水より安い牛乳の話

つつかれるカメラマン
「あんた誰?何してんの?」牛は大変好奇心旺盛な動物なので、
人が来ると見物に来て鼻をおしつけ鼻水をつけてくれます。よく考えてみると乳牛ってのは
集団生活してる若い娘みたいなもんなんですね~。「なになになに?なんなのよう~?」
そんなかしましい声が聞こえてきそう。私の前にも皆で集まってきましたです。



幼いころから牛乳が苦手です。
学校給食が、本当に本当に苦痛でしょうがありませんでした。

で、編み出したのが、「いただきま~す!」の後、
とにかく牛乳だけ一気飲みするという方法。
このおかげで、9年間の学校給食期間中「牛乳飲めない子」という
レッテルを貼られるのはなんとか回避することに成功しました。

もちろん自宅でも全く飲まず、風呂上がりの一気飲みなども全くせず、
牛乳をほとんど飲まずに大きくなったです。

生クリームもバターもチーズも好きなのに、牛乳だけ苦手。
理由は長い間不明でした。

しかし某D社に入社し、低温殺菌牛乳を初めて飲んだとき
「おいし~い!」と思い、飲めなかった理由がわかりました。

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一般的な牛乳。超高温瞬間殺菌(UHT)という方法で殺菌されています。
UHTでは80~85℃5~6分の予備加熱後、120~130℃で2秒間殺菌します。
このような高温をかけるため、そもそもの牛乳の味が変わってしまうのですね。

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こちらは一般的に入手しやすいタカナシの低温殺菌牛乳。63℃~65℃で30分間加熱し、
有害な菌のみを殺菌する低温殺菌法は、そもそもはワインの殺菌法でした。
これはLTLT(低温長時間殺菌法)と呼ばれます。付加価値商品なので高いですね。



まず牛乳パックの紙のにおい、そして牛乳のにおいが嫌。
舌にからみつくような、あのにおい。
実は低温殺菌牛乳にはそのにおいはありません。
牛乳独特のあのにおいは、超高温殺菌中につく焦げ臭と言われています。

日本では、牛乳をわざわざまずくして飲んでるのでした。

さて、お子様がいらっしゃる方ならご存知だと思いますが、
動物の乳というのは、母体の血液が原材料です。
血液が乳房に集まり、子どもに飲ませる栄養豊富な飲みものに変化します。

なので、母乳育児中は、肉や刺激物を控え野菜とごはんという
日本の伝統的な食生活を送るのが理想的といわれます。

当然ですが、牛乳のもとも牛の血。
いいもの食べてる牛の乳は、やっぱりおいしいってことなのですね。

ホル
岡山県で放牧している農場のホルスタインの皆さま。搾乳時間が来たので、
搾乳施設に向かっています。日がな一日牧場のあちこちで好き勝手に過ごし、
搾乳時間にもらえるおやつを食べに戻ってくるのです。ホルはでかいのでビビリます。



では牛にとっていいものって何でしょう。

牛は反芻動物なのですから、当然「草」。牧草です。しかしですね。
現在の日本の酪農では穀物飼料を食べてる牛がほとんどです。

通常、穀物:粗飼料の割合は、4:6。飼料の4割が穀物。
穀物を食べてるホルスタイン種は、年間8000~10000リットルの乳を出します。
穀物は、牛の乳の量を増やし、乳脂肪率を高くしてくれるのです。

では、穀物飼料を食べないホルスタイン種の乳の量はどれぐらいになるか。

これがびっくしするほど減るのですね。年間3000リットル位。
半分から1/3になるわけで、非常に効率が悪いのです。
同じだけの売り上げをあげようとおもったら、牛の量を倍にしないといけません。

一頭の乳牛を飼うのに適正な草地の面積は1ヘクタールと言われています。
せまい日本。大量の牛を飼う、そんな土地がどこにあるのだ。

ジャージー
小柄で乳量が少ないけど乳脂肪分は多いジャージー牛ちゃんたちは、
そもそもは狭い土地で酪農をするのに向いているからということで導入されました。でも
乳量が少ないので、結局付加価値商品に。日本最大のジャージー牧場は蒜山にあります。
飼料の率を聞いたら、やっぱり穀物4に粗飼料6でした。乳量は6000リットル位だったかな。



現在の日本型の酪農は、狭い国土で最大の乳量を上げるために
開発された独特の方法。戦後米国から輸入した安価な穀物を餌にし、
効率化を図った結果です。

これが、水より安い牛乳を作るための方法なのでした。
さあ、その乳牛はどのように育てられているのでしょうか。

牛乳のCMを見ていると、広大な牧場で牛が草を食んでる風景が
よく出てきますが、牛は基本的に放牧されることはありません。
牛舎に入って(時折はつながれて)、配合飼料や草を食べてます。

で、時折「運動場」に出してもらい、運動場で草を食べるのです。

北海道にある広大な草地は、牧場ではなく牧草を取るための土地。
牛が放牧されてるイメージは、メディアに植えつけられたもの。
フツーの乳牛は牛舎と運動場を行ったり来たりしているのです。

