有機野菜・有機農業は危険だという人たち

IMG_6637_20121222173125.jpg
海外から輸入した穀物。牛豚鶏が食べて肉や牛乳や卵になるのはいいけど
当然排泄物もたまって行くわけで。それは産業廃棄物だから畜産農家は困るわけで。
んで農業への有効活用をしてるんだけど、それが危険って言われるわけで。
どうしたらいいのよう。



先日農薬メーカーの顧問の科学者のおじさまと話してたら、
「有機ってのは本当は危険なのですよ」とおっしゃった。

おおっ? なんだなんだ! 何が危険なのかしら?
「硝酸態窒素」かな? 「寄生虫」かな?
わくわくしておじさまの次の言葉を待ったわたくし。

おじさまは「O157にね、感染する可能性があるからですよ」と
大変目新しいことをおっしゃった。おおお、さすが科学者だ。

O157とは腸管出血性大腸菌の代表的な細菌であり、
家畜などの糞便中にときどき見られ、糞便や糞便で汚染された水、
食物を介して、人の口に入りO157感染症を起こす、
場合によっては死んでしまうかなり怖い大腸菌である。

牛フン堆肥などを使った有機農業は、
畑にO157の菌をばらまいているようなものであり、
それがついた野菜を食べると感染して恐ろしいことになると
おじさまは言うのだった。

たしかに牛フン堆肥を使ってる農家はいるけど、
有機農家が全員必ず牛フン堆肥を使うわけではない。
それにさあ、よく洗えば取れるでしょ?
野菜洗わずに食べる人いないよね。もしかしているのかな。

そのへん突っ込もうと思ったら突っ込めたのだが、
そのようなことは言わず、にこにこと相づちを打ったわたくし。

大人になったものよのう。いやはや。

gazou 130
ほんたべ農園の菜っ葉はうす~い緑色。チッソが不足しております。
でもアブラナ科ってチッソが少なくてもちゃんと生育してくれるから好き。
そもそもアブラナ科ににそんなにチッソたくさんいらないんだよねえ。



さてこのような有機野菜が危険だという話が
時折週刊誌などに載ることがある。
一番新しい危険ネタが、どうもこのO157なのだった。
以前は硝酸態窒素だった。

硝酸態窒素が危険だ!という根拠は、有機質肥料(主に鶏糞)を
大量に畑に投入した有機野菜は、硝酸態窒素の残留値が高いから、
人間にも危険だし、地下水を汚染して環境にも良くないというものであった。

確かに鶏糞堆肥を大量に投入し、
チッソ分が多すぎて虫に食われまくった野菜を、
「有機だからしょうがない」ってのはわたくしは違うと思う。

きちんと土壌分析診断もせずチッソが多いか少ないかも見ず、
カルシウム過剰の畑にアンモニア発酵した肥料を大量に入れてりゃ
硝酸態窒素の多い野菜ができるだろう。

でもさ、化学肥料の場合でも同じなわけ。
入れ過ぎりゃ、なんでも同じなのである。

有機農家でも土壌分析して施肥設計してる人はいるし、
土づくりがちゃんとできてて土壌バランスが整ってきて、
肥料を入れなくても野菜ができるようになってる人だっている。
有機農家が全員鶏糞堆肥を入れてるってわけでもない。

それに硝酸態窒素が問題になるのは菜っ葉だけ。

gazou s038
菜っ葉の旬は冬である。有機だろうが慣行栽培だろうが、
どんな菜っ葉も甘くておいしいのは冬である。夏の菜っ葉は急激に肥料を吸って
ぐわっと成長するので硝酸態窒素の残留値が高くおいしくない。
だからさあ、ムリして夏に菜っ葉食べなくてもいいのになと思うわたくし。



植物は葉っぱでチッソ分を使って光合成し、でんぷんを作りだすので、
光合成がじゅうぶんにできない場合、また吸収したチッソが多い場合、
硝酸態窒素の残留値が高くなる。葉っぱにね。つまり菜っ葉だ。

でも菜っ葉をゆでれば問題ない。ゆで汁が緑色になるし、
硝酸態窒素の残留値が高いと糖度が低いからおいしくないけど。
冷静に考えたら危険ってほどの話じゃない気がするんだよなあ。

O157も硝酸態窒素も、有機農業のある一部分だけ切り取って、
危険だ危険だと言っているのだった。

その他「農薬はこうして落とす」という特集を見かけることもある。

野菜を洗わずに食べる人はいないと思うけど、
まあだいたいは洗えば落ちる。有機許容農薬のBT剤などは
雨が降ったら落ちるし紫外線で分解されたりするへなちょこな農薬だが、
なかには有機リン系農薬のように洗っても落ちない農薬がある。

浸透移行性の高い農薬は、洗ったくらいじゃ落ちない。

その場合は皮をむけばいいんだけど、皮をむけないものもある。
そういうの、どうするんだろうなあ。
「こうして落とす」特集には浸透移行性のことは触れられていない。
ゆでればいいんだろうか。ナゾだ。

これも農薬の一部分のみ切り取って
安全だ安心だと言っているのだった。

gazou 003
トマトのように生育しながら収穫するものにはけっこう農薬かかってて、
でも皮むけないし生で食べること多いし、けっこう強い農薬使ってるし。
なんてことを知ってると、トマトは自分で作りたくなりますよ。



有機JAS認証のシールが張られた野菜は、法律で定められた通りに
きちんと栽培履歴をとって管理された圃場で採れたってことだ。
どのように作ったかちゃんとわかるってとこに優位性がある。
使える資材・農薬も限られているから、そういう意味では安全性は高い。

一般の野菜は有機野菜のように栽培履歴を追うことは難しい。
なんていう農薬をどれほど散布したか、消費者にはわからない。
ひょっとしたらまいちゃいけない農薬を使ってるかもしれない。

地域の防除暦を見るとびっくりするぐらいの散布数が書かれているが、
それが消費者に伝わることはまずない。

「有機野菜が危険だ!」も「農薬はこうして落ちる!」も
消費者がよく知らないことを前提に書かれているのだった。

日本国内の有機圃場の割合は0.2%だ(平成23年4月)。
危険だとかどうとかよりも、そもそもがほとんど増えてないのだ。
なのになぜ有機野菜は安全じゃないって言いたいのか。ナゾだ。

あっ、でもこれもしかして有機農業推進法違反になるのでは?

推進法に「有機農産物の販路拡大」って目標があるんだからさあ、
それの妨害とかでさ。

ならないかなあ・・・。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

時々訪問し、知見をいただいております。
ご存知かと思いますが、
有機野菜は、亜硝酸と体内でできたアミンが出会うと発がん性物質になる、という説というか知見と言うか、そういった意見があります。あと寄生虫が発生するとも言います。
念のために、三石巌という分子生物学の先生です。

僕個人では、科学や学問というものを信頼しておりませんから、どうでもいいことなんですが、(特に医学、精神医学はダメですね。結論が真反対という、とても学問と呼ばないような、素人と変わらないのもあります)

有機野菜の方が、やはりいいと思います。理由は極めて単純で、太古の昔から人間はそうしてきた、という事実だけです。
アレルギーなどは、本来自然淘汰されてどんどんよくなる筈ですが、それが増えるというのはどこかがおかしいからだと、考えています。原因まではもちろんわかりません。
ただ、有機野菜は僕にはちょっと経済的に手が出せないだけです。

野菜を洗わないで食べるのは、中国人ですね。理由は洗うと味が落ちるからだそうです。
自宅では、しっかり洗うでしょうけど、レストランなどでは?マークですね。(笑)冗談です。

また訪問いたします。

No title

わー切れ味のいいお話
大好きになりました。

毎日勉強に来ます
よろしくお願いします。




「伊東ファームに様こそ」におこし頂きまして
有難うございます。

Re: No title

eresさん

コメントありがとうございます。

> 有機野菜は、亜硝酸と体内でできたアミンが出会うと発がん性物質になる

それは事実で、そのもとになる物質が硝酸態窒素です。
しかし化学肥料の尿素や硫安も植物に硝酸態窒素で植物に吸収されるため、
多投すれば硝酸態窒素の残留値が高くなります。

なので有機質肥料だからどうってな話じゃないと思うんだけど、
そのあたりよくわからないです。
寄生虫については人糞を使っていなければ問題ない気がするんですが、
勉強不足でよく知りません。
とりあえず、人糞を使う方が手間かかるので、有機農家で人糞使う人いないと思います。


> 有機野菜の方が、やはりいいと思います。理由は極めて単純で、太古の昔から人間はそうしてきた、という事実だけです。

化学肥料が登場したのは戦後ですもんね。
ものすごいもんができた!と当時皆思ったって言ってます。
使い始めて3年位たって、見たこともない病気が出始めたって言います。
それが稲のイモチ病だそうです。


> 自宅では、しっかり洗うでしょうけど、レストランなどでは?マークですね。(笑)冗談です。


料理人の人、けっこう洗ってませんよね。
近所のラーメン屋さん、洗ってません(笑)

またいらしてくださいませ~。

Re: No title

伊東ファームさん

このたびは、ご訪問、コメント、ありがとうございます。
またいらしてくださいね~。

No title

自分は有機農法がいいだとか悪いだとかよくわかりませんが 作物をつくってくれるだけで ありがたいと感じます
人間の基本は食べることです
明日食べるものがなければ 何でも食べますよね
江戸時代の飢饉のときは犬や人間も食べられたと聞きました
今は平和ボケな世の中です
いずれ食べ物が手に入りにくくなる時期が くると思います
そうなったときに 文句をいっているひとたちは 何も食べずに餓死を選ぶのなら 自分は何もいいませんが 自分で 耕してつくってみろと言いたいですね
確かに自分の住む北海道では 堆肥を生のまま巻いている農家もいますので 一部地域にとっては こういう問題はでてくるのかとおもいます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR