無施肥・無農薬でみかんをつくる人―広島県・道法正徳さん

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青い空と瀬戸内海…美しい風景ですねえ。
道法さんの無施肥・無農薬のレモン畑から見える、瀬戸内海の風景。



無肥料栽培ってどういうことだろう? 
最近いろいろと話題です。気になります。

私が知っている限りでは、草生栽培で人為的な肥料分を全く与えず、
すももを作っている人がいらっしゃいます。
(過去ログ→http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-14.html


よく考えてみると、無肥料栽培というより無施肥ってのが正しいような気もします。

そう言えば、海っぱたの岩に自然に生えている松などを見ると、
土はどこにもないのに、元気に生育しています。
彼らは何から養分を補給しているのだろう?

ある人が言うには「微生物の仕事」なのだそうです。

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病気のあとや傷がひとつもないきれいなグリーンレモン。
これなら慣行栽培と比較しても全く遜色ありません(ピンボケですみません)。
無施肥・無農薬でこれだけのレモンができるとは…ものすごく説得力がありますね。




田んぼでは、前作のワラを還元すれば全く肥料を供給しないでも
水に含まれたり田んぼの微生物の死骸などの天然供給量だけで
最低5俵は採れると聞いたことがあります。

微生物の死骸や、共生菌の働き、また雨によるチッソ補給など、
天然供給の肥料分があり、循環の流れができていれば植物は生育することができるのでしょう。

でもそれだけで経済作物をつくることができるのかなあ…収量もそれなりの?

そんなことを考えていたら、
かんきつ類で無施肥栽培を実践している方にお会いしました。

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道法正徳さん。広島弁でのお話は漫談を聞いてるみたいに楽しいのですが、
その理論は少し難解。でも方法はシンプル。感銘を受けました。




りんごや桃などの落葉果樹と違い、かんきつ類は常緑樹です。
冬、休眠することなく、一年中光合成を行います。

さらにレモンなどは春に花を咲かせながら果実の収穫もできてしまうという、
落葉果樹類しか知らない私には未知の作物。
休眠がないぶん、養分の配分が違うのだろうなとは思うのですが、
なんともよくわかりません。

「なぜ花と果実が同時に存在できるんだろう?不思議だなあ」的な作物、
それが私にとってのかんきつ類。
そして、今回初めてかんきつの畑、しかも無施肥・無農薬の畑を見学しました。

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下草にナギナタガヤを繁殖させるのも農法のひとつ。
ナギナタガヤは種を購入してまかなければなりませんが、うまく次世代の芽が出ればOK。
これは新しい芽が出ています。りんごの下草に利用する人も多い草です。



畑の主、道法正徳さんは、かつて青果連に属し、
農協組合員に肥料・農薬を販売しながらの指導をされていたそうです。

自分でもみかんを栽培していく中で、ある時隔年結果にならない剪定方法を発見しました。
その後は指導員を辞め、無肥料・無農薬栽培の技術も確立し、現在に至ります。

さて、道法さんの栽培方法でかんきつ類を栽培すると、
大きくてきれいな果実、一般栽培とそれほど変わらないものができます。
その方法は実にシンプル。しかもわかりやすいのです。

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苗木の仕立ても特徴的。枝が全て上向きに伸びています。
ある程度大きくなると勝手に下に下がって来ますが、それが右側に伸びている枝。
その枝からまた上へと伸びる枝が何本か新たに伸びています。
写真では見えないのですが、株元に黒マルチが敷いてありました。これもコツなのだそうです。




上に上にと伸びる樹勢のいい枝、徒長枝を残し、横・下に伸びる枝を切る剪定方法、
「切り上げ剪定」を行うことにより、かんきつ類の宿命「隔年結果」がなくなり、
大玉の果実ができ、無農薬栽培も可能になる…いいことばかり、素晴らしいですね。

しかも消費者には「無農薬」という付加価値商品を提供できるのですから。

果樹類はどんなものでも、勢いよく上に突っ立ったような枝は、
夏の間に切られたり、切るとまた出てくるのでくりっとひねられたりして、
だいたい邪魔者扱いされています。

道法さんの考えは、この邪魔もの扱いされる樹勢のいい枝をあえて残して実をつけ、
実の重さで枝を下向きにさせるという方法。
その結果、大きな実がなる「有梢果」という実がたわわに実ります。

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大きな枝から出る小さな枝にみかんがついているのがわかりますか?
これが有梢果。大きな枝に直接実がなるよりも大玉になり、糖度も上がるならせ方だそうです。
それもこれも植物ホルモンの作用なのですが、うまく説明できません。すんません。



道法さん曰く「チッソ・リン酸・カリ、必要ない。必要なのは植物ホルモン。
オーキシンとサイトカイニンが働くようにすればいいだけ」

ものすご~くざっくり言うと、
オーキシンは成長部分で作られ、植物体内を移動して根を伸ばす働きがあり、
サイトカイニンは根の部分で作られて、生長点に移動し植物の成長を促す作用があります。

オーキシン・サイトカイニンともに植物の成長を促す植物ホルモン。
これらの働きをうまく利用するのが切り上げ剪定ということなのですね。
そのほかエチレンの合成などももちろん利用します。

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道法さんの剪定の特徴、チェーンソーでバッサリ剪定。
けっこうバッサバッサと切っていきます。その後剪定バサミで下に向かっている小さな枝を切ります。
写真はないのですが、上に伸びることのできない小さな枝が自分で枯れているのを見て、
上に伸ばすことの意味・植物の生理がわかるような気がしたりしました。



ううう、大変難しいです。
さらに、NPKが必要ないってのがよくわからないのです。

しかし道法さんの畑では、無施肥・無農薬栽培に取り組んでもう何年も経つのに、
慣行栽培と同じような大玉の美しいレモンがなっています。

「無農薬だからカイヨウ病や黒点病、ヤノネカイガラムシが多少いてもしょうがない」

低農薬・無農薬栽培では、かんきつ類は肌がちょっと小汚くなり、
見た目が悪いのにちょっとお高いので、流通団体や農家はそう説明します。

通常、無農薬栽培のみかんやレモンには、こういった病気や虫がついています。
しかし、道法さんのレモンにはほとんどついていないのです。
さらに、かんきつ類の幹に入り込み、樹を枯らしてしまうカミキリムシもいないのです。

実践できているということは、これは事実であるということです。

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チェーンソーでぐりっとえぐられたような切り口。
切った枝を残さず、その根本から切るのがこの剪定方法の特徴です。
こういう切り口にすることで、生長点から降りてくるオーキシンと根から上がってくるサイトカイニンが働き、
植物の自然治癒力によって傷口が修復されます。


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植物の力のみで修復された傷跡はこんなふうに盛り上がります。
通常は切り口にバッチレート等の農薬を塗布し、病原菌が入らないように防ぐのですが、
この方法だと農薬は必要ないそうです。
※この写真はりんごの樹で何か塗ってありますが、道法さんの畑の樹ではありません。
傷口の盛り上がり方をご確認ください。




全く新しい剪定方法で、慣行栽培と同様の見た目のものが無農薬・無施肥でできること、
さらにかんきつ類の宿命・隔年結果にならないこと、
その方法が、理屈はともかく素人にでもものすごくシンプルでわかりやすいこと
…何度も言いますが、素晴らしいですよね。

興味ある方は、道法さんの本を読んでみてください。

『高糖度・連産のミカンつくり~切り上げせん定とナギナタガヤ草生栽培』川田健次著
※川田健次というのは道法さんのペンネームだそうです。

一度聞いただけではいまいち理屈がわからなかったので、
またいつかお会いして、ゆっくりお話を聞きたいなあと思っています。


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No title

ほんたべさん、こんばんわ。こ、この方は!以前、道法さんのお話をきいたことがあるのですが、とても感動しました。キノコ作りにも何か参考にならないだろうかと思っています。
ほんたべさんにも、以前、道法さんの使っている栄養剤をご紹介しましたけど、覚えていらっしゃいますか?

Re: No title

駆動さん

こんにちは。

その栄養剤の名は「万田酵素」?でしたっけ?
万田酵素の工場見学もさせてもらいましたよ~。
会長がお茶目な人で、大好きになってしまいました。

植物の栄養剤(アミノ酸資材)なのですが、わたくし今飲用のものを飲んでます。
体調がよくなります。アミノ酸資材、恐るべし!です。

No title

道法さんの畑の手入れ方法とても参考になります。

チェーンソー剪定は、初めて見ました。面白いですね、ナギナタガヤは効果高そうなので、慣行栽培でも流行の兆しありますね。

Re: No title

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

道法さんの剪定・管理方法、面白いですよね。
果樹農家で技術がある人の話を聞くと、剪定時には徒長枝を残すと皆さんおっしゃいます。

みかんの場合は2年枝に実がつくので、三年枝につけるりんご等には即応用できないとは思うのですが、
技術のある人の話には共通点があるので、面白いなあと思っています。

ちなみに、ナギナタガヤはりんご栽培ではネズミが繁殖するので向かないと聞きました。
地面に分厚く枯れた草が溜まるので、ネズミの越冬にちょうどいいのだそうです。

寒い地域でのナギナタガヤはダメかもしれません。
その点、西日本などのみかん産地には、ナギナタガヤは向いているようです。

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プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

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