では、乳牛のライフサイクルを見てみましょう。

放牧
山地酪農を実践している岡山県の牧場のブラウンスイス種。乳肉兼用牛です。
山間地に向いた足腰の強い牛ということで、島根県の木次乳業さんが16頭輸入したのが最初。
昭和の時代ですから1ドル360円とかでしょう。ものすごく高かったんじゃないかな。
日本にいるブラウンスイス種は木次乳業から派生したものらしいです。



乳牛はだいたい生まれて2年で、最初の妊娠をします。
妊娠期間は約9か月。出産後の初乳は大切なものなので子牛が飲みます。
子牛はその後人工乳を飲み、オスなら肉牛、メスなら乳牛になります。

搾乳期間は10カ月程度。途中で種付けされますが乳は出続けます。
搾乳期間が終わると、出産まで2カ月ほどお休みして、
再び出産→搾乳というサイクルを繰り返します。

一般的なホルスタインでは、だいたい4産程度で更新と言われます。
長生きさせると乳の量が落ちるので、効率が悪くなりますからね。
乳牛の寿命は5~6年。
その後は廃牛になり、肉になったりペットフードになったりします。

この事実は一般ピープルに知られることはなく、ほとんどの人が
売ってる牛乳は北海道の広大な牧場で育った牛の乳だと思っています。
「んなわけないじゃん」なんてことも、脳裏をよぎることはありません。

年間20000リットル以上も出す乳量の多い牛がいますが
「スーパーカウ」と呼ばれ、素晴らしいと褒めそやされます。
人間にとってはいいことでしょうが、牛にとってはどうなのかな。

ブラウンスイス
子牛の期間は育成牛として大人の牛とは分けて育てられます。
母牛の乳は1週間ほど飲めますが、その後は人工乳。引き離されると子牛も母牛も、
少しの間悲しげに啼くそうです。私たちは子牛の取り分をいただいているのです。



乳房が大きくなりすぎて、乳首を自分でふんづけてケガしたり、
そもそもが反芻動物なのに、穀物食ってるから病気になっちゃったり
そんな牛がたくさんいることも誰も知りません。

ただ、スーパーに並んでる198円の牛乳を何も知らずに買い、
高くなると「牛乳が高いのは困るのよね」とか思うだけ。

日本でアニマルウエルフェアが定着しないのは、
消費者の無知も責任あると思いますが、畜産・酪農業界から
こういう情報が全く流れないことが理由なんじゃないかと
常日頃思っているわたくしです。

そんななか、日本の酪農に一石を投じている人たちがいます。

中山間地でも可能な日本型の酪農。
それは「山地酪農(やまちらくのう)」と言われ、日本に数ヵ所
実践している牧場があります。大変理にかなっている酪農方法です。

あっ、でももう2000字超えちゃった。

山地酪農については、また次回にでも書くことにいたしましょう。
牛乳の殺菌方法についても、ちょっと言いたいことがございます。


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日本から化学肥料がなくなる日

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昨今の野菜高騰と野菜不足で、注目をあびつつある水耕栽培(野菜工場)。
安定供給はできるけど今んとこ価格が高く過ぎて一般的ではありません。何十年か後、
技術と価格が安定したころに化学肥料がなくなるってな悲しい話になりそうです。



時折「悪」と呼ばれ、一部の人に嫌われている化学肥料。
パラパラと根元においときゃビシッと効いて、収量が増える化学肥料。
たくさんやると虫を呼び、病気にかかっちゃう化学肥料。

むか~しこれは「金肥」と呼ばれていました。
「金」の意味は、金・銀の金ではなく、お金の「金」です。

化学肥料が主流になるまでの日本の肥料材料は、
主に人糞、その他畜糞や植物残さなどで、全て自給自足でした。
お金を払って買う肥料なんて、ものすご~く特別なものだったのです。

70歳くらいの農家のおっちゃんに昔話を聞くと、必ず出てくる肥料の話。

米づくりに使ってた肥料はイワシの干物(稲の間に一本ずつ刺してったとか)、
戦後に肥料の配給があったけど、一反で1kgのチッソ肥料だったから、
全然収量が上がらなかったとか。とりあえずいつもおなかがすいてたとか。

白い飯を腹いっぱい食べるのが夢だったという話は必ず聞きます。

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ワラや雨水などの天然供給量で5俵は採れるといいますが、昔はもう少し少なかったのでしょう。
昔話を聞くと「稲妻」の意味がよくわかりますよ。稲光は空気中のチッソを固定するため、
光ったところの下にある田んぼでは稲の生育がよくなります。見てわかるほどだそうです。
だから稲の妻なのですね。それほどにチッソ分が欲しかった、稲作農家の思いがしのばれます。



上記の肥料では収量は相当良くなかったでしょうし、
その少ない米を、食管法で全て国に供出してたのですから、
(米が作れない地域では芋を出してたらしい)
米農家はほとんど米を食べることができなかったのですね。

しかし、そんなある日、化学肥料という夢の肥料が日本にやってきました。

使ってみると爆発的に収量が上がり、びっくりするほど米が採れました。
化学肥料を使い始めた当初は、病害虫はほとんど出ず、
収量が上がるばかりでいいことづくめでした。

しかし3年ばかり経ったころ、イモチ病が出始めました。
チッソが多かったのでしょう。今なら私でもその理由はわかりますが、
当時はどういうことかわからなかったため、農薬で対応しました。

