収穫間際に落っこちる「つがる」というりんご

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9月9日の店頭で見つけたつがる。緑色の部分が多くてびっくり。
「柔らかくなりやすいので注意」と注意書きがついていました。
お店もわかっているのですねえ。



早生りんごが店頭に並んでいます。

この時期のりんごはあっさりさっぱり味が多いですね。
そのあっさり味の代表格が「つがる」。

その名のとおり青森県で品種登録された「つがる」は、ゴールデンデリシャスと紅玉のこどもです。

ちなみにゴールデンは昨今出回っているほとんどのりんごの親になります。
栽培している人はもうほとんどいないゴールデンデリシャス、
子どもたちが大きく羽ばたいているといったところでしょうか。

つがるは酸味がなく色づきもそんなによくないのですが、最近では着色系のつがるが出てきて、
色のまわったきれいなつがるを見るようになりました。

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9月5日に撮影した「さんさ」。真っ赤なかわいらしい色合いのりんごです。
(まだちょっと早い感じ。ピンクが強くなったような、かわい~い赤が特徴です)
柔らかくなりやすいつがるの代わりに、このりんごを栽培する人が増えてきました。
でも作るのが難しいみたい。土地によって樹勢が弱くなる場合があるようです。




さて、つがるというりんごは、収穫直前に生理落果することが知られています。
(食べる人にはほとんど知られていませんけど)
落果対策として、8月に落果防止剤(ホルモン剤)を散布します。
これにより、つがるは落っこちるりんごではなくなりました。

このホルモン剤を散布しないと、8月下旬にぼとぼと落ちるため、
つがるを作っている人は必ず8月にホルモン剤を散布しています。

しかしこの「つがる」。最近いろいろと困ったことが出てきました。
暑さのため、着色しないのです。

何年か前からこの傾向が見受けられるようになり、
赤く色づいて見た目が良くなってくると、内部はもう柔らかくなっていることが多くなりました。

「また内部先行しちゃってるみたいよ。つがるを作ってる人は大変だわ」
りんご産地でここ何年かよく聞く言葉です。

RIMG0062.jpg
「わっ!何この色、このりんご!」と驚かれることの多い「秋映」。
9月下旬から店頭に出てきますが、売られているのはサワヤカな赤色をしていると思います。
本当に熟すまで樹においとくとこんな色になるんですね~、初めて見たときはびっくりしました。
パリパリした食感で酸味と甘みのメリハリがはっきりした秋映、最近注目され増えてきています。
このりんごから「中生種」になるんじゃないかなあ。




りんごは収穫後の持ちの良い品種と、そうではない品種があります。
早生りんごほど保存が効かない傾向があり、つがるもそんなに持たないりんごです。

冷蔵庫にラップでぴっちりくるんで保存すれば2週間ほどはおいしく食べられます。
しかし内部先行というのは、収穫時にすでに柔らかくなってしまっていること。
収穫時に柔らかくなってしまっていると、保存性が悪くなり味も落ちます。

その結果、お尻がまだ青いような状態で早採りすることが多くなりました。

スーパーで見かける「つがる」の下半身が緑色なのはこのせい。
完熟直前のりんごは色が全体的に回り、お尻の部分の青みが抜けてきます。
こうなって始めて、その品種の味が出てくるものなのですが、
暑さのせいで、色が回るまで樹につけておくことができなくなってきたのです。

道の駅などで格安で売られているお尻が緑色のつがるも、チョー早採りされたもの。
「りんごの味がするんかな? でも売れてるみたいだから、まあいっか」と思ったりして。

IMG_0360.jpg
「大きいことはいいことだ!」だった日本のりんご界。
しかし消費者の果物離れが進み、昨今では「丸かじりりんご」の登場が待ち望まれています。
大きく作って正しい味なのですから、急に小さく作ってと言われても困るわけで…。
その要望にこたえた新品種「シナノピッコロ」。かわいいですねえ。




10年ほど前は、長野県では9月上旬に収穫するりんごだった「つがる」ですが、
最近では8月下旬には収穫し、店頭に出回るようになりました。

そんなに早くては着色もままならないため、着色を促進させるアミノ酸資材などを散布し、
色をつけるなどの技術も開発されているようです。
(昔は人工着色などもやってたみたいですけど、今もやってるのかなあ?)

