めまいはある朝突然に

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病院帰りの雨降りのなかとぼとぼ下むいて歩いてて見つけた落ち葉。
いつもならさっさと歩いてて気づかないだろうなあ。
病のときには病の時なりの発見があるのだなと思いました。まる。



目が回っております。いや、比喩ではなく。

立ってられないほどのめまいと絶え間ない吐き気に襲われるこの病気は、
「良性発作性頭位眩暈症」という名前だ。そして以下の様な理由で起きる。

【良性発作性頭位めまい症の多くは、
正常であれば内耳の一部分(卵形嚢と球形嚢)に収まっている
カルシウム粒子(耳石)が、そこから離れて内耳の別の部分(後半規管)に
入ったときに生じます。】「メルクマニュアル医学百科 家庭版」より

http://merckmanuals.jp/home/index.html

簡単に言うと、三半規管の誤作動で起きる症状って感じか。
とにかく、めまいと吐き気が主な症状である。

数日経つと人間の体がこの状態(耳石が変なところに落っこちた状態)
に慣れてしまい、そうなると徐々にめまいも吐き気も治まる。
しかし出た当初はそんなことは全然知らないわたくしはパニクった。

おなかはしょっちゅう壊すので腹痛にはべらぼうに強いが、
吐き気にはめちゃくちゃ弱くできることなら吐き気のない人生を歩みたい。
とわたくしは常日頃から考えている。

しかし今回は延々と吐き気が収まらないのだった。ううううううう。

当時のわたくしの知識では「めまい・吐き気=メニエル病」であり、
難治性のこの病気だったらどうしようとヒジョーに不安になった。
知り合いに何人かメニエル病になった人がいて、
なかには、ほとんど一日何もできないという人もいた。

「めまい・吐き気」が起きている人は健常者と同じに見える。
高熱が出れば顔が赤くなるし花粉症ですら鼻水が出る。
しかし、めまいと吐き気は違う。発症している本人はかなり苦しいが、
その苦しさに見合う同情が得られない非常にイヤな症状ではあるまいか。

だいたい一日中吐き気がおさまらない生活なんて絶対ムリー。
ということでgoogle先生にお伺いを立ててみた。

PCで検索しまくりたかったが縦になると吐き気がするので、
横になったままスマホで「めまい 吐き気」で検索をしたら、
メニエル以外に出てきたのはなんと「脳梗塞」であった(泣)。

「良性発作性頭位眩暈症」も出してくれよ、google!!! と
知恵がついた現在、激しく思うわたくし。
ってことでこんなブログを書いております。

ちなみに上記メルクマニュアルではメニエルは以下のように書かれている。

mimi 1
耳鼻科のお医者さんが「あなた、これね」と渡してくれたメモ。
良性発作性頭位眩暈症といちいちカルテに書くのが面倒だから
はんこ作ったんだろうなー。それほど多いのかこの病気、と
しみじみ感じてしまったわたくし。



【メニエール病(内リンパ水腫とも呼ばれる)は、
内耳の液体が正常に存在している量のバランスが
崩れることで起こると考えられています。
液体は分泌と再吸収が絶えず行われて、一定量に保たれています。
ところが液体の産生量が増えるか再吸収量が減るかすると、この均衡が崩れます。
なぜ産生量や吸収量が変化するのかはわかっていません。】


メニエルの場合は難聴や耳鳴りが伴うのですぐに違うとわかった。
しかし軽めの脳梗塞かどうかはCTを撮ってもわからないと書いてあるのだ。

見えない脳梗塞。めっちゃ恐ろしいではないか!!!

脳の血管が小さな何かの欠片で詰まって何が起こるか妄想しながら
その後12時間朝まで爆睡してしまい、なにごともなく現在に至り
まあなんてことない耳石が三半規管のどっかに落っこちただけで、
そういう症状が出る人は多いのよね的なところで落ち着いて
よかったねー、吐き気のない生活ってすんばらしい!と
そのありがたさを享受しているわたくし。

さて今回しみじみ思ったが、自分に今現在起きている症状が
何という名前の病気なのかを知ることは非常に大事である。

どんな疾病にも名前がついているってことはすんばらしいと思う。
そしてめまいと吐き気のない生活もすんばらしい。

ふだんわたくしはいかに健康という状態をただ消費しているか、
そのありがたさに感謝していないか、今回しみじみ考えてしまった。

フツーに動けてごはんを食べ、PCに向かって仕事したり
電車に乗ったり散歩したりという、あたりまえだと信じて疑わない
さまざまなものごとが、全て微妙なバランスの上に成り立っている。
(とくに三半規管の)

日々全てのことに感謝して生きなくてはならないのだ!と
非常に真摯な思いに満たされている今日のわたくし。

元気になったらすぐに忘れるだろうが、とりあえず今回しみじみ
「健康ってすんばらしい!」と思ったので記録として書いておきます。


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おひさまと雨と土とわたくし

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自家採種した菜っ葉のタネ。ちーこいし、こぼれるしだけど、
これを一粒一粒きちんと数えてまかなきゃダメと去年言われた。
「スジまき~パラパラパラ」的なやり方をヒジョーに反省し、今年は!と思ったけど、
結局「スジまき~パラパラパ」でやっちゃいました雑だよね雑。



家庭菜園でなんちゃって有機農業を始めた28歳のとき、
人参のタネをまいて感動した。
タネをまくと芽が出てちゃんと人参になるのだ。驚きだ。

わたくしは畑をざっと耕して元肥を入れタネをまいて水をやっただけなのに
人参は勝手に大きくなってきちんと人参になるのだった。
形がよくなかったり大きくならなかったりいろいろあったが
ともかく冬にはちゃんと人参ができた。

トウモロコシや枝豆もつくったが、ことさらに人参に感動したのは、
発芽率が悪かったり、出てくる芽がヘロヘロして頼りなかったり、
抜くまでどんな形になってるかわかんないわりに、茶色い土から出てくると
ぱあっとしたオレンジ色が目に入り、気分が高揚するからだ。

そして毎回不思議に思った。
あんな小さなタネから毎回同じように人参ができる。
誰がその情報をあの小さなタネに書き込んだのだろう。

発芽させるのが難しい人参と違って、菜っ葉類、
とくにアブラナ科(大根含む)はわりあいと簡単にできる。

というかまあ、無肥料でもタネまいときゃテキトーに発芽して
生育期間も早いし失敗してもまき直しが効いたりするという
なんだかんだ手のかかる果菜類と違ってなんとなくアブラナ科ってバカっぽい。

しかしタネはとても小さく、吹けば飛ぶような大きさで
まいてる最中にポロポロこぼして変なところから発芽したりする。

わたくしの作業はすべからく雑で、もちろんタネまきも基本的に雑なので、
去年プロ農家のタネまきを見て「ぜんぜん違うじゃん!」と反省したが、
それでもアブラナ科はきちんと芽を出し今年も成育を始めた。

数日見に行かなくても、水やりは最初の一回だけでも、
なんだか知らないけど雨が降るとびっくりするぐらい伸びていて、
かぶなどはいつの間にか根っこが太ってちゃんとかぶになっているのだった。

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果菜類の肥料が残ってるので菜っ葉は毎年無肥料で。
1週間に一度雨でも降れば、発芽さえすればテキトーに茂ります。
小松菜なんだかかぶなんだかわかんなくなるのは毎年のことです。
あまり混みすぎると白斑病が出ますから要注意です。



わたくしは地面をならしてタネをまいただけだ。
タネをまいたら勝手にできた人参と同じだ。
アブラナ科はおひさまと雨と土の力で勝手に大きくなるのだった。

毎回発芽後2週間くらいから間引き菜を食べ始めるが、
2日に一度くらいの頻度で収穫しても総量は全く変わらない気がする。
間引いたぶんだけ周りの菜っ葉が大きくなるのだろう、
だから、採っても採っても全然減らないように見える。

どこかでこういうお話読んだよな。と、ふと思う。あれあれ、あの、
グリム童話の、呪文を唱えるとおかゆがどんどん出てくる魔法の壺の話だ。
わたくしの菜っ葉は呪文を唱えなくても勝手に大きくなり、
わたくしのおなかを満たしてくれるのだった。

食べても食べても減らない菜っ葉はこのあと霜にあたって甘くなり、
凍ったり溶けたりを何度も繰り返す。そのうち茎がへちょへちょになり
葉っぱも枯れこんでくる。そうなるとわたくしは食べるのをやめ春を待つ。

春の気配がする少し前から菜っ葉は春を感じるらしい。
地面にへばりついていた菜っ葉から新しい茎が伸び始める。
マットな色調の美しい緑色の茎がぐんぐん伸びて、先端に蕾がつくが、
この蕾もまた、摘んでも摘んでも尽きることがない。

これはわたくしのために伸びるのではなく、受粉してタネをつけるためだ。
わたくしは容赦なく菜の花を摘んでどんどん食べて元気になる。

水と光と空気の刺激で発芽をしたらひたすら生育し花を咲かせタネを実らせる。
小さなタネのなかにこの設計図、生育情報が書き込まれていて、
おひさまと雨と土があれば当初の予定通りに生育する、なんていうのは
ある意味、奇跡なのではあるまいか。

土を耕し肥料を与え、虫に食われないようネットをかけ病害虫予防に農薬をまく。
収穫して美しくパック詰めして出荷して、まるで自分がつくったかのようだが、
実際には野菜は勝手に大きくなる。おひさまと雨と土さえあれば。

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一番おいしいのは白菜の菜の花だと思うけど、白菜難しいので、
べか菜をつくっとります。茎がへちょへちょになる冬は白菜の代わりにして、
春は菜の花を収穫。しかしあのちーこいタネがよくこんなに大きくなるよね。
ありがたや。ごちそうさま。



栽培とは人間が人間の思い通りに作物をつくることだ。

虫に食われてないもの、病気にかかってないものを、
また、肥料が有機質だったり化成肥料だったりするものを
農薬がまいてあったりまいてなかったりするものを、
わたくしたちはあれこれ考え評価して判断し、そして食べる。

でもおひさまと雨と土がなければ植物は育たないのだった。

鉄の塊を飛ばして宇宙に行ったり遺伝子を組み換えて有用なものをつくったり、
何でもできるような気がするが、ヒトにできることは限られている。

なんだか知らないけど好き勝手な感じでものすごーく育ってる菜っ葉を見て、
しみじみ考えた11月の夜でした。


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「有機入り複合肥料偽装」の件でよくわかんなかったこと

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「有機米」として売れなくなると価格もかなり大きく下がるし、
有機圃場に対して出ていた助成金ももらえないし大打撃だと思うんだけど、
なぜか農家の報道をまだ見てないけど想像すると恐ろしいのです。



『秋田など11県の農家に供給している秋田市の肥料メーカー「太平物産」の有機肥料に
5日、成分の偽装表示が発覚した。「製造工程を簡略化した」との説明がある一方
「高価な成分を減らしたのでは」との臆測も出ている。
ただ、農産物の付加価値を高めようとする農家は裏切られた格好で、
県関係者は「聞いたことがない。農家の意欲を落としかねない」と憤った。』
(毎日新聞11月6日より)


最初にこの報道を見たのはNHKのニュースだったが、
全体的に変な報道に思えたのでわたくしは混乱した。

「有機肥料の成分が偽装されたため有機と表示して販売できなくなります」
(アナウンサー)
「有機が信頼できなくなりますよねー。何を信じればいいのか」(消費者)
「困りますねー(的な発言)」(お米屋さん)
「信頼して購入している肥料ですから困ります」(どこかの県のさくらんぼ農家)

ゆ、有機なのになぜさくらんぼ農家???? ← 一番の衝撃

JAに出荷してる人っぽいその農家は有機農家ではなさそうだった。
もしかして特別栽培農産物? 有機JAS適合の肥料なのに特栽に何の関係が?
そもそも有機複合肥料ってどういうもの?

有機JASと表示して販売する農産物には肥料にもキビシーイ決まりがある。
某D社時代に有機農業推進室という部署にいた友人はしょっちゅう農家に
「ちゃんと有機で使えるかどうかメーカーに確認してね」と言っていた。

有機JAS規格に適合しない肥料を使うと有機JAS認証は取得できない。
取得していた農家が適合外のものを使うと有機は取り消しになる。だから、
有機農家は肥料を購入する前にメーカーにちゃんと確認しなくてはならない。

大きく報道されなかったが、今年の春にも有機JAS適合として販売していた肥料が
実は有機に適していなかったという悲しい事件があった。
それを使ってた農家はその肥料を使った圃場で栽培していたものから全て
「有機」をはずさなくてはならなくなった。もちろん有機取り消しである。

これが具体的にどういうことかというと。

コメの場合とくに「有機」には優位性があり付加価値商品として売りやすい。
通常は「有機米」の販売計画をきちんと立てて売り先も確保しているから、
有機米が一般米になると売れなくなる。売り先からペナルティがつく可能性もある。

こういったことに理解のある売り先ならいいが、単に「有機米が欲しいから」で
取引されていた場合(ほとんどがそう)、今年の取引がなくなると
翌年も継続できる保証はどこにもない。
今年の穴に別のコメ農家が入れば、来年はそこに発注されるからだ。

また有機取り消しとは、その圃場は一からやり直しということである。
来年一年間有機JASに適合した栽培を行った後にようやく「転換期間中有機」
の申請を行うことができるのだ。つまり、今年度産及び来年度産を
一般米で販売したその翌年にようやく転換期間中有機で有機シールが貼れるわけ。

有機農産物とは
1.播種・定植前2年間有機JASに適合した栽培をした圃場で
2.栽培した作物にのみ有機JASシールを貼付して販売できる ものだ。
シールは作物に貼られるが、認証は圃場に対して与えられる。影響は数年に及ぶ。

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有機JAS適合肥料でチッソ分が7%以上あるものは「ちょっとそれ
大丈夫なの?」と某D社でよく話してたことを思い出す。有機質肥料なのに
どうやってチッソ分を高くできるのかがよくわからなかったからね。
今回テレビで見た有機複合肥料のチッソは8%だった。高いよなあ。
でも有機で使えるチッソ分の高い肥料ってのは人気なの。



いやー。農家すげー大変。とわたくしは思うのだが、
報道からはそういったことはあまり伝わってこなくて、消費者が
「何を信じたらいいのかわからなくなりますね」なんて言っているのだった。

さらに「有機肥料ではなかったけれど栽培された作物の安全性には
何ら問題はありません」とアナウンサーが一日の間に何度も言うのを聞いて、
わたくしは「どどどど、どういう発言?」と思ってしまったよ。

ああいうことを言うと人はことさらに「安全性」が気になる。
肥料成分に化成肥料が混じってただけなのに安全性とか言うな!!!
んじゃ化成肥料は危険なのか!!! と聞きたくなってしまうじゃないか。

さらにわたくしが混乱したのは「この有機複合肥料を使っていた場合、
有機、特栽と表示して売れなくなります」という言葉である。

まず「有機複合肥料」=「有機質に化成肥料が混じってるもの」
だとわたくしは考えていた。
化成成分が入っていたら最初から有機JASでは使えないから変な話だと思った。
そしてここになぜ「特栽」が入るのかもわからなかった。

特別栽培農産物とは「その地域での一般的な栽培で使用する
農薬&化学肥料(窒素成分)の50%減で栽培されたもの」である。
有機JAS規格適合の肥料に別に関係ないじゃんと思ったのだ。

「有機複合肥料」についての疑問は全農から出たプレスリリースを見て解決した。
http://www.zennoh.or.jp/press/release/2015/212197.html
たーくさんある肥料のなかの一部が特栽と有機に使用されているということらしい。

特栽についての疑問は昨日お風呂に入っててふと思いついた。
わたくしの知っている農家は基本的に有機質肥料のみを使っており
特栽を取得していてもほとんどの人が化成肥料を使っていない。
しかし一般的にはそうではなく、有機質肥料だけで作る人はまれである。

でも特別栽培農産物にはメリットがあるから特栽で作りたい。
だから特栽が取れるチッソ成分50%減ギリギリの施肥設計をしているのではないか。
つまりチッソ成分の比率が変わると50%以上になってしまい特栽ではなくなる。
ううううう。悲しい話だよう。。。

有機JAS取り消しの影響は、販売する際の表示だけでなく
有機圃場に交付されている助成金の返金やそれを何年前まで遡るのかとか、
売り先の減少とか回収費用、もちろん売上も、ものすごーく広範にわたるが、
今後どうなるのだろう。なんだかどんどんいろんな情報が出てくるのだ。

全農取り扱い肥料だからJAがなんとかしてくれるのかな。どうだろう。

そうは言っても、実は我々消費者にとってはあまり大きな問題ではない。しかし、
これをきっかけに「やっぱり有機は信頼できない」的な話が出ないといいな。
なんて思ってしまったわたくし。

あともうひとつ。
人間関係で繋がってる売り先を持つのってやっぱり大事だよね。


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「有機」についての理解度が相変わらず低いのはどういうわけだろう

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わたくしの妹の娘ちゃんが熱心に読み「これヤバっ!」
とか言ってたという『食べもの通知表』。お子様にもわかりやすいと
けっこう評価高いです。しかしいかんせん監修者のネームバリューが。。。



食べものについての講演をさせていただくことがある。

わたくしはそもそも「危険な食べもの」は流通していないと考えている。
販売されてるものは食品衛生法などの法律を順守して作られた
食べても全く問題ない品質のものだからだ。

しかしそれでも「安心できない」人はたくさんいる。

安心できない人が安心するためにはどうしたらいいか。
それは食べものがどのようにつくられているのか、
表示がどうなっているのか農薬や食品添加物にはどんなものがあるのか
なんてことを「知る」ことだとわたくしは思う。

知識を持てば誰かの言うことに右往左往することなく
自力で判断できるし、あとで後悔することもない。
自分のからだは自分が選んで口に入れたものでできるのだから、
人のせいにはできないのだ。であれば、判断材料は多い方がいい。

ってことで、昨日もそういった感じの講演をさせていただいたです。

んで、質疑応答の時間にちょっと興味深い質問をされたので、
それについて考えてみた。どちらも「有機」についての質問である。

ひとつめ→「有機でも農薬が使えるらしい。それは何度使ってもいいから
まき放題にまいてるらしいんだが、それなら慣行栽培と同じだと
雑誌の記事で読んだが、それはどうなのか」

ふたつめ→「有機の青汁を飲んだらおなかを壊した。
原料の有機ケールに虫がいたからだという週刊誌の記事を読んだ友人に
だから有機は危険だと言われ反論したかったができなかった。
なんと反論すればよかったか」

どちらも「有機なんて優位性がないばかりかむしろ危険だ」的な話である。

質問した方のバイアスがかかってると思うので、
その言葉どおりの記事がほんとうにあったのかどうかは置いといて、
「有機」についての理解度の低さは相変わらずなのだなと感慨深かった。

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「有機農産物が危険だ」と言われる理由→堆肥が危険。
寄生虫がいるので虫がわく&牛糞堆肥を使用した場合、高温で
発酵していないとO-157菌が残っていることがある。
たしかにそういうリスクはあるかしらとも思うけど。
未熟な牛糞堆肥使わなきゃいいだけだし。



最初の質問には以下の様に答えた。

有機農産物は有機JAS法という法律でいろいろなルールが決まっているが
農薬は使える。しかし使える農薬は限られており、
それらは使い方を間違えると虫がほとんど死ななかったりする、
変な言葉だが「安全性の高い」農薬である。

