食品添加物のそもそもの問題を考えてみた

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「マクドナルド社のパティはビーフ100%です」という新聞広告を見ました。
パティはオーストラリア産ビーフのトリミング肉100%で作られています。
トリミング肉がどうかってのは置いといて添加物も使ってないらしいです。
でもバンズとかピクルスとかチーズとかは別。



「食べたら危険」「食べてはいけない」と言われる食品添加物ですが、
基本的に「売ってる食べものは危険じゃない」という前提で
ものごとを考えたほうが健全でいられるとわたくしは常日頃考えております。

危険だ発がん性がある病気になると言われると不安ですが、
実際に食品添加物の基準値や安全性がどのように担保されているか、
知っている人は少ないのではないでしょうか。

「添加物とは食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、
食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するものをいう。」
(食品衛生法第4条第2項)。

食品添加物は食物の保存性を増し、香りを豊かに、食味や見ためをよくする、
などの目的で加工食品に使用されており、わたくしたちの食卓を豊かに、
そして便利にしてくれるという大変なメリットがあります。

しかし、日々食べるものでもあるため安全性の確保が必要でもあります。
つーことで以下書いてみました。

1.種類
添加物には、甘味料・着色料・保存料・増粘剤・安定剤・酸化防止剤
・発色剤・漂白剤・防カビ剤・香料・酸味料・調味料・乳化剤・pH調整剤
などの種類があります。

基本的には食品の裏側の一括表示では物質名が表示原則ですが、
しなくていいものや簡略名とかで表示されているものもあります。

添加物は「指定添加物」「既存添加物」「天然香料基原物質」
「一般飲食物添加物」に分類されます。このうちの指定添加物は
原則として厚生労働大臣の指定を受けたものしか使用できません。

2.安全性
まず動物実験が行われます。

実験の内容は28日間・90日間・1年間反復投与毒性試験、繁殖試験、
催奇形性試験、発がん性試験、抗原性試験、変異原性試験などで、
動物に毒性が現れない最大の量=無毒性量を求めます。
この無毒性量に安全係数0.01をかけます。

これは、動物よりもヒトの方が10倍感度が高い&感受性の差異が10倍ある
という考え方で、動物の無毒性量の100分の1(✕安全係数0.01)が
一日摂取許容量(ADI)となります。

動物実験のデータが不足している場合は安全係数が高くなる場合もあります。
ADIは毎日一生涯その量をとり続けても安全な量で、
体重1kgあたりの数値となります。

3.指定方法
食品添加物は指定を要請する事業者から、その添加物の有用性
及び安全性に関する資料を添付し、厚生労働大臣に要請します。

資料の内容は、起源または発見の経緯、諸外国による使用状況、
国際機関等における安全性評価、物理的化学的性質などなどですが、
その後食品安全委員会や薬事・食品衛生審議会の諮問・検討を経て、
国民から広く意見を聴取するなどして指定が決定されます。

手続きの書類を見ると大変とてもめんどくさそうです。

4.成分規格
添加物そのものに不純物などが含まれていると、
健康危害を引き起こしますから、そういうことのないよう、
純度・成分・製造の際の副産物や有害物質の含有量の上限値
などについて成分規格が定められます。
この規格に合わない添加物を使用・販売してはいけません。

5.使用基準

国民健康・栄養調査などから各食品の摂取量を調べて添加物の摂取量を推定し、
ADIを大幅に下回るよう考慮して添加物ごとの使用基準を決定します。
使用基準には、使って良い食品や使ってはいけない食品、
また、最大使用量や最大残存量などが定められています。

6.一日摂取量調査

食品添加物を実際にどの程度摂取しているかを調べるため、
厚生労働省で一日摂取量の調査も行っています。
その手法をマーケットバスケット方式といいます。

これは売られている食品を購入し含まれている添加物量を分析して測り、
国民栄養調査に基づいて個人の食べる量を乗じて摂取量を求めるものです。
安全性上問題があった場合、食品添加物基準を改正したりしています。

