「スギ花粉症治療イネ」が販売されたらどうする?

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りんごの受粉を手伝って以来りんごの花粉症になり、桜もダメになりました。
2月から5月中旬までスギ→バラ科→ヒノキと続き、
7月頃からイネ科の花粉、9月には他の何かの花粉に反応し、
一年のほぼ半分、花粉症で鼻と目がカユイわたくし。



某D社のイベントでちんまりと遺伝子組換えの講演をしてきた。

聴衆がほぼ(というか全員)お知り合いだったので、
講演終了後は質疑応答とかじゃなくて雑談になり、
そこで「スギ花粉症緩和遺伝子組換え稲」の話になった。

わたくしこの時まで機能性食品的な遺伝子組換え作物なんて
ちゃんちゃらおかしいと思っていたので、こんなんできても
食べたい人いないよな、と勝手に思っていたのだが、実は違ったらしい。

参加者の方々曰く

「春に備えて秋くらいから薬飲んでる人いるし、
そういうひどい花粉症の人なら、効くってことになれば食べると思う」
「サプリ飲むのとおなじ感覚で食べるかも」

えええっ、マジっすか?

スギ花粉症の原因の杉の木を伐採するとか、そういう単一的な
植栽を改善するとか、根本的な問題解決をするという方向ではなく、
「あーら、びっくり、花粉症がよくなっちゃった」的なGM稲という解決策。

そんなんアリなのか。

確かに、毎日薬を飲むことを考えたら大変だ。
頭がぼーっとし、ふらふらりんになってめまいがしたりする。

薬をやめると水道の蛇口をひねったように鼻水が出て止まらないし、
目がかゆいからお化粧が控えめになり、なんだか気分が塞ぐ。
「目玉を取り出して水でざぶざぶ洗いたい!」なんて叫ぶ人もいる。

なんてことが3ヶ月も続くが、
わたくし的には「花粉症緩和稲」という選択肢はなかった。

なぜならわたくしはサプリを信用しない。
薬も飲みたくないから、何かあったら体質改善を目指してしまう。
(今んとこ何もしてないけど)

農業で言うと、「虫が出たら農薬をまく」のではなく、
土壌分析をして土づくりをしてしまうタイプ。ちょっと違うか。

しかしそれは花粉症が軽いから悠長なことを言ってられるのかもしれない。
本当にひどい人は改善されるならなんでもいいと言うだろう。
そしてそういう機能を持っているものが遺伝子組換えで作られても、
良くなるのなら、サプリを飲むのとおなじ感覚で使うかもしれない。

「今までの遺伝子組換えって、除草剤まいても枯れないとか、
食べたら虫が死ぬとか、作る側の便宜を図ったものばかりでしょう。
だから、ある意味『農家が我慢しとけばいい』的なものが多かったけど、
花粉症緩和稲は農家じゃなくて消費者にメリットがある。

だからこれが製品化されると、機能性を謳ったものがどんどん増えて、
なし崩し的に遺伝子組換えが広がるかもね」

秋田の若いコメ農家にこう指摘され、「なるほどー」と思ってしまったわたくし。
サプリと同じだと思えば、確かにOKだと思ってしまう人は増えるだろう。

現時点では「遺伝子組換え食品」に漠然とした不安を持ってる人が多く、
業界も表示義務のないものに表示したりして、それなりの配慮をしている。
そして日本ではまだ、遺伝子組み換え作物は商業栽培されていない。

トウモロコシやナタネなどの穀物は
収量や収入の面から日本で栽培される可能性は少なく、
完成品の輸入のみだが(まあ、人々は意識せずに食べているわけだが)、
「コメ」となると話は別である。収入も収量もそれなりで儲かるからね。

遺伝子組換えイネなら商業栽培の可能性はあるわけだ。
ということで、花粉症緩和稲が今どうなってるのか調べてみた。

花粉症緩和稲は農林水産省の外郭研究機関(独立行政法人)の
「農業生物資源研究所」が開発したもので、
2004年から隔離圃場での栽培が行われている。

2007年に農水省では「食品」としての開発を取り下げ、
医薬品として治験に必要なデータの収集などを行うことにした。
しかし上記のサイトによれば2013年も栽培されている。
継続して栽培しながら治験を行ってるってことかしらん?

そして、「スギ花粉症緩和イネ」は、現在では
「スギ花粉症治療稲」という名前に変わっているようだ。

「食べる薬」としていつ頃デビューの予定かなどは全く決まっていない。
動物実験の段階で止まっているようである。

っていうか「薬」になるんだったらムリにごはんでなくても、
フツーに花粉症の薬を飲めばいいのでは?
と思うのはわたくしだけではあるまい。だから進まないのでは?

とりあえず、スギ花粉症治療稲のデビューはかなり先のようである。

しかし「花粉症緩和稲」をあれこれ調べていたら、
コエンザイムQ10入り稲なんかが開発されていることを知ってしまった。

やっぱ「消費者へのメリット」を強調したサプリ方向に向かっているのねー。
戦略としては正しい。消費者の意識のハードルを下げるのにも有効である。
これらは「遺伝子組み換え作物第二世代」と呼ばれているらしい。

ところで皆さん、「スギ花粉症治療稲」が認可されたら、買います?

花粉症緩和稲についての問題点について↓
http://www2.odn.ne.jp/~cdu37690/sugikahunsyouinenomondaiten.htm


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2冊めの本、できました

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このビビッドなイタリアンレッドが大変かわいくて、大好き
(だけど乗れない単車)「DUCATI」の赤みたいで気に入っております。
色校見たら特色だったので、驚いたわたくし。4色+特色? スミ+特色? 
うーん、どっちかな。どうでもいい話だけど、気になる。



先日の大雪で、わたくしのお友だち、お知り合いの農家が
大変な被害に合われております。

このたび被害にあわれた方々に、まずお見舞い申し上げます。

昨日、農業被害の総額が新聞に出ておりました。
総額を見ても個別の人々のことは見えてこないです。
どんな被害なのか、都市生活者には想像するしかありません。

Facebook友達がたくさんいらっしゃる山梨方面ばかり
気にしていたわたくしですが、なんと埼玉の方々の被害も相当大きく、
とくにトマトやいちごなど施設園芸をされてる方たちの
ハウスの修理・撤去・更新などにかかるお金のことを考えると
心が痛み、気が塞ぎます。

この後出荷予定だった野菜たちが出荷できなくなっている方も多いでしょう。
みなさまのもとに、少しでも早く本当の春が来ることを願っております。

さて、こんなときにこんな宣伝をして大変申し訳ないのですが、
2冊めの本『まだまだあった 知らずに食べてる体を壊す食品』の
見本誌が、本日届いたです。

うーん、赤いなあ。
書店に置かれたらこの赤って相当目立つなあ、って感じ。

書店に置かれるのは、最短で2月28日らしいです。
地方では(地方で売られるかどうかは不明)3月になるでしょう。
Amazonには「現在予約中」と出ておりましたです。

さて、この本。5月に聞き取りがスタートし、
出版までになんと9カ月かかっております。
『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』とほぼ同時進行でしたから
こちらのほうが時間がかかったです。

書いてる最中にも「産地偽装」「エビ偽装」などの
様々な食べものについての話題がメディアを賑わせておりましたです。

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中身はとくにイラストもなく淡々と字が並んでおります。
言いたいことは最後の方にどわーっとまとめて書きました。



人々は新しい話題にばかり目が向きますが、
ふだん食べてるものがどんなものかについては
あんまり考えたりしてないような気がするです。

この本は、このブログの記事をまとめてブラッシュアップしたもので、
間違ってるところや勘違いしてたところなど、けっこうあったのを
全部洗い出して修正したです。

わたくしにとってはそのプロセスが、大変なお勉強になりましたです。
知らないことっていくらでもあるのだなあとつくづく思ったです。

まあ、しかし。このブログと同じで、おおむね
消費者にあまり知られていないことを淡々と書いたです。

作り手と消費者がうまくつながっていない現在の日本では、
食べものをつくっている現場と食べている人たちの乖離が激しく、
自分たちの原材料がどんなものかを知る術が準備されてはいません。

