ミツカンミュージアムで知った驚く「酢」のさまざまこと

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愛知県半田市にあります、ミツカンミュージアム。のすぐ前に
予約しないと入れないチョー有名な和食の料理屋さんがありました。
看板も出てなくてビビりますが、いつか行きたいと思いました。まる。

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こんな感じで昔の酢の作り方が実物大の模型で紹介されています。
興味深いです。

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施設の前に水路があり、そのまま川を下れば太平洋に出られます。
江戸まで船を仕立てて行けるよねって感じでした。



酢、と言えばミツカン酢。すっぱい、と言えばミツカン酢。
会社名は「株式会社ミツカン酢」だと勝手に思い込んでいたが、
ほんとは「株式会社ミツカンホールディングス」で、
いろいろ手広く事業が行われているようである。
http://www.mizkan.co.jp/company/

小学校の調理実習で初めてつくったフレンチドレッシングに、
バレー部の合宿で食べたポテトサラダやきゅうりのすのものに
母がつくる冷やし中華のタレもむせる酢のものにもミツカン酢は入っていた。
わたくしが一人暮らしをして初めて買った酢もミツカン酢である。

「日本人にとって酢の味はミツカン酢がベースなんですよ」と、
先日取材した京都のお酢やさんが言っていたが、
それほどまでに日本人とミツカン酢のつながりは深い。
当然だが酢におけるシェアもミツカンがナンバーワンである。

ということで、愛知県半田市にあるミツカンミュージアムに行ってきた。

ミツカンの創業者はもともとは造り酒屋の養子であった。
分家した彼は、酒の副産物である酒粕を使って酢づくりを始めた。
当時江戸では今の握り寿司の原型である寿司が流行り始めたところで、
「酢」に大きな需要があった。が、当時の寿司屋は高い米酢を使っていた。

そこで彼は酒粕からつくる安価な酢を江戸に売り込むことを思いつく。
船を仕立てて粕酢を江戸に持ち込んで売り込み、一財産を築きましたとさ。
というのがミツカンの物語である。

半田市で水道事業とか銀行とかビール醸造とかさまざまな事業をやり、
ブランド戦略やロゴマークの先駆けとか地域活性にも役立ちましたとか
なにもかもが「すげーなー」と思うのだが、それはミツカンミュージアムが
ミツカンの広報施設だからだ。でも感動した。行くといいと思います。

わたくし的にビッと来たのは4代目がビールの醸造を始め、
5代目で失敗して撤退したという話である。

半田市のカブトビール醸造所跡地で当時のレシピそのままのビールが飲めるが、
2種類あるビールそれぞれけっこう残念な味で、素直に「他社に負けるよね」
と思えてしまうのがかなり悲しかった。リニューアルすればいいのになー。

ミツカンには穀物酢、リンゴ酢、米酢、黒酢などのいろいろな酢があるが、
基本的に「酒をつくりそのアルコールを酢酸発酵したものが酢」というのは変わらない。

酢酸菌は好気性菌なので、エアレーションで強制的に空気を送り込み
さっさと発酵させて大量生産することができる。これが大手メーカーの酢である。
地方の小さなお酢やさんでは酢酸菌を入れてそのまましずかーに置いておき
自然な対流で発酵していく「静置発酵」という方法が取られていることが多い。

静置発酵は酢になるまでに数か月かかるが、連続法だと数日でできる。
この後どちらも少しの間置いて(というか静置発酵は一年とか置くこともある)
熟成させるが、連続法でできた酢はあっさりさっぱり味で安価なのが特徴で、
静置発酵は味わい深いと言われている。

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酒粕といってもすぐに使うのではなく、このようにしばらく置いて
色がかわったものを使います。だから赤酢と呼ばれるそうですが、
実際の赤酢はまっくろでバルサミコ酢みたいなニオイがします。

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山吹の静置発酵中。酢酸菌が上部にびっしり膜を張っていました。
これじゃ大量生産はできないわねー。

