昨今のお野菜が高い理由を農家に聞いてみた

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ほんたべ農園産「日本ほうれん草の塩麹ナムル」。うまいっす。
冬のほうれん草ほど幸せを感じる野菜はありませんね~。いや、ほんと。



ほんたべ農園で野菜を自給しているわたくし。

足りない野菜は固定価格の大地を守る会の宅配で購入しているため、
12月から野菜が高騰してるってことに気づきませんでした。

そう言えば年末、自然食品店卸の野菜スタッフが
「小松菜が足りない~」と騒いでいたのは聞いていましたが、
小松菜が年末に足りなくなるのは関東では毎年のこと。

年末に小松菜の相場が上がるのは「お雑煮商材」だからなので
それほど気にしておりませんでした(れんこんとか切り三つ葉も同じよね)。

ここのところ、ニュースは腹立つ報道ばっかなのでほとんど見ておらず、
先日ようやく新聞に「野菜高騰」の記事が出るに及んで
「あっ!野菜が高くなってる!」と気づいた次第です。…遅いって。

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1月14日の収穫。大根、ほうれんそう、40cmの小松菜。
これらの種をまいたのは10月8日。11月5日から間引き菜が収穫開始でした。
あったかかったのでバンバン生育し、あっという間に収穫適期。そして30cmに。
「止めて~」とお願いしても野菜の生育は止まりません。農家は大変だったと思います。



新聞には「野菜高騰の理由=急に寒波がやってきたから」と
書いてありました。まあ確かにそうなんだけど。ちょっと補足いたします。

元をただせばこの高騰、9月22日に来たでかい台風15号被害、
そこからスタートしております。

9月22日、日本をほぼ縦断し大雨を降らせた15号で、
8月末から9月上旬に種まき・定植した野菜類が被害を受けました。

この時期の定植・種まきは、主に秋冬産地が10月中旬から出荷する野菜。
秋冬産地とは関東の平地と静岡・愛知あたりのことです。

冬場は菜っ葉・ネギ・大根・白菜などは主に関東平野・房総半島から
レタス・キャベツ・ブロッコリーなどは、三浦半島・静岡・渥美半島が
主産地になります。寒くなるので暖かいところで作るのですね。

ninzin.jpg
10月6日、本庄市の瀬山さんの畑。人参畑が1週間ほど冠水し、
欠株が出ています。人参も変形したものばかりで、まき直しを余儀なくされました。
千葉も同じだと思うから、春先の人参が不足するんじゃないのかな~と予測しています。



台風15号ではにんじんが流されたり、定植後の苗が回されたりで、
どの産地にも大きな被害が出ていました。
間に合うものは定植し直したり、まきなおしたりしたはずです。

これではどこかで足りなくなるだろうなあと思っていたわたくし。
ほんたべ農園の遅い種まきが間に合うといいなと思っておりました。

ところでこの秋、アホほどあったかかったですよね。

出荷の穴があくどころか、どこも野菜の生育が止まらず、
12月に出荷予定だったものが全部前倒しで出荷されたのでした。

供給過剰だった10月末から11月の野菜はかなり安かったはずです。

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同じく10月6日の瀬山さんの定植したばっかだったブロッコリーの苗。
これはもう大きくなれなかったと思います。ブロッコリーやキャベツは初期生育が大切。
根が傷んじゃうといじけたものしかできなくなりますから、うなったんじゃないかなあ。



渥美半島の農家に聞くと、11月には2週間ほど前進してたとのこと。
この時点で「1月にいろいろと足りなくなるだろな~」と思ってたそうです。

野菜を扱ってたらそういう予想は割と簡単にできるものですが、
その時点ではできることは何もない…ってのが野菜農家の悲しいところ。

予想通り、12月に寒波がきて、雨がほとんど降らなくなって、
後に続くはずの野菜の生育が鈍くなり、出荷が少なくなってきて、
需要と供給バランスが取れないから、野菜が高くなった。

それが現在の状況なのでした。

価格的にはスーパーではキャベツが300円前後。
ほうれん草などの菜っ葉類が200円というお値段だそうですが、
そんなに高くないよなあと思うのはわたくしだけでしょうか。

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ほんたべ農園のスナックえんどう。11月5日種まき。
えんどう類はちびっちゃいこの大きさで越冬するので、時期を間違えると大変です。

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で、時期を間違えたお隣の区画のキヌサヤエンドウ。10月中旬に種まきしたら、
あったかくて適度に雨が降ってたので、フツーに生育して実もつけちゃいました。
春先には枯れちゃうでしょう。種袋の裏には10月中旬~適期と書いてありましたから、
指示通りにまいたと言えばそうなのですが…お気の毒です。



渥美半島の市場ではキャベツ8入り1ケース1,800円、
ブロッコリーは15入りで4,000円という価格がついてたそうで
今市場出荷してる人は儲かってるなあ!と思ったりします。

でもまあ、野菜がないからこそ高くなってるってことなので、
この時期に当てて作ってて、儲かってる人なんてそんなにいないもの。
今高くても、市場の野菜価格は11月に暴落していますから、
収支はトントン…どころかマイナスかもしれません。

