を間違えると大変です。

gazou 010
で、時期を間違えたお隣の区画のキヌサヤエンドウ。10月中旬に種まきしたら、
あったかくて適度に雨が降ってたので、フツーに生育して実もつけちゃいました。
春先には枯れちゃうでしょう。種袋の裏には10月中旬~適期と書いてありましたから、
指示通りにまいたと言えばそうなのですが…お気の毒です。



渥美半島の市場ではキャベツ8入り1ケース1,800円、
ブロッコリーは15入りで4,000円という価格がついてたそうで
今市場出荷してる人は儲かってるなあ!と思ったりします。

でもまあ、野菜がないからこそ高くなってるってことなので、
この時期に当てて作ってて、儲かってる人なんてそんなにいないもの。
今高くても、市場の野菜価格は11月に暴落していますから、
収支はトントン…どころかマイナスかもしれません。

野菜って高い時だけニュースになる妙な食べもの。

例えば、渥美半島で慣行栽培のキャベツを作っていたら、
再生産可能な農家の売り値は1個150円と言われます。

これにスーパーの粗利30%が乗ると、売り値は220円位。
これは、フツーに農薬を使ったキャベツを翌年も無理なく栽培できる、
農家の側から考えた場合の理想の販売価格。

gazou 014
10月25日まきのコリアンダー。もう1カ月も全く大きくなってません。
でも、去年みたいに2月にぽかぽか陽気が来ないことだけを祈っています。
2011年は1月に生育を休んでた野菜がぐわっと大きくなり、3月分がまた前進して、
4月の端境がうまくつながらず野菜高騰…てな感じでした。2月はフツーに寒いままでいて。



高い? 安い? 
わたくしは野菜の売価は安すぎると考えてます。

サラリーマンの給与や立ち食いそばの価格は、
30年前から考えると3倍、うんにゃ、5倍位にはなってるはずなのに、
野菜価格ってそんなに変わってません。

「お野菜が高いと困るのよね~」とおっしゃる人々に聞いてみたい。
そのあたり、どうなんでしょう。安けりゃいいんでしょうか。

有機農産物のような付加価値商品でも、再生産可能価格ぎりぎり。

露地の慣行栽培なんかは厳しいの一言なんじゃないのかなあ。
4月の端境期にまた野菜が高騰し、ニュースになるんだろうなあ…と
ため息をついているわたくしです。


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39歳以下の新規就農者1万5千人(平成21年)という数字

gazou 003
2010年。茨城県で就農したさちこさんちで草取りした夏の日。
空はあくまでも青く炎天下の畑は死ぬほど暑く、半分熱中症で少しアホになったわたくし。
除草剤を使わないってどういうことか、たった一日でしたが実感しましたです。



「2010年農業センサス」出てますね。農水のHPで見られます。

しかしまだ生データのみ。
さらにお役所的な文言が多くて、何がなんだかよくわかんない。

グラフにしてくれればいいのにな~と横着なことを考えているわたくし。
なぜかっていうと、新規就農者の詳細が知りたいから。
そしたら平成22年に調査された以下のデータを見つけました。

農林水産統計「平成21年新規就農者調査結果の概要」
すごいなあ、農水省。データ天国、農水省。
でももっと探しやすい閲覧方法考えて~。

さてこの調査結果。平成21年だけ見ると
前年と比較して新規就農者が11.4%増えてます。

おお!すごいぞ!と思ったら、その前見るともっと多いの。

gazou 002
一から畑を探して就農したさちこさんは「新規参入者」に分類されます。過去記事
すでにある基盤に入る農業後継者と違い、リスクも高く根性とやる気が必要な新規参入。
経営が黒字になるまではけっこう大変と言われています。だから貯蓄が必要なのです。



わたくしの薄れつつある記憶をたどると、
農業がブームだと言われ出したのは2006年頃からでした。
「半農半X」とか、ずいぶん話題になってました。

2006年のデータを見ると、確かに就農者の数が多いです。

でも2007年微減(あれれ?)。2008年はさらに減(あれれれれ~!)。
で、2009年に盛り返したって感じです。
ここで具体的に増えてるのは農業後継者。
実は60才以上の定年退職後継者的新規就農者が多いのでした。

あっ、そうか。そういう人たちも新規就農者なんだ!
新規就農者=若いとか、勝手な思い込みをしてはいけないね。

さてこの調査の新規就農者数にはいくつか種類があります。

gazou 039
株式会社雲地ファミリー農園で雇用されて農業に参入した桜井さんは、
②にあたる新規就農者になります。血縁ではない農業後継者という新しい形。
3年目になる今年、その新しい形から何が生まれてるのでしょう。過去記事



①親の後を継いだ=新規自営農業就農者 → 57,400人
②農業法人等に雇用された=新規雇用就農者 → 7,570人
③土地も家も探して一から新しく農業を始めた=新規参入者 → 1,850人
合計66,820人。このうちの39歳以下の人々は15,030人。
(15,030人のうち、新規参入者だけ見ると620人)

15,000人がどれぐらいの人数かと言うと、
横浜アリーナが16,000席ってことなので、そこに入るぐらい。
これは多いのか、少ないのか。うーん、微妙なところです。

さあ、日本の農業を衰退させないためには、
①~③のどの就農者を主に増やしていけばいいでしょう。

現在、国の政策としては、農業従事者を農業法人化し、
農村における雇用を増やそうとしています。
今話題の農業の六次産業化などはこの一環です。

s.gazou 192
岡崎市で新規就農したのんのんファームのまいさん。新規参入です。過去記事
ブログでは、少しずついろんな経験を積み上げ、試行錯誤している様子がつづられてます。
今年もがんばってね! のんのんファーム作業日誌



さらに農地法を改正し、企業の農業参入をしやすくしました。
大手スーパーが自社農場を持てるようになったのも農地法改正後。
大手企業が農村に入ってくれば雇用も増え、耕作放棄地も減ります。

そして雇用が発生すれば②の就農者が増えます。
最初は雇用者でも独立して③になる可能性があります。
ということで、方向性としては正しいのだろうと思います。

大変わかりにくい農業センサスの生データを見ると、
法人化された農家の耕作地が増えていることがわかります。
また、血縁の後継者がいない農家戸数が増えているにも関わらず、
「農業後継者がいる」という農家も非常に増えています。

おお、いいんじゃない? 

でも、農家戸数は減り続け、耕作放棄地は増え続ける。
中山間地域が疲弊し、限界集落も次々に生まれているこの状況。

なぜなんでしょう。

gazou 1054
安曇野にりんご農家として新規参入した廣瀬さん。過去記事
その驚くべき商品企画力によるりんご酢やシードルなどの加工品の数々はスゴイの一言。
個人事業主でもある農業は、自分の力を試せるぶん能力を思い知らされる職業でもあります。



ここ数年、産地に行くと荒れ地がすごく目立ちます。
産地周りをしていた2000年頃に比べて、耕作放棄地が
目に見えて増えてきています。

畑が足りなくて困ってるって産地もありますが、それはほんの一部。
そして、ものすごく元気いっぱいの農家とそうじゃない農家がいます。

某D社勤務時、農家に言われた一言が思い出されます。

「大地を守る会に出荷してる農家だけ調子良くてもダメなの。
農家は地域の一部。だから農村全体が元気良くならなくちゃ」

このテーマ。あまりにもでかすぎて、取り組むことすらできないわたくし。

とりあえず今月の「ほんたべくらぶ・日曜倶楽部」で、
「新規就農者の話を聞きながらその野菜を食べる会」を企画しました。
粛々と自分にできることをするのみ。今年一発目はこのイベントです。

ほんものの食べものくらぶ【日曜倶楽部】
「新規就農者さちこさんの野菜を食べながらお話を聞こう」

鈴木康太郎シェフにさちこさんの野菜でコースを組んでいただきます。

■日時・1月29日(日) 17:30頃開始
■場所・下北沢・オルガン堂。
※詳細はメールフォームからお問い合わせください。


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お正月。日本の食文化について考えてみた

zouni 008
夫が「作って~」と言うので見よう見まねで作った東京風お雑煮。
おいしいけど違和感のカタマリ。なぜならわたくしは鳥取市生まれだから。



昨年はほんたべ日記にご訪問いただき、ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、2012年。東京に引っ越して20数年が経ち、
とうとう生まれ故郷の鳥取よりも滞在年数が長くなってしまいました。

