アニマルウェルフェアについて考えてみた

とんかつ
豚肉の味は飼料と品種によって変わりますが、
飼育方法によってはそんなに変わらないと思うので、
豚がどんなふうに飼われてるかなんてことは一般的に
あんまり人は気にしないのかもしれませんね。



「アニマルウェルフェアってどう思います?」と畜産農家に質問してみよう。

なんとなく困った顔になる人、あからさまに嫌な顔をする人
怒り出す人などさまざまだが、だいたいにおいてこの話題は好まれない。

アニマルウェルフェアは以前「動物福祉」と訳されていたが
農水省では「福祉」に限定すると意味合いが変わってしまうことから、
アニマルウェルフェア=快適性に配慮した家畜の飼養管理と定義している。

農水省WEBサイトにアニマルウェルフェアについての資料があった。
「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/pdf/aw_meguzi201406.pdf

これによると、1976年 農業目的で飼育される動物の保護のための欧州協定で
経済動物にたいしても権利があること確認したとされている。

えええーそんなに前からなのう? 全然知らなかったなー。

わたくしがこの言葉を初めて聞いたのは1997年頃である。
有機JASが施行されるとかどうとかで、将来的には有機畜産もあるよね、
でもアニマルウェルフェアって概念をクリアできるかどうかだよね
ムリじゃないかなーなんて大地を守る会の畜産担当と話したのが最初だ。

アニマルウェルフェアも有機畜産も日本ではムリだよねと思ったため
わたくしはそれっきり忘れてしまっていたが、世界は着々と動いており、
EUではテキパキといろいろなことが決まっていたらしい。

1991年 子牛の保護のための最低基準を定める理事会指令
子牛の単飼ペン飼育の禁止

1999年 採卵鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
採卵鶏のバタリーケージ(※1)飼育の禁止

2001年 豚の保護のための最低基準を定める理事会指令
妊娠豚のストール(※2)飼育の禁止

2007年 肉用鶏の保護のための最低基準を定める理事会指令
飼養密度33kg/㎡以上での飼養禁止
(「アニマルウェルフェアをめぐる国内外の動き」より)

上記のさまざまな項目は日本では禁止されていない。
おそらく畜産農家のなかには現在進行形で実行中のところも多いだろう。
日本はアニマルウェルフェアでは後進国と言ってもいいのだった。

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一般的な豚はLWDという三元交配のもので早く大きくなり多産です。
一度に10~12頭とか生むそうですが、なかには育たないのもいます。
しかし子豚ってほんとにかわいいすよねえ。連れて帰りたい。


さて、アニマルウェルフェアにおける動物の権利とは以下の様なものだ。

「5つの自由」の実現
1.飢餓と渇きからの自由
2.苦痛、傷害又は疾病からの自由
3.恐怖及び苦悩からの自由
4.物理的、熱の不快さからの自由
5.正常な行動ができる自由

日本でもある程度は実現できているだろうが、5についてはどうかな? 
狭い国土で最大限の効果を上げなくてはならない日本の経済動物の飼育法は
「できるだけ小さな面積で効率よく肉乳卵を作りましょう」なのだから、
実現はほぼできていないと考えてもいいだろう。

採卵鶏でよく行われる強制換羽は1(※3)に当たる気がするが、
10年ほど前はフツーにやってたが、今はどうかな。

さて、ではなぜ日本でアニマルウェルフェアが進まないのか。

以前取材に行ったとき、それまで和やかに話していた養豚農家に
アニマルウェルフェアについてどう思います? とうっかり話しかけて、
「ナーンセンス!!」と激しい口調で一喝されたことがある。

「アニマルウェルフェアは現場がわかってない者の言い草」で、
「役人が考えた机上の空論」でしかないと彼は言った。

たしかに経費と売り上げを考えるとそうなのだろうと思うが、
おそらくこれが一般的な畜産農家の反応ではなかろうか。
そして役人もあまり強くは言えないというような事情があるようだ。

以前、アニマルウエルフェアの勉強会に参加した際、
推進すべき農水の人の発言が業界団体及び農家に気をつかってなのかどうか、
「理想と現実という点もあるかと思いますがえーとえと、あのー」みたいな感じで
わたくしはアニマルウェルフェアが進むことはないだろうと確信した。

しかし、何かにつけ先進的なEUがこういった指針を作るのは当然だが、
なんと動物工場的な畜産の形態をとっているはずの米国ですら、
テキパキとガイドラインが決まっているらしいのだ。びっくり!

そしてマクドナルドやバーガーキングにも独自基準があるらしい。
基準は見つからなかったが、使用されている鶏卵については
強制換羽をしないこと、バタリーケージの面積を広くすること
などが定められているという記事を見つけた。

日本では、平成23年に乳牛・肉用牛・採卵鶏・ブロイラー・豚・馬について
飼養管理指針ができている。よーく読むと「現状を整理してみました」
的なもので、何か規定ができたとか決まったとかではないようだ。

それだけ推進するのが難しいということだろう。
というか日本はマクドナルド以下ってこと?

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母豚が入っているのがストールですが、イマイチわかりにくいすね。
どのおっぱいにどの子豚がすいつくか決まってるらしく、
よく出るところにはでかい子豚が、出ないところには小さいのが、
と、非常にわかりやすく並んでいます。


というように、アニマルウェルフェアにおいて日本はまだまだであり
わたくしたちはそういう肉乳卵を食べていることを忘れてはいけないのだ。

だから何ができるかというと何もできないが、知ってて食べるのと
知らずに食べるのとではなにかが違うはずだとわたくしは信じている。

以下専門用語の解説
※1 バタリーケージ 採卵用の鶏がはいっている檻。一羽につきだいたい
B5サイズくらいのスペースしかないため鶏がぎゅうぎゅう詰めになっていて、
ストレスで尾つつきとかしないようくちばしを切られていることが多い。
少なくともバタリーケージくらいはやめようよ、というのが世界の潮流。

※2 ストール 豚の体の幅ほどしかないせまい檻。妊娠中の母豚がよく入っている。
全く身動きできずただ立ったり座ったりするだけで見るたびに悲しい。
子豚が生まれてもここに入っててずーっと寝そべって授乳しているが、
ストールがあるから子豚を踏みつぶさないという養豚家もいる。

※3 強制換羽 鶏の生態で羽が抜け替わると採卵率が上がるという性質を利用し、
人工的に換羽を起こして採卵率を上げる方法。換羽をさせるため
鶏を一時的に飢餓状態(水しか与えない)に置くことから、
アニマルウェルフェア的にどうなの、という技術。

おまけ・スタンチョン 乳牛の首をつないでいる器具のこと。
規模によっては運動場にも出ず、ずーーーーーっとつながれてる牛もいる。
牛乳のCMで放牧風景を見るたびこれは優良誤認なのではないかと思うわたくし。



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有機農業「運動」という重い外套を脱ぎ捨ててみたら?

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むかーし産地交流とかで産地と消費者を結ぶイベントをよくやってたが、
夜の飲み会で受け入れ農家があーだこーだ消費者に愚痴を言いまくり、
結局なくなった的なこともありました。建前はステキでも、
どこかでひずみが生まれるとそういう事故も起きるです。



「有機農業運動」とは1970年代に始まった市民運動である。

既存の流通や小売のやり方を踏襲せずに、消費と生産の連携により
安全な食べものを生産し消費するだけではなく、環境にも配慮し
子どもたちの世代に持続可能な社会を残そうと生まれたものだ。

大地を守る会はこの中心的な役割を果たしており現在に至る。

しかし現在の社員に有機農業運動とか語っても「はあ?」ってな感じではなかろうか。
ましてやオイシックスの社員においてをや。なんて言っては失礼か。すんません(ペコリ

わたくしが大地を守る会に入社したのは1992年。有機農業運動はまだホットであった。
どころか、脱原発運動、学校給食運動、牛乳パックとか低温殺菌牛乳運動
(知ってる人いるかな)等々の運動が花盛りであった。

わたくしは体を動かす運動ではないさまざまな運動があることを
大地を守る会で初めて知った。

「運動って体育の運動じゃないんすか?」とか当時の上司に口走り、
困ったような顔をされたことを思い出してしまったよははははは。

農家のおじさま方と話したり商品情報誌や機関誌の記事を書いているうちに、
それらの「運動」は知らぬ間に背中にべったりへばりつきわたくしの一部になった。
ことに気づいたのは退社して数年経ってからである。

背中から「有機農業運動」という甲羅がぺりんと剥がれ落ちるのに5年ほどかかった。
現在でもそのかさぶたは残っていてときどき厚くなったり痛くなったりする。
いまだに治療中なのである。しかし、少しずつ傷は癒えているらしい。
なぜなら、有機農業「運動」にときおり違和感を感じるようになったからだ。

違和感はどのあたりにあるか。

おじさま方で群れて若いもんの話を聞かないこと? 「俺が俺が」言うこと?
有機農業推進と言いつつ自分の技術に固執して仲間割れしちゃうこと?
お互いの悪口を言ったりして分裂しちゃうこと?

なんてことはまあ、あなたたちどうなのよ大人気ないわねとは思うが、
そういうことではなく、どうも「有機農業運動」のおじさま方に
マネジメント能力が欠けているからではないかと気がついた。
「人や組織を育てていない」というか育てられない気がするのだ。

数年前、千葉の農家と話していて、ある生産者団体の話になった。

そこでは見学者を受け入れる際に時間単位で料金が発生する。
有料にすることでマナーの悪い人、意識の低い人を排除することができて、
見学を受け入れた農家に日当が出るというしくみである。

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有料イベントにすると質のいい人が来るというのは
今ではよく知られていますが、以前はそうではありませんでした。
無料イベントは建前的には美しいけど質の悪い人が来ることがあり、
イベント終了後のクレームもすげーのが来たりするのです。
「有料イベントには優良な人が来る」。おお、美しいキャッチフレーズ!



「畑を見せるだけでお金取るなんてダメだよねー」と彼は言ったが、
わたくしは「おお、それはスゴイな」と素直に思った。
なんでもそうだが、無償とかボランティアで人を受け入れていると
質が悪く意識の低い人が来ることがある。ということが比較的多い。

自分の作業を数時間取られた上に
失礼な訪問者が来たら誰だって頭にくるでしょう。
しかししかし! これが有料になると来なくなるんですよ!

支払った金額分、何かを獲得して帰らなくてはという意識が生まれるから、
きちんとした人が来るようになり、受け入れ側のストレスもたまらない。
作業を中断してもその分の日当が出れば受け入れがいもあるというものだ。

その話をしてくれた農家は別の生産者団体の一員だったが、
見学を有料にする等の検討はせず「あそこはひでーなー」と
ただ単に「有料」の部分のみを切り取って怒っているのだった。

わたくしはこの「有料」の罪悪感は、もしかしたら有機農業運動の
「運動」部分がそう思わせるのではないかと考えた。
生産者と消費者はいっしょに手を取り合って運動してるのだから同志である。
であれば、見学者に対しても無償でなくてはならないのだ。

「運動」ではなくビジネスの一環として受け止めれば有料はアリだし、
受け入れた農家も来た人も皆がハッピーになれる方法を考えることが
マネージャーの役割だと思うが、それはできないようなのだった。

もしかしたら「運動」はミョーな足枷になっているのではないか。

世界はものすごい早さで変わっていて、消費者の意識も昔とは違う。
「有機だから」「無農薬だから」虫食いOKなんて人はいない。
有機農産物は見ためも良く、さらにおいしくなくてはならない。

少し前までは消費者も生産者もお互いに手を取り合ってやっていこう的な
有機農業運動の残り香が通用する人たちがたくさんいて、
「お互い理解できているよね」「うんうん」的な前提でおつきあいができたが、
現在急速に「そういうのウザいですから!」的な人が増えているのだ。

これは若い人ほど顕著なようである。とくに農家に。

しかし不思議なことに消費者には産地訪問的なイベントは人気があり、
農家の話を聞いたり農業体験したりするのは大好きなのだった。

つまり「運動」とかそもそもよくわかんないしどうでもいいけど、
「農業楽しい!」「畑行くのうれしい!」というシンプルな
「土と親しむ」的なヨロコビは今も昔も変わらずあるということであろう。

そのような意識の変化について行けず、過去に固執し変化できないから
「ウザいんですけど」とか言われてしまうのではあるまいか。

重い外套を着込んでいては軽やかに動けないし、どうかするとカビ臭くて嫌われる。
昨今のパタゴニアのダウンジャケットだってぺらんぺらんですげー軽くて暖かく、
10年前のもこもこダウンなんか着てるとすげー恥ずかしいのだ。
しかも動きも鈍くなるのだ。

おじさま方、そんな感じで「運動」というヨロイというか外套を脱ぎ捨てて、
「俺が俺が」ではなく全体を俯瞰してみて後進を育ててみてはどうでしょうか。
いや、若いもんもいつかはわかってくれますって。



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実は有機栽培より減農薬栽培に向いている土着天敵活用法

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アザミウマ類の強力な天敵「ヒメハナカメムシ」はシロツメクサで増えます。
夏に定着させるならオクラがGOOD。見つけるのむずかしいけど
有機の露地のナス畑によくいます。アザミウマだけでなく
いろんな害虫を食べてるらしいです。写真撮影・市川泰仙氏



株式会社マルタの冬期全国生産者会議に参加してきたです。

お目当ては一日目の懇親会と(えへ)、二日目の
宮崎大学農学部植物生産環境科学科・大野和朗さんの講演
「地域に生息する土着天敵を活用した害虫管理」である。

大野先生の講演は大地を守る会でも何度かお聞きしたが、
聞くたびに新たな発見があって、興味深い内容でとてもおもしろい。
今までわかってなかったことが次々に明らかになっているようだ。

しかし研究の現場でいろいろわかってきていても、天敵の活用は
施設栽培の農家を除くと実践されてはいないように思える。

とくに露地栽培での天敵の活用などはあまり聞いたことがないが、
実は露地でも有効な土着天敵を利用した害虫管理が可能だということが
今回の講演で具体的によくわかった。明日からすぐにできる対策である。

それが「天敵温存作物」を植えること、である。

農業とは自然にやさしいというようなイメージというか妄想があるが、
実はとくに自然にやさしくもなくけっこうな勢いで環境を破壊している。

たとえば、生態系の破壊(農薬による昆虫類・微生物類の殺戮)、
単一作物栽培(モノカルチャー)による植生及び生態系の破壊、
多肥(チッソ肥料)による地下水等の汚染など、枚挙にいとまがない。

そういう意味で放出する化学物質量が少ない有機農業に意味はある、と
わたくしは常日頃考えているがとりあえずそれは置いといて。

生態系の機能のひとつに天敵によって他の生物の発生が抑えられる
「自然制御」があるが、実は農業現場ではあまり機能していない。
天敵の活躍を制限してしまう要因があるからだ。

この要因が有機リンや合成ピレスロイド系農薬のような絶滅系農薬や、
単一作物栽培による「モノカルチャー」であると大野先生は言う。

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日本にはアブラバチがたくさん生息しているそうなのですが、
天敵農薬として売られてます。土着のアブラバチを利用すれば
お金かからんと思います。アブラバチはアブラムシの天敵です。
写真撮影・市川泰仙氏



単一作物の大規模栽培=害虫天国であることは農家なら誰でも知っているだろう。

その作物が好きな害虫が発生し、卵を産み孵化しまた産卵して、
数世代にわたって同じ害虫が同じ畑で繁殖する。
対策は農薬だがそのうち効かなくなりリサージェンスが起きたりする。
※リサージェンス 抵抗性がつき農薬が効かない害虫が大量発生する恐怖の状態

少量多品目栽培などのポリカルチャー(多植栽培)や
自然栽培の畑でよく見るミックスカルチャー(混植栽培)だと
さまざまな植物があることで特定の害虫が大発生しづらい環境ができ、
その多様性が天敵も呼び寄せることから、自然制御はある程度可能である。

とは言っても近隣の畑で絶滅系農薬を散布されれば天敵は死ぬ。

ちなみに慣行農家が「有機の畑から害虫が飛んでくるから迷惑」とよく言うが、
実は「有機の畑で増やした天敵を慣行の畑で全部殺されてて迷惑」なので、
慣行栽培の人にそう言われたら有機の人はちょっと怒っていいと思います。

んじゃ日本の畑全体をポリカルチャーにすればいいんじゃん? と思うが、
そのようなことをするのは効率・手間その他もろもろでむずかしい。
高原レタス産地の人に「レタスの間にセロリを一列ずつ植えて」とか言ったら
張り倒されるだろう。現在の日本の農業はそういう方向を目指してはいない。

とりあえず大野先生はポリカルチャーを目指すのではなく、
圃場周りに天敵温存作物を植えることを勧めている。

天敵温存作物とは、小さな花を長い間にわたってつけるハーブや、
花粉をたくさん出してくれる作物、分泌物を出すオクラなどである。

これまでのIPM(総合的病害虫管理)では、天敵vs天敵という考え方が主で、
研究発表でもアブラムシと天敵の数のグラフなどがよく表示され
「問題はアブラムシが減ってきたら天敵が死んでしまうことです」
なんて話をよく聞いた。当時は天敵は害虫しか食べないと考えられていたからだ。