上記まとめると食品添加物の安全性は

1.動物実験やその他の知見により安全と判断された物質を、
2.厳しい品質規格をクリアする製法で製造し、
3.食品ごとに決まった使用基準を遵守して使用し、
4.使用後も安全性の調査を行い、問題のあるものは随時排除していく


という段階を踏んで二重三重に確保されていると言ってもいいでしょう。
だからと言って「野放図にバンバン食べていい」わけではありません。

食品添加物はそもそも食品を長期間保存するために開発され
(ハムに亜硝酸塩を死ぬほど添加するとか)よりおいしくとか
見ためや色や香りをよくするとかの役割はここ数十年で出てきたものです。

これらを駆使して化学的に調整された加工品のそもそもの原料(素材)の
品質や鮮度はどうなのか。売価を考えるといいものではないでしょう。

新鮮な魚や肉、野菜やくだものなど、素材を調理して食べた場合と
加工度の高いものを食べた場合のからだ(というかテロメア)の満足度の違いは
『テロメアエフェクト』エリザベス・ブラックバーン、 エリッサ・エペル著
に詳しく書かれていますが、寿命の回数券・テロメアのことは置いといても
どちらが健康にいいか、誰しもが直感的に理解できるでしょう。

食品添加物は危険じゃないんだけど、そもそもの問題は添加物ではなく
加工度とか原料とか鮮度の問題、と考えたほうがわかりやすい気がします。

しかしこういうあいまいな感じだとへーと言われておしまいなので、
やはり拳を振り上げて「危険だ!」と言ったほうが伝わりやすいのかもしれません。

とはいいましても昨今効率化により国産の食品添加物が減り、
中国産が非常に増えているってことで、成分とか品質は大丈夫なのかしら
ってあたりが大変とても気になっているわたくしです。


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ゲノム編集による明るい未来への期待とザワッとする感覚

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現在結核・エイズと並んでヒトを殺しまくっている感染症マラリア。
媒介するのはハマダラカという蚊なのですが、ゲノム編集で
マラリアを媒介させない蚊を開発したそうです。しかし放飼には
さまざまな問題が指摘されております。当然だよねえ。



侵略的外来魚と言えばブラックバスが有名ですね。

バスはまだ釣り師に喜ばれるからいいとして、
ブルーギルという食べないし釣らないし釣り師も嫌う魚がいる。

今年の2月、ゲノム編集で不妊化させたブルーギルが開発された、
というニュースが新聞にちまっと載っていた。
http://www.sankei.com/life/news/170215/lif1702150021-n1.html

そんなものがいきなり放流されたら大ごとだが、もし
全国各地の河川に放流されれば日本からブルーギルが根絶できる。
スゴイじゃん! 厄介者がいなくなるなんて! 
大変とてもすんばらしいことのようにわたくしには思えた。

「不妊化による根絶」の他の例としては、南西諸島で
植物防疫上の指定昆虫であったウリミバエが
放射線照射によって不妊化されたウリミバエの放飼により根絶されている。

「外来生物」の根絶という意味ではこのブルーギルも同じだが、
ミバエは放射線で変異を起こしたものであり、ブルーギルは
「ゲノム編集」で生まれたという部分が大きく違う。

「ゲノム編集」とは、簡単に言うと生物の特定のゲノムを操作する技術のことだ。
遺伝子組み換えと決定的に違うのは、遺伝子組み換え技術では
ゲノムを特定することができない&外部の遺伝子を使う、という部分である。

大変とてもわかりやすい記事を見つけました。↓
時事公論 「ゲノム編集 どこまで認められるか」NHK解説アーカイブス
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/238427.html

遺伝子組み換え技術では改変された部分の痕跡が残るが、
ゲノム編集では痕跡が残らないというところも大きく違う。

わたくしはこのブルーギルのニュースを見たとき
根絶できればすんばらしいと思いながらも少しザワッとした。
これは生命をヒトがいじることへの情緒的な拒否反応だが、
感傷的過ぎるかも。と思うのは医療分野での期待が大きいからだ。

昨今ゲノム編集はガンや様々な難病の治療が可能になるかも、
つーことで、研究がビシバシ進んでいるのだ。

そうなると当然だが自分の欲しい性質を持った子どもをつくるなどの
デザイナーベビーの問題も浮上するため、厚生労働省では
ヒトの受精卵に使用することを禁止する方向のようである。

医療関係が先行し倫理的な指針をつくる必要性が高いせいか、
ゲノム編集でつくられる食べものについての指針はまだない。
他の生物の遺伝子を組み換えるわけじゃないから
遺伝子はいじってるけど遺伝子組み換えじゃない、という認識もある。

というか、そもそもどんなものがつくられてるのか、
わたくしは知らないし現状どうなってるのかも全然知らないのだった。
ということで、たねと食とひと@フォーラム主催の
「ゲノム編集で食と農はどうなるのか」に参加してきた。

すでにゲノム編集で開発された作物はいつくかあり、
昔遺伝子組み換えでもつくられた褐変を抑制したじゃがいもが
同じ企業によって開発されているらしい。

このじゃがいもはスライスして時間が経っても褐変しない。
以前遺伝子組み換えでつくったときにマクドナルド社に提案したが
遺伝子組み換えはヤだと却下されたため日の目は見なかった。

再び提案するつもりで開発したんだろうなー。
遺伝子組み換えと同じものがゲノム編集でもできる。
ここんとこにわたくしはグッと来てしまった。

遺伝子組み換えでランダムにやってなんとなくできたものの一部は、
ゲノム編集では確実に、しかも低コストでできるのだ。
ランダムにしなくていい&開発期間が短くて済むからである。

BT毒素を他の生物から入れたトウモロコシなどはむずかしいだろうが、
除草剤耐性は植物のゲノムを改変すれば可能である。ということは今後、
遺伝子組み換えよりも効率がいいゲノム編集に変わっていくのではないか。

そしてゲノム編集は、今後の方針によっては
表示の規制がなくなる可能性があるのだった。

なんとなくザワザワするじゃありませんか?

米国食品医薬品局(FDA)は、ゲノム編集技術を利用した
植物性及び動物性食品の規制に関するガイダンスを発表し、
意見を募集しているところのようだ。どうなるかは不明だ。

日本では「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」で
ゲノム編集も議題に上がっている(消費者庁 2017年4月~)。
米国も日本も「何も決まってなくてこれから決まる」のである。

医療分野でのゲノム編集はすんばらしいものに思える。
しかしブルーギルの根絶はちょっとザワッとする。

遺伝子組み換えでつくられた蚊の放飼はどうかと思ったが、
ゲノム編集でマラリアに抵抗性を持つ蚊がつくられたと聞くと
なんとなくすんばらしいことのように思える。
※ブルーギルも蚊もまだ開発段階でとくに蚊については問題山積らしいです。

自分自身どこに立っているかよくわかっていないことの現れだが、
首の後ろのあたりの産毛がザワッとするのはなぜだろう。
やっぱ生命をいじることについての情緒的な拒否反応なのかしら。

そしてわたくしたちはどこに向かっているのかしら。
なんてことをしみじみ考えているのであります。


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グルテンフリーって何がいいんですか?(54歳・女・ライター)

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昨年自家製マーマレードがすげーおいしくてバクバク食べてたら太りまして
マーマレードを食べないよう、すっかりパンを焼かなくなりました。
自分的にはパンは食事ではなくおやつ。すぐおなか減るんだもん。



わたくし、アメリカドラマをめっちゃ見ております。

日々、密室殺人とかヴァンパイアはなぜ昼間歩けるのかとか、
ドラゴンに乗ったり焼き殺されたりコーヒーに毒を入れられたりする
さまざまなアメリカとイギリスの人々を見ているわけですが、
数年前からドラマのなかで「グルテンフリー」と聞くようになりました。

アメリカドラマで言い始めると数年後に日本で流行る、
とわたくし的仮説があるわけですが
最近よく聞くのは「赤肉(主にベーコン)は食べない」と
ラテに豆乳ではなく「スキムミルク」を入れること、
あと寿司の「水銀のとりすぎ」です。

赤肉は昨年のWHOの発がんリスクどーたらが原因なのでしょうが、
スキムミルクはどういった理由でしょう。飽和脂肪酸かな?

水銀は海の生態系の生体濃縮の話ですが、海外の人は気にしそうでも
日本人は妊婦以外は気にしなくていいっていうか、おそらく一般人は
誰も気にしてないので今後もとくに流行することはないでしょう。
どころか漁業界からクレームが付きそうです。

ともあれ、グルテンフリーは予想通り日本にも上陸し、
わりと広く取り入れられているようです。

小麦グルテンは小麦に含まれるたんぱく質のことです。
パンやパスタにはグルテン含有量の高い強力粉が使われます。
小学校の科学の実験で、小麦を水に溶かして洗って
くにゅくにゅする物質をつくる、というのがありました。これがグルテンです。

パンがふっくらふわふわになるのも、
パスタがもっちりもちもちになるのもグルテンのおかげです。

ちなみに中力粉でパンをつくるともっさりもさもさになり、
パスタをつくるとぶちぶち切れるうどん状のものができます。

またコメの余剰をなんとかしなくちゃ=米粉の利用が推進されていますが、
米粉でパンをつくるとバッサリバサバサになるため、
わざわざグルテンを添加してつくってたはずですが今はどうでしょう。

昨今では米粉パンにグルテンフリーとよく書かれておりますが、この
グルテンフリーブームにうまいこと乗って米粉の消費率を高めて欲しいです。

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毎年6月になるとコメよりも小麦が食べたくなるのですが、昨年からなぜか
小麦スイッチが入らなくなり、スパゲッティもそうめんも消費率が落ちました。
年のせいかしら。ううううう。



さて、グルテンは自己免疫疾患「セリアック病」の人は食べてはいけません。
なので、日本にはセリアック病患者がたくさんいるのかと思ったら
とくにそうではありませんでした。

しかし非セリアックグルテン過敏症と名付けられる症状が存在するらしいです。
http://healthdayjapan.com/2016/08/08/13127/?print=print
確認できない疾患のようですが、潜在的患者が多いのかもしれません。

自分的には「グルテン=パンが膨らむいいもの」という認識だったのですが、
今や「よくないもの」になっているのでした。

ネットを検索して調べてみると、科学的な知見というよりは
「抜いてみたら体調が良くなった」事例が多く見られます。
テレビの健康食品販売の「個人の感想です」的な記事ですが、
体調が良くなるのならわたくしも試してみたい。と思うわけです。

「グルテンアレルギーがあるかどうか不明な人は
3週間ほどグルテンフリーを試してみましょう」と書いてあり
そんなにやんなくても劇的に体調が良くなる人もいるそうです。

すごいじゃないか!!! 早くやってみなくては!

遺伝子組み換え食品を食べずに1か月暮らした女であるわたくし。
グルテンフリーなどお茶の子さいさいでしょう。
つーことで、明日からやるぜ! と決意して、ありゃ、と気づきました。

先週の水曜日に天ぷら食べて以降、小麦粉食べてないし。

よく考えたらわたくしはパンをあまり食べません。つーか
ごはんさえあれば何も要らないという偏った食生活で激太りしたほど
ごはんが大変とても大好きなので、麺もあまり食べません。

畑でトマトが採れ始めるとスパゲッティ率が高くなりますが、
それでも週に2回ほど。昨年からそうめんも食べなくなりました。
ううううう。食べないだけ=すげーカンタン、
なのにできない。悔しいじゃありませんか。

これからパンやスパゲッティを食べまくって
3週間後くらいにグルテンフリーを試してみるか。
いや、というかそれは本末転倒ではないでしょうか。

つーことでわたくしにとって
グルテンフリーのすんばらしさは今のところ謎であります。

なんかすげー残念な本日のわたくしです。


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もしかしてこれからが正念場なのではオーガニック

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大地を守る会の最後の総会が先日行われたようであります。
以下の例にならって考えると、現在の敵はOisixなのではないか、と
しみじみ感じた次第です。