そういうことが少しでもなくなるよう「知ってもらうこと」を念頭に置いたです。

安全だとか危険だとか、何を食べたらいいとか悪いとか、
ひとさまに押し付けるつもりは毛頭ありません。それは、
読んでくださった方々が判断してくださればいいと考えております。

必要なのは、自分のからだをつくっているものがどんなものか知ること。
生命を作るはずの食べものが、なぜこんなふうに作られているのか
なぜこうなったのか、その原因についてちょびっと考えてみること。

良い・悪い、安全・危険の二者択一で右往左往するのではなく、
ちゃんとそれぞれ理由があり、それでいいのかな?と疑問を持つこと、
そんなことが大事なのかなーと考えております。

本屋さんで見かけましたら、ご一読いただけますと幸いでございます。
宣伝でした。ペコリ


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おコメの表示をあれこれ調べてみた

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収穫したばかりのおコメ。これ、ほんとは白芒餅っていうもち米なんだけど、
雰囲気を味わってください。この後、農家で籾摺りをして玄米にします。
玄米じゃなくてモミで貯蔵したりするところもあるけど、
とりあえずだいたい玄米でJAや相対取引の業者に出荷されるです。



おコメ屋さんに取材に行ってきた。

毎日食べてるものなのに、意外と知られていないのがコメ。
どのように流通してるのか、どう栽培されてるのか、また、
コメについてどんな法律があるのか等々、知らないことばっかである。

わたくし的に一番びっくりしたのは、産地偽装や加工米横流し等々の事件後、
「米トレーサビリティ法」という法律ができていたことだ。
知らなかったー。知らなかった事自体どうなのよって感じだ。

この法律、めっちゃ縛りがきつく流通業者は大変そうである。

農家から小売まで出荷・集荷時の伝票管理や記録、表示方法など
あれこれあれこれルールが細かく決まっていて見てるだけで大変そう。

・米トレーサビリティ法
1.お米、米加工品に問題が発生した際に流通ルートを速やかに特定するため、
生産から販売・提供までの各段階を通じ、取引等の記録を作成・保存します。
2.お米の産地情報を取引先や消費者に伝達します。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/kome_toresa/index.html

平成22年10月1日から事業者による伝票管理が義務付けられ、
平成23年7月1日から米の産地情報の伝達をしなくてはならなくなった。

表示の法律で外食に原産地表示義務があるものはなかなか無いが、
この法律は米の原産地について「従業員に聞けば答えられる」「店内へ表示」
「メニューに書く」などの中から表示方法を選択することを義務付けている。
外食でも産地をきちんと伝達しなくてはならないことになっているのだ。

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玄米になったところ。Facebook友達の検査員の方が「二等」って言いました(笑)。
検査員は資格を持ってれば誰でもやれます。親のコメの検査を娘がする、てな
ところもあるようです。「全部二等」とかにすると親子ゲンカの元になります。



おお、すごいじゃないか。でも表示してあったっけな? 
今度お店の人に聞いてみようっと。
しかしまあ、国産かそうでないかぐらいの表示のようである。

どっちかというと、米粉用の米や加工米の横流しを防止するために
ガッチリした枠組みを作りましたよ的な法律なのだろう。
米粉用や加工用米って安いからね。偽装が後をたたないのだ。

そうは言っても小売や卸には農水省の査察や検査がしょっちゅう入り、
滅多なことはできなくなっているのだった。
米の偽装や横流しは相当やりにくくなったと言ってもいい。

最近イオンで中国・米国産米、加工用米などが混入されていた
「過去最大のコメ産地偽装」事件があったが、、
「どうやったのかなー? できないと思うんだよねー。不思議だなー」と
おコメ屋さんがしみじみ言っていた。いい人だなあ。

ちなみに玄米・白米等のお米の表示はJAS法で定められており、
原料原産地検査証明を受けた年度(何年産とか)などについて
きちんと表示しなくてはならない。

大変わかり易いJAS法の表示
http://www.maff.go.jp/tokai/shohi/hyoji/seido/pdf/komepaneru.pdf

ブレンド米でもブレンドした産地と品種をきちんと表示しなくてはならない。
ブレンド米って食べたこと無いけど、パールライスとかのことだろうか?

IMG_7226.jpg
二等になると米価が下がるので自分ちで色彩選別機にかける人が多いです。
かけた後。きれいな玄米になりました。はじいたコメは鶏のエサか肥料になり、
大量にある場合は産業廃棄物。加工用なんかには回らないのですよ。
加工用米や飼料米はほかにちゃんと作られてるからね。



さて、米の産地偽装といえば「魚沼産コシヒカリ」である。

「新潟産コシヒカリ」もけっこう良い価格で取引されるため、
この偽装もありそうだが、新潟産のコシヒカリはDNA鑑定で特定できるため、
昨今ではなかなか偽装しづらくなっているらしい。

新潟県で栽培されているコシヒカリは、コシヒカリBLという品種が多く、
他地域のコシヒカリとはDNAが違う。
BLってのは「イモチ病耐性」遺伝子を持っているということで、
新潟県で栽培されるコシヒカリはDNA検査でわかるという理屈である。

新潟県では独自調査を行っており、都内や他県で売られていたもので
悪質なものがいくつか見つかっている。

がんばれ、新潟県!

ところで、全然知らなかったのだが、
コシヒカリBLには節間を短くするために倒伏軽減剤という
植物ホルモン剤を使うことがあるらしい。

ほう。そんなもので予防できるのか、倒伏が。
チッソ分を少なくすればいいじゃないかと思うが収量の問題だろうか。

新潟県の特別栽培農産物基準を見てみたが、
倒伏軽減剤についての記入はなかった。防除暦は18剤である。
このうちに含まれてるのかなー? 今度コメ農家に聞いてみよう。

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精米しました。ちょっと乳白米とかワレがありますが、きれいなおコメです。
以前ローソンが魚沼産の乳白米を格安で仕入れておにぎりにし、
「魚沼産コシ」と表示して売って大儲けしたって話があるらしいですが、
乳白米は炊いちゃえばわからないのですね。機を見るに敏だなあ、ローソン。



コシヒカリBLは「コシヒカリ」と表示されており、とくにBLという表示はない。
食味が違うと言う人もいるが変わらないと言う人もいる。

先日「BLはBLと表示すべきだ」と泉田知事がおっしゃったらしいが、
現時点では表示はされていない。いつかされるのかな? 

ともあれ、コメの表示については相当厳しくなっているのだ。

しかし、偽装しようとすればできるよねという余韻はまだまだ残っている。
そういうコメを選ばないためには、産地、個人が特定できるコメを
食べることが必要であろう。

つまり「有機米」「個人名が表示されて売られているコメ」
(これ、某D社等の流通で売ってるコメのことなのね)である。
一番確かなのは「農家が直接売ってるコメ」を選択することだ。

なんちて。そうすると送料が別途かかるし割高になるんだよね。
安心はお金で買わなくてはならないということなのかもしれない。


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強者のみが生き残る? コメの未来は明るいか暗いか

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田んぼには食料を生産する以外の役割があって、それがけっこう
大切なんだけど、意外と意識されていない。これを金額に換算すると
3兆7千億円程度になる。治水・生物多様性・景観などが含まれている。



東西南北に長く、土地によって気候も全く違う日本で唯一、
時期は違えどほぼ同じ栽培過程をたどる作物がある。
その作物を栽培している農家は、全国のどこでも、
同じ言葉を使ってその作物の栽培の話をすることができる。

その作物とは、コメのことである。

日本の気候風土にぴったりと合っているコメは、江戸時代には
お給料の支払に使われ、大名の資産の目安ともなっていた。
また、各地で秋に行われる祭は、稲作と密接に結びついている。
コメはそれほどまでに、古来から日本人に寄り添っている作物なのだった。

というようなことを知ると、朝ごはんにコメを食べたくならないかな?

