巨峰畑で新発見―巨峰収穫体験記

gazou 023
「うまいっ!」食べたとたんに叫んだ参加者、瑞季ちゃんが感想を送ってくれました。
「ブドウすごくおいしかったです。丹沢さんの携帯の着信音が天津木村でかなり嬉しかったです。
一面ブドウブドウブドウブドウ…で驚きました」
…天津木村って何だろう?



9月4日、山梨市の丹澤修さんの畑で、巨峰の収穫体験をさせていただきました。

暑い日には38度にもなる甲府盆地での収穫体験。
ぶどう棚の下、日陰とはいえその暑さはいかばかりか。

「ド貧血の私は倒れてしまうに違いない」と凍らせたちっちゃい蓄冷剤を首にまき、
いざ巨峰収穫へ。

ふんわりとぬるい風の吹く巨峰畑は意外と涼しく(というか暑くなく)、
クソ暑いことで有名な甲府盆地がこの心地よさとは…びっくり。
東京の灼熱地獄は何か他の理由があるのだと感じ入った次第です。

さて、たくさんの巨峰がぶらさがる棚の下で「おいしい巨峰の見つけ方」を教わりました。

「枝の先の方になっているもの」「登熟した枝についているもの」
「粒がぎっちりと密集していないもの」。この条件を満たしているものを探します。

gazou 027
ぶどうのなってる元の枝が茶色い…これが登熟した枝。
このぶどうは粒が密集しているのでみっつの条件は満たしてないんだけど
枝先と、登熟を満たしているので、かなりおいしいはず…というぶどうでした。
でも食べ忘れた。



棚に広がる巨峰の枝を先まで辿っていくのに約2分。
途中でよくわかんなくなり、さらに登熟してる枝ってのが見つかりません。

目の前にあるみっしりと粒のついている美しい姿の巨峰に目がくらみ、
何もかもどうでもよくなり「もうどれでもいいもんね」てな感じになったあたりで
「俺が選びましょうか?」(丹澤さん)…「そうしてください」(私)

gazou 030
やっぱり園主。どれがおいしいか、どこにおいしいものがあるのかご存じです。
って当たり前か。とにかく素人では見つけられませんですよ。



「ついでにこのきれいなのも取ってみて、味比べましょうか」
目がくらんだ美しい巨峰と、粒が密集していないもの、ふたつ食べ比べてみました。

「おおお…! 本当に味が違う!」

おそらくそれだけ食べてれば「美しい形のおいしい巨峰」なのでしょうが、
密集していないものと比べると、姿形の美しさとは裏腹に意外に味が乗っていないのでした。

うーん、でもお店でどちらを選ぶかと言われたら、絶対にこの美しい姿のもの。
本当においしいものは、作ってる現場で食べないと食べられないんだわ…。

今さらながら、しみじみとあま~い巨峰を食べながら感じたのでした。

gazou 019
「こうあるべきぶどうの姿」という私のツボにはまった巨峰。
粒のそろい方といい、房の形といい、官能的なぶどうです。でも味を比べると何かが足りないのでした。
美しさと味の良さは正比例しないのですね。そう言えば他の果物でもそういうの多いかも。



さて、丹澤さんの今年の農薬散布回数は11回。(慣行栽培は23回)
殺菌剤は有機許容農薬でもあるボルドー液がほとんど。

今年は雨が少ないのに全般的に病気の発生が多く、晩腐病やベト病などが見られました。
山梨県では、ベト病に弱い「かいじ」が全滅している園もあるそうです。

「感染時期と病気の発生時期は違うんで、発生しちゃったらもうダメなんですよね」

晩腐病は、低農薬栽培を目指すぶどう農家にとっては悩みの種。
感染時期は6月下旬ごろから雨によって感染します。発生時期は収穫直前です。
ぶどうから酸が抜け、糖度が上がってきたころに症状が出るので、腹立たしさもひとしおです。

