鳥取の「小豆雑煮」は「ぜんざい」でも「汁粉」でもないという主張

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厳密に言うと餅は丸餅、しかも茹でてるのでこうではないが、
見栄えとか丸餅が入手できないとかでこうなりましたです。
まあぜんざいに似ているといえば似てるかもね。絶対に雑煮だけど。



あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

さてお正月。

関東ではお雑煮需要で小松菜の相場が上がり、葉物農家がうれしいお正月。
全国的には煮しめに使うれんこんに高値がつくお正月。
そしてわたくしが生まれも育ちも鳥取であることを強烈に認識させられるお正月。

その最たるものがお雑煮である。

今年、Facebookで鳥取の小豆雑煮を紹介したら、
「汁粉とぜんざいとこの雑煮の違いを述べよ」と質問されたので調べてみた。

まず雑煮とは、大晦日にその土地で採れたものを神様にお供えし、
そのお下がりを食べるものらしい。いつから食べられていたかははっきりしない。
江戸時代ではないかという説が多いようだ。

すまし仕立てと味噌仕立てについてはWEB検索では出てこない。
ので、今回はパスである。

次は餅の形だ。自分的に最大の謎である。

かれこれ20年ほど前、東京に越してきた翌年のことだ。
某D社の注文書に「板餅」という商品が載っていた。 

鳥取には餅を平べったく切った「かき餅」というおやつが存在する。
てっきりそれだと思った。んで注文した。そして翌週届いたその商品は、
べったりとした一枚のずっしりと重い板状の餅であった。

「なななななな、なんじゃこれ? ぶ、武器???」 

包丁で切るのにめちゃくちゃ苦労し「二度と買うか!」と心に誓った。
無駄なことが嫌いなわたくし、この手間が許せなかった。
餅をなぜわざわざ板状にし、後日それを切り分けるのか理解できない。

餅は取り粉にとって粛々と丸めるのがヒトとして自然な行為ではないか。
わざわざ板状にのして冷めてから切り分けるなどいかにも無駄で非効率である。
トータルで考えたら2時間程度の無駄が発生するはずだ。
しかもつきたての餅をつまみ食いできないじゃないか!

しかしこれもはっきりとした理由はWEB検索では出てこない。
ので今回はパス。パスが多くてすみません。

というような基本的な部分はおいといて、今回のテーマは鳥取のお雑煮である。

鳥取の雑煮は、甘く煮た小豆汁にゆでた丸餅が入っている。
昔、大阪の友人に「それ、ぜんざいちゃうん?」と言われたことを思い出す。
しかしこれは鳥取市民にとって、まぎれもなく雑煮である。

わたくしの母は生まれも育ちも鳥取で、先祖代々
鳥取市立川町に住んでおり、鳥取の原住民と言っていいと思うが、
むかーしから「小豆雑煮」を食べている。ということでこれは鳥取の伝統である。

実はこの「小豆雑煮」を食べる地域は全国に点々とある。

まず出雲地方、あと新潟の下越地方の一部、佐渡ヶ島(伝聞)である。
共通点は見つからない。殿様の転封はなく人々の交流もなかったはずだ。

もしかして北前船?

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わたくしの父は鳥取の人ではなかったので雑煮は小豆ではなかったと思うが、
母はいっさい作らなかったので、どんなものだったのか知る由もない。
わたくしは一応夫用に見よう見まねの雑煮を作っております。
最近おいしいと思えるようになってきたかなー。やっぱ、慣れだよね~。



現在では太平洋側と比較して繁栄していないと考えられており、
十把一絡げに「裏日本」と呼ばれる日本海側の地域は、
昔は北前船で交易を行い非常に繁栄していた一大文化圏であった。
北海道で採れる昆布が西日本に伝わったのは北前船のおかげである。
でも京都までだよな。鳥取には来なかったはずだ。

出雲はそもそもぜんざい発祥の地だと最近言われている。
11月の神在月に食べたので「神在」→「じんざい」→「ぜんざい」。

ダジャレ?

神へのお供えという強烈なハレ食だから、ハレの正月に食べるのは理解できる。
しかし鳥取にこれが伝わったというのは考えづらい。
出雲は方言から何から全く違う文化圏の地域だからだ(『砂の器』参照)。

雑煮が生まれたのは江戸時代と仮定してみる。
因幡の国は、関ヶ原後、池田家が廃藩置県まで治めていた。
岡山からやってきた池田家の家臣が小豆雑煮を食べていたのかな?
しかし岡山の雑煮は小豆ではない。うーん。

そしてひとつ思いついた。大変悲しい推測である。

鳥取の冬はかなりの大雪が降るので農産物は収穫できない。
海産物は豊富だが、冬の日本海は荒れて漁ができない事が多かっただろう。

ということで手っ取り早い「ハレ」の食材「小豆」を使ったのではないだろうか。
そもそもの味付けは貴重品の砂糖ではなく塩だ。砂糖はかけて食べていたらしい。
小豆と砂糖と餅と言えば、日本における「ハレ食」のベスト10に入る食材である。
これお雑煮にすればいいんじゃん? 甘いしおいしいしごちそうだよねみたいな感じ。

なんちて、鳥取市民に怒られるかな?

鳥取の郷土史等々文献を調査しないとほんとのところはわからないのだった。
ということで、これはわたくしの妄想でございます。

ちなみにぜんざいとしるこの違いは以下。

「しるこ・小豆のあんを溶かした甘い汁の中に餅などを入れた食べもの。
ぜんざい・関西で潰しあん入りのしるこ、田舎じるこ」
『角川必携国語辞典(第十二版) 平成25年版』

「しるこ・あんを溶かした汁のなかに餅などを入れた食品
ぜんざい・つぶしあんをまぶした餅。しるこのようにお椀に入れて食べる。田舎汁粉」
『新明解(第三版)昭和59年版』

鳥取の小豆雑煮は形状・味付けともに関西でいうところの「ぜんざい」、
関東で言うところの「田舎汁粉」に酷似しているが、雑煮である。

「ぜんざいちゃうんか」と言った大阪の友人よ、違うのだよ。食べて驚け。


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Re: 鳥取の雑煮

としちゃんさん、こんにちは。はじめまして。

> 40年近く東京に居て、数年前にこちらへ帰って居を構えています。東京にいた時は、関東風の雑煮を食べていました。郷に入れば、と言ったところでしょうか。関東風になれてしまったせいか、こちらに帰ってからも関東風の雑煮になってしまいました。(裏切り者???)

おお、関東風もなれるとおいしいですよね。
でもま、ウチの夫の実家のお雑煮は厳密な関東風でもなく、
いろんなものが入ってます。


> しかし、正月になると、あの雑煮のことと、丸餅が思い出されます。


18歳で大阪に行くまであの雑煮しか食べたことなかったし、
味噌味もおすましも、そもそもそこにモチが入っている事自体許せなかったので、
こちらに来てからもいっさい作らず、今では雑煮難民です。

18のとき行った大阪の甘味処で「なんで雑煮なのにぜんざいって書いてあるんだろう」と
しみじみ思ったのですが、当時はわからなかったので誰にも言いませんでした。
最近理由も判明し、のびのびと言えるようになってうれしいです。
プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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