有機野菜の再生産可能価格を聞いてみた。んでどれくらいなら買いますか?

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実際には野菜の価格は産地の場所、たとえば一年中栽培できる地域と、
半年しかできない地域ではちょびっと違うし、畑を使う長さ(栽培期間)によっても違うしで
一律これだけ、って数字ではないのですが、現状一般の野菜は「相場」で動いています。
いやはや。大変なことですよね。


【質問】オーガニックの野菜の価格がどれぐらいなら買いますか?
次のなかから選んでください。


1.一般の野菜の1.2倍  2.1.5倍  3.2倍

こういう質問、よくあるでしょう。ほとんどの人が1か2と答えるに違いない。
とくに根拠なく「有機だもん、それぐらいが妥当よね」って感じだ。
しかし実際にスーパーで1.5倍で売っていたらどうだろう

フツーの小松菜が100円のとき150円の有機小松菜なら買うかもしれないけど、
相場が高くて小松菜が200円のときは1.5倍は300円だ。その場合はどうかな?
小松菜に300円? んーってな感じで200円の小松菜を選ぶのではなかろうか。

つまり、「有機野菜の価格」には許容できる幅がある、ということだ。

農水省のアンケートでよく聞かれる「どれぐらいなら買いますか?」は
1.2倍とかのあいまい表現ではなく金額にすべきではないかと思うわたくし。

なにしろフツーの野菜の価格は固定ではなく相場で動いているのだ。
高いときもあれば安いときもある。
ベースがふらふらしていたら参考にならないではないか。

ということで、金額的にどれぐらいならOKとこのブログの読者の方が思っているか
お聞きしたいと思いまして、有機農家に再生産可能な価格を聞いてみました。
再生産可能価格とは、その金額なら農業を続けていける持続可能な価格とも言えます。
それが以下の通りです。

有機小松菜・ほうれん草・水菜・チンゲンサイ・リーフ系レタス=180円 
人参500g・じゃがいも500g・大根1本・かぶ3~5玉=180円 
トマト300g・なす3本・きゅうり3本・ピーマン200g=180円
キャベツ・玉レタス・ブロッコリー・カリフラワー=200円 
※葉物は1P、その他規格が記載されていないものは一個

「有機なのに安いじゃん」って気がするのは卸値だからだ。
小売の際にはここに粗利が乗るため、もっと高くなる。

ちなみにスーパーの場合。
目玉商品になる野菜の粗利は15から20%くらいではないかと思うので、
スーパーと相対(間に卸が入らない場合)で取引をした場合はこんな感じかな。

上記の価格 180円→225円 200円→250円
具体的なイメージは、180円は菜っ葉、200円はキャベツでどうぞ。

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わりとまき直しがきく大根とか小松菜とかのアブラナ科や葉物は
単価が安く、栽培期間が一年とか一年半とかのネギは高いとか、
作物によっていろいろなので、再生産可能価格も変わります、。



直売所の場合。粗利は15%。というか直売所が売上の15%を受け取るしくみだが、
直売所はジジババの小遣い稼ぎ的なところが多いため、基本的に値引き合戦となり
価格設定がチョー安め。なのでとくに比較しなくていいか。

有機野菜を売る自然食品店・八百屋の場合、農家と直接取引をしている場合は
スーパーと同じぐらいの価格になるが、間に卸業者が入っている場合は
そこで15%~20%程度よぶんに取られるため、おおむね30%程度粗利が乗っかる。

つーことで、180→257円、200円→285円。
実際にはも少し高くなるかも。でもま、ざっくりだからこれでいいか。

粗利が乗ると価格がどんどん高くなることがおわかりでしょうか。
一般の野菜の場合は卸業者が間に複数入ったりするため、
売値の50%強くらいが農家手取りとも言える。

大根1本100円で売ってたら農家手取りは50円くらいってことでしょう。
安くてビックリではありませんか?

農家から直接野菜を送ってもらう産地直送であれば粗利は乗らず
上記希望価格のままのため購入しやすい。農家も再生産可能価格で売れてうれしい。
しかし送料が800円ほどかかる。

送料分プラスして割り算するとお得感はなくなるが、
直送・農家限定・鮮度が抜群、そのへんで売ってないレアな商品が入るなどの
プライスレスなおまけがついてくる(いや、プライスレスじゃないか。。。。)

小売店によって粗利が違うし中間業者が増えればどんどん価格は高くなるため、
農家手取りは同じでも最終価格が180円→350円、200円→380円とかになることもある。
つまり、野菜の価格が高いからと言って農家手取りが増えているわけではない
場合がある、というところがミソ。そこを忘れてはいけないのだった。

小売業者も金の亡者ではないし、決して暴利を貪っているわけではなく
必要分しかのせていない(たぶん)ってことも忘れてはいけない。

スーパーの野菜の粗利が低いのは、加工品の粗利が高く設定されているから
というような「全体の利益」で計算されているという事情があるため
スーパーの粗利が低くてエライ! わけではないことも忘れてはいけない。

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有機レタスの自分的適正価格は300円から320円くらいの間かしら。
有機でなかなか売ってないものには多めに支払うってところもあるかもね。
その場合は農水省の1.2倍とかのほうがよくて金額ではダメかも。



というような野菜販売の事情のなか、有機農家が再生産可能価格で卸しても
小売の粗利で最終価格が変わってしまうので、有機野菜がどれぐらいの価格で?
という質問はわりとむずかしいのだ。だからあの1.2倍という数字は実は
受け止める人によってベースとなる数字がぜんぜん違うと言ってもいいだろう。

しかし、有機野菜が安く感じることもある。

だいたいにおいて生協や宅配会社の場合、農家とは契約栽培であり
固定価格で取引されていることが多いため、相場が高くなると安く感じる。
世間に野菜がないときは有機野菜はさらになかったりするのだが、
ふだんたいして売れない野菜が飛ぶように売れ始めだいたい欠品になる。

ということは、野菜に出せる金額はここまで、という上限があるのかも。
それはいくらぐらい? という質問をしたほうがいいのかもしれない。

ということで、参考までにみなさまにお聞きしたいのです。
コメントとかで教えてください。

有機キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・レタス一個をわたしは
300円~350円までなら買う
250円~300円まで
250円以下

有機小松菜・ほうれん草・水菜・チンゲンサイ・リーフ系レタス、
人参500g・じゃがいも500g・大根・かぶ3~5玉
トマト300g・なす3本・きゅうり3本・ピーマン200gをわたしは

300円~350円までなら買う
250円~300円まで
250円以下

つーことで、よろしくお願いいたします。


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「米酢」の表示「米、アルコール」のナゾについて調べてみた

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毎年赤しそジュースをつくっているのですが、しその風味を生かすには
りんご酢とかのさわやかで主義主張をしない酢が向いています。
純米酢を使うとなんかこう米の風味がかえって邪魔なので、
お料理によっていろいろな酢を使いましょうということでしょう。



酸っぱいものがキライなので、酢があまり好きではなかった。
「世の中に酢などなくてもいい」とちらりと考えたこともある。

自然食品業界では「酢」と言えばチョー有名な酢があるが、
わたくしはこの酢が酸っぱくて使いこなせず、おいしいとも思えず、
もしかしてバカ舌なのかもとずっとずーっとナイショにしていた。

この酢が苦手だとカミングアウトするまでに15年ほどかかったが、
カミングアウトできたのはお気に入りの酢を見つけ、
酢がキライじゃない、というか好きになったからである。

わたくしは単に自分の口に合う酢を見つけていなかっただけであった。

今では、酢はとてもおいしい調味料で、素材の味をふくらませてくれ
うまみもあり、思いもかけないおいしさを演出してくれたりもして、
酢がおいしければ格段においしいものができるのだ! などと
急に強く主張しはじめてウザいわたくし。

そして「世の中に酢などなくてもいい」などと思った自分を反省するわたくし。

世の中にはわたくし同様自分の口に合う酢を見つけておらず、
同じようなことを思っている人がいるのではなかろうか。
その人たちに言いたい。絶対に口に合う酢があるから執念深く探すべし!!

というように、急に酢について興味がわいたのであれこれ調べてみた。
んで、なんかよくわかんないことを全国食酢協会の人にあれこれ聞いてみた。

まず「酢」の作り方である。

酢は穀物や果物などのデンプンからアルコールをつくり、
それを酢酸発酵させてつくる。

どぶろくをつくったら酸っぱくなった、のはだいたい腐っているが、
手づくりワインはわりあいとワインビネガーになってくれることが多い。
っつーか、そんな話はとりあえず置いといて。

そして「酢」には原料別にいくつか種類がある。

米酢、純米酢、穀物酢、リンゴ酢、ワインビネガー、黒酢、
昨今はあまり製造されていない酢酸を薄め砂糖とかで調味した合成酢。

ところで、合成酢はもう誰もつくっていないのかと思ったら、
沖縄と北海道でほそぼそとつくられているらしい。
シェアとしては0.2%とかだそうだが小売されてるのかしら。
沖縄と北海道の人は合成酢が売ってたら教えてください。

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毎年きゅうりのキューちゃんをつくっているのですが、
キューちゃんには純米酢が向いています。しかし
大量に使うので高価な黒酢とかは使えません。というか
キューちゃんの味を左右するのは醤油ではないかと思います。
いい醤油を使うとキューちゃんがおいしくできるからです。



酢の一括表示には、名称(米酢とか純米酢とかリンゴ酢とか)と、
原材料、酢独特の表示→酸度などが書き込まれており、
原料や酸度(酸っぱさのおおまかな目安)がわかるようになっている。

「米酢」と表示できるのは、1リットル当たり40g以上米を使っているもので、
「穀物酢」も1リットル当たり穀物を40g使っていれば穀物酢と表示できる。

ミツカンのサイトでは穀物酢に「台所の消毒」という用途が書かれていて、
食べものなのにそんな悲しいことをと思ったが、安いからかもしれない。
ミツカンミュージアムのおねえさんは「賞味期限が切れたらの話です」
と、おっしゃっていたがほんとうだろうか。

酢の元になるアルコールの度数は何度なのかしらと思ったら、酸度と同じらしい。
つまり、酸度4.0の酢を作ろうとしたらアルコール度数も4.0必要なのだ。
しかし1リットル当たり穀物40gではアルコール度数は4.0にはならない。

ということは? アルコール度数を高めてやればいいのである。
ここで何を使うかというと、醸造用アルコールだ。

穀物酢や米酢の原材料欄に「アルコール」と書いてあるでしょう。
あれがそう。サトウキビなどを原料にした醸造用アルコールを使っている。
足りない酸度をあげるための方法はもうひとつあり、
「高酸度ビネガー」が混入されていることもある。

一般ピープルの目にまったく触れることのない初耳的存在「高酸度ビネガー」は
加工食品原料に使われており、酸度10~15%の少量で酸っぱくできる酢である。
メリットは輸送がかさばらないこと&ちょびっとでいいことだ。

高酸度ビネガーが混じっている場合も一括表示上は「米、アルコール」である。
そのため、表示からは高酸度ビネガーかアルコールかはわからない。
ちなみに酢酸菌はアルコール濃度が高くなると死んでしまうので、
酸度を高くするためにはいくつかの段階を踏むそうである。

さて、では「純米酢」はどうかな。

「純米酢」は米だけでつくった酢だけに表示できる。
使う米の量が多いため価格は当然高めだが、
アルコールを使っている酢のひらべったい味と違って
味に深みがありうまみも強い。

酢のものにはやっぱし純米酢よね、って感じ。

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きゅうりの酢のものをよくつくるのですが、酢のものには黒酢です。
うまみが強いので三杯酢とかにしなくても黒酢と塩でじゅうぶんです。
っつか横着者なので三杯酢作るのめんどくさいから黒酢オンリーです。
酢のものこそ酢の存在感が際立つ料理と言えましょう。



純米酢に原料米を何gつかっているか気になるところだが、
デンプン含有量は米によって違い、その含有量によってアルコール度数も変わる。
さらに原料米はメーカーによっても違うため、一律何gとは言いづらいそうである。
しかしまあ、120から200gくらいじゃないでしょうかね、とのことであった。

ちなみに富士酢で有名な飯尾醸造のWEBサイトによると、純米酢に200g、
富士酢プレミアムには40×8=320gもの米が使われている。
すごいなー。しかも自社栽培の米なのだからさらにスゴイのだ。
なぜこれがどうしても口に合わないのか不思議である。

そのほか、黒酢には原料が米のものと大麦黒酢という大麦のみのものがあり、
どちらも原料を1リットル180g以上使わなくてはならないそうだが、
黒酢については仕込みとかちょっと違うし、価格も違うから、
とくに詳しく聞かなかった。

少し調べてみたら、カメ壺仕込みってのはカメに原料(大麦とか米とか)と麹を入れ、
フタをしてほっとく的なもので、酵母も酢酸菌もカメにくっついているので
置いといたら黒酢になってる的なものらしい。だからできるまでに時間がかかる。

昨今黒酢は料理に使うなど畏れ多いというか、飲みもの的扱いになっていて、
720ミリリットルで3000円くらいするのもあってとても買う気になれないが、
あんな酸っぱいものを好んで飲む人がいるんだろうか。ナゾである。
胃が焼けて血を吐きそうな気がするが気のせいか。

ともあれ、わたくしが幼いころに食べていた酢は昔懐かし合成酢だろうし、
娘になってから買った酢はただの米酢(醸造用アルコール入り)であった。
実はわたくしはおいしい酢を食べていなかったのである。

人生も後半になり、メタボとか健康が気になるお年ごろに
ちょうど酢が好きになれてよかったな!!
なんちて、今さらながらしみじみ思っているわたくしなのであります。


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ソフトクリームが日本の山を再生する? 中洞牧場で見たあまーい夢

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中洞牧場のソフトクリーム。原料は牛乳、アガベシロップ、脱脂粉乳。
増粘多糖類不使用なので牛乳をふんわり固めたようなソフトで
マイベストソフトクリーム。松屋銀座に行ったら食べます。
寒くても絶対に食べて帰ります。



「しあわせな牛からしあわせな牛乳」がキャッチフレーズの
なかほら牧場は、標高700メートルの山の中にある。

くねくねした山道を上がってきたらぽこっと開けた土地に出て、
ここはほんとに山の中なのかしらん? と思うようなところだ。
広大な牧場、というか山のあちこちで、牛は好き勝手に野シバや草を食べている。

わたくしは今回訪問するまで「野シバ」は通称で、
ちゃんとした名前があるはず、と思っていたが、
どうも「野シバ」が正式名称らしい。あらー。
野シバは日本に自生している芝で、ゴルフ場のラフにも使われている。

野シバの葉は伸びても20センチ程度で硬くならないから牛はどんどん食べる。
ランナーから次々に新芽が出て、牛に食われても絶えることはない。
野シバは分厚いじゅうたんのようにがっちりと地表を覆い緑の放牧地になる。

山地酪農の牧場を見たことがあるが、そこでは牧草のタネをまいていた。
牧草を定着させるため、最初に除草剤をまいたり、
化学肥料を使ったりするのが一般的なようである。

少しだけ「むー」と思うのはわたくしが偏っているからであろう。

一般的な牧草は上に伸び、伸びると葉が硬くなる。
硬い葉はおいしくないから牛は食べない。そうなると草が倒れる。
人間が刈り取ってやればいいがそんな手間はかけられない。