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わかりやすい静置発酵のしくみ
上部からじょじょに酢になっていくことが図式化されています。
アニメーションなので見るとヒジョーにわかりやすくなっています。

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わかりやすい連続法のしくみ
空気を強制的に入れることで発酵が早まります。
アニメーションなので(以下同文)



が、ミツカンミュージアムの人に質問したら「発酵法では味は変わりません。
酢の味を変えるのは原料です」ときっぱりおっしゃっていた。そうなのか。
「穀物はさっぱり、りんごは香りが」とかおっしゃっていたが、
原料をよく見るとそれぞれアルコールが入っているのだった。なぜ。

これは昨日知ったのだが、業務用に「高酸度ビネガー(ホワイトビネガー)」
というものがあるが市販はされていない。

一括表示に「アルコール」と書いてあるものにはこれが混入されているようだ。
混入の理由は種酢ととある論文に書いてあったが、
そのほか、より安価に製造するため、という説もあり不明だ。
しかしこれが入っているとひらべったい平坦な味がするようである。

さて、ミツカンには通常(連続法)の製法で作った米酢やリンゴ酢のほかに
原料と製法(静置発酵)にこだわりまくったプレミアムな酢がある。

昔ながらの「酒粕」を原料にした赤酢「山吹」。ラベルも高級感満載。
そのへんのスーパーには売ってないらしいが明治屋で見た気がするけどどうかな。

この酢は「昔ながら」が売りなので静置発酵でつくられており、
色はまっくろでまるでバルサミコ酢のようだ。熟成期間も長く、
旨みが強いので減塩になりますよ的な商品でもある。さらに。
山吹を3年置いた「千夜」という商品もあり、わたくしは一本買ってしまった。

一年に1000本限定とか言われると「せっかくだから」と買ってしまうのは
オバサン的ふるまいだったかしら。しかもいつものクセで
リスのように溜め込んでまた封も開けていない。早く食べろ、自分。

酒粕が原料なので香りが独特で好みがわかれそうだが、
フツーの酢のようにつかってはもったいないということのようだ。
料理によって酢も変えなくてはならないのだ。ううううめんどくさい。

わたくしは酸っぱいものが苦手なので、酢もおおむね苦手である。
が、ミツカンミュージアムでもらった「やさしいお酢の話」に
酢のすんばらしい機能性や使い方のコツがあれこれ書いてある。

健康が気になるお年頃(わたくし含めて)の方々に
「酢」は積極的に摂取しなくてはならないものなのではあるまいか。
とりあえずしまいこんでいる千夜のふたをあけてみよう。
赤酢を3年寝かした酢がどんな味か、楽しみであります。

ミツカンミュージアム 見学は予約制だけどいきなりでも入れるかも。
http://www.mizkan.co.jp/mim/


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牛乳の味、製造方法、その他わたくし的偏りについて整理してみた

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岩泉町のなかほら牧場に行ってきました。放牧の牛はとてもしあわせそうでした。
子牛もけっこう長いこと母牛のおっぱいを飲ませてもらっていて、
しあわせなんだろうなーと思いました。そして日本の酪農における
とても不幸そうな乳牛のことをしみじみと考えています。


わたくし牛乳がキライです。というか、キライでした。
キライになったきっかけは、保育園で飲んだ脱脂粉乳です。
子どもゴゴロに「絶対に飲まない」と非常に激しく拒否しまして、
たぶん保母さんを困らせたと思います。

わたくしは裸足で保育園を脱走して行方不明になったこともあり、
たぶん保母さんは困ったと思います。いやはや大変だったでしょう。
それはともかく、それ以来牛乳がキライというか苦手になり、
小学校と中学の給食の牛乳が苦痛でした。

牛乳がキライ、とわかるといじめっ子に弱みを握られますから、
絶対にそれは避けたいと考えたわたくしは、毎日「いただきまーす!」のあと
息を止めて牛乳を一気飲みしました。200ml一気飲み1分もかかりません。

