お肉を食べるということ

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黒豚のオスに黒豚の血が半分入ったメスをかけると黒豚75%になります。
そういう豚は黒豚と称して販売してはダメで、黒豚系と言ったりします。
どういうわけか三毛豚ができたりもします。
でもものすごくおいしいの。LWDなんて目じゃないくらい。



わたくしが働いていた某D社の新人研修に、
屠畜場見学というコースがあった。

ほんの一時期やってただけでいつの間にかなくなったので
見学していない同僚も多い。わたくしはラッキーだった。
その後、豚の一生を追いかける取材をさせてもらい、
仙台の屠畜場を見学した。どっちにしても見る運命にあったらしい。

そこでは、電気ショックで気絶した豚がサクッと首を切られ、
血を抜かれて骨付きの肉の塊になっていた。
作業はよどみなく行われ、効率よく粛々と枝肉が出来上がっていく。

初めて見るものばかりでわくわくしたが、
こういう場所でわくわくしてはいけないと考えた。
神妙な顔して、ひたすら命が肉になる場面を見つめた。

そして思った。

スーパーでパックに詰められて売られているお肉は、
誰かが殺してきれいに処理をし、スライスしてくれているのだ。
わたくしたちはその現場を見ることなく、命のかけらを食べている。

それはしあわせなことなのか、不幸なことか。

翌日、養豚農家でちっこい子豚ちゃんをたくさん見た。
ハイヒール履いてるみたいなつま先、ピンク色の鼻、
人が来るとすみっこにかたまり、プギーとか泣くのだ。
かわいくてかわいくて、家に連れて帰りたいくらいだった。

でかい豚もそれなりにかわいかった。
人が入って来ると柵に足をかけて見物する。
豚は好奇心が旺盛で、人なつこいのだと初めて知った。

取材が終わった日、帰りの新幹線でおなかがすいたので、
黒豚焼き肉弁当を食べた。大変うまかった。

わたくしは取材の3日間で、生まれたばかりの豚、大きくなった豚、
屠畜される豚、肉になった豚と料理された豚を見た。
豚の一生とその後を目の当たりにした。

img118.jpg
世界中の人が平均的な日本人と同じ食生活をすると、
2050年には地球が1・64個必要となるって結果が先日公表されてたけど、
今の日本人、実はマリー・アントワネット様状態なのかもしれないね。
※ほんとはあのセリフ彼女が言ったんじゃないらしいんだけど。とりあえず。



どれも形は違うけど、全部豚だ。

かわいい子豚を見た後でも、豚肉を食べることに罪悪感はなかった。
子豚を見たからこそ、大切に食べなくっちゃと思った。
豚はわたくしの血肉になって、わたくしの命になる。
命は「奪う」のではなく「いただいている」のだった。

そう思うと気持ちが落ち着いた。だってヒトは食べなきゃ生きていけない。
そのために他の生物の命を奪ったとしても。だから感謝する。

でも、そういう風に考えない人もいる。

散弾銃所持許可をもらおうと真剣に考えてた時、友人と鹿の話になった。
猟師はその場で鹿をさばかないといけないが、
自分にはそれはできない。だから猟は無理かもと言うと、
彼女はきっぱりと言った。

「あたし、お肉は食べるだけでいいのよね。
だから、鹿を撃ったり解体したりするのは、あたしの仕事じゃない。
その工程は知らなくていいし見なくていい。誰かがやってくれればいい。
あたしはお肉をおいしく食べられればじゅうぶん。そうじゃない?」

う。

そうかなあ。自分はそうじゃない。でもそういう人もいるのだ。
某D社にも、豚肉を買いづらくなるから豚の写真を掲載しないでと言う人がいた。
パックに入ったスライスされたものはいいけど、
生きてる家畜を見ると食べられなくなるからイヤだと言う。

わたくしにはその感覚がわからない。
自分の食べるものがどんなものか、ちゃんと知っておきたい。
命を奪って生きている自分をきちんと見つめたい。

誰かが自分のかわりに家畜を育て食べものにしてくれている。
そのことをいつも忘れないでいたい。

なんて思ってても、自分で獲ってさばいて食べられるものって考えたら、
ヒヨドリやムクドリなんてすばやくてとっても無理そうだし、
せいぜいイワシ・アジがいいところだ。アジだって無理かもしれない。
ひょっとしたらサザエなんかの貝類しか獲れないかもしれない。

こういうの、人間として脆弱なんじゃないのかな。

いつの日か、鶏くらいビシッと絞めて、
平気な顔でカレーでも作りたいわたくしである。


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No title

現在では「鶏数寄」って呼ばれてますけど
「すき焼き」って、本来jは「鶏」でやった料理なんですね。

お客さんが来ると、近所の養鶏場で一羽潰してもらって
「玉ひも」とか「玉道」「ズリ」等など内臓も全部入れて煮て
生卵に付けていただきます。(美味いもんですよね)

子供の頃、お遣いで行ったりしてましたから
潰すのも、よく見てましたが
そういうのを見て「美味そう」と思う人と
「残酷」って思う人で、その後の食生活に
大きな差が出るみたいですね。

もちろん、僕は「舌舐めずり」する方でしたけどね(笑)
ほんたべさんは、いかがだったでしょうか?
いや、聴くまでもありませんよね(苦笑)

Re: No title

癌ダムさん こんにちは。

> 現在では「鶏数寄」って呼ばれてますけど
> 「すき焼き」って、本来jは「鶏」でやった料理なんですね。

おお、そうだったのですか。

> お客さんが来ると、近所の養鶏場で一羽潰してもらって
> 「玉ひも」とか「玉道」「ズリ」等など内臓も全部入れて煮て
> 生卵に付けていただきます。(美味いもんですよね)


うう。私は実は内臓肉苦手です。
ニオイのあるものはすべて苦手です。
解体は平気なんですが。

なので鹿も年食ってるヤツは苦手なのです。
味覚がおこちゃまなのでしょうねえ・・・。


> そういうのを見て「美味そう」と思う人と
> 「残酷」って思う人で、その後の食生活に
> 大きな差が出るみたいですね。
>

いやー、私は鶏をつぶすのはいまだに見たこと無いんです。
小鳥やカモの内臓出すのは見たことあるんですけど、
もうすでに死んでました。

子供のころ見てたらどう思ったかなあ。
ビビったような気がします。
大人になって、好奇心のカタマリになってから、
いきなり大動物を見たのが良かったのかもしれませんねえ。

今では電線に止まってるスズメやムクドリ見て、
あれ、どうやったら獲れるんだろうなあとかぼんやり考えてる自分に気づいて
「うへえ」と思う事がありますけど(笑)
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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