おいしいおコメは他のどんな炭水化物にも勝ると思うが、
昨今のコメ消費量の激減を見ると、皆がそう思ってるわけではないらしい。
もしかしたら皆、おいしいコメを食べていないのかも。

さて、コメは他の作物と違い食味を計ることができる。
糖度などと違ってほぼ数字通りに判断できるところが素晴らしい。

食味値はタンパク含有量、水分、アミロース値などから数値化されるが、
「タンパク含有量」だけを目安にしてもいい。
タンパク含有量が、7以下であれば誰が食べてもおいしいおコメである。

7以下とさらりと言うが、その数値にするのはけっこう難しい。

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平地がない中山間地では山を切り開いて棚田を作った。小さな田んぼが
延々と続く棚田は景観的には素晴らしくても、大型機械は入らないし、
作業性が悪くて経費がかさむから耕作放棄地になりやすい。
そしてそこでイノシシが繁殖しているという研究結果もあるのだった。



最近話題でおいしいと評判の北海道のブランド米、ゆめぴりかは
2009年にタンパク含有量6.8以下という基準を作り、
それ以上のものは「ゆめぴりか」として販売させなかった。

結果、ゆめぴりかを栽培した農家の6%しか出荷できなかったそうである。

クリアできたコメがあまりにも少なかったせいか、翌年は7.9%以下にして、
2011年からは7.4%以下にした。うーん、混乱したんだろうなあ。

その他、山形県のつや姫にも7.5%以下という基準値があり、
7.5%以上のものには「つや姫」という名前をつけて売ることが出来ない。

つや姫、ゆめぴりか以外にも、基準値を設けているおコメはいくつかある。
地域ブランド米は「数値化された食味」で勝負しているということだろう。
おいしさが保証されているという点で大変な強みだが、
一般ピープルは知っているのかな? もう少し広報したらどうだろうか。

このタンパク含有量を左右するのは肥料だ。
タンパク質=チッソ分だからね。

そして、ここで悩ましい問題が発生する。収量を左右するのもチッソ分である。
収量を上げたい人はチッソ(つまり肥料)をたくさん入れたい。
多い方がたくさん採れる。でも入れれば入れるほどおいしくならない。

おいしいのと多収とどっちを選ぶ? なんていう選択肢はあるだろうか。
慣行栽培であれば迷うこと無く多収を選ぶんじゃないかと思うわたくし。
なぜなら、米価はほんとに鼻血が出そうなくらい安いのである。

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コメの等級は整粒歩合、胴割れ、未熟、被害、死米などの割合で決まる。
等級が下がるとイヤだから、出荷前に自分ちで色彩選別機にかける農家が多い。
外いたコメは加工用なんかにはならなくて、鶏のエサとか肥料になる。
だから斑点米作るカメムシ対策にネオニコがまきたいのだった。



魚沼産コシヒカリ以外の慣行栽培のコメは、だいたい
60kg(1俵)11,000円から13,000円である(仮渡金)。これ、農家の売上ね。
コメの平均収量を調べてみたら10aあたり530kgで、えーと、約9俵である。
10俵取れないのかあ、なんかびっくり。高度化成とか使ってるんだろうに。

そして、コメ1俵あたりの経費は平均して約10,000円だ。
も、もしかして、利益は1俵あたりたった1,000円~3,000円? ひいー。

コメは面積が大きくなればなるほど利益が上がるため、
大規模化が推奨されている。栽培面積が50a以下の小規模農家は、
コメだけでは全然儲からないと言われている(慣行栽培の場合)。

わたくしの生まれ故郷鳥取を代表する中山間地の田んぼは、
高齢化も相まって絶滅の危機にある。耕作放棄地への道まっしぐらだ。
コメは平たい土地で大規模に、というのが世の趨勢、政府の戦略なのだった。

では有機米はどうだろう?

有機米は一般のルートを通じて販売されていない場合が多く、
その分、良い価格で取引されているため、末端価格も高い。
しかし収量が良くないので、儲かるかどうかは「うーん」って感じだ。
慣行栽培と同様、大規模化が必要だろう。

収量は、よくて8俵、普通は7俵、肥料少なめの人は6俵、
中には5俵とかいう人もいる。

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毎日おいしいおコメを食べることができて大変しあわせなわたくし。
コメ不足にでもならないとコメの価値ってわかりづらいけど、
保存性があり携帯も簡単で腹持ち良く力も出るしで、優れた食品だよね。
輸入に頼ってる小麦より、コメを食べたほうがいいのになあ。



チッソ分が多いとイモチ病が出やすく、有機だと効果のある農薬がまけないから、
チッソは総じて少なめである。ということは、タンパク含有量も少なめである。
だから有機のコメはおいしいことが多いのだった。

コメの世界ではずいぶん前から、高くて(安心で)おいしいものか、
安いがそれなりの味のものという二極化が進んでいる。
すんごく高いものかすんごく安いものが生き残るということだろう。

ってことは、有機米やブランド米作ってる人と、
大規模農家しか生き残れないってこと?

日本人が一日に食べるコメの量は1人150g、約一合。
一年間食べても一俵に満たない。そうしてコメはますます余り続ける。

付加価値のついたコメには競争力があるから、
国内でも海外でも勝負できるかもしれない。しかし、
それ以外のコメはどうなるかな? 減反と補助金がなくなったら?

これからコメ農家の淘汰が始まるのかもしれないなあ。
中山間地の棚田はイノシシの巣になるしかないのかしらん。

しかし今の自分にはごはんをおかわりすることしかできないのだった。

そしてよく考えてみたらわたくしは慣行栽培のコメは食べないから、
淘汰される人たちの役には立たないのだった。ううううう。ごめんなさい。


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「寿命」と「健康寿命」の間に10年間もあるって知ってた?

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「りんごがなぜ真っ赤なのか!」なんて話も書きました。
りんご農家の人に怒られたらヤだな。怒らないでください。



2冊めの本が校了したです。タイトルは

『まだまだあった! 知らずに食べている体を壊す食品』

うーん、すごいタイトルだなー。

主に過去のブログ記事をまとめたものだが、間違いの修正をしたり、
新たにわかったことを付け足したりしたです。

Amazonですでに予約受付中になっておりましたです。
印刷もまだなのに、世の中って進んでるよなあと感心しきり。

タイトルを読んだだけで「これを食べたら体を壊すのか!」
とか言われると困っちゃうのだが、主に現在の日本で売られている
食べものがどのように作られてるのかを書いてみたです。

わたくしは某D社にいる間に、産地周りで一般の農産物のことを、
商品情報作成部署で一般的な畜産物と加工品のことを知った。
いろいろ取材に行かせていただいた結果である。ありがとう、某D社。

その中には「おお! びっくり!」という内容のものが多かった。

というかほとんどのものが「おお! びっくり!」である。
しかしそれは業界の常識だったりして、問題だと思われていないことのほうが多い。

作る側から見たら「あたりまえ」だが、食べてる人は「うへえ」なんてことは
いくらでもあるのだった。でも知らないから皆「うへえ」なんて思わないのだ。

知らないほうが幸せなのかな? いやそんなことはあるまい。

自分のからだを作るものを選ぶのは自分だ。
何を選ぶかで自分の未来は変わるだろう。
それは知っておいたほうがいいに決まってるのだ。

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一般的な食べもので「ううう、ほんとですか?」って作り方をされてる
代表的なもの、卵。安いのにはちゃんとした理由があるですよ。ぐっと来ますよ。
その責任は消費者にもあると思うから、知った方がいいと思うわたくし。



さて、こんなことを書いているけど実はわたくし、
某D社で働いていた間、晩ごはんに何食べてたかの記憶がないのだった。
とくに2000年以降、産地周りを担当してから辞めるまで、
何を食べていたのか全く思い出せない。忙しかったのだね、きっと。

おそらく、主食はコメではなくビールである。
きちんとした食事を作り始めたのは、
某D社を辞めて以降で、ここ数年のことなのだった。

なのに偉そうにこんなブログ書いててすみません。

そのちゃんとした食事を取らなかったツケは後日きちんと支払った。
原因不明の38度の熱が一か月出たりとか、極度の貧血とかで。

たぶん若い頃は何を食べても全然平気だ。主食がカップラーメンでも。
若者の細胞は若くて元気で新陳代謝もよく、
多少DNAが傷ついても問題なく修復してくれる。

実は、わたくしの世代、昭和35年から45年までに生まれた者たちは
その後使用禁止になった食品添加物や化学物質を大量に摂取している。
『41歳寿命説』なんて本が出たくらいである。何も起きなかったけどね。

おそらく、多少の化学物質が体内に入ってもそんなに影響はないのだろう。
それは人間のからだがよくできているからだ。

わたくしたちのからだにはきちんと代謝し、毒を排出する能力がある。
また、遺伝子を傷つける物質を体内に入れても、そもそも
遺伝子は95%ほどしか働いていないから、そこが傷ついたとしても平気だ。
残りの5%でも、修復機能がきちんと働けば問題ないのだ。つまり若い間は。

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近所に松阪牛のステーキを食べさせてくれるレストランがあるです。
牛肉食べると元気になるんだけど、どうやって育ったか知ってると
うーんって感じ。でも食べちゃう。フォアグラを食べるのと同じだね。



その機能が落ちてくるのが、おそらく45歳以降なのだろうと
最近考えるようになった。そうなると何が不具合が起き始める。

日本人の寿命が伸びたのは、感染症がなくなり
乳児の死亡率が下がったことによるものだ。現代は、
医療の進歩でなかなか死ねなくなり、健康でなくても生きていられる。

単に生きてるだけの「寿命」と、健康でいられる「健康寿命」は
決して同じではない。人々が伸ばしたいのは「健康寿命」である。

では今、日本人はどれぐらいまで生きていられるのかな? 

平成22年度の「平均寿命」は男性79.55歳、女性86.3歳だった。
「健康寿命」の数字も見つけた。男性70.42歳、女性73.62歳である、
日常生活に制限のある「不健康な期間」が男性で9.13年、女性で12.68年もある。

ああ、なんて長いんだ。想像しただけで気が滅入るのだ。

年をとっても生きがいを持つとか、健康診断で早期発見とか、
「健康」を支えるいろいろな要素はあるが、基本は「食べもの」だろう。

自分の原材料は自分の手で自分の口に入れたものである。
その内容によってきっと60歳以降のからだが変わってくるに違いないのだ。

45歳過ぎたらちゃんとしたものを食べなくてはならないのだ。
よりよい明日の自分のために。

参考・健康寿命について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf


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農業は「強く」あるべき?

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農業の記事よりもデジカメの記事のほうが興味深かったわたくしは、
経済についての興味が非常に薄く、この雑誌のターゲット層ではない。
ということをつくづく感じてしまったのでありましたよ。



週刊『東洋経済』「強い農業」を買ってみた。

2006年頃の農業ブーム時にもこんな特集されてたなー。
その後農業ブームはどうなったかな?

わたくしが某D社を退社した2009年、農地法の改正があり、
あちこちで企業の農業参入が話題になったことがあった。
当時、儲かってない建築業から農業へ転身を計った中小企業は多く、
ちらほらと参入の噂を聞いたが、何年か後にはほとんど聞かなくなった。

重機はあっても作物の栽培は難しい。
会社員が農業をするのも難しい。うまく行かなかったのかもしれない。

さてその年、イオンが農業部門に参入し
茨城県の牛久に自社農場を開設した。

わたくしは某D社退社後、地域活性のNPO法人で働いていた。
「グリーンエキスポ」というイベントで日本郵便の補助事業の表彰式があり、
それに参加して、偶然イオンアグリ創造の社長の講演を聞いたのだ。

内容は素晴らしいものだった。

高額な農業機器はリースにして経費管理し、苗は全て自社で賄う。
土壌分析をして施肥設計を行い、無駄をできるかぎり削減する。
農業において見えにくい経費の見える化を行い、ブランド品を作る、
というような話であった。

有機とか低農薬とか、農薬についての話はとくにされなかったが、
農薬も高いものなので、それも削減すると言ってたような気がする。

牛久で借りた耕作放棄地は3ヘクタールと記憶していたが、
『東洋経済』を読んだら2ヘクタールだった。
翌年に3ヘクタールにするって話だったかな?