さらに後味を楽しまなくていいようにすぐに他のものをガツガツ食べ
口の中の牛乳の気配を完璧に消しました。
この方法で9年間乗り切ったわたくしはよくやったと思います。

牛乳が嫌いな理由は舌にからみつくような粘り気とニオイです。
その原因は、大地を守る会で低温殺菌牛乳を生まれて初めて飲んで、
日本の一般的な殺菌法「超高温殺菌法」によるものだと知りました。

日本で行われている牛乳の殺菌方法は
全国乳業協同組合連合会のサイトによると、以下の通りです。

1.低温長時間殺菌法(LTLT製法)63℃で30分加熱処理
2.高温短時間殺菌法(HTST製法)72℃以上で15秒以上加熱処理
3.超高温殺菌法(UHT)  120~130℃で2~3秒加熱
4.超高温滅菌殺菌法(LL) 135℃~150℃で1~4秒滅菌処理
(LongLifeミルクは未開封であれば常温保存が可能で、90日保存できます)

低温殺菌牛乳と書いてない市販の牛乳は3の超高温殺菌法で殺菌されています。

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一般的な乳牛の寿命は子牛を生み始めてから3産から6産くらいまで。
つまり短いもので4歳から7歳とかまでで乳量が落ちてくると更新されます。
更新とは経産牛として肉になるのです。スーパーでは国産牛として売られます。
中洞さんのところには18歳のばあさん牛↑がいました。もう乳も出ないし
ただメシ食ってるだけだけど、とても元気そうでした。



牛乳を沸騰させるとタンパク質の膜ができて味が落ちます。
超高温殺菌法の牛乳は2秒とはいえ120度で加熱ですから、
かなり、味というか香りも何もかもが生乳と大きく変わります。
栄養価は変わりないかもしれませんが、なにしろおいしくありません。

わたくしが感じた粘り気やイヤなニオイはタンパク質の変質によるものでしょう。
沸騰して焦げた牛乳からもよく似たニオイがします。

低温殺菌牛乳を飲んで初めて、牛乳はほんのりとあまくて香りが良く
本来は滋味あふれるおいしい飲みものなのだと知りました。
わたくしはそれ以来、低温殺菌牛乳しか飲んでいません。

大手牛乳メーカーが効率化・大規模化で超高温殺菌法を選択して以降
日本では超高温殺菌が主流になってしまいましたが、それまでは
日本全国の小さなミルクプラントで低温殺菌牛乳がつくられていたそうです。

戦後しばらくの間、冷蔵技術&交通網が発達していなかったため、
搾乳後集荷するまでに冷やせない&ミルクプラントまで遠いなどなどで
低温殺菌法の牛乳はすぐ腐るなどのデメリットが大きかったのでしょう。

しかし物流・冷蔵状態が良くなった現在でもまだ超高温殺菌牛乳が主流とは。
なぜわざわざ超高温殺菌で殺菌し、牛乳をまずくするのか理解できません。
低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳との価格の違いは高くても50円くらいです。
50円で滋味あふれるおいしい味が楽しめるのに。残念なことです。

さて、牛乳の味は、上記の殺菌温度のほかに、牛の飼料でも変わります。

おそらく人間もそうでしょうが、どんなものでも食べもので味は変わります。
たとえば配合飼料を食ってる採卵鶏の卵は配合飼料の味がします。
もしかしてコンビニ弁当を食ってる人間はコンビニ弁当の味がするかもしれません。
なんかよくわかんないけどおいしくなさそうです。

一般的な乳牛は穀物飼料を食べており、以前聞いたときの割合は
粗飼料6割に対して穀物飼料が4割だと言われていました。
穀物を食うと乳量が増えますから乳価の安い現在は穀物飼料は必須です。

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牛乳のCMで上記のような牧場に放牧されてる牛の写真がよく使われますが、
基本的に乳牛は放牧されていませんから注意しましょう。
ほとんどの乳牛は牛舎で暮らしており、つながれっぱなしの牛もいます。
なかにはウンコまみれになってるかわいそうな牛もいます。
売られている牛乳はそういう牛の牛乳だと思ったほうがいいと思います。