現在では、天敵は害虫がいないときには花粉や蜜を食べていて
花粉や蜜があれば畑で生きていけることがわかっている。
花蜜は天敵のエネルギー源、花粉は繁殖のための栄養源であり、
花粉が足りないと卵を産まないなどのこともわかってきた。

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移動距離が長いと考えられてきたヒラタアブですが、最近
エサがあれば長いことその場にとどまることがわかってきたらしい。
幼虫を常時供給するためには花粉が多い花を植えてメスを呼ぶこと。
雌は複眼の間に白いラインが入ってるのでよく見るとわかります。



大野先生の研究でわかった「天敵の強化」を目的とした
天敵温存作物(大野先生オススメ)は以下のとおりです。(講演資料より)

ノースポール
スイートアリッサム
ハゼリソウ(緑肥として使えて種が安い)
ソバ(いろんな種類の天敵が観察されているオールマイティな花)
クレオメ(すげー花粉を出すらしい。作物と言うより庭木?)
三尺ソルゴー(畑に植えるときには周囲にぐるりと植えないと逆効果)
スイートバジル(シソ科植物はながーいこと花をつけるのでオススメ)
ホーリーバジル(同じ)
シナモンバジル(同じ)
コリアンダー(パクチーは春先に花が咲くのでオススメ。人参もオススメ)

つーことで、プランターのトマトにアブラムシがわいてたまらん! と言う人は、
パクチーを植えれば開花期にヒラタアブが来て卵を産んでくれるでしょう。

また、せっかくの畑に金にならないものを植えるなんて許せん!
という農家には、大野先生はオクラを勧めている。
オクラから出る樹液(真珠体)が食べものになるため、アザミウマ類の天敵の
ヒメハナカメムシやカブリダニが安定的にいついてくれるらしい。

大野先生は、実は有機の畑よりも「これから農薬を減らしたい」と
考えている農家にこそ天敵の活用が向いていると考えている。
減農薬だと効果も見えやすいと言う。対策は簡単である。

1.今使っている絶滅系農薬を減らし天敵を殺さない選択制農薬を使うこと。
2.畑の周りに上記のような花が咲く草や作物を植えること。
これだけで天敵が増え害虫が目に見えて減ってくるそうだ。

大野先生が実験を行っている宮崎のナス農家では、農薬散布数が激減し、
コスト&労働力の点で非常に効率化できて感謝されているそうである。

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4月になると越冬していたテントウムシ類が活動を始めます。
カラスノエンドウにつくアブラムシは作物に被害を与えないので、
そこにテントウムシを誘引し、畑で卵を産んでもらいます。
孵化した幼虫は畑のアブラムシを食ってくれます。←理想の形。



わたくしは最近、有機の畑が増えるのも大切だが、
慣行栽培の人が農薬を減らすことも同じくらい大切だと思うようになった。

日本の畑は小規模な面積のものが多いから、畑は単一作物でも、
俯瞰してみれば一反ごとに違う作物が植わっていたりして、
結果的にポリカルチャーになっていると言えなくもない。

だから地域で減農薬をしていけば擬似ポリカルチャーがつくれる。
大野先生は今それを目指しているのだそうだ。そうすれば、
天敵が地域全体で増え、害虫管理の一助を担うことができるようになる。
そして地域全体の減農薬がますます進む可能性もある。

そのような時代が来ればいいとわたくしは思う。
だからJAの人は天敵農薬買ったハウス農家に絶滅系農薬売るとかの、
変なことするのはやめた方がいいと思います。

オーガニック・エコとか言う以前に減農薬栽培を増やしましょうよ、
ねえ、みなさん。


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グラスフェッドビーフのなにがいいのか調べてみた

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「山形村短角牛」。自然繁殖で初年度は放牧、その後穀物で肥育します。
数十年前に2年間放牧してみたことがあるのですが、肉が硬くなってダメだった、
とのことでした。今なら意外とイケるかも。高いからムリか。


アメリカの牛にBSE(牛海綿状脳症・いわゆる狂牛病)が見つかり
輸入禁止になった際の吉野家の対応を覚えていらっしゃるでしょうか。

他の牛丼チェーン店では米国産牛肉からオーストラリア産に切り替えたのに、
吉野家では牛丼をやめて豚丼を展開し輸入再開まで乗り切りました。
理由は「米国産牛肉でないと吉野家の味が出せない」でした。

