ものすごく驚いた農家に聞いた農薬の話

画像1
「天敵を利用して防除回数を減らす」なんてのは理想だけど、
実は一般栽培では全く行われておりませんのです。もったいないね。



わたくし、今まで一般的な栽培をしてらっしゃる農家の話を
あんまり聞いたことがなかった。

なぜなら某D社で取引をしている農家は、有機農業に取り組んでいて、
がっちりとした思想があり、果樹でも低農薬栽培の人ばかりである。

果樹担当と冬場の一般野菜担当を同時並行でやってた頃、
果樹の農薬対応の頭で渥美半島の有機農家のところに行き、
「農薬まけばいいじゃないですか」とうっかり言ってしまい
「何を言ってるんだ!!」と大変怒られたこともある。

畑作ではとくに、農薬について一家言ある人が多いのである。

今から考えると、それほど思想はないにしても
取引先の気分を害するような発言をわざわざしない
オトナな方々も中にはいたかもしれないなと思ったりする。

まあ、それはさておき。

某D社の取引農家に、有機農業に取り組むきっかけになった話を聞くと
身内に農薬の薬害があったという人が多かった。
その他は有吉佐和子さんの「複合汚染」がきっかけで、
農薬について考え始めたという人も多かった。

落果
最終的に商品になるのはたくさんついた実のなかでもほんとに一握り。
病虫害で相当数の果実が廃棄されとります。貯蔵性の高い洋ナシなんかは、
貯蔵中にロスがでないよう殺菌剤をきっちりまいてます。だから回数が多いのです。



いずれにしても、古くから取引をしていた方々は
農薬については「よくないもの」「毒」と認識している人が多い。
それは果樹を栽培している人でも同じだ。

すくなくとも、わたくしが話を聞いた方々はそうだった。

基本的には「農薬は毒」であり「できるだけ減らした方がいい」
そんな感じ。でもま、これは世の人々の共通認識ではない。
人々は農薬の害をそれほど気にしない。
それぐらいのことはわかる大人なわたくしであった。

さて先日、一般栽培の農家の方と、
農薬も売ってる肥料屋さんと話す機会があった。

DDVPはすでに製造中止されてるみたいな農薬の話になり、
DDVPはまいた後にガス化するから、まく人間よりも
ガス化したときに隣の道とか歩いてる人の方が危ないとか、
硫酸ニコチンまいたらせきが出て大変だったねみたいな
昔の危険な農薬の話に花を咲かせていたら、
その一般栽培の農家がショーゲキの発言をされた。

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果樹で低農薬栽培を始めると、最初はよくても3年~5年後に
難防除害虫や手に負えない病気が出始めることがあります。
今まで使えた特効薬を使わなくなると、越冬する菌や虫が増えるんですね~。
そんなことも某D社で知りました。減農薬栽培も長期間で見ないとダメなのでした。



「農薬のどこが危険なの? あれは薬でしょ?
だから消毒って言うんだよ。」

久しぶりにものすごく、ものすご~く、驚いたわたくし。

その方はその2分ほど前までDDVPは劇物だったと思うよと
言っていたのだ。劇物ですよ、劇物。毒だってわかってるのに。

さらに肥料屋さんが続ける。

「僕らにも責任あると思うんだけど、農薬は危険じゃないって
言って売ってんですよね。それはJAなんかも同じ。
危なくないって言ってるんですよ。詐欺ですよね~」

「例えば、低農薬のものを作ろうとするでしょ。
JAが指導してる通りの栽培をしないと、引き取ってくれないんですよ。
農取法改正後、言われた通りに農薬まくことが大切になってて、
違う防除体系でやってると、JAに出せなかったりするしね」

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カイガラをかぶってるカイガラムシは、中から出てきた時を狙って
農薬をまかないと効きませんのです。
中から出て来る時期をきちんと観察してまくのが減農薬栽培。
有線で「本日はカイガラムシ防除しましょ~」と言われてまくのが一般栽培。
出てきてないのにまいてる可能性があるのはどちらでしょう?



どうして農家の人々が農薬散布を減らさないのか。
消費者が低農薬のものを欲しいと言っても理解できないのか。
なんとなくわかったような気がした。

農薬を毒だと思わず危険がないと思っていれば、
農薬が悪ではない。とくに、まいてる自分に何の影響もないし、
元気に生きてるからなおさらだ。

毒だと言われてもピンと来ない。「だって俺、元気だもん」である。

であれば、消費者がなぜ低農薬のものを欲しいと思うのか、
理解できないだろう。消費者が勝手なこと言ってると思うだけだ。

「大丈夫だろ? 危険じゃないよ」と笑顔で言う農家。

よく考えてみると、農薬の毒性は一覧表などにはなっていない。
魚毒性や劇物・毒物指定あたりで想像することしかできないのだと
肥料屋さんに言われて、なるほどそうかと思いなおした。

わたくしは単に某D社の知識があるから判断できるだけなのだった。

gazou 042
農薬を減らし過ぎて収量が減り収入が減るんじゃ本末転倒。
果樹の減農薬栽培は、そのあたりの判断が難しいこともありますよ。



農薬は危険じゃないから防除暦通りにまくのが普通だよねという農家と、
農薬は危険じゃないし、まいてても3回位だから気にしないわという消費者が、
JA・市場経由でフツーのスーパーで繋がってるのだった。

限定的な情報しか与えられず、言われたことを信じる人々。
農薬に限らず、そんなことはこの世の中にいくらでもある。
無知とはある意味強みでもあるが、恐ろしいことでもある。

でもまあ、いいか! 今日がしあわせなら! 

どうしようもないもんね。消費者も農家も二極化してくしかないのよね。
根深く暗すぎる問題に、考えることを放棄してしまったわたくしでした。


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余計な話

別件で偶然引っ掛けた、とおりすがりのものです。
右から見たのと左から見るのとで、見え方が違うこと・・・白黒つけようにも何をもって白、というかで違う問題ですよね、これは。
農薬も「経費」ですから 使わない方が良い、でも「経費」だからこそ、手間を省くことも必要です。
農薬まきましょう~といわれて使用するのも 一種の計画防除ですよ、主体性がないだけで。これも減農薬に繋がることも。

人間は薬も飲むし健康食品も使う・・・薬が多いと安心したりするくせに、栽培の場合、多くは発病した時点で「手遅れ」が多いのですが予防使用には嫌悪感を持つ方が大半。 不思議です。

も一つ。化け学的な汚染・・・残留濃度には嫌悪感が合っても生物学的汚染には無頓着の方が多い・・・というかその実態を知らないですよね>例えばBT剤。
菌まみれでも洗えば良い、が何故納得できるのかしらん?

不愉快なら削除してくださいね・・・

TPPが進むと国内の基準以上に危険な農薬散布された農産物が海を越えて輸入されます。例えば以前騒ぎになった冷凍餃子に散布しているDDVPは日本の農水省は散布禁止ですが、中国、欧州、アメリカは禁止していません。当然です。これらが使えなければ輸出が困難ですから。
また、時間が経てば成分が変わり危険な農薬は国内禁止であるにも関わらず、海外では輸出する必要があるので認可されています。これらの問題を議論せず解禁は非常に恐ろしいと思います。まあ、ハモンセラーノやパルミジャーノが安く入手出来るようになるのは大歓迎なんですけどね。

Re: タイトルなし

こんにちは。コメントありがとうございます。

> 例えば以前騒ぎになった冷凍餃子に散布しているDDVP日本の農水省は散布禁止

冷凍餃子に入っていたメタミドホスは日本では使用禁止ですが、
オルトラン(アセフェート)の一次謝物がメタミドホスになるため、
残留農薬基準値は一応定められているようです。

DDVPは使用禁止ではなく数年前に失効した農薬で、成分はジクロルボスです。

> また、時間が経てば成分が変わり危険な農薬は国内禁止であるにも関わらず、
海外では輸出する必要があるので認可されています。

むかし、日本では使用禁止されているOPPとTBZをポストハーベスト農薬として使った
アメリカのオレンジを、検疫で止めて廃棄したことがあると思います。

この後外圧によってこれらの使用不可とされていた農薬が「食品添加物」名で許可された
というのは知っていますが、その他のものはどうでしょうか。

食品添加物については日本で使用されていないものでも
輸入する際に使われていてもOKとしていると思いますが、
農薬については知識不足でよく知らないので意見を言えません。

厚労省に電話して聞いてみようっと。
ご指摘ありがとうございました。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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