農薬をまけばまくほど虫が増える話

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アブラムシっていろんな種類がいらっしゃいますが、基本的にクローン繁殖です。
一匹でもいると次々に自分のクローンを作るので、あれっ?と思う間に増えてます。
いるんだけどそれほど増えない状態っていうのは、天敵がいるのですね~。



「キャベツ畑のコナガちゃんの物語」

コナガちゃんは「より大きな生きものに食べられる存在
生態系の下部に位置する、餌である自分」のことを自覚していたので、
天敵に見つからないよう、注意深く生活していました。

ある無風の好天に恵まれた日。
農薬という名の毒が空から降ってきました。

ふと気付くと、たくさんの仲間が死んでいました。
しかし、コナガちゃんはなぜかうまく生き残ることができたのでした。
そして、この毒のおかげで天敵も死に絶えていたのです。

コナガちゃんはすくすくと大きくなりました。ある晴れた日、
羽化したコナガちゃんは、生き残りの仲間のなかから
ハンサムでステキなコナガくんを見つけ、卵を産んで死にました。

数日後、その卵から生まれたコナガちゃん2は
農薬という毒の抵抗性を少しだけ持っていました。

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徘徊性のクモたちはいろんなものを食べてますが、ダニを殺す薬で死にます。
合ピレや有機リン系では必ず死にます。天敵が畑に戻ってくるまでには
半年ほどかかるらしくて、継続して農薬まき続けてたら天敵はゼロなります。
害虫天国の畑はこのようにできあがるのですね。



やはり無風のお天気のいい日、
キャベツを食べてたコナガちゃん2の上にも、
空から毒が降ってきました。たくさんの仲間が死ぬなか、
その抵抗性のおかげで、コナガちゃん2は生き延びることができたのでした。

そして、同じように生き残ったコナガくん2を見つけ、
恋に落ち、卵を産んで短い人生を終えました。

次世代のコナガちゃん3は、農薬が全く効かない身体になっていました。
両親と祖父母、2世代にわたって生き残ってきた結果です。

そして同じように繁殖したコナガは、全て同じ性質を持っていたのです。

もうその農薬はまかれても平気です。どんどん繫殖できるのですから。
天敵はずいぶん前にいなくなったし、怖いものは何もありません。
さあ、キャベツを思う存分食べよう! そして子孫を増やそう!

このようにして、人間のキャベツ畑は虫害で全滅しましたとさ」

ハダニ
大変とても抵抗性がつきやすい虫「ダニ」。葉っぱが茂ってるのに
SSで4速で走ったり、希釈倍率を薄くしたりしているとそのうち効かなくなります。
防除暦には必ず「続けて使わないこと」的な注意書きがされてます。
大量発生するとりんご畑が遠くから見ても真っ赤に見えるってほど、怖い虫。



これは、農薬に対する抵抗性を獲得するまでの虫の物語だ。
この現象には「リサージェンス」という名前がついている。

コナガやダニのように一年のうち3~4世代も世代交代するものは
農薬に対する抵抗性がつきやすいことが知られており、
野放図に同じ農薬をまき続けていると、上記のようなことが起こる。

一度抵抗性を獲得すると、その後もその性質が失われることがないため、
抵抗性がつかないように、農薬のローテーションを考えなくてはならない。

これ、抗生物質が効かなくなる菌の話に似ているね。
薬って、やっぱり気をつけて使わないとダメなのよね。
だから、防除暦にいろいろな農薬が組み込まれてるのよね。

しかし「この薬は良く効くから」と同じ薬剤を使う人がいたりすると、
その畑から抵抗性害虫が生まれることがあり、地域の人は大変困る。
そんな配慮をしながら、農薬ってのはまかれているのだった。

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ズッキーニ・ウリ類の葉っぱに必ずついてるウリハムシ。
常時3~4匹位はいますが、とくに被害がなければOK。でも樹が弱ってくると
大量に発生します。ウリハムシがわんさかつくと、葉っぱが枯れます。
人間と同じで、作物も体力が落ちてくると病気や虫に取りつかれるのですね。



農薬に依存する農業は「対症療法」でしかない。

劇的に症状が改善されるが、あくまで一時的なものであり、
根本的な改善にはならない。状況を悪化させることもある。

虫が発生しない施肥管理、土づくり、観察力、植栽管理、
微生物の利用、炭素分の供給など、できることはいろいろある。
その技術はまた一般化されていない。今後の課題だ。

農薬をまかない畑では、生物が多様化する。
独自の生態系が整ってくる。

食べたり食べられたりの殺戮が日々繰り返され、
特定の虫が大量発生なんて状態になるのはかなり難しい。
多少の虫害はあっても虫は見えない。そんな畑になって来る。

だからすご~く大切なことは、食べる人が虫害に寛容になることなの。

「虫食いの穴がひとつでもあいてたらダメ! 
アタシ、ピカピカのお野菜しか食べたくないの!」
とか言ってる限り、農薬を減らすことは難しいのよね。

いつかはみんな気づくのかしら。簡単なことだと思うけどね。


【大豆の種まきから味噌作りまで】第二回・草取りのご案内

茨城県の新規就農者・さちこさんの畑で、
10回にわたって大豆を育てる「農業体験」開催中です。

次回は7月22日(日)

今回は、草取り後、リサージェンスが日本で起こることを発見した天敵の研究者
根本久さんと一緒に「天敵の観察会」を行います。

なすの畑で土着天敵や害虫などを探して、天敵やIPMのお話を聞きます。
お問い合わせは左記メールフォームからどうぞ。


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No title

こんにちは。
今年、ブドウの薬剤散布を本格的に始めて
実感していることです。
昨年までは、ブドウの新梢の先端に
必ずと言っていいほど、緑のスマートなクモがいました。
私たちは、彼らを守り神と呼んでいました。
展葉した葉っぱの上には、
アマガエルが気長に獲物を待っていました。
彼らのことは、番人と呼んでいました。

今年は、守り神も番人も極端に減った気がします。
虫の被害も病気の発生も少ないけど
素直に喜べない私です。

Re: No title

スナフキンさん、こんにちは。

> 今年は、守り神も番人も極端に減った気がします。
> 虫の被害も病気の発生も少ないけど
> 素直に喜べない私です。

どこかに行っちゃったんでしょうか。
カエルって意外に害虫を(益虫も)食べてくれるんですよねえ。
今年は雨が多いので、病気が心配ですね。

果樹の農薬は必要悪。農家が食べていくためにはしょうがないのだと
私は思っております。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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