体内の細胞はすっかり東日本産の食材で構成され(脳細胞除く)、
何の不便もなく日々フツーにのほほんと暮らしております。
しかし特別な日、とくにハレの日(=お正月)には必ず、
自分がこの土地の生まれでないことを再認識させられます。

思い起こせば20数年前、
越してきてすぐに食べたうどんの汁が真っ黒なのに驚愕し、
さらには、全ての煮ものとうどんやそばのつゆが
かつおぶしと醤油の味で構成されているのに辟易し、東京とは
醤油味しか理解できない人々の住まう土地と信じるに至りました。

gazou 019
これがわたくしの生まれ故郷のお雑煮。どっからどう見てもぜんざいだと人は言います。
ほんとは餅は丸餅。そしてゆでてあります。日本における丸餅・角餅の東西の分岐点は
大井川あたりにあるって噂だけどほんとかしら?



とはいっても日本の首都ですから、おいしいものはたくさんあります。
そこのところは享受させていただき(うどん関係は避けて通ればOK)、
20数年暮らしてきたわけでございます。

が。

お正月、ハレの料理は避けて通るわけにはいきませんです。
お雑煮。餅の形。味付け。正月が来るたび、自分の根っこは
この土地にはないと再認識するのでございます。

体細胞は全部入れ替わっているにもかかわらず、
生まれ故郷の味に執着するこの習性はどこから来るのでしょう。

やっぱり脳細胞が変わってないからかしらん?
海馬にバッチリ刷り込まれているその情報は、
一生わたくしの食べものの嗜好を左右するのかしらん?

gazou 009
お正月と言えば鳥取出身ならばブリ食べなくちゃ!ってことで、ブリ大根。
ほんとはお刺身をてんこ盛りで食べたいところだけど、なんか高くて。
今年はブリが豊漁だって聞いてたのにがっかり。



生まれ故郷ははるか遠く、記憶も薄れがちですが、
わたくしの脳細胞に残っている刷り込み情報を思うと
自分が根無し草ではないような気がして少しうれしかったりします。

日本における地域ごとの食文化はバリエーションが非常に豊富で、
知れば知るほど驚くことが多いもの。

その地域でその食べものが発展した理由を知ると、
食文化とは土地に根付いたものなのだと実感できます。

例えばそば。

各地域に名物そばがありおいしさを競っていますが、
そもそもはその土地で米が採れなくて、栽培できる穀物が
そばしかなかった等の少し悲しい理由があるものです。

gazou 029
お正月。実家では物心ついてからずっと仕出し料理を祖父の家で食べてたので
おせちって言われてもピンとこないわたくし。なのでただのごちそうを作っちゃう。
唯一作る煮しめは、自分で作り始めてからおいしいと思うようになりました。



小麦粉を使った名物料理がある山間地などでは
人々が食べられるほど米がなかった、あるいは栽培できなかった
そんな理由が必ずあることに気づきます。

そのうち、食べものや食文化で、その土地の農業の歴史が
ある程度想像できるようになります。

日本が豊かになったのは、ここ数十年のこと。

白いごはんをおなかいっぱい食べることが夢だったという人が
農業ではまだまだ現役で活躍している国、日本。

食文化の豊かさを思う際に、なぜそうなったかを考えると
きっと(少し悲しい)新しい発見があります。

kissyu 007
キノコのキッシュ。キッシュは焼いとけばいつでも食べられるし、酒の肴にもなるし
豪華に見えるわりに作るの簡単だし、お土産にもできるしってので、
「日本のお正月っぽさゼロ」ってことを除けばお勧め料理です。ケークサレもいいかもね。



ハレの日、久しぶりに鳥取東部地域のお雑煮を作り、
食文化について考えてたら、ハレっぽくない記事になりました。

TPPやら原発やら、農業を脅かすものが相変わらず存在している2012年。
自分にできることを粛々とやろうと思った次第です。

皆さま今年もよろしくお願いいたします。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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