産直提携という名の地域活性

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短角牛の子牛ちゃんと母牛。5月に山あげされ里に下りてくるのは10月。
その間に自然交配してて、1月ごろから子牛がうまれます。生まれた子牛は
翌年の5月から約半年間、放牧されて大きくなります。



わたくしが以前働いていた大地を守る会ではむかーし
「夏の産地交流ツアー」ってのをやってた。

夏休みに、全国各地の産地に出かけ、生産者のフィールドで、
食べもののことや農業のことを考える体験型ツアーで、
新入社員が入社2年目くらいにこのツアーを担当する。
(しない人もいる)

集客・情報提供・旅行代理店、産地とのやりとりなど
盛りだくさんの実務があり、思い通りにはなかなか行かず、
大変イライラする楽しい仕事であった。

わたくしもある年、徳之島の産地を訪問するツアーを担当した。
遠隔地。しかも高額であるため消費者が集まらないツアーなのに
未だかつてない参加者数を集客することができたのが自慢。

その時のやりとりはほんとうに勉強になった。

現在でもそのスキルは生きており、イベントをするにしても
農業体験ツアーをするにしても、段取り等その他もろもろ、
仕事の進め方が体に染みついているので、全く苦にならない。
今のわたくしがあるのは、本当に某D社のおかげなのであった。

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当然ですがツアー初日はBBQで短角牛食べ放題。赤身のお肉は
話題のダイエット物質カルニチンが多いらしく(草食ってるから)、
霜降りのお肉なんかと比較してかな~りヘルシーなのでございます。



さて、作り手のところに出かけると、本当にいろいろな発見をする。

パックされてる商品からは学べないことがたくさんある。
どんな人が作ってるのかわかると、ほんとに不思議だけど安心する。
ツアーでは生産者の家に泊めてもらうことが多かったが、
その後、農家と消費者が親戚みたいな付き合いをする例もあった。

食べる人が作り手のところに出かけるってのは、
とても重要なことなのだ。お互いにとって。

その先駆けになった産地交流ツアーは、現在でもまだ開催されている。

今年、30回目の「山形村べこツアー」が行われた。
山形村=現・岩手県久慈市山形町。市町村合併で名前は変わったが、
大地を守る会の社員や消費者の間では、いまだに「山形村」だ。

このツアーの成り立ちから追いかけてみると、
夏休み、年に一度開催されていた産地交流ツアーが、
地域活性につながったという物語になることに最近気付いた。

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口蹄疫の嵐が吹き荒れてた年、放牧場に行ってみたけど牛見られず。
どこか山の中に入ってたんでしょうねえ…。一般人は牛舎の近くにも寄れず、
口蹄疫ってほんとに恐ろしいのだなと実感したです。



現在あちこちで行われている地域活性の取り組み。
大地を守る会では30年も前からやってたのだった。

そもそも大地を守る会と山形村のお付き合いは
「短角牛」という肉牛から始まった。

夏の間放牧で育ち、自然交配で繁殖し、
サシ重視ではない牛肉本来のうまみを追求した
赤み主体の肉づくり、無理な肥育をしない短角牛は、
大地を守る会の理念にぴったりだった。

岩手県山形村は地名に「荷軽部(※)」なんて名前のある、
岩手県の山奥の村である。

中山間地の集落にありがちな、過疎になりつつある村だった。
※山道が平坦になり荷が軽くなるので皆が
「荷~軽いべ~」というのでそういう名前がついたとか。

この「短角牛」という商品を軸にした都会の人々との交流は、
30年前に始まった。

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わたくしが唯一口にできるしいたけは、山形村の原木しいたけなのでした。
菌床しいたけなんか食べられないし、味もないしで、しいたけはやっぱし原木。
これも短角牛がきっかけで取り扱いが始まった商品なのでした。



最初のツアーのとき、村の人々は都会から人を招くのに
都会の食べものを準備しようとした。その方が喜ばれると思ったのだ。

意に反して都市生活者たちは、地元のものをとても喜んだ。
美しい自然、きれいな水、牛がいる景色を喜んだ。

自分たちには当たり前の食べもの。当たり前の自然。
これに価値があることを、村の人たちは初めて知った。
過疎の村、自分たちの村に、価値があることを発見したのだった。

最初は「都会からたくさん人が来てるけど何してるんだ」と
やっかみの声もあったらしい。しかし皆が楽しそうにしてる。
なぜだろう? だんだん人が集まるようになった。

最初は短角牛だけだったお付き合いが、山菜やしいたけ、
工芸品、養殖ヤマメの商品化につながった。

そのうち「短角牛」は大地を守る会を通じて、
東京のレストランに出荷されるようにもなった。
赤身主体の肉、決して主流になりえないと思っていた肉が、
「牛肉らしい味、うまい肉」と、評価されるようになった。

こうして「山形村短角牛」はブランドになった。

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冷涼な気候を利用して、夏場にはほうれん草を出荷。誰が思いついたのかな。
こうして村の産業が少しずつ活性化して行きました。都会の消費力ってすごいからね。



30年の間に、大地を守る会とともにさまざまな取り組みを行い、
現在では100%国産の飼料で短角牛は育っている。

国産100%の飼料。

一般の市場相手ではたぶんできない。
消費者がそのことを理解し、多少高くても買い支えないと
リスクが高すぎてこんなことはできない。

消費者と生産者と流通がそろって初めて可能になる取り組みだ。
ただ肉を買って食べるだけではない、山形村を知ることで、
夢のようなことが可能になったのだ。

これこそが地域活性っていうんじゃないだろうかと思う。

都会から人が来ることで、村や村の人たちが元気になる。
自分たちの価値を再度発見する。
産直提携は地域活性にもつながるのだった。

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ホルスタインみたいに友好的じゃない短角牛。でもとっても元気。
オス牛にはハーレム状態なんだが、交配が終わるとものすごく痩せてて、
オスって大変なのよね、と生産者が言ってました。大変だよね(遠い目)。



スーパーの陳列棚からは決して見えてこない生産地。
自らが訪問し、見て、話して、いろいろなことを知って、
それから食べることがとても大事だと思う。

そのことだけで人生が豊かになると思うんだけど。
食べるって、そういうことじゃない?


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No title

こんにちは。
久しぶりの大雨で
ブログ訪問の時間が出来ました。

拍手が一回しかできないのが非常に残念です[腟究��絖�:v-425]

>今のわたくしがあるのは、・・・。
実感しますね。
楽しく一生懸命やったことだから、
身についているんだと思います。

>過疎の村、自分たちの村に、価値があることを発見した
全面的に肯定、支持します。
私の就農先でも
「なんで好き好んでこんな田舎に?」と良く言われます。
そんな時は、「皆さんも都会に一か月住んでみれば、ココの良さがわかりますよ」と返します。

就職先の企業誘致やバイパスなどの整備
それを無駄とは思いませんが、
田園風景を壊して、
工場と道路が増えていくのは悲しいです。

100%国産飼料の短角牛
生産地と消費地と流通が、
想いを一つにした結果でしょうか。

もう一つ、拍手して帰ります。
[腟究��絖�:v-424][腟究��絖�:v-425]

Re: No title

スナフキンさん、こんばんは。


> 楽しく一生懸命やったことだから、
> 身についているんだと思います。


そうなんですよ~。
感謝の心を忘れずに、です。
楽しかったなあ、いろいろいろいろ。


> 就職先の企業誘致やバイパスなどの整備
> それを無駄とは思いませんが、
> 田園風景を壊して、
> 工場と道路が増えていくのは悲しいです。


地方都市って皆同じ姿になりつつありますもんね。
田んぼつぶしてでっかいショッピングセンターができて、
2車線のでかい道ができて、パチンコやができて。

どこに行ってもある場所は同じ風景ってことが多いです。
誰もがそれを必要としているのか、そうじゃないのか。
よそ者にはわからないですけど。

でも昔ながらの価値あるものは、守っていけるといいですよね。
そういう意味でも価値の再認識は大切だと思いますです。

>
> 100%国産飼料の短角牛
> 生産地と消費地と流通が、
> 想いを一つにした結果でしょうか。
>
> もう一つ、拍手して帰ります。
> [腟究��絖�:v-424][腟究��絖�:v-425]
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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