「自然農法」という言葉についての考察

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自然農法の実験圃場で粛々と大きくなってる枝豆(大豆かも)。
大豆や菜っ葉はある程度できるだろうなと思うけど果菜類はまだ難しいみたい。
ここは以前、草がぼうぼうに茂ってたが、炭素分だけでは作物はできないのだね。



ほんたべ農園(というか区民農園)のご近所に
自然農法の実験農場がある。一見草っ原のようだが、
よーく見るとトマトやきゅうりがこぢんまりと生育している。

愛しすぎる女としては、作物の自主性を尊重し、
環境との調和を目指すこの農法は自分に向いてないと考えており、
距離を置いておきたい感じだったのだが、
考えなきゃならなくなったので考えてみた。

「自然農法」とは福岡正信さんが提唱した思想であり、
その系譜を継ぐ川口由一さんという方がいらっしゃる。

上記の実験農場は、川口さんの圃場で研修をした人が
作業担当をされているのだった。

へなちょこなほんたべ農園と比べても、かな~りな状態のその畑で
「ずいぶんよくなりました。これからですよ」と笑う彼と話し、
思想というのはすごいなあとつくづく思った。

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埼玉県上里町で自然農法を営む須賀さんの畑では堆肥を使っている。
動物性のものは含まれない、河原の草を積み上げたもの。なので草の形が残ってる。
須賀さんは有機JAS認証を取得しているけど、自然農法なのだった。



自然農法は、基本的に「不耕起」「無肥料」「無農薬」だ。

福岡さん、川口さんの自然農法は本を読んでいただくとして、
岡田茂吉氏も自然農法の本を出しているので、それを見るとして、
その理念を継承して栽培を行っているMOAの自然農法には
あれこれ決まりごとが定められている。

MOAの基準は基本的には無農薬で、有機質肥料を使う。
福岡さんの言う厳密な自然農法とは少し違っている。
これ有機農業って言っちゃダメなの?とも思うのだが、
あくまで「自然農法」なのだ。思想だから。

最近では木村正則さんも「自然農法」の系譜に組み込まれている(らしい)。

木村さんの栽培は本とNHKの番組で推測してみたのだが、
チッソ固定に大豆の根粒菌を利用している。さらに葉面散布も行う。
それは無肥料じゃない気がするが「自然農法」なのだった。

「自然農法」の基本は「思想」だ。
思想以外にはっきりとした決まりごとはない。
思想を継承していれば自然農法なのであろうと考える。

gsazou 074
須賀さんの水菜はハウスのなかで栽培されてた。経済性を考えた場合、
当然だけど露地だけではけっこう厳しい。自然なのにハウス? このへんが
わかりにくさの理由なのかもしれないなあ。



バチッとわかりやすく知りたい自分としては、
あいまいさの残る「自然農法」という表現を見ると
頭が混乱してしまう。そして必ず疑問に思う。

「この人は何をもって自然農法って言っているのだろう?」
福岡さんとMOAのことは理解できる。明文化されてるから。

自然農法ならまだしも、都内のレストランのメニューに、
「当店の野菜は自然栽培の野菜です」と書いてあるのは
何の事だかちっともわからない。

スタッフに聞いたってわかりゃしない。
「無農薬なんです」とか言われるだけだ。

「んで、肥料は? 購入ですか? 堆肥ですか?
もしかして無肥料? 無肥料って何をもって無肥料って言ってるの?」
とか根掘り葉掘り聞きたくなるわたくし。

この気持ち、「有機農産物」という表現に縛りを加えたくなった
農水省と同じなのかもなあとしばらく前からよく考える。

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須賀さんの畑は無施肥でもホウレン草ができる。分析してもチッソは残ってない。
炭素分だけの供給で微生物がたくさんいるからなんだろうと推測するけど、
新しい畑がこの状態になるには10年はかかるから、新規就農で自然農は難しい。



確かにこの言葉はとてもいいイメージを与えることができる便利な言葉だ。
わたくしですら、何かの販促のときにはうっかり使いたくなってしまう。
法的な縛りがないから使うのは自由だ。
だから気持ちは理解できるけど、いつかは「優良誤認」と言われるよね。

これらの言葉には決まりごとがないため
現在のところ、使ったもん勝ちである。

さて、わたくしのいた某D社には「こだわり農産物」という基準があり、
取扱商品について事細かくあれこれと決まりごとがある。

さらにその通りに栽培してるかどうか、ちまちまと細かく確認し、
さらにさらに客観性をもたせるため第三者機関の監査を受けている。

「基準通りに栽培している」と胸を張って言えるしくみが作ってある。
客観性が常に担保されているしくみだ。

決まりごとには客観性が必要。あたりまえのことだ。

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有機JAS認証は客観性の最たるものだ。畑だけでなく、伝票・日記・作業場、
有機の圃場でできたものを一般栽培ときちんと分けるしくみができてるかどうか
なんてことまで検査される。ここまでしてやっと「お墨付き」がもらえるのだ。
いいか悪いかは別にして、しくみとしては正しいと思うわたくし。



そう信じている自分にとって、言ったもん勝ちの表現を使われると、
有機リン系農薬を一回使って「ほとんど無農薬」って言われるのと同じで
困惑してしまう。それだけでなんだか疑ってしまう。性格悪いから。

有機農産物が法律になり「無農薬」表示に農水の指導が入る昨今、
わかりやすい、そして優位性のある言葉が見つからない。

だからあいまいで法的な縛りがなく、なんとなくいい感じがする
「自然栽培」「自然農法」を使う人(流通)が増えているのかもしれない。

優良誤認への第一歩を踏み出した感のあるこれらの言葉。
本当に取り組んでいる人と、そうでない人を見分けることができない。

それは全体的にはマイナスみたいな気がするんだけど、どうでしょう。


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No title

きましたね~ ついに
整理すればするほど、本質がわからなくなるのは
やはり
「思想だから」
なんでしょうね。もうひとついえば「信仰だから」

さまざまな農法は、つまるところ体によいものを求めるプロセスなんでしょうが、なにが体にいいかは、精神性と分かち難いので
信じるものを取り入れるしかないんでしょうね

以前、なんとかさんの自然農法の野菜しか食べてないというおばさまに千葉で会いましたが、それ以外の野菜だとアレルギーがでるそうで、みごとな信仰心とお見受けしました(そこの畑の土を食べてもあまいとかいってました・・・)

つくる側と食べる側がそうやって深く強く結びついているのは、自然農ならでは
一時的な狂信じゃなければいいんですけど、その後のことは知らないんです

Re: No title

内布さん

こんばんは。
書きましたよ~。

> さまざまな農法は、つまるところ体によいものを求めるプロセスなんでしょうが、なにが体にいいかは、精神性と分かち難いので

あ、なるほど。そういう見方ができますね。
気がつかなかったぞ。確かに。

>> 以前、なんとかさんの自然農法の野菜しか食べてないというおばさまに千葉で会いましたが、それ以外の野菜だとアレルギーがでるそうで、みごとな信仰心とお見受けしました(そこの畑の土を食べてもあまいとかいってました・・・)

そういう方いらっしゃいますよね。
私もそんな話を聞いたことありますです。
でも野菜でアレルギーってなあ・・・ってやっぱり根掘り葉掘り聞きたくなりました。
聞かなかったけど。

>
> つくる側と食べる側がそうやって深く強く結びついているのは、自然農ならでは

消費者と直接結び付くのはとてもいいことだと思うのです。
一般市場では自然農法の野菜を売るのは難しいですもんね。

産直提携は有機農業の基本のかたちなので、
いつまでも続いていてほしいなあ(いいか、人のこと心配しないでも)

No title

私は自然栽培と銘打ってます。
しかし自分がやっている栽培方法は
無肥料無農薬栽培の方がしっくりきます。
自然農法など言葉はいいのですが
あいまいですよね。

一つ質問です。
微生物資材は肥料にはいるのでしょうか?

Re: No title

くーたろう2号さん

こんにちは。今日は暑いですね~。

> 自然農法など言葉はいいのですが
> あいまいですよね。

ちゃんとやってる方にはマイナスですよね。
ほんと、都内のオーガニック的なレストランに書いてある
「当店は自然栽培の」表示、ほんとですか!ってぐらいよく見かけます。

ほんとにそれだけいらっしゃるのか、わからずに表示しているのか。
個人の野菜だけでレストラン一軒の野菜がまかなえるなんてことは
経験上あり得ませんから、どうなのかしらって思うんですよね。

>
> 微生物資材は肥料にはいるのでしょうか?

微生物資材は微生物資材だと思います。

福岡正信さんの提唱される自然農法には、そういうものは使いません。
土着微生物をいかすってことだと思います。

そう考えると、土着のものではなくよそから持ってきた微生物をいれることは
はたして自然なのかって疑問がわき、わけわかんなくなります。
MOAさんはたぶん微生物資材(EMとか)はOKしてらっしゃると思います。

ということで、自然農法っていまいち私にはよく理解できないのです。

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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