野シバのじゅうたんが完成するまでには数年かかるが、
一度できてしまえば人の手をかける必要のない永続的な放牧地となる。
この緑の絨毯を起点に循環型の酪農が完成する。

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野シバのランナー。これを切ってちょこっと地面に刺しとくと、
根づいて新しい芽を出すので増殖も容易です。
牛にぎゅうむと踏みつけられてもへこたれません。

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野シバには花が咲いてタネもできますが、これで増えることはないそう。
ネットで検索してみると野シバは日本芝の一種で寒冷地に適しており、
成長は遅いが手入れは簡単、だそうです。



野シバの肥料は牛糞である。牛がところかまわず排泄するそれらは、
肥料となり、野シバと野草を育て、それが牛の食べものとなる。
そして人間に「牛乳」というステキな飲み物を与えてくれる。
いっさいのムダがないあるべき酪農の姿、ではなかろうか。

山地酪農はまた、森林の再生という役割も持っている。
管理のできていないヤブだらけの真っ暗な森に牛を放してみよう。
数頭放して数か月もすれば地面に生い茂っていたササなど全て食べてしまう。

牛が食べて入りやすくなった山には人間が簡単に入れるようになる。
そこで木を伐採し、おひさまが地面に届くようになると
今まで芽を出すことのできなかったものが新芽を伸ばす。

牛は大きな体で奥へ奥へと分け入っていき、ササや小さな木の葉を食べ、
人間はさらに木を切る。牛が下草を食べ尽くしたあたりで野シバを定植する。
この繰り返しで数年かけて荒れ果てた山や森林が自然な放牧地になる。
そして、牛は山を再生しながら牛乳という資源を産み出す。

なかほら牧場の牛たちはとてもしあわせそうに見える。
牛舎はないから雨や雪に降られっぱなしで濡れっぱなしだ。

一日中山を自由に歩き回り、朝と夕方、山から降りてきて
搾乳されながらビートパルプや焙煎大豆などのおやつにありつく。
搾乳が終わったら少しの間まったりして山に戻っていく。

日々その繰り返しだ。足腰は強く健康だから薬も必要ない。
この方法が日本の山を救うのではないか。とわたくしは思う。

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現在牧草地作成中。木を伐採して野シバを定植したところ。
牛は野草を食べてます。牛が苦手な茨などは人が取り除きます。
この牛は搾乳中じゃない牛なので、ずーっと山にいて
下草を食べてるそう。いやはや。牛って強いのだね。

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このような傾斜でも牛には4本足があるのでへーきです。
年を取った2本足のヒトにはちょっと危険です。ときおり見回って
茨などを刈り取ったりと手入れをする必要はありますが、
だいたい5年ほどでこのような牧草地ができあがります。



今年、神奈川県のどこかで牛を2頭飼って山地酪農を行い、
ソフトクリーム屋さんで生計を立てようとしているという女の子のニュースを見た。
彼女はなかほら牧場の卒業生らしい。

わたくしはFacebookでソフト部の副部長をしており
ソフトクリームのヒミツ(http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-495.html
も知っているが、都内で食べられるソフトクリームで
一番おいしいのは池袋東部と松屋銀座にあるなかほら牧場のものである。

ソフト部の部員でなくともソフトクリームはみんな大好き。
おいしいソフトクリームがあればどこにでも食べに行く、というか
行った先にソフトクリームがあればとりあえず食べる。それが日本人。

日世のコーンとノボリが立っていればそれはほぼ日世のソフトなのだが、
青い空と白い雲の下ではご当地ソフトに思えてしまう。
開放感があるのでソフトクリーム1個の料金が500円でも平気だ。
キャベツが500円だと「高い」と騒ぐがソフトならOK。それが日本人。

であれば、数頭の牛を飼ってしぼった牛乳を少し販売して、
あまった牛乳はソフトクリームに加工して1個500円で売れれば
ソフトクリーム屋さんで食べていくのは非常に現実的な話である。

このニュースを見たとき「目のつけどころがすばらしい!」とわたくしは思った。

酪農を始めるにあたっては搾乳機とかその他もろもろお金がかかるが
山地酪農は牛舎がいらないため、設備投資額はそんなに大きくはない。
持続可能な酪農方法だから、牧場が完成してしまえば手入れをするぐらいでOKだ。

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野シバの絨毯は数十センチにもなって地表を覆っています。
野シバは表土の流出を防いだり、保水したりもします。
これを利用することを考えた猶原恭二さんがスゴイのですが、
植物学者だからなのでしょう。



数頭の牛から付加価値ソフトクリームをつくって商売になる。
このモデルケースができれば小規模な山地酪農がどんどん増殖する可能性がある。
山地酪農のソフトクリームで地域活性も可能になるかもしれない。

人はおいしいソフトクリームがあるだけでそこに行こうという気になる。
そこにしあわせなジャージー牛が数頭いて、美しい緑の牧場で草を食んでいる、
それを見るだけで人もしあわせな気持ちになれるだろう。

大規模酪農で安価な牛乳を大量生産することも必要だが、
それは持続可能な方法ではない。ツケは見えないどこかにたまっていく。
だからと言って1リットル1188円の牛乳を毎日買うのはむずかしい。
しかし、たまの週末に500円のソフトクリームを食べるのはどうかな?

ソフトクリームが日本の山を救うかもしれないなんて、
とてもステキな、そしてあまーい夢ではありませんか?