果物というのはおおむね早出しにはいい値がつきますから、
基本的には早く出荷したいものなのです。
しかし早採りは味が乗っていませんから評判が悪くなり、その品種が売れなくなることもあります。

りんごは色合いである程度熟度がわかるため、着色していることが前提なのですが、
最近のつがるはお尻の青いものが正々堂々と売られているのを見かけることが多くなりました。

産地では「色がつかないから、もうこれで良し」と判断しているのでしょう。
大変なことが起きているんじゃないかと思ったりします。

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今年の暑さで日焼けしたつがる。まだそれほどでもない軽度の日焼けです。
通常は色を回すために葉っぱを摘みますが、葉摘みをしちゃうと日焼けで商品にならなくなるので、
今年はほとんど葉摘みをしなかったそうです。
この日焼け果は、日焼けした部分から傷んだり、内部に蜜みたいなものができたりします。
もちろん商品にはならないです(このりんごにネットがかかっている理由は次回)。




科学的な根拠はないのですが、つがるを作っている人に聞くと
ホルモン剤を散布すると柔らかくなるのが早く、内部先行しやすい気がすると言います。

ホルモン剤を全く散布しないで作るとバンバン落っこちます。
だから落っこちる前に早採りしなくてはなりません。
それはそれで味が乗っていないので、どちらがおいしいかと言われると微妙なところなんですけど。


今、東京でつがるを食べている人は、つがるの本当の味を知らないかもしれません。

まだでんぷんが糖化していない粉っぽい味のりんご。
つがるはそんな味のりんごと思われているのかもしれませんね。

ちゃんとしてればおいしいのに。かわいそうなつがる。

しかしおそらくこれからも、状況が改善することはないでしょう。
日本が寒くなったり、ホルモン剤を使わない栽培が主流になることはないからです。

しかししかし。
そんななか、ものすごく手間をかけ、落下防止剤を使わずにつがるを作ってる人がいるのです!

その人のご紹介は次回また。
(すみません。長くなっちゃったので)


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はじめまして

ほんたべさんはじめまして
時々拝見させて戴いておりますが、素晴らしいブログです。
時には鋭い問題指摘、生産者の裏事情などなど、とても興味深く読ませて戴いております。
私も代々の米生産兼業農家で、趣味で果樹の減農薬栽培を試みております。
これからも楽しみに拝見さてせ戴きます。

Re: はじめまして

桃太郎さん

ご訪問ありがとうございます。
おほめの言葉、光栄です。

今年のお米はどうでした?
お米のことも、いつか書きたいと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。

サン津軽のサンって?

こんにちは。
粉っぽいリンゴというのは、でんぷんが糖化してない
という事だったんですね。(勉強になります)

サンつがるは、手ごろなので、よく使っていますが
ゴールデンデリシャスと紅玉の掛け合わせだったんですね。
言われてみれば、そんな風味かな?
どちらも大好きなリンゴだったので、妙に納得しています。

ところで、「サンつがる」の「サン」ってなんなのでしょう?
ご存知でしたらお教えください。
妙に気になってしまって、
まぁ夜も寝られないほどではありませんが…(苦笑)

Re: サン津軽のサンって?

癌ダムさん

こんばんは。

「サン」の意味はおひさまという意味で、袋をかけずに栽培したりんごのことです。
「サンつがる」の他に「サンふじ」とか「サンむつ」とかもあります。
昔、りんごは梨のように袋をかけて栽培していたそうです。

長野なんかでは、最近有袋のりんごを作ってる人の方が少ない気がするけど、
袋には害虫の防除と、着色・熟度管理のふたつの役割があります。

ちなみに、無農薬りんごで有名な青森の木村さんは有袋ですね。
青森のりんごは有袋が多いです。

これはおそらく地域的な特徴で、翌年の夏くらいまで貯蔵する目的もある青森りんごは、
りんごが完熟しないよう、袋で熟度・着色管理を行っているのだと思います。
(もちろん完熟で販売するための無袋栽培のものもあります)

有袋のりんごは無袋のものに比べて糖度が2~3度低いそうですから、
熟度もそんなに上がりません。
袋を取るとまっしろです。

なので、収穫前に除袋し日焼けさせて色をつけます。
これで、内部がまだ充実していなくても着色します。
チョー早採りのりんごにおいしそうな色をつけ、貯蔵するってわけですね。

完熟りんごは貯蔵が効かずボケてしまうので、すぐ売るりんごは完熟、貯蔵は有袋と住み分けされてます。

10月後半に出てくるピンク色の「むつ」はもともとは黄色いりんごのところ、
有袋にして日焼けさせ、ミョーなピンク色になります。

なんでそんなことをしているのかは不明です。やっぱ貯蔵性かなあ。
黄色いりんごに人気がなかったせいかもしれません。

だから、「サンむつ」は黄色いりんご。
黄色いむつとピンク色のむつが同時期に売られますから、11月ごろ、店頭で注目してみてください。

このような有袋りんごと差別化するため、無袋栽培のりんごにわざわざ「サン」とつけてます。
お店で売ってるものは「サン」がついてる方がおいしいと思います。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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