「なんとなくイヤ」でOK、遺伝子組み換え食品反対の理由

パパイヤ
昨年の12月「遺伝子組み換えパパイヤ」が認可されました。新聞記事によれば
ほとんどのスーパーが二の足を踏んでました。やっぱ小売の人たちはGM作物に対する
消費者の漠然とした不安を理解しているのですね。少し安心。
推進派はナンセンスって言ってたけど。写真は屋久島のパパイヤ。もちろんNON・GM。



「ジュラシックパーク」って見られました? あの映画で、
本来メスばかりで繁殖できないはずのヴェロキラプトルが
卵を産んでることがわかるシーンがあります。

映画では詳しく述べられていませんでしたが、原作では、
DNAの足りない部分をカエルで修復したせいで性転換を起こした
という説明がされています。なるほど。さすがマイクル・クライトン。

繁殖できなかったはずのものが繁殖する…これで、マルコム博士の
「生命は生き伸びる道を見出す」というセリフが生きてくるわけです。
(多少おぼろげですがそんなセリフだったかと)

農薬や除草剤に対して「抵抗性をもつもの」が現れるたび、
わたくしはこの言葉をいつも思い出します。

「生きものの役割は繁殖して遺伝子を残すこと」ですから、
遺伝子を残すために変異を選択するものがいるのは当然。
新薬が出れば必ず耐性をもつものが現れます。

ハダニ
抵抗性のつきやすい害虫ナンバーワン「ダニ」。畑作ではコナガ。
一年に何度も同じダニ剤を使ってると、そのうち効かなくなることが知られています。
世代交代の早いものは基本的に抵抗性がつきやすいのですね~。
「今年はもう耐性ついたって話だよ」とかりんご農家がよく会話してます。



去年まで効いた農薬が今年は効かない等々
農業の世界ではそういう変異は日常茶飯事。
ウイルスの変異やMRSAなども同じことですよね。ああ、怖い。

さて、遺伝子組み換え作物の商業生産が開始されたのは1996年。
反対運動が日本で起きたのは、1998年ごろだったように記憶しています。

主に生協や日本消費者連盟、大地を守る会など、日本での反対運動は、
消費者運動からスタートし、農民も巻き込んでいきました。
ヨーロッパでは農民から反対運動が起こりました。

日本とヨーロッパではそもそもがちょびっと違うのですね。

消費者運動の反対の理由は、わかりやすく「安全性」でした。
本当はその他に、種の保存・生命特許など様々あるのですが、
そこんとこは消費者にはピンと来ない。よくわからない。

gazou 015
農水省の調査ではGMダイズがこぼれダネで繁殖しているのが見つかっています。
幸い交雑はしていないようです(ほんとかな)。日本には在来大豆が多くあり、
これは何百年にもわたって農民がタネ採りしてきた貴重な財産。交配しちゃったら
永久にこのその品種は失われるんですよ。そんなの許せないでしょう。



「安全性に問題がある」根拠に、
豚の奇形が多発していたり、ラットの実験で何かができたり、
アレルギーの可能性が指摘されたりしています。

ただこれらの実験結果については反証もされていて、総合的には
安全とも危険とも言えない的な印象が与えられています。

原発の反対派と推進派の言うことが全く正反対であるように、
遺伝子組み換え作物についても同じことが起きており
消費者はどう判断していいかわからない、そんな感じ。

とは言え、国民の70%が漠然とした不安を抱えています。

この漠然とした不安を煽るべきではないと推進派の人々は言います。
危険ではないと言います。この状態を称して「思考停止」と呼び、
感情論でこの問題を述べるべきではないと言います。

原発推進派の人の言い方にとても良く似ています。

IMG_5675.jpg
アメリカからの輸入コーン缶にも「遺伝子組み換えでない」って表示されてました。
アメリカでは遺伝子組み換え食品の表示義務はありませんから、
日本仕様ってことなのでしょうね。



しかしその「漠然とした不安」が、表示義務のない醤油に
「遺伝子組み換えでない」と表示させているのだから、
「なんとなくイヤ」でいいのだと思います。それでじゅうぶん。

消費者の「買わない」選択は世界を変えるってことです。

「食べたい人は食べればいい。でも私は食べたくない。
だからEUのように全品目ちゃんと表示して」
これがわたくしの希望。消費者の選ぶ権利を獲得したい。
ささやかな願いじゃありませんか。
※現在日本に入っているGM食品は7種類126品種(2010年7月5日現在)
そのうち表示義務があるのは7種類32品目。
ちなみにアメリカは表示義務なし。TPP後は日本も表示なくなるかも。

あとねえ、ついでに「意図せざる混入」も「5%」から
EU並みの「0.9%」にして欲しいの。
4.99%入ってても「遺伝子組み換えでない」って表示できるなんてさあ、

詐欺じゃない?

ブラウンスイス
乳牛の飼料価格を牛乳メーカーさんに聞いてみました。遺伝子組み換え飼料1kg50~52円。
非遺伝子組み換え飼料1kg72円。有機飼料1kg140円。
畜産関係の飼料がほとんどGM穀物だという理由がよくわかりますね。
現在では非遺伝子組み換え飼料の価格が上がっており、ますます厳しくなってるとか。
非遺伝子組み換え飼料を使ってる肉・乳・卵を買い支える必要がありそうです。



あ、そう言えば。

遺伝子組み換え作物を作る際、DNAのどの部分を
組み換えればいいのかわかってるわけではないこと、
全くの偶然に頼っていることを知ってましたか?

わたくし市民バイオテクノロジー情報室代表・天笠啓祐さんに
この話を聞いた時、ものすごくぶっ飛びました。
最新技術のようなふりをしてるのに、全然科学的じゃないじゃんか。

組み込まれたDNAがその後どういうふるまいをするのか、
安定したままなのか、変異するのか、誰にもわからない。
そのあたりも「安全性」の懸念になっているわけです。

さらに、除草剤耐性を持つスーパー雑草の登場や、
殺虫コーンに抵抗性を持つ害虫の発生など、
その他、予想しなかったことが次々に起きています。

群馬 014
四日市の国道23号線沿いには、こぼれおちたGMナタネから芽が出て、
春になると花を咲かせています。他の港でも同様に発見されています。
毎年量も地域も増えており、繁殖・交配が懸念されています。
これが地元で交配しちゃったら…ああ、恐ろしい。悩ましい。



とりあえず、食品として流通するのはまだいいとして、
日本でGM作物を栽培するのは絶対にやめてほしい。
そう思わない農民はいないんじゃないでしょうか。
とくに自家採種している農家ほど、切実な問題です。

しかしまあ、GM作物をめぐる状況はこの後も大きく変わることなく、
世界中で栽培面積はどんどん広がっていくのでしょう。

でもまだ日本での栽培は行われていませんから、
とりあえずわたくし、当面反対させていただきます。

GM青いバラが「ビオランテ」に変異しないとも限らないからね。

※以下に資料のURLを掲載しています。


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1.最新の遺伝子組み換え関連情報は市民バイオテクノロジー情報室の冊子
「バイオジャーナル(※)」に詳しく掲載されています。※会員のみに配布。
今や「遺伝子組み換え鮭」なんか作られてるんですよ~。

2.その他非常にわかりやすい遺伝子組み換え作物についてのサイト
わかりやすい順に並んでいます。

「遺伝子組換え農作物」について 農水省
http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/information/pdf/gm_siryo.pdf

遺伝子組換え作物をめぐる情勢と社会への影響
遺伝子組換え作物に関するシンポジウム
(北海道農政部) 2006年3月5日:札幌
久野秀二(京都大学大学院経済学研究科)
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~hisano/documents/gmo_hokkaido.pdf

遺伝子組換え作物をめぐる状況
国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 686(2010. 8. 3.)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0686.pdf

カルタヘナ法に基づく第一種使用規程が承認された遺伝子組換え農作物一覧
(作物別、特性等別)(平成24年2月7日現在)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/c_list/pdf/list03_20120207.pdf
試験栽培中の作物・認可された作物の一覧。でも栽培場所は不明。
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No title

ほんたべさんこんばんは。

交雑って、いちどしちゃったらしちゃう前の状態に戻すということの絶望的な不可能性ってことにちょっとでも思いが及ぶ人が「科学的」じゃないとかって言われる時代が来るかもってことですよね。「なんとなく原発イヤ」な僕らがある種の人々には感情的で冷静な判断もできないほど頭カッカしてる人たちって思われちゃうみたいに。

素朴な「なんとなくイヤ」の中には「安全かどうか不安」っていうのも当然あるだろうけれど、それ以外にごく漠然とかもしれないけど、かけがえのない種の多様性の危機への感受性が本能的に含まれているんではないかと。ただこの危機感ってあんまり意識的じゃなくて、「よく分かんないけどヤバそう」くらいだと思うんですよね。

ある絶対的な一線を超えてしまうことへの感受性があるか、あったとしてもいろんな利害関係の網の目をくぐった末にもそいつを持ち続けることができているかどうか。
今のまんまだと「推進論者」たちのでかい声にかき消されそうですが、「なんとなくイヤ」って感覚だけは大切にしなくちゃって思いました。

とりとめない文章ですね、すみません。
ではでは

Re: No title

Fuさん

こんにちは。

> 交雑って、いちどしちゃったらしちゃう前の状態に戻すということの絶望的な不可能性ってことにちょっとでも思いが及ぶ人が「科学的」じゃないとかって言われる時代が来るかもってことですよね。「なんとなく原発イヤ」な僕らがある種の人々には感情的で冷静な判断もできないほど頭カッカしてる人たちって思われちゃうみたいに。

「遺伝子組み換えに反対している人たちは感情論で議論にならない科学的じゃない変な人」
と推進派の人たちは思ってるみたいです。
原発反対によく似ています。

さまざまな実験結果についてもことごとく反論されています。
「交雑の可能性もない」と言い切ってる人もいます。
なので、反対してる人のことたちを思考停止とか言っちゃうんでしょうね~。


>
> かけがえのない種の多様性の危機への感受性が本能的に含まれているんではないかと。ただこの危機感ってあんまり意識的じゃなくて、「よく分かんないけどヤバそう」くらいだと思うんですよね。

人の手が入ったものでうまくいってるものってほとんどないと思うんす。

これはDNAですからね~。まだほとんどわかっていない分野なのに、
やみくもに組み替えて、変異しないわけがないと思うんですよね~。

こういうこと言ってると知識のないバカと言われるんだと思うんですが。

> 今のまんまだと「推進論者」たちのでかい声にかき消されそうですが、「なんとなくイヤ」って感覚だけは大切にしなくちゃって思いました。

そういう気持ち、大切ですよねえ。
天笠さんに話を聞いた時も「なんとなくイヤでいいんです」と力強くおっしゃってました。
本能的な嫌悪感を大切にするってことなのかなあと思ったです。

「なんとなくイヤだから買わない」でじゅうぶんです。
買いたい人は買えばいいんです。邪魔しません。

でも人のふるまいにあれこれ言わないで。
そして政府には、消費者にきちんと情報を開示して、
選ぶ権利を提供してくださいとお願いするのみです。
(なんか放射能関係のことによく似てますね~)

両方の権利

はじめまして。

正直に言うと私は遺伝子組み換えでもそうでなくても、どっちでもいい派です。
安全であればいいですが、食べ物にもともと絶対安全なんてないし、品種改良としては、自然に遺伝子が組み換わってるかそうでないかだけという印象しかありません。

種の壁といいますが、所詮全部ATCGの並び順なので、遺伝子に種なんてないですし。
なんでそこまで拘るのか疑問です。

こぼれ落ちていても、広がって近縁種を駆逐した話も聞いたことないですし。
今食べているもので、自然のものなんてほとんどないじゃないですか。
山に生えているものくらいでしょうか・・・山菜?とか。
だいたい、品種改良なんて農家さんがやってるんじゃなくて、研究所で行われているのがほとんどですから。

ただ、食べたくない人に無理やり食べさせるような状況を作り出すのは反対です。
気にしないから食べる人、気にするから食べない人、どちらの権利も守られた方が良い気がします。

パパイヤが遺伝子組み換えだろうがなんだろうが、新鮮で美味しければいいのですが、残念なことに私はパパイヤが嫌いなので、売っていても食べないと思います(笑)

Re: 両方の権利

maruさん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

> ただ、食べたくない人に無理やり食べさせるような状況を作り出すのは反対です。
> 気にしないから食べる人、気にするから食べない人、どちらの権利も守られた方が良い気がします。

現在の日本の状況は、残念ながら食べたくない人にとっての権利は守られていないのです。
表示義務がないものが多いので。

気にしない人は問題ないですが、食べたくない人にとっては大問題です。
またそのことの周知もされていません。
飼料が遺伝子組み換えであることを知ってる人もほとんどいません。

なので、EUと同様全品目表示&意図せざる混入0.9%未満位にしてほしいというのが
わたくしのささやかな希望です。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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