無肥料(無農薬)のりんごを見て来た

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道法正徳さん(右)と紺野邦男さん。紺野さんは桃も切り上げ剪定で栽培中。
桃はまだ無肥料・無農薬じゃないんだけど、興味深い畑でしたよ。



りんごについて考えるとき、わたくしの知識の源は
長野県の故・原今朝生さん一家と、
その安曇野に就農した元同僚である。

つまり長野県安曇野界隈のりんご栽培の知識しかない。

原さんはりんご界では技術的に頂点に位置する方だったため、
原さんに聞いたことは品種にしても剪定技術にしても改植にしても、
ある意味りんご界の最新情報でもあった(と思ってた)。

だからその他の地方の人々のやり方を全く知らない。

とくに、原さんちは小さい木で作るワイ性台が主体なので、
でかい木で作るきょう木(きょうぼく)栽培については
さらに全く知らないのであった。だから、かなり知識的に偏ってる可能性はある。

でもまあ、それがベースになっちゃってるのよね。
しょうがないのよね、なのであった。今回、
この偏りの中でレポートしていることをご了承いただければと思います。

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りんごってね、一昨年伸びた枝に実をつけるのね。昨年の枝は二年枝っていって、
これに実をつけるとピカピカの良くない実が着くってのが常識なの。
20センチ以内の二年枝なら、ピカピカにならないって話を今回初めて聞いたの。
しかも、糖度が高くなるって言ってるのよね。ああ、よくわからないわ~。



さて、切り上げ剪定でおなじみの道法正徳さんにくっついて
福島県で無肥料でりんごを栽培している
紺野邦男さんの畑に行って来た。

紺野さんは、りんごは経営の主体ではないらしい。
7年前からりんご畑を無肥料にした。

今年からそのうちの一本を無農薬で栽培してみている。

一昨年の冬、すべてのりんごの木を切り上げ剪定にし、
昨年は切り上げ剪定した枝に、りんごの実がなった。
木はワイ性台ではない、きょう木栽培。品種は「ふじ」である。

この畑で、ほんとに驚いたことがたくさんあった。

ところで、一本だけ無農薬の木のことなんだけどね。
同一圃場の他の木には慣行よりも少ないとはいえ農薬散布がある。
これは厳密に言うと無農薬とは言えないかなあと思うので、
無農薬はカッコ付で紹介させてもらうことにした。

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これが驚きのモンパにやられてて復活した樹でございます。
とっても元気で何事もなかったかのように実がついてます。



なにしろ、スピードスプレイヤーで農薬散布すれば、
その木のとこだけノズルを閉めようが風を止めようが、必ず農薬は飛ぶ。

まんべんなくかかってはいなくても、かなりかかっている。
「無農薬」って言うのはちょっと厳しいかなと思うのよね。

ま、それはともかく。無肥料7年間ってのには驚いた。

大きな木なのでワイ性台に比較して影響は出にくいとは思うが、
木の様子だけみると、葉っぱは厚く、同化能力が高そうで、
枝元から枝先まで全く同じ大きさの葉が、V字型の美しい形で並んでいる。

もちろん、徒長枝は出ていない。花芽はふくふくと充実してるし、
木としてもとてもいい状態に見える。恐るべし、切り上げ剪定。

りんご産地では、青森だろうがどこだろうが、
枝が全部上向いてるようなりんごの木を見ることはない。

IMG_6550.jpg
ところどころこんな具合にモリモリッと実がついてるが、わざとなんだって、
こういう具合についた実が糖度が高くていいものができたとのこと。
つけすぎでしょ!って写真がお見せできないのが残念でございます。



果実がなって下がってきている枝はあるが、
紺野さんのりんごの木は、ほとんどの枝が上を向いている。

だから、全体的に木の勢いがいいのかなと思う。
でも、徒長枝が出たり、暴れたりはしていないのだ。

きょう木栽培だから? 無肥料だから?
そう言えば昔、桃農家がこんなことを言っていた。

「肥料入れるとさ、夏によぶんな枝が出るでしょう。
結局捻ったり切ったりする。その分、肥料が余分なんだよね。
じゃあ肥料を減らせばいいんだろうと思うけど、誰も減らさない。
毎年よぶんな枝を出しては捻ったり切ったりしてるんだよね」

肥料って何なのかな。なんか考え込んでしまいましたよ。

さらに、モンパ病というリンゴの木を枯らす
恐ろしい土壌菌による病気にかかった木が完治していた。

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りんごの写真がないので、桃で代用。ご想像ください。
この桃も相当ついてます。でも少し小玉だね。5kg箱22玉位なんだって。
でも核ワレ果落としてこのつけ方ですから、その前どんだけついてたかって話です。



切り上げ剪定をすると、枝がぐっと伸びる。

枝が伸びる際、同じように根っこもびゅっと伸びている。
新しい根がたくさん出たことで、病気に勝ったのだと道法さんは言う。

切り上げ剪定、恐るべし。剪定方法でモンパが防げるなんて。
モンパの防除は土壌消毒しかないと思ってたのに。

さて、紺野さんの木には、驚くほどりんごの実がついていたが、
これは切り上げ剪定の特徴でもある。

通常の1.5倍は実をつけてもいい。樹勢がいいので問題ない。
昨年のようすを写真で見せてもらったが、もう玉すだれのように
りんごの実がついてんの。びっくり! こんなならせ方、あり得ない!

自分の担当産地でこんなにつけてる人見たら、
「ならせすぎだからちゃんと摘果してよ!」と叫ぶところだ。

その玉すだれのようになったふじは、糖度が13度~15度あったらしい。

IMG_6575.jpg
上向いた枝が風にそよいでおります。この樹形・長果枝に実がついてるとこ、
などにご注目ください。あんまり見たこと無い桃の木でございます。



ええ~、ほんとですか~。

たくさんなって糖度が高いんじゃ、儲かっちゃうじゃないですか!

栽培方法がどうあれ、味が良くなくては果樹の経営は難しい。
だって日本では、果物は嗜好品だからね。まず味なのよ。

果物を高く売るには付加価値が必要だ。その付加価値は、
おいしさがダントツで、その他化学肥料不使用・低農薬などがある。

ここに無肥料と、まだ発展途上だが無農薬が加わると
そりゃあすごい付加価値商品になるでしょう。
紺野さんは今、チョー付加価値商品を栽培しているのだった。

無肥料で玉すだれのようになりまくってるふじ、どんな味なんだろ。

落葉果樹での切り上げ剪定は、ずっと疑問符つきだったけど
このふじを見て気持ちが変わった。今年の秋には道法さんに
「まいりましたあ!」と言ってるわたくしが想像できましたです。


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Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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