わたしたちの知らない畑のなかの虫の世界

IMG_6475.jpg
オクラの葉についていたケムシを見つけ、うれしそうな根本先生。
お持ち帰りで同定されるとのことでした。虫を見つけると子どものように喜ぶ
根本先生は、偉い人とはとても思えないチャーミングな方でございます。



茨城県のさちこさんの畑で、天敵観察会を開催した。
講師は保全生物的防除研究会代表。根本久さん。

根本先生は埼玉県農林総合研究センター水田農業研究所の
元研究所長で、天敵についての著書も多数ある、
いわば「害虫と天敵博士」なのでございます。

根本先生の目を通して畑を見ると、
なんてことない普通に生育している畑の風景が
全く違うものに見えてくるから、大変驚く。

畑の、小さな虫たちの世界。

人間があずかり知らぬところで
食ったり食われたりの攻防を繰り返しているのだった。

農薬をまいていない畑には、虫がたくさんいる。
人間の都合で「害虫」「益虫」に分類されているが、
どんな虫にも天敵がいて、ある虫が増えてくると
天敵もやってきてそれを食べるということが必ず起きる。

IMG_6471.jpg
なすの新葉にぎっしりついている葉ダニ。オレンジ色のぽつぽつは、
ほこりにしか見えないけど、実は全部ダニ。ちっこい手足が生えてます(泣)。
葉の葉緑素を吸い取り同化できなくするので、通常は農薬で退治します。



これを邪魔するのが農薬。

だから、畑作の場合はまかない方がいいのよね。
せっかくの土着天敵が活躍できなくなっちゃうから。

さて、さちこさんのなす畑にいたのは、まずダニであった。

乾燥するとどこからともなく飛んできて、繁殖する。
乾燥しない環境づくりをしてやると、ダニはあまり繁殖しない。

なすの株元にワラのマルチなどがおいてあると、
そこで天敵が繁殖したり、隠れたりできるのでダニが減る。

黒マルチで乾燥が助長されるとダニが増えて行くので、
通路にワラや除草した草などを置くといいらしい。

ダニはまず下葉につき、だんだん上に上がって来る。
下葉で樹液を吸いつくすと、新葉に展開する。
新葉がダニ天国になると、ほそ~い糸をはいて隣に移動する。

IMG_6484.jpg
カメムシの卵からちびカメムシが大量に孵化したところ。見つけ次第捕殺!です。
肉眼で見てもちゃんと見えなかったんだけど、画像にはバッチリ写ってました。
これが大きくなるとちびきゅうりの樹液を吸い、変形果・スの原因になるのでした。


IMG_6485.jpg
これがカメムシの卵、あちこちにけっこう産みつけられてます。
見つけたら全部つぶしましょう。何しろカメムシと言ったら難防除害虫。
被害がどんどん大きくなりますからね。



ダニは水分に弱いので、弱い水流で水をまいてやるといい。
ダニの幼虫は水に流されて全部下に落っこちる。
落っこちたダニは地面近くにいるさまざまな虫に食われてしまう。

うまく循環しているのだね。

姿は見えなかったが、ナスの葉にマメコガネの糞があった。
この糞を葉につけたままにしておくと、新しいマメコガネを呼ぶ。
糞を見つけたら取り除くことが大切と根本先生は言う。
糞のにおいに釣られてさらにマメコガネが飛来するからだ。

さちこさんの畑にはいなかったが、なすの葉を食害する
ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)は、
成虫で越冬し、まずじゃがいもの葉を食べにくるらしい。

じゃがいもが終わったらなすに移動して葉を食害する。
その生態を知っていれば、じゃがいもとなすの圃場を離すことで
なすへの食害を防ぐことができる。

また、ニジュウヤホシテントウはイヌホオズキの葉が大好きなので、
イヌホオズキが畑にあるとそれを食べに飛んでくる。
そこからなすに移動されて被害が大きくなる可能性がある。

IMG_6486_20120728161247.jpg
益虫の代表格「ナミテントウ」の幼虫。さなぎになるまでそこにいて
アブラムシをがっつり食べてくれます。見つけたら大切にしましょ~。

IMG_6474.jpg
これがナミテントウのさなぎ。つぶしてはいけません。
通常7月ごろにはナナホシテントウ・ナミテントウは暑くなるのでどこかにいなくなり、
ヒメテントウが登場するらしいです。ヒメテントウは2mmくらいの小さなテントウムシ。
甲虫だと思ってつぶしてはいけません。

IMG_6477.jpg
ナミテントウ成虫。よく見かけます。さちこさんの畑には
いろんな状態のテントウムシがいるのでした。畑で繁殖してるんでしょうねえ。



であれば、イヌホオズキはさっさと抜いてしまうのが賢明だ。

このようなほんの少しの知識で、虫害を防ぐことができる。
しかしその知識を持っている人はあまりいない。

天敵の研究者が畑に来てくれればいいけど、
そんな機会はめったにないし、本を読んでもあまり書いてない。

根本先生は以前、埼玉県の瀬山明さんの畑で
有機圃場における天敵の研究をしたことがあった。

その際、お隣の慣行栽培のなす農家にいろいろとアドバイスをし、
70回(成分散布)ほどまく農薬の数を10回くらいに減らしたらしい。

農家はとても喜んでた。経費と手間がかからず、肉体的にも楽で
収量が変わらなかったから。

発生している害虫に対する的確に指示による理想的な減農薬。
誰にでもできるわけじゃないけど、することは可能だ。

IMG_6490.jpg
「雑草」としか認識してなかったけどこれがイヌホオズキ。
けっこうあちこちで見かけるよね。ニジュウヤホシテントウの被害はよく聞くので
この草を取るだけで少しでも減らせるならと思ってしまいましたです。



こんな風に研究者と農家の間をとりもつ立場の人っていないのかな。
小さなことだけど、知ればとても大きな力になるのにな。

なんてことを、再度考えた天敵観察会でありました。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村


関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR