30g分の食品添加物とハムの話

gazou 028
ドイツ語ではブルートブルスト、フランス語ではブーダンノワール
血のソーセージ。地域によっていろんな作り方があり中身も違うらしい。
このブーダンノワール(向こう側の黒いの)に何が入っていたのかは不明。
んでも、うっとりするほどんまかったです。お代わりください!ってほど。



むかーし、ヨーロッパの保存食の歴史が綴られている本を読んで
血をソーセージにするというのでうへえと思ったことがある。

「血」。なんだかコワイじゃありませんか。
そのときのわたくしの脳裏には、ヴァンパイアと感染症と、
血の匂いが入り混じった恐ろしい食べものが浮かんだ。

大人になり、フレンチレストランなんぞに行けるようになり、
ブラッドソーセージ(ブーダン・ノワール)を生まれてはじめて食べたとき、
こっくりとした風味とスパイスの香り、その味にしみじみと感じ入り
自分の想像力のなさにものすごーくがっかりした。

ヨーロッパ人の知恵、おそるべし。である。

ハム・ソーセージ類はそもそも、春から夏にかけて太らせた豚を秋に屠畜し、
近隣の人々総出で肉はおろか、内臓、血など、食べられるものを全て加工し、
長い冬に備えるための伝統的な保存食だったらしい。

豚を食べ始めたのとほぼ同じに、これらの加工品は作られ始めたようだ。
いつから食べられていたのかははっきりしない。
現在のようなものになったのは、東方からスパイスがもたらされた
12世紀と日本ハムのサイト「ソーセージの歴史」に書いてあった。

日本でそういう保存法を思いつかなかったのは、
豚の腸を食べてしまってたからか、羊がいなかったせいか。
いろりの上に乗っけとけば燻製になりそうなのにね。

ハムやソーセージは近代になってから海外から入ってきた目新しい食品だった。
日本のハムは、「豚肉をできるだけ長期間保存するための保存食」というより
「よその国から入ってきたハムという高級な食品に似たものを代用肉で作る」
という方向に進んだらしい(想像)。

画像 001
銀座のレストランで食べたサラダにハムがついておりました。
サラダは有機野菜でんまかったけど、このハムがかまぼこ味で、
銀座なのになぜ「かまぼこハム」が出るのだろうと思ったけど黙ってました。
食品添加物の量が少なくとも化学調味料が入るとかまぼこ味になります。



手段が目的になってしまったのだね。

わたくしはこの代用品を食べて育ったから、その「代用ハム」に
全く疑問を持っていなかった。ある体験をするまでは。

まだ今ほどメジャーなリゾートではなく、
高級ホテルがあちこちに建ち始めたころのバリ島で、
わたくしはほんとうのハムの味を知った。

初めての海外旅行のホテルで、日本のパンとぜんぜん違う、
うすっぺらーくてかたーいトーストと、卵臭いオムレツ、ハム、コーヒーという
スタンダードな、しかし何かうっすらと知らないスパイスの香りのする
欧米風朝食をちょびっと緊張しながら食べたときのことである。

なんとなく腐敗臭を含んだ甘い南国の風が吹くなか、もそもそとハムを食べ、
その味に驚いた。というか衝撃を受けた。
「アタシ、肉からできました。その証拠に肉の繊維が残ってるでしょ。
どう? この肉の味」。バリのハムはわたくしにそう問いかけていた。

ハムって肉なのだ! 生まれて初めてそう認識した。
日本のハムはハムではないのだ! そう思った。

わたくしはそれまでプレスハムしか食べたことがなかった。
ぺろんとした質感のかまぼこのような食感のプレスハム、
肉の味がほとんどしないプレスハム。当時はそれがあたりまえだった。
わたくしはその時まで、ハムは肉の加工品だとも意識していなかった。

日本独特のハム「プレスハム」には豚肉は使われておらず、
安価に作るために馬と羊肉が使われていた。
それらにいろいろなものを入れてハムの形にしてあるが、
ハムというよりはかまぼこの仲間のように思える。

009.jpg
無添加ボンレスハムの肉々しさにご注目ください。スジとか残ってます。
賞味期限が切れるとネト菌が出るけど洗って加熱して食べれば平気です。
無添加ハムは「ハムがネトネト糸をひく」という体験ができます。



昨今では本格的なロースハム、ボンレスハムが売っているけど、
やっぱりかまぼこの仲間のように思える。

なぜかまぼこに似ているのか。
それは余計なものがたくさん入っているからだ。

以前無添加ハムのメーカーを取材した際に、
肉100gからできるハムの重量は90g程度だと聞いた。
塩漬けしてスモークするのだから重量は減らないとおかしいのだが、
一般的なメーカーでは120gくらいになる。

なぜか。それは食品添加物や増量剤が添加されているからだ。
30gほど「肉じゃないもの」が加わり、ハムになっているのだった。

ではハムには何が入っているのかな?
とあるメーカーの「ロースハム」の原材料を見てみた。

「豚ロース肉、糖類(水あめ、砂糖)、卵たん白、植物性たん白、
食塩、乳たん白、ポークエキス、調味料(有機酸等)、リン酸塩(Na)、
増粘多糖類、カゼインNa、酸化防止剤(ビタミンC)、発色剤(亜硝酸Na)、
コチニール色素、香辛料、(原材料の一部に大豆を含む)」。

今回これを書くので久しぶりに普通のハムの原料を見たが、
あまりにもたくさん食品添加物が入ってるので驚いた。

結着・増量目的で使用されてる(と思われる)たん白類、増粘多糖類、
状態のあまりよくない肉の味をよくするための調味料、エキス類、
保存目的も期待されてる発色剤と書いてある亜硝酸ナトリウム、
発色剤が入っているのにさらに着色料のコチニール色素が添加されてる不思議、等々。

001_20140314105522cdb.jpg
全然ピンク色じゃないけど、これが発色剤の入らないハムの色。
この色になれるとピンク色のハムが不自然に思えてくるから不思議です。
自分が認識しているハムの香りも味も実は添加物で作られたもの
ってことが、肉ハムを食べるとよくわかるですよ。



なぜこんなに入れなくてはならないのかが不思議だ。
しかもこれは全ての食品添加物が表示されてるわけではない。
いくつかの食品添加物が入っていても「簡略名」表記が許されているからである。

豚肉の原産地は米国、デンマーク、カナダ、チリ、フランスだった。
ハムの原料肉がどこから来てるか気にしたことはなかったが、
豚肉の自給率50%強なんだから加工肉は輸入だよね。当然の話だった。

価格は約150g、約300円。ハム一枚10gとすると20円だ。

無添加ハムの原材料は「豚肉、砂糖、塩、香辛料」。
価格は100g、441円。ハム一枚10gとすると44円。
ちなみに豚肉はNON-GMO飼料を食べている自社農場の豚である。

ハム一枚24円の差が、輸入豚と国産豚、
「めっちゃたくさん食品添加物入ってるのよね」と、
「塩と砂糖、香辛料だけなのよね」の差である。

24円の差は、安い? それとも高い? 

ともあれ、20円のハムはハムというよりかまぼこに似ており、
バリ島の「アタシ、肉なのよね」と主張したハムに似ているのは44円の方だ。

擬似食品を作るのが得意な日本人の技術はすごいと思うが、
日本人はある程度お金持ちになって
海外から大量に食材を輸入しては余らせて捨てているのだから、
ほんとうのロースハムを作ってもいいんじゃないんだろうか。

海外で肉ハムに驚くという体験をするのもおもしろいとは思うけど。


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手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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