日本一手間のかかる味噌づくり第2回「草取り」のご報告

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いつものことですが、畑で記念撮影をし忘れておりました。
終始雨がなんとなーく降ってる中での草取り、お疲れ様でした。

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草取り前。カメラの設定間違えてピンぼけですんません。
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草取り後。きれいになっております。どうでもいいけど欠株がひどいのは
小糸在来という在来品種の発芽がイマイチだったから。
最終収量が気になるところです。ううううう。

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草取り後、中耕。根っこに空気を送って生育を促し、
1kgでも多く収穫量を増やすぜ! って感じでやる気まんまん。
中耕って意外と雑でいいのだね。なんとなくしみじみびっくり。



誰にでもできるけど中腰で何時間もしなくちゃならなくて、
ものすごーくくたびれるしつまらないから皆が嫌がる作業、それが草取り。

「なぜ草を取らないといけないのか、どうせ生えてくるのに」
なんて思っても言ってはいけない、それが草取り。

都市生活者が思うより、農村における草の地位は低く、
ミツバチや天敵を涵養するなんてことはほとんど考えられていなくて、
草とは「見つけたら速効で抜き取るもの」である。

わたくしが以前担当していた農家の畑には草ひとつなかった。
ただひたすら美しい地面が広がっていた。
とくに埼玉県、愛知県界隈に顕著であった。

彼らは人の畑に行っても、草を見ると反射的に引き抜く。
他人とか自分とか関係なく、とにかく「草」については脊髄反射的に抜く。

「草、悪!」そんな意識がひしひしと伝わってくるふるまいなのである。

しかし、草が生えてても気にしない農家もいる。

自嘲気味に「駄農」とか言って笑っててもオーケイだ。それは
そもそもその土地にながーいこと住んでいて農業をやってるからとか、
畑が自分の土地だとか、さらに地域の有力者だとかで、
そういう「何か」がないとそんなことはなかなか言えない。

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「100倍返しの草」と呼ばれる強害雑草「豪州有田草」。ちっこいタネが葉軸に
いっぱいついてて、引っこ抜くとこれが全部落ちてまた芽を出す。
レーキでこそげ取るとタネが全部落ちるからめっちゃめんどくさい。

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抜いた草は全部畑の外に出さねばなりません。また生えてくるからね。
草取りを経験すると「除草剤って便利だなー」と必ずチラリと脳裏をよぎりますよ。
「いやいや、イカンイカン!」なんて頭をフルフル振ったりしますよ。

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なぜ草をはやしてはいけないか、草を生やすとはどういうことか
いろいろと教えてくださった指導係の岩井さん。ありがとうございました。

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なぜ草をはやしてはいけないのか、草を生やすとはどういうことか、
教えながらも手がめっちゃ動いていた指導係の富谷さん。ありがとうございました。



例えばこれが新規就農者だったりすると大変である。

畑が草ぼうぼうになっていると、地主は畑を貸さなくなったりする。
自分だけならまだいいが「だから新規就農者に土地貸すのヤなんだよ」
なんて言われると、その土地に新規就農者は入りづらくなる。

ってな感じで「草取り」ってものすごーく大事なのである。

いかに素早く取り除くか。近隣の農家の方々の心がざわめかないよう、
心安らかでいられるよう、常に努力しなくてはならない。
なんて思っててもわたくしの農園は草ぼうぼうだ。
隣のおじさまごめんなさい。

さて、今回大豆のタネまきをした千葉県の山武市あたりではとくに、
草は生えていてはいけない存在である。
一粒草の種を落とすと、その先何年も芽を出すことから、
「孫子の代まで草は祟る」とまで言われるらしいのだ。

近隣の畑を見ても、ほとんど草は生えていない。
ここでは「自然農法」「草生栽培」なんてのはできないのだ。
地面を貸してもらえるとかどうとか以前の問題なのだ。

その草を草取り体験のためにひと月放置させてもらうという、
さんぶ野菜ネットワークの担当者にとっては針のむしろ的なことを
今回我々は決行していただいたのだった。

ありがとうございました。ううううう。

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今回中耕機を使わせていただきました。意外と取り回しが難しい。
足ざっくり行きそうで見てるほうが怖かったっす。

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空いてるところに冬野菜のタネまきをしましたです。
富谷さんに教わったやり方がものすごく丁寧で、自分のタネまきと全然違ってて、
緑の指以前の問題だったのかもとか思って、なんかすげショック。



大豆栽培の指導をしてくださっている農家の方々も、
すごく、というか、一番というか、草を取ってくださったのだが、
反射的に「取らなくてはならない!」と脳から指令が出たのではないだろうか。

一畝だけ「一か月放置するとどれぐらい雑草って生えるのかなー?」的な
かるーい気持ちの実験してみて死ぬほど草が生えてた部分の
草取りを全部してくださって、ほんとにほんとーに申し訳なかったです。

ともあれ、ものすごーくキレイに草がなくなった畑で、
来月11日に再度草取りをするのだ。
3週間でどれだけ草が生えるのか。またご報告いたします。

なんてまた言ってます。すみませんすみません。


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カリスマ販売員・橋本和恵さんのセミナーやります!

