りんごがなんだか大変らしい話

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3年ほど前に小田急OXで見たつがる。この青さにどびっくり。
思わず「これでいいのかあ!?」とつぶやいてしまいました。
「サン」は有袋に対する無袋栽培に優位性を持たせた言葉だが、
最近有袋のつがるなんてほとんどないはずなのになんでついてんのか不明。



しつこいようだが、わたくし鳥取出身である。
鳥取と言えば二十世紀梨である。

ってことで、子どものころは二十世紀梨ばっかり食べていた。
自分の細胞の1/10位は二十世紀梨だったかもしれない。

この梨は、なぜか運動会のお弁当の記憶とかたーく結び付いており、
誰に聞いても「ぬるーい二十世紀梨が運動会の弁当に入ってた」と言う。
今では二十世紀梨はジベ処理をして8月下旬には出てくるから、
10月の運動会のときにほんとに食べてたのかしらんと思ったりする。

おそらく幼少期に一生分の二十世紀梨を食べてしまったらしく、
今は二十世紀梨・・・というか、梨全般、全然食べたくないのが不思議。
なんだか梨に申し訳ないんだがまあ、しょうがないか。

冬になると手が黄色くなるほどみかんばっか食べてたので、
自分の中には、りんごの記憶がほとんどない。

記憶に残る唯一のりんごが「スターキング」。

明確に品種名を覚えているのは、真っ赤できれいだったからだ。
その他のりんごは食べたのかどうかもほとんど覚えていない。

RIMG0062.jpg
白雪姫が食べたような真っ赤っかなりんごだったなあ、スターキング。
これは10月に出てくる中生種のりんご「秋映」。真っ赤と言うか黒いというか、
畑になってるのを見るとびっくりするけど、おいしいりんごです。



そして本日、スターキングにいちごジャムをつけて食べるという、
今から考えると暴挙としか思えない食べ方してたのを思い出した。

トマトに砂糖をかけて食べてたこと同様に、心の中の
「恥ずかしいもの入れ」にサクサクと格納いたしましたよ。ううう。

さて、東京に引っ越して某D社に入社し、広報から産地周りに異動し、
りんごの担当になって、東京の人々に言われたこと。

「西日本の人間はボケりんごしか食べてないからりんごの味わかんない」

どうですか、これ。西日本出身者に対する暴言じゃないですか。
でもまあ、あながち、暴言でもないと後でわかった。

りんごの適正な保存温度は1~3度である。
昔の流通ではそんな温度管理をしていない。
青森・長野で作られたりんごが西日本の陸の孤島、鳥取に来るまでに
どんな温度管理がされてたのか、知る由もない。

ボケりんごの食感しか知らなければ、ボケてることに気づかないものだ。

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これはアップルレコードのレコードに書かれているりんご「グラニースミス」。
色がつかないので葉摘みや玉回しが必要ないといういいりんごだけど、
緑のりんごって日本人には受けないのよね。りんごは真っ赤じゃないとダメ!
これが日本の消費者の特徴なの。そのために無駄な作業が発生している。



そしてその年、東京から送ったバリバリのおいしいりんごを食べた母が
「このりんご硬いなあ」と言ったのを聞いて、
やはり自分はボケりんごを食べてたと確信したのであった。

今ではりんごの粉っぽい味も、ボケりんごの食感も、
ほんとにおいしいりんごの味も知っている。
おいしくないりんごは食べたくないのでスーパーでは絶対に買わない。

てなこともあり、りんごの障害がどうとかいう話題をうっかり見逃していた。

しばらく前から早生りんご「つがる」の状態が
どんどん悪くなっているとメディアでは取り上げられている。

そう言えば、昔は赤かったつがるの色がびっくりするほど青くなっており、
つがるの時期に長野に行くと「なんかつがるが今年も大変」と毎年聞くし、
直売所にはお尻のまっさおなつがるが平気で売られてるしで、
確かにおかしいのだ。

理由はこの高温。あとは落果防止剤じゃないかとりんご農家は言う。

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「ふじ」は2002年ごろから蜜が褐変するという生理障害に悩まされている。
蜜入りりんごを尊ぶ日本人ならではの障害とも言えるが、年明けには蜜が褐変し、
苦くて食べられなくなる。昔は果肉に吸収されてたらしいが、最近は褐変する。
これも温暖化というか気候の影響であろうと言われている。



つがるというりんごは、熟す前に落果するという性質があり、
それを防ぐために落果防止剤(ストッポール・植物成長調整剤)を使う。
ストッポールは植物ホルモン剤なので、これを打つと収穫時期が少し早まる。
ストッポールを打たない農家の適期と比べると2週間ほど早いらしい。

これに着色促進作用のある資材を併用すると、着色がもっと早まる。

くだものの場合は、出荷時期が早い=価格が高いので、
どの産地も早く出すことを考える。
りんごの場合は着色しないと出荷ができないので、着色促進剤を使用する。

通常は昼夜の温度差により色がつく。

この夏、どこでも夜温はそれほど下がらなかった。
しかも35度というべらぼうな暑さ。そしてものすごい日差し。
日差しが強すぎるのでりんごが日焼けしてしまい
内部に蜜が入りそこが褐変して苦くなるなんてことが起きている。

夜温が下がらないから色はつかないが、色がつくのを待ってると
先に熟してしまい、ボケりんごになってしまう。
山形の産地に聞いてみたら、まだ青いのに収穫したら柔らかくて、
全てのりんごを触って出荷できるものを探していると言っていた。

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ちょっと色が変なのは日焼けしてるから。甘くておいしい場合もあるけど、
中が褐変することもある。りんごにネットがかかってるのは落果防止剤を打たずに
自然に落っこちたりんごを収穫してるから。ここんちのつがるは
そりゃもうおいしくて、一度食べたらほかのつがる食べられませんって味。




ここ数年、暑さがひどくてさまざまな農産物に影響が出ているが、
りんごの世界では、そのうち産地が移行するのでは位の話になっている。
これは桃でもさくらんぼでも、ぶどうでも似たり寄ったりで
果物の適地が変わるんじゃないかと皆が噂している。

9月になってもお盆過ぎのような凶悪な日差しがじりじりと照りつけ、
時々大雨を降らせては、果実を割り、病気を蔓延させている。

ひょっとしてもう、日本は亜熱帯なのかも。
庭先でパパイヤが雑草のように茂る日が間近に来ているのかも。

それはそれで楽しいなとか妄想しながら、スーパーで売ってる
まっさおで粉っぽそうな、ある意味地球温暖化の結果であるつがるを見ながら、
早生りんごは食べなくていいか!と思ったりするわたくしであった。
(実際こんなに暑いとりんごよりも梨が売れるんす)


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Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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