有機質肥料よりも化学肥料が安全という理屈

gazou 071
平成22年度産米が高騰しています。でも農家が儲かるわけじゃないらしいです。
早場米も売れて売れてしょうがないとかどうとか。すでにパニックの兆しが見えてます。
米の放射能検査の結果如何で、1993年の米パニックが再来するかもしれません。やだー。



原発事故発生後、すでに5カ月経過。

事態は全く終息せず、次々に汚染の状況が明らかになっており、
第一次産業への影響は無くなるどころか、先行きが全くわからない状態。

すでに西日本の野菜・早場米の買いあさり、昨年産米の高騰など、
風評被害という言葉だけでは説明がつかない現象が起きています。

このような世の中は、もう通常の世の中ではありません。

我々の世界にはもう「絶対安全な食べもの」などないのだ。
3.11以降、私たちの世界は大きく変わったのだと、腹をくくって、
今後の人生を生きていくことが必要な気がします。

さて、稲わらからセシウムが検出され、さらに腐葉土から、
そして木材からと、続々に検出が続き、規制(自主規制含)されています。

311以降、野ざらしになっていて、雨がかかったもの全てに
放射性物質は等しく降り注いでいるわけですから、少し考えれば、
何もかもから検出されて当然なのに、誰も指摘しなかったのは、
気づかなかったせい? そんなことあるのかな。

gazou 024
わたくしの畑で使用している麦わらは、平成22年度山梨県産無農薬麦のわらですが、
311以降、思いっきり雨かかり放題です。これを土壌中にすき込んだらどうなる? むー。
んで、来年の敷きわらはどうしたらいい? むー。



これらは野菜作りの堆肥原料になったり、土壌改良材の原料になるもの。
有機農家はこういった資材を、むかーしから利用してきました。

もしもそれらからセシウムが出て「使っちゃダメ」と言われたら。
何を使えばいいのでしょう。

わたくし個人は、昨年産の米のモミガラをまだ保管していて、
秋作にはこれを使用しますが、現在畑にあるワラや、野菜の残さを
腐植分として利用すべきか、畑の外に持ち出してゴミ処理場を汚染すべきか
多少悩んでいるところです。

原発事故が起きてすぐ、土壌中のセシウムは表層5センチ部分に留まるため、
すぐに表層をこそげとれば大丈夫と、何人もの科学者が言っていました。
でも、おそらく、誰も表層を削り取ったりはしなかったでしょう。

その土をどこに持っていくのかな~。どこに捨てるのかな~。

そんな感じで、わたくし自身も畑を耕しました。
セシウムはおそらくもっと深くまで入ってしまっているでしょう。
(当然ですがその後も降り積もってますし。たぶん)

このタイミングでできることはもっとあったんだろうと思いますが、
時すでに遅しです。

gazou 0s18
区民農園のスタートは3月1日。311以降、資格を放棄した方もいましたよ。
3月末には科学者の指摘がありましたから、4月には削り取るという判断もできたわけですが、
国としては、優先順位が高い事項が他にたくさんあったということなのでしょう。


セシウムは、土壌中ではカリに似たふるまいをすることが知られており、
カリ欠の土壌で作物を栽培すると、セシウムはより作物に吸収されます。

新茶でセシウムが検出された理由も、
こういった養分の転流が原因と言われていました。

新芽は前年の貯蔵養分で出てくるものですが、何かが足りないと
植物は今までの葉から養分を転流させて新芽に集めます。
既存の葉に存在したセシウムが大量に移動し、新芽に集まったため、
新茶から大量のセシウムが出たのだと、NHKでは報道されていました。

放射性物質がどうふるまうかなんて、今の世界を生きる我々には
チェルノブイリ事故一発のデータしかないのですから、ほんとのところ、
だらだらと放射性物質を出し続けた結果など、誰にもわかりゃしません。

今畑にある作物の残さや、草、落ち葉、ワラ、チップ、家畜の敷料などなど。
有機質肥料は基本的に全部自然のもの、雨かかり放題のもの。

セシウムが出たと騒ぐのはいいけど、対策は「排除する」のみ。
他の方法を、誰も知らないのです。

gaszou 005
有機農業にとって腐植分(粗大有機物=炭素)は団粒構造を作るとても大切なもの。
通常、草やワラ、モミガラなどで供給します。輸入のピートモスや泥炭を使う人もいますから、
そういう方向に変わっていくのでしょうかしら? いや~、お金かかるよなあ。



米ぬかだって、モミガラだって、今はまだ前年産のものがあるけど、
未来永劫あるわけじゃありません。じゃあ、どうする? 使わないの?
腐植分を輸入するの? 農家にそんなお金あるの?

一番簡単な答えがこれ ↓ 実際すでにそう言ってる人たちがいます。

「化学肥料が一番安全。だって、自然のものを使ってないから」

ある意味真実なんだが…でもなあ。どうなのよ。
世の中全体がこの方向に振れたら、オーガニックってどうなっちゃうの?
私は今、今年の米のことよりも、こちらを心配しています。

で、自分なりにオーガニックの優位性を考えてみましたよ。
とりあえず書いておきます。

1・有機農家には土壌分析をきちんとする人が多い
→分析してカリの数値を把握しておけば、カリ欠にはならないでしょう。
セシウムはカリ様のふるまいをするため、カリがあれば植物は吸わない(はず)
土壌分析しないで化学肥料使ったって、カリ欠なら結果は同じです。

gazou 027
畑作の写真がないのでりんご畑で代用。化学肥料と除草剤を使い続けた結果、
土にはコケが生え、硬くしまって作物の生育が難しくなります。こんな土では食べものを作れない…
そういう経験が有機農業を生み出したとも言えるのですが。また元に戻るのかなあ。



2・有機農業には微生物層が豊かな畑が多い
→放射性物質を食べるものが見つかったとか見つからないとか(噂だけど)、
微生物の働きはきちんとわかってないけど、いるにこしたことはないはず。
有機質、とくに腐植が入らない土壌では、微生物は増えません。
っていうか、いなくなります。

あとは、「安全性とは何か」という議論をふっかけ屁理屈を言おう。

化学肥料が安全っていうなら、水耕栽培が一番安全ですよ。でもね。
わたくしは野菜工場でできる割高な野菜を、信頼しておりません。
目に見えないものども(微生物)の力が、作物には必要だからです。

現在の我々には、放射性物質のふるまいと同様、微生物のことも
さっぱりわかっていないんですから。

gazou 002
おいしい食べものは、微生物が豊富な健康な土から生まれます。有機農業には
「おいしい」以外に、持続可能であること、生態系や環境に良い影響を与えることなど
メリットが多く、単純に「安全性」という物差しだけではかりきれないもの。なんだけど。なあ。



なんかもう、ほんとにどうなっちゃうんでしょう。

とりあえず、わたくしは秋作も粛々と種をまき、粛々と生育させますよ。
できることはそれしかないのですから。


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No title

ほんたべさんこんにちは。

むー、ほんとに大変な事態になってきちゃいましたね。
ってかそもそもこうなるだろうことはハナっから想像ついてたはずなのに、
今ごろになってやれ牛肉だ、稲わらだ、材木だって騒ぎ出すという。
いったいどうなってんでしょうか。
他はどうなのよ? って素朴に思っちゃうですが。

最近の送り火の被災松の件だって、
結局は当事者どうしが険悪な関係になって互いの心が離れていくという結果になってるように見えますね。
これはほんとにお互いにとって不幸なことだと思います。
原因は放射能汚染にあるというのに、被害意識が別のところに逸らされてしまっているというか・・・。

有機農業にとっても、結局は「じゃあ土壌を入れ替えましょう」とか
「化学肥料使えばいいじゃないか」とならざるを得ないとすれば、
それはやはり何かちがうんじゃないかと強く思います。

>わたくしは野菜工場でできる割高な野菜を、信頼しておりません。
目に見えないものども(微生物)の力が、作物には必要だからです。

あのこれ、全面的・絶対的に支持させていただきます。

今後、もしかしたら福島を中心に大規模な屋内野菜工場やなんかが
大資本の力を背景にバーンと出来たりするんじゃないかと想像しとります。
でも、そんなのおいしいのかな。

浅薄な感想で申し訳ないです。

ではでは v-22

No title

こんばんは。
まさに今更って感じですね。
メルトダウンが起きた段階で、絶対安全な場所なんか有り得ないのに。(メディアの無責任な大丈夫報道にも責任はあるでしょうが)
汚染された大気と水と国土でどうやって生きていくか?ほんたべさんの言うとおり、腹をくくるしかないでしょう。

お米騒動が始まってるんですね。ちょこっと考えれば、お米だけ確保したって、水が汚染されていれば意味無いですよね。
きっと買いあさっている方々は、電気が足りないと不満を言う人達の様な気がします。

安全の為に「化成肥料栽培」や「工場生産」の野菜を選ぶ?
そうしたい人はそうすればいい!
私も安全でなくても、美味しい野菜が食べたいので今後も有機栽培の野菜を作り続けますよ。美味しくない物を食べて100歳まで生きるぐらいなら、美味しい物を食べて50歳で死にます(^^)

人には見えないモノたちの力
Fuさんに続いて私も全面支持です。
彼らは、人間がいなくても生きていけるけど
人間は、彼ら無しでは生きていけない存在ですから。

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No title

ほんたべさん、こんばんわー。本当に不安な話ばかりですね。

>化学肥料が一番安全
それよりも、土壌がもうセシウムで汚染されていたら、化学も何もないだろうと・・・

セシウムだろうとなんだろうと。植物は育ち、そして種を残します。
それを食するのは僕たちの判断。植物にはなにも罪はないのだと思います。

僕は、今年の新米が出来て、たとえセシウムが入っていたとしても、合掌し食べたいと思います。

Re: No title

Fuさん

こんにちは。

>> 他はどうなのよ? って素朴に思っちゃうですが。

ほんと、ほんと。
泥縄式に出てきてあわててるって感じがしますよね。

予測できてるんでしょうから、おそらく出るまで黙ってるってことなのかなと、
邪推もしたくなるってもんですよね。

> これはほんとにお互いにとって不幸なことだと思います。

松の件、いまいち理解できないのです。
燃やしたらセシウムがどうなるとか、環境をどう汚染するとか。
そういうことを明確にして「ダメ」って言ってるわけじゃないでしょ。

皮をむけばいいって言っても、その皮どうするのか。
報道されてないだけかもしれないのですが。

> 有機農業にとっても、結局は「じゃあ土壌を入れ替えましょう」とか
> 「化学肥料使えばいいじゃないか」とならざるを得ないとすれば、


場当たり的な対策で規制と使用禁止になりそうな気がして、やですね~。
肥料に規制値を定めるのかな? でも作物がどれほど吸うのかわかんないのに、
規制値ってどうやって決めるんだ。

土壌の残留農薬の基準値なんかも決まってないのに。
だからこそ、毎年土壌消毒してるんだもん。
土壌消毒剤の移染はないってことになってるんでしょうね。


> 今後、もしかしたら福島を中心に大規模な屋内野菜工場やなんかが
> 大資本の力を背景にバーンと出来たりするんじゃないかと想像しとります。

ひ~! 復興ってことで、可能性ありそうですよね。
ロックウールと液肥だけで野菜を作る…できるけど。
栄養価も高いらしいですが。それは野菜なのかなあって思います。

Re: No title

スナフキンさん

こんにちは。

> メルトダウンが起きた段階で、絶対安全な場所なんか有り得ないのに

あまりそういう風に思っている人はいないのかもしれませんね。
まだ「絶対安全」を求めてる人が多いです。
しかもその人たち、他者の判断をあてにしてたりします。

お墨付きを欲しがっている人がとても多いです。

> 腹をくくるしかないでしょう。

腹をくくって、自分で判断するという具合に意識を変えないと、
自分が生きて行きづらいと思うんですが。

>
> お米騒動が始まってるんですね。

原発事故があって、田植えをしている時からもう、今年は米が上がるだろうと思っていました。
私ですら想像つくのですから、機を見るに敏な人々は素早く動いているはずです。
で、22年度産米がどんどん上がってきました。

> きっと買いあさっている方々は、電気が足りないと不満を言う人達の様な気がします。

西日本の米って、東京の人はそれほど熱心に買わないですよ。
やっぱり東北の新米を待つ人が多いんですが、今年は違ってます。
検査で何か出たら、東北の米を買わない人がもっともっと増えそうです。

西日本と北海道の米がよく売れるだろうと、皆言わないけど思ってるって感じです。


> 美味しい野菜が食べたいので今後も有機栽培の野菜を作り続けますよ。

おお、お仲間がいらっしゃった(^^)
わたくしも、自分の食べるものに自分で責任を持ちたいです。
まあ区民農園の期限が再来年の一月なのですが、それまでは作り続ける予定です。

> 彼らは、人間がいなくても生きていけるけど
> 人間は、彼ら無しでは生きていけない存在ですから。

目に見えないものをもう少し大切にしてもいいですよね。
微生物や昆虫も、非常に大切な存在だと思っています。

この生態系が崩れたらどうなるかって小説があり、コワイですよ。
『ダスト』チャールズペレグリーノ
最後は人類が滅びます。

Re: No title

鍵コメさま

全く問題ありませんです。
よろしくお願いいたします。

Re: No title

駆動さん

こんにちは。

> >化学肥料が一番安全
> それよりも、土壌がもうセシウムで汚染されていたら、化学も何もないだろうと・

そうなんですよね~。
化学肥料主体にしたとしても、土壌には腐植が必要なので、
何かを入れる必要があるんですよね~。安いものを。

いままでなら安価に入手できたものが、これからは使えなくなるかもしんない。
さらに「検査済み」とかのお墨付きが必要になるかもしんない。
そんなことになったら、大変だろうなあと思います。

>
> セシウムだろうとなんだろうと。植物は育ち、そして種を残します。
> それを食するのは僕たちの判断。植物にはなにも罪はないのだと思います。

「アタシ吸いたくないのよね」って植物は思わないですもんね(笑)

原発の事故があったから、セシウムが残留してるから、食べたくないってのはいいのですが、
(人それぞれの判断があるので、非難なんかする必要もないのですが)、
時々あたかも野菜や牛、作った人が悪いように言う人がいます。

それは間違ってるので、そこんとこははっきりしたいと思ってます。
食べないなら食べないでいいけど、非難するなら東電であり、
原発を容認していた自分たちでもあると言いたいです。

皆が被害者であり、ある意味、加害者でもあるのだと思ってます。


> 僕は、今年の新米が出来て、たとえセシウムが入っていたとしても、合掌し食べたいと思います。

私は今からつや姫の新米が楽しみで楽しみで(笑)

夫婦二人しかいないので、米の消費はめっちゃ少ないのですが、
おいしいつや姫を食べたいと思ってます。出荷停止にならない限り、食べますよ!


プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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