絶対安全などあり得ない。でも知ることが武器になる

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農薬と放射能とどちらがキケンか?と尋ねられたら「どっちかと言えば農薬」と答えます。
農薬もただちに健康に影響はないけど、急性毒性が高くて危ないものがあるし、
催奇形性や発がん性の高いものがあるしで危険です。まあどっちもよくないモノですけど。



こんな記事を読みました。

災害に対して最も信頼できない情報源⇒「政府・省庁」59.2%。
「テレビ局の独自放送」 ⇒15.5%、民間の調査機関やシンクタンク⇒7.5%
(広瀬弘忠東京女子大名誉教授アンケート・2011.08.27産経新聞)

わたくし自然食業界のすみっこに身を置いているので、
この業界の消費者・流通・生産者の3者の話をよく聞きます。

消費者は「絶対安全」のお墨付きを欲しがり、
流通は「絶対安全はあり得ない」と言いたくても言えず、
生産者は「消費者の気持ちもわかるけどさ。売れないと困るのよね」と、
誰に向かって言うでもなくつぶやく。そんな感じです。

誰が悪いわけでもないのに、皆が不幸。大変悲しい状態です。

原発事故が引き起こす具体的な被害、さまざまな事象のひとつに
「国民皆が疑心暗鬼になり不幸になる」と追加すべきではないでしょうかしら。
とくに政府が信頼に値しないと思われている国では。

不確かな情報に右往左往し、うっかりだまされないよう、
きちんとした知識を持つこと。今できるのはそれぐらいって気がします。
ということで、データを集めてみました。

群馬 014
汚染された土壌の除染のために菜の花が使われるようです。ちょっと心配なのが、
そこで作業する人たちの被曝なんですけど、あまり話題になってないですよね。
放射能が出たとかどうとか以前に、そこで農業してる人の被曝はどうなってるんでしょう。
農家の被曝の結果作物ができて、それが売れないと思うとやり切れない気持ち。



日本の法律で定められている放射線許容量は、
通常に暮らしている人間では1年間に1ミリシーベルトとされています。
※自然界における放射線量2.4ミリシーベルト(世界平均)は除く

原発・レントゲン技師など職業として放射線を扱う人は別に設定されていて、
年間で50ミリシーベルトです(本来は5年間で100ミリシーベルト以内)。
※緊急時には100mSv/年が認められていましたが、
福島第一原発の事故後、250mSv/年に引き上げられました。

これらは、許容量以下だから安全という意味ではありません。

放射能の急性障害にはしきい値が設定されていますが、その他、
発がんリスクや遺伝子障害などについては、しきい値はないと言われています。

「できるだけ浴びない方がいいんだけど、浴びるならこれ以下。
但しメリットデメリットを勘案して、状況によっては変更あり」そんな感じでしょうか。

緊急時の職業人の数値が引き上げられた理由は、
社会的なメリットと人的なデメリットを天秤にかけたのでしょう。
職業人としての「緊急時だからがまんの量」を強いられたということですね。

gazou s038
セシウム137のベラルーシでの水の基準値は10Bq。ウクライナは2Bq。日本は200Bq。
ウクライナにはベビーフードにも基準値があって、500Bq。人々が食べる量と回数によって、
基準値はきめ細かく決める必要があるってことですね。他国の値は参考にはなるけど、
単純に比較はできない気がします。でも日本の水の基準は高すぎるよね。



さて、7月26日、食品安全委員会が、日本人の生涯の累積線量を
発ガンリスクが高まる100ミリシーベルトを超えないようにすべきという
見解を出しましたが、これは上記の法律とはまた別の考え方のようです。

100歳まで生きるとして1年間に1ミリシーベルト。
今決まってるものよりも余分にOKという意味? それってどうなのよ。

おそらくこの見解を元にして現行の暫定基準値が見直されるのでしょう。
暫定基準値の考え方については、
放射性物質と食品に関するQ&A(6月13日更新)に詳しく書いてあります。

それによると、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告した放射線防護の基準を基に、
あれこれ計算して出したのが暫定基準値。あくまで「暫定」。ですから、
そろそろきちんとした基準値を設定すべき時がきているということですね。

現在のセシウム137の基準値は飲料水・牛乳・乳製品が200ベクレル、
野菜・穀物・肉・卵・魚その他が500ベクレルです。

で、「○○ベクレル」は、何シーベルトになるのか。
それがわかると食べたものの放射線量がなんとなく把握できます。

http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php
↑ベクレルをシーベルトに換算してくれるサイト

ちなみに「ベクレル」とは、放射性物質の量=放射能を表す単位です。
「シーベルト」は放射線が人体に与える影響を表す単位のことです。

gazou 058
モミには当然玄米よりも高い数値の放射能があるんでしょうね~。
玄米では数値が出たけど、白米にしたら定量下限値未満で「検出せず」だったとか。
うーん。そういうものなのね。きっと農薬もそうなんだなあ。



例えば先日発表の、市川市で栽培された収穫後のコメの本検査で出た、
46ベクレル/kgで計算してみました(玄米の数値)。

日本人が一日に食べる米の量は約170g(平成16年の統計)ですから、
365日食べ続けると、0.037ミリシーベルトになります(預託実効線量)。
へ~。なんか少ない気がする。その他にいろいろ食べられそう。
※預託実効線量については以下のサイトでご確認ください。
わたくし物理・化学全般に弱く、うまいこと説明できませんです。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/yotaku_jikkou_syousai.html

さらに。基準値の500Bq/kgの野菜を一日300g食べ続けると0.71mSv/年。
しかし、500っていう基準値はちょっと高いですねえ。米だと0.4mSvだもの。
毎日食べる野菜や米については、もう少し低い数値にすべきでしょう。

こうやって計算してみると、ぼんやりとした実感がわきますよ。
であれば、放射能の数値も、基準値以内と漠然と言われるより
はっきり数字を出してくれた方が判断しやすいってことですね。

何しろ放射能は出続けており、汚染は引き続き進んでいるのですから。

gsazou 049
来春のわらびは日本全国で放射能が出たりして…。でも山菜は一年に一度だから、
老い先短い身としては食べてもいいかな~とか思っちゃう。リスクと利益を勘案して
食べたいものを決めるという判断もありですよ。それぞれが自分の思う通りにしてOK。
そして大切なのは、人のふるまいを批判しないことです。



うっかり忘れそうですが、福島第一原発からはちびちびと放射性物質が出ています。
風は大空をびゅうびゅうと渡ってます。風に乗った放射性物質がどこに落ちるのか。
そんな状態。日本に「安全な土地」があり得るのか。そんな不安。

放射能も、単に分析されてないから出ていないだけなのかも。
分析したら出てびっくり!という静岡の茶の例を見ても、その可能性は大です。

今はまず東日本産のものについての優先順位が高いのでしょうが、
この調子では、そのうち全国で検査ってなことになるのだろうと思います。

何しろ放射能は出続けており、汚染は引き続き進んでいるのですから。

しかし、やみくもに放射能を恐れる必要はないような気がします。
根拠をしっかりと把握すれば、正しく自己判断ができるでしょう。

画像1
疫学的なデータはこれから我々から収集されます。このような事故が起きた前例はないので、
日本人のこれからがデータになります。ってことで、体調が悪くなったり何か起きた場合は、
医者に行って記録をとりなさいと『内部被曝の脅威』著者の肥田舜太郎さん。
自分のためだけではなくこれからの日本人のためにも、その記録が大切なのです。



自分で自分の身を守るための武器になるのは「知識」だけ。
自分で決めて責任を持つ。厳しいことですが、やるしかないのです。
政府が信頼に値しないのですから。

そして、このような不幸を国民に強いている原発は、
来年の再検査時に再稼働しないことが肝要ですなあ。デモしちゃおうか。

それにしても。

今起きていることを正しく判断し、今後起こることをきちんと想像できる、
そういう政治家に国を動かしてほしい。切に望みます。

ブログ友達のFuさんが、政治家の方々の発言をまとめられているので、
ご参考までにご覧ください。いや~、目の前がまっくらになりましたよ。
「原発推進者の「理」(1)」


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No title

除染のために菜の花を植えるということは、菜の花がセシウムなどを成長過程で吸い取ってくれるという事ですか?
自然の力ってすごいですね。牛肉の話。。。。フォアグラを作るために犠牲になるダックと同じだったんですね。。。最近なるべくお肉は食べないようにしているのですが。。。。やっぱり。。。正解です。
数ヶ月前に始めた畑はカリフォルニアのドライな気候のため葉っぱがハダニにやられてしまって散々ですが、ほんたべさんの記事を読んでまたやる気が出ました。家族のためにがんばります。

Re: No title

Nobukoさん

こんばんは。

> 菜の花がセシウムなどを成長過程で吸い取ってくれるという事ですか?

菜の花はチェルノブイリで実績があって、セシウムを吸い取る作物として有用だそうです。
ナタネは油にしてバイオ燃料に。その他は廃棄物になります。
油にはセシウムが移行しないことがわかっているらしいです。

ひまわりでも取り組んでいるところが多いのですよねえ。
ひまわりも、種を油にしてバイオ燃料にするみたいです。


> 牛肉の話。。。。

アメリカの牛肉にはホルモン剤の使用が許可されてるので、そちらもコワイですよねえ。
ホルモン剤を使ってるので、EUへの輸出ができないらしいです。
でも日本はOKなんですよね。今はBSEの影響で出荷制限されてると思いますけど。


> 葉っぱがハダニにやられてしまって散々ですが、

ハダニは水に弱いので、水をやるとぽろぽろと落っこちると天敵の研究者が言ってました。
でも日本のハダニと違うかもしれませんねえ…。

でも家族のためにがんばってくださいね!

こんばんは☆

油にはセシウムが移行しないと初めて知りました!
廃棄部分はどこに集めて、どうするのでしょうね。

Re: こんばんは☆

hiromiさん

> 油にはセシウムが移行しないと初めて知りました!

ベラルーシやウクライナの牛の飼料の基準値は、干し草で牛乳用が1300ベクレル。
バター用は1850ベクレルなんですって。
セシウムと油は相入れないものだからという理由だそうです。

ナタネ油の場合は人が食べないで燃料になるってのもミソみたいです。
燃料になってもセシウムは排出されないからOKなのだそうです。


> 廃棄部分はどこに集めて、どうするのでしょうね。

そこが問題ですよね。

燃やしても出るし、埋めたら台無しだし。

なので、廃棄物のカサが多いひまわりはよした方がいいと最初報道されてたのですが、
最近はひまわりがやたらと植えられているので、新しい何かが発見されたのかなあと
興味深く見ています。

No title

ほんたべさんこんにちは。

消費者・流通・生産者の三つ巴の理屈、まさにウロボロスですね。
この連立方程式、というか知恵の輪をちまちま解いていくのは並大抵の話ではないなーと、
少し暗い気分になります。
かといってどこかでズドンと鉈で絶ち切っちゃうというのもできなさそう・・・。

だからこそ、おっしゃるように「正確な情報を知る」ということが重要になってくるんですね。

で、情報を出す側の人たちには「パニックになるから」とかいうおかしな理屈はこの際おいといて、
なるたけ正確に、包み隠さず、と(当たり前のことですけど)言いたいです。

前からすごく気になるのが、新聞とかに載っている放射性物質の検出・不検出記事。
「基準値以下」って一様に言われても、
その基準が生ぬるければこんな検査なんにもならないんじゃなかろうか、と。
基準値以上だろうが以下だろうが、とにかく数字を出してほしい。0ならば0.00と。
その上で、判断すべきは受け取る側が独自に判断すればいいだけの話なのになーと思います。

あ、当方の記事、ご紹介いただきいたみ入ります。
ちょっと中途半端な記事で正直お恥ずかしいですが、お役に立てれば何よりです。
あ、続編あるんだった。

ではでは

Re: No title

Fuさん

こんばんは。

> 消費者・流通・生産者の三つ巴の理屈、まさにウロボロスですね。

やっぱり一番エライのは消費者様ですから。
流通も生産者も、言いたい放題には言えないんですよね。ほんと。
言うといろんなところで叩かれちゃったりするもんで。

買う側と買われる側は対等じゃないのです。
どんなにきれいごと言っても、絶対に対等じゃないのだなと思います。


> 「基準値以下」って一様に言われても、
> その基準が生ぬるければこんな検査なんにもならないんじゃなかろうか、と。

基準値以下って言われてもなって確かに思いますよね。
そもそもが暫定基準値だし。

他国でも、実績に基づいて決めてるの、チェルノブイリ以後にデータ集めてる国だけだし。
あとは「これぐらいならだいたい安全」って基準ですもんね。

日本でもチェルノブイリ後に決めてた基準は370ベクレルとかいう基準で、
今それよりも高いのは、自分とこで出しちゃったし、
やっぱり基準値を高くしないといけない理由があるんだと推測しちゃいますよねえ。


> 基準値以上だろうが以下だろうが、とにかく数字を出してほしい。0ならば0.00と。
> その上で、判断すべきは受け取る側が独自に判断すればいいだけの話なのになーと思います。

そうですよね~、その通りだと思います。
自分で情報収集して、自分の基準を決めてもいいと思うんですよ。
(っていうか、国は何してるんだって話は置いといて、ですけど)

> 当方の記事、
> あ、続編あるんだった。

続編もお待ち申し上げております。
しかし、まだ推進しようとする人たちがいるのが理解できない。
メディアのアンケート調査も、恣意的なデータって気がしてしょうがありませんです。

自分で冷静に判断することですよね~まずは。


プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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