一般的な穀物飼料は現在ほぼ遺伝子組み換え作物ですが、
非遺伝子組み換え作物を利用している酪農家もいます。
全体的に、穀物飼料を主に食べている牛の牛乳は濃い、というか
わたくしにとっては「ちょっとクドいかも」って味がします。

そんな主たる飼料は穀物、それが常識! という酪農業界において、
粗飼料が主体&放牧という酪農を行っているところがあります。

代表的なのは岩手県のなかほら牧場ですが、そのほか木次乳業の日登牧場とか
キープ協会とか、行ったことないけど高知と北海道にもいらっしゃいます。
牛はホルスタインだったりジャージーだったりブラウンスイスだったりするので
単純に比較はできませんが、牛乳はあっさりしていてあまくていいニオイがします。

超高温殺菌牛乳を飲みなれていると低温殺菌牛乳は「味が薄い」と感じます。
放牧の牛乳はさらに「薄い」と感じる人が多いかもしれません。
しかしそもそも超高温殺菌牛乳の味が苦手あるいはキライなものにとっては、
放牧の牛の低温殺菌牛乳が一番おいしい、というかこれしか飲めません。

牛乳は風呂上がりにぐびぐび飲むものではなく、なんかくたびれたときに
ちょびっと飲む、くらいでいいよねー、ってな感じなので、
1リットル180円とかでなくてもへーきです。
っつかそれ、安すぎるでしょ。と思わない人が不思議です。

つーことで、先日取材に行ったなかほら牧場のレポートを書く前に
わたくしがいかに偏った牛乳感を持っているか整理してみました。

ご興味のある方は、明治屋で木次乳業のブラウンスイスの牛乳とか、
成城石井でタカハシ乳業のジャージー牛乳とかがゲットしやすいので
飲んでみていただけるといいかしらと思います。

すごーくおいしい! と思っていただけましたら幸いです。


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おいしい野菜は八百屋で買おう

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店員さんがやたらと野菜のことを知ってるスーパーもあります。
成城石井の成城店とかすごいです。んでそういう人がいるお店は
鮮度的にもいいものが売ってる気がします。
そういやビオセボンって野菜の鮮度どうなったのかなー。



8月31日って野菜の日なんだって。知りませんでした。
んでその日農水省とか厚労省の後援でJAのイベントがありまして、
そうとは知らず八百屋さんの話を聞きに行きました。

八百屋さんはテレビによく出るチョー有名人のようでした。
地上波の放送はまったく見ないわたくしは知らない方でしたが、
お話が非常に興味深くおもしろく、なるほどと思えたので書いておきます。

八百屋さんは杉本晃章さん。足立区の八百屋・杉本青果店の代表です。
1985年のバブルまっただなかの時代に二代目になりました。

当時は「安い・甘い・新鮮」でなんでも売れたそうです。
1985年というと今から30年前です。周年栽培の野菜は今ほどなく、
野菜のことをよく知っているお客さんがまだいた時代でもありました。

現在きゅうりが一本100円で高い高いと騒いでいるけど、
50年前は10本で250円。10本買うのに1本100円じゃ困るけど、
そもそも今の人は1本しか買わないから1本100円で全然OK!! と
非常に理にかなったことをおっしゃって一気に好感度アップです。

野菜の品数が少ない当時は「少数大量販売時代」。
白菜は3つ縛って売られ各家庭で漬物をつくっていました。
大量に買うと安いのでやたらと保存食がつくられていました。

現在はカット野菜全盛の時代。白菜は半分カットで125円です。
保存食は自分でつくらずに買うものです。なんでもスーパーに売っています。
そして人々は、スーパーで無言でお買いものするようになりました。