現在も吉野家の牛丼は米国産牛肉を使用していますが、
国内子牛価格の高騰により牛肉の価格が全体的に上がっており、
米国産牛肉も高値の昨今、牛丼価格は現在380円らしいです。

安っ!! でもこれでも割高なんですってよビックリだ。

わたくしは吉牛もその他の牛丼も食べたことがないのですが、
知る人によりますと「吉牛はおいしいけどあとはねー」ってことでした。
何が違うかというと「肉の味が違う」のだそうです。

牛よりも40円ほど安価なその他の牛丼チェーン店ですが、
以前はオーストラリア産(以降豪州産・ニュージーランド産含)メインだったのが、
最近では米国・メキシコ産なども加わっています。味も変わってるかもしれません。

米国産牛肉は日本の肉牛同様グレインフェッドのため、
日本人が食べてもおいしいと思う味に仕上がっていますが、
豪州産牛肉はグラスフェッドのため、味がいまひとつ、
というか日本人の口に合わないと評価されることが多いのです。
そのかわり、米国産と比較して価格がかなり割安になります。

これは関税の金額も影響しているようですが、米国産との差別化のため
肉自体安価なものしか仕入れていないという可能性もあります。
価格が同じならおいしい米国産に勝てないのはいかんともしがたいのです。

ここ数年で豪州産でもグレインフェッドの肉が増えてはいますが
とくに記載が無ければグラスフェッドと考えてもいいでしょう。

ファミレスのサイトを見るとわざわざ「グラスフェッドビーフ」などと
あたかも優位性があるかのように書いてありますからわかりやすいです。
昨今の「なんとなくグラスフェッドビーフいい」的な波にうまく乗っています。

なかには「豪州産穀物牛」と記載されていたりもしますが、
牛の表記がまちまちでわかりにくーい!!! とか思う人はいないのでしょうか。
あるファミレスでは「大麦牛」と記載されておりまして、
主たる飼料が大麦だからということでした。何が何だかよくわかりません。

ともあれファミレスの「グラスフェッドビーフ」は
豪州産、と考えていいでしょう。ステーキが安いのもうなづけます。

んで、グラスフェッドビーフの何がいいのか。
つーことで検索してみました。

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肉のうまさをそのまま楽しめるのは炭火焼きだと思いますが、
これは短角牛のように肉自体がおいしくないとムリな調理法です。
豪州産牛肉をおいしく食べるための工夫で「熟成肉」が開発されましたが、
そもそもがおいしい和牛を熟成するとか意味不明です。



オレイン酸が多いとか、草を食ってる羊にも多いLカルニチンが多いとか、
栄養価的な部分での評価が高くなっておりまして、ふーんって感じです。
とくに牛肉を食べて健康にならなくていいのではないかという気がします。

わたくし的には「人が食えない草を食って肉や乳になる」という
未利用の資源を資源化してくれるという本来の牛のあるべき姿というか、
環境的な部分がものすごーい優位性だと思うのですが、
どちらかというと「健康にいい肉」という認識が広まっているようです。

本来の食べものである草を食べて健康に育った牛ってな感じでしょうか。

では、穀物を食ってる牛は不健康なのかというと
内臓廃棄率が高いと昔から言われていますが公開されていないので不明です。
いろいろなウワサ話をよく聞きますが伝聞情報なので書きません。

しかしほんとに「グラスフェッドビーフは健康にいい」のか?
わたくしはふと不安になりました。

「グラスフェッドビーフ=草食ってる=健康にいい」のかもしれませんが、
豪州産牛は一般的には成長ホルモン剤が飼料添加されておりまして、
この部分だけで言うと米国産牛肉とあまり変わりません。
成長ホルモン剤は健康にいいのでしょうか。

ちなみに国産の牛肉には治療目的以外のホルモン剤は禁止です。
さらにちなみに、EUは輸入牛肉にも禁止しているため、
豪州産牛肉は成長ホルモン剤不使用のものが出荷されています。
日本でも不使用の肉は売られていますがとくに記載がなければ使用されています。

また、前回も書きましたがどの段階まで草食ってたのかということも、
はっきりと明示されているわけではないので(とくに国産)よくわかりません。

肥育期間中に穀物食ってても育成期に草食ってたからグラスフェッド、
なんつー悪質な表示とかありそうです。というか可能です。
注意書きを小さく書いておけば大丈夫。景品表示法には引っかかりません、

ネットで検索してみていくつか出てきたグラスフェッドビーフのなかには、
使用管理表及び飼料が全く公開されていないものもあります。
何を指して「グラスフェッドビーフ」と称しているのかが不明です。

現在の「グラスフェッドビーフ」には、有機農業の黎明期の
「農薬一回しか使ってないからほとんど有機」的な、言ってみれば
「なんでもアリ」のニオイがプンプンしておりまして、消費者は
「グラスフェッドビーフ」に踊らされないよう注意が必要かと思います。

伝聞情報で恐縮なのですが、なかには経産牛(子どもを産ませる牛)で
子どもを産まなくなってあとはミンチにするような牛を放牧して草を食わせ
「グラスフェッドビーフ」と称してチョー高値で売ったりする例もあるようです。

それはまあ、確かにグラスフェッドなので何の問題もないし、
消費者にその旨きちんと説明してればさらに何の問題もないのですが、
説明してなかったらちょっとどうなのか、という話でしょう。

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「野山を思い切り駆け巡りのびのび育ったグラスフェッドの
健康的なお肉です。高タンパク低カロリーで健康が気になる方にぴったり!
まずは塩とこしょうのみでお肉そのままの味わいをお楽しみください」
売れないかなー鹿肉。いいセン行ってる気がするんだけどなー。



グラスフェッドは現在のお肉の評価システムでは低い評価しか与えられませんから
とくに国産の場合、市場を通さず個別の販売という流れを取ることが多い肉です。

草だけ食わせた牛の肉の味を良くするためには飼育日数もそれなりにかかりますし、
月齢が長くなればそのぶん経費もかかりますから、それなりの価格でないと売れない、
というような事情があるからです。だからこそ広まらないのかもしれません。

わたくしは有機農業運動出身者ですから「グラスフェッドの牛」の意味や
その優位性(環境及びアニマルウェルフェア的な部分も含めて)を
きちんと伝える努力が、売る側にもつくる側にも必要だと考えます。

なんとなく「グラスフェッド」が一人歩きしているような気がする昨今ですが、
ご購入の際にはいろいろな情報を吟味した方がよろしいかと思う次第です。

ところで「グラスフェッド」と言えば未利用のすんばらしい食材があります。
農産物や木の皮も食べますがほぼ草しか食べていない「グラスフェッドディア」。
とゆーか、フツーのニホンジカとエゾシカ。

野山を駆け巡り人んちの畑でおいしいトウモロコシ食ったりしてのびのび育った鹿。
「健康にいい」という意味ではこれ以上のものはないのではと考える次第です。


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グラスフェッドビーフってなんなんだというギモンその2 肉牛

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『外食女子~』のためのリサーチでオージービーフ食べました。
メニューに「穀物牛」と書いてありました。グラスフェッドじゃないのでしょう。
しかしほとんど味がしないし硬い肉だったです。月齢が若いのかもなー。


スシやトーフとともに世界的に有名になりつつある和牛。
日本人でも日常的にはお高くて食べられない和牛。

和牛には4種類あって、みたいな話は長くなるからはしょりますが、
日本には「和牛」のほかに「国産牛」「輸入牛」が売られています。

国産牛はホルスタインのオス(去勢牛)や経産牛(ミンチとか)などですが、
最近ではホルと和牛の交雑(F1とも呼ばれる)などもあり、
F1は和牛の血統が入っているのでホルよりもちょっとおいしい、
しかも和牛と比較してお手頃価格、というようなメリットがあります。

輸入牛肉はアメリカとオーストラリア・ニュージーランドがほとんどで、
外食産業ではオーストラリア・ニュージーランドの牛がよく使われます。安いから。
そしてオーストラリア・ニュージーランドの牛が主にグラスフェッドと言われます。
(グレインフェッドのものもあります)

んじゃ肉の場合はオーストラリア・ニュージーランドの牛肉が
グラスフェッドなんじゃん? ってことでこの項終わり。
んではおもしろくないのでお肉屋さんにいろいろ聞いてみました。

さて、ひとことで肉牛と言いますが、実は飼育されている期間が違います。

例えば和牛(メス)は30~32か月※神戸・松坂牛などは36か月、
和牛(去勢オス)は28~30か月。オスは早くでかくなるのですね。
交雑牛25~28か月、ホルスタイン18~20か月※北海道などで16か月とかもあり。

アメリカ・オーストラリアの飼育期間は不明です。
しかし双方成長ホルモンを与えており増体率がかなり大きいはずなので
18~20か月くらいなのではないでしょうか。アメリカはも少し長いかもね。

