「農薬の何がダメなの?」と聞かれたら

gazou 005
本日、6月4日は「虫の日」らしい。畑では農薬でバンバカ殺されてる虫、
ご家庭でも「ぎゃあ~っ!」とキンチョールまかれて邪魔っけにされる虫。
その虫の日とはいったい? 年に一回供養するとかいう日なのかな?



先日若い女の子に標記のご質問を直球でされて、
少し考え込んでしまったわたくし。

ダメなことはいくつかある。環境負荷・生態系の破壊、
まく側の農家の健康被害。でもねでもね。
以下の条件を与えられると「うーん」とうなってしまう。

「農薬のかかったものを食べると何が悪いの?」

例えば、スーパーで売ってる普通に栽培した野菜。
地域の防除暦に則して農薬を粛々と相当数まかれてるので、
野菜に農薬が残ってる可能性が高い。

で、その野菜や果物を食べたらどうなるか。
結論から言うと「ただちに健康に被害はない」のだ。

売られている作物は個々に決まっている農薬の残留基準値以内に
きちんと収まるように農薬を使って作られている。

じゃあ何も問題ないわけ?と聞かれるとそうではない。

gazou 011
発がん性・催奇形性があるのに輸入柑橘類に使用されてる防かび剤。
これらは日本では禁止されている収穫後農薬。遠くアメリカから船に乗ってやってくる間、
カビが生えたり腐ったりしないように、薬剤でコーティングされてるわけ。
果皮はおろか、果肉にまでも浸透しているので、絶対に食べたくないわたくし。
でも売れてるのよね。皆知らないのかな。



食品添加物・遺伝子組み換え食品や、塩素系漂白剤、
蚊取り線香などの暮らしのなかの大量の化学物質、
排気ガス他わたくしたちの周りにあるさまざまな化学物質、
これらが複合的に人体でカクテルされた場合に、
ガンができたりアレルギーになったりする可能性がある。

ガンの人どんどん増えてるし、たぶん相関性はある。

しかしこれらの病気の原因の特定は難しい。
だから「ただちに影響がある」とは言いづらい。
すぐに健康被害が出るわけじゃない放射能といっしょだね。

さて、農薬の毒性は、客観的に見ることができる。

環境に与える影響をはかる「魚毒性」、「毒物・劇物」という分類、
「ADI値」(食品添加物でも決まってるのね)、
その他PRTR法で定められた物質なども物差しの一つになる。

IMG_5481.jpg
妊婦の体内から残留が見つかったというグリホサート(商品名ラウンドアップ)。
由来は畜産飼料の残留からだって話なので、やっぱり食べると蓄積するのだね。


さらに、発がん性・変異原性・天敵への影響などの研究者の文献や
作物や土壌中の残留しやすさなどもある。

これらを総合的に組み合わせると、いくつかの農薬が
「これはよくないです!」と声高に言いたいものになるわけ。

例えば、ミツバチの大量死の原因になっていると騒がれてる
ネオニコ系農薬の「イミダクロプリド」では
魚毒性はAであり、分類は劇物、ADI値は0.084、天敵も殺す。
催奇形性や発がん性はないと考えられている。しかし残留性が高い。

これだけじゃわからないよね。

そこで、農家のじいさんたちがよく使う農薬「DDVP」と比べてみると、
魚毒性はB、劇物、発がん性あり、変異原性あり、催奇形性あり、
生殖毒性あり、環境ホルモン物質でADI値は0.0033、天敵殺害能力も抜群。

イミダクロプリドと比較すると、DDVPの危険度は非常にわかりやすい。
でも残留性はない。ガス化してその場のものを全部殺すからだ。
ってことは、農家がちょっと危ない。

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エムダイファー(マンネブ) 普通物・魚毒性B、発がん性・変異原性・催奇形性あり、
環境ホルモン物質、ADI値0.005。ベンレート(ベノミル) 普通物・魚毒性B、発がん性・
変異原性・催奇形性・生殖毒性あり。環境ホルモン物質、ADI値0.009。
ホームセンターで何気に売ってる殺菌剤。使う人は相当注意してください。



どっちが怖いかと言われるとDDVPの方が絶対に怖い。
しかし作物に残りやすいという点でイミダクロプリドは不安だ。
浸透移行性が高い農薬は、表面を洗ったぐらいじゃ取れないからね。

さあ、どっちがいいでしょう。
なんてことを聞くのはナンセンスなのだった。

なぜなら、こういった農薬をあれこれ組み合わせて作物は作られている。
何が使われているかは消費者には知らされていない。
だから、わたくしは以下のように答える。

農薬は危険かという問いには「危険だ」と言う。
「なぜ食べない方がいいのか?」という問いには、
「リスク回避のため」と言う。

わたくしたちの身体には、フツーに生きているだけで
知らない間にさまざまな化学物質が入り込む。

それらがカクテルされた場合、何が起こるかわからないけど、
ガンや、その他の病気になる可能性があることはわかっている。

IMG_5482.jpg
農薬って水で薄めてぱあっとまくみたいなイメージが強いけど、根本に
パラパラと農薬の粒粒を置くという方法もある。それが粒剤。作物に吸収されて、
それをかじった虫が死ぬというしくみ。初期の使用で全体の農薬回数が減らせるし、
収穫時には残留がないので、農薬を減らす手段としてよく使われています。



細胞分裂が活発に行われ修復も元気良くしているうちはいいけど、
老化が始まるとそうもいかなくなる。そしてある日病気になる。
お医者さんにかかるとお金かかるし、ガンになるともっと大変だ。
定年前だと閑職に追いやられることだってある(わたくしの父がそうでした)。

そういったもろもろのリスクを回避するためには、
体内にできるだけ化学物質を入れないことが肝要だ。
ということで、農薬と食品添加物はできるだけ食べない方がいい。

やっぱり、放射性物質といっしょなのね。

ほんとは、食べ手よりも作り手の方が農薬って大変なの。
農薬ありきの農業の在り方の方が、問題だと思っているわたくし。
消費者庁は消費者の便宜をはかってあれこれ決めているけれど
農業者のための農薬の法律があってもいいんじゃないのかなあ。

なんちて。こんな感じでわかっていただけたでしょうか。


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No title

日本人は、賢い人種で、田畑を耕し、里山を育てて
その森を育てることが、川や海も豊かな漁場に育てるという
豊かな自然の恵みを<作り育ててきた>わけなんだけど

そういう「食物連鎖」とか、循環系の生き方に対して
農薬とか、機械化とか、遺伝子組み換えとか、
近代農法とか言うのは、その場限り、力任せの
暴力団みたいな存在なのかなぁとか、ふと思ってしまいますね。

その姿は、ちょうど、
カラダに良い食事とか免疫力のアップで病気を治すのではなく
手術と抗がん剤(毒薬)、放射線治療で癌を治そうとする
現代医学と重なって見えます。

いずれ、強烈なしっぺ返しをくらう事になると思いますが
(一部は、もう喰らい始めているように思いますが)
その時、人類に耐える「底力」があるかどうかが問題ですね。

前回の滅亡「ノアの箱舟」の時は何とか復活したみたいですけど…
などという「要らん事」は言わない方がいいのでしょうが(苦笑)。

Re: No title

癌ダムさん、こんばんは。

> そういう「食物連鎖」とか、循環系の生き方に対して
> 農薬とか、機械化とか、遺伝子組み換えとか、
> 近代農法とか言うのは、その場限り、力任せの
> 暴力団みたいな存在なのかなぁとか、

近代化ってそういうことなのかもしれませんね~。
女性的な感性の入り込む隙間のない、マッチョな世界って気がします。


> 手術と抗がん剤(毒薬)、放射線治療で癌を治そうとする
> 現代医学と重なって見えます。


医学も農業も対症療法ですもんね。
未病の段階で防ぐことが大切だと思います。

そういう意味では「東洋医学」とか、
アジアの伝統的な農法「有畜複合農業」とかの評価が
もう少し高まってほしいですよね。

> その時、人類に耐える「底力」があるかどうかが問題ですね。

そうですねえ・・・・私は最初の方で死んでしまいそうなので、
生き残る方々のしぶとさに期待します。

> 前回の滅亡「ノアの箱舟」の時は何とか復活したみたいですけど…
> などという「要らん事」は言わない方がいいのでしょうが(苦笑)。

はははは。いやいや、バンバンどうぞ。
でも今回は発言を控えておきます(^^)
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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