昔、大地を守る会の規約には「人の悪口を言わない」と書いてあった。
今はどうか知らないが、この小学校の学級目標のような言葉が
わたくしはずっと不思議であった。

大地を守る会の機関誌を制作していた2006年、
会長の藤田和芳さんのインタビューを企画したことがある。
藤田さんは学生運動の闘士だった、と知っている人も多いと思うが、
このとき、藤田さんは以下のような話をした。

「学生運動がうまく行かなかった理由を最近よく考えていて、
ああ、そういう理由だったのかなと気づいたことがあった。
わたしたちには大きな敵があったのに、お互い協力することなく、
自分たちの主義主張の違いが許せず、結局内部崩壊してしまった。
多様性を許せなかった。これが失敗の原因ではないかと思う」

大地を守る会発足当時、集まった農家同士がよく批判し合っていた。
これでは前に進まない。だからお互いを批判しないという文言を
規約に入れたのだとそのときわかった。

実際の農家がどうだったかと言うと「あの人の大根どーなの、あれでいいの」
とかの毒は非常にしばしば聞いたが、悪口は言わなかったように思う。
小学生みたいな決まりごとでも効果はあったのだ。

しかし、有機農業のエライ農家の人たちは悪口を言い合う。
そしてお互いの思想の違いを許さず何かと言えば分裂する。
まるで学生運動の人たちのように。

なぜ仲違いするのか。
それは「敵の不在」によるものである。と最近気がついた。

1975年、有吉佐和子さんの『複合汚染』をきっかけにして、
有機農業運動は大きく広がりを見せ大地を守る会も設立された。

このとき、農村で有機農業を営む少数の農家は、
JAからは取り引きを停止され、地域から孤立した。
農水省は有機農業などありえないなどと言い、
有機農家は四方を敵に囲まれている状況だった。

孤立しながらもやっていけたのは強固な「思想」があったからだ。
「思想」は自らの軸であり、核であり、アイデンティティである。
思想は盾になり自分を守る武器にもなった。

農家の産物を買い支え支援した消費者にとっても農家の敵は敵である。
消費者も「子どもたちの未来のために」とか「環境を守るために」などの
非常にストイックな、しかも利他的な美しい思想で武装する人が多かった。
これは大地を守る会などの流通も同じである。

消費者と農家と流通は敵(JA、農水省、国、慣行栽培)に向かって拳を振り上げ、
いつか有機農業があたりまえになる日を夢見て一丸となった。

1980年代後半に「食の安全」がブームになり、思想を持たない人々も
有機野菜が欲しいと思うようになった。わたくしはこの世代である。
有機農業はブームになり、なんちゃって有機等の優良誤認が問題になり、
農水省が有機農産物の表示の法律をつくろうと動き始めた。

「理念なき表示制度では有機農業の振興にならない!」と、
有機農業関係の人々は農家も流通もこぞって反対した。
わたくしは大地を守る会のなかでこの反対運動を見ていたが、
実は何を反対しているのか当時ほとんどわかっていなかったと思う。

結局有機JAS法は成立し、その後大地を守る会でも有機JASの取得を推奨した。
あの反対は何だったのか。とわたくしたち産地担当の多くは思った。
わたくしは反対の理由がなんとなくわかる気がする。農水省は「敵」だ。
敵がつくる制度など許せるはずがなかったのだった。

そして2006年12月、議員立法で有機農業推進法が定められ、
有機農業は国の方針となった。有機農業者皆が夢見た瞬間である。
と同時に、目の前の敵がいなくなった。振り上げた拳の行く先は?
目の前にいるのは仲間だ。今までいっしょに運動してきた農家だ。

かつての敵の補助金で夢見ていた有機農業推進事業を始めてみたが、
なぜかほとんどうまくいかなかった。

敵を失い目を凝らしてみると自分たちの小さな違いが鼻につく。
武装した思想はもう必要ないのに武装解除できない人々はお互いを攻撃した。
有機農業推進法ができて10年経つのに、農水省の
「有機農業を巡る現状」に書いてある課題は全く変わっていない。

しかしおじさまたちが仲違いをしている間に
「有機楽しいよね」と新しく参入してくる若者たちが増えていた。

若者たちは自分なりの思想、というか有機農業に取り組んでいるうちにできた
軸や核のようなものをそれぞれが持っているが、とくに武装はしていない。
しなやかに自分と他人の違いを受け入れ農業を粛々と楽しんでいる。

彼らの野菜を買う消費者も「子どもたちの未来のために!」などと
とくに拳は振り上げていない。有機の野菜はおいしいし、
畑に行くと楽しいし、有機って農業っていいよね、くらいの感じだ。

拳を振り上げていた人にはこれが不安だ。このままでいいのか! いや、よくない。
苦労してきたオレがちゃんと有機の思想を伝えなければ! などと考える。

消費者も「なんとなく良さそうだから」と買う人々のことが不安だ。
このままでいいのか! もっと環境問題に目を向けて! などと思ってしまう。

そして今年、オーガニック専門スーパーができた。
とある人によると今年は「オーガニック元年」なのらしい。

しかしわたくしはふと思う。有機業界が思っているよりも早く
オーガニックはあたりまえになっており、すでに
「数ある選択肢のひとつ」になっているのではないかと。

成城石井にもサミットの売り場にもオーガニック食品は並んでいて
大地を守る会のようなクローズドな会員組織に入らなくても手に入る。
オーガニックは普通になり、特别なものでなくなっているのでは。

夢見た目標に到達してみたら、存在意義がなくなってしまったのでは。
しかし一般化するというのはそういうことである。

振り上げた拳の行先はどこにもなく、共通の敵はもう存在しない。
同じ思想を持っているからわかってくれるということもない。
そうなると評価されるのは純粋につくるものの品質や発信する情報となり
慣行栽培同様「高く売れる人」「そうじゃない人」に分かれていく。

有機農業界はすでに「有機は普通」という前提に立つべきではあるまいか。
そこから何をすべきか、何を変えていけばいいのか考えるべきなのでは。

わたくしはまだ何も思いつかないが、これからが正念場のように思える。

頭のいいおじさま方は今こそ出番ではないでしょうか。
武装解除して、よろしくお願いいたします。


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テロワールと地理的表示の可能性について考えてみた

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京都のブランドたけのこ「シロコ」とか登録されてないかなーと思ったけど、
されてませんでした。というか、高齢化で品質が一定しないので、
大量に販売するのむずかしいって記事を見つけました。悲しい(泣)


先日、日本農業新聞に「地理的表示制度」の登録数が
35品目になりましたよね、という記事が掲載されていた。

記事の主旨は「家族経営の農家が地理的表示登録品目を守ってきた。
小規模な家族経営の農業者を大切にしなくては」的なものだった。
でも地理的表示制度(以降GI制度)ってそもそもそういう性格よね。

さて、GI制度とは、EUをはじめとする世界100カ国以上で導入されており、
簡単に言うと「地域ブランドの保護」が目的である。

基本的には国内での保護が主だが、GI制度がすでにある国と条約を結べば、
その国でも日本の登録品目が保護されることになる。

商標登録によく似ているが、商標権は個人が申請する私権であり、
管理や侵害された場合の訴訟等も個人がしなくてはならない。が、
GI制度は国のお墨付きのため、そういった介入は国が行う。
介入どころか監視もしてくれるのだ。すげーなGI制度。

また、GI制度の登録は生産工程管理を含めて行うため
品質についても一定以上のレベルが担保される。
商標では品質のレベルや生産工程管理は保持は登録上とくに関係ない。
ブランドの質と中身が違うということだ。