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農地の集積と大規模化でうまくいくのは米と施設園芸で、
その他の畑作でそれを行うのは難しい。大規模な畑作は、北海道及び
夏場の高原で行われているが、仮にこれを企業がやるとしたら、朝4時起き
夜は10時過ぎまで調整等々なんだが、これ、社員でできるのかな。



2010年3月、耕作放棄地や遊休農地の有効活用を目的として、
埼玉県で農業参入希望の企業と自治体とのマッチングイベントが行われた。
何でそれに参加したのは覚えていないが、いくつかの基調講演の中に、
イオンアグリ創造の広報のお姉さんの初年度総括の講演があった。

グリーンエキスポで聞いた明るい未来と経費削減の物語は、
予想外の経費発生の悲しい赤字の物語に変わっていた。

まず、苗が間に合わなかったので購入した。
土壌分析をして肥料を入れたら肥料代が思ったよりも高くついた。
その割にうまく栽培できず、病気や虫などで農薬代もかかった。

次作からは苗は自社で作ること、
農薬散布のタイミングなどが課題というような話だった。
苗を素人が作るのは意外と難しいが、できたのだろうか。

土壌分析診断は茨城県の普及員が行ったらしい。
質問してみたら、CECや腐植などは計ってなかったようだった。
どうやって施肥設計したのかな? 疑問は尽きない。

そしてお姉さんの総括は驚愕に値するものだった。

「企業が新規に農業参入する場合は、リスクを抑えるために
遊休農地の地主に作物が栽培できる土を作ってもらっておく等の
対策を取ることも考えたい。初期費用の発生はこれで回避できる」

遊休農地の有効活用は当時勤務していたNPO法人の使命だった。
地主から土地を借りるのでも大変なのに、そんな高いハードルを設けてどうする。
地主が土壌分析して肥料を入れて、さあ、どうぞ、なんて言うわけがない。

企業とは恐ろしいことを考えるものよのう。
しかし会場からは別にどよめきは起こらず講演は終わった。

gazou 045
グローバルといえば、日本酒の世界はマーケットを世界に転じているらしい。
地方の小さな蔵でもけっこう輸出に力を入れていて、意外な話が聞けたりする。
日本酒が世界にひろがっていくのはいい話だね。国内消費量が減ってるからね。



その後増やした3ヘクタール分は、地主にこういう交渉をしたのかな?
『東洋経済』の記事には赤字とも黒字とも書いてなかった。

さて、『東洋経済』の今回の特集に出ている人は
農業界にいると必ずどこかで噂を聞く人ばかりである。
農業界のトップを走ってる人、と言ってもいいかもしれない。
わたくしの周りにこんな人はいない。

もしかしたら、わたくしの周りの農家の努力が足りないということかな?

わたくしはそうは思わない。どんなビジネスでも成功者はいる。
それらキラ星のごとき人々はメディアにたびたび紹介される。
これをビジネスモデルにして同じようにすればいいのにと思うかもしれないが、
同じように出来る人、というかする人はそんなにいないだろう。

農業は「俺様」が多い職業であり、
人のやってることはやりたくないと言う人のほうが多い。

農業を支えているのは、それらの名もない人々である。
彼らがわたくしたちが普段食べているものをつくっている。
その「名もない人」はことさらに取り上げられない。
あたりまえ過ぎてつまらないからであろう。そういうものだ。

そしてわたくしはそのあたりまえの人々のことを知るのが好きである。
皆それぞれに個性があり、農業の取り組みもそれぞれでおもしろい。

だから、他者の目線から見た知らない人のことはどうでもいいのだった。

なんてことを、この記事を読んでいて考えてしまった。
しかし、いろんな人がいていろんなことが起きているのはわかった。
でもそれだけだ。
この特集記事が響かないわたくしは、この雑誌のターゲットではないのだろう。

わたくしの知っている人々が、ニッチな「有機農業界」の住民であり、
グローバルよりもローカルな存在であるからかもしれない。

ところで、農業は強くなれる、というか、強くなりたいと皆が思っているのかな?
月末の某D社の集会で、若い子たちを捕まえて聞いてみようっと。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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