そもそも「農薬」については農薬取締法という法律にもとづいて、
希釈倍率や散布量、回数、使ってもいい作物が決まっており、
違反すると農薬取締法違反となる。有機許容農薬だろうがなんだろうが、
「農薬」であれば、農薬取締法で決まってるとおりにしなくてはならない。

だからまきたいだけ何度もまく、なんてことはあり得ない。

慣行栽培では散布する農薬は適用があれば何をまいてもかまわない。
ビシっと効く農薬、殺虫剤で言えば有機リン系、カーバメイト系などの
毒性の高いものや、浸透移行性の高いネオニコチノイド系農薬も使える。

これらは、有機許容農薬のBT剤のように紫外線で分解されたり雨で流れたりして
「全然効かなかったあああああ」的な農薬ではなく必ずよく効く。
そして残念なことに環境負荷も高い。

というような農薬の質(安全性・環境負荷)と回数を考えた場合、
栽培期間中はおおむね10日に一度農薬をまく慣行栽培と、
使える農薬が限られており回数もある程度決まってしまう有機を比べると
有機栽培のほうが安全性が高いと言えるだろう。

質問した方はよくわからないような顔をしていたが、
もっと「有機安全!」と断言したほうが良かったのだろうかいやはや。

青汁話はそもそも虫でおなかを壊すのかって話で
有機はあんまり関係ないようだったが、一応有機をからめてみた。

047.jpg
最近めっきり老眼がすすんで、台所にいたカブラハバチの
ちーこい幼虫をゴマだと思ってちゅっとつぶしてしまったよ。
つぶれてようやく「カブラハバチだったか」と気がついたが、
目が見えなくなるとなんでも平気になるんだなー不思議。



現在日本の青汁メーカーでケールを使っている会社は少なく、
ほとんどの青汁原料は大麦若葉である。大麦若葉が有機栽培できる理由は
小さなうちに収穫してしまうからだ。小さいと虫がつかないのだね。
仮についたとしても若齢幼虫だからちーこいはずだ。

青汁は、原料作物に虫がついていたとしても、収穫後の加工過程で
小さなものなら一緒に粉になってしまうだろう。
乾燥して粉になってもだいじょうぶ。虫=タンパク質だから。

冷凍の青汁でもすり潰されてしまうから同じだ。
そして大丈夫、虫=タンパク質だから。
苦味があってもそもそも青汁が苦いから気づかない。

去年、青汁の菌の数を調べたらあまりにも菌がいないので
製造元に問い合わせたら放射線で殺菌されてたという事件があったが、
粉になったり冷凍されたりした青汁にも菌やカビはいる。

おなかを壊した原因は青汁の保存状態が悪かったか、
粉の場合は溶かした水なり牛乳がよくなかったか。ではないか。

しかしそもそもの記事内容があいまいでよくわからなかったため
「虫が入っててもタンパク質ですからおなかは壊しません」と答えたが、
それはそれでイヤーな話のようだった。

異物混入は姿形が見えるからイヤなのであって、
粉になってたら異物混入ではないのだった。
そもそも、加工品ってそんなもんではあるまいか。

それにしても、有機農産物について理解している人=日本国民の5%という
2011年のオーガニックマーケティング協会のアンケート結果から、
すでに4年経過したが、理解はほとんど進んでいないのではと
わたくしはガックシと肩を落としてしまった。

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例えばミツバチとネオニコチノイド系農薬の関連性は、
ほんとうかどうかわからないというのが現在の状況だと思うのだが、
相変わらずネオニコが原因だから規制をという人や記事を見かける。
人は信じたいものを信じ、見たいものしか見ないということか。



そして相変わらず有機を積極的に批判する人たちはたくさんいるのだった。
日本にたった4%しかいない有機農業の人たちをなぜこれほどまでに攻撃するのか、
わたくしには全く理解できないがどうなっているのだろうか。

なんてことをいろいろ考えてしまったが、
それにしても、人の話を聞くのはおもしろい。

興味深い質問をしてくださった方々、ありがとうございました。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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