10月3日セミナー
カリスマ販売員が教える「秘密の売れる売れる方法」とかの方が
キャッチーだったかなー。むー。
ご参加表明いただいた方には詳細をお知らせします。



5月(だったかな?)、丸の内のOLのみなさまに講演させていただいた。
タイトルは「からだにいい食べもの」である。
ってことで美魔女計画立てたりしてですね、減量してですね、
現在下げ止まりですがまあ、ここしばらくなかった体重を維持しております。

ってことで、話したいのは体重の話ではなく。

この講演に「売れる売れる研究所」の橋本和恵さんが参加されていた。
売れる売れる研究所 http://ureru-ureru.com/

わたくしテレビをほとんど見ないので存じ上げなかったのだが、
テレビ出演もされているらしく、なんとカリスマ販売員なのだった。

橋本さんはわたくしの講演にビビッと来てくださったらしく、
その後しばらくして連絡をいただいた。
WEBサイトを見るとスゴイ人である。何でも売れるのである。

カリスマ販売員がわたくしのような食材原理主義者に
どんなお話があるのかしらん?
橋本さんがされたのは以下の様な話だった。

「たばこでも車でも合成洗剤でも果物でも、売るための方法は同じ。
接客の基本も同じ。どんなお店にもものすごく売れる人はいるんだけど、
その人たちはその方法を人に説明することができないんです。
方法さえわかればやることはほとんど同じなんです。

例えば、目の前のお客様に売る場合と、3m離れてる人に売る場合、
10m向こうを歩いてる人への声のかけ方、それぞれ違います。
目の前の人に売るのは簡単。遠巻きにしている人を近寄らせるノウハウ、
そういうのがあるんですよー」

うおおおお、すげーおもしろい! 知りたーい! 

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何度かやってみてわかったこと。・コメは試食を出さないと売れない。
・というか試食をしてもらうとかなり何でも売れる。
・安いのが好きな人たちが来るマルシェで高いものは売れない。
・交通費・出店料・日当等考えるとうーんって感じ。



わたくしも何度かマネキンに立ったことがあるので、
目の前にいる人に売るのは意外とたやすいと知っている。
彼らはそもそもその商品に興味を持って近づいてきているから
目の前にいるのだ。少し気持ちを(背中を?)押すと買ってくれる。

しかし、3m、5m先の人をつかまえるのは難しい。
試食を見せると寄ってきてもらえることもあるが、
警戒されて近寄ってきてくれないことの方が多い。
5m先なんてよほどのことがない限りムリである。

そういうの、教えてもらえるとすんごく助かるなあ!
何人かの農家の顔が思い浮かんだわたくし。
っつか自分が聞きたい! 橋本さんはさらにおっしゃった。

「ほんたべさんの本を読んでみて、
食べもののことがよくわかりました。そして思ったんです。
安心できる食べものを作っている人のことを応援したいなあと。

わたしには、売れるノウハウを教えることしかできないけど、
そういうセミナーをやると役に立つように思います。そして、
いつか「ほんとうにおいしいもの」「安心して食べられるもの」を
たくさん集めて、イベントをやりましょうよ!」

「お店で買えないほんとうにおいしいものフェア」いいなー。
すげーいいなー。いつかやりたいなー。ワクワク。
新しい目標を橋本さんにいただいたわたくし。

しかしその前に、橋本さんにご協力いただいて、
第一次産業とその界隈にいらっしゃる方向けに
「売れる売れるセミナー」をやってみることにした。

マルシェや朝市など対面販売で苦労している農家の方、
「なんかイマイチなんだけど接客のコツって無いのかしらん?」
なんて思ってる自然食品業界界隈の方、その他の方、
カリスマ販売員の「売れる売れるセミナー」で
基礎販売力を身につけましょう!

明日からあなたもカリスマ販売員!!
ご興味のある方、ぜひどうぞ。

■日時 10月3日(金)
■参加費 2,000円(特別価格)
■スケジュール
10:00~15:00(休憩一時間)

■会場 遠忠食品
東京都中央区日本橋蛎殻町1-30-10 宮島ビル
東京メトロ水天宮前駅徒歩3分くらい

■お申込みは?
info★hontabe.com ★を@に変えてお問い合わせください。
携帯メールからだとお返事しても届かないことがありますのでご注意ください。

■定員になり次第締め切ります。応募多数の場合は抽選とさせていただきます。


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ヒトスジシマカとデング熱について調べてみた

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ヒトスジシマカのオスは花蜜などを食べて暮らしている。
メスは産卵の前に人(動物)の血を吸い、それをエネルギーに産卵する。
どうでもいいが、畑のオクラの木の側に行くと必ず蚊に食われる。
ヒトスジシマカはオクラが好きなんだろうなーと思ってるわたくし。



幼いころ、夏になると日本脳炎の予防注射をされた。
幼いながらに「ニホンノーエン」という音が大変恐ろしく、
「ニホンノーエン」とはどのようなものかと百科事典を調べてみた。

わたくしはどういうわけか疫病恐怖症で、ペストとか天然痘とか
なぜそのような疫病の名前を知ったのか全然思い出せないのだが、
とにかくそれらを百科事典で調べまくる変な子どもだった。

疫病マニアと言ってもいいかもしれない。

百科事典には「日本脳炎はコガタアカイエカが媒介する
ウイルス性の感染症であり、豚からヒトに伝染する」と書いてあった。
よく覚えてるなー、子どもの頃の記憶ってすげーなーと感心。

しかし、コガタアカイエカは主に西日本に生息しているため
東日本では日本脳炎の流行はないと記憶していたが、
今調べてみたらコガタアカイエカは日本全国にいるらしい。

あれー。そうでもなかったか。ううう。

その後わたくしは疫病マニアのまま大人になったが、
日本脳炎のことはすっかり忘れていた。
今、どれぐらい感染者がいるのかな? 

「日本では、1966 年の2,017人をピークに減少し、
1992年以降発生数は毎年10人以下であり、そのほとんどが高齢者であった」
国立感染症研究所HPより
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449-je-intro.html)

予防接種している人は抗体を持っているため罹患することはないから、
年に数人という感染者で収まっているようだ。良かったね。

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日本脳炎を媒介するコガタアカイエカは水田や湖など
水がたーくさんあるところで繁殖するらしい。アカイエカはヒトスジシマカと同じ。
夜行性でちっこくで赤い蚊だが、最近ほとんど見かけなくなった。
人間の生息域で繁殖するヒトスジシマカに駆逐されたのかもしれない。



さて、感染症と蚊といえば、昨今話題のデング熱である。
デング熱について調べてみた。

この病気は日本脳炎と同じく「四類感染症」に分類される。
感染症には五類まであり、一類にはペストとかエボラとかマールブルグとか
名前を聞くだけで熱が出そうな剣呑な伝染病の名前が並んでいる。

四類には野口英世先生と関わりの深い「黄熱」とか「西ナイル熱」とか、
「炭疽」とかが分類されている。ええー、デング熱これと同じなの?
四類の定義は「動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して
人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれのある感染症」である。へー。

医師は、これらの四類感染症の患者が発生した場合、
最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられている。
だから患者数が日々のニュースにちゃんと出てくるのだね。

デング熱の初期症状は風邪に似ていて、高熱・吐き気・食欲不振
その後身体に発疹ができる。軽い症状のまま気づかない人もいる。
感染しても発症しない人もいる。

しかし、二度目にかかるとデング出血熱に移行することがあり、
こうなると致死率10%という、割合と重篤な伝染病になる。
ちなみに致死率10%ってどれぐらいかというと、黄熱病と同じだ。ひいー。

戦後は南方から帰ってきた人が多かったため、
散発的に国内で流行があったが、ここ数十年国内での発生はなかった。

デング熱は海外、とくに熱帯アジアでは頻繁に流行しており、
何十万人という患者が出ている感染症である。
主な媒介者はネッタイシマカだ。

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俗に「ヤブ蚊」と呼ばれるヒトスジシマカは、空き缶や古タイヤにたまった
ちょびっとの水で繁殖する。最近では、ご家庭の雨水マスで繁殖してるらしい。
だからうちの庭に大量にいるのだね。くそう。どうやって駆除すればいいのか!



デング熱、黄熱を媒介するネッタイシマカは現在、
撲滅を目的に遺伝子組み換えネッタイシマカが開発されている。
すでに一部地域では放飼もされているらしい。
今後ブラジルにするとか言ってたけどもう放飼したのかな。

なぜ遺伝子組み換えまでしてネッタイシマカを絶滅させたいのかというと、
蚊は殺虫剤では根絶させることができないからである。
殺虫剤DDTと蚊との戦いは、蚊の「抵抗性獲得」によりDDTの惨敗に終わった。

現在も、世界で一番ヒトを殺しているのは蚊である。

しかし、わたくしも含め日本人は蚊に食われることをそれほど気にしない。
「痒くないなら食われてもいいけどね」とか言っちゃったりする。
認識を改める必要があるんじゃないのかな?

さて、今回日本でデング熱を媒介しているのはヒトスジシマカである。

生息適温が高いため宮城県以北には分布してないと言われていたが、
昨今の温暖化で青森県や盛岡市でコロニーが確認されたらしい。
本州では11月には休眠に入り、卵で越冬する。

ネッタイシマカでは血を吸わないオスの体内で
デング熱ウイルスが確認された例があるが、
ヒトスジシマカでそういう事例は報告されていない、
だから来年までウイルスを持ち越すことはないと言われている。

さて、しかし。ヒトスジシマカが通年生息している地域はないのかな?
南の島とか? 平均気温の高い地域とか?

調べてみたけどわからなかった。ヒトスジシマカは
日の長さを認識して休眠期に入るらしいから、
日本では通年で活動しないのかもしれない。

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春先にはいないのに収穫間際になるとなぜ果樹園に蚊がいるのか。
とくにぶどう畑でよく蚊に食われるのはなぜなのか。いまだに謎。
落っこちたぶどうにたかるオス目当てでメスが来てるのかなー。



デング熱の拡大を防止しようと蚊の密度を減らすために殺虫剤をまき、
生息場所を閉鎖したが、すでに千葉や北海道、その他の地域で
渡航歴のない患者が発生している。

このあと蚊の休眠に伴って流行は収束して行くのだろうが、
また来年、国内感染者が出ないとは言い切れない。

さらに、デング熱をもっと流行させる能力のあるネッタイシマカが
南の国から飛行機に乗ってやって来る可能性がある。
実際に熊本ではネッタイシマカの生息がしばらく確認されていた。

なんてことを考えると、蚊には食われないほうがいいのだ。
軽いから大丈夫と言われているデング熱だが、高熱が出ればしんどい。
疫病にはかからないほうがいいに決まってるのだ。

世界はとても狭くなり、地球の裏側にも簡単に行けるようになった。
しかしそれは逆に言うと、浮かれた観光客とともに、
入国許可証を持たないもの言わぬ殺人者たちもやって来るということだ。

なんてことをデング熱騒動でしみじみ考えたわたくし。
とりあえずスキンガード買いました。ふっふっふっふっふ。

追記・一部WEBで「今の患者数は去年より少ない」と言われているが、
渡航歴のある人の罹患数は115件(8月31日まで)、
渡航歴のない国内感染者は114件(昨日まで)、合計229件で、
このまま行けば過去最大のデング熱患者発生数となると予測されております。

参考資料
侵入生物データベースhttp://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/toc6_insects.html
茨城感染症情報センター
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/yobo/kansen/idwr/index.html
厚生労働省WEBサイト
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html
吉田製薬 8 感染症法の類別における微生物
http://www.yoshida-pharm.com/2012/text04_08_05/


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『More than honey』邦題・みつばちの大地 を見てきた

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みつばちの大地のパンフレット。買っちゃったです。
玉川大学の中村純さんの寄稿とか、みつばち百花のコラムがおもしろいです。
みつばちのことを知ってるようで全然知らないのだな、
ってことがよくわかります。



みつばちのすんばらしい映画『みつばちの大地』を見てきた。
http://www.cine.co.jp/mitsubachi_daichi/
原題は「More than honey」である。

おおお? この題名、シオドア・スタージョンの古典SF名作
『人間以上』にかけてるんじゃありませんか? 
『人間以上』の原題は「More than human」だ。もしかして意図的なもの?

『人間以上』は、ヒトとしては半人前の登場人物たちそれぞれに超能力があり、
その超能力が集まり集団になることで完全に機能するという
ヒトの一段階上の進化をとげた(という設定の)ミュータントの話だ。

これに赤ん坊が出てくる。「目・頭脳」である彼は永遠に成長しない。
「手・足」は別にいて、んーと、その他全部で5人くらいいたんじゃなかったかな。
30年前に読んだのでうろ覚えだが、なんか悲しい話だった。
(どうでもいいけどサイボーグ001はこの赤ん坊のパクリだと思ってるわたくし)

みつばちもある意味このミュータントたちのようである。

一個体で見ると小さく弱く3週間しか生きられないただの昆虫だが、
コロニー全体をひとつの生きものとして見ると、永遠に生き続ける
非常に高度なしくみを持ったヒトとは別の進化を遂げた生きものである。