つーことで、和牛は3年弱、国産牛は2年弱飼育されて肉になります。
和牛がお高いのは血統がいいのももちろんなのですが、
長生きしているぶんエサを食べているから、とも言えます。
そして月齢が高い方が肉の味は奥深くおいしくなる、とも言えます。

以前大地を守る会でホルスタインの未去勢のオスの肉、
「ヤングブルビーフ」という商品を扱ったことがありました。
これは飼育期間が16ヶ月弱で価格的には安いのに売れませんでした。
若い=おいしくないのです。これはいかんともしがたいのです。

日本人は「塩とこしょうだけで食べておいしい肉」が好きなので、
ソースをゴッテリとかチーズをまぶしたカツで、みたいなのは
性格、というか食習慣に合わないということでしょう。

nik2u.jpg
ふるさと納税で届いた「とっとり牛」。微妙な名前がついていますが、
和牛ではありませんからたぶんホルスタインでしょう。
サシの入り具合が微妙で味も和牛には及びませんが、
ふるさと・鳥取の牛肉ですから牛丼にしておいしくいただきました。


飼育期間もただ飼育してるわけではなく、おおまかに3つのステージがあります。
まず生まれてから市場に出るまでの「子牛」、次が肥育に入るまでの「育成」、
肉を霜降りにしたりおいしくしたりする「肥育」の3段階です。

子牛や育成期の牛は北海道では放牧されてたりしますが、
内地では運動場で草食ってたりします。なんとなく放牧されてる感があります。
またほんとに育成期までの子牛を放牧して優位性を持たせている産地もあります。

ですから牛によってはここだけ切り取って「グラスフェッドビーフ」とも言えます。
ビオセボンの販売の人が「育成期間中は放牧しています」とおっしゃって
「グラスフェッド」と言ったのはこの誤解によるものだと思います。

実は子牛も育成期の牛も穀物飼料を食べており、
草だけ食べているのは非常にまれなのだそうです。
つーことで修正しました(2月2日)。

肥育期には肉の味をのせるため飼料は穀物主体になります。
ここで筋肉に美しい脂肪を交雑させる技は日本ならではです。

肥育段階では穀物や牧草を食べているため脂肪の色が黄色くなりますが、
仕上げに干し草やワラを食べさせるとまっしろに変わります。
こうしてうっすらピンクの美しい霜降り肉ができるのですねー。

肉の仕上がりはすんばらしくても牛自体はビタミン欠乏寸前になってたりします。
ほんとうの欠乏症になると関節に膿が溜まったりして障害が起きるため
それはよくないのでギリギリを狙います。この技術も日本ならではでしょう。

この肥育方法がいいとか悪いとかかわいそうとかではなく、
おいしい肉はこのようにつくられていると知る必要はあるでしょう。

和牛と国産牛の作り方は違いますがざっくり言うとこんな感じです。
で、草だけ食わせた、つまりグラスフェッドビーフはどんな肉になるのでしょう。

前述しましたが、肥育期間中に草を食わせると脂肪の色が黄色くなります。
穀物を食わないのでサシが入らなくなり、肉の味も変わります。
また、通常の飼育期間では肉が硬くなるのではないかと思います。

このような肉を格付市場に出すとA2とかA1とかになりいい値段はつきませんから、
契約販売をする必要があるでしょう。つまり説明商品になる、ということです。
うーん、売るのがむずかしそう。でも草しか食ってないなら安くていいのか?

国産のグラスフェッドビーフをめったに見かけないのは
絶対数が少ない&一般で売っても評価されないからかもしれません。

これから広がっていくのかどうかもわたくしにはわかりませんが、
ビオセボンの短角肉がもっと売れれば広がるかもね。
※肥育期間中も草しか食ってないならポップにそう書きましょう。

DSC00854_20170201105325284.jpg
大地を守る会で取り扱っている日本短角種。赤身のお肉ですが、
ななななんと! すべて国産の穀物で肥育しております。
しかしこれが格付市場に出るとA2とかになってしまうのですようううう。
「全部国産飼料」という究極の説明商品。もっと売れて欲しいです。



ということで、そもそも放牧で草食ってるオージービーフが
グラスフェッドビーフとかでクローズアップされるわけです。
ただすんばらしくおいしいとは言えないというネックがあります。

その理由もお肉屋さんに聞きましたが、なんか長くなってしまったので
オージービーフとアメリカ産牛肉については次回に回します。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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