野菜の値段、高いか安いか?

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夏の野菜、ズッキーニ。最盛期には1日2回収穫しなくてはならない作物。
上手に作ると10a当たり150万くらいの売り上げになるらしいです。



暑いですね。

この暑さで日本各地の野菜の生育が悪くなっています。
需要に対して供給量が少なくなると、野菜の価格が上がってきます。

「消費者の立場からすると、少しでも安い方がありがたいですねえ」等々、
夜のニュースで野菜の高騰の話題になると、必ずといっていいほど、
インタビューされる主婦の方々はおっしゃいます。

そう、消費者からしてみると、安い方がありがたいです。
日々の食べものなのですから。

でもね、生産者から見た場合の、野菜の価格ってどうなんでしょう?
そういうこと、あんまり考えずに安いとか高いとか言ってるような気がします。


10年ほど前に農家回りをしていたころ、有機農業を営む農家が、
10a(1反)当たりの売り上げってどれぐらいあればいいのか教えてくれました。
(利益じゃなくて売上です)

売上価格は、作物によって違いますが、
考え方としては、その作物の栽培期間の長さ(畑をどれぐらいの期間使うか)、
年に何作その地域で耕作できるか等々で変わってきます。

たとえば大根。

関東の平地では、だいたい60~80日程度で大きくなり、欠株ができてもまきなおしが効き、
青首大根なら収穫時期がそろうため、一気に畑を空けることができます。

周年栽培できる地域では、大根は春と秋の年2回の作付が可能です。
大根は植えたらそんなに手間をかける必要はなく、さらに収穫も簡単。

そういった作物ならば無農薬栽培でも、一反当たり30万~40万くらい売上があればOK。
(年に一作しかできない北海道や高原地域や、平野部でも栽培に一年かかるネギなどでは、
目安として、この倍以上の売り上げが必要…そんな感じで考えてください)

IMG_0017.jpg
エイリアンの卵が整然とならんでる? いえいえ、これは越冬白菜。
秋に出荷するものよりもロス率が高く栽培期間も長いので、冬の白菜はちょっとお高いです。




関東の平野部では、一反に大根は5,000本ほど作付できるので、
1,000本ほど虫や病気で失っても、一本80~90円で売れれば大丈夫。

この売上から出荷の箱代、肥料代、管理費や燃料費などが引かれます。
利益はどれぐらいになるのでしょう。半分くらいかな(そこまでは教えてくれませんでした)。

これが再生産可能な、野菜栽培の必要最低限価格の目安です。

低農薬で、特定の流通と契約栽培ができる農家の場合は、こういった値付けができるので、
安定収入を確保することができます。

が、しかし。

市場出しの農家は、その年の天候に収入が思いっきり左右されることになります。

市場では、大根の供給が過剰になると価格が下がります。
私の知っている大根の最低価格、なんと、一箱300円ってことがありました。
段ボール箱代他諸経費を引かれると、大根一本あたりの価格はおそらく10円程度なんじゃないかな。

「大根が安くてうれしい」背景には、「やってらんないよ!」と泣いている農家がいるってことですね。

IMG_1474.jpg
抜いた後にちょっと洗って、g数を測って束ねないといけないカブは、調整の手間がかかります。
「大根とカブ、どっちが作りたい?」と聞くと
「大根がいいねえ~、手間かかんないから」という農家が多かったりします。



サラリーマンでは絶対に考えられない、収入の予定が全く立たない職業…それが農業。
「こどもに後を継がせたくない」という人が多くなるのもしょうがないかも…と思ってしまいます。

でもでも。

需要が供給を上回ると、当然野菜は高騰します。
台風などで主産地が大被害を受けた場合、今年の夏のように生育がそろわない場合など、
野菜価格はじりじりと上がります。

当然、高騰している野菜の栽培農家は儲かります。
20年ほど前は「御殿が建っちゃって」という人もいたらしいです。

一番早い口のレタス
何年か前、大きな台風がレタス産地を直撃しレタス1箱8,000円って値が出たことがありました。
本当にレタスが無くて輸入もできなかったため、そういう価格になったのでしょう。
「誰が儲かったのかね~?」「さあ?」 私の知り合いでは誰も儲かっていませんでしたけど…。



しかし最近では緊急輸入されて価格が下がることが多いですね。
先日円高還元セールで、アメリカ産のブロッコリーが100円程度で売られているのを見ました。

アメリカからチルドの状態で輸入されたブロッコリー…100円で売れるんじゃ、
きっと航空便じゃなくて船便なんじゃないのかな~等々、考え込んでしまったです。

野菜の価格が安ければ安いほどいい…それは理解できます。
でも作ってる農家の顔を知っていると、一定程度の価格設定は絶対に必要だとも感じます。

解決方法はいくつかあるんですが、それが実現する前に農家の人口が減っちゃって、
取り返しがつかなくなるんじゃないのかなあ…最近よくそう思います。

日本の将来はどうなっちゃうんでしょうか。



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コメントの投稿

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こんにちは

いつも読ませていただいています。
いいブログですね。

今回も、ほんとにそのとおりだと思います。

食料自給率に、農薬の問題
・・・ほんとにこの国はどうなっちゃうんでしょうね。
癌患者になってから、なお一層
この国の「いびつな食べ物事情」を痛感しています。

Re: こんにちは

癌ダム4Gさん

こんにちは。ご訪問ありがとうございます。

農業ブームとか言われつつ、生産の現場のことって本当に知られていないです。
あえて情報提供もしていないのかもしれないですけど。

とりあえず、食べものの価値は「価格」じゃないよな~と思ってます。

これからもよろしくお願いいたします!

No title

ほんたべさん、こんにちは。市場に出すと、かなり辛いと思います。ですから、販路は自分で探すしかない・・・と分かっていても、農家にはそのノウハウがない(というよりも、毎日田畑に行くので営業すら出来ない。)というのが現状なのかなぁと思います。

No title

駆動さん

自力で販路を開拓するの、大変ですよねえ。
新規就農しても売り先がない…JAは小規模の取引してくれないので、ますます売り先がない…。

今東京でマルシェが流行しているので、近隣の人ならそこで売れたりもしますが、交通費も大変だし。

どうしたらいいんでしょ?

こんにちは

勝手に紹介しちゃってゴメンナサイ。
今回もとってもいいお話だと思います。
何より、hんたべ産の書かれている姿勢に感動致します。
頑張ってくださいね!

リンクも張らせていただきましたので
今後ともよろしくお願い致します。

僕は、喉頭がんのステージⅣ
(いわゆる末期がんの一歩手前ですね・笑)で
食事療法(人参ジュース+マクロビオテック食)を実践していますので大量の野菜が必要です。

中でも中心となるのがゲルソンジュースで
人参5~7本、レモン1個、リンゴ大2~3個を毎日消費しています。
また、ジュース用だけで
小松菜を5パック、セロリ(株で)2パック、ブロッコリー4個
モロヘイヤ2パック、オレンジ5~7個、オクラ5パック
キャベツ半分、白菜半分、季節の野菜、数種程度…などなどを
週単位で消費します(食べる分は別)

季節によっては全部が無農薬という訳にもいかないので
なるべく無農薬、できれば低農薬のモノを求めていますが
たとえば今のような野菜不足となると限界がありますね。

また、これだけ購入していると、価格も大変(苦笑)
野菜購入費も半端ではありません。

現在は「コープ自然派」の野菜を中心に購入していますが
よい入手ルートがありましたら、またお教えください。

Re: こんにちは

癌ダム4Gさん

どうもありがとうございます。
癌ダムさんのブログから訪問してくださっている方がいて、とてもうれしいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

それにしても野菜と果物の消費量がすごいですね。
生協さんだと価格的に安定しているのでいいかもしれないなあと思いました。

私は大地を守る会という自然食品等の宅配会社に18年ほどいました。
途中6年間野菜の仕入れの担当をしていました。

元会社の宣伝になってしまうのですが、安全性とトレーサビリティで判断すると、
大地を守る会以上の団体はありません。
この業界内では、農薬の使用基準を自社できちんと作成した最初の会社でもあります。

大地を守る会は使用してはいけない農薬リストを農家に提示しています。
また土壌消毒剤と除草剤の使用は不可です。

私が仕入れの責任者をしていたときに、新規取引希望の農家から打診をいくつか受けましたが、
「こんな農薬では作れない」と言って取引を断念した方が多かったです。

使用禁止農薬は、毒物指定や魚毒性・催奇形性・残留性等々を総合的に判断して決定しています。

ちなみに私が何度か書いている有機リン系農薬はほとんどが禁止です。
(有機リンは残留も高く環境負荷も高いため、一剤しか使えません)

通常ここまでできている団体はないため、大地を守る会と取引している生産者は
他の流通と取引開始する際に「大地さんの生産者なら安全性はOK!」と言われると聞きました。

しかしネックは価格です。
おしなべて高め。果物はとくに。
(でも市場価格が上がってくるとお得です)

慣行栽培の半分程度の防除を目安にしていることと、虫や病気の
特効薬(有機リンや強い殺菌剤)が使用できないため、栽培リスクが高いことが理由です。

ご参考までに↓大地を守る会のWEBサイト
http://www.daichi.or.jp/

宣伝してしまいました…すみません…。

プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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