で、その後は知恵がつき、いろいろ研究もされてるはずなのに
農業自体にはそれほどの変化なく、現在に至っているわけです。

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とっても便利な化学肥料。でも資源は底をつきつつあります。
日本の土壌には、土と結びついていて使えないリン酸が大量にあるといわれています。
このリン酸は、微生物が食べて排出すれば吸える状態になります。
リン酸入れまくり状態から、貯金を使う体質に持っていかないといけないってことです。



以上が華々しい化学肥料の歴史。

最近では化学肥料の使用量は減ってきているようですが、
それは単に農地が減ってるからってことで、有機農家が
増えてるからってわけじゃないのが悲しいところ。

今でも肥料と言えば、農家にとっては基本的に化学肥料なのでした。

さて、平成20年ごろ、原油価格の高騰に合わせ、農業資材が値上がりして
大騒ぎになってたことがありました(農業関係者のみですが)。

重油代がかさむので、ハウス栽培の慣行のトマト農家が設定温度を低くし、
極力ボイラーを焚かなくてすむようにしてるって話を聞いて、
そりゃあ相当大変なのだろうと想像したことを覚えています。
(もちろんCO2削減が目的じゃなくて、あくまでも経費削減)

同時に化学肥料の原料が高騰し始めていました。

グリーンマーク
リン酸は果実をならせる肥料なので、果菜類や果樹農家では必須の肥料です。
有機質肥料ではバットグアノなんかがよく使われます。
配合肥料には絶対に入ってて欲しいリン酸。でも一番早く資源がなくなるリン酸。
中国が輸出禁止にしたらもうダメなリン酸。



実は化学肥料原料は100%が輸入。
日本は主に、中国・マレーシア・カナダなどから、
リン鉱石・尿素・塩化カリを輸入し、化学肥料に加工しています。

自給率「0」。それが化学肥料。

これらの資源はもう底が見えており、
リン鉱石であと90年、カリであと230年と見積もられています。
石油と同じで、今後確保することが必要になります。

さて、高騰の原因はというと、需要量が増えたこと。

現在爆発的に人口が増え続け、高度成長期に入っている国、
中国・インドで、日本が過去そうであったように、
農産物・穀物・畜産物等の食料増産を行っています。

ものすごい人口を抱えるこの2国で化学肥料の需要が増していること、
バイオエタノールでの穀物生産に拍車がかかっていることなどから、
化学肥料の原料価格が高騰を始めたのでした。

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牛肉1kg作るのに必要な穀物は25kg(肉牛の写真がないので乳肉兼用牛で代用)。
新興国の人々が肉を食べ始め、飼料の穀物需要が増え、穀物は2008年ごろから高騰中。
穀物作るのには肥料が必要。さらに効率がいいので化学肥料使わなくちゃってので、
化学肥料需要が増えて高騰中。自分たちも通ってきた道なんですけどね…。



当時「そのうち有機質肥料がスタンダードになるかもね」などと
冗談混じりに話したりしていましたが、これがけっこうマジな話。

1990年代後半、米国がリン鉱石の輸出を停しました。
現在では米国からのリン鉱石の輸入は「0」。資源囲い込みです。
平成20年には中国が100%の関税をかけ、実質輸出禁止に。

さあ困った! じゃあどうする?

農水省では平成21年度予算で「施肥体系緊急転換対策」を打ち出し、
化学肥料の使用量を減らし地域資源を活用し、施肥コスト削減にむけた
新しい施肥技術体系への転換を推進しました。
下水汚泥からのリン酸の回収なども検討されています。

しかし、その後中国のリン鉱石の輸出禁止は撤回され、
現在肥料価格は安定しているようなので、とりあえずは安心。

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活用されてない粗大有機物を生のまま有機質肥料とする技術は
相当構築されてるはずなんですが、意外と知られていません。堆肥化などの手間が省け、
そのものが持っている肥効がそのまま使え、作物の味もよくなるという
非常に有効な技術だと思うんですけどね。まあ微生物資材が必要ですが。



でもね。いつかはなくなるのよね。あるいは、
ものすご~く高くなるかもしれないの。ガソリンみたいに。

化学肥料が再び「金肥」(今度は金・銀の金)になる日ももうじき。

それまでわたくしは生きてはいないけど、
有機質肥料を使った技術体系が完成してるかもしれません。
それはちょっと見てみたいと思ったりするのでした。


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農業分野でのCO2削減について考えてみた

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あるトマト農家の自家製資材「酵素液」。余った果物や野菜とお砂糖でできた
あま~いエキスです。こういうのお金もかからないし、CO2も排出しないエコな資材。
だから農業ってエコなのよ!と思われがちなのですが、いえいえ、そうではないのです。



ブロ友「おいしい果実ができるまで」さんのリクエストで
農業はエコかどうかについて考えてみることにしました。
おいしい果実ができるまで

実は某D社退社後、10カ月ほど働いたNPO法人で、
農業分野のCO2削減という事業を担当し、
数字や考え方について、ある程度の結論が出ております。

それは「大規模化農業の方が野菜一個あたりのCO2量は削減できる」です。
農業の大規模化ってのは効率がいいので当然ですね。

ちなみにCO2削減を見える化したカーボンフットプリント事業ってのがあり、
イオングループが国内初のカーボンフットプリント付野菜を販売しています。
今も継続しているかどうかは不明です(近所にイオンがないもんで)。

希望としては自然によりそう有機農業の方が
CO2排出量が少なくあって欲しかったので、すごくがっかりしたです。

具体的な数字については、わたくし算数が苦手なので、
数学ができる別の担当者が算出しました。

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関東の平地でのほうれん草露地栽培。ビニールのトンネル・マルチが必須なのは、
雑草対策と温度管理のため。こういった資材を使わず作ると、皆の出荷が一気に揃い、
無くなる時は一気に無くなるという恐しいことが起こります。いまや石油を使った
農業資材なくては、農業は営めないのです。ちなみのこのビニールの寿命は3年。



その数字のもとになったのは、以下の資料です。

「LCA手法を用いた農作物栽培の環境影響評価実施マニュアル」
(独立行政法人農業環境技術研究所,平成15年)
http://www.niaes.affrc.go.jp/project/lca/lca_m.pdf
産業連関表による二酸化炭素排出原単位
http://www.cger.nies.go.jp/publications/report/d016/co2.html

LCA手法マニュアルには自分の使用した資材・農薬・ガソリン等を書き出し
どれぐらいのCO2を排出したか、また作物でどれほど吸収したかを
計算するための手法がわかりやすく書かれています。

ご自分の農業のCO2排出量について知りたい方はぜひやってみてください。

LCAマニュアルは非常に懇切丁寧にシステム化されてますので、
データさえあれば、計算しやすいと思いますです。

霜で焼けた
春先の遅霜で焼けちゃったりんごのめしべ。これでは実がつかないため、
畑で重油を焚く人がいます。防霜ファンがあるところは電気で防霜ファンを動かします。
水をまいて凍結させる人や霜防止の資材をまく人や、人それぞれ。
昔はタイヤを焼いてた人がいたそうですから、いやはや、それはどうなのよってな世界です。
しかし、背に腹は代えられない。作物を守るのが第一なのだから。



さて農業という職業は、非常にエコな印象を与えるものですが、
基本的には全くエコじゃありません。

なぜ? 自然によりそってるんじゃないの?

うんにゃ。自然によりそってるような気がする露地栽培でも、
全くの露地なんて最近はありません。
基本的にはマルチ・トンネルなどの被覆資材を使っています。
そのほうが品質のいいものが取れるし、時期がずらせるからです。

で、それらの被覆資材は石油が原料です。

使い終わったものは回収されて各自治体で燃やされてます。
以前は塩ビの資材をそのへんで燃やす「野焼き」が行われてましたが、
2000年ごろ、ダイオキシン問題で禁止になりました。

さらにハウスのビニール資材、加温に使う重油、
トラクター・その他管理機のガソリン、化学肥料、農薬、出荷用段ボール、
畑に通うKトラの燃料などなど。CO2は出すわ環境を汚染するわ、
農業は「エコ」という視点で見ると、かなり立ち遅れているのです。

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ハウス内の温度管理でボイラーを使わずに太陽熱を利用する人もいます。
ちょっと見づらいのですが、トマトの向こうに見える黒いビニールの中には水が入っていて、
昼の間に太陽熱で温められお湯になり、夜は保温するという手作りの保温資材。
まあ、こんなめんどうなことをしてる人はまれですが、効果はあるようです。



日本では、工業製品のCO2削減は非常に順調に行われたのですが、
農業分野は置いてきぼり。ある意味アンタッチャブルなのかもしれませんね。

農業の開始とともに、森を切り開き山を崩し、農地を増やして来た人間。
安定的な食料供給により、人口はどんどん増えました。

そのうち、管理部門と単純な生産部門に分かれて効率化がはかられ、
集落は集まって国になり、ますます農地は増えました。

20世紀に入り、何度かの戦争を経たのち、農業は機械化し、
大規模になり、さらにグローバル化とかで
食べものが大量の燃料を使って飛行機で飛んでくるようになりました。

お金さえ払えば何でも手に入り、余ったら惜しげもなく捨てられ、
真冬にトマトやきゅうりが食べられる素敵な世界。それが今。

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美しいパプリカちゃんたち、実は飛行機に乗って異国から届いたもの。
国内で航空機を使った物流は目玉が飛び出るような運賃がかかりますが、
なぜか外国から来るのは安いのです。どんだけ燃料費がかかってるんだか…。



ふと気付けば温暖化とかで、わあ!大変。でもいまさら昔には戻れないし、
バナナやパイナップルは食べたいし、冬にトマトも食べたいので、
そこんとこ改善しないで原発動かしちゃえ! それがこないだまで。

でもまあ、いまや原発は止めたい人が多いわけで。

CO2排出量が多い代替エネルギーをしばらくは動かす必要があり、
CO2削減は当面、以前ほど人の口に上らなくなる気がします。

しかし、社会全体はどうでも個人で排出量を減らすことは可能です。
当時考えた、農業分野でCO2排出量を減らすためのいくつかを転載します。

1. 農薬・化学肥料の使用をできるだけ減らす
2. 近隣で入手できるものを利用して有機質肥料を作る
3. ハウス栽培の場合は、ボイラーのみの使用でなく太陽熱を利用する

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実は化学肥料の原料、リン鉱石・尿素・カリは100%輸入です。平成21年ごろ、
原料価格が高騰したため、農水省から「施肥設計の見直し」という指令が出てたらしいです。
でもそれは「高騰」が原因で、CO2削減が原因じゃなかったんですね~。なんかびっくり。



さらには、消費者が今一度自分の生活を見直すべきでしょう。
とりあえずすぐにできるのは、食べものを捨てないってことですかね。

なんて言ってたら、本日トマトが売れに売れているというニュース。
なんだかトマトには痩せる効果があるとかどうとからしいです。

今の時期のトマトは、ボイラー炊いてる促成栽培ですから、
CO2削減ってのはやはし、農業分野では
あえて「語られないこと」なのかもしれません。


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有機農産物は「安全」っていうより「安心」

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アブラムシの天敵アブラバチ。日本には同定できないアブラバチ類がたくさんいます。
これらの土着天敵を殺さずに活用しながら農業を営む。これは有機農業の考え方。
その考え方の運用方法をルール化したのが「有機JAS法」なのでした。



「有機農産物についてきちんと理解している人は5%しかいない」

昨年、大変悲しいアンケート調査結果が発表されました。
でも有機農産物の取得割合が0.19%(2010年)ってことを考えると、
それなりなのかもと思ったりします。

有機農産物は「有機JAS法」という法律でルールが定められています。
詳しくは過去ログをご参照ください。
有機JAS認証と有機農業推進法と有機農業

この「有機農産物」。実は資材・農薬が使えます。
このことで、「有機よりも無農薬の方が安全」という人がいます。

「農薬が使えるから」といったような理由みたいです。

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ほんたべ農園の野菜類は「無農薬栽培」です。これはあくまでも自己申告。
ほんたべ本人をご存じの方なら「農薬まかないだろな」と思ってもらえるでしょう。
信頼関係ってやつですね。しかしこれには客観性はないのです。



さてここでひとつ大きな疑問。
そもそも「安全」とは何であるか。何を持って「安全」と言うのか。

実は「安全」ってとても曖昧な言葉。イメージはいいけど
突っ込みどころ満載で根拠の提示が大変むずかしい、
地雷を踏むような危険な言葉なのです。

自然食品関係の流通や広報をしたことのある人間なら、
この言葉の危険性がよくわかると思います。

長い間「安全」に「危険性」をひしひしと感じてきたわたくし。
個人的には「安全な食品などあり得ない」と思っています。
「完璧な安全」は誰にも証明できない。それが食べものなのです。

では、有機農産物のメリットは何なのか。

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ロイヤルインダストリーズ社のアミノマリーン。有機でも使える資材です。
有機JASで使える資材かどうか、使用の際に農家はちゃんと確認する必要があります。
普通はしなくていいんですね。使いたいもん使えばいいんですから。
有機認証取得ってのは、手間がかかるのです。



有機JAS認証は「栽培前2年以上、JAS法で定められた資材・
農薬以外のものを使用せずに耕作された畑」について与えられます。

この資材類は、製造過程や使用した化学物質をあれこれ調査し、
「環境負荷が少ない」とか「危険性が少ない」ことを吟味されて決まっています。

中国産の忌避剤を使ったらすっごく効くので調べたら農薬入ってた!
みたいな事件が過去にありましたが、有機の場合は絶対にないわけです。

「そういうものしか使っていないですよ!」ってことが
メリットのひとつなのですね。

さて有機農産物は、作物ではなく圃場ごとに認定されています。
そこで、この狭い日本で農業を営むことの弊害が出てきます。

有機の畑のおとなりに慣行栽培の圃場があった際、どうなるか。
慣行栽培の方々は農薬をまくので、当然農薬は飛散します。
なので1mとかの緩衝地帯を設けることが定められています。

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SSで農薬散布中。吹きあがってます。飛んでます。
農薬ってのはものすごく飛ぶのです。びっくりします。狭い国土で農業するってのは
飛んでくる農薬を防ぐことなどできないってことなのです。



米国の認証団体で7.5mというのがありましたが、
7.5mも緩衝地帯があったら、日本では圃場がなくなっちゃいます。

ある流通団体が調査した農薬の飛散距離では、
果樹で使うスピードスプレイヤーで150mという結果が出てました。

動力噴霧器でも風がふいてりゃ飛びますよ。
大規模産地のブームスプレイヤーなんかもっと飛ぶでしょう。
ラジコンヘリなんか、推して知るべしって感じです。

隣接圃場が有機取ってるってことでの多少の配慮はあるでしょうが、
飛散した農薬は有機農産物にも当然かかります。
ということは、有機農産物に残留農薬の可能性もあるわけです。

そういう点では、無農薬だろうが有機だろうが、フツーの農産物と同じ。

こういったことは誰もことさらに言いません。知らない方がいい情報です。
「農薬」だけを安全の要にしていると、安全とは言えないってことなのです。

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大変わかりやすい緩衝地帯の図。1.5mほどカリフラワーが植わってます。
このカリフラワーは有機圃場で栽培してるけど、格付けは一般栽培になります。
緩衝地帯とは言っても空き地にすると収量が減るので、何か作る人もいます。
有機シールを貼らずにフツーに出荷すればOK!ってことなのですね~。



そもそも有機JAS法は、1990年代の有機ブームの際、
有機栽培といいながら、なんちゃって有機やほとんど無農薬など
イメージ先行の優良誤認があちこちで起きていたことが原因でできたもの。

言ってみれば「有機と表示して売るための決めごと」です。

有機JAS認証を取得するためには、国が定めた認定機関と検査員が
有機JAS認証を取得している農家を検査しなくてはなりません。

具体的には、圃場・倉庫の見学、帳票・伝票の検査、栽培日誌の確認
有機JASシールの確認、出荷場の確認、その他もろもろなどがあり、
お金と手間が大変かかります。そりゃ細かいです、ほんとに。

さらには、有機で使えない資材をひとつ使ってたみたいなことで
一年間、有機認証が取り消しになったりします。

しかし前述の調査を行い、法で定められた資材・農薬を使っていることが
きちんと認定されるのですから、国にお墨付きをもらうのと同じ。
自己申告の「有機・無農薬栽培」とは信頼度が全く違うのです。

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本庄市の瀬山農園さんの栽培履歴。効率のいい日誌です。
有機JAS認証を取得するためには、こういうのを毎日記録しなくてはなりません。
手間かかりますね~。深夜まで仕事してそれから日記つけるみたいなもんだもの。



ここで思い出す昔の話。

「ウチは有機・無農薬だから」と言ってる農家の倉庫を見に行ったら、
思い切り化成肥料が置いてあったり、農薬の袋を見つけたり、
畑に除草剤まいてあったり。そういう体験を何度かしたことがあります。

「都会の人間だからわかんないだろう」と思ってる人たちは確かにいます。
「農薬一回しかまいてないからほとんど無農薬」なんて言う人だっています。
悲しいことですが、そういうことは全くないとは言えません。

だって消費者は、その人の畑を見に行ったりできないですもんね。
言うだけならなんでも言えるのです。

だからこそ、第三者に認定してもらうことが大切。
有機JAS認証は栽培履歴や栽培期間中に使ったものが
すべて明らかにされている。だから安心なのです。

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有機圃場には「この圃場は有機取ってんですよ!」という看板が立ててあります。
千葉や埼玉の田園地帯を車で通ってると、時折見かけます。
認定団体名も書いてあるので、見つけたらよく見てください。



でも「安心」=「安全」ではない。

私たちが住んでいるのは、放射能が空から降ってくる国、
農薬の使用量が世界で一番の国。
その日本で何を作っても「安全」などあり得ないんじゃないかと思う
わたくしは悲観的な人間なんでしょうかしら。

ということで、「安心」を求めるのなら、有機農産物はもちろん、
栽培過程が明らかにされているもの、そういうしくみを持っている流通、
また信頼できる農家を自分で探す、これらを選択するのが、
今できる最善なことだと考えるわたくしでございます。


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「化学肥料」は「悪」か?

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栽培期間の短い葉物類は、チッソ分が初期に必要なのですが、
たくさんあるとあるだけ吸ってしまうので、虫や病気を呼んでしまいます。
で、農薬が必要になるという理屈。足りなくても生育不良で虫はやってくるんだけど。
小松菜なんかはバカっぽいから、前作の残り肥料でも大きくなる気がするけどなあ。



むか~し、有機JAS認証を取得した農家に言われたことがあります。

「化学肥料と農薬をセットにして悪いものって言っとるけどね、
理想は95%が有機で、あとの5%が化学肥料だと思うね。
そうすると、絶対にいいもの、おいしいものができるだよね」

ちょっと待って。

農薬と化学肥料ってセットで「悪」って言われてませんでしたっけ?
素朴な疑問を持ったわたくし。

その後、知識が増えるにしたがって、
その農家のおっしゃることはごもっとも!と思うに至りました。

化学肥料は適正な使い方をすれば悪にはなり得ないのです。
(有機JAS認証は取れないけどね)

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上里町の須賀さんが使っている堆肥。堆肥と言っても原料は河原の草だけ。
チッソ分はほとんどないと思うのですが、畑には長年の蓄積で微生物が多いので、
無肥料でも作物が栽培できる土ができているのでしょう。一朝一夕にはできないことですが、
こういうお話を聞くと「循環」という有機農業のすばらしさを感じます。



戦後、そしてそれに続く高度成長期。
とにかくたくさん食べものを作って
国民がおなかいっぱい食べられることを目標にしていた時代。

有機質肥料では効率が悪く、収量も低いため、
大量の化学肥料を使うことが奨励されておりました。

化学肥料を多投する→軟弱な野菜になる→虫害や病害が発生する
→大量の農薬を使って病虫害を無くす。

ざっくり言うと、これが当時の農業。近代農業とも言われていました。

その農業に疑問を持った人々が、対極のものとして位置づけ、
自分の畑で始めたのが、有機農業でございました。

当時は「農薬&化学肥料」はセットで「悪」だったのです。

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ホームセンターに行くと売ってる化学肥料。チッソ分の硫安とカリ成分の硫酸カリ。
それぞれ裏面を見ると何%含まれてるか書いてあります。これは有機質肥料でも同じです。



さて、有機質肥料のネックは、その遅効性にあります。

なにしろ、一度微生物が分解して有機質を無機質に変えないと
野菜は吸ってくれません。
パラパラとまくとすぐ効いてくれる化学肥料とは違います。

畑に微生物がたーくさんいて、CECも腐植も高く、
地温がひとんちの畑よりも2~3度位高くて有機質の分解が早く、
さらに土壌分析を毎年ちゃんとやっててバランス取れてる畑なら、
即効性云々気にしなくてもOK! 微生物がちゃんとやってくれるから。

でも皆の畑がこんなんじゃありません。

たとえば高原産地。雪が溶けてすぐ、すっごく寒い時期に
キャベツやレタスの苗を定植します。

これら巻物は初期生育でその後の大きさが決まりますので、
最初に外葉を大きくしておきたいわけです。

IMG_5498.jpg
ホームセンターで見つけた配合肥料(化学肥料)。成分を見ています。
チッソ8%、リン酸8.5%、カリ8%。NPKがバランス良く含まれていますね!
チッソ分はアンモニアの形で含まれています。この肥料を散布すると、土壌中の
硝酸化性菌が硝酸態窒素に分解し、それを作物が吸うのでございます。



ここで有機質肥料を使うと、寒くて微生物がじゅうぶんに働けず
効きが遅いので、初期の効いてほしいときに効いてくれません。
初期生育が悪く、ちっちゃいものしかできなくなっちゃいます。

また、あったかくなると分解が進み、急激に効いて虫を呼んだりします。
なので、初期のみ即効性のある化学肥料を使いたい人がいるのです。
これは北海道なんかでも同じかもしれませんね(露地の場合)。

そしてもうひとつ。

特定の要素の欠乏症が出ている場合も困ります。
必要なのはカリとか苦土だけ。「それだけ欲しい!」のに、
有機質肥料だとそれだけじゃなく他のものが入ってたりします。

「今これだけ効いてほしいの!今すぐ!」って時に使えない。
おいしいもん作りたいと思ってる人ほど、ストレスがたまるようです。
(最近は有機JASで使える単肥の資材も増えてますけど)

上記の農家は、この部分を5%の化学肥料と言ってたのでした。

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これが硫酸カリの裏面。水溶性のカリだけが50%入ってます。
カリを有機資材で賄う場合、通常草木灰等を利用しますが、灰にはカルシウムが存在します。
しかもカリ分7%くらいなのにカルシウムが20%もあったりして、
カルシウム過剰の畑には入れたくないわけです(石灰過剰の畑、すげえ多いから)。
そういう場合に単肥としての化学肥料は便利なのですね。



法律で決められた資材しか使えない有機JASってどうよ?

考え抜いておいしいもん作ろうと思ってる農家にプラスにならないなんて、
取得する人が増えないのは当然って気がしたりします。

結局この農家は10年ほどで有機JAS認証を辞めてしまいました。
心の重荷がとれたようなすがすがしい顔をされてました。
無理してまで有機JAS認証を取ることない。とってる人はスゴイけど、
ちゃんと評価されるべきだけど。されてないけど。

わたくしナイショですが、今でもそう思っております。

しかし、高度化成をバンバン入れて、病害虫が出たから農薬まく
なんて場合の化学肥料は「悪」としか言いようがありません。

そして有機質肥料の場合も、大量に投入すれば「悪」になりえるのです。

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大量の虫が発生している畑には、通常チッソ分がたんまり入っているものです。
「有機栽培だから虫が出る」のではなく、施肥設計を間違ってるから虫が発生するのです。
多少の虫害は虫の取り分。でも大量発生には理由があるもんです。



「チッソ」という肥料分は、有機も無機も最終的には硝酸態窒素になり、
作物に残り、吸収されなかったものは雨に流れて地下水を汚染します。

そこが農業の難しいところ。
そして「有機だから安全とは言えない」といわれるゆえんです。

要はほどほどということでしょうか。というか、必要分だけ入れる、
あるいはアンモニア発酵しちゃった堆肥ではなく、ボカシを作り、
チッソ分を硝酸態窒素ではなく、アミノ酸で効かせる…というのが
理想の有機農業。わたくしの目指す有機農業なのでございます。

※今回有機農業の「思想部分」については言及しておりませんです。
書くと長くなっちゃうので書きませんでした。


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知ってるようで知らない農薬の話

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5月ごろ、アブラムシが作物につき始めるとナナホシテントウは繁殖します。
エサが増えてくるまで繁殖を待ってるのですね~。慣行栽培ではアブラムシの
発生と同時に農薬散布するので、ナナホシテントウはそこでは繁殖できません。
天敵の有効利用のためには、害虫の発生時期と天敵の関係を知らねばならないのでした。



1月。農薬の季節。
JAではこの時期農薬の注文を取り、農家は農薬の発注をします。

とくに果樹産地では、昨年の病害虫の発生状況をもとにして
今年度の傾向を予測し、昨年の病害虫の残りもたたきつぶせるような
「今年一年これまいときゃOK!」ってな防除暦が作成されます。

これは畑作も同じですが、農薬名までは公表されていないので、
一般ピープルが防除暦を実際に目にすることはありません。

県のHPには農薬回数及び化学肥料(窒素分)の量が
作物ごとに記載されております。
「特別栽培農産物の基準」とか「指針」とかで検索すると出てきます。

回数見るだけでもぶっ飛ぶので、一度見てみるのがお勧めです。

レタス
基本的に農薬がたくさん使ってあると思って間違いない作物・レタス(↑これは無農薬)。
一度とあるスーパーでレタスのPOPに「減農薬栽培!」と大きく書いてありましたのです。
そこには丁寧に「トップジンM」と農薬名が書いてありました。トップジンMは殺菌剤ですが、
残留しやすく催奇形性や発がん性の報告がある農薬。でも使うと農薬回数は減らせます。
農薬って回数だけでは評価しづらいのだなと、つくづく思った出来事だったです。