野菜って高い時だけニュースになる妙な食べもの。

例えば、渥美半島で慣行栽培のキャベツを作っていたら、
再生産可能な農家の売り値は1個150円と言われます。

これにスーパーの粗利30%が乗ると、売り値は220円位。
これは、フツーに農薬を使ったキャベツを翌年も無理なく栽培できる、
農家の側から考えた場合の理想の販売価格。

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10月25日まきのコリアンダー。もう1カ月も全く大きくなってません。
でも、去年みたいに2月にぽかぽか陽気が来ないことだけを祈っています。
2011年は1月に生育を休んでた野菜がぐわっと大きくなり、3月分がまた前進して、
4月の端境がうまくつながらず野菜高騰…てな感じでした。2月はフツーに寒いままでいて。



高い? 安い? 
わたくしは野菜の売価は安すぎると考えてます。

サラリーマンの給与や立ち食いそばの価格は、
30年前から考えると3倍、うんにゃ、5倍位にはなってるはずなのに、
野菜価格ってそんなに変わってません。

「お野菜が高いと困るのよね~」とおっしゃる人々に聞いてみたい。
そのあたり、どうなんでしょう。安けりゃいいんでしょうか。

有機農産物のような付加価値商品でも、再生産可能価格ぎりぎり。

露地の慣行栽培なんかは厳しいの一言なんじゃないのかなあ。
4月の端境期にまた野菜が高騰し、ニュースになるんだろうなあ…と
ため息をついているわたくしです。


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No title

ナムル美味しそう、、

 

生業としての農業

野菜、安すぎると思うときもありますね。
特にマルシェや直売所などでは無茶な(安い)値付けも一部で見かけます。
一方でめちゃくちゃ強気なのも見かけますけど。
再生産可能な原価や、自分が時給いくらで働いているかを
把握・認識できている農業者ってどのくらいの割合いるんでしょうね。

また、主に年金で生活し、安い値付けで販売している趣味的農業者も、
生業としての真っ当な農業者を自分たちが阻害している自覚があるのかどうか。


ところで、正しい認識をベースにしないと物事を見誤るので...

>サラリーマンの給与や立ち食いそばの価格は、
>30年前から考えると3倍、うんにゃ、5倍位にはなってるはずなのに、
>野菜価格ってそんなに変わってません。

この部分ですが、実際には、

民間給与実態統計調査結果・長期時系列データ
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

民間給与実態統計調査
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan/top.htm

1980(S55)年と2010(H22)年を比較すると、
294.8万円から412.0万円に、平均給与は1.4倍にしかなっていませんよ。
なお、ピークは1997(H9)年の467.3万円で、それでも1980年との比較は1.6倍弱です。
ちなみに2010(H22)年は1989-90(H元-2)年水準まで下がってきています。

平均値はモード値とは違うこと、正社員率の低下、など、
データを読む際に気をつけるべき点はありますが、
3倍とか5倍というのは明らかに思い込み・誤認かと。

で、物価上昇率とか成長率とか物価指数とかに深入りすると、
経済学の世界でも基本的な部分で考えが一致してない中で難解な話になってしまうので、
個々の生産者側で直接的にできることに絞って考えてみると、

・値上げする
・生産性を向上させる
・付加価値をつける

の3つがポイントでしょうか。
(マクロの生産性向上はデフレ圧力にもなりますが、
かといって個々の生産性を悪くした方がいいとはなりません)

しかしながら、
自らの価格決定権を放棄したやり方を続ける生産者は主体的な値上げはできないですよね。
価格決定権を握るにはどうすればいいか、生産性を上げる余地はどこにあるか、
旧態依然としたやり方や固定観念にとらわれてロスしている部分はないか、
どういう付加価値をつけたら利益率の高い価格で売ることができるか。

生産労働者としてだけではなく経営者としても頭をフル回転させる独立農業者、
農業法人で生産労働者として働くサラリーマン農業者、
農業法人で経営や企画・営業にも携わる農業者、
どれかを選ぶことが迫られますね。必然的に、否応なく。

Re: 生業としての農業

H2さん

PCの乗り換えをしていたので、コメントに返信が遅れました。
すみません。

> 再生産可能な原価や、自分が時給いくらで働いているかを
> 把握・認識できている農業者ってどのくらいの割合いるんでしょうね。

大規模農家はできてると思います。
米とか計算しやすいんじゃないでしょうか。
割合はわかりませんが。


> >サラリーマンの給与や立ち食いそばの価格は、
> >30年前から考えると3倍、うんにゃ、5倍位にはなってるはずなのに、
> >野菜価格ってそんなに変わってません。
>

鳥取で中学生のころに食べてたうどんが80円でした。
東京で食べるうどんは今450円くらい。
お給料も3倍くらいになりましたよ。
まあ、東京と鳥取という差があるのですけど。

あとは生産者に聞いた話に基づいております。
統計を引っ張ればよかったかもしれませんね。

Re: No title

ゆうこさん

はじめまして。
ナムル、うまかったです。

管理人のみ閲覧できます

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Re: No title

鍵コメさま

はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。

野菜の販売はまだ手掛けていないのです。
いつかはやりたいなと思っているのですが、、、。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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