野菜と米のお値段を真剣に考えてみよう

IMG_5613.jpg
新品種野菜の見本市に参加しました。新しい野菜「アレッタ」のスパゲッティ。
登録は菜花ですが、ブロッコリーのように側枝を収穫する品種です。これのいいところは
収量が多いこと。側枝の収穫期間は1月から。最後の頂花を3月に収穫。味はよく、
ブロッコリーよりもおいしいという評価。産直野菜にピッタリかしらと思いますです。



先日、お米の試食会に参加しました。
そこでちょっとショックな話を聞き、考え込んでしまいましたよ。

先日新聞等で紹介された「中国産米」。

西友で5kg1300円で販売されているこのお米、
食べてみたお米屋さんによると「まずい」そうなのですが、
もち米を混ぜればなんとか食べられるとのこと。

「安けりゃ味はどうでもいいって人なら買うと思いますよ」

そうなのか。国産米の約半額のこの金額。
やっぱり魅力に思う人がいるんだ。しかしどういう価格なんだ。

で、今回野菜・米の価格についてちょっと考えてみた次第です。

IMG_5621.jpg
アレッタの頂花。分解すると側枝が15個位採れました。けっこうお得。
新品種の野菜は市場では売りづらいので、産直などで販売するのに向いています。
「産直」という売り方の可能性の大きさを、最近しみじみ感じています。



1. 野菜について

わかりやすい例として大根をあげます。

例えばスーパーで大根が1本100円で売られていた場合。
これが農家から出てくるときの価格を考えてみます。

スーパーの粗利が20%位(だと思うけど30位かな~)。
市場の手数料が5%位だと思うけど、10%とします。
段ボール代1箱12円位。この中に10本入りますから一本あたり1.2円。
これで計算すると、農家手取りはおそらく70~60円位。
(たぶん中間に手数料がもう少しあるはずなので60円で考えます)

大根は関東の平地では10aに5000本植えますが、
このうちの正品率が80%位と考えると、4000本。
一反あたりの収入は4000×60で24万円。

種代・農薬代・資材代など引くと、利益はもっと少なくなりますね。

大根は関東の平地では1年に2回栽培でき、畑を使う期間は3カ月程度。
農薬使ってれば、それほどの手間はかからない作物ですから、
24万円でも「まあいっか!」って価格かもしれません。

グリーンマーク
トマトなどの施設園芸の作物では1坪あたり10,000円あればいいと言われます。
っていうか、目標ですかねえ…。うまく作れば大変儲かるのが施設園芸。
高糖度などの付加価値もつけやすいのがトマト。施設園芸では儲かってる人多いです。



農家一人で可能な栽培面積は50a(5反)と言われます。
家族経営だと働き手は3人(夫婦&息子)で1町5反。

大根だけ作ってる人はそんなにいないので計算が乱暴ですが、
24万×2(シーズン)×15(反)。年収は720万。
計算してて「そんなはずない」と思ってしまっているわたくしですが、
市況の上下を考えると大きく外れてるわけでもないとも思います。

「まさかなあ…」。ちょっと焦ってきました。

2. 米の場合

わたくしお米屋さんのしくみをまだよく知らないので、
生産側からの価格しか出せませんが、
とりあえず計算してみます。

米の場合、産地と品種によって価格が変わるので、
ざっくり平均的な価格で考えてみます。
米農家の皆さま、もし仮渡し金の金額が違ってたら
ご指摘ください。

gazou 012
米の場合、付加価値商品「有機米」はまた別で、売り先によっては
再生産可能ないい価格で引き取ってくれるところもあります。また産直に向いてるのが
米という作物。お米は一度食べ慣れると繰り返し買うという性質がありますから、
個人の売り先が増えれば増えるほど利益が上がります。やっぱり産直、いいですね。



米の価格は年末の仮渡し金と、その後実際に販売された価格の
追加の金額の2段階というしくみになっています。

仮渡し金、昨年では13000円位だったと思います。
追加の金額は念頭に入れず(変動があるため)、仮渡し金で計算します。
10a9俵(1俵60kg)採れたとして、11万7000円。

日本における稲作農家の平均面積は70a(7反)なので、
年収はざっくり言うと81万9,000円(補助金は別)。
このうち、機械代・ガソリン代・米の機械はよく壊れるので修理代、
農薬代・除草剤代などを引きます。どれぐらい残るのかな?

想像すると涙が出そうです。

中間流通が間に入ると、手数料もろもろが上乗せされるため
おおむね出荷時の約1.5倍程度の価格になります。
たとえば5kg、2,400円の米だとお米屋さんで売られる際には
4,000円位になってしまいます。それが市場のしくみ。

gazou 011
産直というと果樹類が顕著ですが、贈答用としてどの農家も顧客を持っています。
農家直売なので送料以外は全部農家手取り。だから本当においしいものを送ります。
市場出荷されてるものは、贈答用の残りなんて場合もあります。まあ当然ですよね。
安く取引されるものには、安いなりの理由があるってことなのです。



大規模化で価格が下がると言われていますが、
これは主に米のことを指しています。
確かに稲作は規模が大きくなるに従って、経費も下がり
利益も良くなってくるものです。

でも中国の5kg1,300円とは競争できないでしょう。大規模農家が
仮渡し金1俵1万円でアップアップしているのですから。

価格が安いものが売れるのはある意味当然。
お米屋さんたちが「おいしいものをより安く」と言うのも当然。
それは小売りと消費者の論理です。

作り手のことはとりあえず置いてきぼりなのか、
そこに甘んじなければならないのか、私にはわかりません。

野菜や米を安く生産するためには手間をかけないことが一番。
しかし日本でそれを行うのは至難の業とも言えます。

R0012713.jpg
新規就農者さちこさんの産直野菜セット。1,500円(送料別)です。
全額が農家手取りになりますから、新規就農者にとって一番の売り先がこの産直セット。
このセットを購入することが、新規就農者支援の一番いい形だと思います。
いつか新規就農者の野菜セットばかりを売るサイトを立ち上げたいわたくし。



大面積で粗放が可能な米国や豪州とは作り方が全く違うし、
アジアモンスーン気侯という高温多湿の気候もネックです。
さらに、きれいなもの・見た目のいいものしか許さない、
世界一品質にうるさい消費者を抱えています。

しかし、安いものがいい人ばかりかと言えばそうでもなく、
お取り寄せなどで高い商品でも平気で買う層がいることも事実。

「安いもの」と「高くてもおいしい付加価値商品」の二極化が
今後ますます進むってことなのでしょう。

農家もどちらの層をターゲットにするのか選択すべき時が、
すでに来ているのでしょうね。戦略を立てるべき時が。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR