森のそばに住んでいる魔女が作るジャムの話

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ジャムのなかでも桃のジャムってのはなにか特別な食べものって気がする。
生で食べてもおいしいのに、それがジャムになってるなんて! ってな感じ?
ともあれ、魔女の作る桃ジャムは、かなーり特別な一品ですよ



20代のころ、ずっと思い描いていた夢があった。
某D社に入社したのは、実はこの夢を実現するのが目的であった。

入社したら仕事が楽しくなってたちまち忘れ、
飲んだくれて腹周りの脂肪とともにいろんな知恵がつき
そんな夢があったことすら忘れていた。

小さな森の近くに家を建て、5畝くらいの小さな畑で
自分の食べるものを作り、畑の周りにりんごと梅と杏とゆずの樹を植え、
鶏と山羊を飼って暮らすという、ふわふわした夢。

山羊乳が飲めないことがわかったから山羊は飼わないとか
杏とゆずは同じ場所で栽培できるのかとか授粉樹がどうとか
米の自給はどうしようとかご近所づきあいとか、
知恵がついてきたらできることできないことがわかってきて、
なんとなくもうふんわりとした夢ではなくなってしまった。

夢は夢だからいいのかもなとか思う大人のわたくしである。

しかしこの暮らしを実践している人がいる。
錦町で桃を栽培している錦自然農園の内布さんちに行って来た。

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普通の鍋じゃなくて熱伝導率の高い銅のお鍋でジャムづくり。
ジャムを作っている間に癒されてるというえみこさん。
やっぱなにかの魔法がかかってるのでは?と思ってしまうなあ。



内布とものりさんとえみこさんご夫婦は、
いちごと桃、ぶどうと柿を低農薬で栽培している。
わたくしのブログでもご紹介している道法正徳さんの切り上げ剪定を
落葉果樹で実践し、無農薬無肥料栽培を目指している。

切り上げ剪定を始めて3年目に入り、桃の樹も味も
以前とは全然違うものになったとえみこさんは言う。
果樹類は何かを始めると、変わるまでに3年かかる。
というか、3年経たないとそれ以前の影響がなくならないと言ってもいい。

桃の味が変わり、畑の様子も変わる、それが実感できるのに3年。
果樹栽培とは気が長くないとできないものなのである。

そしてその実感が得られているのは素晴らしいことなのである。
この後は変わっていくだけだ。変えたことが全部実になる。
この先には楽しみしかないんだろうなと思う。

さて、えみこさんは、商品にならないいちごや桃、
近隣の森で採れたベリーでジャムを作る。
商品にならない柿で酢を作る。味噌や麹も自分で作る。
それらは時折えみこさんが主に書いているブログで紹介されている。

えみこさんが作るジャムの加工場は、とものりさんが自分で建てた。

どころかとものりさんの両親と4人で住んでいる家も自分で建てている。
2階部分はまだ未完成だが、ゆっくりと完成に向かっている。
とくに焦っていないようだ。できるときにやっているのだろう。

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内布ご夫妻。後ろに写っているおうちがとものりさん手づくりの家。
なんだか風がすうすう通る気持ちのよい家でしたよ。

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えみこさんのジャムその他手づくり農産加工品の加工場。
これをサクサク作ってしまうとものりさんがスゴイ。

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ばんごはんにいただいたのは落ち鮎。おなかにパンパンに卵が詰まってます。
東京で買ったらチョー高級品。お客様が来ると言ったら、ご近所の方が
「これ食べたら?」と持ってきてくださったとか。なんと豊かな暮らしなのだ。
鮎だーいすきなわたくしとしては、うらやましい限りでございます。



家のそばには川が流れ、
ただごとならぬ雰囲気を醸し出している森がある。

東北や九州にはそういう森や山がときおりあるけど、
まさにその「なにか」人智の及ばないものがいる森が
彼女に季節ごとの恵みを与えてくれる。

竹の子やその他の山菜、木いちごを採り、隣人からは
鹿やイノシシの肉、川で捕れた魚のおすそわけがある。
「お金にそんなに頓着しなくても、食べるものはたくさんあるから」
えみこさんは笑う。

大雨の後、桃に病気が出てほとんどダメになったり、
予定通りに出荷できなかったり、
果樹を栽培していればいろんなことがある。

でもなんとかなるよねと思えるのは、
日々、自分の周りのものでまかなうことができる暮らし、
必要以上のものを持たなくても、そこにあるもので
じゅうぶんに幸せな暮らしができるからだと思う。

あれー? これ、わたくしの夢だったんじゃないの?

熊本から東京に帰り、お二人をどう紹介しようかなと考えていて、
ふと気づいた。わたくしは全く気づかず、
自分が夢見ていた暮らしを実現している人に会っていたのだった。

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カッテージチーズやクリームチーズとの相性も抜群の桃ジャム。
ふわふわパンじゃちょっと物足りない。やっぱどっしりした全粒粉パンだよね。
桃ジャムのパワーを受け止めて、さらにおいしくしてくれるのは。



「西の魔女が死んだ」という映画がある。

えみこさんは東京で働いている時、
この主人公の祖母に似ていると言われていたそうだ。

今、彼女はその「西の魔女」に似た暮らしをしている。
彼女自身が西の魔女になってしまったかのようだ。

えみこさんの作る桃やきいちごのジャムにはきっと
魔女の魔法がかかっているだろう。

少しパワーが欲しい時、えみこさんのジャムを食べる。

ジャムには森の原始的で濃密な力、えみこさんの周りに集まっている
「なにかいいもの」が詰まっている。からだのなかにそれが入って来る。

食べて元気になるくだもの、手づくりのジャムやお酢。いいなあ。

自然の風ではなく、エアコンの風を全身に受けて
PCの前に座ってバチバチキーボード叩いてる自分としては、
そういうものを作ることができるえみこさんがうらやましいのである。

魔女の作る桃ジャムはこちらから
http://www.fruitshop.jp/SHOP/c-momo.html

momojam_1.jpg

錦自然農園のブログ「おいしい果実ができるまで」
http://nishikifruits.blog16.fc2.com/


追記・オズの国の西の魔女は実は悪い魔女。
あの映画、なぜサチ・パーカーはいい魔女グリンダではなく
西の魔女なのだろうか。ずっと疑問に思っているのだが、
どこを見てもその理由は書いてない。オズは関係ないのかしら。
※桃ジャムなどの写真はえみこさんに提供していただきました。


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No title

こんにちは。

美味しそうな記事だなぁ~と家内に見せたら
黙って、お宅(コープ自然派)の「白桃ジャム」が出て来ました。
3㎜角くらいの桃が原型のままジャムになっています。

全粒粉のパンに、ヨーグルトディップ…にもよく合いましたよ。
季節限定の商品ですが、美味しいですよね。

家内に聞くと、かき氷に入れて
孫と一緒に「食べる」…のだそうです。

悔しいので、ぼくは
「鶏もものモモ焼き」でも作ってやろうかと思っています。

Re: No title

癌ダムさん、こんばんは。


> 3㎜角くらいの桃が原型のままジャムになっています。


おお、それはうまそうですね。
でも某D社の商品ではないと思います。

某D社の桃産地、加工品にするとべらぼうな価格になるため、
桃ジャムなど製品化できないのでございます。
いいなあ。コープ自然派。


> 悔しいので、ぼくは
> 「鶏もものモモ焼き」でも作ってやろうかと思っています。

それはうまそうですね~。

先日すももジャムを大量につくったのですが、
それと豚がとってもあいそうなので、
すももジャムのために塩豚を作ろうかと思っております。

うう、はやく某D社の注文書に豚ブロックが載らないかな~。

No title

こんばんは。
無粋を承知で2度目のコメントです。

塩豚の作り方ですが、どんなふうに作られていますか?
僕の記事「ベーコンの漬けこみ方」で
燻製せずに、塩抜きしても、美味しく出来ますが
(スパイスの選択などは、使用せずを含めてご自由に)

この方のブログが、僕の考え方と非常に近いので
ご参考までに、ご一読ください。
http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/200602060000/

専売公社の精製塩は塩ではなく化学物質でむしろ毒
塩加減は目分量で、ちょっと食べてみて加減する…
たぶん、ほんたべさんにも「共感」いただけると信じます(笑)

Re: No title

癌ダムさん、こんばんはー。

> この方のブログが、僕の考え方と非常に近いので
> ご参考までに、ご一読ください。
> http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/200602060000/

だいたいこの作り方と似ていますが、塩の分量がちょっと多いかな。

塩はシママースが好きでシママース使ってます。
昔は海の精使ってたのですが、しょっぱくて。
シママースってしみじみおいしいですよね。再ナントカ塩ですが、気に入ってます。

来週の金曜日届くので、作るのは再来週かな~。
ゆでずに蒸して食べる予定です。

情報ありがとうございました~。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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