さて、農薬。

売ってる作物についてても見えないし、においもしないし、
どんだけ残留してるかなんてことも全くわかんない化学物質。

農薬には残留基準値ってのが細かく決められていて、
基準値以上の残留があると出荷停止になります。

2002年農薬取締法が改正されて以降は、
適用作物や希釈倍率(※)が間違ってても出荷停止になります。
※この農薬はこの作物に何倍の希釈倍率でまきなさいという
農薬の袋の裏に必ず書いてあるルール。

さらに2006年。
残留農薬基準値がないものがいくつかっていうか、かな~りあったため、
海外の基準を適用し、海外にもないものは一律0.01ppmという
ポジティブリスト制が適用されました。

ってことで、一応「安心だよね」ってことになっています。

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オルトラン水和剤の適用を見ております。何に効くか書いてありますね。
これ以外の目的で使用してはいけません。希釈倍率は内部の説明書に書いてあります。
有機リン系なので何にでも効きます。天敵ももれなく殺します。残留もしやすいので、
栽培期間の短い菜っ葉なんかにはまいてて欲しくないよなあってな農薬です。



そういえば。勘違いされてる方がいらっしゃるかもしれませんが、
売ってる野菜は残留農薬が「ゼロ」ではありません。
なぜならば、残留基準値以内なら販売してOKだと
法律で決まっているからです。

放射能の検査で最近しょっちゅう聞く「検出限界値」は
農薬を検査する場合にもある数字。
NDは農薬の残留に対してもしばしば見かける言葉です。

「NDでも安全じゃない」と言ってる人がいましたが、
農薬も同じなんだけどなあ。まあ、いっか。

さて、残留基準値は作物ごと、農薬ごとに定められています。

たとえば、りんごや桃などによく使われる農薬「ダーズバン」の基準値は
りんご1ppm、和梨0.5ppm、トマト0.5ppmとかで妥当な感じですが、
アスパラガスだと5ppm、小松菜やチンゲンで1ppmと
「えっ!菜っ葉なのにりんごとおんなじ?」的な素朴な驚きを感じます。

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作物の根元にパラパラとまくと作物が吸収し、作物をかじった害虫が死んでくれる
便利な農薬「粒剤」。上記の水和剤は水に溶かしてまくタイプ。これは土に混ぜるタイプ。
キャベツやブロッコリー、メロンとかの定植時に株元におくと、初期の虫害が防げます。
収穫時には残留してないので便利といえば便利。でもどうかなあ。私はイヤ。


 
だってさ、りんごは皮むけるでしょ。

っていうかダーズバンを菜っ葉に使う人いないと思うけど、
使ってたらヤだよね。1ppm以下ならOKなんだもの。

ダーズバンの有効成分名は「クロルピリホス」(有機リン系)。
劇物指定で魚毒性C、催奇形性(先天異常)が報告されており、
変異原性もあり、ADIは0.01。土壌残留・作物残留も高く、天敵も殺します。

5・6月の果樹産地では防除暦に入ってます。

なぜか昔、中国産の有機ほうれんそうから
基準値の数倍出て某生協では回収騒ぎにもなりましたが、
アメリカでは毒性が高いので、すでに製造中止になりました。

残留基準値は、ヒトが一生かけて食べ続けることを前提に
設定されている数値。ですから基準値以下ならば、
「食べ続けても安全」と言われています。だから安全。

yotou.jpg
ヨトウムシの若齢幼虫。この大きさだと有機許容農薬のBT剤はまだ効果あり。
大きくなると死んでくれなくなります。でも食った跡があると出荷できませんから
畑には一匹もいてほしくない。BT剤なんかよりもっとよく効くのが使いたい。
それが今の農業の形なんですね。多少の虫食いと農薬とどっちを選択するかです。



うーん。ほんとかな?

日本の出荷規格は世界で一番厳しく、虫が食ってたり
姿かたちがそろってないと商品として認められません。

出荷用の野菜は換金作物ですから、きれいなのを作んなくちゃ。

結果、自家用と出荷用を分けて作る農家はたくさんいらっしゃいます。

さらに、海外で作って輸入するものにも同様の品質を求めるため、
当然ですが日本同様農薬を使って作らせることが多く、
日本はひどすぎるとある国際会議で名指しで非難されたという
研究者の話を聞いたこともあります。

世界一の農薬使用量(単位面積当たり)を誇ってることは知らず、
ぴかぴかの野菜や果物を何の疑問もなく食べている日本人。

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病害虫の予防でまく農薬もあるけど、草退治でまかれる農薬もあります。
これはマンションの駐車場とかにもよくまかれてる、非常に有名なラウンドアップ。
草取りの手間が大変っていうのはわかるけどね。田んぼなんか除草するの大変だもの。
でもなあ…。



放射能と違い、農薬は空から降ってくるものではありません。
明確に「病害虫予防」という意思を持って散布されるもの。
変えることはできるんじゃないでしょうかしら。

自分たちの食べているものがどういうものか知ること。
そこがスタート地点だと思っとります。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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