有機野菜ってどんな野菜?

gazou 006
埼玉県の有機JAS認証取得農家の家で見つけたアブラバチのマミー。
アブラバチはアブラムシに卵を産みつける小さなハチで、これはサナギの状態です。
アブラバチはアブラムシの天敵。土着天敵を利用した栽培技術も有機農業の技術です。



9月28日の朝日新聞に「有機・オーガニックを正確に理解している人は、消費者の5%」という、
NPO法人「IFORMジャパン」の調査結果が紹介されていました。

「有機・オーガニック」という言葉はほとんどの人が知っているけど、
内容を理解していない…悲しい結果です。

ニュースや雑誌で「有機栽培・有機農業」についてレポートされているのを見るたび、
わかってんのかなあ…と思うことがしばしばでしたが、それもそのはず、この理解度では。

しかし、わかりにくいのも確かです。

「有機農業」「有機栽培」「有機JAS認証」…いろんな言葉があり、
混乱するのも当然って気がします。

さらに、地域の防除暦の1/2の農薬と肥料で栽培したら表示できる
「特別栽培農産物」という枠もあるのですが、これなどほとんど理解されていない…
というか、知らない人が多いんじゃないでしょうか。

では有機農産物ってどんなもののことなのでしょう。

植え付け前2年以上、法律で定められた農薬・資材のみ使用したと
国が定めた認定機関が認証した畑で栽培されたものについて「有機農産物」という表示、
つまり有機農産物というシールを貼って販売することができます。

※有機農業については、以下のWEBサイトでもう少し詳しく説明しています。
http://www.hontabe.com/about.asp

この有機JAS認証を取得しないと「有機栽培」「有機農産物」と
表示して販売することはできません。

この法律は「有機JAS法」と言われ、まあ言ってみれば表示の規制です。
お店では有機JASという緑色のシールを貼付して売られています。

IMG_1012.jpg
有機JAS認証を取得すると、畑に「ここは有機の畑なのよ」という看板を立てます。
圃場の持ち主と認定団体の名前、圃場番号、面積、生産工程管理者の名などが記載されています。
年に一回の監査時に、認定機関の検査官が現地検査にやってきて、伝票や圃場のチェックを行います。
※名前等は削除して掲載してます。



過去あいまいな定義で有機栽培と表示し、優良誤認を起こす販売が横行した経験から
「有機農産物」とはこういうルールじゃないと表示できないのよと、
法律できちんと枠決めをして、規制したという感じです。

表示の規制のため、理念や栽培技術については言及されていません。

また、有機JAS認証された作物は、無農薬とは限りません。
BT剤・ボルドー剤など、使用していいと指定されてる農薬があるからです。

この有機JAS法だけでは有機農業の振興にはならないということで、
2006年、有機農業の持つ役割、技術の継承、消費者への啓蒙、さらに理念について、
「有機農業推進法」という法律で定められました。

この法律により、国が有機農業を推進するという方向性が明確になりました。
世の有機農業者が「とうとうやった!! 世の中が変わった!」と喜んだ法律でした。

しかし有機JAS認証取得の割合はいまだに0.19%、あまり推進できていないような気がします。

さらに有機JASとの整合性がついていないので、表示は規制しながら推進するという
作り手の側からすると「ちょっと困ったなあ…」的なところが、まだ解決されていません。

有機農業推進法が施行されて4年になりますが、
各自治体でできた推進協議会の活動がいまいち滞っている等の話を聞くこともあり、
技術の継承や推進って言葉で言うのは簡単だけど
しくみを作るのはなかなか難しいことなのだなあと思ったりします。

有機JAS認証を取得してなくても、有機農業に取り組んでいる人はたくさんいる…
このあたりがなんだかよくわからない理由なんじゃないでしょうか。

IMG_1579.jpg
右側が有機認定圃場のセロリ。左側が慣行栽培の圃場のキャベツ。真中に植わってるのはカリフラワー。
有機の畑のお隣の畑が農薬を散布する人の畑だった場合、緩衝地帯を設置する必要があります。
これは農薬の飛散などに配慮しなくてはならないためなのですが、
自分の畑に設置するので有機の栽培面積がちょびっと減ります。
さらに緩衝地帯で栽培した作物は、非有機で出荷しなくてはなりません。
この場合、カリフラワーには有機のシールが貼れないってことになります。
狭い国土の日本ならではの緩衝地帯なのですが…有機JAS取得ってのはいろいろ大変なのです。



その他に、最近「無農薬・無化学肥料栽培」という言葉をよく聞きますが、
これもなんだかとてもあいまいですね。一昔前の優良誤認が再発した感じです。

実は現在農水省のガイドラインでは、店頭で販売するものについて
「無農薬」と表示することは規制され「栽培期間中農薬不使用」と表示しなくてはなりません。
ガイドラインなので罰則規定はありませんが、違反すると指導が入ります。

スーパーでは「無農薬」という表示はできません。
「栽培期間中農薬不使用」…わかりにくい、めんどくさい言葉ですよねえ。

しかし、「無農薬・無化学肥料栽培」というこの言葉は、考えてみるととってもあいまいです。

有機JAS法が定められた理由や、ここ20年の流れを見てきた者からすると
何をもって無農薬と言っているのか、無化学肥料ってどういうことなのか等々が気になります。

農薬登録をしてあるものは使っていないってことなのかなあ…とか、
設置型の登録農薬はどう考えているのかなあとか。

さらに「自然農法」「自然栽培」「有機より安全」等々と言われ始めると、
何がなんだかよくわからなくなります。

そういったあいまいさや用語の不統一が、全体的に不透明な印象を与え
「結局何がいいわけ?有機じゃなくていいんじゃない?」なんてことに
…なっていないかな?


結局何が一番いいんだと聞かれると、畑を見に行って作り手の人柄がちゃんとわかって、
その人のことが信頼できて、さらに作ったものがおいしい野菜、
そんな野菜がいいと思うのですが、そんな人を見つけること自体不可能ですよね。

であれば、それを肩代わりしてくれている流通を探すか、自分で作るしかありません。
そんなことを考えていたら、区民農園の募集を見つけました。

やはり自分で作るしかないか…もし当選したら、土壌分析診断に基づく
科学的な農業(有機JASではない有機農業)のレポートが紹介できるんですけど…。

なんちゃって。


★現在ブログランキング参加中です!
↓プキッとクリック、ご協力お願いいたします!



こちらもよろしくお願いいたします!
にほんブログ村 環境ブログ 有機・オーガニックへ
にほんブログ村






関連記事

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

昨日「プロフェッショナル」で有機で稲を作る石井さんという方をとりあげていました。「有機」という言葉の定義などは確かになかったようでしたが。(見損ねたところもあるのでよくはわからないけれど)
だんだん農薬を使わなくなっていった経緯は自然で、どん底になってからの頑張り、奥さんの支えなど、胸が熱くなりました。ひたすら努力を積み重ね、イネに声をかけるまでに愛情をそそぐのですが、一方落ち着いて、丁寧な観察に基づいて行動を決めている感じが伝わってきました。
きっとこのサイトに紹介されている方はみな石井さんと同じように
熱い思いと合理的で沈着な行動力とで食べものを作っていらっしゃるのでしょうね。

Re: No title

nabanaさん

プロフェッショナル、見ましたよ~。
石井さんは大地のお米生産者会議で何度かお会いしました。
やっぱりカリスマでした。大地にはお米もらってなかったんじゃないかなあ…もらってたっけ?

ああいう取り上げられ方をすると特別な方のようですが、おいしいものを作る人って、皆あんな感じです。
すごくおいしいものを作って高く売れるっていうのはいいですよね。
お米ってそういう販売戦略が立てやすいのかも…と思ったり。

自分の売り先と固定価格をきちんと持っていて設定できる人って、すごいなあと思います。

おはようございます

初コメです。
オーガニックランキングから、いつもチェックさせていただいておりました(*^_^*)

最近、「有機より安全」という言葉に混乱というか、とまどいを感じています。
そもそも、自称「有機」や自然栽培等を含めても生産量が少ないのに、言い合いしてもしょうがないのではー?という想いです。

最後の「土壌診断に基づく科学的な農業」が気になります。きっと、当選しますよ。レポ、楽しみにしています。

Re: おはようございます

MIKIさん

ご訪問ありがとうございます。
MIKIさんのブログも拝見させていただきました。
いいブログですね。勉強になりました。

> 最近、「有機より安全」という言葉に混乱というか、とまどいを感じています。

そうなんですよね。
知り合いの自然食品店店主が「小さいパイを取り合ってどうする」と言ってましたが、まさにその通り。
まずは小さなパイを大きくするために何ができるかって話だと思うんですが…。

区民農園は本日応募しました!
うまくいくことを祈っています。

では今後ともよろしくお願いいたします!

No title

ほんたべさん、こんばんわ。確かに有機JASに関しては、勉強した人しか理解できないほど、細かい気がします。
でも、それ以来、お店の商品にJASマークが貼られていると、「ああ、この人たちも苦労したんだろうなぁ。」と同情して買うようになりました(苦笑)。

Re: No title

駆動さん

おはようございます。

本日東京はいい天気です。
今日は永田町で開催されるTPPのシンポジウムに参加してきます。

>、「ああ、この人たちも苦労したんだろうなぁ。」と同情して買うようになりました

あはは、気持ちわかります。
私も野菜を買いにお店に行ったら有機JASを見つけるようにしています。
シールがついてるのを見たら買いますけど…あんまり売っていませんです。

いつになったら当たり前に販売されるようになるのかな~。
推進法が施行された時には10年後位かなって思っていましたが、も少し先かもしれませんね。


プロフィール

ほんたべ

Author:ほんたべ
手島奈緒
おいしい食べものをつくる人を紹介したり応援したりしております。ブログをまとめた著書『いでんしくみかえさくもつのないせいかつ』(雷鳥社)『まだまだあった! 知らずに食べてる体を壊す食品』(アスコム)『儲かる「西出式」農法』(さくら舎)など。現在ハンター修行中。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
リンク
FC2ブログランキング
FC2ブログランキング参加中

FC2Blog Ranking

フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR