低農薬の桃をつくる若い人たち 山梨県 久津間紀道さんと仲間たち

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ふわふわの産毛のかわいらしい桃は、くだものの中でも特別なもののひとつ。

甘い香りとジューシーな果肉、少し冷やすととろけるような食感も相まって、
食べる人を至福へと導いてくれる、そんなくだもの、桃。

ただこの桃、店頭で並んでいるもので、おいしい桃に当たるのは至難の業です。

桃という作物は、他のくだものよりも作り手の技術が反映される、おいしく作るのが難しいくだもの。
作り手が特定できない店頭販売では、
おいしいものにあたる方がまれと思った方がいいかもしれません。

そんな桃ですが、山梨県にとびっきりの桃をつくっている若者たちがいます。

その一人、久津間紀道さんは、約15年前に桃農家の後継者となりました。

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桃農家だけど桃の花粉アレルギーの久津間紀道さん。受粉の季節にはいつもつらそうです。

お父さんの範彦さんは、出荷先の大地を守る会の産地担当に
「桃の精」とあだ名されるほど、桃づくりの上手な人。
「桃農家の仕事はおいしい桃をつくること」と、桃づくりに一切の妥協を許しません。

久津間さんの畑は、長年ボカシ肥を与えてきた微生物のたくさんいる畑。
毎年、久津間さんちの桃の開花が、同地域の他の人より2~3日早いのは、
どうもこの微生物が大活躍しているもようです。

ご近所の桃農家が不思議に思い「どうなってるの?なんで早いの?」とよく聞かれるとか。

「微生物がたくさんいると、地温が1~2度高くなるんだよね。
地温が高いから、桃の樹のスタートが他よりも早くなるんだと思うよ」と紀道さん。
スタートが早いことが、その後の作業の効率化にもつながります。

微生物が豊かな理由は他にもあります。

久津間さんの桃畑は、除草剤を一切使わず樹の下に草を生やす草生栽培。
一般的には樹の株元だけに除草剤をまく人が多いのですが、それもやりません。

mmohatake.jpg
一面の下草がいい風を呼ぶ久津間さんの桃畑。
他の人の畑に比べて、桃の樹の間がじゅうぶんに取ってあります。
この風通しの良さが低農薬栽培を可能にしています。もちろん剪定も上手なんですけど。


昨今では、高齢化のため、除草剤を使わざるを得ない果樹農家がどんどん増えていますが、
そういった畑では微生物が死んでしまい、土はどんどんやせていきます。

土がやせてくると樹に必要な肥料分がなくなるので、どうしても化学肥料を使わざるを得なくなり、
その結果、農薬も防除暦どおりきちんと散布しないといけなくなる…悪循環ですね。

ただ、桃の価格が市況に左右される現状では、そういう栽培もしょうがないのかもしれません。


草生栽培には、刈った草が炭素の供給源となり、
草の根が土を柔らかくしてくれるというメリットがあります。

また、微生物が有機物を分解する際にできる植物ホルモンやアミノ酸は、
くだものや野菜の味を良くすることがわかっています。

それ以外にも、すべての枝にお日様があたるように剪定したり、
日々の情報収集とこまめな観察力で、病害虫対策をきちんとできることなど、
久津間さんならでは技術が、おいしい低農薬の桃栽培を可能にしています。

一般では早生・中生品種で25回、晩生種で27回の農薬散布があるところ、
久津間さんはその約3分の1以下の農薬で桃を栽培しています。まさに技術の成果です。
(一般では25回もまいてるんですねえ! 調べてみてびっくりしました…)

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山梨県の桃はおおむね袋をかけて栽培されています。
農薬をしみこませてある袋もありますが、久津間さんの桃は無農薬袋を使用しています。
これは二重袋の外側の袋をはずして、おひさまにあたったところが赤くなったもの。
桃まんじゅうのようでかわいいので、思わず撮影しちゃいました。


果樹の農薬を減らすためには、かなりの技術と自信がないとできません。
ただ減らすだけなら誰でもできますが、きちんと収量を上げられるのは至難の業。

「おいしいくだものをつくるには、あなたの足音を聞かせなさい」と言われるように、
畑にまめに通い、樹の状態や虫の状態を観察するからこそ、少ない農薬で桃の栽培が可能になります。

ていねいな日々の作業の積み重ねが、低農薬栽培の基本です。
桃の精と呼ばれるほど桃を愛している久津間さんの桃がおいしいのは、当然という気がします。


さて、紀道さんには同じ地域に何人かの仲間がいます。

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タイトル「明日の山梨の果樹を背負う男」→丹澤修さん。
マイナー品種だけどすごくおいしいネクタリンを主に栽培しています。
丹澤さんの桃ジュースは、香りがあってあま~くて濃くて、まさに「ネクター(神の飲みもの)」という味。


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さくらんぼを栽培している大沢澄人さん。その食感、糖度、「うーん、これは素晴らしい!」というおいしさ。
しかも低農薬栽培なのですから、驚きです。


彼らはお父さんから引き継いだ桃やぶどう、さくらんぼ畑を、
慣行栽培から低農薬でおいしい果樹づくりに切り替えて、
日々、努力しています。


畑作にも増して高齢化が叫ばれ、剪定など特別な技術が必要とされるため、
後継者不足が深刻な落葉果樹業界。
このままでは、先人が培ってきた現在の栽培技術が、継承されない危険性をはらんでいます。

そんななか、元気に桃やぶどう、さくらんぼを栽培している久津間さんたちには、
ぜひがんばってほしいですね。


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ほんたべさん、こんばんわ。さくらんぼも好きですが、桃もおいしいですよねー♪

殆どのところで、除草剤を使って草を枯らしている風景を見ますが、久津間さんのところを見ると、自然らしくて、それがいいのだなぁと思いました。

>「おいしいくだものをつくるには、あなたの足音を聞かせなさい」
今回も、いい言葉をお聞きしました。僕もがんばってみたいと思います。

うまい果物は手間暇かかってます!

駆動さん

桃、おいしいですよね~。
わたしにとって、桃はほんとに特別な果物です。
久津間さんの桃がおいしいので、他の桃は食べられなくなりましたよ~。

>「おいしいくだものをつくるには、あなたの足音を聞かせなさい」

農薬を減らして栽培するには、足しげく畑に通うことが大事なんですよねえ。
そうしないと虫や病気の発生具合やタイミングがわからないのです。

私の知ってる農家は、ほんと、畑によく通ってる人ばっかです。

駆動さんもがんばってくださいね!





プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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