知ってるようで知らない農薬の話

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5月ごろ、アブラムシが作物につき始めるとナナホシテントウは繁殖します。
エサが増えてくるまで繁殖を待ってるのですね~。慣行栽培ではアブラムシの
発生と同時に農薬散布するので、ナナホシテントウはそこでは繁殖できません。
天敵の有効利用のためには、害虫の発生時期と天敵の関係を知らねばならないのでした。



1月。農薬の季節。
JAではこの時期農薬の注文を取り、農家は農薬の発注をします。

とくに果樹産地では、昨年の病害虫の発生状況をもとにして
今年度の傾向を予測し、昨年の病害虫の残りもたたきつぶせるような
「今年一年これまいときゃOK!」ってな防除暦が作成されます。

これは畑作も同じですが、農薬名までは公表されていないので、
一般ピープルが防除暦を実際に目にすることはありません。

県のHPには農薬回数及び化学肥料(窒素分)の量が
作物ごとに記載されております。
「特別栽培農産物の基準」とか「指針」とかで検索すると出てきます。

回数見るだけでもぶっ飛ぶので、一度見てみるのがお勧めです。

レタス
基本的に農薬がたくさん使ってあると思って間違いない作物・レタス(↑これは無農薬)。
一度とあるスーパーでレタスのPOPに「減農薬栽培!」と大きく書いてありましたのです。
そこには丁寧に「トップジンM」と農薬名が書いてありました。トップジンMは殺菌剤ですが、
残留しやすく催奇形性や発がん性の報告がある農薬。でも使うと農薬回数は減らせます。
農薬って回数だけでは評価しづらいのだなと、つくづく思った出来事だったです。



さて、農薬。

売ってる作物についてても見えないし、においもしないし、
どんだけ残留してるかなんてことも全くわかんない化学物質。

農薬には残留基準値ってのが細かく決められていて、
基準値以上の残留があると出荷停止になります。

2002年農薬取締法が改正されて以降は、
適用作物や希釈倍率(※)が間違ってても出荷停止になります。
※この農薬はこの作物に何倍の希釈倍率でまきなさいという
農薬の袋の裏に必ず書いてあるルール。

さらに2006年。
残留農薬基準値がないものがいくつかっていうか、かな~りあったため、
海外の基準を適用し、海外にもないものは一律0.01ppmという
ポジティブリスト制が適用されました。

ってことで、一応「安心だよね」ってことになっています。

IMG_5478.jpg
オルトラン水和剤の適用を見ております。何に効くか書いてありますね。
これ以外の目的で使用してはいけません。希釈倍率は内部の説明書に書いてあります。
有機リン系なので何にでも効きます。天敵ももれなく殺します。残留もしやすいので、
栽培期間の短い菜っ葉なんかにはまいてて欲しくないよなあってな農薬です。



そういえば。勘違いされてる方がいらっしゃるかもしれませんが、
売ってる野菜は残留農薬が「ゼロ」ではありません。
なぜならば、残留基準値以内なら販売してOKだと
法律で決まっているからです。

放射能の検査で最近しょっちゅう聞く「検出限界値」は
農薬を検査する場合にもある数字。
NDは農薬の残留に対してもしばしば見かける言葉です。

「NDでも安全じゃない」と言ってる人がいましたが、
農薬も同じなんだけどなあ。まあ、いっか。

さて、残留基準値は作物ごと、農薬ごとに定められています。

たとえば、りんごや桃などによく使われる農薬「ダーズバン」の基準値は
りんご1ppm、和梨0.5ppm、トマト0.5ppmとかで妥当な感じですが、
アスパラガスだと5ppm、小松菜やチンゲンで1ppmと
「えっ!菜っ葉なのにりんごとおんなじ?」的な素朴な驚きを感じます。

IMG_5482.jpg
作物の根元にパラパラとまくと作物が吸収し、作物をかじった害虫が死んでくれる
便利な農薬「粒剤」。上記の水和剤は水に溶かしてまくタイプ。これは土に混ぜるタイプ。
キャベツやブロッコリー、メロンとかの定植時に株元におくと、初期の虫害が防げます。
収穫時には残留してないので便利といえば便利。でもどうかなあ。私はイヤ。


 
だってさ、りんごは皮むけるでしょ。

っていうかダーズバンを菜っ葉に使う人いないと思うけど、
使ってたらヤだよね。1ppm以下ならOKなんだもの。

ダーズバンの有効成分名は「クロルピリホス」(有機リン系)。
劇物指定で魚毒性C、催奇形性(先天異常)が報告されており、
変異原性もあり、ADIは0.01。土壌残留・作物残留も高く、天敵も殺します。

5・6月の果樹産地では防除暦に入ってます。

なぜか昔、中国産の有機ほうれんそうから
基準値の数倍出て某生協では回収騒ぎにもなりましたが、
アメリカでは毒性が高いので、すでに製造中止になりました。

残留基準値は、ヒトが一生かけて食べ続けることを前提に
設定されている数値。ですから基準値以下ならば、
「食べ続けても安全」と言われています。だから安全。

yotou.jpg
ヨトウムシの若齢幼虫。この大きさだと有機許容農薬のBT剤はまだ効果あり。
大きくなると死んでくれなくなります。でも食った跡があると出荷できませんから
畑には一匹もいてほしくない。BT剤なんかよりもっとよく効くのが使いたい。
それが今の農業の形なんですね。多少の虫食いと農薬とどっちを選択するかです。



うーん。ほんとかな?

日本の出荷規格は世界で一番厳しく、虫が食ってたり
姿かたちがそろってないと商品として認められません。

出荷用の野菜は換金作物ですから、きれいなのを作んなくちゃ。

結果、自家用と出荷用を分けて作る農家はたくさんいらっしゃいます。

さらに、海外で作って輸入するものにも同様の品質を求めるため、
当然ですが日本同様農薬を使って作らせることが多く、
日本はひどすぎるとある国際会議で名指しで非難されたという
研究者の話を聞いたこともあります。

世界一の農薬使用量(単位面積当たり)を誇ってることは知らず、
ぴかぴかの野菜や果物を何の疑問もなく食べている日本人。

IMG_5481.jpg
病害虫の予防でまく農薬もあるけど、草退治でまかれる農薬もあります。
これはマンションの駐車場とかにもよくまかれてる、非常に有名なラウンドアップ。
草取りの手間が大変っていうのはわかるけどね。田んぼなんか除草するの大変だもの。
でもなあ…。



放射能と違い、農薬は空から降ってくるものではありません。
明確に「病害虫予防」という意思を持って散布されるもの。
変えることはできるんじゃないでしょうかしら。

自分たちの食べているものがどういうものか知ること。
そこがスタート地点だと思っとります。


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No title

こんにちわ
いつも勉強させていただきます。。
農薬の問題は難しいですね。キレイな野菜を作るだけなら工場生産すればいいじゃん!と思うのですが…今の価格帯では当然採算がとれないでしょうし…と思うのです。
自然のめぐみの中では虫や病気は付き物…というのは分かっていても、スーパーに並んでいる野菜を選ぶ時は、他のよりもキレイな物・他のよりも大きいもの・・なんて選別します。。
この選別がよりキレイなものを作らなくてはと思う農家のプレッシャーとなって、農薬プリーズ!となってしまうのでしょうか?

Re: No title

nikotomaさん

こんにちは。
コメントありがとうございます!

> 農薬の問題は難しいですね。キレイな野菜を作るだけなら工場生産すればいいじゃん!

水耕栽培のハウス建てるのに1千万。
中の施設整えるのに何千万って世界ですもんね~。
費用対効果だけみると、まだまだって感じです。

水耕だからといっても果菜類はやっぱ農薬いるんじゃないでしょうか。
バイオタイプQとか入ってきちゃった日にゃ、全滅ですもんね。


> スーパーに並んでいる野菜を選ぶ時は、他のよりもキレイな物・他のよりも大きいもの・・なんて選別します。

日本人は世界で一番食べ物に「清潔」を求める民族で、
異物混入なんて絶対に許さないし、虫食いの野菜もダメです。

店頭に陳列してあるものは全部触らないと気が済まないという性質があるため、
スーパーでは全部リパックせざるを得ないと聞いたことがあります。
触ってダメにしてしまうからですね。

過剰包装とかいわれますが、そもそもは消費者の傾向がそうだからなんですよね~。

店を信用していないのと、人が見ていないところでは、
自分が一番いいものを手に入れたいという欲求が強いんでしょうか。
日本人、意外と民度が低いのかも。

そういった消費者の傾向を過大に評価した結果が、市場の出荷規格で、
規格外のものは二束三文でしか売れませんから、きれいなものを作るのが当たり前になってしまってます。

そもそもの責任は農家ではなく、消費者と流通にあると思ってます。
無農薬の野菜だから虫が少しぐらい食べててもOK!という消費者は、
一般的にはほとんどいないと思っていいと思いますです。

No title

おはようございます。
お返事ありがとうございました。

>…食べ物に「清潔」を求める民族
なるほどぉ~と思いました。
一消費者兼農家とては悩みどころですね。

昨年、知り合いの農家さんで減農薬に挑戦したトウモロコシの頭がほとんど虫にやられてしまって…いつもは一皮むいただけで直売所へ出荷出来るのに、はやり「これは持っていっても売れないから…」とわざわざ虫にやられた所をキレイに切り取って、7割から8割の値段でした

消費者側では、頭が切り落とされているトウモロコシをちょっと訝しげに思うのでしょうか?!
おそらく農薬漬けであろう、キレイな1本トウモロコシの方が先になくなっていくんですよね~

使っている農薬にはあまり過剰反応するべき物じゃない?。。物もあると思うのですが…

先、加工食品の成分表のように、野菜のポジティブリスト表示が義務づけされるような時代も来るのかなぁ~と思ったりします。

No title

おはようございます。
農薬を散布する事を「消毒」と言いますね。
農家や農協職員もそうです。
消毒とは、毒を消すという意味なのに
毒成分を巻いて消毒とはこれいかに?です。
罪悪感を無意識に軽減する言葉なのでしょうかね。

農薬の希釈倍率は、基準がありますけど
散布量は、農家の勘です。
10a当りの散布量はありますけど、
手散布にしろ機械散布にしろ濃淡は出来ますよね。
それを考えると曖昧な判断基準だと思います。

ほうれん草

こんばんは。
お久しぶりです。
タイミング良く、岡山の親戚からほうれん草、ネギなどの自家用野菜を頂きました。
早速食べましたがカルチャーショックです。
ほうれん草ってこんなにも美味しかったんだ!?
もうスーパーで販売しているほうれん草は食べれません。
私のブログの読者にも農薬の実態を知っていただければと思い、ほんたべさんの記事をリンクさせて頂きました。
悪しからずご了承ください。
昔の野菜は青虫が葉っぱの間にいたり、虫食いがあったり当たり前だったと思うのですが、ホントに今の消費者は受け入れられないのですかね?
私は農協などの中間業者が、農薬を使わせるために仕組んだものと見ております。
賢い消費者は虫がいても農薬を使わない野菜を選択すると思いますが、いかがでしょうか?

Re: No title

スナフキンさん

こんばんは。

> 農薬を散布する事を「消毒」と言いますね。
> 農家や農協職員もそうです。

いいますね~。不思議です。
農薬=薬という認識なのでしょうね。

> 農薬の希釈倍率は、基準がありますけど
> 散布量は、農家の勘です。
> 10a当りの散布量はありますけど、
> 手散布にしろ機械散布にしろ濃淡は出来ますよね。

農取法が改正された当時、徹底して指導してましたよね。
農薬の散布報告書みたいなのを提出しろと言ってました。

散布量・希釈倍率・適用作物、絶対間違えないで!ってことで、
何年か、相当厳しかったみたいです。

最近はどうだか知らないけど、けっこうゆるんできているのかも。
なんか、やな話をあちこちで聞きますです。

実際には全品検査してるわけじゃないし、どんだけ残留してるかなんて誰にもわかんないです。
信頼できる農家、あるいは流通から買うしかないと思いますです。

Re: ほうれん草

ポポカさん

こんばんは。
お久しぶりです。

> 私のブログの読者にも農薬の実態を知っていただければと思い、ほんたべさんの記事をリンクさせて頂きました。

ありがとうございます~。


> 昔の野菜は青虫が葉っぱの間にいたり、虫食いがあったり当たり前だったと思うのですが、ホントに今の消費者は受け入れられないのですかね?

むかーし、お味噌汁にアオムシが浮かんでた記憶があります(笑)
その後私は菜っ葉の味噌汁をしばらく食べませんでした。
アオムシが大嫌いだったのと、恐怖新聞っていう怖い漫画で怖いエピソードを読んだのが理由です(笑)

畑で虫を見るのは平気ですが、自宅台所の壁にいたら今でもぎゃーっと言います。

某D社時代は、キャベツにヨトウがいてワシワシ食べてたってので、やめる人があとを絶ちませんでした。
安全=虫OKでは決してないみたいです。

理解度の高い消費者ですらそうですから、一般の方々はどうなのでしょう。
虫がいないのが当たり前なので、想像できないのかもしれないなと思ったりしています。
洗わずに食べたりする人いますもんね。

虫がいると思ったら、そんなこと絶対に、ずえったーーーいにムリ!です。

> 私は農協などの中間業者が、農薬を使わせるために仕組んだものと見ております。

「農薬使わないで野菜作れない」って言う農家の人、たくさん知ってます。
トマトやきゅうりなどの果菜類はそうかもねと思いますが、
れんそうや小松菜でそういうことを言ってほしくないなと思います。

でもアブラムシがちょびっとついてただけで出荷できないって話なのです。
消費者・流通・市場、どこが原因なのでしょう。

> 賢い消費者は虫がいても農薬を使わない野菜を選択すると思いますが、いかがでしょうか?

うーん、そういう会社に勤務してましたが、とてもそうは思えませんでした…。
程度の問題なのかしらん?

Re: No title

nikotomaさん

こんばんは。


> 昨年、知り合いの農家さんで減農薬に挑戦したトウモロコシの頭がほとんど虫にやられてしまって…いつもは一皮むいただけで直売所へ出荷出来るのに、はやり「これは持っていっても売れないから…」とわざわざ虫にやられた所をキレイに切り取って、7割から8割の値段でした

お気の毒に。
アワノメイガですね。あの虫はとくに嫌われます。
私も大嫌いです。
自分が作ってるトウモロコシに入ってるとヤなので、雄花は全部切ってます。

でも7割でも売れてよかったですね。
市場出荷だったら頭カットだとたぶん売れないと思います。
そこから傷むし。
商品価値ゼロという評価をされるんじゃないでしょうか。

>
> 消費者側では、頭が切り落とされているトウモロコシをちょっと訝しげに思うのでしょうか?!
> おそらく農薬漬けであろう、キレイな1本トウモロコシの方が先になくなっていくんですよね~

トウモロコシに虫がいるなんてことは想像もしていないんじゃないでしょうかしら。
直売所でのトウモロコシがどのように売れているのかわからないのですが、
キレイなものの方が売れるんじゃないかなあ…。

>
> 使っている農薬にはあまり過剰反応するべき物じゃない?。。物もあると思うのですが…

すべての農薬が「悪」なわけではないと思いますが、
「悪」な農薬もあるので、難しいですよね。

悪の定義は発がん性や催奇形性・毒物・魚毒性・変異原性などの高いもの、残留しやすいもの、
環境に放出された後に残留性の高いものだと思います。
有機リンやカーバメート系はこういう農薬が多いので、やっぱあんましよくない農薬だと思ってます。

>
> 先、加工食品の成分表のように、野菜のポジティブリスト表示が義務づけされるような時代も来るのかなぁ~と思ったりします。

そんな表示されたら野菜が売れなくなるので、たぶん来ないと思います(笑)

慣行栽培の春先の菜っ葉で農薬散布回数5~7回くらいですが、
皆農薬ってまいてても一回くらいって思ってるはず。

たとえば、長野県のりんごで27回(成分回数)だった(と思ったけど違ったかな?)ですが、
一度知り合いに聞いてみたら「3回くらいでしょ?まいてても」と言ってました。
知らないってすげえなあ…と思ったです。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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