知識がある消費者には便利でいい時代です。
スーパーに並んでいる野菜のなかから、おいしそうなものや
鮮度を見極める能力があれば、スーパーはとても便利なもの。しかし、
漫然と野菜を買う消費者にはおいしいものが選べない、とも言えます。

おいしいものを食べるためには努力が必要です。そういう時代です。
ということすら知らずに消費者は野菜を買っているのです。

さて、そこで八百屋の出番です。

「野菜の神様」と言われていた江澤正平さんという方がいます。
大地を守る会でも「野菜塾」を数度開催していただいており、
わたくしは一度だけ「枝豆」の回に参加しました。

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枝豆はそもそもが畦豆といって田んぼのはたにつくるものだった。
関東には醤油蔵がたくさんあったので、枝豆は昔から食べてきた。
関東では豆が太って味が乗ってからのほうが好き。東北は香り。
だから関東よりも少し若い豆が好き。地方によって好みが違う。by江澤正平。
今はそういう好みが平均化され、どの豆も似たような味の気がする。



その知識の深さに圧倒された記憶がありますが、
杉本さんも江澤正平さんと「野菜塾」を開催されていたそうです。

江澤正平さんは「野菜は情報とともに売るものだ。
食べ方も取材して伝えることだ。また野菜は刻々と味が変わるものだから、
きちんと食べて味の違いを知らなくてはならない。春のキャベツでも
3、4回は味が変わる。そういうことを知らない八百屋はダメだ」
とおっしゃっていたそうです。

勉強している八百屋からはおいしい野菜が買えるでしょう。
野菜の走り、旬などの違いも教えてもらえるに違いありません。
八百屋のメリットは会話できることにあります。
野菜のおいしさを伝えることがお金になるのです。

たとえば、お客さんが8月末に梨を買いに来た。5個手に取った。
杉本さんはそれを見ると「3個にしとけ」とアドバイスします。

「梨を5個も買うときょうびの梨はすぐ柔らかくなるから損をする。
今日明日なら3個でじゅうぶん。梨を買わないでこっちを買いな」と
桃でもトマトでも、2個の梨の代わりに差し出すのだといいます。

梨は売れなくても他のものが売れて八百屋的にはうれしいし、
客もおいしい梨と当初の予算内で桃が買えればうれしいでしょう。
スーパーではこういう売り方はできません。

というかスーパーでは梨は3つ入りのパックで売っているので
アドバイスされなくても大丈夫。とわたくしはふと考えましたが、
あることに気づいてゾーッとしてしまいました。

あまり知られていませんが、8月の梨は軸にジベレリンが塗布され、
生育を早めてあります。そういう梨はすぐに劣化して柔らかくなります。
昨今のつがるもそうですが、植調剤を使うと劣化が早くなるのです。

このことを知っていれば大量の梨は買いません。また、
なぜそういうつくり方をするのかという疑問も生じます。
そしてそういうのじゃない梨が食べたいと思うことができます。

しかし。スーパーでは最初から考えるきっかけを与えず
そこにあるものをただ買わせているのです。

目の前に出されたものをただ選ぶだけ。それはなんとなく、
ケージに入った鶏が目の前の餌をひたすら食べるのに似ています。
わたくしたちはスーパーが差し出したものしか食べない家畜。
とはいえないでしょうか。ぞぞぞぞぞぞ。

画一化された規格のものを粛々と売るのがスーパーですから
スーパーにおもしろい野菜が並ぶことはまずありません。

小口の農家の取り引きは昨今ではJAが嫌がることが多く、
大量生産で一定以上のロットのものが好まれます。ということは
ますますつまらない野菜しか売られないということでもあります。

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熊本の直売所に単に「きゅうり」と表示された半白きゅうりが売ってました。
説明しなくても地元の人にはわかる、っつか在来品種ってそういうものよね。
野菜のおもしろさや多様性は都会にいるとわかりづらいです。



日持ちする品種、並べやすい品種、大きさが一定になる品種、
つまりハイブリッド(F1)が主になるのはいかんともしがたいのです。
種の多様性はどこにいっちゃったんだ!! って感じです。

世に野菜はあまたあれど、スーパーに並ぶのはほんの一部。
棚ごとに売上目標があるでしょうから、置いても売れない
個性豊かな地方品種など見つかるはずがありません。

雑多な多様性はスーパーでは許されないとも言えます。

しかし、小回りの効く八百屋では、農家と直接取引ができますから、
変わった野菜、おもしろい野菜を並べることができます。
そういう野菜をお客さんが手に取れば、料理方法その他もろもろ
さまざまな周辺情報をきちんと伝えることができます。

小さな「八百屋」という業態にしかできないことがあるじゃないか。
八百屋おもしろい! というか、これからは八百屋がナイス!!
と、わたくしは考えました。

しかしウチの近所に八百屋さんはありません。
唯一成城石井がそれに近い感じです。ちぇっ! というかわたくし、
そもそもお店で野菜を買いませんでした。あわわわわ。

ともかく、おいしい野菜は八百屋に売っている。
と、今回の講演を聞いてわたくしは思いを新たにいたしました。

八百屋のみなさまにおかれましては、おもしろい品ぞろえと、
楽しくためになる情報提供のほど、よろしくお願い致します。

とりあえず、杉本青果店、行ってみたーい!!!


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オーガニックと国産、どっちを応援したいのか自分

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養豚農家に豚の人生についての取材に行ったことがあります。
子豚がとてもかわゆくて、家に連れ帰りたいくらいでした。
しかしわりとすぐ死ぬそうです。子豚って弱いのですね。
だからこそ、豚は多産なのかもしれないですが。



先日賑々しく開催されたオーガニック・ライフスタイルエキスポの
「アニマルウェルフェアセミナー」に参加し、わたくしは
鶏肉と卵、牛肉で有機JAS認証を取得している人がいると知った。

すげー! 畜産で有機!?

有機畜産は飼養管理などにも細かい決まりごとがあるが、
とりあえず「スゴイ!」と思った理由は飼料である。

鶏の飼料のベースになるのは有機飼料米だと思うが、
その他に輸入オーガニックの穀物飼料(トウモロコシとか)が必要だろう。
2012年ごろに聞いた話では、オーガニック飼料価格は通常の2倍。
ってことは販売価格も2倍にならなくては割が合わない。

オーガニックの穀物飼料を探して配合してもらうのも大変そうだ。
そのあたりは飼料会社との連携が必要である。そうなると
もともとの経営規模がかなり大きくないとむずかしいだろう。
飼料会社はロットがまとまらないとやってくれないからである。

つーことでその、オーガニック卵と鶏肉にわたくしは大変とても感動し、
取材に行きたい! ぜひ行かせてください!! と名刺をもらった。

そしてひと月。なぜかいまだにアクションを起こしていないわたくし。
理由は「スゴイけどほんとにそれを応援したいのか自分」的な
大きなクエスチョンマークが頭の上に浮かんでいるからである。
何が引っかかっているかというと「輸入オーガニック飼料」である。

さて、わたくしが働いていたころの大地を守る会で、
とある養豚農家が全て国産飼料で育てた豚をつくる試みを始めた。

国産の飼料ということは、主たる飼料がトウモロコシではなくなり、
大豆などの代替飼料を探して日々自分で配合するということである。
飼料が変わると生育も肉の味も変わってしまう。

一般的に畜産飼料は飼料会社が最初から配合しているものを使う。
子豚→育成期→肥育期とそれぞれの段階の適正な配合飼料がすでに用意され
自分で飼料を探して混ぜたり作ったりする必要はない。

子豚はすぐに死んでしまうから、配合飼料には抗生物質が入っているが、
それでも子豚はわりとよく死ぬ。
飼料を変えた彼の子豚は毎日コロコロ死んでいった。
まずは国産飼料で子豚が死なない配合を見つけなくてはならない。

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飼料米を与えた卵は黄身の色が白くなります。玉子焼きをつくると
白っぽいのができます。オムレツも白いです。飼料を変えると
卵の色は変わります。でも配合飼料の味がしなくなり、
大変とてもおいしい卵になります。



ある程度豚が育っても屠畜したら肉がおいしくないことがわかった。
今までの豚、あるいはもっとおいしくなる配合を試さなくてはならない。
おいしくない豚は出荷できないし結果がわかるのは屠畜する210日後だ。

ひー大変!

てな試行錯誤を約一年ほど続けた結果、国産飼料の豚肉が完成した。
その後、彼の配合をもとに国産飼料の豚を育てる農家が数軒増えたが、
「すげー大変だった」という彼の開発秘話はたいして紹介されなかった。

「国産飼料で育てるなんて大変!!!」とは誰もがなんとなく思うが、
具体的に起きたことは現場の話を聞かねばわからない。
わたくしは後日この話を聞き、記事にしなかったことを悔やんだ。

現在は、この国産豚は誰も育てていない。毎日毎日飼料を自分で配合、
なんて手間がかかることをやりたい人はいないのだ。
その手間のぶん価格は高くなるが高いと消費者は買ってくれない。

これに「オーガニック」というわかりやすいラベルがついていれば
消費者は理解する。とくに価格的な部分での理解度はかなり高いだろう。

しかし「国産飼料で育てた豚の何が違うの?」と言われれば確かにそうだ。
自己満足? いやいや、輸入穀物は他国の水資源を収奪してるんだから、
とかそのほかいろいろ意義はあるが、なんのことやら~? って感じだ。

なんて思うと「オーガニック」「国産」という価値について
いろいろ考えさせられてしまうよね。

実は大地を守る会には卵を国産飼料でつくってる農家がまだいる。
その人も毎日毎日自分で飼料を配合して鶏に与えている。
彼はたぶん鶏が大好きなのだ。でないと、毎日早朝から
飼料のクズ大豆を何十キロも煮るなんてことはできない。

わたくしはそういう人たちのことが好きである。
そしてそういう愛すべき人を応援したいと思う。

つーことでわたくし的にはやっぱり「オーガニック<国産」だと、
いまさらですが決意をあらたにした次第であります。
つーことで、今月中旬になかほら牧場さんに、
来月は阿蘇にあか牛の取材に行ってきます。


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【予言】あと20年で「タネありぶどう」絶滅?(泣)

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昨日いただいた電子技法&無肥料無農薬ジベつけのみの高尾。
すげーなー。農薬散布なしでこんなに美しい房になるとは。というか
電子農法をやってる人が山形県にいらっしゃったとは知らなんだ。



大好きなぶどうシーズンが始まりましたよひゃっほう!

心ウキウキでシーズン最初のぶどうを食べて産地に電話して
なんだかとても悲しい話を聞きました(泣)。つーことで、
その悲しい話を書いておきたいと思います。

最近ではお盆過ぎからスーパーで種なし巨峰を見かけます。
現在はシャインマスカットとタネなしピオーネが山積みになっております。
並んでるのはほぼタネなしぶどうです。なぜでしょう。
それはタネありぶどうの人気がないからです。

タネなしぶどうは皮さえむけばつるんと食べられるし、
シャインマスカットにいたっては皮ごと食べられます。

皮むくのめんどくさい! タネ出すのはもっとめんどくさい!!
と言う人のニーズにバッチリ答えた商品だとも言えます。
だから人気があるのでしょう。とくにシャインマスカット。

これはたぶんナスからトゲがなくなったとか、
きゅうりのイボがなくなったとかいう世の流れとも言えるでしょう。
より楽な方、易きに流れるとはこのことでありましょう。

しかしちょっと待て!!! とわたくしは言いたい。

シャインマスカットはタネなしとして開発された品種で
タネありをつくってる人はあまりいませんが、
巨峰はそもそもタネありの品種ですからタネありをつくってる人がいます。

