茶豆を食べながらふと思うGM作物のこと

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7月4日に開花した枝豆…というか、茶豆系品種「夏ナントカ」(種袋紛失で品種名不明)。
85日で収穫という早生品種でございました。この品種は花が白いのでした。



ビールと言えば枝豆。

6月末から、居酒屋では「とりあえず枝豆」と念仏のように唱えるわたくし。
今年は自給できるとあって、大変楽しみにしておりましたです。

で、本日8月7日・日曜日、収穫開始。今日から自宅でも「とりあえず枝豆」状態。
明日も「とりあえず枝豆」。明後日も「とりあえず枝豆」、ああ、しあわせ。

枝豆ってのは皆さんご存じのように大豆の若いものを食べているのですが、
これ、関東と東北では収穫適期が多少違いますのです。
その理由を、今は亡きカリスマ野菜博士・江澤正平さんにお聞きしたことがあります。

関東地方の千葉・埼玉では、今もですが、お醤油の醸造所がたくさんあります。
醤油原料の大豆を、だいたいどこの農家でも作っておりました。

大豆産地なので、当然ですが枝豆も昔から食べられていました。
で、目的が醤油原料の大豆ですから、うまみと甘みがとっても大切です。

大豆のうまみ・甘みは、まるまると太ってきてから出てくるもの。
完熟のおいしさというのか、大豆らしい味わいということでしょうか。
これを好む関東人は、豆がぷっくりと太ってから収穫するそうです。

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上記の枝豆の8月10日の状態。もうちょっとしたら収穫。
茶豆なので、フツーの枝豆よりもちょっと毛深いですね~。



で、関東が「うまみ」なら、東北人の好みは「香り」。

だだちゃ豆などに顕著ですが、東北の地豆には独特の香りがあります。
この豆の香り、若いうちの方が楽しめるのです。そのため東北では、
豆がそれほどふっくらとしない若いうちに収穫して食べるのだとか。

地域の差による食文化の違いというのでしょうか。不思議ですね。

こんなに狭い国土の日本の中で、さまざまな食文化が息づいている…
その多様性、その豊かさ。日本に生まれて良かった!とつくづく思います。

さて、この茶豆類。もともとは、新潟・山形・秋田県で食べられてきた地豆でした。

毛深いこと、ゆでた際に感じる独特のニオイ、香りなどが特徴で、
初めて食べる人はちょっと驚いたりもします。

某D社ではどういうわけだかもう20年も前からだだちゃ豆を扱っており、
「中山美穂の一番搾り」効果が出てくる前までは「色が茶色い」「腐ってる」
さらには、「靴下のニオイがする」等々のクレームをさんざん受けたものでした。

今、当たり前に食べられているのが不思議な位です。
慣れとは、そしてメディアの効果とは恐ろしいものですね。

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茶豆じゃなくて、中生枝豆というそっけない品種名の枝豆。むかーしからよく食べてる
枝豆の味がします。ぷくぷくとよく太ってから収穫しないと甘みが出てきませんです。
これはちょっと早かった。



このだだちゃ豆の他にも、最近おいしいと評判で、
スーパーでも見かけるようになった新潟の黒崎茶豆という枝豆があります。

この黒崎茶豆、実は山形県のだだちゃ豆の親戚。

大正時代に新潟から鶴岡に嫁入りした白井ツル・トヤという二姉妹が、
鶴岡から新潟へ種を持ち帰ったという記録があるそうです。
黒崎茶豆はそれ以降、新潟に根付いたのでした。

つまり元は鶴岡の地豆=茶豆。
しかしながら、その茶豆自体、そもそもが新潟産という説があります。

新潟県下越地方と庄内地方は同一の文化圏。
1600年代に庄内の一部が上杉景勝の領地になった際、
領民の移動に伴い枝豆の種子が移動した可能性があるのだそうです。

殿さまの転封による、種と人の移動。興味深い話です。

今やお侍さんの時代の名残など、名所旧跡にしか残っていないように思われますが、
食べものには色濃くその影響が残っている。ましてや種に。
殿さまってほんとにいたんだ…そんな風に感じる、なんだか不思議な話です。

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大量に収穫できたらゆでておいて料理に使います。
おばきゅうとベーコンのくず煮(そんな料理名あるんかな…?)にしてみました。
おばきゅうは生で食べるともさもさするので、煮ものにすると冬瓜みたいでおいしいです。



昨今流行の在来品種それぞれにそれぞれの種の物語があるのでしょうね。
いつかそういう物語のひとつを、追いかけてみたいなあと思ったりします。

まあ、実際にはそんなことはあんまり考えず、枝豆は収穫したらすぐにゆで、
あっつい枝豆を「うまー、うまうまうま」と食べつつビールをグビグビ。
「あ、写真撮るの忘れた」とかいう酩酊状態のわたくし。

しかし、今このように枝豆を楽しめるのも、ビールがうまいのも、
わたくしの知らない農民のどなたかが、種を採り続けてくださったおかげです。

名もない農民の日々の仕事の蓄積が、よりよい種を残すという本能が、
結果的に、私たちの世界をさまざまな「種」で彩っているのですから、
種採りというのは、当事者は知ってか知らずか、尊い行為なのでした。

だからこそ、種とは美しく、そして豊かなもの。

そういった世界を守るためにも、何だか知らない遺伝子が混じった作物とか、
その作物が勝手に交配しちゃったりとか、そういうことは避けねばなるまい。

ビオランテはこの世界に必要ないですよ!(違うか…)。

※ビオランテ・沢口靖子とゴジラとバラの花の遺伝子を組み合わせて作った怪獣。
作った白神博士は怪獣になると思っていなかったらしい。1989年12月16日公開。

そんな風に、ビールを飲みながら、茶豆をわしわしと食べながら思う、
夏の昼下がりなのでした。


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No title

こんにちは。

こちら(関西)で「ブランド枝豆」といえば、「丹波の黒豆」ですが
関東では、あまり出回っていないのかな?

「だだちゃ豆」は、こちらでも多く見られるようになりました。

コンビニやチェーン店、食品メーカーなど
全国的に均質化したように見える日本ですが
ほんたべさんの記事を読んでいると
まだまだ、関西と関東には大きな開きがあるようで
それは「食文化の多様性」という意味でも
良い事なのでしょうね。

食文化の低レベルな均質化が
これ以上すすまないように祈るばかりです。

Re: No title

癌ダムさん

こんばんは。今日も暑かったですね~。

> こちら(関西)で「ブランド枝豆」といえば、「丹波の黒豆」ですが
> 関東では、あまり出回っていないのかな?

あまり見かけません。
だいたい成城石井というスーパーに行けば、たいがいのものはありますが、
石井でもたま~に売ってる位かなあ。

西から来る農産物って、あまり見かけないですね。
やっぱり東北方面からの方が来やすいのでしょうか。運賃的に。

ちなみに、ほんたべ農園でも今年は黒豆の枝豆を作ってみました.
もうじき収穫です。どんな味なんだか、楽しみ。


> まだまだ、関西と関東には大きな開きがあるようで
> それは「食文化の多様性」という意味でも
> 良い事なのでしょうね。


そうですよ。東京の餅は□ですもん。
餅は○でしょう、西日本人としては!!!

あとおでんに「ちくわぶ」という意味不明の物体が入ってます。
スゴイですよ、これ。メリケン粉のカタマリです。
初めて食べたとき、でかいかまぼこだと思って口にして、口と舌がびっくりしました。
いまだに食べる気がしません。

>
> 食文化の低レベルな均質化が
> これ以上すすまないように祈るばかりです。

うどんのだしが真っ黒になったら、西日本の人々は食べなくなるでしょう。
関西のうどんに入ってる化学調味料の味、関東のかつお風味とは全く違う味がしますね。
なんか、そのあたりは非常に強固な壁があるんでしょうね。

外からやってきたものほど均質化するんじゃないでしょうか。
ケンタとか、マクドとか。

どちらにしても、文化としてこれ以上育たなくていい!って感じです(笑)

No title

ほ、ほんたべさん、こんばんわー!じ、地震で揺れています!

山形の枝豆にそんな秘密が!知らなかったです。僕はみんなあのくらいで食べていたものだと・・・・

でも、最近は、品種改良された枝豆があって、黒緑色をしているのですが、味のあるマメを食べています。味も大切。

あ、地震おさまりました。ああ、もういつになったら止むんだろう・・・

Re: No title

駆動さん

こんにちは。

昨日の深夜、東京もけっこうな揺れがありましたよ!
いつまでも続きますね。コワイコワイ。
とりあえず、でかいのが来たときのために、用心だけはしています。

>
> 山形の枝豆にそんな秘密が!知らなかったです。

駆動さん、地元ですもんねえ。
だだちゃ豆、これからおいしくなりますもんねえ。

小真木とかいう品種が食べてみたいです。

> あ、地震おさまりました。ああ、もういつになったら止むんだろう・・・

用心してくださいね!!

No title

関西のうどんに入ってる化学調味料の味…

あの…それって、「いりこ」出汁じゃありませんか?
中国地方では「いりこ」、関西では「出汁じゃこ」

2~3人前の出汁を取るには、応分の水を鍋に入れ
20匹程度の「いりこ」を頭と腹わたを取って「水から入れ」、
半日置いて(つまり、前の晩寝る前にセット)出汁を取ります。

上品な出汁なら、煮立つ前に取りだして
酒と醤油、みりんなどで味付けしますが

僕たちが子供の頃、普通の家庭では
面倒なので頭もわたも取らず、そのまま具として
味噌汁やうどんにも入っていて
カルシウムだから「食べなさい!」と言われたものでした。

じゃこ出汁は
関東では、ほとんど見かけませんね。

そんなわけで、化学調味料ではないはずなのですが
もっとも、最近では「化学調味料」が多いのも事実だし
なお且つ、東京の「自称関西味」の出汁が
化学調味料過多なのも事実かな?とも感じます。

出汁を取るくらい簡単な話なので
(最近では、昆布出汁のインスタントまでありますが・苦笑)
お互い気をつけたい話ですね。

Re: No title

癌ダムさん

> あの…それって、「いりこ」出汁じゃありませんか?
> 中国地方では「いりこ」、関西では「出汁じゃこ」

ウチの実家・鳥取ではストレートに「煮干し」といいますが、
広島県人は「いりこ」って言いますよね、そう言えば。
「いりこに乗った少年」…ですね。

東京では「いりこ」って言う人と「煮干し」派と半々位です。

> 2~3人前の出汁を取るには、応分の水を鍋に入れ
> 20匹程度の「いりこ」を頭と腹わたを取って「水から入れ」、

うどんは20匹入れるといいんですね~。
ウチの味噌汁は4匹でとってます。
夫ちゃんがだしをとった後のにぼしが入ってるのが嫌いなので、
とれたらひきあげています。食べてくれよ~って感じです。

そう言えば最初に食品添加物に興味を持ったのが、この煮干しの酸化防止剤でした。
懐かしい…もう20年以上前の話だけど。今も添加されてるのでしょうか。

ところで、私の言う「化学調味料味のうどんだし」はヒガシマル醤油の粉のだしのことでした。
関東のはメジャーですが「かつおほんだし」。

また、鳥取でよく食べた、確実にアミノ酸が入ってる味のうどんやがあったのですが、
東京からの出張時に、それによく似た味のうどんを、大阪(奈良だったか…?)の
どこかの立ち食いうどんやで食べたことがありました。280円位で。

「おお!これこれっ!これが正しい西日本のうどんだし!」と思ったのでした。


> 出汁を取るくらい簡単な話なので
> (最近では、昆布出汁のインスタントまでありますが・苦笑)


実家の母はすでに「ほんだし」派です…(泣)。

化学調味料入りの味噌を使ってる人も見たことあるし、今味噌汁のだしをちゃんとしてる人、
10人に何人位いるんでしょうね? 

まあ、煮干しは投げこんどけば簡単にとれるけど、
関東では鰹節を削るとこからスタートなので、西よりも難易度が高いのかも。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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