大きく違うのは、GI制度は「地理的」表示というその名の通り
「地域との結びつきが強固なものに対して与えられる」のであり、
なんか最近あのへんでいちごつくってるし人気あるから
地名つけて売っちゃおう、みたいなものは登録できない。

登録品目35品を見てみればそれは一目瞭然なのだった。
ちなみに神戸ビーフ、但馬牛、黒崎茶豆、鳥取砂丘らっきょう、市田柿など、
「あら、ウチの名産が」的なものがたくさんあるので楽しいです。

GI制度は基本国内に適用なのだが条約を締結すれば海外でも保護される。
現在決まっているのは、タイとベトナムの2国のみだが、
進行中のEUとのFTA交渉では、EU側の関心事項として
テーブルに上がっているからそのうち締結されるだろう。

また、GI相互保護はTPPでも検討されていたが米国が乗り気でなかった。
TPPで締結されれば一気にGI制度に登録した商品が保護されるから、
日本の知的財産権の保護につながっただろう。

とっかの国の「偽物神戸ビーフ」「偽物さくらんぼ」などで
ブランドを傷つけられることもなくなるのだがしょうがないのだった。

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GI制度登録商品の写真で唯一持っていたもの「東根さくらんぼ」。
「山形さくらんぼ」ブランドは、生産量よりも多く出回ってるとか
よく言われますが、GIで保護されるとそういうのできなくなります。



んで、テロワールである。

テロワール(Terroir)

「土地」を意味するフランス語terreから派生した言葉である。
もともとはワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、
地勢、気候による特徴をさすフランス語である。
同じ地域の農地は土壌、気候、地形、農業技術が共通するため、
作物にその土地特有の性格を与える[1]。(Wikipedia)

これはワインに限った話ではなくその他のもの、たとえば
コーヒー(ブルーマウンテン)や紅茶(ダージリン)などにもあてはまる。
どちらもその地域の気候や土質、製造方法などが関連するからだ。

というか実はこれ、黒埼茶豆にも鳥取砂丘らっきょうにもあてはまるのだ。

日本にはその土地の気候や土質、地理上の特性を活かした農産物が多い。
登録はされていないがだだちゃ豆などがそうである。

よその地域で栽培しても同じ味にはならないし、
タネをもらって植えてみてもうまくつくれなかったりする。
これは土質や気候だけでなく、微生物やもしかしたら昆虫など
地域の環境全体が栽培や生産に必要ということだ。

ってことはこれもテロワールでしょう。

EUではGI登録商品は一般の商品よりも高値で取引されており、
日本では登録後後継者が増えた例(砂丘らっきょう)があるらしい。
(農水省の地理的表示法についての資料に書いてありました)
海外に広がるとさらにさらに可能性は広がる。

国内では、メジャーではなくても地域で連綿と消費されてきた、
地元ではあたりまえでも一般には全く知られていない特産品がまだある。
それらの知名度が上がると地域活性につながるかもしれないし、
経済的な効果が実際に上がるかもしれないのだった。

すげーおもしろい!!

消費者的には単に「おいしい」とか「めずらしい」だけでなく、
その「もの」が生まれるまでの物語を知ることが、地域の環境、
そして自分が住む日本という国の食や環境の多様性を感じる素材となる。
ついでにいうと、その作物が保護=環境も保護されるのではあるまいか。

つーことでわたくし的に現在「テロワール」に興味津々で、
そういうものつくる「場」を見に行きたいなーと思っております。


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お買いものは世界を変えるか、その2

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そろそろさくらんぼの季節ですねえ。くだものはスーパーで買うより
農家にお願いして送ってもらうほうがおいしいのです。
くだものを食べて幸せになりたいなら直送に限ります。



『ほんとうにおいしいものはお店で買えない』(雷鳥社)を読んでおります。

これはわたくしが2014年に出版した本なのですが、
今読んでも非常におもしろいのでご興味ある方はぜひご欄ください。
最後のQ&Aなどは編集者の方の素直な質問に直球で答えていて、
かなり笑えます。(なにげに、というか積極的に営業)

さて、出版はたった2年半ほど前なのにいろんなことが変わっていて、
月日の流れるのは早いものよのう(遠い目)などと思ったりする。

まず、書いたときには施行されることは決まったがルールはまだだった
「新食品表示法」のルールが決まり、当時心配されていた
「遺伝子組み換え食品表示が後退」とかその他もろもろは杞憂に終わった。
食品表示法では新しく「栄養成分表示」が義務付けられた。

加工品メーカーには負担だが確実に消費者の利益にはなっている。
というかわたくし的に非常に利益を享受しております。

また、米国でも遺伝子組み換え食品の表示が義務付けられた。
表示といっても逃げ道がたくさんありすでに決まってた州法を骨抜きにするとか
非難ゴウゴウなのだが、一応はスゴイことなのだろうと思う。
っていうかその後これどうなったんだっけ? もう表示中?

さらに日本では全加工品について主たる原料の原産地表示が義務付けられる
かもしれない。っていうかこれ、どうなったんだっけ? まだ検討中?

さらにさらに。「地理的表示制度」が導入された。
法律の名は「特定農林水産物の名所の保護に関する法律」だ。

たとえば鳥取の名産・らっきょうに「鳥取砂丘らっきょう」とか
「夕張メロン」とか「神戸ビーフ」とか「市田柿」とか「但馬牛」とか、
地域ブランドを登録し「地理的表示(GI)」マークを付けることで
国内はもちろんだが条約を締結した海外でもブランドが保護されるのだ。

http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/outline/attach/pdf/index-28.pdf
地理的表⽰法についてー特定農林⽔産物等の名称の保護に関する法律ー

最近ではベトナムと覚書を交わしたとかいうメルマガが来ていたが、
加盟してない国、二国間の締結を行っていない国とは
そういうのができない。たとえば中国とか。うううううダメじゃん。

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この2年間で一番びっくりしたのは、栄養週期の達人と知り合って、
原木の自根である巨峰を食べたこと。ものすごーーーくおいしかった。
巨峰なんてってバカにしてたけど、もうほかの巨峰は食べられないくらい。



んでは、オーガニック界隈では何が変わったかな? 実は大きく変わった。
なんと、東京にオーガニック専門スーパーができた。また、
2014年に比べて近所のスーパーのオーガニック率が確実に上がっている。

つまりオーガニックはおおむねあたりまえになった。

そう言えばオーガニック専門スーパーはその後どうなったんだっけ?
最近全く報道で見かけないけど便りのないのはいい便りってことかしら。

たった2年で世の中の動きは目まぐるしく変わり、その他
体にいいと言われる食べものも次々に登場しては消え、今や
ココナツオイルって何でしたっけ? 的な感じになってたりも、
えーと、とくにしてませんか? まだ流行ってる?

んで、わたくしは自身が書いた本を読んでしみじみと思った。
やっぱりお買いものは世界を変えるのだと。

昨今では有機農業運動!(振り上げる拳!)的な感じではなく
「オーガニックってわかんないけどなんとなくいいんですよね?」的な
ゆるーい感じでオーガニックを選択する人が増えているようだ。
ゆるくても全然OKである。裾野が広がればニーズは増すからだ。

市場には消費者の購買行動に沿った商品が提供されるから、
誰かが買わなければ流通も小売もできない。だから一昔前は
オーガニックはクローズドなマーケットだったのだ。

それが一般的になった、ということはやはり「お買いものパワー」によるものだろう。

なにしろ大地を守る会がなくなり、より一般ピープルに訴求している
Oisixといっしょになるのだ。オーガニックが特别ではなくなった、
という何よりの証拠ではあるまいか。

オーガニックの畑や田んぼが増えれば、栽培する人間が幸せになるだけでなく
小さな生きものが増えて多様性が増し、世界はますます美しくなるだろう。

これからも皆がおいしいものを食べて世界を美しくするのだ。

それは以前のような激しい「有機農業運動」ではないが、だからこそ
確実に世界を変えられる「静かで幸せな革命」だとわたくしには思える。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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