というか、巨峰はタネありのほうが絶対においしいよね、と
ぶどう農家は口をそろえて言いますし、わたくしもそう思います。
意地でも巨峰はタネありじゃないと、と言う農家もいます。

巨峰でなくとも、タネなしとタネありと比較した場合、
すべてのぶどうはタネありのほうがおいしいのです。
デラウェアはタネがない品種だと思ってる人のほうが多いでしょうが、
タネありデラウェアなどはめっちゃおいしいのです。
むずかしいので現在はワイン用でしかつくられていないようですが。

んで、その理由は意外と単純です。

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巨峰よりもおいしいとか言う人が多いタネなしピオーネ。
ピオーネのタネありつくってる人いないかなー食べてみたい。
無肥料だから市販のピオーネよりも粒が小さめ。美しいぶどうです。



タネなしぶどうは花に植物成長調整剤(いわゆる植物ホルモン剤)を
ちみっとつけて、無核化(タネなし)処理をします。
その後しばらく経ってからもういちどちみっとつけます。

最初は無核化、次は果実の肥大目的です。
これによりぶどうの果実はタネなしになり、品種によっては
ピンポン玉のようなでかい粒ができあがります。

タネなし処理をするとぶどうは生育が早まるので、
タネありぶどうよりも2週間ほど早めに収穫できます。
それが本来は9月収穫の巨峰が8月下旬に出荷できる理由です。

タネなしは生育が早いぶんその品種のもつ本来の味が出ない、というか
甘いけど奥の深い味にはならないというか、とにかく、
タネありのほうが香りも味もその複雑さもはるかにすんばらしいのです。
おそらく「タネが入る」という根本的な部分にも理由があるに違いありません。

が、しかし。

頑なにおいしいぶどう=タネありを作り続けてきた、その農家の心が
ポッキンと折れるようなことが起きていると聞きましたのです。

「タネありよりも食べやすいタネなしがいい」by直送販売の固定客。
JAや市場ならば「勝手に言っとけ」的な話ですが、自分のお客さまです。
「種ありのほうがおいしいのに」と思いつつ、しょうがないから
来年からタネなしにすることにした、という人が増えているのです。

なんてこった! ひいいーーーーー(泣)

「お客さまにおいしいもの届けたい」と、言ってみればめんどくさい
タネありぶどうを作ってきたその努力がお客さまの一言で全部無に帰す。
それはとても悲しい話です。他人事ながら立ち直れません。ううううう。

実はタネなしよりもタネありぶどうの方がはるかに栽培がむずかしく
タネありをつくってる人がタネなしをつくるのは簡単ですが、
タネなししか作ったことがない人がタネありをつくることはまずできません。
というかぶどうの木自体を変える必要があるので不可能と言ってもいいでしょう。

つまり一度タネなしをつくり始めたら元には戻れない、ということです。

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タネありの安芸クイーンは無肥料無農薬ではむずかしいらしくて
単為結果もしてたりしてこんな大きさ。ですが味はすばらしい!!!
無肥料無農薬でもタネなしならきれいな房ができるんだってのも
新たな発見。ってことはタネありをつくるのは相当むずかしいのでしょう。



わたくしがスーパーでタネありぶどうを見つけるのがむずかしくなるかも、
と予言した2012年からたった5年でこのようなことになるとは(泣)。
「タネありぶどうとタネなしぶどう、どっちがおいしい?」

今後は「農家直送販売」でもタネなし傾向は加速していくのでありましょう。

というかその農家に「タネありのほうがおいしいって人のほうが特殊」と
言われました。わたくしはすでに「特殊な人」なのです。ううううう。

タネありぶどうが絶滅するのにあと20年もかからないでしょう。
今こだわってやってる農家もすでに60代。農業できるのあと20年。
この世代がやめたら「タネなししかつくれない」世代しか残らないからです。

今のうちにタネありぶどうを食べて「いい思い出」をつくっておこう。
それにしても悲しい世の中になったもんです。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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