日本モンサント社の圃場見学に行ってきた。

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隔離圃場だからネットが張ってあるのかと思ったら、単に風よけであった。
平地だから風が強いのかなあ。圃場には殺虫性トウモロコシと除草剤耐性大豆が
NON‐GMOのものと対比させて栽培されておりましたよ。

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除草剤を散布された除草剤耐性大豆。当たり前だけど枯れてません。
ラウンドアップを散布後のNON‐GMO大豆は見事に枯れていました。



除草剤耐性大豆とか、殺虫性トウモロコシとか知識はあれど、
それらが実際にどんな作物なのか見たことがなかったわたくし。

日本で実験栽培をされてるところを知らないので、
見たいと思ってもなかなか見られないのだった。

そうしたら、日本モンサント社が、毎年夏に
圃場見学会を開催していると言うじゃありませんか!
おお、これは行かなくては! ってことで行ってきたです。

日本モンサント社の公開されている隔離圃場は茨城県にある。

「隔離圃場」と名前がついているけど、ハウスなどの閉鎖系ではなく、
単に法律上定められている名称「隔離圃場」ってことなので要注意だ。
圃場自体は開放形で、圃場周りをフェンスで囲ってある。

そして、「ここから先は隔離圃場ですよ!」とわかるよう
看板をつけなくてはならない。これで「隔離圃場完成」である。
(おそらく手洗とか足洗とかその他細かいことが決まってると思うけど)

このへん、有機圃場の定義にちょっと似ているね。
「ここは違うんだからね!」と皆にわかるようにしておくことが必要なのだ。

実際には申請書を提出し、「日本で栽培してもいいですよ」と
許可が出たものを栽培しているのだから栽培が問題なわけではない。
ただ、近隣農家および住民のご理解を得なくてはならない。

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GM大豆の花。別にフツーの大豆と全然変わらないのでした。
当たり前だっつの。

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GM大豆のさや。別にフツーの大豆と全然変わらないのでした。
何を期待していたんだ、自分。って感じ。くくくくく。



茨城県では2003年に「除草剤耐性大豆すき込み事件」が起きた。

除草剤耐性大豆を栽培していた実験圃場の大豆に(モンサント社のじゃないよ)、
花がついてるのを見つけた農家がトラクターを持ってきてすきこんじゃったのだ。

農業新聞などで大きく報じられたが、刑事事件にはならなかったらしい。

一般人はほとんど知らないこの事件。これ以降、GM作物を栽培する際に、
近隣住民へ配慮し、了解を得ること等の行政指導の原因になった。

この話を聞いたとき、GM作物に対する農家の恐怖をまざまざと感じたわたくし。
実力行使に出るなんてすごいよなあ。

花粉が飛んで、交配したらどうしようという危機感だったのだろう。
実際は大豆は自家受粉で虫媒花する作物なので、遠くまで花粉が飛ぶことはない。

てなこともあり、隔離圃場内で栽培されている殺虫性トウモロコシは
雄花が切り取ってある。近隣住民へのご配慮はきちんとされているのだった。

圃場見学の前には座学があり、GM作物の基礎的な知識を
あれこれと説明していただく。知ってることが多かったが、
今年乾燥耐性トウモロコシが商品化されたと聞き、大変驚いた。

あれれ? まだ商品化されてなかったんだ。
とっくにできてると思ってたわたくし。

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雄花が全てカットされているのは、トウモロコシの花粉が飛散しないため。
トウモロコシは風媒花で他家受粉するため花粉がやたらと飛ぶ。
その距離は何百メートルにもなるため、農水省では600mと指針が決まっていて、
GMトウモロコシを栽培する際にはその距離を加味するよう定められてるらしい。

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茨城県でフツーに売られているデントコーンの穂。
GMコーンは雄花がないんだから受粉はこのNON‐GMOコーンの花粉?
聞きそびれちゃった。



昨今のトウモロコシの高騰の原因は、アメリカのかんばつである。
乾燥に耐性があるトウモロコシができれば、
天候に左右されないで収量が上げられるため、みんながうれしい。

収量を聞いて驚愕したが、反当たり収量に直すと、
GMコーンは一反162リットルである(元の単位がブッシェルなので)。
ちょっと違うけど162kgだと思うと、もう、驚きの収量である。

これで反当たりの収入を計算すると、一反22000円である。
えええええええーーーーーーーーーー。
日本の米でも1反13万弱は稼げるのに、この価格、マジですか?
(13,000円9俵で計算しましたです)

それがNON‐GMOコーンだともっと少なくなる。
NON‐GMOというプレミアをつけても1反18000円。
これではNON‐GMOコーンを作りたくなくなるよね。確かに。
GMコーンの作付けが伸びるわけである。

さて、トウモロコシ価格が高騰すると、日本の食べもの、とくに畜産物の
価格に影響する。トウモロコシは主たる飼料だからである。
飼料価格が上がると、卵や牛乳、お肉の価格がじりじりと上がる。

遺伝子組み換え作物を食べたくないと思っている人は多いが、
飼料に使われていることを知っている人は少ない。
食べたくないことと、肉や卵の価格が上がることとはたぶん別だ。

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参加してる人々はとくに農家とかじゃなく商社の人のようだった。
農家が一組いて、除草剤耐性稲は開発されないんですかって質問してたけど、
ニーズがあるんだなあってすこーしだけ驚いた。全然ないと思ってた。
GM稲、できたら作る人いるのかも。おおお。ちょっとだけイヤなわたくし。

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めっちゃ暑い日だったのに、熱中症には注意してくださいよう~と言いながら
本人は麦わら帽なしで説明してくださった日本モンサント社の広報の方。
暑そうだったなあ。



乾燥耐性トウモロコシができれば、価格が安定するかもしれない。

圃場見学の際に話した穀物の輸入商社の人はうれしそうであった。
中国が穀物の大量輸入国になっている昨今、
値上げのリスクはひとつでも減る方がいいからである。

そしてモンサント社では、この乾燥耐性トウモロコシを
アフリカに無償で提供するらしい。すごいじゃないか。
世界の飢餓を救う活動がこれからスタートするのかしら。
なんて思うわたくし。どうやってこの投資を回収するのだろう。

そういえば先日安倍総理が、アフリカ開発会議で農業振興への協力を宣言した。
アフリカでは今後、日本の穀物を生産することになるはずだ。

これがGMコーンやGM大豆になるってことかな? 

何年か後には、アメリカ、ブラジルに続いて、アフリカのどこかの国が、
日本におけるトウモロコシの3大輸入国になるのかもしれない。

日本の商社がGM穀物をアフリカに作付けて、
安定したトウモロコシの供給をすることになるのだろう。

開発会議の後アフリカのどこかの国のエライ人がメディアに対して
「収奪ではなく、そもそもの土地の農業や農民にプラスになるような
農業振興を行ってほしい」とおっしゃっていた。

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殺虫性トウモロコシにはさすがにアワノメイガは一匹もついてませんでした。
生食用トウモロコシがアワノメイガで商品にならなくなるのは想像できたけど、
穀物のトウモロコシは虫害跡がカビたりするというデメリットがあるらしい。
殺虫剤を散布する経費・手間よりもGMの方が安価ってことなのかなあ。



昨今では中国が急激に台頭してきたが、いまだ日本は穀物の輸入大国である。
よその国の誰かが作ったものにわたしたちの食生活が依存していることを
忘れてはいけないよね。

ただ「食べたくない」とわーわー騒ぐのはたやすい。しかし、
現実を知り、自分に何ができるのかを考える必要があるんじゃないかなあ。

そんなことを考えた、日本モンサント社の圃場見学会であった。

ていねいに教えてくださったご担当者さま、ありがとうございました。


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No title

モンサント社がこの乾性耐性コーン種子をアフリカに無償供与するとあり、後段で日本が行うと書かれていますが、わざわざ日本がこれをやるのですか?何故モンサント本社がやらないのか?ODA大国日本に肩代わりさせてGMコーンを拡大するということでしょうか?

Re: No title

佐々木さん、コメントありがとうございます。

> モンサント社がこの乾性耐性コーン種子をアフリカに無償供与するとあり、
後段で日本が行うと書かれていますが、

関連については不明です。
わたしの知っている情報は以下になります。

1.モンサント社は現在アフリカのどの国か失念しましたが、開発を援助しようとしています。
支援というのはビジネスを始めようとしている(あるいは始めている)ということです。

2.モンサント社はアフリカに対して非営利組織、アフリカ農業技術基金を通じて、
乾燥耐性GMタネを無償で提供すると言っています。
http://www.monsanto.co.jp/news/release/080402.shtml(モンサント社のリリース)

3.アフリカのどの国かははっきり調べていないのでわかりませんが、
植物の新品種の保護に関する国際条約に加入することが決まっています。
この条約は保護されている品種について農家の自家採種を禁じる条約です。
詳細はこちらを御覧ください。
http://www.hinsyu.maff.go.jp/act/upov/upov1.html

この条約(非常に不利な条約)の加入に対する議会の議決について
モンサント社のロビー活動があったのではという噂を聞きましたが、
伝聞なので真偽は不明です。

4.日本ではJICAを通じてモザンビークに対して農業開発を行っています。
先日のアフリカ開発会議でこの開発が非難されていました。

モンサント社と日本の農業支援は関わりはないと思います。

しかしアフリカでGM作物が栽培され始めたら、日本は輸入することになるでしょう。
ブラジル・アメリカからの穀物の依存を分散させる必要があるから、
アフリカを開発しようとしているのですから。

ひょっとしたらアフリカでNON-GMO作物を栽培するという選択肢もあるかもしれません。
そのあたりは今後の動向を見ていくしか無いと思います。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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