グラスフェッドビーフのなにがいいのか調べてみた

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「山形村短角牛」。自然繁殖で初年度は放牧、その後穀物で肥育します。
数十年前に2年間放牧してみたことがあるのですが、肉が硬くなってダメだった、
とのことでした。今なら意外とイケるかも。高いからムリか。


アメリカの牛にBSE(牛海綿状脳症・いわゆる狂牛病)が見つかり
輸入禁止になった際の吉野家の対応を覚えていらっしゃるでしょうか。

他の牛丼チェーン店では米国産牛肉からオーストラリア産に切り替えたのに、
吉野家では牛丼をやめて豚丼を展開し輸入再開まで乗り切りました。
理由は「米国産牛肉でないと吉野家の味が出せない」でした。

現在も吉野家の牛丼は米国産牛肉を使用していますが、
国内子牛価格の高騰により牛肉の価格が全体的に上がっており、
米国産牛肉も高値の昨今、牛丼価格は現在380円らしいです。

安っ!! でもこれでも割高なんですってよビックリだ。

わたくしは吉牛もその他の牛丼も食べたことがないのですが、
知る人によりますと「吉牛はおいしいけどあとはねー」ってことでした。
何が違うかというと「肉の味が違う」のだそうです。

牛よりも40円ほど安価なその他の牛丼チェーン店ですが、
以前はオーストラリア産(以降豪州産・ニュージーランド産含)メインだったのが、
最近では米国・メキシコ産なども加わっています。味も変わってるかもしれません。

米国産牛肉は日本の肉牛同様グレインフェッドのため、
日本人が食べてもおいしいと思う味に仕上がっていますが、
豪州産牛肉はグラスフェッドのため、味がいまひとつ、
というか日本人の口に合わないと評価されることが多いのです。
そのかわり、米国産と比較して価格がかなり割安になります。

これは関税の金額も影響しているようですが、米国産との差別化のため
肉自体安価なものしか仕入れていないという可能性もあります。
価格が同じならおいしい米国産に勝てないのはいかんともしがたいのです。

ここ数年で豪州産でもグレインフェッドの肉が増えてはいますが
とくに記載が無ければグラスフェッドと考えてもいいでしょう。

ファミレスのサイトを見るとわざわざ「グラスフェッドビーフ」などと
あたかも優位性があるかのように書いてありますからわかりやすいです。
昨今の「なんとなくグラスフェッドビーフいい」的な波にうまく乗っています。

なかには「豪州産穀物牛」と記載されていたりもしますが、
牛の表記がまちまちでわかりにくーい!!! とか思う人はいないのでしょうか。
あるファミレスでは「大麦牛」と記載されておりまして、
主たる飼料が大麦だからということでした。何が何だかよくわかりません。

ともあれファミレスの「グラスフェッドビーフ」は
豪州産、と考えていいでしょう。ステーキが安いのもうなづけます。

んで、グラスフェッドビーフの何がいいのか。
つーことで検索してみました。

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肉のうまさをそのまま楽しめるのは炭火焼きだと思いますが、
これは短角牛のように肉自体がおいしくないとムリな調理法です。
豪州産牛肉をおいしく食べるための工夫で「熟成肉」が開発されましたが、
そもそもがおいしい和牛を熟成するとか意味不明です。



オレイン酸が多いとか、草を食ってる羊にも多いLカルニチンが多いとか、
栄養価的な部分での評価が高くなっておりまして、ふーんって感じです。
とくに牛肉を食べて健康にならなくていいのではないかという気がします。

わたくし的には「人が食えない草を食って肉や乳になる」という
未利用の資源を資源化してくれるという本来の牛のあるべき姿というか、
環境的な部分がものすごーい優位性だと思うのですが、
どちらかというと「健康にいい肉」という認識が広まっているようです。

本来の食べものである草を食べて健康に育った牛ってな感じでしょうか。

では、穀物を食ってる牛は不健康なのかというと
内臓廃棄率が高いと昔から言われていますが公開されていないので不明です。
いろいろなウワサ話をよく聞きますが伝聞情報なので書きません。

しかしほんとに「グラスフェッドビーフは健康にいい」のか?
わたくしはふと不安になりました。

「グラスフェッドビーフ=草食ってる=健康にいい」のかもしれませんが、
豪州産牛は一般的には成長ホルモン剤が飼料添加されておりまして、
この部分だけで言うと米国産牛肉とあまり変わりません。
成長ホルモン剤は健康にいいのでしょうか。

ちなみに国産の牛肉には治療目的以外のホルモン剤は禁止です。
さらにちなみに、EUは輸入牛肉にも禁止しているため、
豪州産牛肉は成長ホルモン剤不使用のものが出荷されています。
日本でも不使用の肉は売られていますがとくに記載がなければ使用されています。

また、前回も書きましたがどの段階まで草食ってたのかということも、
はっきりと明示されているわけではないので(とくに国産)よくわかりません。

肥育期間中に穀物食ってても育成期に草食ってたからグラスフェッド、
なんつー悪質な表示とかありそうです。というか可能です。
注意書きを小さく書いておけば大丈夫。景品表示法には引っかかりません、

ネットで検索してみていくつか出てきたグラスフェッドビーフのなかには、
使用管理表及び飼料が全く公開されていないものもあります。
何を指して「グラスフェッドビーフ」と称しているのかが不明です。

現在の「グラスフェッドビーフ」には、有機農業の黎明期の
「農薬一回しか使ってないからほとんど有機」的な、言ってみれば
「なんでもアリ」のニオイがプンプンしておりまして、消費者は
「グラスフェッドビーフ」に踊らされないよう注意が必要かと思います。

伝聞情報で恐縮なのですが、なかには経産牛(子どもを産ませる牛)で
子どもを産まなくなってあとはミンチにするような牛を放牧して草を食わせ
「グラスフェッドビーフ」と称してチョー高値で売ったりする例もあるようです。

それはまあ、確かにグラスフェッドなので何の問題もないし、
消費者にその旨きちんと説明してればさらに何の問題もないのですが、
説明してなかったらちょっとどうなのか、という話でしょう。

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「野山を思い切り駆け巡りのびのび育ったグラスフェッドの
健康的なお肉です。高タンパク低カロリーで健康が気になる方にぴったり!
まずは塩とこしょうのみでお肉そのままの味わいをお楽しみください」
売れないかなー鹿肉。いいセン行ってる気がするんだけどなー。



グラスフェッドは現在のお肉の評価システムでは低い評価しか与えられませんから
とくに国産の場合、市場を通さず個別の販売という流れを取ることが多い肉です。

草だけ食わせた牛の肉の味を良くするためには飼育日数もそれなりにかかりますし、
月齢が長くなればそのぶん経費もかかりますから、それなりの価格でないと売れない、
というような事情があるからです。だからこそ広まらないのかもしれません。

わたくしは有機農業運動出身者ですから「グラスフェッドの牛」の意味や
その優位性(環境及びアニマルウェルフェア的な部分も含めて)を
きちんと伝える努力が、売る側にもつくる側にも必要だと考えます。

なんとなく「グラスフェッド」が一人歩きしているような気がする昨今ですが、
ご購入の際にはいろいろな情報を吟味した方がよろしいかと思う次第です。

ところで「グラスフェッド」と言えば未利用のすんばらしい食材があります。
農産物や木の皮も食べますがほぼ草しか食べていない「グラスフェッドディア」。
とゆーか、フツーのニホンジカとエゾシカ。

野山を駆け巡り人んちの畑でおいしいトウモロコシ食ったりしてのびのび育った鹿。
「健康にいい」という意味ではこれ以上のものはないのではと考える次第です。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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