一般では5月中旬と、感染時期の6月上旬によく効く殺菌剤を使います。
その農薬をあえて使わないのは、丹澤さんが農薬のことをよく知っているから。

弘前大学で農芸化学を、山梨の果樹試験場で農薬について学んだことから、
農薬については本当に詳しい丹澤さん。
回数をただ減らすだけでなく、危険性なども考慮して農薬を選択しています。

gazou 037
ベト病にかかった葉っぱ。
畑の葉っぱがかなり落ちてて、ぶどう棚の下にしては明るいのはベト病のせい。

gazou 040
果実に出たベト病の症状。しなびた果実は食べられなくはないけど
食べたら苦いそうですよ。食べない方がいいと思うけど。

gazou 042
見ただけで不愉快な晩腐病にかかった果実。大発生時には全滅します。


そして今年。ぶどうにはベト病などの病気が発生。
さらにメインの作物であるネクタリンは半分くらいしか商品になりませんでした。

「昔からある農薬は、何にでも効くんですよね。それをまいときゃ病気は出ないってのがある。
で、そういう農薬は安いんで、経費もそんなにかからないんです。
だけどそれはまけない。残留性も高いし毒性も強いから、使いたくない。
で、病気が出ちゃった。

来年は初期に少し強めの農薬を入れようかと思ってるんですよね。
それを一回入れるとたぶん今年みたいには病気は出なくなる。

でもどうかなあ…それでいいのかな。でも待ってくれてるお客さんがいるし。
注文もらって出荷できないのでは申し訳ないし…」

低農薬栽培を実践する農家ならではの悩み…低農薬栽培というのは農家の思想です。
でも現実的には収入にも関わるのですから、難しい話です。

gazou 032
種ありならではの食べた後の軸。これがしっかりと種と軸をつないでいます。
あえて種ありぶどうを作るという、種なしぶどう全盛の時代に逆行するのも農家の思想。
おいしいもの・安全なものを作りたいという気持ちをちゃんと伝えたいと思うです。




環境負荷の少ないもの、毒性の低いもの、選択性のあるもの、
そんな農薬は最近開発されたものが多く、お値段も高いのが特徴です。

「まいときゃ出ない」式の昔の農薬はどんな虫や病気にも効き、
残効が高く、さらにお安く、農薬の散布数を減らすことが容易いもの。

何年か前大騒ぎになった「ダイホルタン」という失効農薬は、
6月に一回まくとその後の殺菌剤は全く必要なかったと言います。
どころか、収穫時にも肌の弱い人はかぶれてしまうほど、残効が高かったそう。

残留農薬の数値はいかばかりだったか…恐ろしい話です。

gazou 020
雨よけのビニールのない露地栽培では、ぶどうに傘をかけて雨をよけます。
ぶどうは乾燥した土地の出身。高温多湿の日本では病原菌の感染が容易いため、雨よけをします。
ぶどうの露地栽培ってのは難しいんですよね。



農薬の散布数をただ減らすだけではなく、その質をも考えて果樹栽培するには
虫や病気の発生時期やその性質を知り、自分の畑ではいつ頃出てくるかという観察力、
またそれぞれの農薬の特性を知ることなどが必要です。

そんなにしても収量が追いつかないときはどうしたらいいんでしょう。

丹澤さんに選んでもらった甘くておいしい種あり巨峰を食べながら、
果樹栽培の難しさを考えてしまった収穫体験でした。


丹澤さんの巨峰が食べたい方は、9月11日までならご注文可能だそうです。
osamu-tan□fruits.jp ※□を@に変更してメールを送ってください。
2kg箱 3,500円(送料込)



★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

ほんたべさん、こんばんわ。瑞季ちゃんの笑顔がすばらしいですね♪

写真で見るかぎり、美味しそうに見えるのですが・・・やはり違うのですね。

ぶどうのもぎ取りは体験したことがないのですが、とても面白そうだなぁと思いました。

Re: No title

駆動さん

こんばんは。

ぶどうのもぎ取り、私も初体験でしたが、相当面白かったです。
園主にはおいしいものがわかるってのが、本当に不思議で不思議で。

現場に行って、初めてわかることってあるんですね~。
主催者が楽しんでちゃいけないんでしょうが、楽しかったです♪
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR