ネオニコチノイド系農薬問題について考えてみた

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天敵界のチョー有名人、ナナホシテントウくん。
セイタカアワダチソウの花粉を食べると不妊化することがわかったらしい。
畑の周りにセイタカアワダチソウが生えてる人、アブラムシ食ってくれる
テントウムシが増えません。刈り取ったほうがいいと思います。



「ネオニコチノイド系農薬を使わない病害虫防除を探るフォーラム」
第一回「農家が楽になる減農薬農業・天敵を使用したIPM」
宮崎大学農学部植物生産環境科学科 大野和朗さんの講演を聞いてきた。

大野先生の講演は「ネオニコチノイド系農薬のみを規制する理由」
というような要旨ではなく、世界一の単位面積あたり農薬使用量を誇る
日本の慣行農業の農薬量を、天敵を利用していかに減らすかというもので、
大変に興味深く勉強になりました。ご紹介は後日。

さてその前に。ネオニコチノイド系農薬問題についてちょっと考えてみた。

2006年、新聞に「蜂の大量死」という小さな記事が載った。
わたくしが認識した蜂類崩壊症候群(CCD)についての最初の記事である。

最初はアメリカで、その後ヨーロッパでもCCDが確認された。
さまざまな原因、ダニやウイルス、電磁波等々の中に、
ネオニコチノイド系農薬があった。

2008年、『悪魔の新・農薬「ネオニコチノイド」』(船瀬俊介著・三五館刊)
という本が出版された。

当時某D社にいたわたくし。
ミツバチの大量死については最初の報道から興味を持っており、
さらに、ネオニコが規制されると某D社で使える農薬が無くなることから
割合と大きな危機感を持ってすぐに読んだ。

伝聞及び根拠のない情報が多く、素人のわたくしが読んでもあれー?って内容。

船瀬俊介さんは昔、某D社で化粧品・合成洗剤問題等について
よく講演を依頼してた方だったし、お会いしたこともある。
当時のことを思い出すと、同じ人が書いたものとは思えなかった。
「これはトンデモ本なのかも?」という疑問が脳裏をよぎった。

トップページイメージ写真①
ミツバチは人間にとって非常に重要な働き(受粉)をするので、
ミツバチを守ることが大切だと言われてるけど、その他花粉を食ったり
蜜を吸ったりしてる虫はたくさんいるわけで、彼らも微妙に減ってるんだけど
話題になんないのは人間が利用しないから。あまりのエゴに頭がくらくらします。



2009年、『ハチはなぜ大量死したのか』
(ローワン・ジェイコブソン著 文芸春秋刊)が出版された。
研究者の間では「なぜ農薬に詳しい科学者を監修にしなかったのか」等と
言われているらしい。分子生物学者の福岡伸一さんが解説している。

わたくしにはCCDの原因はいくつもあって特定できないと読み取れたのだが、
なぜかこの間に「ネオニコチノイド系農薬がCCDの全ての原因」的な報道が
一部メディアなどで目につくようになった。

理由は、フランスとドイツで一時的に規制されたこともあるかもしれない。
1~2年程度で解除されたが、その情報はメディアでは取り上げられなかった。

現在はもっと大きなEUという枠組で、2013年12月1日から2年間
ネオニコチノイド系農薬の3剤が規制されることが決まっている。
(3剤=イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)
これにより「やっぱりネオニコは悪なのだ!」と言う人が増えるだろう。

でさあ。ほんとに悪なの?
その前に整理することがいくつかあると思うわたくし。
以下にそれを書いてみた。

1.規制された3剤の農薬名と効く害虫
イミダクロプリド(アドマイヤー) アブラムシ、コナジラミ、スリップス等に適用
クロチアニジン(ダントツ) アブラムシ、カメムシ、アザミウマ、ハモグリバエ等
チアメトキサム(アクタラ) アブラムシ、アザミウマ、ハモグリガ、コナカイガラムシ等

害虫名を見てもピンとこない人が多いと思うが、どいつもこいつも難防除害虫である。
とくに斑点米の原因になるカメムシ、ウイルスを媒介するアブラムシ、
菜っ葉に絵を描くハモグリバエ類など、やられたら農家はその野菜を出荷できない。
そしてこれらの害虫に効く農薬は少ない。有機許容農薬などは全然効かない。

多少の虫害があっても問題無いと考えるヨーロッパ人と違い、
日本の消費者は世界一見た目にうるさい。虫の食ってない
ピカピカの野菜や果物、まっしろなお米じゃないと売れないのだ。

この害虫の防除に何を使えばいいのかな? もしかして有機リン?

R0013017.jpg
そもそも多様性豊かな日本の生態系には土着天敵がたくさんいるらしい。
それを農薬でバンバカ殺し、結果として害虫天国になってることを農家はおろか
普及員も意識していない。でも高知県のように天敵利用で減農薬栽培に成功し、
農薬使用量が減ってる自治体がある。ってことは、普及員、及び県の問題?



2.ネオニコチノイド系農薬以外の農薬についての考察
殺虫剤として非常によく効き毒性も高くそこにいるものを絶滅させるものに
「有機リン系」「カーバメイト系」がある。これらは某D社では使用禁止だ。
なのでネオニコが規制されたら大変だ!と2008年頃のわたくしは考えたのだ。

EUでは有機リン・カーバメイト系はすでに規制されており、使用できない。
日本では多少は失効している農薬があるが、基本的には野放しである。
これを菜っ葉に使う人もいるんだからびっくりだ。なんてことを消費者は知らない。

ネオニコの前に絶滅系農薬、サリンの仲間でもある有機リン等の規制を
すべきなんじゃないかなと思っているのはわたくしだけではあるまい。

3.EUとの残留農薬基準値の比較
いろんなところで「こんなに違う!残留農薬基準値!」という比較を見かけるが、
ネオニコのADI値(一日摂取許容量)はヨーロッパ等の国とそんなに変わらない。

日本の残留農薬基準値は「この野菜を一年にこれぐらい食べるよね」という数値と、
残留農薬検査の結果の値に係数をかけて出しているらしいが、
ヨーロッパと日本では条件が違うので数値だけ比較してはいけないよね。

4.農薬の使用量が減らない理由
ほとんどの作物には生育期間中1週間に一度農薬が散布されていると思っていい。
病気や虫が出てから農薬をまいたのでは遅いから、基本的に予防防除だ。

農家が農薬をまくのは、虫一ついないピカピカのものを作らなければならないからだ。
そういう作物じゃないと市場に売れない。市場は消費者の欲しいものを仕入れる。
ということは、消費者がピカピカのものを欲するからである。

「ダントツを使わないで」と米農家に言ってみるといい。
「んじゃ、斑点米食べてくれる?」と言い返されるだろう。

IMG_7223.jpg
斑点米が増えると色彩選別機でビシバシ弾かれるので、どうかすると
収量が減っちゃう。ってことは売上が減る。だからカメムシ対策に農薬をまく。
ってことをまず理解することが大切よね。ピカピカの米はまず農薬、そして
性能のいい色彩選別機のおかげだと。



1~4はわたくしがずーっと疑問に思っていることである。
誰かに答えて欲しいけど誰も答えてくれない。騒いでる人は解決策を提示しない。

実際にはイミダクロプリド等にはすでに抵抗性がついた虫が増えており、
昨今では他の農薬を使わざるを得ない状況になりつつある。
農薬と抵抗性害虫のおっかけっこは永遠に続く。新薬は続々と出る。

EUもアメリカも農薬の散布量は日本ほど多くない。
栽培期間中ずーっと1週間に一度農薬をまく国など
日本と韓国、中国くらいであろう。でもそれを消費者は知らない。
知らないんだけど、ネオニコのことだけ取り上げて問題にしている。

問題はネオニコだけではない。農薬の散布量を減らすことだ。
そのためにまずしなくてはならないことは、消費者への啓蒙である。

お茶碗のごはんに斑点米が二粒程度入ってたり、
ナスに少し傷がついててもいいと、消費者がまず受け入れることだ。
この野菜には週一回農薬がまかれていて、最低でも10回はかかってる。
そう思いながらスーパーで野菜を買うことだ。

それがあって初めて、有機リンやカーバメイト系、そしてネオニコも含めて、
農薬の使用量や減農薬栽培について考えることが可能になると思うんだが、
いかがでしょうか? 


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Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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