みつばちのような生きものの設定はSF小説や映画によく出てくる。

ダニエル・クレイグでリメイクされた『インベージョン』とか。
ちょっと違うけどグレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』とか。
「個」ではなく「全体」で機能するシステムってのは、人間の憧れなのかもしれない。

監督にそのような意図があったかどうかは不明だ。
ともあれ、みつばちは蜂蜜以上の存在であることは間違いない。

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映画の中に中国のりんごの受粉風景が出てくるんだけど、
すごく雑で効率が悪そうで、あれでいいのかなーとか思っちゃったです。
木も変な形だしさあ。まあ本筋とは全然関係ないけど、やっぱり
日本人のりんご栽培ってすごいよな、とか思っちゃいました。



さて、『みつばちの大地』は、養蜂家を祖父に持つ監督が、
みつばちの大量死をきっかけに作った映画である。
昨今メディアで騒がれている農薬の問題にはほとんど触れられていない。
ネオニコチノイド系農薬の話を期待して行くとがっかりするだろう。

この映画では、もっと大きな視点でみつばちの大量死が語られている。

大量死の理由と示唆される言葉が、映画の前半と後半に2回出てくる。
最初は大規模養蜂を営んでいるアメリカ人が、次は監督自身のモノローグとして、
言葉は違うが言っていることは同じである。

養蜂家はこう言う。
「人生に動機はふたつ、“欲”と“恐れ”だ。
生活レベルを下げれば幸せに暮らせない。
それは自分のDNAにはない。我々は資本主義者だ
世界を制覇したいのだ」

監督はこう言う。
「鏡の国のアリスで、アリスは赤の女王とともに全速力で走る。
これ以上走れなくなって倒れて周りを見ると、
実は走り始めたところから一歩も前進していなかった。

“わたしは全然前に進んでいなかったのね”アリスは言った。
すると赤の女王は言う。“わたしたちは今いるところにい続けるために
全速力で走らなくてはならないのだよ”」

わたしたちの社会も、アリスのように全速力で走り続けているのかもしれない。
便利な暮らしを維持するために。後退させないために。

その結果、あちこちにいろいろなひずみが生じている。
異常気象を始めとする猛威をふるう自然災害、感染症などの災厄、そして
みつばちほど脚光を浴びることのない小さな生きものの絶滅等々。

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勘違いしてる人が多そうだけど、日本でみつばちに受粉を依存しているのは
メロンといちごなどの施設栽培で、桃、すもも、さくらんぼ、なし、りんごについては、
みつばちを当てにしていません。りんご・さくらんぼで使われるのはマメコバチ。
GW以前に花が咲くものは、みつばちが寒くて飛べないから役に立たないの。



映画のなかで、みつばちは産業動物として徹底的に利用される存在、
人間社会を快適に維持するための歯車のひとつになっていることが
淡々と示されていく。

直接食べられる産業動物である牛豚鶏のようにわかりやすくはないが、
みつばちは蜂蜜生産者以外に花粉媒介者としても搾取されており、
人工的に増産された女王の下で苦役につかされている。

そのようすも淡々と描かれていく。
昆虫をここまで家畜化し搾取する人間の傲慢さや欲、なんてのは
とくに言及されない。登場人物は自分の仕事を粛々としているだけだ。
自分と家族のために。よりよい明日のために。

そのなかで明確にされるのは、ダニ、病気、農薬など、
みつばちが死んでいく理由はさまざまであり
大量死の原因は突き止められていないということだ。

淡々と進むこの物語の後半、ふと気づく。
もしかしたらわたしたちの社会そのものが大量死の原因なのでは?

「みつばちが絶滅したら人間はその4年後に絶滅するだろう」
映画の冒頭で引用されるアインシュタインの言葉を否応なく思い出す。

もしかしたらみつばちの原因不明の死は、人間への警告なのでは?

わたしたちは、自分たちの暮らしの来し方行く末について
それぞれが考えたほうがいいのかもしれない。
メディアと消費者が農家と政府の責任のように騒いでいる「ネオニコ規制」についても
その結果生産される作物で、みなが恩恵を受けているのだから。

わたしたちひとりひとりが、この社会の構成員なのだから
ひとりひとりそれぞれに、今起きていることの責任があるのだ。

自分にできることはまだ何かあるだろうか。
みつばちのために花を育てること以外に?


『みつばちの大地』は9月19日(金)まで渋谷UPLINKで上映しています。
普段の生活では絶対に見ることができない、
みつばちの生態を見るだけでも価値があります。
http://www.uplink.co.jp/movie/2014/30319


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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