早くオープンしないかな。
ソフト部として気合いを入れて応援することをここに誓うわたくしです。


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水より安い日本の牛乳の真実としあわせな牛の話

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一般的な酪農では子牛が生まれたら数日後には引き離して
その後子牛には人工ミルク。母牛の牛乳は人間のものになるわけですが、
なかほら牧場では2ヶ月ほど母牛のおっぱいを飲んでるそうです。
母牛に寄り添ってる子牛もとてもしあわせそう。

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フツーに生きてたら乳牛の寿命は20歳ほど。一般的には5~6歳で更新され、
国産牛になって売られます。この牛は18歳のばあちゃん牛。もう乳は出ず、
エサを食べるだけのタダ飯ぐらいだけど元気に草を食ってました。



岩手県岩泉町で「山地酪農(やまちらくのう)」を営む
「なかほら牧場」に行って来た。なかほら牧場↓
https://nakahora-bokujou.jp/

山地酪農とは、植物学者・猶原恭爾さんが提唱した酪農のスタイルで
簡単に言うと、牛を山に放牧し自生している野シバや野草・木の葉を食べさせ、
ヒトにとって未利用の資源を牛乳に換える循環型の酪農方法のことである。

牛の糞尿は放牧地に還元されそこに育つ植物に利用される。
子牛は人工授精ではなく放牧中に自然交配し自然分娩で生まれる。
牛は常時山を上ったり降りたりして健康でストレスなく暮らし
そのおいしい牛乳を人間がいただくというステキなしくみである。

牛はそもそも草を食べる動物で、内臓もそのようにつくられている。
胃は4つあり、なかには微生物が大量に住みついていて
牧草などの粗飼料から栄養素を吸収しやすいかたちに変えている。
さらに反すうによって増殖した微生物もタンパク源として食べてしまう。

牛の飼料が牧草などの粗飼料中心から穀物飼料の多給に変わったのは戦後のことだ。
畜産業全体がそうだが、酪農はとくに搾乳や殺菌方法などの効率化がはかられた。

機械等のハード面のみならず、品種改良された牛はより多くの乳を出すようになり
放牧ではなく牛舎で飼われるようになり、穀物飼料を日がな一日食べては
毎日数30kg以上もの牛乳を搾り取られる機械のような存在になった。

輸入穀物は大量の牛糞となる。これがすべて堆肥になればまだいいが、
野積みされている現実も多くある。大いなるムダ、とも言える。

以前は安価だった穀物飼料が昨今は時折高騰するから酪農家は大変だ。
乳価はたいして上がらないため、さらなる効率化・機械化で経費削減をはかる。
補助金をもらって大規模&設備投資をすると借金はどんどん増える。

そのような苦労をして酪農家がつくる牛乳は、
海外のミネラルウオーターとさほど変わらない価格で販売されている。

子牛の飲みもの、命の源が水と同じっておかしいでしょう!
なんてことを思う人はいないのだろうか。
牛乳価格はここ数十年ほとんど変わっていないように思える。
卵と同様、牛乳も価格の優等生と言われ続けている。

ということで、なかほら牧場の牛乳である。

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乳牛には乳首が4つありますが、状態がいいときと良くないときがあって、
良くないときはその乳首から乳をしぼりません。ってことでこの牛は
2つ良くないのでしょう。搾る前にも味見したりしてるそうですが、
フツーはどうなのかなー。自動搾乳機だとおかまいなしで全部搾りそう。

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おなかがパンパンに張ってるのでみんな妊娠してるのかと思ったら、
草しか食ってないから第一胃のルーメンがものすごく発達して
おなかが横に張り出してるんだって。あらー。そうなのか。
当然のことだけど、食べものでからだが変わるのねと納得。


この牛乳は価格の優等生ではない。
720ミリリットル1,188円というビックリするような価格だ。
「スーパーで売ってる牛乳は1リットル180円くらいなのに
なんで牛乳がこんな値段?」と考えるきっかけを与えてくれる価格である。

100ミリリットルあたり165円と18円の差が、
放牧されて好きなところでのんびり草だけ食べている牛の牛乳と
牛舎につながれて安価な輸入穀物を食べている牛の牛乳の違いである。

この差はなんだろう? どこにあるのだろう?
ずっと気になっていたそのヒミツは想像以上にステキなことでありました。

さて、まずは山地酪農である。

わたくしが山地酪農のことを知ったのは2006年頃のことだ。
乳牛の牛舎における悲しい生活のことは薄々知っていたため、
山に放牧されて草を食めるなんてステキな酪農方法だと思った。

海外から輸入されるトウモロコシほかの飼料はほぼ遺伝子組み換え作物であり、
乳牛の場合、牧草などの粗飼料と穀物飼料の割合は5:5くらいだ。
(ちなみに肉牛は2:8で圧倒的に穀物飼料の割合が多い。あわわわわ)

草が主食の牛に高カロリーの穀物を食わせれば牛が出す乳量は増える。
穀物飼料主体の乳牛の平均乳量は1年間で10000リットルくらいで、
365日で割るとなんと27リットル!!! ひー。まさに牛乳製造機である。

放牧で草を食べてるホルスタインは年間4~5000リットルくらいだが
中洞牧場はジャージー牛なのでホルスタインよりも少なくて、
一日平均で8リットル程度。ってことは3000リットルくらいかな。

つまり、自然な状態の牛という草食動物から人間がもらえる牛乳の量は
一日10リットル未満と考えてもいい。そもそも27リットルがおかしいのだ。

以前北海道の副知事だったナントカさん(名前失念)と
「今の乳牛の乳量が多すぎるんですよ。だから牛乳が安くなる。
あんなに出そうとしなくてもいいんだよね、ちょびっとで」
みたいな話をしたことがあるが、たしかにそうかもしれない。

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朝と夕方、搾乳に集まってくる牛たち。帰ってこないやつは迎えに行きます。
ものすごい傾斜地でもへーきです。ときどきよそから牛を引き取ることがあるけど、
牛舎で飼われていた牛だと、足腰が弱っててこの傾斜が上がれないとか、
穀物ばっか食ってたから草を食べないとかいう牛もいるそうです。ううう。

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牛に角があるのにお気づきでしょうか。なかほら牧場では除角はしません。
牛の角は鹿と違って神経も血も通ってるので切り取られると痛いのです。
角のある乳牛は初めて見たので「ないはずのものがある」ことに驚きました。
ってことで除角は一般的に行われています。危険だからしょうがないのです。
よそから来た牛は除角されてるので、角のあるのとないのが混じってます。



わたくしは一度北海道の大規模酪農を見学したことがあるが、
悪臭に満ちた牛舎のなか、牛は糞尿で汚れた床に寝そべってもぐもぐと反すうしていた。

持ち主は牛がウンコまみれなことは全く気にしていないようで、
牛糞の堆肥舎が自慢だったのだが、牛舎を見せて「しまった!」とか
思わないのかなーと思ったが、とくにそういうこともなく牛舎も自慢していた。
このような牛を見た一般人がどう思うかとか考えていないようだった。

TPP反対の番組に出演していた北海道の大規模酪農家の搾乳風景では、
汚れた牛の乳首を搾乳機が自動でジャーっと洗っており
その施設を建てるのに数億円かかって補助金だからTPPがどうたら、と言っていた。

どう見てもウンコまみれな牛と乳首についての言及はなかった。
「しまった!」とか思わないのかなと思ったが、やはり自慢げだった。

その乳首から出てくるのはどんな牛乳だろう。
おそらく生菌数が多いはずだ。それはどこかに集められ、
生菌数の少ない牛乳と混ぜられるから全体的に菌の数は薄まり、
120度で2秒殺菌されてお風呂上がりにがぶがぶ飲める180円の牛乳になる。

清潔な牛舎で飼われている牛もいるし、清潔な牛舎でつながれている牛もいる。
いいとか悪いとかではなく、わたしたちはそのような牛の牛乳を飲んでいる
ことを知っておいたほうがいいだろう。

どんな牛が牛乳を出しているのか、施設は、餌は、どう飼われているのか。
経済動物だからしょうがないじゃん、だって安い牛乳が好きだもん、
と言われればそれまでだ。それはそれでいいのである。

でも、とわたくしは思う。 

では理想的な酪農とはどんなもんですか? と聞かれたら。
答えは岩手の山のなか、なかほら牧場にあるのだった。

ってことで長くなったので続きは次回ってことですんません。


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自然栽培についての偏見をクリアしました宣言

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無施肥無農薬栽培のお米はわりと作りやすくて、
師匠・西出隆一さんは天然供給量のみで5俵は取れるといいます。
また、除草さえちゃんとできれば6俵はとれるよとも聞きます。
ここんちは8俵くらい行きそうってことでした、おお、すごいな。



今はなき大地を守る会では「人の悪口を言わない」というルールがあった。

農家の中には「悪口じゃないけど毒は吐く」人がたくさんいたが、
「悪口を言わない」というルールは一応みなが守っていた。

毒はけっこうきついが基本的には笑えることが多い。
そのような農家とつきあっているうちにわたくしも毒を吐く女になった。
吐きすぎて上司に嫌がられたし、今も吐きすぎているなと思うが、
それはまあどうでもいい。

ともかくそういう土壌に根を張って育ったわたくしは、
悪口を言う人はあまり好きになれない。というかキライだ。

さて、そんな大地を守る会で情報誌の編集長をしていたころ、
とある自然栽培の流通が「自然栽培は有機栽培より安全」と言い出した。
わたくしは次の2点について大変とても驚いた。

まず「安全」という「危険な言葉」を安易に使っていること。
次に「自然栽培」がどんなものかはっきり提示されていないのに
法律で基準が定められている「有機栽培」と比較して優位性を語っていること。

このような危険なことを言ってしまって大丈夫なのか! とまず心配し
マイノリティである有機農業のなかでなぜこのような区分けをし
自分たちがより優れていると言いたいのかと困惑した。

わたくしは大地を守る会で長いこと編集を担当し
危険とか安全とかの言葉を安易に使ってはいけないことを学習した。

大地を守る会は大きな組織のため注目度が非常に高く、
うっかりしたことを書くとすぐに攻撃され新聞沙汰になる。
安全とか危険とかのツッコミどころ満載の言葉を使って
スキを見せてはいけないのだ。

これらはチョーNGワードとして脳に叩き込まれており、
今でもうっかり使う人のことを心配するほどである。

また、大地を守る会では大地を守る会基準という基準を明文化しており、
どのような商品であるかは明確に誰でも理解できるしくみになっている。
つまりどこから突っ込まれてもちゃんとお返事できるということである。

それまで上記のような前提でしか物事を考えてこなかったため、
自然栽培というなにかわからないあいまいなものが
法律である有機JASより安全と言い切れる根拠はなんなんだ、と考えた。

んで調べてみたが、とくに科学的根拠は提示されておらず、
なんとなくふんわかした思想とイメージのようだった。

さらに西出さんを師匠と仰ぐわたくし的には
自然栽培=無肥料無農薬栽培と言われると、農薬はわかりやすいが
無肥料ってどこまでが無肥料なわけ? という疑問がわく。

当時木村秋則さんのりんご栽培が話題になっていたが、
葉面散布剤は肥料にならないのかとか、窒素固定の大豆はどうなのかとか、
そもそも果樹の場合は剪定は肥料と同じという考え方もあるし、
無肥料ってどういうことなの? とナゾは深まるばかりであった。

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山梨県に全く何もしないですももをつくってる農家がいて、わたくしは
彼のことをほんとうに尊敬しているのですが、このみかんを栽培している人が
ほぼおなじことをされておりまして、自然栽培についての偏見色眼鏡が
ボトッと落ちたのでありました。池田さん、ありがとうございました。



さらに、出荷してる人の栽培状況とか全部調べてるわけ? とも思った。
大地を守る会では全農家の栽培履歴を全て追っており、
そのために「アホですか?」ってほどの人件費をかけていたが、
他にこのようなことができる流通はないとわたくしは知っていた。

栽培履歴を追いかけていないのに無肥料と言える根拠はなんなんだ。
なにがなんだかよくわからないが有機よりも安全というその理由はなんだ。
もしかしてほとんど自然栽培? そういうのアリ? よくわかんなーい。

ってことで、わたくしは「自然栽培」に大きな疑問を感じ、それ以来
「自然栽培」について頭ごなしのマイナスイメージを持つことになった。
今まで誰にも言ってなかったが、自然栽培=よくわかんないけどたぶんウソ
(これは悪口です、すんません)などと思っていた(のですすんません)。

しかし最近自然栽培の農家の方に会う機会があり、冷静に考えてみたら
「自然栽培は有機より安全」は流通が勝手に言っていることであり
やってる人にはそういうのはどうでもよくて実は関係ないことにも気がついた。

現在の日本に「無施肥」とか「無農薬」という農業におけるカテゴリーがなく、
有機農業の一部だけど肥料やってないとか、農薬まいてないもんね的な
優位性をアピールするため「自然栽培」と言うしかない人もいる。

また農家はそれぞれの思想で栽培していらっしゃり、
個人を見ていけば「自然栽培」の根拠もなるほどと思える。

つまり「自然栽培」とひとくくりにしてはいけなかったのだった。

わたくしは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」状態で10年ほど過ごし
最近ようやく坊主と袈裟は別だと気づいたのだった。ううううう。
人のせいにするわけではないが、あの流通の影響であろう。
というか完全に人のせいにしているわたくし。

ともあれ、今後は素直な幼子のような心で先入観なしに自然栽培を見る、
ことができるかどうかは別だが、とりあえず「偏見」はなくなりました。

今まで出会った自然栽培の方々、すんませんでした。

そうは言っても「有機栽培より安全」はそのうちメディアに刺されると思うので
そういうのよしといた方がいいとも思うわたくしだが、
っつかもう言ってないのかな? ま、いいか。



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さよなら、大地を守る会

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農家のおじさまたちと過ごした時間は宝石のようにキラキラしていました。
産地担当になれてほんとうによかったです。
農家の方々みんなにありがとうございましたと言いたいです。



9月30日、わたくしが18年間勤務していた大地を守る会がなくなり
10月1日からオイシックスドット大地になった。

大地宅配というブランドは残るため「消滅」ではないが
そのうちどんどん変わるだろう。でもまあそれでいいのだ。
結果として取り扱う野菜の量が増えて有機の畑が増えればいいのだ。

わたくしは、大地を守る会で、PCの操作、デザイン、文章力、編集、
交渉力、マネジメントなどに加え、イベント運営やその手法など
さまざまなスキル及び知識を身につけることができた。

これらはすべて今の仕事のベースになっており、
まさに「大地を守る会あってのわたくし」である。
藤田さん、入社させてくださってほんとうにありがとうございました。

さて、わたくしの入社は1992年6月である。

ちょうど「食の安全」に興味を持つ人がどんどん増えてきたところで、
手狭な調布から市川塩浜に事務所を移したところだった。

それまでは人・金・時間など余裕がなくて思うとおりにできなかった運動を、
これからやっていきましょう! とかで、原発反対、牛乳パック・低温殺菌牛乳、
学校給食、米、ごみ問題などのさまざまな活動を始めたところでもあった。

わたくしが配属された広報室には「運動局」という部署ができ
市民運動方面で著名な方が専任で配属されたばかりでもあった。

そしてさまざまな「体育」ではない「運動」が目の前で繰り広げられ
運動なんてヤダヤダヤダヤダヤダと思いつつ、広報という仕事柄関わりが深く
いつの間にか体の芯までしみ込んでいたことに気づくのは退職後である。

1990年代は有機農業及び環境関係でさまざまなことが大きく変わった10年で、
入社して数年後には「なんちゃって有機農産物」排除のための
「有機農産物ガイドライン」が制定された。

もんじゅが稼働するとかでフランスから日本にプルトニウムが運ばれてきたり、
士幌農協で放射線照射ジャガイモがつくられはじめたり、
六ケ所村に放射性廃棄物処理施設ができたりと原発関係も賑やかであった。

そして1997年からは遺伝子組み換え作物反対運動が始まった。

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大地を守る会の落葉果樹生産者は地域の名士、その作物の先生などと
言われる人がとても多くて、畑で話を聞いてるだけですげー勉強になりました。
その知識があるのとないのとでは聞ける話が違ってくるので、
今でもとても助かっています。



大地を守る会はこれらすべてに反対し、問題提起し、いろいろな形で関わり、
わたくしは広報(その後制作)として関わり経緯を見つめることになった。

2000年、反対運動も虚しく有機JAS法が施行され、
わたくしは制作から生産部門に異動し
産地担当として有機JASの取得を勧めることになった。

反対してたのになんで推奨するんだっけ? とちらりと思ったが、
反対の理由すらよくわかっていなかったので粛々と進めた。
今ではちゃんと説明できるので当時のわたくしに説明してやりたい。

わたくしは全国の落葉果樹産地を一括で担当し、
2002年の無登録農薬事件の際には思い切り振り回された。
この事件のあと、農業関係の法律がゴソッと変わり
手のひらを返すような農水省の対応に唖然とした。

まず農薬取締法が、その後食品衛生法の残留農薬基準値が変わり、
「すももとさくらんぼにまける農薬がなくなるじゃんか!!」とか
「暫定農薬の申請を県にしてください早くして早く早く!!」とか産地に要請し、
地元のJAとか全然対応してないよー(泣)と言われてチョー焦ったりした。

ポジティブリスト制でデフォルト数値が0.01 ppmになると聞いたときには、
そんな基準じゃ市販の野菜や果物は売るものが無くなるよねとか思ったが、
とくに問題ないようであった。おかしいなー、0.01ppm だぞ。

2001年にはBSE問題が起こり、他では全くそんな対応をしていないのに、
大地を守る会はバカ正直に牛の流通を止めてニュースに出たりした。
わたくしはそのとき初めて「大地ってエライなー」と誇らしく思った。

それ以前に大地を守る会のことを誇らしく思ったことがなかったのは
わたくしが「広報」という部署でふわふわと働いていたからだ。

広報の仕事は中空に浮いている概念や思念を画像や言葉にして人に伝える
というもので、見たままを自分の言葉で創作するけど「リアル」ではない。
ものを動かすことはできないし金銭も発生しないし交渉もしない。
ひたすら美しい物語は書けるが中身がないとも言える。

産地担当は農家のおじさま方とリアルで生臭い話をする。
彼らの家族の生活を成り立たせる「お金」の話をし、作物の価値について考え、
作物を通じて消費者の、また、農家の生活に対しても責任を持たなくてはならない。

宙に浮いていたわたくしは地面に降り立つ必要があった。というか、
おじさまたちと飲んだくれているうちに地面に足がついたって感じで
ある日気がついたらわたくしは自分の足でしっかり立っていた。

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「女の産地担当なんか信用できない」とか「夜叉」とかあだ名されましたが、
あとでずいぶんかわいがってもらえたのは、わたくしがニブいからでありましょう。
鈍くてよかったなー



仕事には世のため人のため、地域のためにすべきこと「しごと」と
自分の日々の生活のためにお金を稼ぐ「稼ぎ」の2種類がある。
わたくしは今「自分のしごと」をしているのだと思った。

作物を仕入れてどんどん売ることで有機の畑が増えれば地域が変わる。
農薬の使用量は減り環境は破壊されず今よりも良い世界になるはずだ。
売って売って売りまくるのだ! 野菜を売って世界を変えるのだ!

2006年に産地担当から編集に、いやいや異動してすぐに、
大好きだったりんご農家がお亡くなりになった。

この農家は今の日本で栽培されている着色系のふじを最初に見つけた人であり、
りんご栽培に多大な貢献をした人でもあるがその実績をあまり知られていない。
わたくしはそのことを知っていたのにきちんと伝えられなかったことを悔やんだ。
そして情報発信部署に「部署長」として異動したのには意味があると考えた。

地に足の着いた情報を発信するのだ。リアルな情報、浮わついていない情報を。

わたくしのなかに「核」ができたのはこのときである。
それ以来ときどき揺らいではいるけれどあまり本質は変わらない。
足はまだ地面にべったりついている。

大地を守る会は無くなっても、わたくしの「核」はそのままで、
そこにはすでに失われた大地を守る会らしさが脈々と息づいている。

辞めた同僚のなかにもこれらはさまざまな形で残っているはずだ。
だからすこーしだけさみしい気がするけどとくに問題ない。
同じ時間を過ごした人たちとはまだつながっている。
目には見えないけどきっと何かが。

長い間ありがとう。そしてさよなら、大地を守る会。


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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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