お肉について皆があんまり知らないこと

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生まれたばっかの子豚ちゃん。寒がりなのでぬくぬくの暖房で守られてます。
胴長でロースも長いLWDは現在の日本の養豚の主流品種。
黒豚ちゃんは生育が遅くて身体が小さいので付加価値商品。
つまりブランド品なのでした。



スライスされて美しく並んでるスーパーのお肉。

肉の原形を想像することなんか全くなくて、
もとの豚や牛の形や、どの部位なんだろな?なんてことも
普段はほとんど想像しないで、お肉食べてるわたしたち。

でも、お肉って最初からスライスされてるわけじゃなくて、
バックヤードに入った時にはブロックだったりするわけ。
そのブロックは、卸業者が枝肉から解体してるわけ。

枝肉ってのは、牛や豚の頭と内臓を取り除いて
骨と肉だけになってる状態の肉のことで、いまいち想像しにくいけど
「ロッキー」を思い出してもらえるとわかりやすい。

ロッキーが冷凍庫でサンドバッグ代わりにしてた肉があったでしょ。
あれが枝肉。

つまり枝肉は、所定の屠畜場で屠畜された牛豚が、
内臓と肉に分けられた一番最初の状態なのだった。

わたくし、いくら冷凍されてるからと言ってロッキーったら
あんなに激しくパンチしたら肉が傷んだんじゃないかしらん
などとちょびっと心配になったけど、まあどうでもいい話ですね。ハイ。

gazou 099
豚の枝肉。見学したところでは冷凍はされてませんでした。
まだ骨がついてます。豚の形が想像できますよ。

gazou 104
骨を外されておおまかに部位ごとに分けられてます。
これ、バラ肉っすね。肋骨の跡が見えてます。



枝肉は通常冷凍された状態で倉庫にぶら下がってるが、
卸業者が仕入れて解体すると各部位ごとのブロックになり、
真空パックでまた冷凍されたりしてスーパーやお肉屋さんに卸され、
それがスライスされて店頭に並ぶ。もちろんチルドのこともある。

非常にざっくりしてるし、間をちょびっとはしょったり、
バリエーションはあるけど、これがおおまかな肉の流れ。

鶏はちょっと違うんだけど、鶏肉の流通をあまりよく知らないので、
今回は言及を避けております。どんな屠畜場なのかは聞いたけど、
見たこともないので言及は避けておきます。

さて、日本ではとくに好まれる部位ってのがそれぞれにあり、
鶏ならばモモ、豚ならバラ・ロース、牛は・・・うーん、牛ってどこだろう。
ロースかな? とにかく、たぶんモモじゃない。
調べてみたらバラでした。興味のある方はこちらをどうぞ。
→http://lin.alic.go.jp/alic/statis/dome/data2/nstatis.htm

日本人は素材の味を好むので、塩とこしょうでおいしい部位が好き。
欧米のように赤身の肉をソースでがっつり大量に食べる。
と、いうような食べ方をしないので、脂の味に弱く、
ロースやバラなど脂肪分の含まれる肉が好きである。

gazou 102
はずされた骨。足の骨ですねえ。
これはこれでとんこつラーメンとかに利用されるんす。無駄なく。

gazou 070
削られた脂。脂が分厚いと正味の肉の量が少なくなるので、
黒豚なんかは歩どまりが悪いのです。だからお高いのですねえ。
これはたぶんラードになるんだろうなあ。



欧米人のように肉が「ほぼ主食」ではない日本では、
肉は、とくに牛はちょびっと食べて幸せになるためのぜいたく品だ。
だから脂が網目のように入った牛肉が好まれるし、
豚でも脂のないモモより、バラが売れる。

鶏肉はもっと顕著で、バサバサしたムネは皆が嫌がる。
いかにパサパサさせないで料理するかみたいなコツが伝授されるほどだ。
やたらとムネ肉の分量が多い七面鳥を喜ぶアメリカ人と、
日本人とは全然嗜好が違うのだった。

さてその肉。少し調べてみたら、自給率が下がってて驚いた。

昔は物流事情が悪かったため輸入肉はほとんどなかった。
冷凍焼けとか管理のまずさとかで、「安い・まずい・加工用」だったのだが、
1990年代に、冷凍ではなくチルドでの流通が可能になった。
輸入肉はここから急激に伸び始めたらしい。

現在では、牛肉は主にアメリカとオーストラリアから、
豚肉はアメリカ・カナダ・デンマークから輸入されている。
鶏肉は中国およびタイからの輸入が多く、
鶏卵(加工用の液卵や粉卵が主)もかなり輸入されている。

現在それぞれの肉の自給率は平成23年度で、
豚肉52%(重量ベース・カロリーベース6%程度)
牛肉40%(重量ベース・カロリーベース11%程度)
鶏肉66%(重量ベース・カロリーベース8%程度)

gazou 095
部位がいまいちわかりませんが、モモかなあ。
ロースだとまんまるいロース芯が見えてわかりやすいんだけど。
この後スライサーでスライスされるのでした。



輸入肉が増えて来たのは、流通の改善に加えて、
必要な部位だけ仕入れられることが大きい。

なにしろ、豚一頭にはロースは2本しかない。
ヒレはさらにちょびっとしかなくて、モモは大量にある。
ロースばっかり欲しいの!と言っても、ロースばかりの豚は存在しない。

これは鶏も同じだ。モモが4本ある鶏がいればいいが、
一羽につきモモは2本しかない。そしてもムネも2つある。
モモばっかり売れても困るわけ。ムネが余っちゃうからね。

畜産物の流通は、基本的には一頭買いであり、
余剰部位の調整ってのは必ず発生する悩ましい問題である。

某D社も契約農家からの一頭買いだったため、
だいたいヒレが足りなくて、いつもモモやムネが余っており、
畜産担当者は価格調整やら何やらで四苦八苦していた。

てなことで特定の部位のみが輸入できれば部位調整が必要なくて
仕入れる側からすればバンバンザイなのである。

そうなると当然輸入肉の方が便利に使えるから需要が伸びるし、
さらになにしろ安いのだ。そして国内の畜産農家の経営を圧迫する。

とんかつ
そしてこれが最終製品というか、わたくしたちが食べるもの。
ラードで上げたトンカツでございます。トンカツと言えばロース・ヒレですから、
産地表示がしてない場合はアメリカから来た豚ちゃんかもしれませんね。



豚肉の場合、セーフガード(※)が何度か発令されてはいるが、
輸入肉の増加は誰にも止められない。そして
自給率がほんとにジリジリと下がり続けている。

大規模化に誘導されてる畜産業では、養豚はとくにだが
個人農家がどんどん廃業しており、もしTPP参加した場合は
ほぼ壊滅的な状況になることが予想されている。

スーパーに売ってる肉見てるだけでは危機感はほとんど伝わらないが、
外食産業で使われている肉がほぼ輸入だとわかると少し怖くなる。

ってここから本筋だったんだけど、書ききれませんでした。
続きは次回です。

【セーフガード】特定品目の貨物の輸入の急増が、
国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、
かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、
損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うもの


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Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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